(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133201
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20220906BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B60C11/03 300E
B60C11/12 A
B60C11/03 300B
B60C11/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032170
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 眞由子
(72)【発明者】
【氏名】山田 快
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB11
3D131BC12
3D131BC13
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3D131EC13V
3D131EC13W
3D131EC13X
3D131EC14V
3D131EC14W
3D131EC14X
(57)【要約】
【課題】トラクション性能を向上できる、空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】この発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面1に、2本以上の主溝3と、2本以上の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対のアウター主溝31に対してタイヤ幅方向内側に隣接する一対のミドルブロック列22と、を備えた、空気入りタイヤであって、各ミドルブロック列は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のミドルブロック220を有しており、複数のミドルブロックのうち1つ又は複数の第1ミドルブロックは、アウター主溝に面するとともに、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ミドルブロック傾斜側壁面223を有しており、ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面の法線に対する、ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度θ223は、30°~50°である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド踏面に、
2本以上の主溝と、
前記2本以上の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対のアウター主溝に対してタイヤ幅方向内側に隣接する一対のミドルブロック列と、
を備えた、空気入りタイヤであって、
各前記ミドルブロック列は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のミドルブロックを有しており、
前記複数のミドルブロックのうち1つ又は複数の第1ミドルブロックは、前記アウター主溝に面するとともに、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ミドルブロック傾斜側壁面を有しており、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、30°~50°である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記複数のミドルブロックのうち1つ又は複数の第2ミドルブロックは、前記アウター主溝に面する、ミドルブロック垂直側壁面を有しており、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック垂直側壁面の鋭角側の角度よりも大きく、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向外側端は、前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向外側に位置している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、5°~25°である、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ミドルブロック傾斜側壁面は、ミドルブロック凹部を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ミドルブロック傾斜側壁面は、中折れサイプを有しており、
前記中折れサイプは、前記ミドルブロック傾斜側壁面上における前記中折れサイプの延在途中に、屈曲部を有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記トレッド踏面の展開視において、前記中折れサイプのうち、前記屈曲部から前記中折れサイプのタイヤ幅方向外側端までの部分は、前記中折れサイプに最も近接するラグ溝である近接ラグ溝に対して略平行である、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記近接ラグ溝は、タイヤ幅方向に対する鋭角側の角度が、20°~50°である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記トレッド踏面において、各前記第1ミドルブロックと各前記第2ミドルブロックとは、互いに異なる形状をなしており、
前記トレッド踏面において、各前記第1ミドルブロックの面積S3と各前記第2ミドルブロックの面積S4とは、
0.9≦S4/S3≦1.1
を満たす、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記トレッド踏面に、前記一対のアウター主溝に対してタイヤ幅方向外側に隣接する一対のショルダーブロック列を、さらに備え、
各前記ショルダーブロック列は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロックを有しており、
前記複数のショルダーブロックのうち1つ又は複数の第1ショルダーブロックは、前記アウター主溝に面するとともに、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ショルダーブロック傾斜側壁面を有しており、
前記ショルダーブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向外側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ショルダーブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、30°~50°である、請求項1~8のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記ショルダーブロック傾斜側壁面は、ショルダーブロック凹部を有している、請求項9に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トレッド踏面に、4本の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する主溝に対してタイヤ幅方向内側に隣接するブロック列を備えた、空気入りタイヤがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、トラクション性能に関し、向上の余地があった。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、トラクション性能を向上できる、空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気入りタイヤは、
トレッド踏面に、
2本以上の主溝と、
前記2本以上の主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する一対のアウター主溝に対してタイヤ幅方向内側に隣接する一対のミドルブロック列と、
を備えた、空気入りタイヤであって、
各前記ミドルブロック列は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のミドルブロックを有しており、
前記複数のミドルブロックのうち1つ又は複数の第1ミドルブロックは、前記アウター主溝に面するとともに、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ミドルブロック傾斜側壁面を有しており、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、30°~50°である。
