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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133240
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/52 20060101AFI20220906BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G01G19/52 F
G01G23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015612
(22)【出願日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2021031962
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 好治
(57)【要約】
【課題】利便性および汎用性に優れ、迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことを可能にする荷重検出装置を提供する。
【解決手段】荷重検出装置10は、複数の脚部を備えた椅子の脚部の下に配置されるものであり、上側部材100と下側部材200とを備えている、上側部材100には、上面側に椅子の脚部が載置される。下側部材200には、上側部材100からの荷重を受ける荷重点にロードセル300が配置されている。荷重検出装置10は、荷重点のみで下側部材200により上側部材100からの荷重を支持するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の脚部を備えた支持具の前記脚部の下に配置される荷重検出装置であって、
上面側に前記支持具の前記脚部が載置される上側部材と、
前記上側部材からの荷重を受ける荷重点にロードセルが配置されている下側部材と、を備えており、
荷重検出時に前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持することを特徴とする荷重検出装置。
【請求項2】
前記上側部材の下面側にシャフトが設けられており、
前記下側部材の上面側の前記シャフトと対向する位置に前記シャフトの外周面に沿った形状のシャフト受け面が形成されたシャフト受け部が設けられており、
荷重検出時に前記シャフトと前記シャフト受け面とが離隔して、前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持することを特徴とする請求項1に記載の荷重検出装置。
【請求項3】
前記シャフトが、前記荷重点から離れた位置に設けられており、平面視した場合に略円形状を有する前記上側部材の径方向に対して略垂直方向に延びる円柱部材であることを特徴とする請求項2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記シャフトの両端部のそれぞれに、前記シャフトの長手方向に対して垂直な面を有する円板部材が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記上側部材に前記支持具であるキャスター付き椅子の車輪を載置するための車輪支持面が形成されており、平面視した場合に前記車輪支持面の位置と前記荷重点の位置とが離隔するように配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の荷重検出装置。
【請求項6】
平面視した場合に前記上側部材および前記下側部材が略楕円形状を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の荷重検出装置。
【請求項7】
前記荷重点が、平面視した場合に特定される略楕円形状の略中心部に配置されており、
前記車輪支持面が、平面視した場合における前記荷重点の位置から略楕円形状の長手方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の荷重検出装置。
【請求項8】
前記上側部材に、前記支持具であるキャスター付き椅子の車輪を誘導する斜面が形成されたスロープ部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の荷重検出装置。
【請求項9】
前記下側部材が、当該荷重検出装置を床面に載置した際に接する下側部材ベース部を有しており、前記下側部材ベース部が金属板により構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の荷重検出装置。
【請求項10】
前記支持具であるキャスター付き椅子の上に座る人間の体重を測定するために用いられることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の脚部で支持する支持具の上に載置された測定対象物の重量を測定するための荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば椅子やベッド等の複数の脚部で支持する支持具の上に居る人間の荷重を検出する装置が知られている。
【0003】
下記の特許文献1には、ベッド本体における脚部のキャスター機構に、荷重検出器のロードセルが組み込まれている荷重検出機能付きベッドが記載されている。特許文献1に記載の荷重検出機能付きベッドは、荷重検出機能付きベッドの4隅に設けられたキャスター機構の各々にロードセルが組み込まれて構成されており、ベッド本体の寝床面に加わる荷重の変化を検出することができる。
【0004】
下記の特許文献2、3には、椅子本体を支持する支持部に体重計が設けられた椅子が記載されている。下記の特許文献2、3に記載の椅子は、着座したユーザの体重を測定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6078478号公報
【特許文献2】特許第6148814号
【特許文献3】特開2015-228975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているロードセルや特許文献2、3に記載されている体重計はベッドのキャスターや椅子の支持部に組み込まれており、特許文献1~3に記載の技術を適用する場合には、ベッドのキャスターや椅子の支持部の構造を大きく変更しなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、利便性および汎用性に優れ、迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことを可能にする荷重検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る荷重検出装置は、複数の脚部を備えた支持具の前記脚部の下に配置される荷重検出装置であって、
上面側に前記支持具の前記脚部が載置される上側部材と、
前記上側部材からの荷重を受ける荷重点にロードセルが配置されている下側部材と、を備えており、
荷重検出時に前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持することを特徴とする。
【0009】
上記の荷重検出装置によれば、利便性および汎用性に優れ、迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことを可能にする荷重検出装置が実演される。
【0010】
本発明に係る荷重検出装置において、前記上側部材の下面側にシャフトが設けられており、
前記下側部材の上面側の前記シャフトと対向する位置に前記シャフトの外周面に沿った形状のシャフト受け面が形成されたシャフト受け部が設けられており、
荷重検出時に前記シャフトと前記シャフト受け面とが離隔して、前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持するものであってもよい。
【0011】
上記の荷重検出装置によれば、シャフトがシャフト受け面上で回転することが可能なヒンジ構造が構成される。荷重検出前の位置決めの際に、当該ヒンジ構造により、下側部材が上側部材を荷重点のみで支持する位置を決めることが容易となり、下側部材に対する上側部材の位置を迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことが可能となる。また、本発明は支持具に特別な構成を追加するものではなく、汎用の支持具を用いることができる。
【0012】
本発明に係る荷重検出装置において、前記シャフトが、前記荷重点から離れた位置に設けられており、平面視した場合に略円形状を有する前記上側部材の径方向に対して略垂直方向に延びる円柱部材であってもよい。
【0013】
上記の荷重検出装置によれば、シャフトおよびシャフト受け面により構成されるヒンジ構造によって、荷重点の位置を径方向の適切な位置にガイドすることが可能となる。
【0014】
本発明に係る荷重検出装置において、前記シャフトの両端部のそれぞれに、前記シャフトの長手方向に対して垂直な面を有する円板部材が設けられていてもよい。
【0015】
上記の荷重検出装置によれば、シャフトが長手方向にスライドすることを防ぎ、荷重点Pの位置が当該長手方向にずれるのを防ぐことが可能となる。
【0016】
本発明に係る荷重検出装置において、前記上側部材に前記支持具であるキャスター付き椅子の車輪を載置するための車輪支持面が形成されており、平面視した場合に前記車輪支持面の位置と前記荷重点の位置とが離隔するように配置されていてもよい。
【0017】
上記の荷重検出装置によれば、キャスター軸の位置と車輪の中心の位置とがずれているキャスター付き椅子を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置の略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようになり、荷重検出を確実かつ正確に行うことが可能となり、上側部材を水平な状態に安定化させることが可能となる。
【0018】
本発明に係る荷重検出装置において、平面視した場合に前記上側部材および前記下側部材が略楕円形状を有していてもよい。
【0019】
上記の荷重検出装置によれば、荷重検出装置が床面と接する面積が大きくなるとともに長手方向に広がった形状となるので、上側部材が長手方向に揺動しにくくなり上側部材を安定化させることが可能となる。
【0020】
本発明に係る荷重検出装置において、前記荷重点が、平面視した場合に特定される略楕円形状の略中心部に配置されており、
前記車輪支持面が、平面視した場合における前記荷重点の位置から略楕円形状の長手方向にずれて配置されていてもよい。
【0021】
上記の荷重検出装置によれば、平面視で略楕円形状を有する荷重検出装置の長手方向に沿って車輪支持面の位置と荷重点の位置とを離隔させるスペースを作ることが可能となる。これにより、キャスター軸の位置と車輪の中心の位置とがずれているキャスター付き椅子を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置の略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようにした構成が容易に実現可能となる。
【0022】
本発明に係る荷重検出装置において、前記上側部材に、前記支持具であるキャスター付き椅子の車輪を誘導する斜面が形成されたスロープ部が設けられていてもよい。
【0023】
