(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133175
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ロードセル、秤、及び歪センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20220906BHJP
G01G 3/142 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G01L1/22 A
G01L1/22 H
G01G3/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032127
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖也
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕之
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049AA12
2F049BA16
2F049CA01
2F049CA07
2F049CA11
2F049DA04
(57)【要約】
【課題】使用状況に起因した測定誤差を抑制することが可能なロードセル、秤、及び歪センサを提供する。
【解決手段】ロードセルは、固定部及び荷重受け部を繋ぐとともに前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部を有した起歪体を備える。ロードセルは、前記固定部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第一歪ゲージと、前記荷重受け部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第二歪ゲージと、前記荷重受け部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第三歪ゲージとを備える。ロードセルは、前記固定部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第四歪ゲージと、前記第一歪ゲージ及び前記第三歪ゲージが直列接続された第一直列回路と、前記第二歪ゲージ及び前記第四歪ゲージが直列接続された第二直列回路とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部及び荷重受け部を繋ぐとともに、前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部を有した起歪体と、
前記固定部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第一歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第二歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第三歪ゲージと、
前記固定部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第四歪ゲージと、
前記第一歪ゲージ及び前記第三歪ゲージが直列接続された第一直列回路と、
前記第二歪ゲージ及び前記第四歪ゲージが直列接続された第二直列回路と、
を備えるロードセル。
【請求項2】
請求項1に記載のロードセルであって、
前記起歪部が弾性変形した状態において、
凸状に変形する部位の表面に前記第一歪ゲージが配置され、凸状に変形する部位の裏面に前記第四歪ゲージが配置されるとともに、
凹状に変形する部位の表面に前記第二歪ゲージが配置され、凹状に変形する部位の裏面に前記第三歪ゲージが配置された
ロードセル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロードセルであって、
前記第一歪ゲージ、前記第二歪ゲージ、前記第三歪ゲージ、前記第四歪ゲージ、前記第一直列回路、及び前記第二直列回路は、短冊状のシート体を有する歪センサに一体的に設けられ、
前記歪センサが前記起歪体の縁で折り返された状態で、前記第一歪ゲージ及び前記第二歪ゲージが前記起歪部の表面に配置されるとともに、前記第三歪ゲージ及び前記第四歪ゲージが前記起歪部の裏面に配置されている、
ロードセル。
【請求項4】
請求項3に記載のロードセルであって、
前記シート体は、合成樹脂を含んで構成される、
ロードセル。
【請求項5】
請求項3から請求項4のいずれか一項に記載のロードセルであって、
前記歪センサは、前記起歪体が取り付けられる筐体の周縁に近い位置に配置される前記起歪体の部位で折り返されている、
ロードセル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロードセルであって、
前記第一歪ゲージ、前記第二歪ゲージ、前記第三歪ゲージ、及び前記第四歪ゲージは、前記起歪部の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含む、
ロードセル。
【請求項7】
固定部及び荷重受け部を繋ぐとともに、前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部を有した起歪体と、
前記固定部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第一歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第二歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第三歪ゲージと、
前記固定部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第四歪ゲージと、
前記第一歪ゲージ、前記第二歪ゲージ、前記第三歪ゲージ、及び前記第四歪ゲージを各辺に有し、前記第一歪ゲージ及び前記第三歪ゲージが対向する辺に配置されるとともに、前記第二歪ゲージ及び前記第四歪ゲージが対向する辺に配置されたホイートストンブリッジ回路と、
を備えるロードセル。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のロードセルと、
前記ロードセルの前記固定部を支持する筐体ベースと、
前記ロードセルの前記荷重受け部で支持される載台と、
を備える秤。
【請求項9】
請求項8に記載の秤であって、
前記載台は、矩形状であり、前記ロードセルは、前記載台の四隅に配置されている、
秤。
【請求項10】
筐体ベースに支持される固定部及び載台を支持する荷重受け部を繋ぐとともに、前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部を有した起歪体に設けられる歪センサであって、
前記起歪体の縁部で折り返された状態で前記起歪部に取り付けられる短冊状のシート体と、前記シート体に設けられた歪ゲージと、を備え、
前記歪ゲージは、
前記固定部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第一歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第二歪ゲージと、
前記荷重受け部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第三歪ゲージと、
前記固定部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第四歪ゲージと、
を含み、
前記第一歪ゲージ及び前記第三歪ゲージは、第一直列回路で直列接続され、前記第三歪ゲージ及び前記第四歪ゲージは、第二直列回路で直列接続されている、
歪センサ。
【請求項11】
請求項10に記載の歪センサであって、
前記起歪部が弾性変形した状態において、
凸状に変形する部位の表面に前記第一歪ゲージが配置され、凸状に変形する部位の裏面に前記第四歪ゲージが配置されるとともに、
凹状に変形する部位の表面に前記第二歪ゲージが配置され、凹状に変形する部位の裏面に前記第三歪ゲージが配置される、
歪センサ。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の歪センサであって、
前記第二直列回路の一端に接続された第一端子と、
前記第一直列回路の他端及び前記第二直列回路の他端に接続された第二端子と、