本発明の空気入りタイヤによれば、トラクション性能を向上することができる。
【0007】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記複数のミドルブロックのうち1つ又は複数の第2ミドルブロックは、前記アウター主溝に面する、ミドルブロック垂直側壁面を有しており、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック垂直側壁面の鋭角側の角度よりも大きく、
前記ミドルブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向外側端は、前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向外側に位置していると、好適である。
これにより、トラクション性能をさらに向上することができる。
【0008】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記ミドルブロック垂直側壁面のタイヤ幅方向内側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ミドルブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、5°~25°であると、好適である。
これにより、第2ミドルブロック222の剛性を確保、しつつ、排水性を向上することができる。
【0009】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記ミドルブロック傾斜側壁面は、ミドルブロック凹部を有していると、好適である。
これにより、トラクション性能をさらに向上することができる。
【0010】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記ミドルブロック傾斜側壁面は、中折れサイプを有しており、
前記中折れサイプは、前記ミドルブロック傾斜側壁面上における前記中折れサイプの延在途中に、屈曲部を有していると、好適である。
これにより、摩耗時でのスノー性能やウェット性能を向上できる。
【0011】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面の展開視において、前記中折れサイプのうち、前記屈曲部から前記中折れサイプのタイヤ幅方向外側端までの部分は、前記中折れサイプに最も近接するラグ溝に対して略平行であると、好適である。
これにより、摩耗時でのスノー性能やウェット性能を向上できる。
【0012】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記隣接ラグ溝は、タイヤ幅方向に対する鋭角側の角度が、20°~50°であると、好適である。
これにより、耐石噛み性能や騒音低減性能を向上できる。
【0013】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面において、各前記第1ミドルブロックと各前記第2ミドルブロックとは、互いに異なる形状をなしており、
前記トレッド踏面において、各前記第1ミドルブロックの面積S3と各前記第2ミドルブロックの面積S4とは、
0.9≦S4/S3≦1.1
を満たすと、好適である。
これにより、偏摩耗を抑制できる。
【0014】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面に、前記一対のアウター主溝に対してタイヤ幅方向外側に隣接する一対のショルダーブロック列を、さらに備え、
各前記ショルダーブロック列は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロックを有しており、
前記複数のショルダーブロックのうち1つ又は複数の第1ショルダーブロックは、前記アウター主溝に面するとともに、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ショルダーブロック傾斜側壁面を有しており、
前記ショルダーブロック傾斜側壁面のタイヤ幅方向外側端における前記トレッド踏面の法線に対する、前記ショルダーブロック傾斜側壁面の鋭角側の角度は、30°~50°であると、好適である。
これにより、トラクション性能をさらに向上することができる。
【0015】
本発明の空気入りタイヤにおいて、
前記ショルダーブロック傾斜側壁面は、ショルダーブロック凹部を有していると、好適である。
これにより、トラクション性能をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、トラクション性能を向上できる、空気入りタイヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を展開視した様子を概略的に示す、平面図である。
【
図2】
図1の空気入りタイヤのうち、トレッド踏面よりもタイヤ径方向内側に窪んだ部分をドットハッチにより示す、平面図である。
【
図3】
図1のトレッド踏面の一部を概略的に示す、平面図である。
【
図4】
図3のトレッド踏面の一部を拡大して示す、斜視図である。
【
図5】
図1のトレッド踏面の一部を概略的に示す、平面図である。
【
図6】
図5のトレッド踏面の一部を拡大して示す、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る空気入りタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに利用できるものであるが、好適には乗用車用空気入りタイヤに、さらに好適にはオールシーズン用の乗用車用空気入りタイヤに、利用できるものである。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係る空気入りタイヤの実施形態を例示説明する。
【0019】
図1~
図6は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面1を示している。
図1、
図3~
図6は、トレッド踏面1に加えて、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側に窪んだ部分(溝壁面、溝底面等)をも示している。
図2は、トレッド踏面1のみを示しており、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側に窪んだ部分(溝壁面、溝底面等)をドットハッチにより示している。
【0020】
本明細書では、空気入りタイヤを、単に「タイヤ」ともいう。
【0021】
本明細書において、「トレッド踏面(1)」とは、リムに組み付けるとともに所定の内圧を充填したタイヤを、最大負荷荷重を負荷した状態で転動させた際に、路面と接触することになる、タイヤの全周に亘る外周面を意味する。
本明細書において、「接地端(TE)」とは、トレッド踏面(1)のタイヤ幅方向端を意味する。
本明細書において、「接地幅」とは、トレッド踏面(1)の一対の接地端どうしの間のタイヤ幅方向距離を意味する。
ここで、「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「所定の内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスその他に置換することも可能である。
【0022】
本明細書では、特に断りのない限り、溝、サイプ、ブロック等の各要素の寸法は、後述の「基準状態」で測定されるものとする。「基準状態」とは、タイヤをリムに組み付け、上記所定の内圧を充填し、無負荷とした状態を指す。ここで、トレッド踏面における溝、サイプ、ブロック等の各要素の寸法については、トレッド踏面の展開視において測定されるものとする。ここで、本明細書において、「トレッド踏面の展開視」とは、トレッド踏面を平面上に展開した状態でトレッド表面を平面視することを指す。
【0023】
本明細書において、「溝」は、上記基準状態において、トレッド踏面での溝幅が1.3mm以上となるものである。本実施形態では、溝として、主溝3、センター横溝41、ラグ溝42~44がある。溝幅は、1.5mm以上であると好適である。「溝幅」は、溝の延在方向に垂直に測ったときの、互いに対向する一対の溝壁面どうしの間隔であり、タイヤ径方向に一定でもよいし変化してもよい。「溝」は、タイヤをリムに組み付け、所定の内圧を充填して最大負荷荷重を負荷した際の、荷重直下時に、互いに対向する一対の溝壁面どうしが接触しないように構成されていると好適である。溝の溝深さは、3~20mmであると好適であり、3~11mmであるとより好適である。