上記の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子の車輪を回転させてスロープ部から荷重検出装置に乗り上げるように移動させることで、キャスターを荷重検出装置の上に容易かつ滑らかに載せることが可能となる。
【0024】
本発明に係る荷重検出装置において、前記下側部材が、当該荷重検出装置を床面に載置した際に接する下側部材ベース部を有しており、前記下側部材ベース部が金属板により構成されていてもよい。
【0025】
上記の荷重検出装置によれば、荷重検出時に大きな荷重が加わる下側部材ベース部の耐荷重性を向上させることが可能となり、頑丈で壊れにくい荷重検出装置を実現することが可能となる。
【0026】
本発明に係る荷重検出装置は、前記支持具であるキャスター付き椅子の上に座る人間の体重を測定するために用いられてもよい。
【0027】
上記の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子に着座した測定対象者の体重を測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る荷重検出装置によれば、利便性および汎用性に優れ、迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことを可能にする荷重検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態における荷重検出装置の使用状態の一例を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態における荷重検出装置の一例を示す斜視図である。
図3図2に示す荷重検出装置の上側部材の一例を示す斜視図である。
図4図2に示す荷重検出装置にキャスターを載置した状態の一例を模式的に示す斜視図である。
図5図2に示す荷重検出装置の下側部材の一例を示す斜視図である。
図6図2に示す荷重検出装置の一例を示す分解斜視図である。
図7図2に示す荷重検出装置の一例を平面図である。
図8図7のA-A断面図である。
図9】本発明の第1実施形態における荷重検出装置に係るヒンジ作用を説明するための第1の模式図である。
図10】本発明の第1実施形態における荷重検出装置に係るヒンジ作用を説明するための第2の模式図である。
図11】本発明の第2実施形態における荷重検出装置の一例を示す分解斜視図である。
図12図11に示す荷重検出装置の一例を平面図である。
図13図11に示す荷重検出装置の一例を側面図である。
図14図11に示す荷重検出装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態における荷重検出装置について説明する。なお、本実施形態に対する理解を容易にするため、便宜上、図示されている各構成要素の寸法や縮尺は実際の寸法や縮尺とは異なる場合がある。
【0031】
本実施形態における荷重検出装置は、椅子、ベッド、担架、テーブル等の支持具を支持するために設けられた複数の脚部の下に配置して使用される。
【0032】
本実施形態における荷重検出装置が適用可能な支持具は、日常的に用いられている汎用の支持具であり、人や動物の身体等を含む任意の測定対象物を複数の脚部で支持するものであれば特に限定されるものではない。本実施形態における荷重検出装置は、このような支持具により支持された荷重および荷重の変化を測定することを可能にする。
【0033】
以下の説明では、本発明の好適な実施形態として、人が着座することが可能なキャスター付き椅子(例えばオフィス用椅子等)の各脚部の下に配置し、着座した人の体重を測定することを可能にする荷重検出装置について説明する。
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0035】
<荷重検出時の状態>
図1は、本発明の第1実施形態における荷重検出装置の使用状態の一例を示す図である。図1には、各脚部の下端(床面と接する箇所)にキャスター2が設けられている5脚の椅子1が図示されている。キャスター2は車輪を備えており、第1実施形態における荷重検出装置10を使用する前は、椅子1に着座した人(以下、測定対象者Sと記載)は着座状態を維持したまま床面上を自由に移動することができる。
【0036】
各脚部のキャスター2の下には、第1実施形態における荷重検出装置10が配置されている。荷重検出装置10は、椅子1に着座した測定対象者Sの体重を支持する複数の脚部すべての下に配置されている。一例として図1に示す椅子1は5脚であり、各脚部の下に合計5つの荷重検出装置10が配置されている。椅子1は5つの荷重検出装置10の上に載ると、5つの荷重検出装置10により床面に対して固定された状態となる。
【0037】
荷重検出装置10は後述するロードセル300を備えており、検出した荷重を電圧信号に変換し、配線11を通じて出力することができる。荷重検出装置10から出力される電圧信号は、例えば信号増幅、フィルタリング、アナログ/デジタル変換等の従来の処理方法により適宜処理され、荷重検出装置10で検出された荷重を求めることができる。測定対象者Sが椅子1に着座した状態で各脚部の下に配置された5つの荷重検出装置10を用いて検出された荷重の総和から、測定対象者Sが着座していない椅子1だけの状態で検出された荷重(椅子1の重量)を減算することで、測定対象者Sの体重を求めることができる。
【0038】
測定対象者Sの体重を測定する際、測定対象者Sの足は床面に接していない状態とする必要がある。測定対象者Sの足を乗せるためのフットレスト3が椅子1に設けられてもよい。測定対象者Sがフットレスト3に足を乗せることで測定対象者Sの体勢を安定させるとともに、測定対象者Sの全体重を椅子1で支持できるようになり、第1実施形態における荷重検出装置10を用いて測定対象者Sの体重を適切に測定することが可能となる。
【0039】
<荷重検出装置10の構成>
図2図8を適宜参照しながら、第1実施形態における荷重検出装置10の構成について説明する。図2は、第1実施形態における荷重検出装置10の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示す荷重検出装置10の上側部材100の一例を示す斜視図である。図4は、図2に示す荷重検出装置10にキャスター2を載置した状態の一例を模式的に示す斜視図である。図5は、図2に示す荷重検出装置10の下側部材200の一例を示す斜視図である。図6は、図2に示す荷重検出装置10の一例を示す分解斜視図である。図7は、図2に示す荷重検出装置10の一例を平面図である。図8は、図7のA-A断面図である。本発明に係る荷重検出装置10は、図示した構成に限定されるものではない。
【0040】
第1実施形態における荷重検出装置10は床面に載置して使用されるものである。以下の説明では、床面に対して垂直な鉛直方向を基準として床面から遠い側を上側とし、床面に近い側を下側とする。
【0041】
第1実施形態における荷重検出装置10は、上側部材100と下側部材200とにより構成されている。上側部材100および下側部材200の各筐体の材質は特に限定されるものではないが、例えば樹脂等からなり、射出成形やプレス成形等により成形されてもよく、3Dプリンター等により造形されてもよい。
【0042】
(上側部材100)
上側部材100は、キャスター支持部110と上側部材ベース部130とにより構成されている。
【0043】
(キャスター支持部110)
キャスター支持部110は、キャスター2の車輪2aおよび車輪軸部2bを載せるキャスター載置台として役割を有している。キャスター支持部110は、上側部材ベース部130のベース平板部131より上方に向かって立設されるように設けられている。
【0044】
キャスター支持部110には、車輪支持面111a、111bおよび車輪軸部支持面113が設けられている。車輪支持面111a、111bは、キャスター2の車輪2aを載置するために、キャスター2の車輪外周面(地面と接するトレッド部分)の形状に合わせて断面半円状に形成された曲面である。車輪軸部支持面113は、キャスター2の車輪軸部2bを載置するために溝状に切り欠きされた平面である。
【0045】
第1実施形態におけるキャスター支持部110は、一例として、1つのキャスター2が2つの車輪2aを備える双輪キャスター(図4参照)を載置できるように構成されている。この双輪キャスターは、キャスター2の車輪軸部2bが2つの車輪2aを回動可能に軸支している。キャスター2の車輪軸部2bと一体となったキャスター取付部2cの上方に延びるキャスター軸2dを椅子1の脚部底面に差し込むことで、椅子1の脚部にキャスター2を取り付けることができる。
【0046】
第1実施形態におけるキャスター支持部110には、上記の双輪キャスターを載置できるようにするために、2つの車輪支持面111a、111bと、その間に挟まれる位置に車輪支持面111a、111bより上方に位置するように形成された車輪軸部支持面113とが設けられている。キャスター支持部110の形状は、図示されている形状に限定されるものではなく、載置するキャスター2の形状に合わせたものとしてもよい。
【0047】
車輪支持面111a、111bおよび車輪軸部支持面113は、キャスター2の車輪2aに適合したサイズに設計されている。キャスター支持部110にキャスター2を載置した場合には、図4に示すように、キャスター2の車輪2aが車輪支持面111a、111bに当接し、キャスター2の車輪軸部2bが車輪軸部支持面113に当接して、キャスター2がキャスター支持部110上に固定される。
【0048】
キャスター支持部110の下側に位置する内部には、荷重伝達部材120を収容するための収容空間を形成する収容空間形成部115が設けられている。収容空間形成部115により形成された収容空間内には荷重伝達部材120が配置され、キャスター支持部110に対して固定されている。荷重伝達部材120は、図6に示すようにその下面が下側部材200に向かって露出している。荷重伝達部材120は、荷重検出時に下側部材200の荷重検出用部材310の突起部311に接して(図8参照)、椅子1および測定対象者Sの重量をロードセル300に伝達する役割を有している。荷重伝達部材120は、剛性および耐久性に優れた金属からなることが好ましい。
【0049】
(上側部材ベース部130)
上側部材ベース部130は、キャスター支持部110の下側に配置される部材である。上側部材ベース部130は、外周が略正円状であるとともに上方より下方が広がった椀状の概形を有しており、上側部材ベース部130の下方内側に下側部材200を配置するための空間が形成されている。
【0050】
上側部材ベース部130は、ベース平板部131とテーパー部141と側周面部151とが一体に成形されている。
【0051】
ベース平板部131は、水平方向に広がり外周が略正円状となるよう成形された平板部材である。ベース平板部131は、例えばキャスター支持部110の下面の一部が載置可能なように構成されている。具体的には、ベース平板部131には、キャスター支持部110の下面側が嵌り込んでキャスター支持部110を載置するための有底の窪みが形成されている。
【0052】
ベース平板部131の一部、少なくともキャスター支持部110内の収容空間に固定された荷重伝達部材120の箇所(ベース平板部131の略中央部)には、ベース平板部131の上面と下面とを貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔から荷重伝達部材120が下側部材200に向けて露出可能となるように構成されている。この構成により、収容空間内で固定されている荷重伝達部材120の下面が、下側部材200の突起部311により支持されることで、上側部材100に加わる荷重が突起部311を通じてロードセル300に伝達されるようになっている。
