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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133153
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220906BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032083
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】濱田 龍文
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 知博
(72)【発明者】
【氏名】満野 陽介
(72)【発明者】
【氏名】五月女 真一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮太
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER14
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR06
5F083ZA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】開口部内に半導体層を好適に形成することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、互いに離隔された複数の第1電極層を含む第1積層膜と、前記第1積層膜上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、互いに離隔された複数の第2電極層を含む第2積層膜とを備える。前記装置はさらに、前記第1積層膜、前記絶縁層、および前記第2積層膜内に順に設けられた第1絶縁膜、電荷蓄積層、第2絶縁膜、および半導体層を含み、前記第1積層膜から前記第2積層膜に向かう第1方向に沿って延びる柱状部を備える。さらに、前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第1方向と交差する第2方向に第1幅を有する第1部分と、前記第1部分よりも高い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第2幅を前記第2方向において有する第2部分とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔された複数の第1電極層を含む第1積層膜と、
前記第1積層膜上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、互いに離隔された複数の第2電極層を含む第2積層膜と、
前記第1積層膜、前記絶縁層、および前記第2積層膜内に順に設けられた第1絶縁膜、電荷蓄積層、第2絶縁膜、および半導体層を含み、前記第1積層膜から前記第2積層膜に向かう第1方向に沿って延びる柱状部とを備え、
前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第1方向と交差する第2方向に第1幅を有する第1部分と、前記第1部分よりも高い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第2幅を前記第2方向において有する第2部分とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第2部分の前記第1方向の厚さは、前記第1絶縁膜、前記電荷蓄積層、および前記第2絶縁膜の合計膜厚の2倍以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1幅は、前記第2積層膜内の前記柱状部の幅より大きい、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁層内の前記柱状部はさらに、前記第1部分よりも低い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第1積層膜内の前記柱状部の幅より大きい第3幅を有する第3部分を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3部分の前記第1方向の厚さは、前記第1絶縁膜、前記電荷蓄積層、および前記第2絶縁膜の合計膜厚の2倍以下である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1幅は、前記第1積層膜内の前記柱状部の幅より大きい、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層の外周面の幅は、前記第1、第2、および第3部分のうちの前記第1部分内で最大となる、請求項4から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層の内周面の幅は、前記第1、第2、および第3部分のうちの前記第1部分内で最大となる、請求項4から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁層は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層下に設けられた第3絶縁層とを含み、
前記第1部分の少なくとも一部は、前記第1絶縁層内に設けられており、前記第2部分の少なくとも一部は、前記第2絶縁層内に設けられており、前記第3部分の少なくとも一部は、前記第3絶縁層内に設けられている、請求項4から8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層の材料および前記第3絶縁層の材料と異なる材料で形成されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層の密度および前記第3絶縁層の密度と異なる密度を有している、請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
互いに離隔された複数の第1電極層を含む第1積層膜と、
前記第1積層膜上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、互いに離隔された複数の第2電極層を含む第2積層膜と、
前記第1積層膜、前記絶縁層、および前記第2積層膜内に順に設けられた第1絶縁膜、電荷蓄積層、第2絶縁膜、および半導体層を含み、前記第1積層膜から前記第2積層膜に向かう第1方向に沿って延びる柱状部とを備え、
前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第1方向と交差する第2方向に第4幅を有する第4部分と、前記第4部分よりも高い位置に設けられ、前記第4幅より小さくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第5幅を前記第2方向において有する第5部分とを含む、半導体装置。
【請求項13】
前記柱状部の側面は、前記第5部分にて前記第1方向に対し傾斜している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記絶縁層内の前記柱状部はさらに、前記第4部分よりも低い位置に設けられ、前記第4幅より小さくかつ前記第1積層膜内の前記柱状部の幅より大きい第6幅を有する第6部分を含む、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記柱状部の側面は、前記第6部分にて前記第1方向に対し傾斜している、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記絶縁層は、第4絶縁層と、前記第4絶縁層上に設けられた第5絶縁層と、前記第4絶縁層下に設けられた第6絶縁層とを含み、
前記第4部分の少なくとも一部は、前記第4絶縁層内に設けられており、前記第5部分の少なくとも一部は、前記第5絶縁層内に設けられており、前記第6部分の少なくとも一部は、前記第6絶縁層内に設けられている、請求項14または15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記絶縁層はさらに、前記第5絶縁層上に設けられた第7絶縁層を含み、
前記第2部分の少なくとも一部は、前記第5および第7絶縁層内に設けられている、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
互いに離隔された複数の第1層を含む第1積層膜を形成し、
前記第1積層膜上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に、互いに離隔された複数の第2層を含む第2積層膜を形成し、
