(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133241
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】接触器、集積回路、電流の流れを遮断する方法
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H02H3/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016893
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】21159992
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517224492
【氏名又は名称】メレキシス テクノロジーズ エス エー
【氏名又は名称原語表記】Melexis Technologies SA
【住所又は居所原語表記】Chemin de Buchaux 38,2022 Bevaix Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】ボウリー ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ ステファン
【テーマコード(参考)】
5G004
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB03
5G004BA04
5G004CA06
5G004DA02
5G004DA05
5G004DC14
5G004EA01
5G004GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気車両またはハイブリッド車両のバッテリを選択的に電気負荷に/から接続し、切断するための接触器、集積回路及び電流の流れを遮断する方法を提供する。
【解決手段】2つの接触器の主スイッチは、アクチュエータによって駆動される可動部を有し、導電体部分を通って流れる一次電流を測定するための磁気センサと、当該磁気センサに、かつ、当該アクチュエータに接続されたコントローラは、スイッチを開放するためのコマンドを受信し407、アクチュエータを動作させ408、主スイッチが実際に開放されているかどうかを検出し410、スイッチが開放されていない場合にヒューズを溶断する400ように構成されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触器(150、250)であって、
第1の電力端子(151a、251a)と、
第2の電力端子(151b、251b)と、
前記第1の電力端子と前記第2の電力端子との間に電気的に接続されており、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分(154、254)、主スイッチ(153、253)、およびヒューズ(158、258)を含む、サブ回路であって、
前記主スイッチが、アクチュエータ(156、256)によって駆動される可動部を含む、サブ回路と、
前記導電体部分(154、254)を通って流れる一次電流を測定するように構成された磁気センサ(155、255)と、
前記導電体部分(154、254)を通って流れる前記一次電流を測定するための前記磁気センサ(155、255)に通信可能に接続されており、前記スイッチ(153、253)を選択的に開閉するための前記アクチュエータ(156、256)に動作可能に接続された、コントローラ(160、260)と、を含み、
前記接触器(150、250)が、前記主スイッチ(153、253)が実際に開放されているか、または閉鎖されているかを検出するための検出手段(157、257)をさらに含み、
前記コントローラ(160、260)が、
i)一次電流を測定し(401)、過電流状態が発生したかどうかを検出し(403)、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、
ii)前記アクチュエータ(156、256)を動作させて(408)、前記主スイッチ(153、253)を開放し、
iii)前記主スイッチ(153、253)が実効的に開放されているかどうかを検出し(409)、前記主スイッチが依然として閉鎖されていることが検出された場合に、前記ヒューズ(158、258)を溶断する(412)ように構成されている、接触器(150、250)。
【請求項2】
前記検出手段(157、257)が、前記磁気センサ(155、255)によって実行される前記電流測定とは独立した様式で、前記主スイッチが実際に開放されているか、または閉鎖されているかを検出するように構成されている、請求項1に記載の接触器(150、250)。
【請求項3】
前記コントローラが、
a)前記磁気センサ(155、255)を使用して、前記導電体部分(154、254)を通って流れる一次電流を繰り返し測定し(401)、
b)前記測定された一次電流に基づいて過電流状態が発生したかどうかを検出し(403)、過電流が発生したことが検出された場合に、ステップc)を続行し、
c)前記主スイッチ(153、253)を開放するために利用可能な期間(Δtav)を判定し(406)、
d)前記利用可能な期間(Δtav)と前記主スイッチ(153、253)を開放するために必要な期間(Δtreq)とを比較し(407)、前記利用可能な期間が前記必要な期間より小さい場合に、ステップg)を続行し、そうでない場合に、ステップe)を続行し、
e)前記アクチュエータ(156、256)を動作させて(408)、前記主スイッチ(153、253)を開放し、
f)前記主スイッチ(153、253)が実効的に開放されているかどうかを検出し(409)、前記主スイッチ(153、253)が前記利用可能な期間(Δtav)後に依然として閉鎖されている場合に、前記ヒューズを溶断する(412)ように構成されている、請求項1または2に記載の接触器(150、250)。
【請求項4】
前記コントローラ(160、260)が、外部プロセッサ(130、213、230)に接続可能な少なくとも1つの通信ポートを有し、
前記コントローラ(160、260)が、前記スイッチを閉鎖するためのコマンド、前記スイッチを開放するためのコマンド、前記ヒューズを溶断するためのコマンドからなる群から選択される少なくとも1つのコマンドを受信するようにさらに構成されており、
前記コントローラが、
x)前記スイッチを閉鎖するためのコマンドを受信すると、前記アクチュエータ(156、256)を動作させて、前記主スイッチ(153、253)を閉鎖すること、
y)前記スイッチを開放するためのコマンドを受信すると、ステップii)およびiii)を実行すること、
z)前記ヒューズを溶断するためのコマンドを受信すると、前記ヒューズを溶断すること、のうちの少なくとも1つを実行するようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項5】
前記接触器が、少なくとも60アンペアの電流を伝導することが可能であり、
前記接触器が、最大48ボルトの電圧電源を受け取るための第3および第4の電力端子(152a、152b;252a、252b)をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項6】
前記ヒューズが、パイロヒューズもしくはスクイブであるか、またはパイロヒューズもしくはスクイブを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(156、256)が、コイルと、前記コイルに対して可動である要素と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項8】
前記コントローラが、前記コイルを通って流れる二次電流を測定するようにさらに構成されており、
前記コントローラが、前記磁気センサ(155、255)から取得された信号に基づいて、かつ前記二次電流によって生成された磁場の影響を低減するために前記二次電流を考慮して前記一次電流を判定するようにさらに構成されている、請求項7に記載の接触器(150、250)。
【請求項9】
前記検出手段(157、257)が、前記作動手段(156、256)を通って流れる電流を測定するように構成されたシャント抵抗器(264)を含み、
前記コントローラ(160、260)が、前記シャント抵抗器(264)を通って、かつ前記コイル(256)を通って流れる電流を判定するために、前記シャント抵抗器(264)にわたる電圧を測定するようにさらに構成されており、
前記コントローラ(160、260)が、前記シャント抵抗器(256)を通って流れる前記電流を繰り返しサンプリングし、それによって、電流波形を取得するように、かつ前記可動要素の移動を示す特性を検出するために、前記電流波形を分析するようにさらに構成されている、請求項7または8に記載の接触器(150、250)。
【請求項10】
前記検出手段(157、257)が、前記可動要素の位置を検出するための位置センサを含み、
前記コントローラ(160、260)が、前記可動要素の前記位置を判定するために前記位置センサに接続されており、それによって、前記スイッチのステータスを判定する、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項11】
前記磁気センサ(155、255)が、前記導電体部分(154、254)の近傍に配置されており、かつ前記導電体部分を通って流れる前記電流によって生成される磁場成分を測定するように構成された、少なくとも1つの水平ホール素子、または少なくとも1つの垂直ホール素子、または少なくとも1つの磁気抵抗素子を含むか、
または、前記磁気センサ(155、255)が、互いに離間し、平行に配向され、磁場差分または磁場勾配を測定するように構成された、少なくとも2つの水平ホール素子または少なくとも2つの垂直ホール素子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項12】
前記コントローラ(160、260)に接続された加速度計および/またはジャイロスコープをさらに含み、
前記コントローラ(160、260)が、前記加速度計および/または前記ジャイロスコープから取得された信号に基づいて異常状態を判定するようにさらに適合されており、