【0053】
第1実施形態における荷重検出装置10では、上側部材100が水平な状態となった場合に、荷重伝達部材120の下面が下側部材200の突起部311のみで支持されて、上側部材100の荷重が荷重伝達部材120から突起部311のみに集中するように設計されている。なお荷重検出時において、上側部材100は、椅子1および測定対象者Sの重量、さらにはロードセル300に生じるひずみにより、僅かに下方に沈み込む可能性がある。このように上側部材100が沈み込んだ場合も考慮して、他の位置で上側部材100が下側部材200や床面と接することなく上側部材100の荷重が突起部311のみに集中するように設計することが好ましい。
【0054】
テーパー部141は、ベース平板部131の外周から径方向外側かつ下方に広がり、外周が略正円状に成形された部材である。側周面部151は、テーパー部141の外周から下方に延びて略正円状の側周面を形成する部材である。側周面部151の内径は後述する下側部材ベース部210の外径より大きくなるように設計されており、荷重検出装置10の組み立て時に、上側部材100の側周面部151の径方向内側に下側部材ベース部210が挿入できるようになっている。
【0055】
テーパー部141および側周面部151の一部には、ヒンジ収容部145が形成されている。ヒンジ収容部145は、後述するヒンジ側固定部材170のシャフト175およびシャフト175の両端部の円板部材177を上側部材100の内側に収容するために、シャフト175および円板部材177に合わせた形状となっている。
【0056】
テーパー部141および側周面部151の一部には、配線導出溝形成部155が設けられている。配線導出溝形成部155は、上側部材100の内部と外部とを繋ぐ溝を形成し、ロードセル300から外部に電圧信号を伝送するための配線11の導通路として使用される。
【0057】
第1実施形態では一例として、配線導出溝形成部155は、ヒンジ収容部145に対して側周面部151の周方向に180°ずれた位置(ヒンジ収容部145とは反対側の位置)に配置されている。これにより、ヒンジ側固定部材170のシャフト175および円板部材177の位置とロードセル300の配線11の位置とを離して、ロードセル300の配線11がヒンジ側固定部材170によるヒンジ作用に干渉しないようにすることができる。
【0058】
荷重検出時に側周面部151の下面が床面に接してしまうと側周面部151の下面を床面が支持する状態となってしまい、荷重が適切に検出できない可能性がある。このため、上側部材ベース部130の高さ(ベース平板部131の上面から側周面部151の下面までの寸法)は、荷重検出時に上側部材100に荷重が加わって僅かに沈み込んだ場合であっても側周面部151の下面が床面に接しない寸法となるように設計されている。これにより、荷重が側周面部151の下面から床面に逃げないようにすることが可能となる。
【0059】
ベース平板部131の下面側には、鉛直方向下方に延びる円柱状の凸部133が設けられている。第1実施形態では凸部133は4箇所に設けられているが、その配置数および大きさ等は特に限定されるものではない。4つの凸部133は、下側部材200の下側部材ベース部210の上面に設けられている4つの筒状凹部211に対応する位置に配置されている。荷重検出装置10の組み立て時に上側部材100と下側部材200とを重ね合わせる際、4つの凸部133をそれぞれ対応する筒状凹部211に挿入することで、上側部材100と下側部材200との位置決めを行うことが容易となる。
【0060】
上側部材ベース部130の下面側には、配線側固定部材160およびヒンジ側固定部材170の2つの固定部材が配置されている。当該2つの固定部材は、キャスター支持部100が上側部材ベース部130から外れないようにするためにキャスター支持部110を上側部材ベース部130に固定する役割を有している。なお、本明細書では、説明を明瞭にするために、配線導出溝形成部155に近い側に配置された固定部材を配線側固定部材160と記載し、配線導出溝形成部155から遠い側に配置されてヒンジ構造を形成する固定部材をヒンジ側固定部材170と記載する。第1実施形態では、配線側固定部材160およびヒンジ側固定部材170はそれぞれ2つのネジ穴を有しており、配線側固定部材160は2つのネジ160aでネジ留めされ、ヒンジ側固定部材170は2つのネジ170aでネジ留めされている。配線側固定部材160およびヒンジ側固定部材170は、それぞれネジ穴に挿通されたネジ160a、170aをキャスター支持部110に設けられたネジ留め部(不図示)に挿入してネジ留めされ、これにより、キャスター支持部110を上側部材ベース部130に固定できるようになっている。
【0061】
ヒンジ側固定部材170は、上記のネジ穴を有する固定部材本体部171と、固定部材本体部171に接続されているシャフト接続部173と、シャフト接続部173に接続されているシャフト175とが一体に構成されている。シャフト接続部173は、一端側が固定部材本体部171に接続し他端側がシャフト175に接続して固定部材本体部171とシャフト175とを繋ぐ部材である。
【0062】
シャフト175は円柱状の長手部材であり、上側部材ベース部130の下面側の側周面部151近傍に配置されている。シャフト175は、長手方向に延びる軸芯が水平に配置されている。シャフト175の軸芯(シャフト175の長手方向)は、シャフト175の両端部から長手方向に沿って等距離のシャフト175上の位置であるシャフト175の略中央部と略正円状の上側部材ベース部130の略中心点とを結ぶ直線(図6のL1)に対して略垂直となるように配置されている。
【0063】
シャフト175の両端部には、略正円状の円板部材177が設けられている。円板部材177の略中央部にはシャフト175が接続されており、円板部材177がなす面とシャフト175の長手方向とが略垂直となるように配置されている。
【0064】
略正円状の円板部材177の直径は、シャフト175の円柱断面の直径(長手方向に垂直なシャフト175の断面に現れる略正円の直径)より大きくなるように設計されている。また、シャフト175の両端部の円板部材177が対向する面間の寸法であるシャフト175の長手方向の寸法(図6のD1)は、後述する下側部材200のシャフト受け部213に形成されているシャフト受け面213aの長手方向の寸法(図6のD2)とほぼ同一または僅かに長い寸法となるように設計されている。
【0065】
(下側部材200)
下側部材200は、下側部材ベース部210とロードセル300とにより構成されている。
【0066】
(下側部材ベース部210)
下側部材ベース部210は、水平方向に広がり外周が略正円状の平板部材である。下側部材ベース部210の下面は、荷重検出装置10を床面に載置した際に接する面であり、例えば凹凸のない平面とすることで荷重検出装置10を安定して床面に載置できるようになっている。下側部材ベース部210の外径は、上側部材100の側周面部151の内径より小さくなるように設計されている。これにより、上側部材100の側周面部151の径方向内側に下側部材ベース部210が挿入できるようになっている。
【0067】
下側部材ベース部210の上面側には筒状凹部211が設けられている。第1実施形態では、筒状凹部211は4箇所に設けられており、上述した上側部材ベース部130の下面に設けられた凸部133に対応する位置に配置されている。筒状凹部211は筒状部材であり、その上面には上側部材ベース部130の凸部133が挿入可能である凹部が設けられている。凹部は有底であってもよく、下側部材ベース部210の上面とした面とを貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0068】
筒状凹部211の上面の開口径は、上側部材ベース部130の凸部133の径より大きくなるように設計されている。凸部133および筒状凹部211の凹部の鉛直方向の寸法は、荷重検出時に上側部材100に荷重が加わって僅かに沈み込んだ場合であっても、凸部133の下面が下側部材ベース部210(筒状凹部211の凹部底面)に接しない寸法となるように設計されている。これにより、荷重が凸部133の下面から下側部材ベース部210に逃げないようにすることが可能となる。荷重検出装置10の組み立て時に上側部材100と下側部材200とを重ね合わせる際、上面部材の4つの凸部133をそれぞれ対応する筒状凹部211に挿入することで、上側部材100と下側部材200との位置決めを行うことが容易となる。
【0069】
下側部材ベース部210の上面にはシャフト受け部213が設けられている。シャフト受け部213は、上側部材ベース部130の下面側に配置されているシャフト175に対応する位置に配置されている。シャフト受け部213にはシャフト受け面213aが設けられている。シャフト受け面213aは、シャフト175の下側の外周面(円筒形状の側面の一部)の形状に合わせて形成された曲面である。シャフト175は円柱状であり、その外周面はシャフト175の軸芯から径方向外側に向かう凸曲面であるのに対して、シャフト受け面213aは、シャフト175の外周面を受ける形状に成形された凹曲面である。
【0070】
シャフト175の外径およびシャフト受け面213aの高さは、荷重検出前の位置決め時に上側部材100が水平方向から傾いた場合には、シャフト175の外周面がシャフト受け面213aに接する寸法となるように設計されている。また、シャフト175の外径およびシャフト受け面213aの高さは、上側部材100を水平な状態にした荷重検出時には、上側部材100に荷重が加わって僅かに沈み込んだ場合であってもシャフト175の外周面がシャフト受け面213aに接しない寸法となるように設計されている。これにより、荷重検出時にシャフト175とシャフト受け面213aとが離隔して、荷重がシャフト175からシャフト受け面213aに逃げないようにすることが可能となる。
【0071】
シャフト受け面213aの長手方向の寸法(図6のD2)は、上述のようにシャフト175の長手方向の寸法(図6のD1)とほぼ同一または僅かに短い寸法となるように設計されている。すなわち、シャフト175の両端部に設けられた円板部材177は、シャフト受け部213をその両端から挟み込むように配置されている。
【0072】
下側部材ベース部210の上面の略中央部にはロードセル配置部220が設けられている。ロードセル配置部220は、ロードセル基板320を収容するための側壁部221を有している。第1実施形態では、ロードセル基板320は角丸正方形状の薄い部材であり、側壁部221は、当該ロードセル基板320の側面を囲うように下側部材ベース部210の上面に立設されている。
【0073】
ロードセル配置部220には爪状部材223が設けられている。爪状部材223は、下側部材ベース部210の上面から立設された爪支持部223aと、爪支持部223aの上端に設けられており、ロードセル基板320の上面方向に突き出した爪部223bとを有している(図8参照)。爪状部材223は、その爪部223bがロードセル基板320の上面に係合することで、ロードセル基板320を固定することができる。第1実施形態では、ロードセル基板320の四辺のうちの三辺の中央部に係合する3つの爪状部材223が設けられており、各爪状部材223がロードセル基板320の三辺の中央部に係合することでロードセル基板320を固定できるようになっている。
【0074】