前記第1積層膜、前記絶縁層、および前記第2積層膜内に、前記第1積層膜から前記第2積層膜に向かう第1方向に沿って延びる開口部を形成し、
前記開口部内に順に設けられた第1絶縁膜、電荷蓄積層、第2絶縁膜、および半導体層を含む柱状部を形成する、
ことを含み、
前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第1方向と交差する第2方向に第1幅を有する第1部分と、前記第1部分よりも高い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第2幅を前記第2方向において有する第2部分とを含むように形成される、
または、
前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第2方向に第4幅を有する第4部分と、前記第4部分よりも高い位置に設けられ、前記第4幅より小さくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第5幅を前記第2方向において有する第5部分とを含むように形成される、
半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記絶縁層内の前記柱状部はさらに、前記第1部分よりも低い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第1積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第3幅を前記第2方向において有する第3部分を含むように形成される、
または、
前記絶縁層内の前記柱状部はさらに、前記第4部分よりも低い位置に設けられ、前記第4幅より小さくかつ前記第1積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第6幅を前記第2方向において有する第6部分を含むように形成される、
請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1積層膜内の前記複数の第1層を複数の第1電極層に置き換え、前記第2積層膜内の前記複数の第2層を複数の第2電極層に置き換えることをさらに含む、請求項18または19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下部積層膜、中間膜、および上部積層膜を貫通するメモリホールを形成し、このメモリホール内にチャネル半導体層を形成する場合、中間膜内でチャネル半導体層が分断されるなどの不都合が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2019/0214405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開口部内に半導体層を好適に形成することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、互いに離隔された複数の第1電極層を含む第1積層膜と、前記第1積層膜上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、互いに離隔された複数の第2電極層を含む第2積層膜とを備える。前記装置はさらに、前記第1積層膜、前記絶縁層、および前記第2積層膜内に順に設けられた第1絶縁膜、電荷蓄積層、第2絶縁膜、および半導体層を含み、前記第1積層膜から前記第2積層膜に向かう第1方向に沿って延びる柱状部を備える。さらに、前記絶縁層内の前記柱状部は、前記第1方向と交差する第2方向に第1幅を有する第1部分と、前記第1部分よりも高い位置に設けられ、前記第1幅より大きくかつ前記第2積層膜内の前記柱状部の前記第2方向における幅より大きい第2幅を前記第2方向において有する第2部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図3】第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/5)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/5)である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/5)である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/5)である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/5)である。
図9】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/5)である。
図10】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/5)である。
図11】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/5)である。
図12】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/5)である。
図13】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/5)である。
図14】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図15】第2実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図16】第2実施形態の別の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図17】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図18】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図19】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図20】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
図21】第1実施形態の半導体装置の一例に当たる記憶装置100の構造を示す断面図である。
図22】記憶装置100の構成を示す回路図である。
図23】メモリセルアレイ70に関連する構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図23において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。図1の半導体装置は、例えば3次元型のNANDメモリである。
【0009】
図1の半導体装置は、コア絶縁膜1と、チャネル半導体層2と、トンネル絶縁膜3と、電荷蓄積層4と、ブロック絶縁膜5と、電極層6とを備えている。また、ブロック絶縁膜5は、絶縁膜5aと、絶縁膜5bとを含んでおり、電極層6は、バリアメタル層6aと、電極材層6bとを含んでいる。絶縁膜5aは、第1絶縁膜の例である。トンネル絶縁膜3は、第2絶縁膜の例である。
【0010】
図1では、基板上に複数の電極層および複数の絶縁層が交互に積層されており、これらの電極層および絶縁層内にメモリホールHが設けられている。図1は、これらの電極層のうちの1つの電極層6を示している。これらの電極層は例えば、NANDメモリのワード線として機能する。図1は、基板の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
コア絶縁膜1、チャネル半導体層2、トンネル絶縁膜3、電荷蓄積層4、および絶縁膜5aは、メモリホールH内に形成されており、NANDメモリのメモリセルを構成している。絶縁膜5aは、メモリホールH内の電極層および絶縁層の表面に形成され、電荷蓄積層4は、絶縁膜5aの表面に形成されている。電荷蓄積層4は、その外側の側面と内側の側面との間に電荷を蓄積することが可能である。トンネル絶縁膜3は、電荷蓄積層4の表面に形成され、チャネル半導体層2は、トンネル絶縁膜3の表面に形成されている。チャネル半導体層2は、メモリセルのチャネルとして機能する。コア絶縁膜1は、チャネル半導体層2内に形成されている。
【0012】
絶縁膜5aは、例えばSiO膜(シリコン酸化膜)である。電荷蓄積層4は、例えばSiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜3は例えば、SiO膜、SiON膜(シリコン酸窒化膜)、またはこれらを含む積層膜である。チャネル半導体層2は、例えばポリシリコン層である。コア絶縁膜1は、例えばSiO膜である。