前記第一直列回路の一端に接続された第三端子と、
を備える、
歪センサ。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の歪センサであって、
前記第一歪ゲージ、前記第二歪ゲージ、前記第三歪ゲージ、及び前記第四歪ゲージは、前記起歪部の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含む、
歪センサ。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の歪センサであって、
前記シート体は、合成樹脂を含んで構成される、
歪センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードセル、秤、及び歪センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロードセルを用いた計量装置が示されており、計量装置は、扁平に形成されている。
【0003】
ロードセルは、起歪体を備えている。起歪体には、筐体ベースに支持される固定部と載台を支持する荷重受け部との間に起歪部が設けられており、起歪部は、荷重受け部の変位に伴って弾性変形する。
【0004】
この起歪部には、複数の歪ゲージが設けられており、各歪ゲージで得られる測定値から載台に加えられた重量を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような計量装置である秤にあっては、冷やされた箇所又は暖められた箇所に秤を配置した場合や、手で秤を持った場合に、歪みゲージの測定結果に誤差が生じる。これは、外部の熱が筐体ベースや載台を介してロードセルに伝達され、起歪体の起歪部に温度勾配が生ずることが原因であることを発明者は発見した。
【0007】
この誤差は、秤の薄型化に伴って起歪体を薄くする、あるいは筐体ベース又は載台を薄くすると、顕著に表れる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能なロードセル、秤、及び歪センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様のロードセルは、固定部及び荷重受け部を繋ぐとともに、前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部を有した起歪体を備える。ロードセルは、前記固定部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第一歪ゲージと、前記荷重受け部に近接する前記起歪部の表面の部位に配置された第二歪ゲージと、前記荷重受け部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第三歪ゲージとを備える。ロードセルは、前記固定部に近接する前記起歪部の裏面の部位に配置された第四歪ゲージと、前記第一歪ゲージ及び前記第三歪ゲージが直列接続された第一直列回路と、前記第二歪ゲージ及び前記第四歪ゲージが直列接続された第二直列回路とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この態様のロードセルを用いた秤において、一例として筐体ベースから起歪体の固定部に加えられる熱は、起歪部を介して荷重受け部へ伝達される。また、一例として載台から起歪体の荷重受け部に加えられる熱は、起歪部を介して固定部へ伝達される。これにより、起歪体の起歪部には、温度勾配が生じ、固定部に近接する起歪部の部位と、荷重受け部に近接する起歪部の部位とで温度差が生ずる。
【0011】
この起歪部の固定部に近接する部位には、表面に第一歪ゲージが配置されており、裏面に第四歪ゲージが配置されている。また、起歪部の荷重受け部に近接する部位には、表面に第二歪ゲージが配置されており、裏面に第三歪ゲージが配置されている。
【0012】
ここで、暖められた箇所に秤が配置された場合、筐体ベースから起歪体の固定部に加えられた熱は、起歪部を介して荷重受け部へ伝達される。すると、第一歪ゲージ及び第四歪ゲージが配置された部位の温度は、第二歪ゲージ及び第三歪ゲージが配置された部位の温度より高くなる。
【0013】
このため、起歪部に伝達される熱が第一歪ゲージ及び第四歪ゲージの測定値に与える影響は、第二歪ゲージ及び第三歪ゲージの測定値に与える影響より大きい。
【0014】
そして、起歪部に生じた温度差が測定値に与える影響の大きい第一歪ゲージと、起歪部に生じた温度差が測定値に与える影響の小さい第三歪ゲージとは、第一直列回路を構成しているので、互いに直列接続されている。
【0015】
また、起歪部に生じた温度差が測定値に与える影響の大きい第四歪ゲージと、起歪部に生じた温度差が測定値に与える影響の小さい第二歪ゲージとは、第二直列回路で直列接続されている。これにより、第一直列回路及び第二直列回路において、どちらの回路にも同じように熱影響による誤差が生じるので、両回路における誤差は平均化される。
【0016】
このため、第一直列回路及び第二直列回路を用いることで、起歪部に生ずる温度勾配が測定値に与える影響を抑えることができる。したがって、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る秤を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る秤の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る秤の内部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る秤の筐体ベースを示す要部の拡大図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態に係る秤の筐体ベースにロードセルが取り付けられた状態を示す要部の拡大図である。
【
図6】
図6は、第一実施形態に係るロードセルを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態に係るロードセルの起歪体を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第一実施形態に係る歪センサを起歪体に取り付けた状態を示す説明図であり、歪センサの一端側が配置された起歪体の上面と歪センサの他端側が配置された起歪体の下面とを示す図である。
【
図10】
図10は、第一実施形態に係る歪センサと、歪センサに形成された回路とを示す説明図である。
【
図11】
図11は、第一実施形態に係る各ロードセルの各歪ゲージが接続されて形成されたホイートストンブリッジ回路を示す図である。
【
図12】
図12は、第二実施形態に係る歪センサの各歪ゲージで形成されたホイートストンブリッジ回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る秤10を示す斜視図である。
図2は、第一実施形態に係る秤10の分解斜視図である。
図3は、第一実施形態に係る秤10の内部を示す平面図である。
【0020】
秤10としては、重量計、体重計、クッキングスケールが挙げられ、本実施形態の秤10は、調理する材料などの重さを測るクッキングスケールを構成する。
【0021】
秤10は、
図1に示すように、長方形の板状に形成されており、秤10の長さ方向の手前側には、測定結果を表示する表示部12が設けられている。なお、本実施形態では、秤10が長方形状の場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、秤10は、正方形状であってもよい。
【0022】
秤10は、
図2に示すように、長方形状の筐体ベース14と、筐体ベース14に対して上下動可能な載台16とを備えており、秤10は、載台16に乗せられた載置物の重さを測定する。載台16は、筐体ベース14の上部に配置される補強板20と、補強板20の上部に取り付けられる樹脂カバー22と、樹脂カバー22の上面を覆うトップカバー24とを備えている。
【0023】
トップカバー24の手前側には、長方形状の開口部26が形成されており、開口部26内には、表示器28が配置されている。表示器28は、一例として液晶パネルで構成されており、この表示器28は、開口部26を閉鎖する透明のレンズ30で覆われている。
【0024】