また、爪状部材223が設けられていないロードセル基板320の一辺側には、側壁部221を切り欠いて形成された配線導出部225が設けられている。配線導出部225は、ロードセル300から外部に電圧信号を伝送するための配線11の導通路として使用される。第1実施形態では一例として、配線導出部225は、シャフト受け部213に対して周方向に180°ずれた位置(シャフト受け部213とは反対側の位置)に配置されている。これにより、シャフト受け部213の位置とロードセル300の配線11の位置とを離して、ロードセル300の配線11がシャフト受け部213によるヒンジ作用に干渉しないようにすることができる。
【0075】
さらに、配線導出部225が設けられている側の下側部材ベース部210の外周面には、下側部材ベース部210の径方向に飛び出した側方凸部215が設けられている。側方凸部215は上側部材100に設けられた配線導出溝形成部155に対応する位置に配置されており、配線導出溝形成部155により形成される溝に挿入可能な形状を有している。ロードセル300の配線11は、側方凸部215および配線導出溝形成部155により形成される貫通孔から筐体外部に導出される。
【0076】
(ロードセル300)
ロードセル300は、荷重を検出して当該荷重に応じた電圧信号を出力する装置である。ロードセル300は、キャスター2の下に配置可能な小型のものであることが好ましい。本発明に適用可能なロードセル300は特に限定されるものではなく、例えば、起歪体にひずみゲージが取り付けられた圧縮型ロードセルを用いることができる。
【0077】
第1実施形態におけるロードセル300は、荷重検出用部材310とロードセル基板320とにより構成されている。
【0078】
荷重検出用部材310は、上方に突き出した突起部311とネジ留め部313とが一体となった部材である。荷重検出用部材310は、下側部材ベース部210の略中央部に配置され、その突起部311が上側部材100の荷重伝達部材120の下面に接する位置となるように、ネジ留め部313において2本のネジ313aによりロードセル基板320に固定されている。突起部311はロードセル300の一部であり、図5及び図6に示すようにその上面(上部の頂点)が上側部材100に向かって突き出している。突起部311は、荷重検出時に荷重伝達部材120の下面に接して(図8参照)、キャスター2の重量ならびに椅子1および測定対象者Sの重量をロードセル基板320に伝達する役割を有している。突起部311は、剛性および耐久性に優れた金属からなることが好ましい。
【0079】
ロードセル基板320には起歪部が配置されており、ロードセル基板320は、荷重による起歪部のひずみをひずみゲージにより電圧信号に変換して出力することができる。ロードセル基板320に接続されている配線11は、配線導出部225および配線導出溝形成部155を通じて外部に導出されており、電圧信号は、ロードセル基板320からこの配線11を通じて筐体外部に出力される。
【0080】
<荷重検出装置10を用いた測定>
以下、第1実施形態における荷重検出装置10を用いて測定対象者Sの体重を測定する際の工程について説明する。
【0081】
(荷重検出装置10の組み立て)
荷重検出装置10を用いた測定の準備として荷重検出装置10の組み立てを行う。荷重検出装置10は、上述したように上側部材100と下側部材200とにより構成されており、上側部材100および下側部材200はそれぞれ独立したパーツに分解して、収容および持ち運びできるようになっている。
【0082】
1組の上側部材100と下側部材200とを用意する。上側部材100のシャフト175を下側部材200のシャフト受け部213に嵌め込み、シャフト175の外周面がシャフト受け面213aに当接するように配置する。
【0083】
シャフト175およびシャフト受け面213aは、両端に円板部材177が設けられたシャフト175を支柱として、当該シャフト175がシャフト受け面213a上で回転することが可能なヒンジ構造を構成する。シャフト175は上側部材100に固定されており、シャフト受け面213aは下側部材200に固定されていることから、上側部材100と下側部材200とはシャフト175を回転軸として回転することができる。
【0084】
次いで、シャフト175をシャフト受け面213a上に当接させたまま、シャフト175を回転軸として上側部材100の下面と下側部材200の上面とが接近するように(すなわち、ヒンジを閉じるように)回転させる。そして、4つの嵌合凹部211に4つの凸部133を挿入し、かつ、配線導出溝形成部155により形成される溝に側方凸部215を挿入するように上側部材100を下側部材200に被せる。これにより、上側部材100の略中央部に位置する荷重伝達部材120と下側部材200の略中央部に位置する突起部311とが当接するように位置決めすることができる。
【0085】
(椅子1の脚部底面への配置)
上記のように組み立てた荷重検出装置10を椅子1の脚部の数だけ用意する。椅子1の脚部に設けられているキャスター2の下に荷重検出装置10を挿入して、キャスター支持部110の上にキャスター2の車輪2aを載置する。これにより、荷重検出装置10の上のキャスター2が転がらないように固定される。椅子1の脚部に設けられているすべてのキャスター2を荷重検出装置10の上に載置することで、椅子1の重量を荷重検出装置10で受けることができるようになる。
【0086】
荷重検出装置10は、椅子1の脚部の下に簡単に取り付けることができ、また、簡単に取り外すこともできる。荷重検出装置10を取り付ける椅子1として汎用の椅子1を用いることが可能であり、例えばオフィス用椅子等のキャスター付き椅子に荷重検出装置10を取り付けることができる。
【0087】
各荷重検出装置10の配線は、ロードセルから出力される電圧信号の処理を行う不図示の処理装置に接続される。当該処理装置は、複数のロードセルにより検出された荷重(電圧信号)の総和を求めることができるものであればよい。
【0088】
(荷重検出装置10の位置調整)
キャスター2の荷重をロードセル300で適切に検出するためには、椅子1が載置された上側部材100を下側部材200の突起部311のみで支持して、椅子1の荷重を含む上側部材100からの荷重を荷重伝達部材120と突起部311との接触位置に集中させる必要がある。第1実施形態における荷重検出装置10は、上側部材100を水平にすることで、上側部材100を荷重伝達部材120と突起部311との接触位置のみで支持して、上側部材100が下側部材200や床面から荷重が逃げてしまうことを防ぐ構成となっている。
【0089】
このとき、上側部材100を水平な状態として上側部材100を荷重伝達部材120と突起部311との接触位置のみで支持する状態とするために、上側部材100と下側部材200との位置調整を行う必要が生じる可能性がある。当該位置調整は、例えば荷重検出装置10の床面上の位置を少しずつ変えながら荷重検出装置10への荷重のかかり方を微調整することで行われてもよい。
【0090】
このような位置調整に関連して、第1実施形態における荷重検出装置10は、両端に円板部材177が設けられたシャフト175を上側部材100に有するとともに、シャフト受け面213aが形成されたシャフト受け部213を下側部材200に有している。これらの構成要素により構成されるヒンジ構造のヒンジ作用により、迅速かつ容易に上側部材100を水平な状態に安定化させることが可能となる。
【0091】
以下、図9および図10を参照しながら、第1実施形態における荷重検出装置10に係るヒンジ作用について説明する。
【0092】
図9は、第1実施形態における荷重検出装置10に係るヒンジ作用を説明するための第1の模式図である。図9は、図8に示す断面図(図7のA-A断面図)と同一方向から見た図である。図9には、上側部材100の構成要素が実線で図示され、キャスター2および下側部材200の構成要素が点線で図示されている。図9では、図示を明瞭にするために、一部の構成要素および符号が簡略化および省略されている。
【0093】
図9において、下側部材200に対して上側部材100の位置決めを行う際、上側部材100はS1方向またはS2方向(前後方向)にブレが生じる可能性がある。これに対して、第1実施形態では、上側部材100に固定されたシャフト175は、シャフト175の外周面に沿った形状を有するシャフト受け面213a上に位置しており、シャフト175の前後方向のブレを規制することができる。その結果、荷重伝達部材120と突起部311とが接する荷重点Pが前後方向の適切な位置に配置されるようにガイドすることが可能となる。上記の前後方向とは、平面視で略正円形状を有する上側部材の径方向であり、シャフトの長手方向に対して略垂直方向である。
【0094】
第1実施形態では、シャフト175およびシャフト受け面213aは、シャフト175の軸芯を中心として、シャフト175がシャフト受け面213a上で回転することが可能なヒンジ構造となっている。例えば上側部材100が水平状態から傾いてシャフト175の外周面がシャフト受け面213aのS2方向側の面と接触した場合、シャフト175にはS3回転方向に回転しようとする力が作用する。ヒンジ構造におけるシャフト175の回転により、シャフト175は鉛直方向とは異なる方向に荷重を逃がし、その結果、荷重伝達部材120と突起部311とが接する荷重点PはS1方向にガイドされて適切な位置に配置されるようになる。また、上記のようにシャフト175が前後方向に移動することでシャフト175からシャフト受け面213aに作用する力が弱くなり、その結果、シャフト175は鉛直方向上方に動きやすくなるので上側部材100を水平状態に戻すことが容易となる。なお、例えば上側部材100が水平状態から傾いてシャフト175の外周面がシャフト受け面213aのS1方向側の面と接触した場合も同様であり、シャフトに作用する回転力(S3回転方向とは逆の回転方向)により荷重点PはS2方向にガイドされ、かつ、上側部材100を水平状態に戻すことが容易となる。
【0095】
以上のように、上側部材100に固定されたシャフト175と下側部材に固定されたシャフト受け面213aとによりヒンジ構造を形成することで、前後方向へのブレを防止して荷重点Pを適切な位置に配置すること、および、上側部材100を水平状態とすることが容易となり、下側部材200に対する上側部材100の位置を迅速かつ容易に安定化させて荷重検出装置10による荷重検出を適切に行うことが可能となる。
【0096】
図10は、第1実施形態における荷重検出装置10に係るヒンジ作用を説明するための第2模式図である。図10は、図7のB方向から見た図である。図10には、上側部材100の構成要素が実線で図示され、キャスター2および下側部材200の構成要素が点線で図示されている。図10では、図示を明瞭にするために、一部の構成要素および符号が簡略化および省略されている。
【0097】
図10において、下側部材200に対して上側部材100の位置決めを行う際、上側部材100はS4回転方向またはS5回転方向にブレが生じる可能性がある。これに対して、第1実施形態では、上側部材100に固定されたシャフト175は水平方向に延びた長手部材である。例えば上側部材100にS4回転方向またはS5回転方向へ回転する力が加わった場合、シャフト175の長手方向が水平方向から傾くことになる。しかしながら、シャフト175の下方にはシャフト受け面213aが存在しているため、シャフト175の外周面がシャフト受け面213aに当接し、シャフト175のS4回転方向またはS5回転方向への回転を規制することができる。これにより、シャフト175の長手方向を水平方向に維持し、その結果、上側部材100のS4回転方向またはS5回転方向への回転を規制することが可能となる。