本明細書において、「サイプ」とは、上記基準状態において、トレッド踏面でのサイプ幅が1.3mm未満となるものである。本実施形態では、サイプとして、センターブロックサイプ210S、ミドルブロックサイプ220S、ショルダーブロックサイプ230Sがある。サイプ幅は、1.0mm以下であると好適であり、0.8mm以下であるとより好適である。「サイプ幅」は、サイプの延在方向に垂直に測ったときの、互いに対向する一対のサイプ壁面どうしの間隔である。「サイプ」は、タイヤをリムに組み付け、所定の内圧を充填して最大負荷荷重を負荷した際の、荷重直下時に、互いに対向する一対のサイプ壁面どうしが少なくとも一部分で接触するように構成されていると好適である。サイプのサイプ深さは、3~20mmであると好適であり、3~11mmであるとより好適である。
【0024】
本明細書では、便宜のため、タイヤ周方向一方側(
図1の上側)を「タイヤ周方向第1側CD1」と称し、タイヤ周方向他方側(
図1の下側)を「タイヤ周方向第2側CD2」と称する。
また、本明細書では、便宜のため、タイヤ幅方向一方側(
図1の右側)を「タイヤ幅方向第1側WD1」と称し、タイヤ幅方向他方側(
図1の左側)を「タイヤ幅方向第2側WD2」と称する。
【0025】
図1~
図2に示すように、本実施形態のタイヤは、トレッド踏面1に、2本以上の主溝3を備えている。各主溝3は、タイヤ周方向に連続して延在している。これら2本以上の主溝3は、最もタイヤ幅方向外側に位置する一対のアウター主溝31と、これら一対のアウター主溝31よりもタイヤ幅方向内側に位置する一対のインナー主溝32と、を含んでいる。これら一対のインナー主溝32は、タイヤ赤道面CL上には無く、タイヤ赤道面CLに対する両側に位置している。ただし、いずれか一本のインナー主溝32は、タイヤ赤道面CL上に位置していてもよい。
なお、主溝3の本数は、本実施形態のように4本以上(本実施形態では4本)であると好適であるが、2本又は3本でもよい。
主溝3の溝深さは、6mm~20mmが好適であり、7~11mmがより好適である。
【0026】
本実施形態のタイヤは、トレッド踏面1に、センターブロック列21と、一対のミドルブロック列22と、一対のショルダーブロック列23と、を備えている。以下、これらについて順番に説明する。
【0027】
まず、
図1~
図4を参照しつつ、センターブロック列21について説明する。
図3~
図4は、センターブロック列21を拡大して示している。
センターブロック列21は、トレッド踏面1のセンター領域に設けられている。
なお、「センター領域」とは、トレッド踏面1のうち、タイヤ赤道面CLを中心とするとともに、タイヤ幅方向の幅が接地幅の50%であるような領域を指す。一方、「ショルダー領域」は、トレッド踏面1のうち、センター領域よりもタイヤ幅方向外側に位置する、一対の領域を指す。
センターブロック列21は、その少なくとも一部がセンター領域内に位置していればよいが、
図1~
図2に示す本実施形態のように、その全部がセンター領域内に位置していると、好適である。また、センターブロック列21は、本実施形態のように、タイヤ赤道面CL上に位置していると好適であるが、タイヤ赤道面CL上に位置していなくてもよい。
センターブロック列21は、一対のインナー主溝32どうしの間に区画されている。
【0028】
各インナー主溝32は、ジグザグ状に延在している。これにより、トラクション性能及び排水性能を向上できる。
【0029】
センターブロック列21は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のセンターブロック210を有している。これら複数のセンターブロック210どうしは、センター横溝41によって区分されている。複数のセンター横溝41がタイヤ周方向に沿って配列されている。本実施形態において、センター横溝41は、タイヤ赤道面CL上に位置しているが、センター横溝41は、タイヤ赤道面CL上に位置していなくてもよい。各センター横溝41は、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向に対して延在しており、具体的には、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在している。
【0030】
センターブロック列21を構成する複数のセンターブロック210は、複数種類のセンターブロック210を含んでおり、具体的には、複数の第1センターブロック211及び複数の第2センターブロック212を含んでいる。より具体的に、本実施形態では、センターブロック列21を構成する複数のセンターブロック210は、第1センターブロック211と第2センターブロック212との2種類のセンターブロック210のみを含んでいる。ただし、センターブロック列21を構成する複数のセンターブロック210は、3種類以上のセンターブロック210を含んでもよい。
図2に示すように、トレッド踏面1において、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212は、それぞれ多角形状をなしている。ここで、トレッド踏面1においてセンターブロック210(第1センターブロック211、第2センターブロック212等)がなす形状とは、トレッド踏面1を展開視したときのセンターブロック210のタイヤ径方向最外面がなす形状を指す。
トレッド踏面1において、各第2センターブロック212がなす多角形状は、各第1センターブロック211がなす多角形状とは、辺の数が同じであるとともに、形状が異なる。より具体的に、どの第2センターブロック212がなす多角形状とどの第1センターブロック211がなす多角形状とを比べても、辺の数が同じであるとともに、形状が異なる。ここで、「形状が異なる」とは、非合同かつ非相似であることを指す。
なお、トレッド踏面1において、各第1センターブロック211がなす多角形状どうしは、合同であってもよいし、あるいは、実質合同であってもよい。同様に、トレッド踏面1において、各第2センターブロック212がなす多角形状は、合同であってもよいし、あるいは、実質合同であってもよい。
このように、本実施形態によれば、第1センターブロック211の形状と第2センターブロック212の形状とは、辺の数が同じであるので、仮に両者の辺の数が異なる場合に比べて、両者を似た形状とすることができる。これにより、タイヤの転動時において接地圧をタイヤ周方向に沿って均一化することができ、ひいては、耐摩耗性能を向上できる。
また、本実施形態によれば、第1センターブロック211の形状と第2センターブロック212の形状とは、形状が異なるので、仮に両者の形状が同一である場合に比べて、タイヤの転動時において発生する音の周波数をずらすことができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
また、本実施形態によれば、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212は、それぞれ多角形状をなしているので、仮にこれらが円形状等の非多角形状をなしている場合に比べて、センターブロック列21における各センターブロック210どうしの間隔が均等となるような配置がしやすくなる。これにより、タイヤの転動時において接地圧を均一化することができ、ひいては、耐摩耗性能を向上できる。
【0031】
図3~
図4に示すように、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれ1本又は複数本のセンターブロックサイプ(サイプ)210Sを有している。本明細書では、第1センターブロック211が有するセンターブロックサイプ210Sを「第1センターブロックサイプ211S」といい、第2センターブロック212が有するセンターブロックサイプ210Sを「第2センターブロックサイプ212S」という。
各第2センターブロック212が有する第2センターブロックサイプ212Sの本数nは、各第1センターブロック211が有する第1センターブロックサイプ211Sの本数mよりも多い。なお、各第1センターブロック211が有する第1センターブロックサイプ211Sの本数mどうしは、互いに同じである。また、各第2センターブロック212が有する第2センターブロックサイプ212Sの本数nどうしは、互いに同じである。
本実施形態において、各第1センターブロック211には、それぞれ、複数本の第1センターブロックサイプ211Sが、タイヤ周方向に沿って配列されている。各第1センターブロック211が有する第1センターブロックサイプ211Sの本数mは、2本である。また、各第2センターブロック212には、それぞれ、複数の第2センターブロックサイプ212Sが、タイヤ周方向に沿って配列されている。各第2センターブロック212が有する第2センターブロックサイプ212Sの本数nは、3本である。
