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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133105
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】情報提示方法、及び、情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20220906BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20220906BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220906BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W40/09
G08G1/00 D
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031982
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 沙織
(72)【発明者】
【氏名】柳 拓良
(72)【発明者】
【氏名】草柳 佳紀
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CD12
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DD05Z
3D241DD10Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF10
5H181FF25
5H181FF27
5H181LL07
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】運転者と同乗者との関係性に応じて、運転操作の評価位置に基づいたフィードバック情報を適切なタイミングで提示することができる情報提示方法、及び、情報提示装置を提供する。
【解決手段】情報提示装置100は、運転者Dによって運転操作が実行された場合に、自車両1の走行状態に基づいて、運転操作の適正度評価値を算出し、適正度評価値と基準評価値との乖離度を算出し、自車両1に同乗者Pが乗車しているか否かを判定し、同乗者Pの有無に基づいて、乖離度閾値を設定し、乖離度が乖離度閾値以上であるか否かを判定し、乖離度が乖離度閾値以上である場合に、フィードバック情報を出力し、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合は第1乖離度閾値を設定し、自車両1に同乗者Pが乗車している場合は、運転者Dと同乗者Pとの関係性に応じた第2乖離度閾値を設定する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を運転する運転者による運転操作の適正度を評価するフィードバック情報を出力する制御を行う情報提示装置を用いた情報提示方法であって、
前記情報提示装置は、
前記運転者によって運転操作が実行された場合に、前記自車両の走行状態に基づいて、前記運転操作の適正度を評価するための値である適正度評価値を算出し、
前記適正度評価値と所定の基準評価値との乖離度を算出し、
前記自車両に前記運転者以外の乗員である同乗者が乗車しているか否かを判定し、
前記同乗者の有無に基づいて、乖離度閾値を設定し、
前記乖離度が前記乖離度閾値以上であるか否かを判定し、
前記乖離度が前記乖離度閾値以上である場合に、前記フィードバック情報を前記自車両のユーザインタフェースに出力し、
前記自車両に前記同乗者が乗車していない場合は、
前記乖離度閾値として予め定められた第1乖離度閾値を設定し、
前記自車両に前記同乗者が乗車している場合は、
前記運転者と前記同乗者との関係性を推定し、
前記乖離度閾値として、前記関係性に応じた第2乖離度閾値を設定する情報提示方法。
【請求項2】
前記情報提示装置は、
前記自車両に前記同乗者が乗車している場合は、少なくとも前記同乗者の情報に基づいて、前記運転者と前記同乗者とが親しいか否かを判定し、
前記運転者と前記同乗者とが親しくないと判定した場合は、前記第2乖離度閾値を前記第1乖離度閾値よりも高く設定する、請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項3】
前記情報提示装置は、
前記運転者と前記同乗者とが親しいと判定した場合は、
少なくとも前記同乗者の情報に基づいて、前記運転者と前記同乗者との間の上下関係の有無を判定し、
前記運転者と前記同乗者とが親しく、かつ、前記上下関係が無いと判定した場合の前記第2乖離度閾値は、前記運転者と前記同乗者とが親しくないと判定した場合の前記第2乖離度閾値よりも低くなるように、前記第2乖離度閾値を設定する、請求項2に記載の情報提示方法。
【請求項4】
前記情報提示装置は、
前記運転者と前記同乗者とが親しく、かつ、前記上下関係が無いと判定した場合の前記第2乖離度閾値は、前記第1乖離度閾値と同一の値になるように、前記第2乖離度閾値を設定する、請求項3に記載の情報提示方法。
【請求項5】
前記情報提示装置は、
前記運転者と前記同乗者とが親しいと判定した場合は、
少なくとも前記同乗者の情報に基づいて、前記運転者と前記同乗者との間の上下関係の有無を判定し、
前記上下関係があると判定した場合は、
前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも上位であるか又は下位であるかを判定し、
前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも上位であると判定した場合は、前記第2乖離度閾値を前記第1乖離度閾値よりも高く設定し、
前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも下位であると判定した場合は、前記第2乖離度閾値を、前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも上位であると判定した場合の前記第2乖離度閾値よりも低くなるように設定する、請求項2~4のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項6】
前記情報提示装置は、
前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも下位であると判定した場合は、前記第2乖離度閾値を前記第1乖離度閾値と同一の値になるように設定する、請求項5に記載の情報提示方法。
【請求項7】
前記第1乖離度閾値は、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも高い場合の閾値である第1乖離度上限閾値と、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも低い場合の閾値である第1乖離度下限閾値とを含み、
前記第2乖離度閾値は、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも高い場合の閾値である第2乖離度上限閾値と、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも低い場合の閾値である第2乖離度下限閾値とを含み、