筐体ベース14と載台16との間には、ロードセル(40、42、44、46)が設けられており、載台16は、ロードセル(40、42、44、46)によって筐体ベース14に対して上下動可能に支持されている。このロードセル(40、42、44、46)は、筐体ベース14を挿通する締結部品32によって筐体ベース14に固定されており、締結部品32は、筐体ベース14の下面に取り付けられるゴム足34によって隠蔽される。
【0025】
ロードセル(40、42、44、46)は、
図3に示すように、筐体ベース14の四隅に配置されており、ロードセル(40、42、44、46)は、第一ロードセル40と、第二ロードセル42と、第三ロードセル44と、第四ロードセル46とで構成されている。これにより、長方形状に形成された載台16は、各ロードセル40、42、44、46によって四隅が支持される。
【0026】
図4は、第一実施形態に係る秤10の筐体ベース14を示す要部の拡大図である。
図5は、第一実施形態に係る秤10の筐体ベース14にロードセル(40、42、44、46)が取り付けられた状態を示す要部の拡大図である。
【0027】
各ロードセル40、42、44、46が配置される筐体ベース14の部位には、
図4に示すように、土台部48が設けられている。土台部48は、長方形状に突出した基部50と、基部50の両端部に突出した凸部52とを備え、各凸部52には、締結部品32が挿通する挿通穴54が形成されている。
【0028】
この土台部48には、
図5に示すように、対応するロードセル(40、42、44、46)が配置されている。土台部48に配置された各ロードセル40、42、44、46は、土台部48に形成された凸部52の挿通穴54を挿通する締結部品32によって筐体ベース14に固定される(
図3参照)。
【0029】
図6は、第一実施形態に係るロードセル(40、42、44、46)を示す分解斜視図である。
図7は、第一実施形態に係るロードセル(40、42、44、46)の起歪体72を示す平面図である。
【0030】
各ロードセル40、42、44、46には、
図6に示すように、ブリッジ60が取り付けられている。ブリッジ60は、一例として、長方形状の金属板で構成されており、ブリッジ60の中央部には、上方へ向けて突出した段差部62が形成されている。段差部62には、一対の丸穴64が形成されている。
【0031】
ブリッジ60の周縁部の四隅には、カシメ部66が形成されており、ブリッジ60は、カシメ部66によって各ロードセル40、42、44、46に固定される。
【0032】
ブリッジ60の段差部62には、両面テープ68が貼着されている。両面テープ68の側縁には、U字状の切欠部70が形成されており、切欠部70は、ブリッジ60の段差部62の丸穴64を回避する位置に設けられている。両面テープ68の上面は、載台16の補強板20に貼着される。これにより、各ロードセル40、42、44、46の上部には、載台16が固定される(
図2参照)。
【0033】
(ロードセル)
各ロードセル40、42、44、46は、起歪体72と、起歪体72に設けられた歪センサ74とを備えている。
【0034】
ここで、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)とは、起歪体72と、起歪体72に設けられた各歪ゲージ120、122、124、126と、各歪ゲージ120、122、124、126を接続する後述の回路(150)とで構成されたものを指す。また、各歪ゲージ120、122、124、126及び回路(150)は、歪センサ74に設けられており、詳細については後述する。
【0035】
[起歪体]
各ロードセル40、42、44、46を構成する起歪体72は、
図7に示すように、筐体ベース14に支持される固定部80と、載台16を支持する荷重受け部82と、を備えている。また、各ロードセル40、42、44、46を構成する起歪体72は、固定部80及び荷重受け部82を繋ぐとともに荷重受け部82の下方への変位に伴って弾性変形する起歪部84を備えている。
【0036】
起歪体72は、一例として金属板で形成されており、固定部80はC字状に形成されている。固定部80の両端部には、内固定穴86が形成されており、内固定穴86には、筐体ベース14に設けられた土台部48の挿通穴54を挿通する締結部品32が固定される(
図2参照)。
【0037】
これにより、起歪体72は、固定部80が筐体ベース14の土台部48の凸部52に面接触した状態で固定され、筐体ベース14に固定される固定部80は、固定側を構成する固定部と言い換えることができる。
【0038】
荷重受け部82は、固定部80より大きなC字状に形成されており、荷重受け部82の内側に固定部80が配置されている。荷重受け部82の四隅には、外固定穴88が形成されており、外固定穴88には、載台16を支持するブリッジ60のカシメ部66が固定される。
【0039】
これにより、載台16からの荷重は、C字状の荷重受け部82の全面に渡って均等に加えられ、荷重受け部82にほぼ水平を保持した状態で上下方向に可動する。この荷重受け部82は、可動側を構成する可動部と言い換えることができる。
【0040】
荷重受け部82において、起歪部84が延出する内縁に対して逆側の外縁には、内側に後退した凹部90が形成されており、凹部90は、起歪部84の延長上に配置されている。
【0041】
固定部80の中心部と荷重受け部82の中心部とは、起歪部84で一体的に連結されており、固定部80と荷重受け部82とを連結する起歪部84は、長方形状に形成されている。
【0042】
図8は、
図7のA-A線に沿った断面図であり、載台16に加えられた荷重によって荷重受け部82が固定部80に対して下方Dへ変位した状態が示されている。
【0043】
この起歪部84は、載台16(
図2参照)からの荷重を受けて荷重受け部82が下方Dへ変位する際に、S字状に弾性変形する。
【0044】
具体的に説明すると、荷重受け部82が下方Dへ変位して起歪部84が弾性変形した状態において、
図8に示すように、起歪部84には、下方Dへ向けて突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位92が載台16を支持する荷重受け部82に近接した部位に形成される。また、起歪部84には、上方へ向けて突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位94が筐体ベース14に固定される固定部80に近接した部位に形成される。
【0045】
上方へ向けて突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位94は、凸状に変形する凸状部位を示す。下方Dへ向けて突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位92は、凹状に変形する凹状部位を示す。
【0046】
[歪センサ]
図9は、第一実施形態に係る歪センサ74を起歪体72に取り付けた状態を示す説明図であり、歪センサ74の一端側100が配置された起歪体72の上面72Aと歪センサ74の他端側102が配置された起歪体72の下面72Bとを示す図である。
図10は、第一実施形態に係る歪センサ74と、歪センサ74に形成された回路とを示す説明図である。
【0047】
ここで、起歪体72の上面72Aは、起歪体72の表面を示し、以下でも同様とする。また、起歪体72の下面72Bは、起歪体72の裏面を示し、以下でも同様とする。
【0048】
各ロードセル40、42、44、46を構成する歪センサ74は、
図5及び
図9に示すように、起歪体72の縁部で折り返された状態で起歪部84に取り付けられる短冊状のシート体110を備えている。また、各ロードセル40、42、44、46を構成する歪センサ74は、シート体110に設けられた歪ゲージ(120、122、126、124)を備えている。
【0049】
シート体110は、電子部品やプリント配線が一体的に形成されるフレキシブル基板で構成されている。シート体110は、フィルム状に形成されており、折り曲げ可能な可撓性を有する。シート体110は、合成樹脂を含んで構成されており、シート体110は、一例として、ポリイミドを含むポリイミド樹脂で構成されている。
【0050】
シート体110は、
図10に示すように、取付時に折り曲げられる折曲部112が長さ方向の中央部に設定されている。これにより、歪センサ74は、
図6に示したように、折曲部112が起歪体72の荷重受け部82の外縁に形成された凹部90の縁90Aで折り返された状態で起歪体72に取り付けられる。
【0051】
各ロードセル40、42、44、46は、
図5に示したように、歪センサ74が折り返される凹部90を有した荷重受け部82の外縁が、筐体を構成する筐体ベース14の周縁に近い位置に配置されるように設けられている。