【0013】
絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bは、互いに隣接する絶縁層間に形成されており、上側の絶縁層の下面と、下側の絶縁層の上面と、絶縁膜5aの側面とに順に形成されている。絶縁膜5bは例えば、Al膜(アルミニウム酸化膜)などの金属絶縁膜である。バリアメタル層6aは、例えばTiN膜(チタン窒化膜)である。電極材層6bは、例えばW(タングステン)層である。
【0014】
図1はさらに、メモリホールH内に設けられ、Z方向に延びている柱状部CLを示している。柱状部CLは、メモリホールH内に順に設けられた絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を含んでいる。図1に示すように、柱状部CLは、Z方向に延びる柱状の形状を有している。また、柱状部CL内の絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1も、Z方向に延びる柱状の形状を有している。ただし、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、およびチャネル半導体層2は、内周面と外周面とを有する管状の形状を有している。一方、コア絶縁膜1は、ここでは非管状の形状を有しているが、管状の形状を有していてもよい。なお、柱状部CLのさらなる詳細については、後述する。
【0015】
図2は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。図2は、上述の柱状部CLなどのXZ断面を示している。
【0016】
本実施形態の半導体装置は、図2に示すように、基板11と、下部積層膜12と、中間膜13と、上部積層膜14と、柱状部CLとを備えている。下部積層膜12は、第1積層膜の例である。中間膜13は、絶縁層の例である。上部積層膜14は、第2積層膜の例である。
【0017】
基板11は、上述の基板である。基板11は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
【0018】
下部積層膜12は、基板11上に交互に設けられた複数の電極層6と複数の絶縁層7とを含んでいる。よって、これらの電極層6は、これらの絶縁層7により互いに離隔されている。各電極層6は、上述のようにバリアメタル層6aと電極材層6bとを含んでいる。各絶縁層7は、例えばSiO膜である。なお、上述の絶縁膜5bの図示は、図2では省略されている。下部積層膜12は、図2では2つの電極層6と2つの絶縁層7とを含んでいるが、3つ以上の電極層6と3つ以上の絶縁層7とを含んでいてもよい。また、下部積層膜12は、基板11上に直接形成されていてもよいし、基板11上に他の膜を介して形成されていてもよい。下部積層膜12内の電極層6は、第1電極層の例である。
【0019】
中間膜13は、下部積層膜12上に順に形成された絶縁層13a、絶縁層13b、および絶縁層13cを含んでいる。絶縁層13aは、例えばSiO膜である。絶縁層13bは、例えばSiON膜である。絶縁層13cは、例えばSiO膜である。このように、本実施形態の絶縁層13bは、絶縁層13aの材料(SiO)および絶縁層13cの材料(SiO)と異なる材料(SiON)で形成されている。絶縁層13bは、第1絶縁層の例である。絶縁層13aは、第2絶縁層の例である。絶縁層13cは、第3絶縁層の例である。
【0020】
なお、本実施形態の絶縁層13bは、絶縁層13aの密度および絶縁層13cの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、絶縁層13bの密度は、絶縁層13aの密度および絶縁層13cの密度より高くてもよい。この場合、絶縁層13bの材料は、絶縁層13aの材料と絶縁層13cの材料の少なくともいずれかと同じでもよいし、絶縁層13aの材料と絶縁層13cの材料の少なくともいずれかと異なっていてもよい。これらの絶縁層13a、13b、13cのさらなる詳細については、後述する。
【0021】
上部積層膜14は、中間膜13上に交互に設けられた複数の電極層6と複数の絶縁層7とを含んでいる。よって、これらの電極層6は、これらの絶縁層7により互いに離隔されている。下部積層膜12と同様に、上部積層膜14内の各電極層6は、バリアメタル層6aと電極材層6bとを含んでおり、上部積層膜14内の各絶縁層7は、例えばSiO膜である。なお、上述の絶縁膜5bの図示は、上部積層膜14においても、図2では省略されている。上部積層膜14は、図2では2つの電極層6と2つの絶縁層7とを含んでいるが、3つ以上の電極層6と3つ以上の絶縁層7とを含んでいてもよい。下部積層膜14内の電極層6は、第2電極層の例である。
【0022】
柱状部CLは、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に設けられており、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14の積層方向、すなわち、Z方向に沿って延びている。柱状部CLは、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に順に設けられたメモリ絶縁膜8、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を含んでいる。メモリ絶縁膜8は、上述の絶縁膜5a、電荷蓄積層4、およびトンネル絶縁膜3を順に含む積層膜である。よって、柱状部CL内では、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1が、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14の側面に順に形成されている。本実施形態の柱状部CLは、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14を貫通するメモリホールH内に設けられている。上記の積層方向は、第1積層膜から第2積層膜に向かう第1方向の例である。
【0023】
メモリホールHは、下部メモリホールHLと、ジョイントホールHJと、上部メモリホールHUとを含んでいる。ジョイントホールHJは、下部メモリホールHLと上部メモリホールHUとの間に設けられており、下部メモリホールHLと上部メモリホールHUとを連結している。本実施形態のジョイントホールHJは、下部メモリホールHLや上部メモリホールHUの側面に対して放射方向に突出している。上記の放射方向は、第1方向と交差する第2方向の例である。
【0024】
同様に、柱状部CLは、下部柱状部PLと、ジョイント部PJと、上部柱状部PUとを含んでいる。ジョイント部PJは、下部柱状部PLと上部柱状部PUとの間に設けられており、下部柱状部PLと上部柱状部PUとを連結している。下部柱状部PL、ジョイント部PJ、および上部柱状部PUはそれぞれ、下部メモリホールHL、ジョイントホールHJ、および上部メモリホールHU内に設けられている。よって、本実施形態のジョイント部PJは、下部柱状部PLや上部柱状部PUの側面に対して放射方向に突出している。
【0025】
本実施形態では、下部柱状部PLが下部積層膜12内に設けられており、ジョイント部PJが中間膜13内に設けられており、上部柱状部PUが上部積層膜14内に設けられている。下部柱状部PLの一部は、中間膜13内にも設けられている。下部柱状部PLと上部柱状部PUはそれぞれ、NANDメモリのメモリセルを下部メモリホールHL内と上部メモリホールHU内に形成している。
【0026】
図2は、下部柱状部PLのX方向の幅WLと、上部柱状部PUのX方向の幅WUとを示している。具体的には、幅WLは、下部柱状部PLの上端付近の幅を示しており、幅WUは、上部柱状部PLの下端付近の幅を示している。本実施形態の柱状部CLは、いずれのXY断面においても、概ね円形の断面形状を有している。よって、本実施形態の幅WLと幅WUはそれぞれ、下部柱状部PLと上部柱状部PUの直径となっている。これは、後述する幅W1、W2、W3、Wa、Wbについても同様である。
【0027】
以下、引き続き図2を参照して、本実施形態のジョイント部PJのさらなる詳細を説明する。
【0028】
ジョイント部PJは、中間ジョイント部P1と、上部ジョイント部P2と、下部ジョイント部P3とを含んでいる。上部ジョイント部P2は、中間ジョイント部P1より高い位置に設けられており、下部ジョイント部P3は、中間ジョイント部P1より低い位置に設けられている。本実施形態では、上部ジョイント部P2や下部ジョイント部P3が、中間ジョイント部P1の側面に対して放射方向に突出している。中間ジョイント部P1、上部ジョイント部P2、下部ジョイント部P3はそれぞれ、第1部分、第2部分、第3部分の例である。
【0029】