本実施形態によれば、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれ1本又は複数本のセンターブロックサイプ(サイプ)210Sを有しているので、仮にこれらがサイプを有していない場合に比べて、エッジを増やすことができ、ひいては、トラクション性能とドライ路面での操縦安定性能とをより良好に両立することができる。
また、本実施形態によれば、各第2センターブロック212が有する第2センターブロックサイプ212Sの本数nが、各第1センターブロック211が有する第1センターブロックサイプ211Sの本数mよりも多く、すなわち両者は異なるので、仮に両者が同じである場合に比べて、タイヤの転動時において発生する音の周波数をずらすことができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
【0032】
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、騒音低減性能と耐摩耗性能とを良好に両立することができる。
【0033】
トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、本実施形態のように、それぞれ6角形をなしていると、好適である。
これにより、センターブロック210の耐久性を向上できる。
ただし、トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、3角形、4角形等、任意の多角形状をなしてよい。
トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、本実施形態のように、凹部を有しない多角形状(凸多角形状)をなしていると好適である。これにより、センターブロック210の耐久性を向上できる。
【0034】
各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)がそれぞれ有するセンターブロックサイプ(サイプ)210Sの本数は、1~5本であると、好適である。
これにより、仮に各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)がそれぞれ有するセンターブロックサイプ210Sの本数が6本以上である場合に比べて、センターブロック210の剛性を確保でき、排水性を向上できる。
同様の観点から、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)がそれぞれ有するセンターブロックサイプ210Sの本数は、1~4本であると、好適である。
また、排水性向上の観点から、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)がそれぞれ有するセンターブロックサイプ210Sの本数は、2本以上であると、好適である。
【0035】
各第1センターブロック211が有する第1センターブロックサイプ211Sの本数mと各第2センターブロック212が有する第2センターブロックサイプ212Sの本数nとは、
1.3≦n/m≦4.0
を満たすと、好適である。
これにより、騒音低減性能と耐摩耗性能とをさらに良好に両立することができる。
【0036】
トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれ、面積に対するセンターブロックサイプ210Sの合計長さが、0.02~0.20mm/mm2であると、好適である。
これにより、トラクション性能とドライ路面での操縦安定性能とをより良好に両立することができる。
なお、トレッド踏面1におけるセンターブロック210の面積は、トレッド踏面1を展開視したときのセンターブロック210のタイヤ径方向最外面の面積を指す。また、センターブロックサイプ210Sの長さの合計とは、センターブロック210に設けられた全てのセンターブロックサイプ210Sの長さの合計を指す。
【0037】
トレッド踏面1において、各センターブロック210の面積(ひいては、各第1センターブロック211の面積S1、各第2センターブロック212の面積S2)は、それぞれ、300~3000mm2であると好適であり、450~2500mm2であるとより好適である。
これにより、騒音低減性能と耐摩耗性能とをさらに良好に両立することができる。
【0038】
トレッド踏面1において、各第1センターブロック211の面積S1と各第2センターブロック212の面積S2とは、
0.80≦S2/S1≦1.25
を満たすと、好適であり、
0.83≦S2/S1≦1.20
を満たすと、より好適であり、
0.90≦S2/S1≦1.10
を満たすと、さらに好適である。
このように、各第1センターブロック211の面積S1と各第2センターブロック212の面積S2とを近い値にすることにより、タイヤの転動時において接地圧を均一化することができ、ひいては、耐摩耗性能をさらに向上できる。
なお、トレッド踏面1において、各第1センターブロック211の面積S1と各第2センターブロック212の面積S2とは、互いに異なると、好適である。これにより、タイヤの転動時において発生する音の周波数をずらすことができ、ひいては、騒音低減性能をさらに向上できる。なお、トレッド踏面1において、各第2センターブロック212の面積S2は、各第1センターブロック211の面積S1よりも大きい(すなわち、1.0<S2/S1を満たす)と、好適である。
【0039】
トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれ、アスペクト比が、20~50%であると、好適である。
これにより、騒音低減性能と耐摩耗性能とをさらに良好に両立することができる。
なお、本明細書において、ある形状の「アスペクト比」とは、当該形状における長手方向の長さLLに対する、当該長手方向に垂直な短手方向の長さLSの割合を指す。
図3では、参考のため、センターブロック210のなす6角形における長手方向の長さLL及び短手方向の長さLSを図示している。
図3に示すように、センターブロック210のなす6角形における長手方向とは、当該6角形における最も長い対角線Dの延在方向である。
同様の観点から、トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれ、タイヤ周方向長さ(センターブロック210の一対のタイヤ周方向の最外端どうしの間のタイヤ周方向距離)が、タイヤ幅方向長さ(センターブロック210の一対のタイヤ幅方向の最外端どうしの間のタイヤ幅方向距離)よりも長いと、好適である。
【0040】
図3に示すように、トレッド踏面1において、各センターブロック210(ひいては、各第1センターブロック211及び各第2センターブロック212)は、それぞれがなす多角形状における長手方向が、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向に対して傾斜していると、好適であり、具体的には、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように傾斜していると、好適である。
【0041】
トレッド踏面1において、各第2センターブロック212のタイヤ周方向長さは、各第1センターブロック211のタイヤ周方向長さよりも長いと、好適である。
これにより、騒音低減性能をさらに向上できる。
なお、トレッド踏面1において、各第2センターブロック212のタイヤ幅方向長さは、各第1センターブロック211のタイヤ幅方向長さと略同じであると、好適である。
【0042】
第1センターブロック211の数Aと第2センターブロック212の数Bとは、
0.80≦B/A≦1.25
を満たすと、好適であり、
0.83≦B/A≦1.20
を満たすと、より好適であり、
0.90≦B/A≦1.10
を満たすと、さらに好適である。
これにより、タイヤの転動時において発生する音の周波数をずらすことができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
なお、本実施形態のように、第1センターブロック211と第2センターブロック212とが、タイヤ周方向に沿って交互に配置されていると、好適である。この場合、第1センターブロック211の数Aと第2センターブロック212の数Bとは、
B/A=1.00
を満たす。
これにより、騒音低減性能をさらに向上できる。
【0043】
各センターブロック210(ひいては、第1センターブロック211、第2センターブロック212)において、センターブロックサイプ210Sは、センターブロック210のタイヤ幅方向の全幅にわたって形成されていると好適であり、言い換えれば、センターブロック210のタイヤ幅方向両側に隣接する一対のインナー主溝32に開口していると、好適である。
これにより、エッジを増やすことができ、ひいては、トラクション性能とドライ路面での操縦安定性能とをより良好に両立することができる。
【0044】