【0052】
なお、本実施形態では、各ロードセル40、42、44、46の荷重受け部82が筐体ベース14の周縁に近い位置に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0053】
例えば、各ロードセル40、42、44、46の固定部80を筐体ベース14の周縁に近い位置に配置してもよい。この場合、歪センサ74を固定部80の縁で折り返すように構成してもよい。すなわち、歪センサ74は、固定部80及び荷重受け部82の外縁のうち筐体ベース14の周縁に近い位置の外縁で折り返されている。
【0054】
ここで、歪センサ74のシート体110の折曲部112は、筐体ベース14の周縁に近い位置に配置されていることが好ましい。すなわち、歪センサ74の折曲部112には、秤10の載台16又は筐体ベース14を介して熱が加えられ得る。また、歪センサ74の折曲部112には、秤10内部の雰囲気中に伝わった熱も加えられ得る。この場合、歪センサ74の折曲部112に加えられた熱が歪センサ74に設けられた配線部を介して、各歪ゲージ120、122、126、124に影響を与え得る。
【0055】
そこで、歪センサ74の折曲部112を、筐体ベース14の周縁に近い位置に配置する。これにより、歪センサ74の折曲部112の配線部分を筐体ベース14の周縁に近い位置に配置できるので、前述した熱の影響を緩和することができる。
【0056】
また、シート体110は、
図9及び
図10に示したように、折曲部112を境とする一端側100が起歪体72の上面72Aに配置される上面配置領域114を構成する。また、シート体110は、折曲部112を境とする他端側102が起歪体72の下面72Bに配置される下面配置領域116を構成する。
【0057】
上面配置領域114には、起歪体72の上面72Aに配置される第一歪ゲージ120と第二歪ゲージ122とが設けられている。
【0058】
第一歪ゲージ120は、
図9に示したように、上面配置領域114の一端側100に配置されており、第一歪ゲージ120は、歪センサ74が起歪体72に取り付けられた状態で、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置される。
【0059】
固定部80に近接する起歪部84の部位は、
図8に示したように、起歪部84が弾性変形した状態において、上方へ突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位94を構成し、この上方湾曲部位94の上面72Aに第一歪ゲージ120が配置される。
【0060】
第二歪ゲージ122は、
図9に示したように、上面配置領域114の他端側102に配置されており、第二歪ゲージ122は、歪センサ74が起歪体72に取り付けられた状態で、荷重受け部82に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置される。
【0061】
荷重受け部82に近接する起歪部84の部位は、
図8に示したように、起歪部84が弾性変形した状態において、下方へ突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位92を構成し、この下方湾曲部位92の上面72Aに第二歪ゲージ122が配置される。
【0062】
下面配置領域116には、起歪体72の下面72Bに配置される第四歪ゲージ124と第三歪ゲージ126とが設けられている。
【0063】
第四歪ゲージ124は、
図9に示したように、下面配置領域116の他端側102に配置されており、第四歪ゲージ124は、歪センサ74が起歪体72に取り付けられた状態で、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置される。
【0064】
固定部80に近接する起歪部84の部位は、
図8に示したように、起歪部84が弾性変形した状態において、上方へ突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位94を構成し、この上方湾曲部位94の下面72Bに第四歪ゲージ124が配置される。
【0065】
第三歪ゲージ126は、
図9に示したように、下面配置領域116の一端側100に配置されており、第三歪ゲージ126は、歪センサ74が起歪体72に取り付けられた状態で、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置される。
【0066】
荷重受け部82に近接する起歪部84の部位は、
図8に示したように、起歪部84が弾性変形した状態において、下方へ突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位92を構成し、この下方湾曲部位92の下面72Bに第三歪ゲージ126が配置される。
【0067】
各歪ゲージ120、122、124、126は、
図10に示したように、抵抗体で構成されている。各歪ゲージ120、122、124、126は、シート体110に設けられた電子部品と言い換えることができ、各歪ゲージ120、122、124、126を、歪を検出する電子部品で構成してもよい。
【0068】
各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、金属を含んで構成されており、抵抗体は、一例として金属箔で形成されている。また、抵抗体を構成する金属箔は、一例としてコンスタンタンを含んで構成されている。
【0069】
各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、複数回折り返されたプリントパターンによって形成されており、各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、伸縮に応じて電気抵抗が変化する。
【0070】
具体的に説明すると、各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、圧縮力を受けて圧縮された状態で抵抗値が小さくなる。また、各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、引張力を受けて伸ばされた状態で抵抗値が大きくなる。これにより、各歪ゲージ120、122、124、126を構成する抵抗体は、起歪部84の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する。
【0071】
第一歪ゲージ120の一端と第三歪ゲージ126の他端とは、プリント配線で接続されており、抵抗体を構成する第一歪ゲージ120と第三歪ゲージ126とは、直列接続されている。これにより、シート体110には、第一歪ゲージ120と第三歪ゲージ126とが直列接続された第一直列回路130が構成されている。
【0072】
また、第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126は、起歪部84が弾性変形した状態で引張力を受ける。これにより、第一直列回路130は、起歪部84が弾性変形した状態で引張力を受ける第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126で構成される。
【0073】
第二歪ゲージ122の一端と第四歪ゲージ124の他端とは、プリント配線で接続されており、抵抗体を構成する第二歪ゲージ122と第四歪ゲージ124とは、直列接続されている。これにより、シート体110には、第四歪ゲージ124と第二歪ゲージ122とが直列接続された第二直列回路132が構成されている。
【0074】
また、第二歪ゲージ122及び第四歪ゲージ124は、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力を受ける。これにより、第二直列回路132は、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力を受ける第二歪ゲージ122及び第四歪ゲージ124で構成される。
【0075】
この歪センサ74の他端部には、リード線134(
図9参照)がはんだ付けされるタブで構成された第一端子140と、第二端子142と、第三端子144とがシート体110に一体的に形成されている。
【0076】
第一端子140から延びるプリント配線は、第二直列回路132を構成する第四歪ゲージ124の一端に接続されており、歪センサ74は、第二直列回路132の一端に接続された第一端子140を備える。第三端子144から延びるプリント配線は、第一直列回路130を構成する第三歪ゲージ126の一端に接続されており、歪センサ74は、第二直列回路132の一端に接続された第三端子144を備える。