本実施形態では、中間ジョイント部P1が絶縁層13b内に設けられており、上部ジョイント部P2が絶縁層13c内に設けられており、下部ジョイント部P3が絶縁層13a内に設けられている。上部ジョイント部P2の一部や、下部ジョイント部P3の一部は、絶縁層13b内にも設けられている。本実施形態では、上部ジョイント部P2に含まれるメモリ絶縁膜8の下面が、絶縁層13bの上面と接しており、これらの下面および上面がZ方向に対し傾斜している。同様に、下部ジョイント部P3に含まれるメモリ絶縁膜8の上面が、絶縁層13bの下面と接しており、これらの上面および下面がZ方向に対し傾斜している。
【0030】
図2は、中間ジョイント部P1のX方向の幅W1と、上部ジョイント部P2のX方向の幅W2と、下部ジョイント部P3のX方向の幅W3とを示している。具体的には、幅W2は、上部ジョイント部P2の上端付近の幅を示しており、幅W3は、下部ジョイント部P3の下端付近の幅を示している。上述のように、本実施形態のジョイント部PJは、下部柱状部PLや上部柱状部PUの側面に対して放射方向に突出している。そのため、本実施形態の幅W1、W2、W3は、幅WL、WUより大きくなっている(W1、W2、W3>WL、WU)。さらに、本実施形態の上部ジョイント部P2や下部ジョイント部P3は、中間ジョイント部P1の側面に対して放射方向に突出している。そのため、本実施形態の幅W2、W3は、幅W1より大きくなっている(W2、W3>W1)。幅W1、W2、W3はそれぞれ、第1幅、第2幅、第3幅の例である。
【0031】
本実施形態の幅W1と幅W2、W3との違いは例えば、絶縁層13bのエッチングレートと絶縁層13c、13aのエッチングレートとの違いにより生じる。これらのエッチングレートの詳細については、後述する。
【0032】
図2はさらに、上部ジョイント部P2のZ方向の厚さDUと、下部ジョイント部P3のZ方向の厚さDLと、メモリ絶縁膜8の膜厚Tを示している。具体的には、厚さDUは、中間ジョイント部P1の側面の上方における上部ジョイント部P2の厚さを示しており、厚さDLは、中間ジョイント部P1の側面の下方における下部ジョイント部P3の厚さを示している。また、膜厚Tは、上述の絶縁膜5a、電荷蓄積層4、およびトンネル絶縁膜3の合計膜厚を示している。本実施形態では、厚さDUや厚さDLが、膜厚Tの2倍以下に設定されている(DU、DL≦2T)。
【0033】
本実施形態では、幅W2と幅W3とが幅W1より大きいため、ジョイントホールHJの側面が、ジョイントホールHJの上端付近と下端付近とで放射方向に突出している。すなわち、ジョイントホールHJは、ジョイントホールHJの上端付近と下端付近とに2つの凸部を有している。よって、上部ジョイント部P2のメモリ絶縁膜8と下部ジョイント部P3のメモリ絶縁膜8が、これらの凸部内に入り込んでいる。図2に示すように、各凸部内には2枚分のメモリ絶縁膜8が入り込んでいる。本実施形態では、上部ジョイント部P2の厚さDUと下部ジョイント部P3の厚さDLが、メモリ絶縁膜8の膜厚Tの2倍以下に設定されているため、各凸部がメモリ絶縁膜8で満たされている。このように、本実施形態によれば、厚さDU(または厚さDL)を膜厚Tの2倍以下に設定することで、ジョイントホールHJの上端付近(または下端付近)の凸部をメモリ絶縁膜8で満たすことが可能となる。
【0034】
図2はさらに、チャネル半導体層2の外周面の幅Waと、チャネル半導体層2の内周面の幅Wbとを示している。上述のように、本実施形態のジョイント部PJは、下部柱状部PLや上部柱状部PUの側面に対して放射方向に突出している。よって、本実施形態の幅Wa、Wbは、下部柱状部PL内や上部柱状部PU内に比べて、ジョイント部PJ内で大きな値をとっている。これは、メモリ絶縁膜8の外周面の幅や内周面の幅についても同様である。
【0035】
ただし、メモリ絶縁膜8の外周面の幅は、中間ジョイント部P1、上部ジョイント部P2、および下部ジョイント部P3のうちの上部ジョイント部P2内または下部ジョイント部P3内で最大となっている。理由は、ジョイントホールHJの上端付近や下端付近に凸部が存在しており、メモリ絶縁膜8が凸部に入り込んでいるからである。一方、チャネル半導体層2の外周面の幅Waや内周面の幅Wbは、中間ジョイント部P1、上部ジョイント部P2、および下部ジョイント部P3のうちの中間ジョイント部P1内で最大となっている。理由は、上記の凸部がメモリ絶縁膜8で満たされており、上記の凸部にチャネル半導体層2が入り込んでいないからである。このように、本実施形態によれば、チャネル半導体層2の外周面の幅Waや内周面の幅Wbを中間ジョイント部P1内で最大とすることが可能となる。
【0036】
図3は、第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0037】
図3に示す比較例の半導体装置は、図2に示す第1実施形態の半導体装置と同様の構造を有している。ただし、本比較例の柱状部CLのジョイント部PJは、ジョイント部PJの下端から上端まで一様な幅(直径)を有している。本比較例では、ジョイント部PJの中央部分の幅W1が、ジョイント部PJの上端付近の幅W2や、ジョイント部PJの下端付近の幅W3と同じになっている(W1=W2=W3)。
【0038】
図3は、ジョイント部PJと上部柱状部PUとの境界付近のチャネル半導体層2の角部Kを示している。この境界付近では、柱状部CLの幅が幅WUから幅W1へと大きく変化するため、チャネル半導体層2の形状が角部K付近で大きく湾曲する。その結果、チャネル半導体層2が角部K付近で分断されるおそれがある。半導体装置の集積化が進み、チャネル半導体層2の膜厚がより薄くなると、このような分断がより起こりやすくなる。
【0039】
このような分断は、ジョイント部PJと下部柱状部PLとの境界付近のチャネル半導体層2の角部でも起こり得る。ただし、上部柱状部PUの下端付近の幅WUは、下部柱状部PLの上端付近の幅WLよりも小さいことが多いため(WU<WL)、このような分断は、ジョイント部PJと上部柱状部PUとの境界付近のチャネル半導体層2の角部Kでより起こりやすい。
【0040】
図2も、ジョイント部PJと上部柱状部PUとの境界付近のチャネル半導体層2の角部Kを示している。ただし、図2に示す角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲は、図3に示す角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲より緩やかになっている。理由は、ジョイントホールHJの上記凸部内にメモリ絶縁膜8が入り込むことで、チャネル半導体層2の幅Wa、Wbが角部K付近で大きく変化しないからである。その結果、チャネル半導体層2が角部K付近で分断されることが抑制される。このように、本実施形態によれば、ジョイント部PJに中間ジョイント部P1と上部ジョイント部P2とを設けることで、チャネル半導体層2が角部K付近で分断されることを抑制することが可能となる。また、本実施形態によれば、ジョイント部PJにさらに下部ジョイント部P3を設けることで、ジョイント部PJと下部柱状部PLとの境界付近の角部でチャネル半導体層2が分断されることを抑制することも可能となる。
【0041】
これらの効果は、厚さDUや厚さDLを膜厚Tの2倍以下に設定することでより大きくなる。理由は、これによりジョイントホールHJの上記凸部をメモリ絶縁膜8で満たすことが可能となり、チャネル半導体層2の湾曲をより緩やかにすることが可能となるからである。なお、上部柱状部PUの下端付近の幅WUは、下部柱状部PLの上端付近の幅WLよりも小さいことが多いため(WU<WL)、厚さDUを膜厚Tの2倍以下にするメリットは、多くの場合、厚さDLを膜厚Tの2倍以下にするメリットよりも大きい。
【0042】
図4図8は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0043】
まず、基板11上に下部積層膜12および中間膜13を順に形成する(図4(a))。ただし、図4(a)に示す下部積層膜12は、図2に示す下部積層膜12と異なり、基板11上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。これらの犠牲層9は、後述する工程で複数の電極層6に置き換えられる。一方、図4(a)に示す中間膜13は、図2に示す中間膜13と同様に、下部積層膜12上に絶縁層13a、絶縁層13b、および絶縁層13cを順に積層することで形成される。犠牲層9は、例えばSiN膜である。図4(a)では、犠牲層9同士が、絶縁層7により互いに離隔されている。犠牲層9は、第1層の例である。
【0044】
次に、中間膜13と下部積層膜12とを貫通するホールH1を、エッチングにより形成する(図4(b))。ホールH1は、後述するようにメモリホールHの一部となる。
【0045】