前記コントローラ(160、260)が、前記主スイッチ(153、253)を自律的に開放し、かつ/または前記ヒューズ(158、258)を溶断するようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項13】
前記コントローラ(160、260)が、集積半導体デバイスに実装されており、
前記磁気センサ(155、255)もまた、前記半導体デバイスに集積されており、
前記アクチュエータ(156、256)が、第2のスイッチ(265)と直列に接続されたコイルを含み、
前記検出手段(157、257)が、前記コイルと直列に接続されたシャント抵抗器(264)を含み、
前記コントローラ(160、260)が、前記シャント抵抗器(264)にわたる第1の電圧をサンプリングするように、かつ前記コイルにわたるか、または前記コイルと前記シャント抵抗器との前記直列接続にわたる第2の電圧をサンプリングするように、かつ前記第1および第2の電圧サンプルに基づいて前記主スイッチ(253)のステータスを判定するように構成されており、
前記コントローラ(160、260)が、前記主スイッチを動作させるための前記アクチュエータを制御するための第1の出力(OUT1)を有し、
前記コントローラが、前記ヒューズ(158、258)を溶断するための第2の出力(OUT2)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)。
【請求項14】
先行請求項のいずれか一項に記載の接触器(150、250)で使用するための集積回路であって、
プログラム可能なプロセッサの形態の前記コントローラ、
前記磁気センサ、
前記集積回路に接続可能なシャント抵抗器にわたる電圧を感知するためのシャントインターフェースであって、前記電圧から二次電流を判定することができる、シャントインターフェース、
主スイッチ(153、253)に接続されたアクチュエータを駆動するための第1の出力(出力1)、
ヒューズドライバを作動させるための第2の出力(出力2)、を含み、
前記プロセッサが、
i)前記磁気センサを使用して一次電流を測定し(401)、過電流状態が発生したかどうかを検出し(403)、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、そうでない場合に、ステップi)を繰り返し、
ii)前記アクチュエータ(156、256)を動作させて(408)主スイッチ(153、253)を開放するために、前記第1の出力(出力1)をアサートし、
iii)前記シャントインターフェースから取得された信号を分析することによって、前記主スイッチ(153、253)が実効的に開放されているかどうかを検出し(409)、一定時間間隔(Δtav)後に前記主スイッチが依然として閉鎖されていることが検出された場合に、前記ヒューズ(158、258)を溶断する(412)ために、前記第2の出力(出力2)をアサートするように構成されている、集積回路。
【請求項15】
コイルにわたる電圧を感知するための電圧感知インターフェースをさらに含み、
前記プロセッサが、iii)前記シャントインターフェースから取得された信号および前記電圧感知インターフェースから取得された信号を分析することによって、前記主スイッチが実効的に開放されているかどうかを検出する(409)ように構成されている、請求項14に記載の集積回路(500)。
【請求項16】
外部プロセッサから命令を受信するためのデジタル通信インターフェースをさらに含み、
前記プロセッサが、前記外部プロセッサから前記スイッチを開放するための命令を受信すると、ステップii)およびiii)を実行するようにさらに構成されている、請求項14または15に記載の集積回路(500)。
【請求項17】
特徴である、
12ボルト電源入力、
前記第1の出力に接続可能なPWMジェネレータ、
タイマユニット、
外部温度を測定するための負温度係数(NTC)コンポーネントインターフェース、
エアバッグECUと通信するための第1の通信インターフェース、
バッテリ管理システム(MBS)のコントローラと通信するための第2の通信インターフェース、のうちの1つ以上をさらに含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項18】
接触器(150、250)であって、
第1の電力端子(151a、251a)、
第2の電力端子(151b、251b)、
前記第1の電力端子と前記第2の電力端子との間に電気的に接続されており、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分(154、254)、アクチュエータ(156、256)によって駆動される可動部を含む主スイッチ(153、253)、およびヒューズ(158、258)を含む、サブ回路、
前記導電体部分(154、254)を通って流れる一次電流を測定するように構成された磁気センサ(155、255)、
前記導電体部分(154、254)を通って流れる前記一次電流を測定するための前記磁気センサ(155、255)に通信可能に接続されており、前記スイッチ(153、253)を選択的に開閉するための前記アクチュエータ(156、256)に動作可能に接続された、コントローラ(160、260)、を含み、
前記コントローラ(160、260)が、前記主スイッチ(153、253)を開放するか、または閉鎖するコマンドを受信するための、外部プロセッサ(BMS、ECU)に接続可能な通信ポートを有する、接触器(150、250)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電力回路の分野に関し、より具体的には、電気車両またはハイブリッド車両のバッテリを選択的に電気負荷に/から接続し、切断するための接触器、集積回路、および電流の流れを遮断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両(EV)またはハイブリッド車両(HV)のモータは、約200ボルト~約800V、またはさらにそれを超える範囲の電圧を提供するバッテリによって電力供給され得る。バッテリは、電流ピークを最大3000アンペアまたはさらにそれを超えるものとした、最大約1500アンペアの大きさを有する電流を提供することが可能であり得る。言うまでもなく、そのような車両の電力回路は、乗客に潜在的な脅威をもたらす。安全上の理由から、電力回路および/またはバッテリ自体の不具合を迅速に検出して修復すべきであり、例えば、不具合には、5ms以内に検出する必要のあるものがある。
【0003】
そのような車両では、典型的には、通常の状況下で、接触器を使用して、電気モータに/から、または充電回路に/から、バッテリを選択的に接続し、切断する。電力回路は、緊急の場合に、例えば衝突の場合に、回路を開放するためのヒューズをさらに含み得る。
【0004】
特許文献1(US2014/292109(A1))は、電気車両(EV)またはハイブリッド車両(HV)で使用するための電流センサを含む接触器装置を記載している。
【0005】
改善または代替の余地が、常にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/292109号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態の一目的は、電気車両またはハイブリッド車両、特に電気自動車および/またはハイブリッド自動車で使用するための接触器を提供することである。
【0008】
本発明の実施形態の一目的は、そのような接触器を含む電力回路、およびそのような電力回路を含む電気車両を提供することである。
【0009】
本発明の実施形態の一目的は、そのような接触器を通って流れる電流を遮断する方法を提供することである。
【0010】
本発明の実施形態の一目的は、そのような方法を実行するための集積回路を提供することである。
【0011】
本発明の実施形態の一目的は、スイッチを有し、電流を測定し、その電流を遮断することがさらに可能である接触器を提供することである。
【0012】
本発明の実施形態の一目的は、(電流の流れを止めることができるという点で)改善された信頼性を有し、かつ/または改善された寿命を有し、好ましくは両方を有する、接触器を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態の一目的は、そのような接触器を含む電力回路を提供することであり、この電力回路は、改善された安全性を提供し、かつ/または改善された寿命を有し、好ましくはその両方を有する。
【0014】
本発明の実施形態の一目的は、そのような方法をより速く、かつ/またはより効率的に、かつ/またはより確実に実行するための集積回路を提供することである。
【0015】
これらおよび他の目的は、接触器によって、電力回路によって、接触器を通って流れる電流を遮断する方法によって、および本発明の実施形態による集積回路によって、達成される。
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、接触器であって、第1の電力端子と、第2の電力端子と、第1の電力端子と第2の電力端子との間に電気的に接続されており、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分、主スイッチ(本明細書では、「高電圧スイッチ」または「HVスイッチ」とも称される)、およびヒューズを含む、サブ回路であって、主スイッチが、アクチュエータによって駆動される可動部を含む、サブ回路と、導電体部分を通って流れる一次電流(本明細書では、「高電圧電流」または「HV電流」とも称される)を測定するように構成された磁気センサと、導電体部分を通って流れる当該一次電流を測定するために当該磁気センサに通信可能に接続されており、当該スイッチを選択的に開閉するための当該アクチュエータに動作可能に接続された、コントローラと、を含み、接触器が、主スイッチが実際に開放されているか、または閉鎖されているかどうかを検出するための検出手段をさらに含み、コントローラが、(i)一次電流を測定し、過電流状態が発生したかどうかを検出し、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、そうでない場合に、ステップi)を繰り返し、(ii)アクチュエータを動作させて、主スイッチを開放し、(iii)主スイッチが実効的に開放されているかどうかを検出し、主スイッチが依然として閉鎖されている(例えば、時間間隔Δt後)ことが検出された場合に、ヒューズを溶断するように構成されている、接触器である。