【0077】
第二端子142から延びるプリント配線は、第一直列回路130を構成する第二歪ゲージ122の他端及び第二直列回路132を構成する第一歪ゲージ120の他端に接続されている。これにより、歪センサ74は、第一直列回路130の他端及び第二直列回路132の他端に接続された第二端子142を備える。
【0078】
(回路構成)
図11は、第一実施形態に係る各ロードセル40、42、44、46の各歪ゲージ120、122、124、126が接続されて形成されたホイートストンブリッジ回路150を示す図である。このホイートストンブリッジ回路150は、秤10の四隅に設けられた各ロードセル40、42、44、46の歪センサ74における各歪ゲージ120、122、124、126で構成される。
【0079】
なお、
図11において、第一ロードセル40の歪センサ74、各歪ゲージ120、122、124、126、各直列回路130、132、及び各端子140、142、144の符号の末尾には「-1」を付して説明する。また、第二ロードセル42の歪センサ74及び各歪ゲージ120、122、124、126、各直列回路130、132、及び各端子140、142、144の符号の末尾には「-2」を付して説明する。
【0080】
そして、第三ロードセル44の歪センサ74及び各歪ゲージ120、122、124、126、各直列回路130、132、及び各端子140、142、144の符号の末尾には「-3」を付して説明する。また、第四ロードセル46の歪センサ74及び各歪ゲージ120、122、124、126、各直列回路130、132、及び各端子140、142、144の符号の末尾には「-4」を付して説明する。
【0081】
第一ロードセル40における歪センサ74-1の第一端子140-1は、第四ロードセル46における歪センサ74-4の第一端子140-4に接続されている。第四ロードセル46における歪センサ74-4の第三端子144-4は、第三ロードセル44における歪センサ74-3の第三端子144-3に接続されている。
【0082】
第三ロードセル44における歪センサ74-3の第一端子140-3は、第二ロードセル42における歪センサ74-2の第一端子140-2に接続されている。第二ロードセル42における歪センサ74-2の第三端子144-2は、第一ロードセル40における歪センサ74-1の第三端子144-1に接続されている。
【0083】
このホイートストンブリッジ回路150は、第一辺160と、第二辺162と、第三辺164と、第四辺166とを備える。第一辺160と第三辺164とは対向し、第二辺162と第四辺166とは対向する。
【0084】
第一辺160は、第一ロードセル40における歪センサ74-1の第一直列回路130-1と、第二ロードセル42における歪センサ74-2の第一直列回路130-2とが直列接続された回路で構成されている。これにより、第一辺160は、起歪部84が弾性変形した状態で引張力が加えられる各歪ゲージ120-1、126-1、120-2、126-2を有した第一直列回路130-1、130-2で構成される。
【0085】
第二辺162は、第二ロードセル42における歪センサ74-2の第二直列回路132-2と第三ロードセル44における歪センサ74-3の第二直列回路132-3とが直列接続された回路で構成されている。これにより、第二辺162は、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力が加えられる各歪ゲージ122-2、124-2、124-3、122-3を有した第二直列回路132-2、132-3で構成される。
【0086】
第三辺164は、第三ロードセル44における歪センサ74-3の第一直列回路130-3と第四ロードセル46における歪センサ74-4の第一直列回路130-4とが直列接続された回路で構成されている。これにより、第一辺160に対向する第三辺164は、起歪部84が弾性変形した状態で引張力が加えられる各歪ゲージ120-4、126-4、126-3、120-3を有した第一直列回路130-3、130-4で構成される。
【0087】
第四辺166は、第四ロードセル46における歪センサ74-4の第二直列回路132-4と、第一ロードセル40における歪センサ74-1の第二直列回路132-1とが直列接続された回路で構成されている。これにより、第二辺162に対向する第四辺166は、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力が加えられる各歪ゲージ122-1、124-1、124-4、122-4を有した第二直列回路132-1、132-4で構成される。
【0088】
このホイートストンブリッジ回路150において、第二ロードセル42における歪センサ74-2の第二端子142-2は、正極が印加される正極入力部170を構成する。また、第四ロードセル46における歪センサ74-4の第二端子142-4は、負極が印加される負極入力部172を構成する。
【0089】
また、ホイートストンブリッジ回路150において、第一ロードセル40における歪センサ74-1の第二端子142-1は、正極を出力する正極出力部174を構成する。また、第三ロードセル44における歪センサ74-3の第二端子142-3は、負極を出力する負極出力部176を構成する。
【0090】
そして、正極出力部174及び負極出力部176は、図示しない制御部に接続される。制御部は、正極出力部174と負極出力部176との間の電位から載台16に加えられた荷重を演算し、演算結果を表示部12に表示する。
【0091】
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0092】
本実施形態のロードセル(40、42、44、46)は、筐体ベース14に支持される固定部80及び載台16を支持する荷重受け部82を繋ぐとともに、荷重受け部82の変位に伴って弾性変形する起歪部84を備えた起歪体72を備える。また、ロードセル(40、42、44、46)は、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第一歪ゲージ120と、荷重受け部82に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第二歪ゲージ122と、を備える。さらに、ロードセル(40、42、44、46)は、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第三歪ゲージ126と、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第四歪ゲージ124と、を備える。そして、ロードセル(40、42、44、46)は、第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126が直列接続された第一直列回路130と、第四歪ゲージ124及び第二歪ゲージ122が直列接続された第二直列回路132と、を備える。
【0093】
また、本実施形態の歪センサ74は、筐体ベース14に支持される固定部80及び載台16を支持する荷重受け部82を繋ぐとともに、荷重受け部82の変位に伴って弾性変形する起歪部84を有した起歪体72に設けられる歪センサ74である。歪センサ74は、起歪体72の縁部で折り返された状態で起歪部84に取り付けられる短冊状のシート体110と、シート体110に設けられた歪ゲージ(120、122、126、124)と、を備える。歪ゲージ(120、122、126、124)は、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第一歪ゲージ120と、荷重受け部82に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第二歪ゲージ122と、を含む。また、歪ゲージ(120、122、126、124)は、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第三歪ゲージ126と、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第四歪ゲージ124と、を含む。そして、第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126は、第一直列回路130で直列接続され、第四歪ゲージ124及び第二歪ゲージ122は、第二直列回路132で直列接続されている。