次に、基板11の全面にレジスト膜21を形成する(図5(a))。その結果、中間膜13の上面がレジスト膜21で覆われ、かつ、ホールH1がレジスト膜21で満たされる。
【0046】
次に、レジスト膜21の一部をエッチングにより除去する(図5(b))。その結果、中間膜13の上面からレジスト膜21が除去され、かつ、ホールH1内の一部のレジスト膜21が除去される。図5(b)に示すホールH2は、ホールH1からレジスト膜21が除去された領域である。ホールH2は、絶縁層13cの側面と、絶縁層13bの側面と、絶縁層13aの一部の側面とが露出するように形成される。
【0047】
次に、中間膜13をエッチングにより加工する(図6(a))。本実施形態では、絶縁層13a、13cは例えばSiO膜であり、絶縁層13bは例えばSiON膜である。そのため、絶縁層13bは、絶縁層13a、13cのエッチングレートと異なるエッチングレートで加工される。本実施形態では、絶縁層13bのエッチングレートが低くなり、絶縁層13a、13cのエッチングレートが高くなる。その結果、絶縁層13a、13cの側面が絶縁層13bの側面よりも速くエッチングされ、ホールH2が上述のジョイントホールHJに変化する。一方、ホールH2以外のホールH1は、上述の下部メモリホールHLとなる。
【0048】
なお、本実施形態の絶縁層13bは、絶縁層13aの材料および絶縁層13cの材料と同じ材料で形成され、かつ、絶縁層13aの密度および絶縁層13cの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、絶縁層13bの密度は、絶縁層13aの密度および絶縁層13cの密度より高くてもよい。これにより、絶縁層13a、13b、13cの材料が同じでも、絶縁層13bのエッチングレートを低くし、絶縁層13a、13cのエッチングレートを高くすることが可能となる。
【0049】
次に、基板11の全面にレジスト膜22を形成する(図6(b))。その結果、中間膜13の上面がレジスト膜22で覆われ、かつ、ホールH2がレジスト膜22で満たされる。
【0050】
次に、中間膜13の上面からレジスト膜22を除去する(図7(a))。その結果、中間膜13の上面がレジスト膜22から露出する。
【0051】
次に、中間膜13およびレジスト膜22上に上部積層膜14を形成し、上部積層膜14を貫通するホールH3をエッチングにより形成し、その後にレジスト膜22、21を除去する(図7(b))。ただし、図7(b)に示す上部積層膜14は、図2に示す上部積層膜14と異なり、中間膜13上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。これらの犠牲層9は、後述する工程で複数の電極層6に置き換えられる。上部積層膜14の犠牲層9は、下部積層膜12の犠牲層9と同様に、例えばSiN膜である。図7(b)では、上部積層膜14の犠牲層9同士が、上部積層膜14の絶縁層7により互いに離隔されている。上部積層膜14の犠牲層9は、第2層の例である。
【0052】
図7(b)に示すホールH3は、ホールH2上に形成され、上述の上部メモリホールHUとなる。このようにして、下部メモリホールHL、ジョイントホールHJ、および上部メモリホールHUを含むメモリホールHが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。メモリホールHは、開口部の例である。
【0053】
次に、メモリホールH内にメモリ絶縁膜8、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を順に形成し、その後に下部積層膜12や上部積層膜14の犠牲層9をエッチングにより除去する(図8(a))。その結果、メモリホールH内に柱状部CLが形成される。柱状部CLは、メモリホールHの側面および底面に順に形成された絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を含むように形成される。また、犠牲層9は、上部積層膜14、中間膜13、および下部積層膜12内に形成されたスリットから除去される。その結果、犠牲層9が除去された領域に凹部Cが形成される。
【0054】
図8(a)は、下部メモリホールHL内に形成された下部柱状部PLと、ジョイントホールHJ内に形成されたジョイント部PJと、上部メモリホールHU内に形成された上部柱状部PUとを示している。このようにして、下部柱状部PL、ジョイント部PJ、および上部柱状部PUを含む柱状部CLが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。図8(a)では、ジョイントホールHJ内の上記凸部がメモリ絶縁膜8で満たされている。
【0055】
次に、各凹部C内に電極層6を形成する(図8(b))。その結果、電極層6を含む下部積層膜12や上部積層膜14が基板11上に形成される。本実施形態では、各凹部C内の絶縁層7、絶縁層13、およびメモリ絶縁膜8の表面に、上述の絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bが順に形成される。このようにして、図1に示す構造の絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bが形成される。なお、絶縁膜5bの図示は、図8(b)では省略されている。
【0056】
このようにして、図2に示す半導体装置が製造される。なお、図4(a)や図7(b)の工程で犠牲層7ではなく電極層6を形成する場合には、図8(a)および図8(b)の工程で犠牲層7を電極層6に置き換える必要はない。この場合の電極層6は、第1層および第2層の例である。
【0057】
図9図13は、第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本比較例の半導体装置の製造方法の説明において、第1実施形態の半導体装置の製造方法との共通点については、その説明を適宜省略する。
【0058】
まず、基板11上に下部積層膜12および中間膜13を順に形成する(図9(a))。下部積層膜12は、基板11上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。中間膜13は、下部積層膜12上に絶縁層13bを形成することで形成される。次に、中間膜13と下部積層膜12とを貫通するホールH1を、エッチングにより形成する(図9(b))。
【0059】
次に、基板11の全面にレジスト膜21を形成する(図10(a))。その結果、ホールH1がレジスト膜21で満たされる。次に、レジスト膜21の一部をエッチングにより除去する(図10(b))。その結果、ホールH1内の一部のレジスト膜21が除去される。図10(b)に示すホールH2は、ホールH1からレジスト膜21が除去された領域である。ホールH2は、絶縁層13bの一部の側面が露出するように形成される。
【0060】
次に、中間膜13をエッチングにより加工する(図11(a))。その結果、ホールH2が上述のジョイントホールHJに変化する。一方、ホールH2以外のホールH1は、上述の下部メモリホールHLとなる。次に、基板11の全面にレジスト膜22を形成する(図11(b))。その結果、ホールH2がレジスト膜22で満たされる。
【0061】
次に、中間膜13の上面からレジスト膜22を除去する(図12(a))。その結果、中間膜13の上面がレジスト膜22から露出する。次に、中間膜13およびレジスト膜22上に上部積層膜14を形成し、上部積層膜14を貫通するホールH3をエッチングにより形成し、その後にレジスト膜22、21を除去する(図12(b))。上部積層膜14は、中間膜13上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。
【0062】
図12(b)に示すホールH3は、ホールH2上に形成され、上述の上部メモリホールHUとなる。このようにして、下部メモリホールHL、ジョイントホールHJ、および上部メモリホールHUを含むメモリホールHが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。
【0063】
次に、メモリホールH内にメモリ絶縁膜8、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を順に形成し、その後に下部積層膜12や上部積層膜14の犠牲層9をエッチングにより除去する(図13(a))。その結果、メモリホールH内に柱状部CLが形成される。犠牲層9は、上部積層膜14、中間膜13、および下部積層膜12内に形成されたスリットから除去される。その結果、犠牲層9が除去された領域に凹部Cが形成される。
【0064】