【0017】
時間間隔Δtは、事前定義された時間間隔であってもよいし、測定されたHV電流の関数として(例えば、ルックアップテーブルを使用して)計算されてもよい。この期間は、HV電流の測定の後に1回のみ判定されてもよいし、(進行中のHV電流測定値に基づいて)動的に調整されるか、または更新されてもよい。
【0018】
「第1の電力端子」は、バッテリに(直接的に、または間接的に)接続されるか、または接続可能であってもよい。「第2の電力端子」は、電気モータに(直接的に、または間接的に)接続されるか、または接続可能であってもよい。
【0019】
利点は、磁気センサが非接触様式で一次電流を測定することができることである。これにより、磁気センサは、(相対的な)低電圧(例えば、最大48ボルト)で動作することが可能になる。
【0020】
主要な利点は、接触器が、当該検出手段を使用してスイッチが実効的に開放されているか閉鎖されているかにかかわらず、外部デバイスと通信する必要なく、かつ磁気センサからの測定値に依存しない様式で、自身を検出することができることであり、この理由は、これにより、フィードバックループが短縮され、ひいては、ヒューズを溶断することを必要としないで、アクチュエータを使用してスイッチを開放する試行を行うことができる余分な時間が提供されるからである。すなわち、換言すると、この接触器の利点は、(例えば、HV電流が特定の値よりも低い特定の状態下で)、まず可逆的な様式でスイッチを開放しようとすることができることであり、このことは、他のデバイス(例えば、外部プロセッサ)との通信に起因して貴重な時間が失われるとすれば、可能でない可能性がある。通信ループまたは意思決定ループを短縮することによって、不十分な時間のためにヒューズを溶断する必要がある確率を低減することができる。
【0021】
利点は、「検出手段」が、磁気センサによって実行される電流測定とは独立した様式で内部診断を実行するための方法を提供することである。すなわち、換言すると、利点は、スイッチを閉ループ様式(すなわち、フォワード動作に加えてフィードバック)で動作させることができることである。このようにして、接触器の信頼性を高めることができ、この接触器が使用される電力システムの安全性を改善することができる。
【0022】
過電流状態の検出は、測定されたHV電流を事前定義された値と比較することを含んでもよいし、古典的なI2T(アンペア二乗秒)手法を含むか、またはそれに基づいてもよい。
【0023】
「第1の電力端子」は、バッテリに(直接的に、または間接的に)接続されるか、または接続可能であってもよい。「第2の電力端子」は、電気モータまたは二相もしくは三相コンバータに(直接的に、または間接的に)接続されるか、または接続可能であってもよい。
【0024】
利点は、ヒューズが主スイッチと直列に接続されていることであり、この理由は、これにより、主スイッチが開放されなくても、HV電流を遮断できるようになるからである。
【0025】
「過電流状態を検出する」ステップは、測定された電流を事前定義された閾値と比較することを含んでもよい。
【0026】
「過電流状態を検出する」ステップは、経時的にI2T値(アンペア二乗秒)を計算することと、この値を事前定義された閾値と比較することと、を含んでもよい。
【0027】
実施形態では、コントローラは、a)磁気センサを使用して、導電体部分を通って流れる一次電流を繰り返し(例えば、周期的に)測定し、b)(例えば、周期的に)測定された一次電流に基づいて、過電流状態が発生したかどうかを検出し、過電流が発生したことが検出された場合に、ステップc)を続行し、c)例えば測定された電流値の関数としての、主スイッチを開放するために利用可能な期間(例えば、Δtav)を判定し、d)利用可能な期間(Δtav)と主スイッチを開放するために必要な期間(Δtreq)とを比較し、利用可能な期間が必要な期間よりも小さい場合に、ステップg)を続行し、そうでない場合に、ステップe)を続行し、e)アクチュエータを動作させて、主スイッチを開放し、f)検出手段を使用して、主スイッチが利用可能な期間(Δtav)内に実効的に開放されているかどうかを検出し、利用可能な期間(Δtav)後に主スイッチが依然として閉鎖されている場合に、ヒューズを溶断するように構成されている。
【0028】
上述したように、スイッチの開放は、(少なくとも)外部プロセッサ(例えば、ECU)からの対応するコマンドの受信によって、トリガされ得るか、トリガされることとなる。
【0029】
実施形態では、コントローラは、外部プロセッサに接続可能な少なくとも1つの通信ポートを有し、コントローラは、スイッチを閉鎖するためのコマンド、スイッチを開放するためのコマンド、ヒューズを溶断するためのコマンドからなる群から選択される少なくとも1つのコマンドを受信するようにさらに構成されており、コントローラは、(x)スイッチを閉鎖するためのコマンドを受信すると、アクチュエータを動作させて、主スイッチを閉鎖すること、(y)スイッチを開放するためのコマンドを受信すると、ステップii)およびiii)を実行すること、(z)ヒューズを溶断するためのコマンドを受信すると、ヒューズを溶断すること、のうちの少なくとも1つを実行するようにさらに構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、ステップii)およびiii)を実行することは、ステップa)およびステップc)~g)を実行することによって実行されてもよい。
【0031】
実施形態では、接触器は、少なくとも60アンペア(または少なくとも75アンペア、または少なくとも100アンペア、または少なくとも125アンペア)の電流を伝導することが可能であり、接触器は、最大48ボルト(または最大36V、または最大24V、または最大12V)の電圧電源を受け取るための第3および第4の電力端子をさらに含む。
【0032】
この電圧は、本明細書では「低電圧電源」と称される。この低電圧は、車両のモータに電力供給することを意図しないが、制御回路機構に電力供給することを意図した第2のバッテリによって供給されてもよい。少なくとも、コントローラ、アクチュエータ、検出手段、および磁気センサは、低電圧電源によって電力供給される。
【0033】
高電圧領域と低電圧領域とは、ガルバニック分離されている。好ましくは導電体部分の極近傍に物理的に位置するが、そこからガルバニック分離された磁気センサを使用する利点は、この磁気センサにより、低電圧領域内の回路機構が、高電圧領域に、すなわち導電体部分を通って流れる電流を測定することが可能になるという点にある。
【0034】
実施形態では、ヒューズは、パイロヒューズもしくはスクイブであるか、またはパイロヒューズもしくはスクイブを含む。
【0035】
実施形態では、アクチュエータは、コイルと、当該コイルに対して可動である要素と、を含む。アクチュエータは、スイッチを開放するために付勢されたばね(NOタイプ)、またはスイッチを閉鎖するために付勢されたばね(NCタイプ)をさらに含んでもよい。
【0036】
実施形態では、コントローラは、コイルを通って流れる二次電流を測定するようにさらに構成されており、コントローラは、磁気センサから取得された信号に基づいて、かつ二次電流を考慮して、一次電流を判定するようにさらに構成されている。
【0037】
磁気センサ自体から取得された信号は、例えば、一次電流値から、事前定義された定数を乗算した二次電流値を減算することによって、磁気センサの位置でコイルによって生成される磁場に対して補正されてもよい。このようにして、コンパクトな設計を同時に可能にしながら(磁気センサとコイルとは互いに比較的近接していてもよく、磁気シールドが絶対に必要なわけではない)、導電体部分を通って流れる電流を精度よく測定することができる。
【0038】
実施形態では、検出手段は、作動手段を通って流れる電流を測定するように構成されたシャント抵抗器を含み、コントローラは、シャント抵抗器を通って、かつコイルを通って流れる電流を判定するために、このシャント抵抗器にわたる電圧を測定するようにさらに構成されており、コントローラは、このシャント抵抗器を通って流れる電流を繰り返し(例えば、周期的に)サンプリングし、それによって電流波形を取得するように、かつ可動要素の移動を示す特性を検出するために、この電流波形を分析するようにさらに構成されている。
【0039】
実施形態では、検出手段は、可動要素の位置を検出するための位置センサ(例えば、例えば永久磁石によって放出される磁場に基づく、磁気位置センサ)を含み、コントローラは、可動要素の位置を判定するために当該位置センサに接続されており、それによってスイッチのステータス(すなわち、開放または閉鎖)を判定する。
【0040】
実施形態では、磁気センサは、当該導電体部分の近傍に配置されており、かつ当該導電体部分を通って流れる電流によって生成される磁場成分を測定するように構成された、少なくとも1つの水平ホール素子、または少なくとも1つの垂直ホール素子、または少なくとも1つの磁気抵抗素子を含む。
【0041】
この実施形態では、コントローラは、導電体部分を通って流れる電流を、測定された磁場成分に比例するものとして判定してもよい。
【0042】
外部擾乱場からの、またはアクチュエータコイルからの影響を低減するために、磁気センサの近傍に磁気シールドが提供されてもよい。
【0043】
実施形態では、磁気センサは、互いに離間し、平行に配向され、磁場差分または磁場勾配を測定するように構成された、少なくとも2つの水平ホール素子または少なくとも2つの垂直ホール素子を含む。
【0044】
この実施形態では、コントローラは、導電体部分を通って流れる電流を磁場差分または磁場勾配に比例するものとして判定し得る。磁場勾配を利用する利点は、磁場擾乱場を低減することができることである。
【0045】