前記情報提示装置は、
前記運転者の立場が前記同乗者の立場よりも上位であると判定した場合は、前記第2乖離度上限閾値を前記第1乖離度上限閾値と同一の値に設定し、前記第2乖離度下限閾値を前記第1乖離度下限閾値よりも高く設定する、請求項5又は6に記載の情報提示方法。
【請求項8】
前記情報提示装置は、
前記運転者が発話する音声情報を含む運転者発話情報、及び、前記同乗者が発話する音声情報を含む同乗者発話情報を取得し、
前記運転者発話情報、及び、前記同乗者発話情報から抽出されるテキストに含まれる敬語表現の有無を判定し、
前記敬語表現の有無に基づいて、前記運転者と前記同乗者との前記関係性を推定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項9】
前記情報提示装置は、
前記自車両に前記同乗者が乗車している場合は、
前記同乗者に子供が含まれるか否かを判定し、
前記同乗者に子供が含まれる場合は、前記乖離度閾値として、前記第1乖離度閾値よりも高い第3乖離度閾値を設定する、請求項1~8のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項10】
前記情報提示装置は、
前記フィードバック情報に対する前記運転者の過去の反応の履歴情報、又は、前記運転者による入力情報に基づいて、前記運転者の前記フィードバック情報に対する受容性の有無を判定し、
前記受容性が有ると判定した場合の前記乖離度閾値が、前記受容性が無いと判定した場合の前記乖離度閾値よりも低くなるように、前記乖離度閾値を設定する請求項1~9のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項11】
前記情報提示装置は、前記運転者の過去の前記適正度評価値に基づいて、前記乖離度閾値を設定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項12】
前記情報提示装置は、前記運転者の過去の前記適正度評価値に基づいて、前記基準評価値を設定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項13】
前記情報提示装置は、前記乖離度の大きさに応じて、前記フィードバック情報の内容を設定する、請求項1~12のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項14】
前記情報提示装置は、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも高い場合の前記フィードバック情報と、前記適正度評価値が前記基準評価値よりも低い場合の前記フィードバック情報とが、異なる内容を含むように、前記フィードバック情報の内容を設定する、請求項1~13のいずれか一項に記載の情報提示方法。
【請求項15】
自車両を運転する運転者による運転操作の適正度を評価するフィードバック情報を提示する制御を行う情報提示装置であって、
前記運転者によって運転操作が実行された場合に、前記自車両の走行状態に基づいて、前記運転操作の適正度を評価するための値である適正度評価値を算出する適正度評価値算出部と、
前記適正度評価値と所定の基準評価値との乖離度を算出する乖離度算出部と、
前記自車両に前記運転者以外の乗員である同乗者が乗車しているか否かを判定する同乗者有無判定部と、
前記同乗者の有無に基づいて、乖離度閾値を設定する乖離度閾値設定部と、
前記乖離度が前記乖離度閾値以上であるか否かを判定する乖離度判定部と、
前記乖離度が前記乖離度閾値以上である場合に、前記フィードバック情報を前記自車両のユーザインタフェースに出力する出力部とを備え、
前記乖離度閾値設定部は、
前記自車両に前記同乗者が乗車していない場合は、
前記乖離度閾値として予め定められた第1乖離度閾値を設定し、
前記自車両に前記同乗者が乗車している場合は、
前記運転者と前記同乗者との関係性を推定し、
前記乖離度閾値として、前記関係性に応じた第2乖離度閾値を設定する情報提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示方法、及び、情報提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された情報提示方法では、安全運転促進システムは、運転者の運転操作の評価値を算出して、評価値に応じて、運転者を褒めるメッセージを報知し、又は、運転者に運転操作のアドバイスを行うフィードバック情報を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5587465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された情報提示方法では、運転者と同乗者との関係性がどのようなものであるかに関わらず、運転操作の評価値に基づいたフィードバック情報を提示するため、運転者と同乗者との関係性によっては、フィードバック情報の出力のタイミングが適切ではない可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、運転者と同乗者との関係性に応じて、運転操作の評価値に基づいたフィードバック情報を適切なタイミングで出力することができる情報提示方法、及び、情報提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両に同乗者が乗車していない場合は、運転操作の適正度評価値と基準評価値との乖離度が予め定められた第1乖離度閾値以上である場合に、フィードバック情報を出力し、自車両に同乗者が乗車している場合は、運転者と同乗者との関係性に応じて第2乖離度閾値を設定し、乖離度が第2乖離度閾値以上である場合に、フィードバック情報を出力することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両に同乗者が乗車している場合は、運転者と同乗者との関係性に応じて、第2乖離度閾値を設定するので、運転者と同乗者との関係性に応じて、運転操作の評価値に基づいたフィードバック情報を適切なタイミングで出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る情報提示装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示す情報提示装置が算出する適正度評価値の例を示す表である。
図3図3(a)は、自車両に運転者、及び、1人の同乗者が乗車している様子を示す図であり、図3(b)は、自車両に運転者、及び、複数の同乗者が乗車している様子を示す図である。
図4図1に示す情報提示装置を用いた情報提示方法の手順を示すフローチャートである。
図5図1に示す情報提示装置を用いて第2乖離度閾値を設定する方法の手順を示すフローチャートである。
図6図1に示す情報提示装置が設定する乖離度閾値と過去の適正度評価値との関係を示す表である。
図7】第2実施形態に係る情報提示装置の構成を示すブロック図である。