【0098】
また、下側部材200に対して上側部材100の位置決めを行う際、上側部材100はS6方向またはS7方向(左右方向)にブレが生じる可能性がある。これに対して、第1実施形態では、シャフト175の両端部に円板部材177が設けられている。円板部材177は、その直径がシャフト175の直径より大きく、シャフト受け部213を挟み込むように配置されている。例えば上側部材100にS6方向またはS7方向への力が加わった場合、シャフト175はS6方向またはS7方向へスライドしようとするが、円板部材177の面がシャフト受け部213に当接し、シャフト175のS6方向またはS7方向へのスライドを規制することができる。その結果、上側部材100の左右方向へのブレを防止して荷重点Pを適切な位置に配置することが可能となる。上記の左右方向とは、シャフトの長手方向と等しい方向である。
【0099】
以上のように、上側部材100に固定されたシャフト175と下側部材に固定されたシャフト受け面213aとによりヒンジ構造を形成することで、左右方向へのブレを防止して荷重点Pを適切な位置に配置すること、および、上側部材100を水平状態とすることが容易となり、下側部材200に対する上側部材100の位置を迅速かつ容易に安定化させて荷重検出装置10による荷重検出を適切に行うことが可能となる。
【0100】
(荷重検出装置10による荷重検出)
上述のように、シャフト175とシャフト受け面213aとにより形成されたヒンジ構造を利用して、キャスター2が載置されたすべての荷重検出装置10で位置調整を行う。荷重検出前の位置決めの際にはシャフト175とシャフト受け面213aとが当接し、当該ヒンジ構造における回転等によって、下側部材200に対する上側部材100の位置きめが行われる。そして、すべての荷重検出装置10において、例えばシャフト175とシャフト受け面213aとが離隔した状態となって、上側部材100からの荷重を荷重伝達部材120と突起部311との接触点である荷重点Pのみで支持する状態となる。このとき、上側部材100から下側部材200への荷重の伝達は荷重点Pのみとなり、その他の構成要素を介した荷重の伝達は、実質的に無視できる程度(ほぼゼロ)となる。
【0101】
例えば図1に示す5脚の椅子の場合には、5つの荷重検出装置10の荷重点P、すなわち5点の荷重点Pで椅子1を支持した状態となる。この状態で5つの荷重検出装置10を用いて検出された荷重の総和は、椅子1の重量を示している。
【0102】
さらに、測定対象者Sを椅子1に着座させ、この状態で5つの荷重検出装置10を用いて荷重を検出する。測定対象者Sが椅子1に着座した状態で5つの荷重検出装置10を用いて検出された荷重の総和は、椅子1の重量と測定対象者Sの体重との和であり、椅子1の重量を減算することで、測定対象者Sの体重を求めることができる。測定対象者Sを椅子1に着座させた後に上述した位置調整を再度行ってもよい。
【0103】
第1実施形態における荷重検出装置10は、上側部材100と下側部材200とが荷重点Pのみで接することが好ましいが、例えば鉛直方向に広がる面(法線が水平方向を向く面)同士で接していてもよい。具体的には、円柱状の凸部133の外周面と筒状凹部211の内周面との接触や、側周面部151の内周面と下側部材ベース部210の外周面との接触は、鉛直方向に広がる面同士の接触であり、これらの面同士が接触する力は水平方向を向いている。したがって、特に面同士の間に生じる摩擦力が小さい場合、面同士の間に生じる鉛直方向の力は実質的に無視できる程度(ほぼゼロ)となる。
【0104】
このように、第1実施形態における荷重検出装置10は、小型かつ簡易な構成のものであり、持ち運びや収納等を楽に行うことができる。また、第1実施形態における荷重検出装置10は、例えば汎用のキャスター付き椅子への取り付けおよび取り外しを簡単に行うことができ、利便性に優れている。さらに、第1実施形態における荷重検出装置10は、汎用のキャスター付き椅子等を利用して、測定対象者Sの体重を迅速かつ簡単に測定することができ、汎用性に優れている。
【0105】
上述した第1実施形態では、キャスター付き椅子の脚部の下に荷重検出装置10を配置する例を説明しているが、本発明に係る荷重検出装置10は、複数の脚部を備えた支持具の脚部の下に配置することができる。支持具としてはベッド、担架、テーブル等であってもよい。また、重量を測定するために支持具の上に置く測定対象物は、人間やペット等の生物であってもよく、無生物であってもよい。
【0106】
<荷重検出装置10の構成とその作用効果>
以下、第1実施形態における荷重検出装置10の構成とその作用効果について説明する。
【0107】
第1実施形態における荷重検出装置10は、複数の脚部を備えた椅子1の脚部の下に配置される荷重検出装置10であって、上側部材100と下側部材200とを備えている。上側部材100には、上面側に椅子1の脚部が載置され、下面側にシャフト175が設けられている。下側部材200には、上側部材100からの荷重を受ける荷重点Pにロードセル300が配置されており、上面側のシャフト175と対向する位置にシャフト175の外周面に沿った形状のシャフト受け面213aが形成されたシャフト受け部213が設けられている。荷重検出装置10は、荷重検出時にシャフト175とシャフト受け面213aとが離隔して、荷重点Pのみで下側部材200により上側部材100からの荷重を支持するように構成されている。
【0108】
上記の荷重検出装置10によれば、シャフト175がシャフト受け面213a上で回転することが可能なヒンジ構造が構成される。荷重検出前の位置決めの際に、当該ヒンジ構造により、下側部材200が上側部材100を荷重点Pのみで支持する位置を決めることが容易となり、下側部材200に対する上側部材100の位置を迅速かつ容易に安定化させて荷重検出装置10による荷重検出を適切に行うことが可能となる。
【0109】
第1実施形態における荷重検出装置10では、シャフト175が、荷重点Pから離れた位置に設けられており、略正円形状を有する上側部材100の径方向に対して略垂直方向に延びる円柱部材であってもよい。
【0110】
上記の荷重検出装置10によれば、シャフト175およびシャフト受け面213aにより構成されるヒンジ構造によって、荷重点Pの位置を径方向の適切な位置にガイドすることが可能となる。
【0111】
第1実施形態における荷重検出装置10は、シャフト175の両端部のそれぞれに、シャフト175の長手方向に対して垂直な面を有する円板部材177が設けられていてもよい。
【0112】
上記の荷重検出装置10によれば、シャフト175が長手方向にスライドすることを防ぎ、荷重点Pの位置が当該長手方向にずれるのを防ぐことが可能となる。
【0113】
第1実施形態における荷重検出装置10では、支持具がキャスター2の付いた椅子1であってもよい。
【0114】
上記の荷重検出装置10によれば、汎用のオフィス用椅子等のキャスター2の付いた椅子1に当該荷重検出装置10を取り付けることが可能となる。
【0115】
第1実施形態における荷重検出装置10では、上側部材100にキャスター2の付いた椅子1の車輪2aを載置するための車輪支持面111a、111bが形成されていてもよい。
【0116】
上記の荷重検出装置10によれば、キャスター2の付いた椅子1の車輪2aを上側部材100の上に載置して固定することが可能となる。
【0117】
第1実施形態における荷重検出装置10では、キャスター2の付いた椅子1の上に座る人間の体重を測定するために用いられてもよい。
【0118】
上記の荷重検出装置10によれば、キャスター2の付いた椅子1に着座した測定対象者Sの体重を測定することが可能となる。
【0119】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0120】
図11図14を適宜参照しながら、本発明の第2実施形態における荷重検出装置10Aについて説明する。図11は、本発明の第2実施形態における荷重検出装置の一例を示す分解斜視図である。図12は、図11に示す荷重検出装置(組み立て状態)の一例を平面図である。図13は、図11に示す荷重検出装置(組み立て状態)の一例を側面図である。図14は、図11に示す荷重検出装置(組み立て状態)の一例を示す斜視図である。本発明に係る荷重検出装置10Aは、図示した構成に限定されるものではない。
【0121】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、第1実施形態における荷重検出装置10と同様、椅子1の各脚部のキャスター2の下に配置され、検出した荷重を電圧信号に変換し、配線11を通じて出力することができるようになっている。荷重検出装置10Aから出力される電圧信号は、例えば信号増幅、フィルタリング、アナログ/デジタル変換等の従来の処理方法により適宜処理され、荷重検出装置10Aで検出された荷重を求めることができる。
【0122】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは床面に載置して使用されるものである。以下の説明では、床面に対して垂直な鉛直方向を基準として床面から遠い側を上側とし、床面に近い側を下側とする。また、第2実施形態における荷重検出装置10Aは、鉛直方向から平面視した場合に略楕円形状を有しており、略楕円形状の長軸方向を長手方向とする。さらに、第2実施形態における荷重検出装置10Aは、キャスター2の付いた椅子1が載置できるように構成されており、キャスター2が通過可能なスロープ部1180が配置された側を長軸方向近位側とし、ストッパ部が配置された側を長軸方向遠位側とする。
【0123】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、上側部材1100と下側部材1200とにより構成されている。上側部材1100および下側部材1200の各筐体の材質は特に限定されるものではないが、例えば樹脂または金属等からなり、射出成形やプレス成形等により成形されてもよく、3Dプリンター等により造形されてもよい。
【0124】
(上側部材1100)
上側部材1100は、キャスター支持部1110と上側部材ベース部1130とにより構成されている。
【0125】
(キャスター支持部1110)
キャスター支持部1110は、キャスター2の車輪2aおよび車輪軸部2bを載せるキャスター載置台として役割を有している。キャスター支持部1110は、上側部材ベース部1130のベース平板部1131より上方に向かって立設されるように設けられている。
【0126】
キャスター支持部1110には、車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113が設けられている。車輪支持面1111a、1111bは、キャスター2の車輪2aを載置するために、キャスター2の車輪外周面(地面と接するトレッド部分)の形状に合わせて断面半円状に形成された曲面である。車輪軸部支持面1113は、キャスター2の車輪軸部2bを載置するために溝状に切り欠きされた平面である。車輪軸部支持面1113は、長手方向に隣接するキャスター支持部1110の上平面1121、1122よりも下方に設けられている。
【0127】
第2実施形態におけるキャスター支持部1110は、第1実施形態における荷重検出装置10のキャスター支持部110と同様に、載置するキャスター2の形状に合わせたものとすることができる。荷重検出装置10Aのキャスター支持部1110は、一例として、双輪キャスターを載置できるように構成されており、2つの車輪支持面1111a、1111bと、その間に挟まれる位置に車輪支持面1111a、1111bより上方に位置するように形成された車輪軸部支持面1113とが設けられている。キャスター支持部1110にキャスター2を載置した場合には、キャスター2の車輪2aが車輪支持面1111a、1111bに当接し、キャスター2の車輪軸部2bが車輪軸部支持面1113に当接して、キャスター2がキャスター支持部1110上に固定されるようになっている。