実施形態では、接触器は、磁気センサの温度を測定するために、磁気センサの近傍に取り付けられた(例えば、同じ半導体基板上に集積された)温度センサをさらに含み、コントローラは、磁場値を電流値に変換するときに磁気センサの温度を考慮するようにさらに構成されている。(例えば、温度補正を実行するため)。このようにして、信号の精度をさらに改善することができる。
【0046】
実施形態では、接触器は、コントローラに接続された加速度計および/またはジャイロスコープをさらに含み、コントローラは、当該加速度計および/または当該ジャイロスコープから取得された信号に基づいて、異常状態(例えば、衝突が発生した、または車両が橋から落下した後に上下逆に配向されるなど)を判定するようにさらに適合されており、コントローラは、例えば特定のパラメータ(例えば、加速度パラメータまたは配向パラメータ)を分析することによって、異常状態が検出された場合に、主スイッチを自律的に開放し、かつ/またはヒューズを溶断するようにさらに構成されている。
【0047】
実施形態では、コントローラは、集積半導体デバイスに実装されており、磁気センサもまた、当該半導体デバイスに集積されており、(例えば、リードフレーム上の別個のコンポーネントとして同じパッケージ化されたデバイスに、またはコントローラと同じシリコン基板上に集積されている)、アクチュエータは、第2のスイッチと直列に接続されたコイルを含み、検出手段は、当該コイルと直列に接続されたシャント抵抗器を含み、コントローラは、当該シャント抵抗器にわたる第1の電圧をサンプリングするように、かつ当該コイルにわたるか、または当該コイルと当該シャント抵抗器との直列接続にわたる第2の電圧をサンプリングするように、かつ第1および第2の電圧サンプルに基づいて主スイッチのステータスを判定するように構成されており、コントローラは、主スイッチを動作させるためのアクチュエータを制御するための第1の出力を有し、コントローラは、ヒューズを溶断するための第2の出力を有する。
【0048】
コントローラは、アナログデジタル変換器(ADC)と、タイマと、クロック回路と、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ)と、PWMモジュールなどをさらに含んでもよい。
【0049】
別の態様によれば、本発明はまた、電力を提供するための電気バッテリと、電気モータを含む電気負荷と、第1の電力端子によって当該バッテリに接続されており、第2の電力端子によって当該電気負荷に接続されており、またはその逆である、先の請求項のいずれか一項に記載の接触器と、を含む電力回路を提供する。
【0050】
電気負荷は、三相コンバータをさらに含んでもよい。
【0051】
別の態様によれば、本発明はまた、第1の態様による接触器、または第2の態様による電力回路を含む電気車両またはハイブリッド車両を提供する。
【0052】
電気車両は、少なくとも1つのエアバッグをさらに含んでもよい。
【0053】
電気車両は、当該通信ポートを介して接触器に接続されたエンジン制御ユニット(ECU)をさらに含んでもよい。ECUは、エアバッグから取得された信号に基づいてスイッチを開放するために接触器に信号を提供するように構成されてもよい。
【0054】
別の態様によれば、本発明はまた、第1の態様に従って接触器を通って流れる電流を遮断する方法であって、(i)導電体部分を通って流れる一次電流を測定し、過電流状態が発生したかどうかを検出し、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、そうでない場合に、ステップi)を繰り返し、ii)主スイッチを開放するために、または開放しようとアクチュエータを動作させ、iii)主スイッチが実効的に開放されているかどうかを検出し、一定時間間隔(Δtav)後に主スイッチが依然として閉鎖されていることが検出された場合に、ヒューズを溶断する各ステップを含む。
【0055】
ステップi)は、測定された電流に基づいて、利用可能な期間Δtavを判定する任意選択のステップを含んでもよい。ステップii)にはある程度の時間がかかることから、いくつかの実施形態では、電流を測定することを継続すること、および利用可能な期間Δtavを動的に更新することが可能である。
【0056】
別の態様によれば、本発明はまた、第1の態様に従って接触器を通って流れる電流を遮断する方法であって、a)磁気センサを使用して接触器の導電体部分を通って流れる一次電流を繰り返し(例えば、周期的に)測定するステップと、b)測定された電流の関数とすることを任意選択として、主スイッチを開放するために利用可能な時間(例えば、事前定義された安全基準に従って)を判定するステップと、c)利用可能な時間と主スイッチを開放するために典型的に必要な時間とを比較し、利用可能な時間が典型的に必要な時間よりも小さい場合に、ステップf)を続行し、そうでない場合に、ステップd)を続行するステップと、d)主スイッチを開放するためのアクチュエータを動作させるステップと、e)検出手段を使用して主スイッチが利用可能な期間内に実効的に開放されているかどうかを検出し、利用可能な期間後に主スイッチが依然として閉鎖されている場合に、ヒューズを溶断するステップと、を含む方法を提供する。
【0057】
別の態様によれば、本発明はまた、第1の態様による接触器で使用するための集積回路を提供し、集積回路は、プログラム可能なプロセッサの形態の当該コントローラ、当該磁気センサ、(例えば、水平ホール素子、または垂直ホール素子、または磁気抵抗素子を含む回路の形態で)、集積回路に接続可能なシャント抵抗器にわたる電圧を感知するためのシャントインターフェースであって、この電圧から二次電流を判定することができる、シャントインターフェース、コイルにわたる電圧を感知するための電圧感知インターフェース、主スイッチに接続されたアクチュエータを駆動するための第1の出力、ヒューズドライバ(例えば、パイロヒューズドライバ)を作動させるための第2の出力を含み、プロセッサは、i)当該磁気センサを使用して一次電流を測定し、過電流状態が発生したかどうかを検出し、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、そうでない場合に、ステップi)を繰り返し、ii)主スイッチを開放するために、または開放しようとアクチュエータを動作させるために第1の出力をアサートし、iii)シャントインターフェースから取得された信号と電圧感知インターフェースから取得された信号とを分析することによって、主スイッチが実効的に開放されているかどうかを検出し、一定時間間隔後に主スイッチが依然として閉鎖されていることが検出された場合に、ヒューズを溶断するために第2の出力をアサートするように構成されている。
【0058】
本発明はまた、集積回路の変形例(
図6に例示される)を提供し、シャントインターフェース、および電圧インターフェース、および第1の出力は省略されているが、集積回路は、コイルインターフェースに動作可能に接続された、集積シャント抵抗器およびトランジスタを含む。
【0059】
集積回路はまた、好ましくは、シャントインターフェースから取得された信号をデジタル化するように構成され、かつ電圧感知インターフェースから取得された信号をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器を含む。
【0060】
シャントインターフェースは、かかる電圧が測定される1つまたは2つの専用入力ピンを含んでもよい。
【0061】
電圧感知インターフェースは、1つまたは2つの専用入力ピンを含んでもよく、そのうちの1つは、シャントインターフェースと共有されてもよい。
【0062】
集積回路は、好ましくは、当該プロセッサに埋め込まれるか、または接続された不揮発性メモリをさらに含む。不揮発性メモリは、電流対時間曲線に対応するデータを含んでもよい。不揮発性メモリはまた、好ましくは、プログラム可能なプロセッサによって実行されるときに、上述の方法のうちの1つ、または上記に述べた方法ステップのうちのいくつかまたはすべてを実行するための実行可能命令を含むコンピュータプログラムまたはコードフラグメントを含む。
【0063】
実施形態では、集積回路は、外部プロセッサから(例えば、外部ECUから)命令を受信するためのデジタル通信インターフェースをさらに含み、スイッチを開放するために外部プロセッサから命令(またはコマンド)を受信すると、ステップii)およびiii)を実行するようにさらに構成されている。
【0064】
実施形態では、集積回路は、低電圧電源入力、例えば12ボルト電源入力または24V電源入力、PWMジェネレータ、タイマユニット、外部温度を測定するためのNTCインターフェース(負温度係数コンポーネント)、エアバッグECUと通信するための第1の通信インターフェース、バッテリ管理システム(MBS)のコントローラと通信するための第2の通信インターフェースのうちの1つ以上をさらに含む。
【0065】
集積回路は、半導体基板に埋め込まれ、パッケージ化された半導体デバイスに組み込まれ(「チップ」とも称される)てもよい。
【0066】
別の態様によれば、本発明はまた、接触器であって、第1の電力端子、第2の電力端子、第1の電力端子と第2の電力端子との間に電気的に接続されており、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分、アクチュエータによって駆動される可動部を含む主スイッチ、およびヒューズを含むサブ回路、導電体部分を通って流れる一次電流を測定するように構成された磁気センサ、導電体部分を通って流れる当該一次電流を測定するために当該磁気センサに通信可能に接続されており、当該主スイッチを選択的に開閉するための当該アクチュエータに動作可能に接続されたコントローラ、を含み、コントローラは、スイッチを開放するか、または閉鎖するためのコマンドを受信するための、外部プロセッサ(BMS、ECU)に接続可能な通信ポートを有する、接触器を提供する。
【0067】
本発明の特定のおよび好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記述されている。従属請求項からの特徴は、単にこれらの請求項に明示的に記載されるものではなく、適宜、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と組み合わせられてもよい。