図13(a)は、下部メモリホールHL内に形成された下部柱状部PLと、ジョイントホールHJ内に形成されたジョイント部PJと、上部メモリホールHU内に形成された上部柱状部PUとを示している。このようにして、下部柱状部PL、ジョイント部PJ、および上部柱状部PUを含む柱状部CLが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。
【0065】
次に、各凹部C内に電極層6を形成する(図13(b))。その結果、電極層6を含む下部積層膜12や上部積層膜14が基板11上に形成される。このようにして、図3に示す半導体装置が製造される。
【0066】
本比較例の半導体装置の製造方法では、中間膜13が、絶縁層13bのみを含むように形成される(図9(a))。よって、本比較例のジョイントホールHJは、ジョイントホールHJの下端から上端まで一様な幅(直径)を有するように形成される(図11(a))。そのため、ジョイント部PJと上部柱状部PUとの境界付近で、チャネル半導体層2の形状が大きく湾曲する(図13(a))。その結果、チャネル半導体層2がこの角部付近で分断されるおそれがある。
【0067】
一方、第1実施形態の半導体装置の製造方法では、中間膜13が、絶縁層13a、13b、13cを順に含むように形成される(図4(a))。よって、本実施形態のジョイントホールHJは、上記凸部を含むように形成される(図6(a))。その結果、ジョイント部PJと上部柱状部PUとの境界付近で、チャネル半導体層2の形状が大きく湾曲することが抑制される(図8(a))。これにより、チャネル半導体層2がこの角部付近で分断されることを抑制することが可能となる。
【0068】
図21は、第1実施形態の半導体装置の一例に当たる記憶装置100の構造を示す断面図である。記憶装置100は例えば、NAND型不揮発性記憶装置であり、3次元配置されたメモリセルMCを含む。なお、図21では、記憶装置100の各構成要素を電気的に絶縁する絶縁層の図示を省略している。
【0069】
図21に示すように、記憶装置100は、基板10と、配線D0、D1、D2とを備える。基板10は例えば、シリコン基板であり、その上面にメモリセルMCの駆動回路DCが設けられる。配線D0、D1、D2は、基板10の上に順に積層され、例えばトランジスタなどの回路要素を電気的に接続する。配線D0は例えば、コンタクトプラグC0を介して基板10上の回路要素に接続される。配線D1は例えば、コンタクトプラグC1を介して配線D0に接続される。また、配線D2は例えば、コンタクトプラグC2を介して配線D1に接続される。基板10は、上述した基板11の一例に当たる。
【0070】
記憶装置100は、ソース線SLと、ワード線20と、選択ゲート30、40と、チャネル層50とを含む積層膜200をさらに備える。ソース線SLは、配線D2の上に設けられる。ソース線SLは例えば、X方向およびY方向に延びる板状の導電体である。ワード線20、選択ゲート30および40は、ソース線SLの上に積層される。ワード線20は、選択ゲート30と選択ゲート40との間に位置する。チャネル層50は、ワード線20、選択ゲート30および40を貫いてZ方向に延在する。チャネル層50の下端は、ソース線SLに電気的に接続される。積層膜200は、上述した下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14の一例に当たる。
【0071】
図21に示すように、ワード線20、選択ゲート30および40は、階段状に設けられた端部を有し、それぞれコンタクトプラグC3を介してM0配線に接続される。M0配線は例えば、図示しないコンタクトプラグを介して駆動回路DC中のロウデコーダに接続される。
【0072】
メモリセルMCは、ワード線20とチャネル層50とが交差する部分に設けられる。ワード線20とチャネル層50との間には、絶縁層60が設けられる。絶縁層60は、チャネル層50に沿ってZ方向に延在し、ワード線20とチャネル層50との間に位置する部分において電荷保持層として機能する。チャネル層50は、上述したチャネル半導体層2の一例に当たる。
【0073】
チャネル層50が選択ゲート30と交差する部分には、ソース側選択トランジスタSTSが設けられる。また、チャネル層50が選択ゲート40と交差する部分には、ドレイン側選択トランジスタSTDが設けられる。
【0074】
記憶装置100は、ワード線20、選択ゲート30、40およびソース線SLを貫いてZ方向に延びるコンタクトプラグC4をさらに備える。コンタクトプラグC4は例えば、ワード線20の中央部に設けられ、その下端は、配線D2に接続される。
【0075】
記憶装置100は、M1配線およびM2配線をさらに備える。M1配線は、選択ゲート40の上方に設けられ、例えば、複数のビット線BLを含む。M2配線は、M1配線の上に設けられる。
【0076】
ビット線BLは、それぞれチャネル層50の1つに電気的に接続される。さらに、ビット線BLは、図示しない部分においてM2配線に接続される。M2配線は、M1配線を介してM2配線に電気的に接続される。すなわち、ビット線BLは、例えば、M2配線およびコンタクトプラグC4を介して、駆動回路DCに設けられたセンスアンプに電気的に接続される。
【0077】
図22は、記憶装置100の構成を示す回路図である。
【0078】
図22に示すように、記憶装置100は、メモリセルアレイ70、I/O(Input/Output)制御回路71、論理制御回路72、ステータスレジスタ73、アドレスレジスタ74、コマンドレジスタ75、制御回路76、レディー/ビジー回路77、電圧生成器78、ロウデコーダ81、センスアンプ82、データレジスタ83、およびカラムデコーダ84を備えている。
【0079】
I/O制御回路71は、データ線DQ0-0~DQ7-0を介して入力信号や出力信号をコントローラ(不図示)との間で授受する。論理制御回路72は、チップイネーブル信号BCE-0、コマンドラッチイネーブル信号CLE-0、アドレスラッチイネーブル信号ALE-0、ライトイネーブル信号BWE-0、リードイネーブル信号RE-0およびBRE-0を受信し、これらの信号に応じてI/O制御回路71や制御回路76の動作を制御する。
【0080】
ステータスレジスタ73は、リード動作、ライト動作、イレース動作などのステータスを格納し、これらの動作の完了をコントローラに通知するために使用される。アドレスレジスタ74は、I/O制御回路71がコントローラから受信したアドレス信号を格納するために使用される。コマンドレジスタ75は、I/O制御回路71がコントローラから受信したコマンド信号を格納するために使用される。
【0081】
制御回路76は、コマンドレジスタ75のコマンド信号に応じて、ステータスレジスタ73、レディー/ビジー回路77、電圧生成器78、ロウデコーダ81、センスアンプ82、データレジスタ83、およびカラムデコーダ84を制御して、リード動作、ライト動作、イレース動作などを行う。
【0082】
レディー/ビジー回路77は、制御回路76の動作条件に応じて、レディー/ビジー信号RY/BBY-0をコントローラに送信する。これにより、制御回路76がコマンドを受付可能か受付不能を通知することができる。電圧生成器78は、リード動作、ライト動作、イレース動作に必要な電圧を生成する。
【0083】
ロウデコーダ81は、メモリセルアレイ70のワード線WLに電圧を印加する。センスアンプ82は、メモリセルアレイ70のビット線BLに読み出されたデータを検知する。データレジスタ83は、I/O制御回路71やセンスアンプ82からのデータを格納するために使用される。カラムデコーダ84は、カラムアドレスをデコードし、デコード結果に基づいてデータレジスタ83内のラッチ回路を選択する。ロウデコーダ81、センスアンプ82、データレジスタ83、およびカラムデコーダ84は、メモリセルアレイ70に対するリード動作、ライト動作、イレース動作のインタフェースとして機能する。
【0084】
図23は、記憶装置100内のメモリセルアレイ70に関連する構成を示すブロック図である。
【0085】
図23は、メモリセルアレイ70を構成する複数のプレーン61と、これらのプレーン61用に設けられた複数のロウデコーダ62(=81)、複数のSA/DL部63、複数のXDL部64、および複数のYLOG部65とを示している。図23はさらに、シリアル回路66と、I/O(Input/Output)回路67と、低電圧発生回路51と、高電圧発生回路52と、ロウ制御回路53と、カラム制御回路54とを示している。図23はさらに、記憶装置100に含まれるコントローラ300を示している。
【0086】