【0128】
キャスター支持部1110の内部には、荷重伝達部材1120を収容するための収容空間を形成する収容空間形成部1115が設けられている。収容空間形成部1115により形成された収容空間内には荷重伝達部材1120が配置され、キャスター支持部1110に対して固定されている。荷重検出装置10Aの収容空間形成部1115は、一例として、キャスター支持部1110を貫通して、キャスター支持部1110の上平面1121で開口する挿通孔を形成している。荷重伝達部材1120は、収容空間形成部1115によって形成された挿通孔に挿入および固定されている。なお、収容空間形成部1115によって、キャスター支持部1110の下側のみで開口する有底の挿通孔が形成され、キャスター支持部1110の上側に荷重伝達部材1120の上面が露出しないようにしてもよい。
【0129】
荷重伝達部材1120は、第1実施形態における荷重検出装置10の荷重伝達部材120と同様に、その下面が下側部材1200に向かって露出しており、荷重検出時に下側部材1200の荷重検出用部材1310の突起部1311に接して、椅子1および測定対象者Sの重量をロードセル1300に伝達する役割を有している。荷重伝達部材1120は、剛性および耐久性に優れた金属からなることが好ましい。
【0130】
なお、収容空間形成部1115およびその中に挿通される荷重伝達部材1120は、平面視で略楕円状を有するキャスター支持部1110の略中央部(後述するように略楕円状のベース平板部1131の略中央部)に配置されている。一方、車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113は、キャスター支持部1110の略中央部から長手方向にずれた位置に配置されている。すなわち、平面視した場合に、車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113の位置と、荷重伝達部材1120が荷重検出時に荷重検出用部材1310の突起部1311に接する荷重点の位置とが離隔するように配置されている。
【0131】
このように車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113の位置と荷重点の位置とをずらした構成は、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dが車輪2aの真上に配置されておらず、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dの軸の位置A1(図14参照)と車輪2aの中心の位置A2(図14参照)とがずれているキャスター2を載置することを想定したものである。このようなキャスター2では、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dの位置A1の鉛直下方に向かって、椅子1および測定対象者Sの重量が掛かることになる。
【0132】
荷重検出装置10Aでは、車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113の位置をキャスター支持部1110の略中央部から長手方向にずらして、キャスター2が載置された際に、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dがキャスター支持部1110の略中央部(荷重伝達部材1120が配置された位置)の真上に配置されるように構成されている。この構成により、椅子1および測定対象者Sによる荷重がキャスター支持部1110の略中央部に配置された荷重伝達部材1120の真上に加わるため、荷重伝達部材1120からロードセル1300に荷重が適切に伝達されるようになるとともに、上側部材1100を水平状態に安定化させることが容易となり、荷重検出装置10Aによる荷重検出を適切に行うことが可能となる。
【0133】
車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113の位置と荷重点の位置との長手方向の離隔距離は、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dの軸の位置A1と車輪2aの回転中心の位置A2との離隔距離と同程度になるよう設定されることが好ましい。
【0134】
また、キャスター支持部1110には、スロープ部1180が設けられている。スロープ部1180は、車輪支持面1111a、1111bと長手方向に接続された車輪通過面1181a、1181bと、キャスター支持部1110の上平面1121、1122と長手方向に接続された車輪軸通過面1183とを有している。
【0135】
車輪通過面1181a、1181bは、例えば、車輪支持面1111a、1111bの長手方向近位側の端部からキャスター支持部1110の側周面部1151近傍までそれぞれ延びる滑らかな斜面である。また、車輪通過面1181a、1181bは、キャスター支持部1110の側周面部1151近傍において、車輪通過面1181a、1181bの高さが低くなるように傾斜しており、床面から車輪支持面1111a、1111bまで車輪2aを誘導できるようになっている。これにより、キャスター2の車輪2aは、床面から車輪通過面1181a、1181bに滑らかに移動し、長手方向遠位側に配置されている車輪支持面1111a、1111bの上に容易に載置可能となる。
【0136】
車輪軸通過面1183は、キャスター支持部1110の上平面1121の長手方向近位側に接続されており、車輪通過面1181a、1181bと同様に傾斜している斜面である。これにより、キャスター2の車輪2aが車輪通過面1181a、1181bを通過する際に、キャスター2の車輪軸部2bがキャスター支持部1110にぶつかることなく車輪軸通過面1183の上方を滑らかに通過することができるようになっている。
【0137】
また、キャスター支持部1110には、ストッパ部1190が設けられている。ストッパ部1190は、スロープ部1180を経由して車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113まで移動したキャスター2が、長手方向遠位側にさらに移動しないように停止させる役割を有している。ストッパ部1190は、例えば図示されているように、キャスター支持部1110の上平面1122の長手方向遠位側において上方に突き出すように設けられた突部により構成されている。
【0138】
(上側部材ベース部1130)
上側部材ベース部1130は、キャスター支持部1110の下側に配置される部材である。図示されている荷重検出装置10Aでは、上側部材ベース部1130は、外周が略楕円状であるとともに上方より下方が広がった椀状の概形を有しており、上側部材ベース部1130の下方内側に下側部材1200を配置するための空間が形成されている。なお、略楕円状には、長方形の角が丸まった角丸長方形等の楕円に似た形状も含まれる。
【0139】
上側部材ベース部1130は、ベース平板部1131とテーパー部1141と側周面部1151とが一体に成形されている。
【0140】
ベース平板部1131は、水平方向に広がり外周が略楕円状となるよう成形された平板部材である。ベース平板部1131は、例えばキャスター支持部1110の下面の一部が一体化するように構成されている。
【0141】
ベース平板部1131の一部、少なくともキャスター支持部1110内の収容空間に固定された荷重伝達部材1120の箇所(ベース平板部1131の略中央部)には、ベース平板部1131の上面と下面とを貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔から荷重伝達部材1120が下側部材1200に向けて露出可能となるように構成されている。この構成により、収容空間内で固定されている荷重伝達部材1120の下面が、下側部材1200の突起部1311により支持されることで、上側部材1100に加わる荷重が突起部1311を通じてロードセル1300に伝達されるようになっている。
【0142】
第2実施形態における荷重検出装置10Aにおいても、上側部材1100が水平な状態となった場合に、荷重伝達部材1120の下面が下側部材1200の突起部1311のみで支持されて、上側部材1100の荷重が荷重伝達部材1120から突起部1311のみに集中するように設計されている。なお、荷重検出時において、上側部材1100は、椅子1および測定対象者Sの重量、さらにはロードセル1300に生じるひずみにより、僅かに下方に沈み込む可能性がある。このように上側部材1100が沈み込んだ場合も考慮して、他の位置で上側部材1100が下側部材1200や床面と接することなく上側部材1100の荷重が突起部1311のみに集中するように設計することが好ましい。
【0143】
テーパー部1141は、ベース平板部1131の外周から径方向外側かつ下方に広がり、外周が略楕円状に成形された部材である。側周面部1151は、テーパー部1141の外周から下方に延びて略楕円状の側周面を形成する部材である。側周面部1151の内径は後述する下側部材ベース部1210の外径より大きくなるように設計されており、荷重検出装置10Aの組み立て時に、上側部材1100の側周面部1151の径方向内側に下側部材ベース部1210が挿入できるようになっている。
【0144】
テーパー部1141および側周面部1151の一部には、配線導出溝形成部1155が設けられている。配線導出溝形成部1155は、上側部材1100の内部と外部とを繋ぐ溝を形成し、ロードセル1300から外部に電圧信号を伝送するための配線11の導通路として使用される。
【0145】
荷重検出時に側周面部1151の下面が床面に接してしまうと側周面部1151の下面を床面が支持する状態となってしまい、荷重が適切に検出できない可能性がある。このため、上側部材ベース部1130の高さ(ベース平板部1131の上面から側周面部1151の下面までの寸法)は、荷重検出時に上側部材1100に荷重が加わって僅かに沈み込んだ場合であっても側周面部1151の下面が床面に接しない寸法となるように設計されている。これにより、荷重が側周面部1151の下面から床面に逃げないようにすることが可能となる。
【0146】
上述したように、第2実施形態における荷重検出装置10Aの上側部材1100および下側部材1200は、鉛直方向から平面視した場合に略楕円形状となるように成形されている。これにより、荷重検出装置10Aが床面と接する面積が大きくなり、また、長手方向に広がった形状となる。このため、上側部材1100が長手方向に揺動しにくくなり上側部材1100を安定化させることができるようになる。また、荷重検出装置10Aが長手方向に広がった形状となるので、車輪支持面1111a、1111bおよび車輪軸部支持面1113の位置と荷重点の位置とを長手方向に離隔させるためのスペースを作ることができるようになる。
【0147】
なお、第2実施形態は、図示されている荷重検出装置10Aの上側部材1100にテーパー部1141および側周面部1151の一部にヒンジ収容部が形成されていない点、および、上側部材ベース部1130の下面側にヒンジ側固定部材が配置されていない点で、第1実施形態と異なっている。ただし、第2実施形態においても、第1実施形態と同様にヒンジ収容部およびヒンジ側固定部材を設けた構成としてもよい。