【0094】
さらに、本実施形態の秤10は、ロードセル(40、42、44、46)の固定部80を支持する筐体ベース14と、ロードセル(40、42、44、46)の荷重受け部82で支持される載台16と、を備える。
【0095】
この構成のロードセル(40、42、44、46)を用いた秤10において、筐体ベース14から起歪体72の固定部80に加えられる熱は、起歪部84を介して荷重受け部82へ伝達される。また、載台16から起歪体72の荷重受け部82に加えられる熱は、起歪部84を介して固定部80へ伝達される。これにより、起歪体72の起歪部84には、温度勾配が生じ、固定部80に近接する起歪部84の部位と、荷重受け部82に近接する起歪部84の部位とで温度差が生ずる。
【0096】
この起歪部84の固定部80に近接する部位には、上面72Aに第一歪ゲージ120が配置されており、下面72Bに第四歪ゲージ124が配置されている。また、起歪部84の荷重受け部82に近接する部位には、上面72Aに第二歪ゲージ122が配置されており、下面72Bに第三歪ゲージ126が配置されている。
【0097】
ここで、暖められた箇所に秤10が配置された場合、
図9に示したように、筐体ベース14から起歪体72の固定部80に加えられる熱は、起歪部84を介して荷重受け部82へ伝達される。これにより、起歪部84には、固定部80から荷重受け部82へ向けて熱が伝達される伝熱経路190が形成される。
【0098】
このため、第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124が配置された部位の温度は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126が配置された部位の温度より高くなる。これにより、起歪部84に伝達される熱が第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124の測定値に与える影響は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126の測定値に与える影響より大きい。
【0099】
そして、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が大きい第一歪ゲージ120と、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が小さい第三歪ゲージ126とは、第一直列回路130で直列接続されている。
【0100】
また、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が大きい第四歪ゲージ124と、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が小さい第二歪ゲージ122とは、第二直列回路132で直列接続されている。これにより、第一直列回路130及び第二直列回路132において、どちらの回路にも同じように熱影響による誤差が生じるので、両回路における誤差は平均化される。
【0101】
このため、第一直列回路130及び第二直列回路132を用いることで、起歪部84に生ずる温度勾配が測定値に与える影響を抑えることができる。したがって、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【0102】
具体的に説明すると、各歪センサ74の各直列回路130、132によってホイートストンブリッジ回路150が形成されている。このため、抵抗値の上昇が大きく表れる各歪ゲージ120、124と、抵抗値の上昇が小さく表れる各歪ゲージ122、126とを、ホイートストンブリッジ回路150の各辺160、162、164、166にバランス良く配置することができる。
【0103】
これにより、隣接する各辺160、162、164、166の抵抗値のバランスを保つことができるので、起歪部84に生ずる温度勾配が測定値に与える影響を抑えることができ、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)は、起歪部84が弾性変形した状態において、上方へ突出した湾曲状に変形する部位の上面72Aに第一歪ゲージ120が配置されている。また、ロードセル(40、42、44、46)は、起歪部84が弾性変形した状態において、上方へ突出した湾曲状に変形する部位の下面72Bに第四歪ゲージ124が配置されている。
【0105】
さらに、ロードセル(40、42、44、46)は、起歪部84が弾性変形した状態において、下方へ突出した湾曲状に変形する部位の上面72Aに第二歪ゲージ122が配置されている。また、ロードセル(40、42、44、46)は、起歪部84が弾性変形した状態において、下方へ突出した湾曲状に変形する部位の下面72Bに第三歪ゲージ126が配置されている。
【0106】
また、本実施形態の歪センサ74は、起歪部84が弾性変形した状態において、上方へ突出した湾曲状に変形する部位の上面72Aに第一歪ゲージ120が配置され、上方へ突出した湾曲状に変形する部位の下面72Bに第四歪ゲージ124が配置される。また、下方へ突出した湾曲状に変形する部位の上面72Aに第二歪ゲージ122が配置され、下方へ突出した湾曲状に変形する部位の下面72Bに第三歪ゲージ126が配置される。
【0107】
この構成によれば、起歪部84が弾性変形した状態において、引張力が加えられる第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126によって第一直列回路130が形成される。また、起歪部84が弾性変形した状態において、圧縮力が加えられる第四歪ゲージ124及び第二歪ゲージ122によって第二直列回路132が形成される。
【0108】
このため、起歪部84に生じた温度差に起因する影響を抑えつつ、弾性変形した起歪部84に生ずる引張力から得られた測定値を第一直列回路130で得ることができる。起歪部84に生じた温度差に起因する影響を抑えつつ、弾性変形した起歪部84に生ずる圧縮力から得られた測定値を第二直列回路132で得ることができる。
【0109】
これにより、測定精度の向上が可能となる。
【0110】
また、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)は、短冊状のシート体110を有する歪センサ74を備える。歪センサ74には、第一歪ゲージ120、第二歪ゲージ122、第四歪ゲージ124、第三歪ゲージ126、第一直列回路130、及び第二直列回路132が一体的に設けられている。
【0111】
また、歪センサ74が起歪体72の縁90Aで折り返された状態で、第一歪ゲージ120及び第二歪ゲージ122が起歪部84の上面72Aに配置されるとともに、第四歪ゲージ124及び第三歪ゲージ126が起歪部84の下面72Bに配置されている。
【0112】
この構成によれば、歪センサ74を起歪体72の縁90Aで折り返して起歪体72に取り付けることで、第一歪ゲージ120及び第二歪ゲージ122を、起歪部84の上面72Aに配置することができる。また、第四歪ゲージ124及び第三歪ゲージ126を、起歪部84の下面72Bに配置することができる。これにより、各ロードセル40、42、44、46の組み立て容易性が向上する。
【0113】
また、各歪ゲージ120、122、126、124及び各直列回路130、132は、歪センサ74に一体的に設けられている。このため、各歪ゲージ120、122、126、124のそれぞれが独立する場合と比較して、部品の管理コストを抑制することができる。
【0114】
また、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)において、シート体110は、合成樹脂を含んで構成される。
【0115】
このような構成において、合成樹脂製のシート体110は、各歪ゲージ120、122、126、124と線膨張係数が異なる。このため、起歪体72に熱が加えられた場合、歪センサ74のシート体110の膨張率と、シート体110に一体的に設けられた各歪ゲージ120、122、126、124の膨張率とが異なり、その膨張率の差により歪みが生じ、測定値への影響が大きくなり得る。
【0116】
しかし、本実施形態では、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響を抑制することができる。このため、各歪ゲージ120、122、126、124とシート体110との線膨張係数が異なる場合であっても、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【0117】