図3に示すように、本実施形態において、各センターブロック210(ひいては、第1センターブロック211、第2センターブロック212)のセンターブロックサイプ210Sは、それぞれ、センターブロック210に対してタイヤ幅方向第2側WD2に隣接するインナー主溝32に開口し、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在するセンターブロック第1サイプ部分210Spと、センターブロック210に対してタイヤ幅方向第1側WD1に隣接するインナー主溝32に開口し、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在するセンターブロック第2サイプ部分210Sqと、センターブロック第1サイプ部分210Sp及びセンターブロック第2サイプ部分210Sqどうしを連結するセンターブロック第3サイプ部分210Srと、からなる。センターブロック第1サイプ部分210Sp及びセンターブロック第2サイプ部分210Sqどうしは、略平行である。センターブロック第3サイプ部分210Srは、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在しているとともに、タイヤ幅方向に対する鋭角側の角度が、センターブロック第1サイプ部分210Sp及びセンターブロック第2サイプ部分210Sqよりも大きい。
このように、センターブロック第1サイプ部分210Sp及びセンターブロック第2サイプ部分210Sqがタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に対して傾斜していることにより、センターブロック第1サイプ部分210Sp及びセンターブロック第2サイプ部分210Sqが接地面の外縁に対して略平行になることを抑制でき、それにより、騒音低減性能を向上できる。
また、センターブロックサイプ210Sがセンターブロック第3サイプ部分210Srを有することによりギザギザした形状をなすので、センターブロック210においてセンターブロックサイプ210Sによって区分されたブロック部分の倒れ込みを効果的に抑制でき、ひいては、操縦安定性能を向上できる。
【0045】
図3~
図4に示すように、本実施形態において、第1センターブロック211が有する2本の第1センターブロックサイプ211Sどうしは、互いにタイヤ幅方向における逆側に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。より具体的には、第1センターブロック211が有する2本の第1センターブロックサイプ211Sのうち、タイヤ周方向第1側CD1に位置する第1センターブロックサイプ211Saは、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。また、第1センターブロック211が有する2本の第1センターブロックサイプ211Sのうち、タイヤ周方向第2側CD2に位置する第1センターブロックサイプ211Sbは、タイヤ幅方向第2側WD2に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。これにより、第1センターブロック211において第1センターブロックサイプ211Sによって区分されたブロック部分が路面に連動しすぎるのを抑制でき、ひいては、耐摩耗性能を向上できる。
【0046】
図3~
図4に示すように、本実施形態において、第2センターブロック212が有する3本の第2センターブロックサイプ212Sのうち最もタイヤ周方向外側に位置する2本の第2センターブロックサイプ212Sa、212Scどうしは、互いにタイヤ幅方向における逆側に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。より具体的には、第2センターブロック212が有する3本の第2センターブロックサイプ212Sのうち、最もタイヤ周方向第1側CD1に位置する第2センターブロックサイプ212Saは、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。また、第2センターブロック212が有する3本の第2センターブロックサイプ212Sのうち、最もタイヤ周方向第2側CD2に位置する第2センターブロックサイプ212Scは、タイヤ幅方向第2側WD2に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。
また、本実施形態において、第2センターブロック212が有する3本の第2センターブロックサイプ212Sのうちタイヤ周方向の真ん中に位置する第2センターブロックサイプ212Sbは、タイヤ幅方向両外側に向かうほど、サイプ深さが徐々に大きくなっている。
【0047】
図3~
図4に示すように、本実施形態において、第1センターブロック211が有する2本の第1センターブロックサイプ211Sのうち、タイヤ周方向第1側CD1に位置する第1センターブロックサイプ211Saは、当該2本の第1センターブロックサイプ211Sのうち、タイヤ周方向第2側CD2に位置する第1センターブロックサイプ211Sbに比べて、センターブロック第3サイプ部分210Srが、タイヤ幅方向第1側CD1に位置している。
図3~
図4に示すように、本実施形態において、第2センターブロック212が有する3本の第2センターブロックサイプ212Sは、タイヤ周方向第1側CD1に位置するものほど、センターブロック第3サイプ部分210Srが、タイヤ幅方向第1側CD1に位置している。
【0048】
図4に示すように、本実施形態において、各第1センターブロック211は、それぞれインナー主溝32に面しているとともに複数の段差が形成された、一対のセンターブロック段差側壁面213を有している。
図3に示すように、トレッド踏面1において、各センターブロック段差側壁面213は、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第2側CD2に向かうように延在している。
センターブロック段差側壁面213により、耐石噛み性を向上できる。
なお、本実施形態において、各第1センターブロック211における一対のセンターブロック段差側壁面213以外の各側壁面は、段差が形成されておらず、平坦である。
また、本実施形態において、各第2センターブロック212における各側壁面は、段差が形成されておらず、平坦である。
【0049】
つぎに、
図1~
図2、
図5~
図6を参照しつつ、ミドルブロック列22について説明する。
図5~
図6は、ミドルブロック列22を拡大して示している。
ミドルブロック列22は、センターブロック列21よりもタイヤ幅方向外側、かつ、ショルダーブロック列23よりもタイヤ幅方向内側に、設けられている。各ミドルブロック列22は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のミドルブロック220を有している。これら複数のミドルブロック220どうしは、ミドルラグ溝42によって区分されている。
本実施形態において、ミドルブロック列22は、インナー主溝32とアウター主溝31との間に区画されており、すなわち、アウター主溝31に対してタイヤ幅方向内側に隣接している。
【0050】
図5~
図6に示すように、ミドルブロック列22を構成する複数のミドルブロック220のうち1つ又は複数(本実施形態では、複数)の第1ミドルブロック221は、アウター主溝31に面するとともに、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ミドルブロック傾斜側壁面223を有している。ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ミドルブロック傾斜側壁面223の鋭角側の角度θ223(
図6)は、30°~50°であると、好適である。
図1及び
図2を見比べてわかるように、ミドルブロック傾斜側壁面223は、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側にある。ミドルブロック傾斜側壁面223は、アウター主溝31内に入り込んでいるといえる。
これにより、泥濘地等でのトラクション性能を向上することができる。
また、ミドルブロック傾斜側壁面223は、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜しているので、仮にトレッド踏面1に含まれるようにトレッド踏面1に平行である場合に比べて、アウター主溝31をよりストレート形状に近づけることができ、それにより、排水性を向上することができる。
同様の観点から、ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ミドルブロック傾斜側壁面223の鋭角側の角度θ223(
図6)は、33°~47°であると、より好適である。
【0051】
図2に示すように、各アウター主溝31は、略ストレート状に延在している。
【0052】
図5~