【0068】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して解明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】
図1は、本発明によって提案される、接触器、および当該接触器を含む電力回路の高レベルブロック図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示される接触器および回路の変形例または具体的な実装態様として見ることができる、本発明によって提案される、接触器、および当該接触器を含む電力回路の別のブロック図を示す。
【
図3】
図3は、測定された電流の関数としてスイッチを開くためにどのくらいの時間が利用可能であるかを判定するために、本発明の実施形態で使用され得る、典型的な時間電流曲線を示す。
【
図4A】
図4Aは、
図1または
図2に示される接触器のコントローラによって実行され得る、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図4B】
図4Bは、
図1または
図2に示される接触器のコントローラによって実行され得る、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図4C】
図4Cは、
図1または
図2に示される接触器のコントローラによって実行され得る、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図4D】
図4Dは、
図1または
図2に示される接触器のコントローラによって実行され得る、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態で使用され得る、プロセッサを含む集積回路のブロック図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態で使用され得る、プロセッサを含む別の集積回路のブロック図を示す。
【0070】
図面は、概略のみであり、非限定的である。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、例示目的で、誇張され、縮尺通りに描画されていない場合がある。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるものではない。異なる図面では、同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明は、特定の実施形態に関して、および特定の図面を参照して記載されるが、本発明はそれに限定されずに、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載される図面は、概略のみであり、非限定的である。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、例示目的で、誇張され、縮尺通りに描画されていない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明の現実の実施化に対応しない。
【0072】
さらに、説明および特許請求の範囲における第1、第2などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも、時間的に、空間的に、序列の、または任意の他の様式の順序を記載するために使用されない。このように使用される用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載されるか、または例示される以外の順序での施用が可能であることを理解されたい。
【0073】
さらに、説明および特許請求の範囲における上部、下部などの用語は、説明目的で使用され、必ずしも相対位置を記述するために使用されない。このように使用される用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態が、本明細書に記載されるか、または例示される以外の方位付けでの施用が可能であることを理解されたい。
【0074】
特許請求の範囲内で使用される「含む」という用語は、その後に列挙される手段に制限されると解釈されるものではなく、他の要素またはステップを除外しないことに留意されたい。したがって、それは、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を言及される通りに指定するものと解釈されることとなるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。したがって、「手段AおよびBを含むデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるものではない。それは、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素がAおよびBのみであることを意味する。
【0075】
本明細書全体を通した「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な箇所における「一実施形態において」または「実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指してもよい。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に対してであれば明らかであろうように、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0076】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、かつ様々な発明態様のうちの1つ以上の理解を補助する目的で、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめてグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、特許請求される発明が、各請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明態様は、単一の前述の開示された実施形態の全特徴に満たずに成り立っている。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の別個の実施形態として単独で存在する。
【0077】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴は含まず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者であれば理解するであろうように、本発明の範囲内にあり、かつ異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用することができる。
【0078】
本明細書に提供される説明において、多数の具体的な詳細が、述べられる。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。他の事例では、周知の方法、構造、および手法は、この説明の理解を曖昧にしないために、詳細には示されていない。
【0079】
本書では、「スクイブ」という用語は、小型起爆デバイスを指す。
【0080】
本書では、「一次電流」および「HV電流」という表現は、同じものを意味する。
【0081】
本書では、「二次電流」および「アクチュエータコイルを通って流れる電流」という表現は、同じものを意味する。
【0082】
本書では、「スイッチ」または「HVスイッチ」または「主スイッチ」という用語は、同じものを意味し、それらは、別のスイッチ(例えば、コイルに通電するためのスイッチ265、またはヒューズを溶断するためのスイッチ263)が意味することが文脈から明らかでない限り、第1および第2の高電力端子間に接続されたスイッチ(スイッチ153、253を参照)を指す。
【0083】
本書では、「期間」または「時間間隔」または「持続時間」という用語は、同じものを意味する。
【0084】
本発明は、電気負荷(例えば、インバータ、電気モータなど)に/から、電気車両またはハイブリッド車両のバッテリを選択的に接続/切断するための接触器に関する。本発明はまた、接触器を含む電力回路、接触器を通って流れる電流を遮断する方法、およびそのような接触器での使用に理想的に適した集積回路に関する。
【0085】
US2014/292109A1は、スイッチが閉鎖されると、接触器を通って流れる電流を測定するための電流センサを含む電気機械スイッチを含む接触器を開示する。この先行技術の接触器のスイッチが開放されているか、または閉鎖されているかは、電子制御ユニット(ECU)と称されることが多い外部プロセッサによって制御される。
【0086】
しかしながら、安全な電力システムを作るためには、バッテリを接続するか、または切断することができる接触器を有するだけでは十分でない。電気車両の電気回路は、衝突の発生時など、乗員に本当の脅威をもたらす可能性があるため、安全上の理由で、電力回路の誤動作を迅速に検出し、問題の深刻度に応じて、バッテリを、迅速かつ確実に、例えば場合によっては5ms以内に、切断するのがよい。
【0087】
本発明は、第1の電力端子(例えば、バッテリに接続可能)、および第2の電力端子(例えば、電気負荷に、または充電回路に接続可能)と、第1の電力端子と第2の電力端子との間に電気的に接続され、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分(例えば、ブスバー部分)、アクチュエータによって駆動される可動部を含む主スイッチ、およびヒューズ(例えば、パイロヒューズまたはスクイブなど)を含むサブ回路と、を含む接触器を提供し、これらのすべては、接触器のハウジングに埋め込まれている。接触器は、導電体部分を通って流れる(一次)電流(「HV電流」とも称される)を測定するように構成された磁気センサをさらに含む。接触器は、導電体部分を通って流れる当該一次電流を測定するための当該磁気センサに通信可能に接続されたコントローラ(例えば、プログラム可能なマイクロコントローラ)をさらに含む。コントローラはまた、当該スイッチを選択的に開閉するための当該アクチュエータに動作可能に接続されている。接触器は、主スイッチが実効的に開放されているか、または閉鎖されているかを検出する(直接的に、または間接的に、例えば、アクチュエータの電気的特性を判定することによって)ための検出手段をさらに含む。