さらに、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)において、シート体110は、ポリイミドを含んで構成される。
【0118】
このような構成において、歪センサ74を、シート体110がポリイミドで構成されたフレキシブル基板で構成することが可能となる。これにより、生産コストを抑制することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)において、歪センサ74は、起歪体72が取り付けられる筐体の周縁に近い位置に配置される起歪体72の縁で折り返されている。
【0120】
このような構成において、具体的には荷重受け部82の縁90Aが筐体ベース14の周縁に近い位置に配置されるように各ロードセル40、42、44、46を設ける。そして、歪センサ74の端部より延出するリード線134を筐体ベース14の内側に延ばす。これにより、一例として、筐体ベース14の中央部に配置される制御基板への配線が容易となる。
【0121】
また、歪センサ74を、載台16と共に可動する荷重受け部82の縁90Aで折り返すことで、リード線134の取り付け位置が起歪体72の可動側となることを回避する。これに対して、可動する荷重受け部82側にリード線134が配線されると、リード線134にテンションが生じたり、リード線134が筐体ベース14に物理的に接触したりする可能性がある。この場合、荷重検出に影響が生じ得る。
【0122】
そこで、本実施形態では、可動しない固定部80側からリード線134を引き出すことで、荷重検出への影響を抑制することが可能となる。
【0123】
また、歪センサ74を、筐体ベース14の周縁に近い位置に配置される荷重受け部82の縁90Aで折り返す。そして、歪センサ74の折曲部112を筐体ベース14の周縁に近い位置に配置した。これにより、歪センサ74の折曲部112の配線部に熱が加えられないように、折曲部112の配線部を秤10の中心からできるだけ遠ざけている。
【0124】
すなわち、秤10において、使用時に熱が加えられる場所としては、載台16の中央部分が挙げられる。載台16の中央部に加えられた熱は、載台16を通じて伝達されるとともに、秤10内部の雰囲気にも伝達される。
【0125】
ここで、歪センサ74の折曲部112は、起歪体72から浮きが生じ得る。この浮き部分は、雰囲気中の熱伝達の影響を受けやすい。
【0126】
そこで、本実施形態では、起歪体72から浮きが生じ得る歪センサ74の折曲部112を筐体ベース14の周縁に近い位置に配置することで、折曲部112に加えられる熱を抑制する。これにより、雰囲気中の熱が荷重検出に与える影響を抑制することが可能となる。
【0127】
また、本実施形態のロードセル(40、42、44、46)において、第一歪ゲージ120、第二歪ゲージ122、第四歪ゲージ124、及び第三歪ゲージ126は、起歪部84の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含む。
【0128】
このような構成において、各歪ゲージ120、122、126、124が受けた引張力又は圧縮力の大きさを、抵抗値の変化として取得することが可能となる。
【0129】
また、本実施形態のロードセルにおいて、抵抗体は、金属を含む。
【0130】
このような構成において、例えば金属を含んだプリントパターンで抵抗体を形成することで、各歪センサを構成することが可能となる。
【0131】
ここで、線膨張係数が異なるシート体110と各歪ゲージ120、122、126、124とにおいて、シート体110の膨張率が各歪ゲージ120、122、126、124の膨張率より大きい場合を例に挙げて説明する。
【0132】
この場合、伝熱経路190の上流側に設けられた第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124は、伝熱経路190の下流側に設けられた第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126と比較して、熱膨張したシート体110で大きく引っ張られる。これにより、第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126と比較して、抵抗値が高くなる。
【0133】
また、各歪ゲージ120、122、126、124を構成する金属は、熱が加わると抵抗値が高くなる。このため、伝熱経路190の上流側に設けられた第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124は、伝熱経路190の下流側に設けられた第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126と比較して、熱による抵抗値の変化が大きく表れる。
【0134】
これらによって、第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126と比較して、抵抗値が総合的に高くなる。
【0135】
しかし、本実施形態では、前述した構成によって、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響を抑制することができる。このため、各歪ゲージ120、122、126、124とシート体110との線膨張係数が異なる場合であっても、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【0136】
そして、本実施形態の秤10において、載台16は、矩形状であり、ロードセル(40、42、44、46)は、載台16の四隅に配置されている。
【0137】
このような構成では、載台16の四隅に配置された各ロードセル40、42、44、46の歪センサ74を用いて測定を行なうことができる。これにより、測定精度の向上が可能となる。
【0138】
また、本実施形態の歪センサ74において、第二直列回路132の一端に接続された第一端子140と、第一直列回路130の他端及び第二直列回路132の他端に接続された第二端子142と、第一直列回路130の一端に接続された第三端子144と、を備える。
【0139】
このような構成では、第一直列回路130の他端と第二直列回路132の他端とを配線で接続する必要が無いので、配線作業が容易となる。
【0140】
なお、本実施形態では、載台16の四隅をそれぞれ支持する各ロードセル40、42、44、46を備えた秤10について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、載台16を筐体ベース14に支持するロードセル(40、42、44、46)は、次に示す実施形態のように、一つであってもよい。
【0141】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る秤10は、載台16が第一ロードセル40のみによって筐体ベース14に支持されており、第一ロードセル40の歪センサ74のみによってホイートストンブリッジ回路200(
図12参照)が形成されている点で第一実施形態と異なる。この第二実施形態について、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0142】
第一ロードセル40は、
図5に示したように、起歪体72を備えている。起歪体72は、
図7に示したように、筐体ベース14に支持される固定部80と、載台16を支持する荷重受け部82と、固定部80及び荷重受け部82を繋ぐとともに荷重受け部82の下方への変位に伴って弾性変形する起歪部84とを有する。
【0143】
起歪体72には、
図5に示したように、歪センサ74が設けられており、歪センサ74は、
図9に示したように、第一歪ゲージ120と、第二歪ゲージ122と、第三歪ゲージ126と、第四歪ゲージ124とが設けられている。
【0144】
歪センサ74を起歪体72に取り付けた取付状態において、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位には、第一歪ゲージ120が配置され、荷重受け部82に近接する起歪部84の上面72Aの部位には、第二歪ゲージ122が配置される。また、取付状態において、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位には、第三歪ゲージ126が配置され、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位には、第四歪ゲージ124が配置される。