図8図7に示す情報提示装置が設定する乖離度閾値と運転者のフィードバック情報に対する受容性との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
第1実施形態に係る情報提示装置100、及び、情報提示方法について、図1~6を参照して説明する。
自車両1は、走行状態取得部2、音声取得部3、車内カメラ4、ユーザインタフェース5、及び、情報提示装置100を有する。
【0010】
走行状態取得部2は、自車両1の走行状態を検出する走行状態検出部である。具体的には、走行状態取得部2は、外部センサ(車外カメラ、又は、レーダ)、又は、内部センサ(車速センサ、加速度センサ、操舵角センサ、又は、ジャイロセンサ)である。走行状態取得部2が外部センサである場合は、自車両1の周囲の障害物、又は、他車両を検出することにより、相対的に、障害物、又は、他車両に対する自車両の挙動を検出することができる。また、走行状態取得部2が内部センサであるは、運転者による自車両1の運転操作に基づく制御信号を取得する。具体的には、走行状態取得部2は、自車両1の加速度、加速度変動、減速度、減速度変動、車速、車速変動、操舵角変動、後退時の前後方向、又は、左右方向の位置・加減速度変動を、自車両1の走行状態として取得する。また、走行状態取得部2は、運転者が自車両1の駐車操作を行っている場合は、操舵角変動、又は、前後左右方向の位置・加減速度変動に基づいて、切り返し回数を走行状態として取得する。
【0011】
また、音声取得部3は、車内の音声情報を取得するマイク(集音装置)である。音声取得部3は、運転者が発話する音声情報を含む運転者発話情報、及び/又は、同乗者が発話する音声情報を含む同乗者発話情報を取得する。また、音声取得部3は、指向性を有しており、取得した音声情報について、運転者が発話した音声か、又は、いずれの座席に座っている同乗者が発話した音声かを識別することができる。
【0012】
車内カメラ4は、自車両1の室内の様子を撮像し、画像データを取得する。車内カメラ4は、自車両1に、運転者以外の同乗者が乗車しているか否かを検出する。また、車内カメラ4は、自車両1に複数人の同乗者が乗車している場合は、同乗者の人数を検出する。また、車内カメラ4は、運転者の表情、及び、動作を検出することができる。また、車内カメラ4は、同乗者が子供であるか否か、を含む、同乗者の外見に関する情報を取得することができる。
【0013】
ユーザインタフェース5は、運転操作の適正度を評価するフィードバック情報を含む各種の情報を自車両1の乗員に提示する。ユーザインタフェース5は、情報を音声で表示するスピーカである。また、ユーザインタフェース5は、情報を文字、及び/又は、映像で表示するディスプレイであってもよい。また、ユーザインタフェース5は、音声情報を出力するための発話機能を有するキャラクター(ロボット)であってもよい。
【0014】
情報提示装置100は、自車両1を運転する運転者Dによる運転操作の適正度を評価するフィードバック情報を出力する制御を行うプロセッサ等の制御装置を備える。情報提示装置100は、適正度評価値算出部11、適正度評価値記憶部12、基準評価値設定部13、乖離度算出部14、同乗者有無判定部15、乖離度閾値設定部16、乖離度判定部17、及び、出力部18を有する。なお、情報提示装置100は、CPU、ROM及びRAMを備えるコンピュータである。
【0015】
適正度評価値算出部11は、運転者によって運転操作が実行された場合に、自車両1に設けられた走行状態取得部2が取得した検出情報に基づいて、運転操作の適正度を評価するための適正度評価値を算出する。すなわち、適正度評価値算出部11は、自車両1の加速度、加速度変動、減速度、減速度変動、車速、車速変動、操舵角変動、後退時の前後左右方向の位置・加減速度変動、及び、切り返し回数のうち1つ又は複数の走行状態に基づいて、適正度評価値を算出する。
【0016】
図2に、自車両1の車速vに基づいて算出された、自車両1の制限速度遵守の度合いに対応する適正度評価値の例を示す。なお、図2に示す例では、自車両1が走行するレーンの制限速度は、60km/hである。図2に示すように、自車両1の車速vが60km/h以下である場合は、適正度評価値算出部11は、適正度評価値を5に算出する。また、自車両1の車速vが60km/hよりも高く、70km/h以下である場合は、適正度評価値算出部11は、適正度評価値を4に算出する。また、自車両1の車速vが70km/hよりも高く、80km/h以下である場合は、適正度評価値算出部11は、適正度評価値を3に算出する。また、自車両1の車速vが80km/hよりも高く、90km/h以下である場合は、適正度評価値算出部11は、適正度評価値を2に算出する。また、自車両1の車速vが90km/hよりも高い場合は、適正度評価値算出部11は、適正度評価値を1に算出する。
また、例えば、適正度評価値算出部11は、自車両1の加速度、又は、減速度が大きい場合は、加速度、又は、減速度が小さい場合よりも、適正度評価値が低くなるように適正度評価値を算出してもよい。
【0017】
適正度評価値記憶部12は、過去の適正度評価値の履歴情報を記憶する。適正度評価値記憶部12は、過去の適正度評価値を発進日時、及び、停止日時に関連付けて記憶している。なお、自車両1が発進してから停止するまでに複数回、適正度評価値が算出された場合は、適正度評価値記憶部12は、各々の適正度評価値を時刻とともに記憶してもよく、適正度評価値の平均値、最頻値、中央値などの代表値を記憶してもよい。
【0018】
基準評価値設定部13は、適正度評価値記憶部12が記憶している過去の適正度評価値の履歴情報に基づいて、基準評価値を算出する。例えば、過去の基準評価値は、前回の運転時(自車両1が走行を開始してから終了するまでの間)の適正度評価値である。また、基準評価値設定部13は、予め設定した期間における適正度評価値の平均値、最頻値、中央値などの代表値を基準評価値として設定してもよい。また、基準評価値設定部13は、所定の回数分の適正度評価値、最頻値、中央値などの代表値を基準評価値として設定してもよい。
また、基準評価値設定部13は、目標とする運転操作に対する適正度設定値、すなわち、適正度設定値の最大値を、基準評価値として設定してもよい。
【0019】
乖離度算出部14は、適正度評価値と基準評価値との乖離度を算出する。適正度評価値と基準評価値との乖離度とは、適正度評価値と基準評価値との差分の絶対値である。例えば、図2に示す例では、基準評価値が4である場合は、適正度評価値が5であるときの乖離度は、1である。また、基準評価値が4である場合は、適正度評価値が1,2,3であるときの乖離度は、各々、3,2,1である。基準評価値が4である場合は、適正度評価値が4であるときの乖離度は、0である。
【0020】
同乗者有無判定部15は、車内カメラ4が取得した情報に基づいて、図3(a)に示すように、運転者D以外の乗員である同乗者Pの有無を判定する。同乗者Pの有無の判定は着座センサの検出結果を用いてもよい。また、同乗者有無判定部15は、図3(b)に示すように、複数人の同乗者P1,P2,P3がいると判定した場合は、同乗者P1,P2,P3の人数も取得する。図3(a)に示す例では、同乗者Pは1人である。また、図3(b)に示す例では、同乗者P1,P2,P3は3人である。
【0021】