各プレーン61は、複数のメモリセル、複数のワード線WL、複数のビット線BLなどにより構成されている。各ロウデコーダ62は、ワード線WLなどの制御配線に制御電圧を印加する。このような制御電圧の例は、書き込み電圧(VPRG)、消去電圧(VERASE)、中間電圧(VPASS)、ソース電圧(VSL)などである。各SA/DL部63は、ビット線BLに読み出されたデータを検知するセンスアンプ回路およびデータラッチ回路である。各XDL部64は、SA/DL部63やI/O回路67から送信されたデータを格納するデータラッチ回路である。各YLOG部65は、カラムアドレスをデコードし、デコード結果に基づいてXDL部64内のラッチ回路を選択する。シリアル回路66は、複数のプレーン61で共用されるシリアルバス等を提供し、I/O回路67は、コントローラ300との間で入力信号や出力信号を授受する。
【0087】
低電圧発生回路51と高電圧発生回路52は、制御電圧発生回路を構成しており、制御電圧として使用される低電圧と高電圧をそれぞれ発生させる。ロウ制御回路53とカラム制御回路54はそれぞれ、各プレーン61のロウやカラムに関する制御を実施する。
【0088】
以上のように、本実施形態の柱状部CLのジョイント部PJは、中間ジョイント部P1と、中間ジョイント部P1の幅より大きい幅を有する上部ジョイント部P2とを含むように形成される。さらに、本実施形態のジョイント部PJは、中間ジョイント部P1の幅より大きい幅を有する下部ジョイント部P3を含むように形成される。よって、本実施形態によれば、ジョイント部PJ内でチャネル半導体層2が分断されることを抑制することが可能となるなど、メモリホールH内にチャネル半導体層2を好適に形成することが可能となる。
【0089】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0090】
本実施形態の半導体装置は、第1実施形態の半導体装置と同様に、基板11と、下部積層膜12と、中間膜13と、上部積層膜14と、柱状部CLとを備えている。ただし、本実施形態の中間膜13は、下部積層膜12上に順に形成された絶縁層13d、絶縁層13e、絶縁層13f、および絶縁層13gを含んでいる。絶縁層13dは、例えばSiON膜である。絶縁層13eは、例えばSiO膜である。絶縁層13fは、例えばSiON膜である。絶縁層13gは、例えば金属絶縁膜である。このように、本実施形態の絶縁層13eは、絶縁層13fの材料(SiON)、絶縁層13dの材料(SiON)、および絶縁層13gの材料(金属絶縁物)と異なる材料(SiO)で形成されている。また、本実施形態の絶縁層13gは、絶縁層13fの材料(SiON)と異なる材料(金属絶縁物)で形成されている。絶縁層13eは、第4絶縁層の例である。絶縁層13fは、第5絶縁層の例である。絶縁層13dは、第6絶縁層の例である。絶縁層13gは、第7絶縁層の例である。
【0091】
なお、本実施形態の絶縁層13eは、絶縁層13fの密度、絶縁層13dの密度、および絶縁層13gの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、本実施形態の絶縁層13eの密度は、絶縁層13fの密度、絶縁層13dの密度、および絶縁層13gの密度より低くてもよい。この場合、絶縁層13eの材料は、絶縁層13fの材料、絶縁層13dの材料、および絶縁層13gの材料の少なくともいずれかと同じでもよいし、絶縁層13fの材料、絶縁層13dの材料、および絶縁層13gの材料の少なくともいずれかと異なっていてもよい。
【0092】
また、本実施形態の絶縁層13gは、絶縁層13fの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、本実施形態の絶縁層13gの密度は、絶縁層13fの密度より高くてもよい。この場合、絶縁層13gの材料は、絶縁層13fの材料と同じでもよいし、絶縁層13fの材料と異なっていてもよい。なお、絶縁層13d、13e、13f、13gのさらなる詳細については、後述する。
【0093】
以下、引き続き図14を参照して、本実施形態のジョイント部PJのさらなる詳細を説明する。
【0094】
本実施形態において、ジョイント部PJは、中間ジョイント部P4と、上部ジョイント部P5と、下部ジョイント部P6とを含んでいる。上部ジョイント部P5は、中間ジョイント部P4より高い位置に設けられており、下部ジョイント部P6は、中間ジョイント部P4より低い位置に設けられている。本実施形態では、中間ジョイント部P4の側面が、上部ジョイント部P5の側面や下部ジョイント部P6の側面に比べて、放射方向に位置している。中間ジョイント部P4、上部ジョイント部P5、下部ジョイント部P6はそれぞれ、第4部分、第5部分、第6部分の例である。
【0095】
本実施形態では、中間ジョイント部P4が絶縁層13e内に設けられており、上部ジョイント部P5が絶縁層13f、13g内に設けられており、下部ジョイント部P6が絶縁層13d内に設けられている。本実施形態では、上部ジョイント部P5に含まれるメモリ絶縁膜8の側面が、絶縁層13fの側面と接しており、これらの側面がZ方向に対し傾斜している。同様に、下部ジョイント部P6に含まれるメモリ絶縁膜8の側面が、絶縁層13dの側面と接しており、これらの側面がZ方向に対し傾斜している。
【0096】
図14は、中間ジョイント部P4のX方向の幅W4と、上部ジョイント部P5のX方向の幅W5と、下部ジョイント部P6のX方向の幅W6とを示している。具体的には、幅W5は、上部ジョイント部P5の上端付近の幅を示しており、幅W6は、下部ジョイント部P6の下端付近の幅を示している。本実施形態のジョイント部PJは、図14に示すように、絶縁層13d、13e、13f内で、下部柱状部PLの側面や上部柱状部PUの側面に対して放射方向に突出している。そのため、本実施形態の幅W4、W6は、幅WL、WUより大きくなっているが(W4、W6>WL、WU)、本実施形態の幅W5は、幅WUと同じになっている(W5=WU)。ただし、上部ジョイント部P5の幅も、絶縁層13f内では幅WUより大きくなっている。また、本実施形態の中間ジョイント部P4の側面は、上述のように、上部ジョイント部P5の側面や下部ジョイント部P6の側面に比べて、放射方向に位置している。そのため、本実施形態の幅W5、W6は、幅W4より小さくなっている(W5、W6<W4)。幅W4、W5、W6はそれぞれ、第4幅、第5幅、第6幅の例である。
【0097】
本実施形態の幅W4と幅W5、W6との違いは例えば、絶縁層13eのエッチングレートと絶縁層13f、13d、13gのエッチングレートとの違いにより生じる。これらのエッチングレートの詳細については、後述する。
【0098】
図14は、上部ジョイント部P5内のチャネル半導体層2の角部Kを示している。本実施形態の上部ジョイント部P5では、柱状部CLの幅が、中央ジョイント部P4の幅W4から上部柱状部PUの幅WUへと緩やかに変化している。よって、本実施形態の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲は、第1実施形態の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲と同様に緩やかになっている。その結果、チャネル半導体層2が角部K付近で分断されることが抑制される。このように、本実施形態によれば、ジョイント部PJに中間ジョイント部P4と上部ジョイント部P5とを設けることで、チャネル半導体層2が角部K付近で分断されることを抑制することが可能となる。また、本実施形態によれば、ジョイント部PJにさらに下部ジョイント部P6を設けることで、ジョイント部PJと下部柱状部PLとの境界付近の角部でチャネル半導体層2が分断されることを抑制することも可能となる。
【0099】
図15は、第2実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0100】
本変形例では、上部メモリホールHUが、ジョイントホールHJに対し、X方向に位置ずれを起している。すなわち、上部メモリホールHUの中心軸が、ジョイントホールHJの中心軸上ではなく、ジョイントホールHJの中心軸よりもX方向に位置している。その結果、上部積層膜14内に上部メモリホールHUをエッチングにより形成する際に、絶縁層13の一部もこのエッチングにより除去されている。よって、本変形例の上部ジョイント部P5の平面形状は、円形から少し変形している。例えば、本変形例の上部ジョイント部P5の幅W5は、この変形により、上部柱状部PUの幅WUより大きくなっている(W5>WU)。
【0101】
本変形例の上部ジョイント部P5では、柱状部CLの幅が、幅W4から幅W5へと緩やかに変化している。よって、本変形例の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲も、第1および第2実施形態の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲と同様に緩やかになっている。その結果、本変形例のチャネル半導体層2が角部K付近で分断されることが抑制される。このようなチャネル半導体層2の分断は、ジョイント部PJと下部柱状部PLとの境界付近の角部でも抑制される。