【0145】
そして、第一歪ゲージ120、第二歪ゲージ122、第四歪ゲージ124、及び第三歪ゲージ126によって測定結果を取得するためのホイートストンブリッジ回路200(
図12参照)が形成される。
【0146】
図12は、第二実施形態に係る歪センサ74の各歪ゲージ120、122、124、126で形成されたホイートストンブリッジ回路200を示す図である。このホイートストンブリッジ回路200は、第一ロードセル40に設けられた歪センサ74の各歪ゲージ120、122、126、124によって形成されている。
【0147】
このホイートストンブリッジ回路200は、第一歪ゲージ120、第二歪ゲージ122、第四歪ゲージ124、及び第三歪ゲージ126を各辺に有している。第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126は、対向する辺210、214に配置されており、第四歪ゲージ124及び第二歪ゲージ122は、対向する辺212、216に配置されている。
【0148】
具体的に説明すると、ホイートストンブリッジ回路200の第一辺210は、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第一歪ゲージ120で構成されている。この第一歪ゲージ120には、起歪部84が弾性変形した状態で、引張力が加えられる。
【0149】
ホイートストンブリッジ回路200の第二辺212は、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第四歪ゲージ124で構成されており、第四歪ゲージ124には、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力が加えられる。
【0150】
ホイートストンブリッジ回路200の第三辺は214、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第三歪ゲージ126で構成されており、第三歪ゲージ126には、起歪部84が弾性変形した状態で引張力が加えられる。
【0151】
ホイートストンブリッジ回路200の第四辺216は、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第二歪ゲージ122で構成されており、第二歪ゲージ122には、起歪部84が弾性変形した状態で圧縮力が加えられる。
【0152】
このホイートストンブリッジ回路200の第一辺210と第四辺216との接続部は、正極を出力する正極出力部174を構成し、第二辺212と第三辺214との接続部は、負極を出力する負極出力部176を構成する。また、第一辺210と第二辺212との接続部は、正極を入力する正極入力部170を構成し、第三辺214と第四辺216との接続部は、負極を入力する負極入力部172を構成する。
【0153】
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0154】
本実施形態のロードセル(40)は、筐体ベース14に支持される固定部80及び載台16を支持する荷重受け部82を繋ぐとともに、荷重受け部82の変位に伴って弾性変形する起歪部84を有した起歪体72を備える。
【0155】
また、ロードセル(40)は、固定部80に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第一歪ゲージ120と、荷重受け部82に近接する起歪部84の上面72Aの部位に配置された第二歪ゲージ122と、を備える。さらに、ロードセル(40)は、荷重受け部82に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第三歪ゲージ126と、固定部80に近接する起歪部84の下面72Bの部位に配置された第四歪ゲージ124と、を備える。
【0156】
そして、ロードセル(40)は、第一歪ゲージ120、第二歪ゲージ122、第四歪ゲージ124、及び第三歪ゲージ126を各辺210、212、214、216に有したホイートストンブリッジ回路200を備える。ホイートストンブリッジ回路200は、第一歪ゲージ120及び第三歪ゲージ126が対向する辺210、214に配置されるとともに、第四歪ゲージ124及び第二歪ゲージ122が対向する辺212、216に配置されている。
【0157】
この構成のロードセル(40)を用いた秤10において、筐体ベース14から起歪体72の固定部80に加えられる熱は、起歪部84を介して荷重受け部82へ伝達される。また、載台16から起歪体72の荷重受け部82に加えられる熱は、起歪部84を介して固定部80へ伝達される。これにより、起歪体72の起歪部84には、温度勾配が生じ、固定部80に近接する起歪部84の部位と、荷重受け部82に近接する起歪部84の部位とで温度差が生ずる。
【0158】
この起歪部84の固定部80に近接する部位には、上面72Aに第一歪ゲージ120が配置されており、下面72Bに第四歪ゲージ124が配置されている。また、起歪部84の荷重受け部82に近接する部位には、上面72Aに第二歪ゲージ122が配置されており、下面72Bに第三歪ゲージ126が配置されている。
【0159】
ここで、暖められた箇所に秤10が配置された場合、筐体ベース14から起歪体72の固定部80に加えられる熱は、起歪部84を介して荷重受け部82へ伝達される。これにより、第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124が配置された部位の温度は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126が配置された部位の温度より高くなる。
【0160】
このため、起歪部84に伝達される熱が第一歪ゲージ120及び第四歪ゲージ124の測定値に与える影響は、第二歪ゲージ122及び第三歪ゲージ126の測定値に与える影響より大きい。
【0161】
そして、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が大きい第一歪ゲージ120は、ホイートストンブリッジ回路200の第一辺210に設けられている。また、第一辺210に対向する第三辺214は、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が小さい第三歪ゲージ126で構成されている。
【0162】
このため、温度差による影響が大きく表れる第一歪ゲージ120で構成された第一辺210と、温度差による影響が小さく表れる第三歪ゲージ126で構成された第三辺214と組み合わせによって、出力に表れる影響が抑制される。
【0163】
また、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が大きい第四歪ゲージ124は、ホイートストンブリッジ回路200の第二辺212に設けられている。また、第二辺212に対向する第四辺216は、起歪部84に生じた温度差が測定値に与える影響が小さい第二歪ゲージ122で構成されている。
【0164】
このため、温度差による影響が大きく表れる第四歪ゲージ124で構成された第二辺212と、温度差による影響が小さく表れる第二歪ゲージ122で構成された第四辺216と組み合わせによって、出力に表れる影響が抑制される。
【0165】
このように、前述したホイートストンブリッジ回路200を用いることで、起歪部84に生ずる温度勾配が測定値に与える影響を抑えることができる。したがって、使用状況に起因する測定結果への影響を抑制することが可能となる。
【0166】
そして、本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0167】
10 秤
14 筐体ベース
16 載台
40 第一ロードセル
42 第二ロードセル
44 第三ロードセル
46 第四ロードセル
72 起歪体
72A 上面(表面)
72B 下面(裏面)
74 歪センサ
80 固定部
82 荷重受け部
84 起歪部
90A 縁
92 下方湾曲部位
94 上方湾曲部位
100 一端側
102 他端側
110 シート体
120 第一歪ゲージ
122 第二歪ゲージ
124 第四歪ゲージ
126 第三歪ゲージ
130 第一直列回路
132 第二直列回路
140 第一端子
142 第二端子
144 第三端子
150、200 ホイートストンブリッジ回路
210 第一辺
212 第二辺
214 第三辺
216 第四辺