【0148】
また、第2実施形態では図示および説明を省略するが、第1実施形態と同様に、キャスター支持部1110を上側部材ベース部1130に固定するための固定部材(配線側固定部材160に相当)を設けた構成、位置合わせのためにベース平板部1131の下面側に凸部(凸部133に相当)を設けた構成としてもよい。
【0149】
(下側部材1200)
下側部材1200は、下側部材ベース部1210とロードセル1300とにより構成されている。
【0150】
(下側部材ベース部1210)
下側部材ベース部1210は、水平方向に広がり外周が略楕円状の平板部材である。下側部材ベース部1210の下面は、荷重検出装置10を床面に載置した際に接する面であり、例えば凹凸のない平面とすることで荷重検出装置10Aを安定して床面に載置できるようになっている。下側部材ベース部1210の外径は、上側部材1100の側周面部1151の内径より小さくなるように設計されている。これにより、上側部材1100の側周面部1151の径方向内側に下側部材ベース部1210が挿入できるようになっている。
【0151】
下側部材ベース部1210には荷重検出時に大きな荷重が掛かるため、下側部材ベース部1210は、耐荷重性に優れた構成とすることが好ましい。例えば、下側部材ベース部1210をある程度の厚み(例えば厚さ6mm程度)の金属板によって構成することで、下側部材ベース部1210の耐荷重性を向上させることができ、頑丈で壊れにくい荷重検出装置10Aを実現することができるようになる。
【0152】
下側部材ベース部1210の上面の略中央部にはロードセル配置部1220が設けられている。ロードセル配置部1220は、ロードセル基板1320を収容するための側壁部1221を有している。第2実施形態では、ロードセル基板1320は角丸正方形状の薄い部材であり、側壁部1221は、当該ロードセル基板1320の側面を囲うように下側部材ベース部1210の上面に設けられている。
【0153】
なお、第2実施形態は、図示されている荷重検出装置10Aの下側部材ベース部1210の上面にシャフト受け部が設けられていない点で、第1実施形態と異なっている。ただし、第2実施形態においても、第1実施形態と同様にシャフト受け部を設けた構成としてもよい。
【0154】
また、第2実施形態では図示および説明を省略するが、第1実施形態と同様に、ロードセル配置部1220にロードセル固定用の爪状部材(爪状部材223に相当)を設けた構成、配線11の導出路を形成する側方凸部および配線導出部(側方凸部215および配線導出部225に相当)を設けた構成、位置合わせのために下側部材ベース部1210の上面側に筒状凹部(筒状凹部211に相当)を設けた構成としてもよい。
【0155】
(ロードセル1300)
ロードセル1300は、荷重を検出して当該荷重に応じた電圧信号を出力する装置である。第2実施形態におけるロードセル1300は、第1実施形態のロードセル300と同一のものを用いることができる。第2実施形態におけるロードセル1300においても、下側部材1200の略中央部(荷重伝達部材1120の下方)に荷重検出用部材1310が配置されている。荷重検出用部材1310の上方に突き出した突起部1311が荷重伝達部材1120の下面に接することで、椅子1および測定対象者Sの重量をロードセル基板1320に伝達することができるようになっている。
【0156】
<荷重検出装置10Aを用いた測定>
以下、第2実施形態における荷重検出装置10Aを用いて測定対象者Sの体重を測定する際の工程について説明する。
【0157】
(荷重検出装置10Aの組み立て)
荷重検出装置10Aを用いた測定の準備として荷重検出装置10Aの組み立てを行う。荷重検出装置10Aは、上述したように上側部材1100と下側部材1200とにより構成されており、上側部材1100および下側部材1200はそれぞれ独立したパーツに分解して、収容および持ち運びできるようになっている。使用時には、下側部材1200を床面に載置し、ロードセル1300の突起部1311の上方に荷重伝達部材1120の下面が位置するように上側部材1100を下側部材1200に被せる。
【0158】
(椅子1の脚部底面への配置)
上記のように組み立てた荷重検出装置10Aを椅子1の脚部の数だけ用意する。椅子1の脚部に設けられているキャスター2の下に荷重検出装置10Aを挿入して、キャスター支持部1110の上にキャスター2の車輪2aを載置する。この際、車輪2aを回転させてスロープ部1180から荷重検出装置10Aに乗り上げるように移動させることで、キャスター2を荷重検出装置10Aの上に容易かつ滑らかに載せることができる。
【0159】
(荷重検出装置10Aの位置調整)
キャスター2を荷重検出装置10Aの上に載せた後、キャスター取付部2cおよびキャスター軸2dの位置A1(図14の位置A1)が荷重検出装置10Aの略中央部に配置されるように、キャスター2および荷重検出装置10Aの位置を調整する。これにより、キャスター2からの荷重が荷重検出装置10Aの略中央部(荷重伝達部材1120の配置位置)に掛かるので適切な荷重の伝達が行われるようになり、荷重検出を確実かつ正確に行うことが可能となる。また、荷重検出時に上側部材1100を水平な状態に安定化させることが可能となる。
【0160】
(荷重検出装置10Aによる荷重検出)
キャスター2が載置されたすべての荷重検出装置10Aで位置調整を行い、すべての荷重検出装置10Aで上側部材1100を水平な状態に安定化させる。例えば図1に示す5脚の椅子の場合には、5つの荷重検出装置10Aの荷重点、すなわち5点の荷重点で椅子1を支持した状態となる。この状態では、5つの荷重検出装置10Aを用いて検出された荷重の総和は、椅子1の重量を示している。
【0161】
さらに、測定対象者Sを椅子1に着座させ、この状態で5つの荷重検出装置10Aを用いて荷重を検出する。測定対象者Sが椅子1に着座した状態で5つの荷重検出装置10Aを用いて検出された荷重の総和は、椅子1の重量と測定対象者Sの体重との和であり、椅子1の重量を減算することで、測定対象者Sの体重を求めることができる。測定対象者Sを椅子1に着座させた後に上述した位置調整を再度行ってもよい。
【0162】
第2実施形態における荷重検出装置10Aにおいても、上側部材1100と下側部材1200とが荷重点のみで接することが好ましいが、第1実施形態における荷重検出装置10と同様に、例えば鉛直方向に広がる面(法線が水平方向を向く面)同士で接していてもよい。
【0163】
このように、第2実施形態における荷重検出装置10Aは、小型かつ簡易な構成のものであり、持ち運びや収納等を楽に行うことができる。また、第2実施形態における荷重検出装置10Aは、例えば汎用のキャスター付き椅子への取り付けおよび取り外しを簡単に行うことができ、利便性に優れている。さらに、第2実施形態における荷重検出装置10Aは、汎用のキャスター付き椅子等を利用して、測定対象者Sの体重を迅速かつ簡単に測定することができ、汎用性に優れている。
【0164】
上述した第2実施形態では、キャスター付き椅子の脚部の下に荷重検出装置10Aを配置する例を説明しているが、本発明に係る荷重検出装置10Aは、複数の脚部を備えた支持具の脚部の下に配置することができる。支持具としてはベッド、担架、テーブル等であってもよい。また、重量を測定するために支持具の上に置く測定対象物は、人間やペット等の生物であってもよく、無生物であってもよい。
【0165】
<荷重検出装置10Aの構成とその作用効果>
以下、第2実施形態における荷重検出装置10Aの構成とその作用効果について説明する。
【0166】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、複数の脚部を備えたキャスター2の付いた椅子1の脚部の下に配置される荷重検出装置10Aであって、上側部材1100と下側部材1200とを備えている。上側部材1100には、上面側に椅子1の脚部が載置される。下側部材1200には、上側部材1100からの荷重を受ける荷重点にロードセル300が配置されている。荷重検出装置10Aは、荷重検出時に荷重点のみで下側部材1200により上側部材1100からの荷重を支持するように構成されている。また、荷重検出装置10Aは、上側部材1100に、キャスター2の付いた椅子1の車輪2aを載置するための車輪支持面1111a、1111bが形成されており、平面視した場合に車輪支持面1111a、1111bの位置と荷重点の位置とが離隔するように配置されている。
【0167】
上記の荷重検出装置10Aによれば、キャスター軸2dの位置と車輪2aの中心の位置とがずれているキャスター2の付いた椅子2を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置10Aの略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようになり、荷重検出を確実かつ正確に行うことが可能となる。また、上側部材1100を水平な状態に安定化させることが可能となる。
【0168】
第2実施形態における荷重検出装置10Aでは、平面視した場合に上側部材1100および下側部材1200が略楕円形状を有していてもよい。
【0169】
上記の荷重検出装置10Aによれば、荷重検出装置10Aが床面と接する面積が大きくなるとともに長手方向に広がった形状となる。これにより、上側部材1100が長手方向に揺動しにくくなり上側部材1100を安定化させることが可能となる。
【0170】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、荷重点が、平面視した場合に特定される略楕円形状の略中心部に配置されており、車輪支持面1111a、1111bが、平面視した場合における荷重点の位置から略楕円形状の長手方向にずれて配置されていてもよい。
【0171】
上記の荷重検出装置10Aによれば、平面視で略楕円形状を有する荷重検出装置10Aの長手方向に沿って車輪支持面1111a、1111bの位置と荷重点の位置とを離隔させるスペースを作ることが可能となる。これにより、キャスター軸2dの位置と車輪2aの中心の位置とがずれているキャスター2の付いた椅子1を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置10Aの略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようにした構成が容易に実現可能となる。
【0172】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、上側部材1100に、キャスター2の付いた椅子1の車輪2aを誘導する斜面が形成されているスロープ部1180を備えていてもよい。
【0173】
上記の荷重検出装置10Aによれば、キャスター2の付いた椅子1の車輪2aを回転させてスロープ部1180から荷重検出装置10Aに乗り上げるように移動させることで、キャスター2を荷重検出装置10Aの車輪支持面1111a、1111bの上に容易かつ滑らかに載せることが可能となる。
【0174】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、下側部材1200が、当該荷重検出装置10Aを床面に載置した際に接する下側部材ベース部1210を有しており、下側部材ベース部1210が金属板により構成されていてもよい。
【0175】
上記の荷重検出装置10Aによれば、荷重検出時に大きな荷重が加わる下側部材ベース部1210の耐荷重性を向上させることが可能となり、頑丈で壊れにくい荷重検出装置10Aを実現することが可能となる。