【0102】
図16は、第2実施形態の別の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0103】
本変形例の中間膜13は、絶縁層13e、13f、13gは含んでいるが、絶縁層13dは含んでいない。よって、本変形例のジョイント部PJは、下部ジョイント部P6を含んでいない。本変形例の幅W6は、中間ジョイント部P4の下端付近の幅を示している。本変形例の幅W6は、幅W4と同じになっている(W6=W4)。
【0104】
本変形例の上部ジョイント部P5では、柱状部CLの幅が、幅W4から幅W5へと緩やかに変化している。よって、本変形例の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲も、第1および第2実施形態の角部Kにおけるチャネル半導体層2の湾曲と同様に緩やかになっている。その結果、本変形例のチャネル半導体層2が角部K付近で分断されることが抑制される。
【0105】
一方、このようなチャネル半導体層2の分断は、ジョイント部PJと下部柱状部PLとの境界付近の角部で生じるおそれがある。しかしながら、上述のように、下部柱状部PLの上端付近の幅WLは、上部柱状部PUの下端付近の幅WUよりも大きいことが多い(WL>WU)。この場合、ジョイント部PJに下部ジョイント部P6を設けなくても、この角部でもチャネル半導体層2の分断を抑制することが可能となる。
【0106】
なお、図15および図16に示す変形例は、第1実施形態の半導体装置にも適用可能である。すなわち、第1実施形態で上部メモリホールHUの位置ずれが起こってもよいし、第1実施形態のジョイント部PJに下部ジョイント部P3を設けなくてもよい。これらの場合にも、図15および図16を参照して説明した効果を得ることが可能となる。
【0107】
図17図20は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法の説明において、第1実施形態の半導体装置の製造方法との共通点については、その説明を適宜省略する。
【0108】
まず、基板11上に下部積層膜12および中間膜13を順に形成する(図17(a))。下部積層膜12は、基板11上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。中間膜13は、下部積層膜12上に絶縁層13d、絶縁層13e、絶縁層13f、および絶縁層13gを順に積層することで形成される。次に、中間膜13と下部積層膜12とを貫通するホールH4を、エッチングにより形成する(図17(b))。ホールH4は、後述するようにメモリホールHの一部となる。
【0109】
次に、基板11の全面にレジスト膜23を形成する(図18(a))。その結果、ホールH4がレジスト膜23で満たされる。次に、レジスト膜23の一部をエッチングにより除去する(図18(b))。その結果、ホールH4内の一部のレジスト膜23が除去される。図18(b)に示すホールH5は、ホールH4からレジスト膜21が除去された領域である。ホールH5は、絶縁層13gの側面と、絶縁層13fの側面と、絶縁層13eの側面と、絶縁層13dの一部の側面とが露出するように形成される。
【0110】
次に、中間膜13をエッチングにより加工する(図19(a))。本実施形態では、絶縁層13d、13fは例えばSiON膜であり、絶縁層13eは例えばSiO膜であり、絶縁層13gは例えば金属絶縁膜である。そのため、絶縁層13eは、絶縁層13d、13f、13gのエッチングレートと異なるエッチングレートで加工され、絶縁層13d、13fは、絶縁層13gのエッチングレートと異なるエッチングレートで加工される。本実施形態では、絶縁層13eのエッチングレートが高くなり、絶縁層13d、13fのエッチングレートが低くなり、絶縁層13gのエッチングレートがさらに低くなる。その結果、絶縁層13eの側面が絶縁層13d、13fの側面よりも速くエッチングされ、絶縁層13d、13fの側面が絶縁層13gの側面よりも速くエッチングされ、ホールH5が上述のジョイントホールHJに変化する。一方、ホールH5以外のホールH4は、上述の下部メモリホールHLとなる。
【0111】
なお、本実施形態の絶縁層13eは、絶縁層13dの材料および絶縁層13fの材料と同じ材料で形成され、かつ、絶縁層13dの密度および絶縁層13fの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、絶縁層13eの密度は、絶縁層13dの密度および絶縁層13fの密度より低くてもよい。これにより、絶縁層13d、13e、13fの材料が同じでも、絶縁層13eのエッチングレートを高くし、絶縁層13d、13eのエッチングレートを低くすることが可能となる。
【0112】
また、本実施形態の絶縁層13fは、絶縁層13gの材料と同じ材料で形成され、かつ、絶縁層13gの密度と異なる密度を有していてもよい。例えば、絶縁層13fの密度は、絶縁層13gの密度より低くてもよい。これにより、絶縁層13f、13gの材料が同じでも、絶縁層13fのエッチングレートを高くし、絶縁層13gのエッチングレートを低くすることが可能となる。
【0113】
次に、ホールH5を不図示のレジスト膜で満たし、中間膜13およびこのレジスト膜上に上部積層膜14を形成し、上部積層膜14を貫通するホールH6をエッチングにより形成し、その後にこのレジスト膜とレジスト膜23とを除去する(図19(b))。上部積層膜14は、中間膜13上に複数の犠牲層9と複数の絶縁層7とを交互に積層することで形成される。
【0114】
図19(b)に示すホールH6は、ホールH5上に形成され、上述の上部メモリホールHUとなる。このようにして、下部メモリホールHL、ジョイントホールHJ、および上部メモリホールHUを含むメモリホールHが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。
【0115】
次に、メモリホールH内にメモリ絶縁膜8、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を順に形成し、その後に下部積層膜12や上部積層膜14の犠牲層9をエッチングにより除去する(図20(a))。その結果、メモリホールH内に柱状部CLが形成される。犠牲層9は、上部積層膜14、中間膜13、および下部積層膜12内に形成されたスリットから除去される。その結果、犠牲層9が除去された領域に凹部Cが形成される。
【0116】
図20(a)は、下部メモリホールHL内に形成された下部柱状部PLと、ジョイントホールHJ内に形成されたジョイント部PJと、上部メモリホールHU内に形成された上部柱状部PUとを示している。このようにして、下部柱状部PL、ジョイント部PJ、および上部柱状部PUを含む柱状部CLが、下部積層膜12、中間膜13、および上部積層膜14内に形成される。
【0117】
次に、各凹部C内に電極層6を形成する(図20(b))。その結果、電極層6を含む下部積層膜12や上部積層膜14が基板11上に形成される。このようにして、図14に示す半導体装置が製造される。
【0118】
なお、図15に示す半導体装置は、図19(b)に示す工程でホールH6の位置ずれが起こった場合に製造される。また、図16に示す半導体装置は、図17(a)に示す工程で絶縁層13dの形成を省略した場合に製造される。
【0119】
以上のように、本実施形態の柱状部CLのジョイント部PJは、中間ジョイント部P4と、中間ジョイント部P4の幅より小さい幅を有する上部ジョイント部P5とを含むように形成される。さらに、本実施形態のジョイント部PJは、中間ジョイント部P4の幅より小さい幅を有する下部ジョイント部P6を含むように形成される。よって、本実施形態によれば、ジョイント部PJ内でチャネル半導体層2が分断されることを抑制することが可能となるなど、メモリホールH内にチャネル半導体層2を好適に形成することが可能となる。
【0120】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0121】
1:コア絶縁膜、2:チャネル半導体層、3:トンネル絶縁膜、
4:電荷蓄積層、5:ブロック絶縁膜、5a:絶縁膜、5b:絶縁膜、
6:電極層、6a:バリアメタル層、6b:電極材層、
7:絶縁層、8:メモリ絶縁膜、9:犠牲層、
11:基板、12:下部積層膜、13:中間膜、
13a:絶縁層、13b:絶縁層、13c:絶縁層、13d:絶縁層、
13e:絶縁層、13f:絶縁層、13g:絶縁層、14:上部積層膜、
21:レジスト膜、22:レジスト膜、23:レジスト膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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