図6に示すように、ミドルブロック列22を構成する複数のミドルブロック220のうち1つ又は複数(本実施形態では、複数)の第2ミドルブロック222は、アウター主溝31に面する、ミドルブロック垂直側壁面224を有している。
ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ミドルブロック傾斜側壁面223の鋭角側の角度θ223(
図6)は、ミドルブロック垂直側壁面224のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ミドルブロック垂直側壁面224の鋭角側の角度θ224(
図6)よりも大きい。
このように、ミドルブロック列22が、ミドルブロック傾斜側壁面223を有する第1ミドルブロック221とミドルブロック垂直側壁面224を有する第2ミドルブロック222とを有することにより、ミドルブロック列22のうちアウター主溝31に面する部分が凹凸を有することとなるので、トラクション性能を向上できるとともに、ミドルブロック列22の耐久性も向上できる。
【0053】
図5~
図6に示すように、ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向外側端は、ミドルブロック垂直側壁面224のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向外側に位置していると、好適である。これにより、ミドルブロック傾斜側壁面223をアウター主溝31内により入り込ませることができる。それにより、トラクション性能をさらに向上することができる。また、アウター主溝31がミドルブロック傾斜側壁面223によって実質的に区切られるので、気柱管共鳴を抑えることができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
【0054】
各ミドルブロック垂直側壁面224のタイヤ幅方向内側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ミドルブロック垂直側壁面224の鋭角側の角度θ224(
図6)は、5°~25°であると好適であり、10°~20°であるとより好適である。
これにより、第2ミドルブロック222の剛性を確保しつつ、排水性を向上することができる。
【0055】
図5~
図6に示すように、ミドルブロック傾斜側壁面223は、ミドルブロック凹部225を有していると、好適である。ミドルブロック凹部225は、ミドルブロック傾斜側壁面223に開口しており、ひいては、アウター主溝31に連通している。
ミドルブロック凹部225によって、雪や泥をつかみやすくなるので、雪上又は泥上走行時におけるトラクション性能をさらに向上することができる。
【0056】
トレッド踏面1の展開視(
図5)において、ミドルブロック凹部225は、タイヤ周方向の長さが3~10mmであると好適である。これにより、雪上又は泥上走行時におけるトラクション性能をさらに向上することができる。
同様の観点から、トレッド踏面1の展開視(
図5)において、ミドルブロック凹部225は、タイヤ幅方向の長さが3~10mmであると好適である。
同様の観点から、ミドルブロック凹部225は、最も深い部分におけるタイヤ径方向の深さが3.4mm以上であると好適である。
なお、ミドルブロック凹部225は、最も深い部分におけるタイヤ径方向の深さが、アウター主溝31の溝深さ以下であると好適である。
【0057】
図5~
図6に示すように、ミドルブロック傾斜側壁面223は、中折れサイプ226を有していると、好適である。中折れサイプ226は、ミドルブロック傾斜側壁面223上における中折れサイプ226の延在途中に、屈曲部226aを有している。トレッド踏面1の展開視(
図1、
図5)において、中折れサイプ226は、タイヤ周方向のいずれか一方側に向かって凸に屈曲している。
図1に示すように、本実施形態では、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第1側WD1にある中折れサイプ226が、タイヤ周方向第2側CD2に向かって凸に屈曲しているのに対し、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第2側WD2にある中折れサイプ226は、タイヤ周方向第1側CD1に向かって凸に屈曲している。中折れサイプ226は、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側にあるミドルブロック傾斜側壁面223に形成されているので、タイヤの摩耗時にミドルブロック傾斜側壁面223とともに接地面に現れるように構成されている。
中折れサイプ226により、摩耗時において接地面に現れるサイプの量が増えるので、摩耗時でのスノー性能やウェット性能を向上できる。
【0058】
トレッド踏面1の展開視(
図1、
図5)において、中折れサイプ226のうち、屈曲部226aから中折れサイプ226のタイヤ幅方向外側端までの部分226cは、中折れサイプ226に最も近接するラグ溝である近接ラグ溝44に対して略平行であると、好適である。
これにより、摩耗時でのスノー性能やウェット性能を向上できる。
近接ラグ溝44は、ミドルブロック傾斜側壁面223と後述のショルダーブロック傾斜側壁面233との間に区画されている。近接ラグ溝44は、中折れサイプ226に対して、タイヤ周方向のいずれか一方側に近接している。より具体的には、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第2側WD2において、近接ラグ溝44は、中折れサイプ226に対して、タイヤ周方向第1側CD1に近接している。また、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第1側WD1において、近接ラグ溝44は、中折れサイプ226に対して、タイヤ周方向第2側CD2に近接している。
各近接ラグ溝44は、いずれか1本のミドルラグ溝42のタイヤ幅方向外側端から連続してタイヤ幅方向外側へ延在している。
【0059】
トレッド踏面1の展開視(
図5)において、中折れサイプ226の中心角度θ226は、100°~160°が好適であり、114°~141°がより好適である。
これにより、摩耗時でのスノー性能やウェット性能を向上できる。
【0060】
トレッド踏面1の展開視(
図5)において、近接ラグ溝44の溝幅は、3.5mm以下であると好適である。
このように近接ラグ溝44を狭くすることにより、騒音低減性能を向上でき、また、耐石噛み性能や排土性能を向上できる。
なお、トレッド踏面1の展開視(
図5)において、近接ラグ溝44の溝幅は、2.0mm以上であると好適である。
【0061】
近接ラグ溝44は、本実施形態のように、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在していると、好適である。
これにより、耐石噛み性能や騒音低減性能を向上できる。
【0062】
近接ラグ溝44は、タイヤ幅方向に対する鋭角側の角度が、20°~50°であると好適であり、24°~46°であるとより好適である。
これにより、耐石噛み性能や騒音低減性能を向上できる。
【0063】
本実施形態のように、トレッド踏面1において、各第1ミドルブロック221と各第2ミドルブロック222とは、互いに異なる形状をなしていると、好適である。ここで、トレッド踏面1においてミドルブロック220(第1ミドルブロック221、第2ミドルブロック222等)がなす形状とは、トレッド踏面1を展開視したときのミドルブロック220のタイヤ径方向最外面がなす形状を指す。また、「異なる形状をなしている」とは、非合同かつ非相似であることを指す。
なお、トレッド踏面1において、各第1ミドルブロック221がなす形状どうしは、合同であってもよいし、あるいは、互いにタイヤ周方向の寸法のみが異なっていてもよい。同様に、トレッド踏面1において、各第2ミドルブロック222がなす形状は、合同であってもよいし、あるいは、互いにタイヤ周方向の寸法のみが異なっていてもよい。
本実施形態によれば、第1ミドルブロック221と第2ミドルブロック222とは、互いに異なる形状をなしているので、仮に両者の形状が同一である場合に比べて、タイヤの転動時において発生する音の周波数をずらすことができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
【0064】
トレッド踏面1において、各第1ミドルブロックの面積S3と各第2ミドルブロックの面積S4とは、
0.9≦S4/S3≦1.1
を満たすと、好適である。
このように、各第1ミドルブロック221と各第2ミドルブロック222とを近い値にすることにより、タイヤの転動時において接地圧を均一化することができ、ひいては、耐摩耗性能をさらに向上できる。
【0065】