乖離度閾値設定部16は、同乗者有無判定部15が判定した同乗者の有無に基づいて、乖離度閾値を設定する。乖離度閾値設定部16は、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合は、乖離度閾値として予め定められた第1乖離度閾値を設定する。また、自車両1に同乗者Pが乗車している場合は、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定し、乖離度閾値として、運転者Dと同乗者Pとの関係性に応じた第2乖離度閾値を設定する。乖離度閾値設定部16は、音声取得部3が取得した音声情報、及び、車内カメラ4が取得した同乗者Pの情報の少なくともいずれか一方に基づいて、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定する。また、乖離度閾値設定部16は、車内カメラ4が取得した同乗者Pの情報に基づいて、同乗者Pに子供が含まれると判定した場合は、第1乖離度閾値よりも高い第3乖離度閾値を乖離度閾値として設定する。乖離度閾値の詳細な設定方法、及び、運転者Dと同乗者Pとの関係性の詳細な推定方法については、後述する。なお、乖離度閾値設定部16は、同乗者の有無、及び、運転者Dと同乗者Pとの関係性に加えて、適正度評価値記憶部12が記憶する過去の適正度評価値に基づいて、乖離度閾値を設定する。
【0022】
乖離度判定部17は、乖離度算出部14が算出した乖離度と、乖離度閾値設定部16が設定した乖離度閾値とを比較して、乖離度が乖離度閾値以上であるか否かを判定する。具体的には、図2の表において、基準評価値が3であり、乖離度閾値が2である場合、乖離度判定部17は、適正度評価値が1、又は、5であるときに、乖離度が乖離度閾値以上であると判定し、適正度評価値が2、又は、4であるときに、乖離度が乖離度閾値よりも低いと判定する。
【0023】
出力部18は、乖離度判定部17によって乖離度が乖離度閾値以上であると判定された場合に、運転者Dによる運転操作の適正度を評価するフィードバック情報を出力する。すなわち、乖離度閾値が高い程、出力部18がフィードバック情報の出力は抑制される。結果として、フィードバック情報が出力される回数・頻度は低くなる。また、出力部18は、乖離度の大きさに応じて、出力するフィードバック情報の内容を決定する。例えば、フィードバック情報は、乖離度に応じた副詞を含んでいてもよい。たとえば、出力部18は、乖離度が4のときに「とても」、乖離度が3のときに「すごく」、乖離度が2のときに「大分」、乖離度が1のときに「少し」等、乖離度に応じた副詞をフィードバック情報に含ませる。また、出力部18は、適正度評価値が基準評価値よりも高い場合のフィードバック情報と、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合のフィードバック情報とが、異なる内容となるように、フィードバック情報の内容を設定する。例えば、出力部18は、適正度評価値が基準評価値よりも高い場合に、「いつもより良い運転です」というテキスト情報を含むフィードバック情報を設定し、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合に、「いつもより悪い運転です」というテキスト情報を含むフィードバック情報を設定してもよい。また、出力部18は、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合に、「もっと良い運転を心がけましょう」「急加速が多いので気を付けましょう」等のアドバイスを含むフィードバック情報を設定してもよい。なお、出力部18は、フィードバック情報が制限車速の遵守に関するものである場合は、自車両1が発進してから停止するまでの1つの走行区間において、自車両1が停止したときにでフィードバック情報を出力する。また、出力部18は、フィードバック情報が加速、又は、減速に関するものである場合は、リアルタイムでフィードバック情報を出力する。
【0024】
次に、図4を参照して、情報提示装置100を用いた情報提示方法の手順について、説明する。なお、図4に示す情報提示方法は、運転者Dが実行する運転操作に関する評価項目(制限車速の遵守、加速、減速、操舵、駐車など)の各々について実行される。
まず、ステップS1において、情報提示装置100の適正度評価値算出部11は、走行状態取得部2が取得した自車両1の走行状態に基づいて、運転者Dが実行する運転操作の適正度評価値を算出する。
次に、ステップS2において、情報提示装置100の乖離度算出部14は、適正度評価値と所定の基準評価値との乖離度を算出する。
【0025】
さらに次に、ステップS3において、情報提示装置100の同乗者有無判定部15は、車内カメラ4が取得した情報に基づいて、自車両1に同乗者Pが乗車しているか否かを判定する。自車両1に同乗者Pが乗車していないと判定された場合は、制御はステップS4に移り、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を予め定められた第1乖離度閾値に設定する。
【0026】
ステップS3において、自車両1に同乗者Pが乗車していると判定された場合は、制御はステップS5に移り、情報提示装置100は、車内カメラ4が取得した情報に基づいて、同乗者Pに子供が含まれるか否かを判定する。例えば、図3(a)に示す同乗者Pが子供である場合、又は、図3(b)に示す同乗者P1,P2,P3のうち、少なくともいずれか1人が子供である場合は、情報提示装置100は、同乗者Pに子供が含まれると判定する。なお、情報提示装置100は、車内カメラ4が取得した同乗者Pの外見の情報に基づいて、同乗者Pの体格から、同乗者Pに子供が含まれるか否かを判定する。また、情報提示装置100のデータベースに、年齢情報と関連付けた同乗者Pの顔認証情報が予め登録されている場合は、情報提示装置100は、顔認証によって同乗者Pに子供が含まれるか否かを判定してもよい。
【0027】
ステップS5において、同乗者Pに子供が含まれると判定された場合は、制御は、ステップS6に移り、ステップS6において、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を第1乖離度閾値よりも高い第3乖離度閾値に設定する。
【0028】
ステップS5において、同乗者Pに子供が含まれないと判定された場合は、制御は、ステップS7に移り、ステップS7において、乖離度閾値設定部16は、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定する。
さらに次に、制御は、ステップS8に移り、乖離度閾値設定部16は、運転者Dと同乗者Pとの関係性に基づいて、乖離度閾値を第2乖離度閾値に設定する。
【0029】
ステップS4,S6,S8において、乖離度閾値が設定された後、制御はステップS9に移り、乖離度判定部17は、乖離度が乖離度閾値以上であるか否かを判定する。ステップS9において、乖離度が乖離度閾値以上であると判定された場合は、制御はステップS10に移り、情報提示装置100の出力部18は、ユーザインタフェース5にフィードバック情報を出力する。また、ステップS9において、乖離度が乖離度閾値よりも低いと判定された場合は、制御は終了する。
【0030】