【0176】
第2実施形態における荷重検出装置10Aは、キャスター2の付いた椅子1の上に座る人間の体重を測定するために用いられてもよい。
【0177】
上記の荷重検出装置10Aによれば、キャスター2の付いた椅子1に着座した測定対象者Sの体重を測定することが可能となる。
【0178】
なお、本発明に係る荷重検出装置は、第1実施形態における荷重検出装置10の特徴と、第2実施形態における荷重検出装置10Aの特徴とを任意に組み合わせた構成であってもよい。例えば、下記のように第1実施形態に係る特徴と第2実施形態に係る特徴とを組み合わせることによって、本発明に係る荷重検出装置が実現されてもよい。
【0179】
第1実施形態における荷重検出装置10の下側部材ベース部210を、第2実施形態における荷重検出装置10Aの下側部材ベース部1210のように、所定の厚みを有する金属板で構成してもよい。
【0180】
第1実施形態における荷重検出装置10の上側部材100および下側部材200の形状を、第2実施形態における荷重検出装置10Aの上側部材1100および下側部材1200のように略楕円形状とし、略楕円形状の略中心部に荷重点P(荷重伝達部材120)を配置してもよい。
【0181】
第1実施形態における荷重検出装置10の荷重点P(荷重伝達部材120)を、第2実施形態における荷重検出装置10Aの荷重点(荷重伝達部材1120)のように、椅子1のキャスター取付部2cおよびキャスター軸2dの真上に配置してもよい。例えば第1実施形態における荷重検出装置10において、荷重点Pの位置(荷重伝達部材1120)を荷重検出装置10の略中央部に配置し、荷重点Pの位置(荷重伝達部材1120)から長手方向にずらした位置に車輪支持面111a、111bおよび車輪軸部支持面113を配置してもよい。
【0182】
第1実施形態における荷重検出装置10の上側部材100を、第2実施形態における荷重検出装置10Aの上側部材1100のように、キャスター2の車輪2aを誘導するスロープ部1180が設けられた構成としてもよい。
【0183】
第1実施形態における荷重検出装置10の上側部材100を、第2実施形態における荷重検出装置10Aの上側部材1100のように、キャスター2の車輪2aを停止させるストッパ部1190が設けられた構成としてもよい。
【0184】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例および設計変更等をその技術的範囲に包含するものである。
【0185】
<付記>
本明細書による開示は、以下の内容を包含するものである。
【0186】
本発明は、利便性および汎用性に優れ、迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことを可能にする荷重検出装置を提供することを目的とする。
【0187】
(A)本発明に係る荷重検出装置は、上記の目的を達成するため、本発明に係る荷重検出装置は、複数の脚部を備えた支持具の前記脚部の下に配置される荷重検出装置であって、
上面側に前記支持具の前記脚部が載置され、下面側にシャフトが設けられている上側部材と、
前記上側部材からの荷重を受ける荷重点にロードセルが配置されており、上面側の前記シャフトと対向する位置に前記シャフトの外周面に沿った形状のシャフト受け面が形成されたシャフト受け部が設けられている下側部材と、を備えており、
荷重検出時に前記シャフトと前記シャフト受け面とが離隔して、前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持することを特徴とするものであってもよい。
【0188】
上記(A)の荷重検出装置によれば、シャフトがシャフト受け面上で回転することが可能なヒンジ構造が構成される。荷重検出前の位置決めの際に、当該ヒンジ構造により、下側部材が上側部材を荷重点のみで支持する位置を決めることが容易となり、下側部材に対する上側部材の位置を迅速かつ容易に安定化させて荷重検出を適切に行うことが可能となる。また、本発明は支持具に特別な構成を追加するものではなく、汎用の支持具を用いることができる。
【0189】
(B)本発明に係る荷重検出装置は、上記(A)において、前記シャフトが、前記荷重点から離れた位置に設けられており、略正円形状を有する前記上側部材の径方向に対して略垂直方向に延びる円柱部材であってもよい。
【0190】
上記(B)の荷重検出装置によれば、シャフトおよびシャフト受け面により構成されるヒンジ構造によって、荷重点の位置を径方向の適切な位置にガイドすることが可能となる。
【0191】
(C)本発明に係る荷重検出装置は、上記(A)または(B)において、前記シャフトの両端部のそれぞれに、前記シャフトの長手方向に対して垂直な面を有する円板部材が設けられていてもよい。
【0192】
上記(C)の荷重検出装置によれば、シャフトが長手方向にスライドすることを防ぎ、荷重点Pの位置が当該長手方向にずれるのを防ぐことが可能となる。
【0193】
(D)本発明に係る荷重検出装置は、上記(A)~(C)のいずれかにおいて、支持具がキャスター付き椅子であってもよい。
【0194】
上記(D)の荷重検出装置によれば、汎用のオフィス用椅子等のキャスター付き椅子に当該荷重検出装置を取り付けることが可能となる。
【0195】
(E)本発明に係る荷重検出装置は、上記(D)において、前記上側部材に前記キャスター付き椅子の車輪を載置するための車輪支持面が形成されていてもよい。
【0196】
上記(E)の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子の車輪を上側部材の上に載置して固定することが可能となる。
【0197】
(F)本発明に係る荷重検出装置は、上記(D)または(E)において、前記キャスター付き椅子の上に座る人間の体重を測定するために用いられてもよい。
【0198】
上記(F)の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子に着座した測定対象者の体重を測定することが可能となる。
【0199】
(G)本発明に係る荷重検出装置は、上記の目的を達成するため、複数の脚部を備えた支持具の前記脚部の下に配置される荷重検出装置であって、
上面側に前記支持具の前記脚部が載置される上側部材と、
前記上側部材からの荷重を受ける荷重点にロードセルが配置されている下側部材と、を備えており、
荷重検出時に前記荷重点のみで前記下側部材により前記上側部材からの荷重を支持し、
前記上側部材に前記支持具であるキャスター付き椅子の車輪を載置するための車輪支持面が形成されており、平面視した場合に前記車輪支持面の位置と前記荷重点の位置とが離隔するように配置されていてもよい。
【0200】
上記(G)の荷重検出装置によれば、キャスター軸の位置と車輪の中心の位置とがずれているキャスター付き椅子を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置の略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようになり、荷重検出を確実かつ正確に行うことが可能となり、上側部材を水平な状態に安定化させることが可能となる。
【0201】
(H)本発明に係る荷重検出装置は、上記(G)において、平面視した場合に前記上側部材および前記下側部材が略楕円形状を有していてもよい。
【0202】
上記(H)の荷重検出装置によれば、荷重検出装置が床面と接する面積が大きくなるとともに長手方向に広がった形状となるので、上側部材が長手方向に揺動しにくくなり上側部材を安定化させることが可能となる。
【0203】
(I)本発明に係る荷重検出装置は、上記(H)において、前記荷重点が、平面視した場合に特定される略楕円形状の略中心部に配置されており、
前記車輪支持面が、平面視した場合における前記荷重点の位置から略楕円形状の長手方向にずれて配置されていてもよい。
【0204】
上記(I)の荷重検出装置によれば、平面視で略楕円形状を有する荷重検出装置の長手方向に沿って車輪支持面の位置と荷重点の位置とを離隔させるスペースを作ることが可能となる。これにより、キャスター軸の位置と車輪の中心の位置とがずれているキャスター付き椅子を支持具として用いた場合であっても、荷重検出装置の略中央部に位置する荷重点に荷重が適切に掛かるようにした構成が容易に実現可能となる。
【0205】
(J)本発明に係る荷重検出装置は、上記(G)~(I)のいずれかにおいて、前記上側部材に、前記キャスター付き椅子の車輪を誘導する斜面が形成されているスロープ部を備えていてもよい。
【0206】
上記(J)の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子の車輪を回転させてスロープ部から荷重検出装置に乗り上げるように移動させることで、キャスターを荷重検出装置の上に容易かつ滑らかに載せることが可能となる。
【0207】
(K)本発明に係る荷重検出装置は、上記(G)~(J)のいずれかにおいて、前記下側部材が、当該荷重検出装置を床面に載置した際に接する下側部材ベース部を有しており、前記下側部材ベース部が金属板により構成されていてもよい。
【0208】
上記(K)の荷重検出装置によれば、荷重検出時に大きな荷重が加わる下側部材ベース部の耐荷重性を向上させることが可能となり、頑丈で壊れにくい荷重検出装置を実現することが可能となる。
【0209】
(L)本発明に係る荷重検出装置は、上記(G)~(K)のいずれかにおいて、前記キャスター付き椅子の上に座る人間の体重を測定するために用いられてもよい。
【0210】
上記(L)の荷重検出装置によれば、キャスター付き椅子に着座した測定対象者の体重を測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0211】
1 椅子(支持具)
2 キャスター
2a 車輪
2b 車輪軸部
2c キャスター取付部
2d キャスター軸
3 フットレスト
10、10A 荷重検出装置
11 配線
100、1100 上側部材
110、1110 キャスター支持部
111a、111b、1111a、1111b 車輪支持面
113、1113 車輪軸部支持面
115、1115 収容空間形成部
120、1120 荷重伝達部材
130、1130 上側部材ベース部
131、1131 ベース平板部
133 凸部
141、1141 テーパー部
145 ヒンジ収容部
151、1151 側周面部
155、1155 配線導出溝形成部
160 配線側固定部材
160a、170a、313a ネジ
170 ヒンジ側固定部材
171 固定部材本体部
173 シャフト接続部
175 シャフト
177 円板部材
200、1200 下側部材
210、1210 下側部材ベース部
211 筒状凹部
213 シャフト受け部
213a シャフト受け面
215 側方凸部
220、1220 ロードセル配置部
221、1221 側壁部
223 爪状部材
223a 爪支持部
223b 爪部
225 配線導出部
300、1300 ロードセル
310、1310 荷重検出用部材
311、1311 突起部
313 ネジ留め部
320、1320 ロードセル基板
1121、1122 上平面
1180 スロープ部
1181a 車輪通過面
1181b 車輪通過面
1183 車輪軸通過面
1190 ストッパ部
P 荷重点
S 測定対象者(測定対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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