本実施形態のように、トレッド踏面1において、各第1ミドルブロック221と各第2ミドルブロック222とは、それぞれ、多角形状をなしていると、好適である。これにより、仮にこれらが円形状等の非多角形状をなしている場合に比べて、ミドルブロック列22における各ミドルブロック220どうしの間隔が均等となるような配置がしやすくなる。これにより、タイヤの転動時において接地圧を均一化することができ、ひいては、耐摩耗性能を向上できる。
【0066】
本実施形態において、第1ミドルブロック221と第2ミドルブロック222とは、タイヤ周方向に沿って交互に配置されている。
図1に示すように、第1ミドルブロック221と第2センターブロック212とは、タイヤ幅方向において互いに対向している。第2ミドルブロック222と第1センターブロック211とは、タイヤ幅方向において互いに対向している。
【0067】
図5~
図6に示すように、本実施形態では、各ミドルブロック220(ひいては、各第1ミドルブロック221及び各第2ミドルブロック222)は、それぞれ1本又は複数本のミドルブロックサイプ(サイプ)220Sを有している。
本実施形態によれば、各ミドルブロック220(ひいては、各第1ミドルブロック221及び各第2ミドルブロック222)は、それぞれ1本又は複数本のミドルブロックサイプ(サイプ)220Sを有しているので、仮にこれらがサイプを有していない場合に比べて、エッジを増やすことができ、ひいては、トラクション性能とドライ路面での操縦安定性能とをより良好に両立することができる。
本実施形態において、各第ミドルブロック220(ひいては、各第1ミドルブロック221及び各第2ミドルブロック222)には、それぞれ、複数本のミドルブロックサイプ220Sが、タイヤ周方向に沿って配列されている。各ミドルブロック220(ひいては、各第1ミドルブロック221及び各第2ミドルブロック222)が有するミドルブロックサイプ220Sの本数どうしは、互いに同じである。本実施形態では、各ミドルブロック220(ひいては、各第1ミドルブロック221及び各第2ミドルブロック222)が有するミドルブロックサイプ220Sの本数は、3本である。
【0068】
図5に示すように、本実施形態において、各ミドルブロック220(ひいては、第1ミドルブロック221、第2ミドルブロック222)のミドルブロックサイプ220Sは、それぞれ、ミドルブロック220に対してタイヤ幅方向外側に隣接するアウター主溝31に開口し、タイヤ幅方向内側へ延在し、ミドルブロック220内で終端する、ミドルブロック第1サイプ部分220Spと、ミドルブロック220に対してタイヤ幅方向内側に隣接するインナー主溝32に開口し、タイヤ幅方向外側へ延在し、ミドルブロック220内で終端する、ミドルブロック第2サイプ部分220Sqと、ミドルブロック第1サイプ部分220Sp及びミドルブロック第2サイプ部分220Sqどうしを連結するミドルブロック第3サイプ部分220Srと、からなる。ミドルブロック第1サイプ部分220Sp及びミドルブロック第2サイプ部分220Sqどうしは、略平行である。ミドルブロック第1サイプ部分220Sp及びミドルブロック第2サイプ部分220Sqは、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第2側CD2に向かうように延在している。ミドルブロック第3サイプ部分220Srは、タイヤ幅方向第1側WD1に向かうほどタイヤ周方向第1側CD1に向かうように延在している。
このように、ミドルブロック第1サイプ部分220Sp及びミドルブロック第2サイプ部分220Sqがタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に対して傾斜していることにより、ミドルブロック第1サイプ部分220Sp及びミドルブロック第2サイプ部分220Sqが接地面の外縁に対して略平行になることを抑制でき、それにより、騒音低減性能を向上できる。
また、ミドルブロックサイプ220Sがミドルブロック第3サイプ部分220Srを有することによりギザギザした形状をなすので、ミドルブロック220においてミドルブロックサイプ220Sによって区分されたブロック部分の倒れ込みを効果的に抑制でき、ひいては、操縦安定性能を向上できる。
【0069】
図1及び
図5に示すように、本実施形態では、各第1ミドルブロック221において、ミドルブロック凹部225が、第1ミドルブロック221の1本又は複数本のミドルブロックサイプ220Sのうちのいずれか1本と連通している。具体的には、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第2側WD2のミドルブロック列22の各第1ミドルブロック221においては、ミドルブロック凹部225が、第1ミドルブロック221の3本のミドルブロックサイプ220Sのうち最もタイヤ周方向第2側CD2のミドルブロックサイプ220Sと連通している。また、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第1側WD1のミドルブロック列22の各第1ミドルブロック221においては、ミドルブロック凹部225が、第1ミドルブロック221の3本のミドルブロックサイプ220Sのうち最もタイヤ周方向第1側CD1のミドルブロックサイプ220Sと連通している。
本実施形態において、ミドルブロック凹部225のタイヤ幅方向外側端は、ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向外側端よりもタイヤ幅方向内側に位置している。
【0070】
図1及び
図5に示すように、本実施形態では、各第1ミドルブロック221において、中折れサイプ226が、第1ミドルブロック221の1本又は複数本のミドルブロックサイプ220Sのうちのいずれか1本と連通している。具体的には、各第1ミドルブロック221において、中折れサイプ226は、第1ミドルブロック221の3本のミドルブロックサイプ220Sのうち、タイヤ周方向における真ん中のミドルブロックサイプ220Sと、連通している。
図5に示すように、トレッド踏面1の展開視において、中折れサイプ226のうち屈曲部226aから中折れサイプ226のタイヤ幅方向内側端までの部分226bは、ミドルブロックサイプ220Sのミドルブロック第1サイプ部分220Spと略平行である。
本実施形態において、中折れサイプ226のタイヤ幅方向外側端は、ミドルブロック傾斜側壁面223のタイヤ幅方向外側端よりもタイヤ幅方向内側に位置している。
【0071】
つぎに、
図1~
図2、
図5~
図6を参照しつつ、ショルダーブロック列23について説明する。
図5~
図6は、ショルダーブロック列23を拡大して示している。
ショルダーブロック列23は、接地端TEとアウター主溝31との間に区画されている。すなわち、ショルダーブロック列23は、一対のアウター主溝31に対してタイヤ幅方向外側に隣接している。各ショルダーブロック列23は、タイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロック230を有している。これら複数のショルダーブロック230どうしは、ショルダーラグ溝43によって区分されている。
【0072】
図5~
図6に示すように、ショルダーブロック列23を構成する複数のショルダーブロック230のうち1つ又は複数(本実施形態では、複数)の第1ショルダーブロック231は、アウター主溝31に面するとともに、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜した、ショルダーブロック傾斜側壁面233を有している。ショルダーブロック傾斜側壁面233のタイヤ幅方向外側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ショルダーブロック傾斜側壁面233の鋭角側の角度θ233(
図6)は、30°~50°であると、好適である。
図1及び
図2を見比べてわかるように、ショルダーブロック傾斜側壁面233は、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側にある。ショルダーブロック傾斜側壁面233は、アウター主溝31内に入り込んでいるといえる。
これにより、泥濘地等でのトラクション性能を向上することができる。
また、ショルダーブロック傾斜側壁面233は、タイヤ幅方向内側に向かうにつれて徐々にタイヤ径方向内側に向かうように傾斜しているので、仮にトレッド踏面1に含まれるようにトレッド踏面1に平行である場合に比べて、アウター主溝31をよりストレート形状に近づけることができ、それにより、排水性を向上することができる。
同様の観点から、ショルダーブロック傾斜側壁面233のタイヤ幅方向外側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ショルダーブロック傾斜側壁面233の鋭角側の角度θ233(
図6)は、33°~47°であると、より好適である。
【0073】
図5~