次に、図5を参照して、ステップS7における運転者Dと同乗者Pとの関係性の推定方法、及び、ステップS8における第2乖離度閾値の設定方法の手順について説明する。なお、図5のステップS11,S13,S14において、情報提示装置100の乖離度閾値設定部16は、運転者Dが発話する音声情報を含む運転者発話情報、及び、同乗者Pが発話する音声情報を含む同乗者発話情報を取得し、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報から抽出されるテキストに基づいて、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定する。
【0031】
まず、ステップS11において、情報提示装置100の乖離度閾値設定部16は、運転者Dと同乗者Pとが親しいか否かを判定する。具体的には、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報から抽出されるテキストに含まれる敬語表現の有無を判定する。具体的には、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報から抽出されるテキストに含まれる単語の組み合わせ及び順序を、情報提示装置100のデータベースに登録された辞書データ及び文脈データに沿って解析し、敬語表現(尊敬語、謙譲語、丁寧語)の有無を判定する。乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報に敬語表現が有り、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が有る場合は、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定する。一方、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報のいずれか一方に敬語表現が無い場合は、運転者Dと同乗者Pとが親しいと判定する。
【0032】
なお、運転者Dと同乗者Pとが親しいことを示す単語が情報提示装置100のデータベースに予め登録されており、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報のいずれか一方に、登録された単語が含まれるときに、運転者Dと同乗者Pとが親しいと判定してもよい。
【0033】
ステップS11において、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定された場合は、制御はステップS12に移り、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を、第1乖離度閾値よりも高い第2乖離度閾値に設定する。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しくない場合は、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力を抑制し、フィードバック情報の出力の回数・頻度を下げる。
【0034】
ステップS11において、運転者Dと同乗者Pとが親しいと判定された場合は、制御はステップS13に移り、運転者Dと同乗者Pとの間に上下関係が有るか否かを判定する。具体的には、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報のいずれにも敬語表現が無い場合に、運転者Dと同乗者Pとの間は上下関係が無いと判定する。一方、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報のいずれか一方に敬語表現が有る場合に、運転者Dと同乗者Pとの間には上下関係が有ると判定する。
【0035】
ステップS13において、運転者Dと同乗者Pとの間に上下関係が無いと判定された場合は、制御はステップS15に移り、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を、第1乖離度閾値と同一の値である第2乖離度閾値に設定する。すなわち、乖離度閾値設定部16は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無いと判定した場合の第2乖離度閾値は、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定した場合の2乖離度閾値よりも低くなるように、第2乖離度閾値を設定する。具体的には、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無い場合は、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合と同様のタイミングで、フィードバック情報を出力する。
【0036】
ステップS13において、運転者Dと同乗者Pとの間に上下関係が有ると判定された場合は、制御はステップS14に移り、乖離度閾値設定部16は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上(上位)であるか、又は、下(下位)であるかを判定する。具体的には、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報に敬語表現が無く、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が有る場合は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定する。一方、乖離度閾値設定部16は、運転者発話情報に敬語表現が有り、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が無い場合は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下であると判定する。
【0037】
ステップS14において、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定された場合は、制御はステップS12に移り、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を、第1乖離度閾値よりも高い第2乖離度閾値に設定する。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上である場合は、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力を抑制する。
【0038】
ステップS14において、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下であると判定された場合は、制御はステップS15に移り、乖離度閾値設定部16は、乖離度閾値を、第1乖離度閾値と同一の値である第2乖離度閾値に設定する。すなわち、乖離度閾値設定部16は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下であると判定した場合は、第2乖離度閾値を、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定した場合の第2乖離度閾値よりも低くなるように設定する。具体的には、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下である場合は、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合と同様のタイミングで、フィードバック情報を出力する。