【0088】
本発明の重要な態様によれば、コントローラは、(i)導電体部分を通って流れる一次電流を測定するように、かつ過電流状態を検出するように、かつ過電流状態が検出された場合に、(ii)主スイッチを開放するために(または開放しようと)アクチュエータを動作させるように、かつ(iii)スイッチが実際に開放されているかどうかを検出するように、かつ(例えば、アクチュエータを動作させた瞬間の時間間隔Δt後に)スイッチが依然として閉鎖されていることをコントローラが検出した場合に、ヒューズを溶断するようにさらに構成されている。
【0089】
主スイッチは、好ましくは、少なくとも100アンペアの電流を伝導することが可能である。
【0090】
時間間隔Δtは、事前定義された時間間隔であってもよいし、測定されたHV電流の関数として(例えば、ルックアップテーブルを使用して)計算されてもよい。この期間は、HV電流の測定の後に1回のみ判定されてもよいし、(進行中のHV電流測定値に基づいて)動的に調整されるか、または更新されてもよい。
【0091】
利点は、接触器内部のコントローラが、主スイッチが実際に開放されているか否かを判定することができ、したがって、どのような理由にせよスイッチが開放されなかったことを検出することもできることである。このことは、例えば、スイッチの接点が電流サージに起因してブスバーに固着または溶接された場合に、起こり得る。そのような場合、コントローラは、ヒューズを溶断して電流を停止させることを決定することとなる。
【0092】
利点は、磁気センサが非接触様式でHV電流を測定することができることである。このようにして、接触器は、2つの電圧領域:例えば、60ボルト以上で、例えば120ボルト以上もしくは200ボルト以上で、動作する、本明細書では「高電圧領域」、HV領域とも称される)、一次電圧領域と、(例えば、48ボルト以下、例えば36ボルト以下、例えば24ボルト以下、例えば12ボルト以下、で動作する、本明細書では「低電圧領域」、LV領域とも呼ばれる、二次電圧領域と、を有することができる。磁気センサは、HV領域の一部であるがLV領域で動作し、かつ好ましくはまた、導電体部分から熱的に絶縁された、導電体部分(例えば、ブスバー部分)の近傍に、物理的に位置してもよい。
【0093】
主要な利点は、接触器が、当該検出手段を使用して、スイッチが実効的に開放されているか、または閉鎖されているかを(それ自体で)検出することができることである。
【0094】
利点は、接触器が、スイッチが開放されているか、または閉鎖されているかを自律的に、かつ(破損しているか、または損傷している可能性がある)磁気センサからの測定値に依存する(またはのみに依存する)必要がなく、かつ/または(通信チャネルが途絶えており、かつ/または遅延を引き起こす可能性がある)外部デバイスと通信する必要がなく、かつ/または接触器の外部のコンポーネントを使用するか、もしくはそれに依存する必要がなく、検出することができることである。このことは(システムレベルでの)冗長性を提供し、したがって、この接触器が使用される電力システムの全体的な安全性および信頼性を改善する。
【0095】
主要な利点は、スイッチステータス自体を(接触器の内部で)可能かつ実際に検査することによって、かつ/またはHV電流自体を(接触器の内部で)測定することによって、かつ/または過電流状態自体を(接触器の内部で)判定することによって、特定のイベントの通信ループまたはフィードバックループが(外部プロセッサおよび/または接触器の外部に位置するコンポーネントとの1つ以上の通信を伴う通信ループと比較して)短縮されることである。ひいては、この短縮されたループは、接触器を不可逆的に損傷するであろうヒューズを溶断する必要がなく、スイッチを開放することを試行することができる余分な時間を提供する。したがって、接触器自体の内部の診断機能のおかげで、例えば、電流が十分に小さく、かつ/またはスイッチを安全に開放するのに十分な時間がある状況では、ヒューズを溶断することを回避することによって、接触器の寿命を延ばすことができる。
【0096】
すなわち、換言すると、この接触器の利点は、(特定の状態下で)、まず可逆的な様式でスイッチを開放しようとすることができることであり、このことは、外部デバイスとの通信に起因して貴重な時間が失われるとすれば、可能でない可能性がある。通信ループまたは意思決定ループを短縮することによって、安全基準に従ってヒューズを溶断する必要がある確率を低減することができる。
【0097】
利点は、「検出手段」が、磁気センサによって実行される電流測定とは様式で、スイッチが閉鎖されているかどうかを分析する手段(内部診断の一形態である)を提供することである。このようにして、接触器の信頼性を高めることができ、この接触器が使用される電力システムの安全性を改善することができる。驚くべきことに、検出手段がなければ、唯一の安全な選択肢がヒューズを溶断することであろうという理由で、接触器の寿命を延ばすこともできる。対照的に、本発明の接触器は、電流が十分に小さく、かつ/またはスイッチを開放しようとするのに十分な時間があるかどうかを決定するためにより良い判断を行うことができ、これが成功した場合、ヒューズを溶断する必要はない。
【0098】
利点は、接触器のハウジングが、ヒューズに対する、およびコントローラとヒューズとの間の相互接続に対する保護を提供するという理由で、ヒューズがまた、接触器に統合されることである。したがって、ヒューズが溶断されないリスクが低減され、システム全体の安全性がさらに高められる。
【0099】
別の実施形態またはさらなる実施形態では、コントローラは、情報または命令を送信および受信するために、例えば、測定された電流を示す信号を提供するために、かつ/またはコマンド:スイッチを開放するための(またはバッテリを切断するための)コマンド、スイッチを閉鎖するための(またはバッテリを接続するための)コマンド、ヒューズを溶断するためのコマンドのうちの1つを受信するために、外部プロセッサに(例えば、外部ECUに、例えば、エアバッグECUに、および/またはバッテリ管理システムコントローラに)接続可能である少なくとも1つ(例えば、1つまたは2つ)の(例えば、一方向または双方向のシリアルバスインターフェース)通信インターフェース(例えば、一方向または双方向シリアルバスインターフェース)をさらに含んでもよい。
【0100】
そのような実施形態では、スイッチの開放は、イベント:A例えば、測定電流を閾値と比較することによるか、または古典的なI2T(アンペア二乗秒)手法を使用することによる、接触器自体による過電流状態の検出、またはB外部プロセッサからの、例えばエアバッグコントローラからの、バッテリを切断するか、またはスイッチを開放するためのコマンドの受信、のうちの1つ以上によってトリガされ得る。
【0101】
しかし、他の通信も可能である。例えば、接触器がヒューズを無条件に溶断するためのコマンドを受信したり、接触器が異常なHV電流を報告したりすることなども可能である。
【0102】
本発明はまた、上述した方法ステップ(i)~(iii)を含む、そのような接触器を通って流れる電流を遮断する方法を提供する。この方法については、
図4を論じる際に、より詳細に記載する。
【0103】
本発明はまた、そのような接触器に組み込まれる場合に、この方法を実行するために特に適合された集積回路を提供する。集積回路は、好ましくは、この方法を実行するための実行可能な命令を含む不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ)を含む。
【0104】
ここで、図を参照する。
【0105】
図1は、接触器150を介して電気負荷120(例えば、電気二相モータもしくは電気三相モータまたは充電回路)に接続されたバッテリ111(例えば、少なくとも100ボルト、または少なくとも200Vの電圧を提供する高圧バッテリ)を含む電力回路100の高レベルブロック図を示す。電力回路100は、電気車両(EV)またはハイブリッド車両(HV)、例えば車、に組み込まれ得る。もちろん、実際には、電力回路100は、例えばインバータ(図示せず)などのさらなる構成要素を含み得る。
【0106】
図1の接触器150は、バッテリ111に接続されているか、または接続可能である第1の電力端子151aと、電気負荷120に接続されているか、または接続可能である第2の電力端子151bとを含むが、もちろん、接触器150を、他の電力回路で使用することもできる。
【0107】
接触器150は、第1の電力端子151aと第2の電力端子151bとの間に電気的に接続されたサブ回路を含み、直列に接続された少なくとも3つの要素:導電体部分154(例えば、ブスバー)、スイッチ153(例えば、電磁スイッチ)、およびヒューズ158(例えば、パイロヒューズ)もしくはスクイブを含む。導電体部分154は、第1の電力端子151aと一体的に形成されてもよいし、第2の電力端子151bと一体的に形成されてもよいが、絶対的に必要とはされない。
【0108】
ヒューズ158が依然として無損傷であり、かつスイッチ153が閉鎖されている場合、第1および第2の端子151a、151bの間に形成された電路は、導通しており、すなわち、バッテリが電気負荷に接続されている。スイッチ153が開放されており、かつ/またはヒューズ158が溶断している場合、第1および第2の端子151a、151bの間に形成された電路は、開放されており、すなわち、換言すれば、バッテリが電気負荷から切り離されている。
【0109】
接触器150は、任意選択で、不揮発性メモリ161、タイマユニット、PWMジェネレータブロック、アナログデジタル変換器(ADC)、通信インターフェース(例えば、シリアル通信インターフェース、例えば、CANインターフェース)、(例えば、水晶式の、またはRC発振器に基づく)クロックジェネレータなどを有するコントローラ160、例えばプログラム可能なマイクロコントローラ、をさらに含む。コントローラ160は、接触器の外側に位置し、しかも接触器に接続された、低電源電圧の、例えば第2の、バッテリによって電力供給され、例えば48ボルト以下、または36ボルト以下、または24ボルト以下、例えば約12ボルトの低電圧電源を提供するように構成されている。低電圧は、低電圧端子152a、152bを介して接触器に印加される。コントローラは、直接この低電源電圧によって、またはこの低電源電圧から導出される電圧によって電力供給され、例えば、存在する場合に、1つ以上の電圧レギュレータ162によって提供されてもよい。存在する場合に、コントローラ160および電圧レギュレータ162は、プリント回路基板(図示されないPCB)上に取り付けられてもよい。コントローラ160は、集積回路の一部であってもよい。そのような集積回路の好ましい実施形態を、