図6に示すように、ショルダーブロック列23を構成する複数のショルダーブロック230のうち1つ又は複数(本実施形態では、複数)の第2ショルダーブロック232は、アウター主溝31に面する、ショルダーブロック垂直側壁面234を有している。
ショルダーブロック傾斜側壁面233のタイヤ幅方向外側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ショルダーブロック傾斜側壁面233の鋭角側の角度θ233(
図6)は、ショルダーブロック垂直側壁面234のタイヤ幅方向外側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ショルダーブロック垂直側壁面234の鋭角側の角度θ234(
図6)よりも大きい。
このように、ショルダーブロック列23が、ショルダーブロック傾斜側壁面233を有する第1ショルダーブロック231とショルダーブロック垂直側壁面234を有する第2ショルダーブロック232とを有することにより、ショルダーブロック列23のうちアウター主溝31に面する部分が凹凸を有することとなるので、トラクション性能を向上できるとともに、ショルダーブロック列23の耐久性も向上できる。
【0074】
なお、本実施形態において、各第1ショルダーブロック231は、ショルダーブロック傾斜側壁面233に加えて、ショルダーブロック垂直側壁面234をも有している。各第1ショルダーブロック231のショルダーブロック垂直側壁面234は、タイヤ幅方向においてミドルブロック傾斜側壁面223と対向している。
各第2ショルダーブロック232は、ショルダーブロック傾斜側壁面233を有していない。
【0075】
図5~
図6に示すように、ショルダーブロック傾斜側壁面233のタイヤ幅方向内側端は、ショルダーブロック垂直側壁面234のタイヤ幅方向内側端よりも、タイヤ幅方向内側に位置していると、好適である。これにより、ショルダーブロック傾斜側壁面233をアウター主溝31内により入り込ませることができる。それにより、トラクション性能をさらに向上することができる。また、アウター主溝31がショルダーブロック傾斜側壁面233によって実質的に区切られるので、気柱管共鳴を抑えることができ、ひいては、騒音低減性能を向上できる。
【0076】
各ショルダーブロック垂直側壁面234のタイヤ幅方向外側端におけるトレッド踏面1の法線に対する、ショルダーブロック垂直側壁面234の鋭角側の角度θ234(
図6)は、5°~25°であると好適であり、10°~20°であるとより好適である。
これにより、ショルダーブロック230の剛性を確保しつつ、排水性を向上することができる。
【0077】
図5~
図6に示すように、ショルダーブロック傾斜側壁面233は、ショルダーブロック凹部235を有していると、好適である。ショルダーブロック凹部235は、ショルダーブロック傾斜側壁面233に開口しており、ひいては、アウター主溝31に連通している。
ショルダーブロック凹部235によって、雪や泥をつかみやすくなるので、雪上又は泥上走行時におけるトラクション性能をさらに向上することができる。
【0078】
トレッド踏面1の展開視(
図5)において、ショルダーブロック凹部235は、タイヤ周方向の長さが3~10mmであると好適である。これにより、雪上又は泥上走行時におけるトラクション性能をさらに向上することができる。
同様の観点から、トレッド踏面1の展開視(
図5)において、ショルダーブロック凹部235は、タイヤ幅方向の長さが3~10mmであると好適である。
同様の観点から、ショルダーブロック凹部235は、最も深い部分におけるタイヤ径方向の深さが3.4mm以上であると好適である。
なお、ショルダーブロック凹部235は、最も深い部分におけるタイヤ径方向の深さが、アウター主溝31の溝深さ以下であると好適である。
【0079】
本実施形態において、第1ショルダーブロック231と第2ショルダーブロック232とは、タイヤ周方向に沿って交互に配置されている。
第1ミドルブロック221と第1ショルダーブロック231とは、タイヤ幅方向において互いに対向している。第2ミドルブロック222と第2ショルダーブロック232とは、タイヤ幅方向において互いに対向している。
【0080】
本実施形態では、各ショルダーブロック230(ひいては、各第1ショルダーブロック231及び各第2ショルダーブロック232)は、それぞれ1本又は複数本のショルダーブロックサイプ(サイプ)230Sを有している。
本実施形態によれば、各ショルダーブロック230(ひいては、各第1ショルダーブロック231及び各第2ショルダーブロック232)は、それぞれ1本又は複数本のショルダーブロックサイプ(サイプ)230Sを有しているので、仮にこれらがサイプを有していない場合に比べて、エッジを増やすことができ、ひいては、トラクション性能とドライ路面での操縦安定性能とをより良好に両立することができる。
本実施形態において、各第ショルダーブロック230(ひいては、各第1ショルダーブロック231及び各第2ショルダーブロック232)には、それぞれ、複数本のショルダーブロックサイプ230Sが、タイヤ周方向に沿って配列されている。各ショルダーブロック230(ひいては、各第1ショルダーブロック231及び各第2ショルダーブロック232)が有するショルダーブロックサイプ230Sの本数どうしは、互いに同じである。本実施形態では、各ショルダーブロック230(ひいては、各第1ショルダーブロック231及び各第2ショルダーブロック232)が有するショルダーブロックサイプ230Sの本数は、3本である。
【0081】
図1及び
図5に示すように、本実施形態では、各第1ショルダーブロック231において、ショルダーブロック凹部235が、第1ショルダーブロック231の1本又は複数本のショルダーブロックサイプ230Sのうちのいずれか1本と連通している。具体的には、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第2側WD2のショルダーブロック列23の各第1ショルダーブロック231においては、ショルダーブロック凹部235が、第1ショルダーブロック231の3本のショルダーブロックサイプ230Sのうち最もタイヤ周方向第1側CD1のショルダーブロックサイプ230Sと連通している。また、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向第1側WD1のショルダーブロック列23の各第1ショルダーブロック231においては、ショルダーブロック凹部235が、第1ショルダーブロック231の3本のショルダーブロックサイプ230Sのうち最もタイヤ周方向第2側CD2のショルダーブロックサイプ230Sと連通している。
本実施形態において、ショルダーブロック凹部235のタイヤ幅方向内側端は、ショルダーブロック傾斜側壁面233のタイヤ幅方向内側端に位置している。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る空気入りタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに利用できるものであるが、好適には乗用車用空気入りタイヤに、さらに好適にはオールシーズン用の乗用車用空気入りタイヤに、利用できるものである。
【符号の説明】
【0083】
1:トレッド踏面、
21:センターブロック列、 210:センターブロック、 211:第1センターブロック、 212:第2センターブロック、 213:センターブロック段差側壁面、
22:ミドルブロック列、 220:ミドルブロック、 221:第1ミドルブロック、 222:第2ミドルブロック、 223:ミドルブロック傾斜側壁面、 224:ミドルブロック垂直側壁面、 225:ミドルブロック凹部、 226:中折れサイプ、 226a:屈曲部、 226b:屈曲部からタイヤ幅方向内側端までの部分、 226c:屈曲部からタイヤ幅方向外側端までの部分、
23:ショルダーブロック列、 230:ショルダーブロック、 231:第1ショルダーブロック、 232:第2ショルダーブロック、 233:ショルダーブロック傾斜側壁面、 234:ショルダーブロック垂直側壁面、 235:ミドルブロック凹部、
210S:センターブロックサイプ(サイプ)、 211S:第1センターブロックサイプ、 212S:第2センターブロックサイプ、 210Sp:センターブロック第1サイプ部分、 210Sq:センターブロック第2サイプ部分、 210Sr:センターブロック第3サイプ部分、
220S:ミドルブロックサイプ(サイプ)、 220Sp:ミドルブロック第1サイプ部分、 220Sq:ミドルブロック第2サイプ部分、 220Sr:ミドルブロック第3サイプ部分、
230S:ショルダーブロックサイプ(サイプ)、
3:主溝、 31:アウター主溝、 32:インナー主溝、
41:センター横溝、 42:ミドルラグ溝(ラグ溝)、 43:ショルダーラグ溝(ラグ溝)、 44:近接ラグ溝(ラグ溝)、
TE:接地端、
CD1:タイヤ周方向第1側、 CD2:タイヤ周方向第2側、
CL:タイヤ赤道面