【0039】
なお、図3(b)に示すように、自車両1に複数人の大人の同乗者P1,P2,P3が乗車している場合は、乖離度閾値設定部16は、同乗者P1,P2,P3の各々と運転者Dとの関係性を推定し、各々の関係性に基づいて設定され得る第2乖離度閾値を算出する。そして、乖離度閾値設定部16は、算出された各々の第2乖離度閾値のうち、最も高い第2乖離度閾値を乖離度閾値として設定する。例えば、同乗者P1,P2が運転者Dよりも立場が上の乗員であり、同乗者P3が運転者Dよりも立場が下の乗員である場合は、乖離度閾値設定部16は、運転者Dと同乗者P3との関係に基づき、乖離度閾値を第1乖離度閾値よりも高い第2乖離度閾値に設定する。
【0040】
また、情報提示装置100のデータベースに、同乗者Pの顔認証情報が運転者Dとの関係性と関連付けて予め登録されている場合は、乖離度閾値設定部16は、顔認証によって同乗者Pを特定し、運転者Dと同乗者Pとの関係性を判断してもよい。また、乖離度閾値設定部16は、音声認証情報に基づいて同乗者Pを特定し、運転者Dと同乗者Pとの関係性を判断してもよい。また、乖離度閾値設定部16は、運転者Dが入力した同乗者Pの情報に基づいて、運転者Dと同乗者Pとの関係性を判断してもよい。
【0041】
また、情報提示装置100は、ステップS5の処理をスキップして、ステップS3で同乗者Pがいると判定した後に、ステップS7の処理を実行してもよい。
【0042】
また、ステップS15で設定される第2乖離度閾値は、第1乖離度閾値と同一の値であることに限定されず、ステップS12で設定される第2乖離度閾値よりも低くなるように設定されていればよい。
【0043】
なお、図6に示すように、乖離度閾値設定部16は、過去の適正度評価値に基づいて、乖離度閾値を設定してもよい。なお、過去の適正度評価値は、図1に示す適正度評価値記憶部12に記憶されている過去の適正度評価値の履歴情報から取得される。過去の適正度評価値は、前回の運転時の適正度評価値であってもよく、予め設定した期間、又は、回数における適正度評価値を統計処理した値(平均値、又は、中央値)であってもよい。
【0044】
図6に示す例では、乖離度閾値設定部16は、過去の適正度評価値に関する閾値を2に設定し、過去の適正度評価値が2以下である場合の乖離度閾値(第1乖離度閾値、及び、第2乖離度閾値)を、過去の適正度評価値が2よりも大きい場合の乖離度閾値よりも1ずつ低く設定している。なお、図6に示す例では、過去の適正度評価値が2以下である場合は、運転者Dが評価対象となる運転操作を苦手としていることを示し、過去の適正度評価値が2よりも大きい場合は、運転者Dが評価対象となる運転操作を得意としていることを示している。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dが評価対象となる運転操作を苦手としている場合は、運転者Dが評価対象となる運転操作を得意としている場合よりも、フィードバック情報の出力の回数・頻度(出力処理を行うタイミング)を多くする。また、図6に示す例に限定されず、乖離度閾値設定部16は、過去の適正度評価値が閾値以下である場合の乖離度閾値を、過去の適正度評価値が閾値よりも大きい場合の乖離度閾値よりも高く設定してもよい。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dが評価対象となる運転操作を苦手としている場合は、運転者Dが評価対象となる運転操作を得意としている場合よりも、フィードバック情報の出力を抑制し、出力の回数・頻度(タイミング)を少なくしてもよい。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dの過去の適正度評価値に基づいて、乖離度閾値を設定する。
なお、上記の例において、運転者Dと同乗者Pとが親しくない場合、又は、運転者Dが同乗者Pよりも上の立場である場合には、乖離度閾値を高くしてフィードバック情報の出力を抑制するとともに、ユーザインタフェース5が「いつもと運転が違いますね」という発話を行うことにより、同乗者Pにネガティブなイメージもポジティブなイメージも与えず、運転者Dが自分で気づいて運転操作を直すことができるような伝え方をしてもよい。
【0045】
以上より、本実施形態に係る情報提示装置100は、自車両1に同乗者Pが乗車している場合は、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定し、乖離度閾値として、関係性に応じた第2乖離度閾値を設定する。そして、情報提示装置100は、乖離度が乖離度閾値以上である場合に、フィードバック情報を自車両1のユーザインタフェース5に出力する。これにより、情報提示装置100は、同乗者Pが乗車している場合は、運転者Dと同乗者Pとの関係性に応じて、適切なタイミングでフィードバック情報を出力することができる。そのため、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとの関係性に関わらずフィードバック情報を頻繁に出力することによって、車内の雰囲気が悪くなってしまうことを防止することができる。
【0046】
また、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しいか否かを判定し、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定した場合は、2乖離度閾値を第1乖離度閾値よりも高く設定する。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しくない場合は、同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力を抑制し、フィードバック情報の出力の回数・頻度を低くする。これにより、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しくない場合に、フィードバック情報の出力を控えることにより、車内の雰囲気が悪くなってしまうことを防止することができる。
【0047】
また、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しいと判定した場合は、運転者Dと同乗者Pとの間の上下関係の有無を判定する。そして、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無いと判定した場合の第2乖離度閾値は、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定した場合の2乖離度閾値よりも低くなるように、第2乖離度閾値を設定する。すなわち、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無い場合は、フィードバック情報の出力によって車内の雰囲気が悪くなってしまう可能性は低いため、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しくない場合よりもフィードバック情報が出力されやすくする(出力の回数・頻度を高くする)。これにより、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無い場合は、より多くのフィードバック情報を運転者Dに提供することができる。