図5に示す。
【0110】
接触器150は、(明示的に示されていないが、角が丸い長方形150によって概略的に示される)ハウジングをさらに含む。例示されるように、スイッチ153およびヒューズ158およびコントローラ160は、ハウジングの内部に位置する。これにより、緊急の場合に、例えば衝突後に、ヒューズを溶断することができないリスクが低減される。重要なことには、スイッチ153およびヒューズ158は、高電圧領域で動作するのに対して、コントローラ160(およびさらに記載する他の構成要素)は、高電圧領域からガルバニック分離された低電圧領域で動作する。
【0111】
接触器は、導電体部分154を通って流れる電流を(非接触様式で)測定するように構成された磁気センサ155をさらに含む。磁気電流センサは、当技術分野で知られており、それゆえ、ここで全容を説明する必要はない。敢えて述べると、これらの磁気電流センサは、少なくとも1つの磁気センサ素子、例えば水平ホール素子、または導電体部分154を通って流れるときに電流によって生成される磁場を測定するように配向された垂直ホール素子を含んでもよいが、例えば、磁気抵抗(MR)素子、または離間されて同じ方向に配向された少なくとも2つのホール素子を含み、磁場勾配を判定することを可能にする、他の磁気センサ構造がまた、使用されてもよい。差分信号または勾配信号を使用することにより、外部擾乱場からの影響が低減されて、したがって改善された精度で、導電体部154を通って流れる電流を判定することが可能になる。磁気センサは、磁束集中器を含んでもよい。
【0112】
磁気センサ素子から、またはその磁気センサ素子を含む磁気センサ構造(例えば、ホイートストンブリッジ)から取得された値は、(例えば、差動増幅器を使用して)増幅され、(例えば、コントローラ160に埋め込まれたアナログデジタル変換器ADCを使用して)デジタル化されてもよい。電流値、または電流値のサブセットは、通信バス、例えばCANインターフェースを介して、外部プロセッサ、例えば外部ECU、に伝送されてもよい。
【0113】
磁気センサ155は、コントローラ160と同じシリコン基板内に埋め込まれてもよいし、コントローラ160の外側に位置するが、それに電気的に接続されてもよい。好ましくは、信号を十分に大きくするために、磁気センサ155と導電体部分154との間の距離は、比較的小さい(例えば、10mmよりも小さい)。特定の実施形態では、接触器150は、導電体部分154からいくらかの距離に位置する複数の磁気センサ素子を有してもよい。これにより、より高い信号対雑音比(SNR)で電流を測定することが可能になる。
【0114】
スイッチ153は、アクチュエータ156によって駆動される可動部(図示せず)を含む。アクチュエータ156は、コイル(
図2に概略的に例示される)および当該コイル(図示せず)の内部に配置された可動要素を含む電磁アクチュエータであってもよい。アクチュエータ156はまた、スイッチ153をノーマルオープン(NO)状態またはノーマルクローズ(NC)状態にバイアスするための機械的ばね(図示せず)を含んでもよい。可動要素は、例えば、コイルを通して二次電流(LV電流)を送ることによって制御され得る(例えば、
図2に例示されるように)。そのようなスイッチ153およびアクチュエータ156は、当技術分野で周知であり、それゆえ、本明細書でより詳細に説明する必要はない。
【0115】
本発明の重要な態様によれば、本発明の接触器150のアクチュエータ156は、スイッチ153が実際に開放されているか、または閉鎖されているかを(直接的に、または間接的に)検出することが可能な検出手段157を含む。次に、2つの可能な実装態様が記載されるが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の検出手段も想定される。第1の実装態様では、アクチュエータ156は、コイルおよびコイルと直列に接続されたシャント抵抗器を含み、シャント抵抗器にわたる電圧が測定され、コイルにわたる電圧が測定され、デジタル化され、電圧信号が、コントローラ160で(例えば、ソフトウェアで)分析される。第2の実施態様では、アクチュエータ156は、「近接スイッチ」としても知られる、コイルおよび磁気位置決め手段、例えば、リニア位置検出器、または磁気存在検出器を含む。近接スイッチは、(RF信号を伝送するための)伝送コイルおよび(当該RF信号を受信するための)受信コイルを含んでもよく、いわゆる「ターゲット」は、受信信号を変調するために可動要素に接続されてもよい。コントローラ160は、受信器信号を分析して、ターゲットの位置、したがって、スイッチ153の状態を判定してもよい。
【0116】
接触器150の内部に検出手段157を追加することの主要な利点は、制御装置160が、磁気センサ155から取得された信号とは独立して、かつ外部プロセッサから取得された信号に依存する必要がなく、スイッチ153が実際に開放されているか、または閉鎖されているか否かを判定するためのフィードバック手段(「閉ループ制御」)として検出手段157を使用することができることである。検出手段がまたハウジング内に組み込まれていることから、例えば信号擾乱または通信リンクの途絶えに起因する、誤動作のリスクが大幅に低減される。
【0117】
本明細書に記載される検出手段157を、例えば主スイッチが開固着しているか、または閉固着しているかどうかを試験することによって、(システムレベルでの)安全性検査に使用することもできることに留意されたい。このことは、本発明による2つの接触器が、バッテリと電気負荷との間に直列に接続され、かつこれらの接触器の主スイッチのうちの1つが開放されていても、可能である。その場合でも、(ゼロである)一次電流を測定することによってではなく、検出手段157を使用することによって、他の接触器の主スイッチが開放されているか、または閉鎖されているかを検査することが可能である。
【0118】
コントローラ160はまた、ヒューズ158を、例えば、直接的に、または任意選択の作動回路163を介してトリガすることができる出力ポート(例えば、
図5のOUT2)を有する。
【0119】
接触器150の様々な構成要素について記載したところで、次の節は、本発明によって提案される接触器150がどのように機能し得るかを説明する。
【0120】
図1から分かるように、動作中、HVバッテリ111は、少なくとも100ボルトの電圧を提供し、低電圧バッテリ140は、最大48ボルトの電圧を提供し、外部コントローラ130(例えば、ECU)は、接触器150のコントローラ160に、HVバッテリを接続するか、またはスイッチ153(など)を閉鎖するための信号を提供し得る。そのようなコマンドを受信すると、コントローラ160は、スイッチ153を閉鎖し、それによって、一次電流が導電体部分154を通って流れることを可能にするために、(例えば、コイルに通電することによって)アクチュエータ156を動作させることとなる。任意選択で、コントローラ160は、そのようなコマンドを受信すると、まず内部の安全性検査を実行し(例えば、不揮発性メモリの一部分のチェックサムを計算するか、またはコイルを診断し)、安全性検査が成功した場合、アクチュエータ156を動作させてもよい。モータの実際の制御は、接触器150の外部で行われ、本発明の範囲外にある。
【0121】
外部プロセッサ130は、接触器150に、導電体部分154を通って流れる(一次)電流を測定するように要求し得る。コントローラ160は、磁気センサ155から信号(例えば、電圧信号)を取得し、それを自ら当技術分野で知られている様式で電流信号に変換する(例えば、増幅し、デジタル化し、定数Kで乗算する)こととなる。定数Kは、ハードコード化されてもよいし、較正ステップの間に決定され、続いて、接触器150の不揮発性メモリ161に記憶されてもよい。好ましくは、測定された信号がまた、知られている様式で温度補正される。この目的のために、接触器は、磁気センサの近傍に配置され得る温度センサをさらに含んでもよい。
図5の集積回路では、磁気センサと温度センサとの両方が集積回路に集積されるが、本発明はこれに限定されない。(任意選択で温度補正された)電流値は、出力ポートを介して、またはシリアルバスインターフェース、例えばCANバス、を介して外部プロセッサ130に伝送されてもよい。不揮発性メモリ161は、例えばフラッシュの形態で、コントローラ160の内部に組み込まれてもよいし、コントローラ160に接続された別個の構成要素であってもよい。
【0122】
本発明の重要な態様によれば、接触器150のコントローラ160はまた、HV電流を自律的に測定するように(そうするように外部プロセッサからコマンドを受信しなくても)、過電流状態自体を検出するように、かつ/または内部診断を実行するように構成されている。このことは、測定された電流と事前定義された閾値I1(例えば、不揮発性メモリ161に記憶されたパラメータとの単純な比較に基づいてもよいし、古典的なI2T(アンペア二乗時間)手法に基づいてもよいし、その両方の組み合わせに基づいてもよい。これについて、
図3に関してさらに論じる。上記で説明したように、コントローラが過電流状態を検出した場合、コントローラは、まずスイッチを開放しようとし、スイッチが開放されない場合に、上記のステップ(i)~(iii)に記載されるようにヒューズを溶断しようとすることとなる。
【0123】
外部プロセッサ130は、接触器150に、HVバッテリから切断するように(またはスイッチ153を開放するように)、要求し得る。古典的な接触器であれば、スイッチ153を(オープンループ様式で)開放するように単にアクチュエータ156を動作させるであろうが、スイッチが実際に開放されるかどうかは分からないであろう。外部プロセッサは、新しい電流測定値を要求してもよく、外部プロセッサが、電流が低下しないことを知得した場合、いつか外部プロセッサが別のコンポーネントにヒューズを溶断するように命令するまで、スイッチ153に、再び失敗する可能性があるスイッチ153を開放するように新しい要求を接触器に送信してもよい。このことは、理想的ではなく、過大な時間を必要とする可能性があり、ひいては、危険な状況につながる可能性がある。