【0048】
また、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無いと判定した場合の第2乖離度閾値は、第1乖離度閾値と同一の値になるように、第2乖離度閾値を設定する。これにより、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しく、かつ、上下関係が無い場合は、同乗者Pが乗車していない場合と同じ回数・頻度(タイミング)でフィードバック情報を出力することができる。
【0049】
また、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとが親しいと判定した場合は、運転者Dと同乗者Pとの間の上下関係の有無を判定し、上下関係があると判定した場合は、運転者の立場が同乗者の立場よりも上(上位)であるか、又は、下(下位)であるかを判定する。情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定した場合は、第2乖離度閾値を第1乖離度閾値よりも高く設定する。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定した場合は、同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力を抑制し、出力の回数・頻度を低くする。また、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下であると判定した場合は、第2乖離度閾値を、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上であると判定した場合の第2乖離度閾値よりも低くなるように設定する。これにより、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上である場合、例えば、同乗者Pが運転者Dの部下である場合に、フィードバック情報の出力を控えることにより、車内の雰囲気が悪くなってしまうことを防止し、運転者Dの立場を守ることができる。一方、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下である場合、例えば、同乗者Pが運転者Dの上司である場合は、フィードバック情報の出力によって車内の雰囲気が悪くなってしまう可能性は低いため、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも上である場合と比較して、フィードバック情報を出力するタイミングを多くすることができる。
【0050】
また、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下であると判定した場合は、第2乖離度閾値を第1乖離度閾値と同一の値になるように設定する。これにより、情報提示装置100は、運転者Dの立場が同乗者Pの立場よりも下である場合は、同乗者Pが乗車していない場合と同じ回数・頻度(タイミング)でフィードバック情報を出力することができる。
【0051】
また、情報提示装置100は、運転者Dが発話する音声情報を含む運転者発話情報、及び、同乗者Pが発話する音声情報を含む同乗者発話情報を取得し、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報から抽出されるテキストに含まれる敬語表現の有無を判定する。そして、情報提示装置100は、敬語表現の有無に基づいて、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定する。そして、情報提示装置100は、運転者発話情報に敬語表現が有り、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が有る場合は、運転者Dと同乗者Pとが親しくないと判定する。また、情報提示装置100は、運転者発話情報、及び、同乗者発話情報に敬語表現が無い場合は、運転者Dと同乗者Pとは親しく、かつ、上下関係が無いと判定する。また、情報提示装置100は、運転者発話情報に敬語表現が無く、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が有る場合は、運転者Dと同乗者Pとは親しく、かつ、上下関係が有り、かつ、運転者の立場が同乗者の立場よりも上であると判定する。また、情報提示装置100は、運転者発話情報に敬語表現が有り、かつ、同乗者発話情報に敬語表現が無い場合は、運転者と同乗者とは親しく、かつ、上下関係が有り、かつ、運転者の立場が同乗者の立場よりも下であると判定する。従って、情報提示装置100は、運転者Dと同乗者Pとの会話で用いられる敬語表現の有無に基づいて、運転者Dと同乗者Pとの関係性を推定することができる。
【0052】
また、情報提示装置100は、同乗者Pに子供が含まれるか否かを判定し、同乗者Pに子供が含まれる場合は、乖離度閾値として、第1乖離度閾値よりも高い第3乖離度閾値を設定する。これにより、同乗者Pに子供が含まれる場合は、情報提示装置100は、子供に不安感を与えないように、自車両1に同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力を抑制するように、乖離度閾値を設定することができる。
【0053】
また、情報提示装置100は、運転者Dの過去の適正度評価値に基づいて、乖離度閾値を設定する。これにより、情報提示装置100が、評価対象となる運転操作が得意か否かに応じて、フィードバック情報の出力の回数・頻度を変えることができる。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dの過去の適正度評価値が閾値よりも低く、運転者Dが評価対象となる運転操作を苦手としていると判断した場合は、設定された乖離度閾値をより低い値に変更し、フィードバック情報の出力のタイミングを多くすることができる。また、情報提示装置100は、運転者Dが評価対象となる運転操作を苦手としていると判断した場合は、設定された乖離度閾値をより高い値に変更し、運転者Dの気が散らないように、フィードバック情報の出力を抑制し、フィードバック情報の出力のタイミングを少なくすることもできる。
【0054】
また、情報提示装置100は、運転者Dの過去の適正度評価値に基づいて、基準評価値を設定する。これにより、情報提示装置100は、運転者Dの運転操作を過去の運転操作と比較して、適正度評価値の乖離度を算出することができる。すなわち、情報提示装置100は、運転者Dの現在の運転操作と過去の運転操作との差異を、フィードバック情報の出力の回数・頻度(タイミング)に反映させることができる。
【0055】
また、情報提示装置100は、乖離度の大きさに応じて、フィードバック情報の内容を設定する。これにより、情報提示装置100は、運転者Dの運転操作の適正度評価値と基準評価値との差異の程度を、フィードバック情報として、運転者Dに提示することができる。
【0056】
また、情報提示装置100は、適正度評価値が基準評価値よりも高い場合のフィードバック情報と、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合のフィードバック情報とが、異なる内容を含むように、フィードバック情報の内容を設定することができる。これにより、情報提示装置100は、運転者Dの運転操作の適正度評価値が基準評価値よりも高いのか、又は、低いのか、という情報を含むフィードバック情報を、運転者Dに提示することができる。具体的には、情報提示装置100は、運転者Dの運転操作の適正度評価値が基準評価値よりも高い場合は、褒めるメッセージを含むフィードバック情報を出力し、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合は、アドバイスする、又は、注意喚起するメッセージを含むフィードバック情報を出力する。
【0057】
なお、情報提示装置100の乖離度閾値設定部16が設定する第1乖離度閾値は、適正度評価値が基準評価値よりも高い場合の閾値である第1乖離度上限閾値と、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合の閾値である第1乖離度下限閾値とを含んでいてもよい。また、第2乖離度閾値は、適正度評価値が基準評価値よりも高い場合の閾値である第2乖離度上限閾値と、適正度評価値が基準評価値よりも低い場合の閾値である第2乖離度下限閾値とを含んでいてもよい。この場合は、ステップS14において、運転者Dが同乗者Pよりも上の立場であると判定された場合は、乖離度閾値設定部16は、第2乖離度上限閾値を第1乖離度上限閾値と同一の値に設定し、第2乖離度下限閾値を第1乖離度下限閾値よりも高く設定する。これにより、運転者Dが同乗者Pよりも上の立場である場合は、情報提示装置100は、適正度評価値が基準評価値よりも高いときに、同乗者Pが乗車していない場合と同様の回数・頻度でフィードバック情報を出力する。一方で、適正度評価値が基準評価値よりも低いときは、同乗者Pが乗車していない場合と比較して、フィードバック情報の出力の回数・頻度を低くする。これにより、情報提示装置100は、運転者Dよりも立場が下である同乗者Pに対し、運転者Dの運転操作に関する悪い印象を与えてしまうことを防止することができる。
【0058】
《第2実施形態》
第2実施形態に係る情報提示装置200、及び、情報提示方法について、図7,8を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1に示す符号と同一の符号は、同一の構成を示すため、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、情報提示装置200は、図1に示す情報提示装置100の構成に加えて、運転者反応記憶部21、及び、受容性判定部22を有している。また、自車両1は、入力操作部6を有している。運転者Dは、入力操作部6を操作することにより、情報提示装置100に情報、又は、指令を入力することができる。入力操作部6は、例えば、タッチパネルディスプレイ、又は、ボタンである。また、入力情報が音声情報である場合は、入力操作部6は、音声取得部3と同一の装置であってもよい。
【0059】
情報提示装置200の運転者反応記憶部21は、過去のフィードバック情報に対する運転者Dの反応の履歴情報を記憶する。運転者Dの反応の履歴情報とは、例えば、過去にユーザインタフェース5を介してフィードバック情報が提示されたときに車内カメラ4が取得した運転者Dの表情に関する情報、又は、音声取得部3が取得した発話内容に関する情報である。また、運転者Dの反応の履歴情報は、フィードバック情報が出力された後に運転者Dが運転操作を修正したか否かに関する情報を含む。また、情報提示装置200の運転者反応記憶部21は、過去のフィードバック情報に対する運転者Dの反応(表情、発話、運転操作の修正の有無)に基づいて、評価値を算出して記憶してもよい。
【0060】
また、受容性判定部22は、運転者反応記憶部21が記憶する運転者Dの反応の履歴情報に基づいて、運転者Dのフィードバック情報に対する受容性の有無を判定する。「運転者Dのフィードバック情報に対する受容性が有る」とは、運転者Dが過去の出力のタイミングにおけるフィードバック情報の提示を好む傾向にある状態をいう。また、「運転者Dのフィードバック情報に対する受容性が無い」とは、運転者Dが過去の出力のタイミングにおけるフィードバック情報の提示を好まない傾向にある状態をいう。例えば、過去にフィードバック情報が提示されたときに、運転者Dが不機嫌な表情をしたと判断された場合、又は、「分かってるよ」「うるさいな」等というネガティブな内容の発話をしたと判断された場合は、受容性判定部22は、運転者Dのフィードバック情報に対する受容性が無いと判定する。また、過去にフィードバック情報が出力された後に運転者Dが運転操作をすぐに修正したと判断された場合は、受容性判定部22は、運転者Dのフィードバック情報に対する受容性が有ると判定する。また、受容性判定部22は、過去のフィードバック情報に対する運転者Dの反応の評価値が、予め定められた閾値よりも大きい場合に受容性が有ると判定し、評価値が閾値以下である場合に受容性が無いと判定してもよい。また、受容性判定部22は、入力操作部6を介して、運転者Dが入力した情報に基づいて、運転者のフィードバック情報に対する受容性の有無を判定してもよい。
【0061】
また、乖離度閾値設定部16は、受容性判定部22が判定した受容性の有無に基づいて、乖離度閾値を設定する。具体的には、乖離度閾値設定部16は、受容性が有ると判定された場合の乖離度閾値が、受容性が無いと判定された場合の乖離度閾値よりも低くなるように、乖離度閾値を設定する。例えば、図8に示す例では、受容性が有る場合の乖離度閾値(第1乖離度閾値、及び、第2乖離度閾値)を、受容性が無い場合の乖離度閾値よりも1ずつ低く設定している。すなわち、情報提示装置200は、受容性が有る場合は、受容性が無い場合よりも多い回数・頻度(タイミング)でフィードバック情報を出力する。
【0062】
以上より、本実施形態に係る情報提示装置200は、フィードバック情報に対する運転者Dの過去の反応の履歴情報、又は、運転者Dによる入力情報に基づいて、運転者Dのフィードバック情報に対する受容性の有無を判定する。そして、情報提示装置200は、受容性が有ると判定した場合の乖離度閾値が、受容性が無いと判定した場合の乖離度閾値よりも低くなるように、乖離度閾値を設定する。これにより、情報提示装置200は、フィードバック情報に対する運転者Dの受容性(好み)に応じて、フィードバック情報の出力のタイミングを調整することができる。
【符号の説明】
【0063】
100…情報提示装置
1…自車両
5…ユーザインタフェース
11…適正度評価値算出部
14…乖離度算出部
16…乖離度閾値設定部
17…乖離度判定部
18…出力部
D…運転者
P…同乗者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8