【0124】
別の例として、外部プロセッサ130が、エアバッグECUであり、エアバッグを作動させる衝突が発生すると仮定する。そのような事象が発生すると、安全上の予防措置として、エアバッグECUは、ヒューズを無条件に溶断するコマンドを送信してもよい。
【0125】
本発明の発明者らは、これらの先行技術の解決策は理想的ではなく、スイッチが実効的に開放されることが保証されることを条件として、ヒューズを溶断する代わりにスイッチを開放することが可能である状況があり得ることを了知した。このことが可能であるとすれば、安全性が保証されることを条件として、接触器の寿命を延ばすことができるであろう。このことは、本発明の基礎となる重要な洞察である。
【0126】
本明細書で提案される接触器150は、確実に、HV電流が遮断されるが、絶対的に必要とされる場合にのみヒューズを溶断するものである。より具体的には、コントローラ160が、外部プロセッサから「電流の流れを遮断する」ための(または「バッテリを切断する」ため、または「スイッチを開放する」ためなどの)コマンドを受信すると、コントローラ160は、まずスイッチを開放しようとし、試行が失敗した場合、または時間が足りない場合に、ヒューズを自律的に溶断することとなる。このことを、
図4の方法について論じる際に、より詳細に説明する。
【0127】
図1には明示的に示されていないが、接触器150は、任意選択で、磁気センサ155上のアクチュエータコイル(存在する場合)によって引き起こされる磁気擾乱を低減するための磁気シールドをさらに含んでもよい。
【0128】
コントローラ160および/またはコントローラ160が取り付けられ得るプリント回路基板は、HV領域、特に導電体部分154(例えば、ブスバー部分)から電気的に絶縁されている(ガルバニック分離されている)か、または好ましくはまた、HV領域から熱的に絶縁されている。
【0129】
接触器は、診断目的で、比較的高い第1のサンプリングレート(例えば、1kHz~10kHzのレート)でHV電流を測定してよく、HV電流のサブサンプリングされたバージョンは、外部ECU、例えば、バッテリ管理システムコントローラに(例えば、100Hz~500Hzのレートで)提供されてよい。
【0130】
図2は、
図1の接触器150および電力回路100の変形例または特定の実装態様と見なすことができる、少なくとも1つのそのような接触器を含む接触器250および電力回路200のブロック図を示す。同様の要素は、同様の参照番号で示されている。
図2のブロック図と
図1のブロック図との主な違いは、以下の通りである。
-
図2に示される接触器250のアクチュエータ256は、コイルを含む電磁石であり、
-接触器250の検出手段257は、シャント抵抗器264を含み、
-スイッチが開放されているか、または閉鎖されているかの検出は、知られている波形、例えばステップ関数(すなわち、論理「0」から論理「1」に急峻に変化する波形)またはパルス幅変調信号(PWM)、をコイルに適用することによって、およびシャント抵抗器264にわたる(第1の)電圧を測定し、サンプリングすることによって、および任意選択でまた、コイルにわたる電圧(またはコイルとシャント抵抗器との直列接続にわたる電圧、または第2のスイッチ265(例えば、トランジスタ)にわたる電圧であって、そこからコイルにわたる電圧を導出することができる)を測定し、サンプリングすることによって、および第1および第2の電圧波形を分析することによって(例えば、時間定数、または波形の形状などのいくつかのパラメータを見ることによって)実行され得る。この分析は、可動要素を有するRLC回路のモデルに基づいてもよい。
-加えて、スイッチが開放されているか、または閉鎖されているかの検出はまた、磁気センサから取得された値(導電体部分を通って流れるHV電流を示す)を、この電流がゼロとは異なる場合に、考慮してもよい。
-
図2に示される接触器250のコントローラ260は、少なくとも1つ、例えば2つの通信ポート、例えば2つのシリアル通信ポートを有する。
図2に示される特定の例では、第1の通信ポートは、一般ECUまたはエアバッグECU230と通信するために使用されるか、または使用されることができ、第2の通信ポートは、バッテリ管理システム(BMS)212のコントローラ213と通信するために使用されるか、または使用されることができる。
-コントローラ260は、好ましくは、集積回路または半導体チップ、例えば、パッケージ化された半導体デバイスに組み込まれている。このチップは、5V電源から直接的に、または間接的に電力供給されるように、または12V電源から直接または間接的に電力供給されるように構成され得る。磁気センサ255は、少なくとも1つのホール素子または少なくとも1つの磁気抵抗(MR)素子であってもよいし、これらを含んでもよく、好ましくは、集積回路に、または同じパッケージデバイスの内部に集積されており、
-接触器250は、スイッチ記号によって本明細書に概略的に例示される「ヒューズ作動回路」263をさらに含んでもよい。実際には、これは、例えば、トランジスタまたは専用ヒューズドライバチップ(例えば、「スクイブドライバ」として知られている)であってもよい。
【0131】
コントローラ260は、プリント基板(図示せず)上に取り付けられてもよく、このPCBは、接触器250の内部に取り付けられており、HV領域から電気的に、好ましくはた熱的にも分離されている。
【0132】
図2の変形例では、電力回路は、少なくとも2つの接触器、例えば、直列に接続された2つの接触器もしくは並列に接続された2つの接触器、またはバッテリから負荷への経路の1つの接触器、および負荷からバッテリへの戻り経路の別の接触器を有する。
【0133】
図3は、例えば、導電体部分154、254を通って流れる測定されたHV電流の関数として、スイッチ153、253を開放しようとするためにどのくらいの時間Δtavが利用可能であるかを判定するために、本発明の実施形態で使用され得る例示的な「時間-電流曲線」を示す。そのようなグラフは、特定の車両タイプに特有であってもよく、ブスバーネットワークの寸法、パワートレインモジュールの熱制限などに依存してもよい。グラフは、特定のプロジェクトのための所与のものと見なされてもよい。このグラフの値は、コントローラの不揮発性メモリに任意の好適な様式で(例えば、テーブルとして、または区分線形曲線として、または代数的表現のパラメータのセットとして、または任意の他の好適な様式で)記憶されてもよい。
【0134】
上述したように、接触器150、250のコントローラ160、260は、要求に応じて、または自律的に、導電体部分154、254を通って流れるHV電流を測定することができる。スイッチおよび/またはアクチュエータおよび/または低電圧電源の特定の実装態様に応じて、典型的には、通常の状況下でスイッチを開放するのに有限の時間Δtreq(必要な時間)がかかり(すなわち、可動部が固着していないと仮定する)、例えば、特定のタイプのスイッチについて約90msであるが、もちろん、本発明は、これに限定されるものではない。
【0135】
コントローラがHV電流を測定する場合、かつこの測定電流が値Imaxよりも大きい場合(
図3を参照)には、コントローラは、さらにスイッチを開放しようとするための時間がないことが分かり、それゆえ、コントローラは、直ちにヒューズを溶断することとなる。測定電流がImaxよりも小さい場合に、この電流が流れることを許容する最大時間が、このグラフに示されている。例えば、測定電流がi1に等しい場合、最大時間は、t1である。最大許容時間が、(実装態様に応じて)、スイッチを開放するために、または安全性検査を実行してスイッチを開放するために典型的に必要とされる時間よりも小さい(例えば、上述の90ms)場合には、やはり、さらにスイッチを開放しようとするに値せず、コントローラは、直ちにヒューズを溶断することとなる。しかしながら、測定されたHV電流がi2に等しい場合、最大時間は、t2であり、この時間が、任意選択で当該安全性検査が先行して、スイッチを開放するために典型的に必要とされる時間よりも大きい(例えば、上述の90msよりも大きい)場合には、アクチュエータを使用して、まずスイッチを可逆的な様式で開放しようとすることはまさに理にかなっており、スイッチを開放することができないか、または想定される期間内に開放することができないことが判明した場合にのみ、コントローラは、結局、ヒューズを溶断することを決定することとなる。このようにして、本発明のコントローラは、安全性を保証すると同時に、接触器の寿命を最大化することが可能である。
【0136】
もちろん、90msの値は、一例に過ぎず、他のスイッチおよびアクチュエータを使用することもできるが、同じ原理が適用される。
【0137】
図4Aは、
図1または
図2に示されるもののような接触器150、250を通って流れる電流を遮断する方法400のフローチャートを示す。方法400は、以下のステップを含む。
a)接触器150、250の導電体部分154、254を通って流れる電流を少なくとも1回、または繰り返し測定するステップ401、
b)過電流状態を(1つ以上の測定された電流値に基づいて)検出するステップ403、
c)一次スイッチ153、253を開放し、かつ測定された電流値に基づいて、例えば、スイッチを開放するために、かつ/または安全性検査を実行するために典型的に必要とされる時間を考慮に入れて、例えば、電流対時間テーブルまたは曲線もしくは数学的式を考慮に入れて、任意選択で安全性検査を実行するために利用可能な時間Δtavを判定するステップ406、
d)利用可能な時間Δtavと典型的に必要な時間Δtreqとを比較し(407)、
利用可能な時間Δtavが必要な時間Δtreqよりも小さい場合に、ステップg)を続行し、
それ以外の場合に、ステップe)を続行するステップ、
e)スイッチ153、253を開放するために(または開放しようと)アクチュエータ156、256を動作させるステップ408、
f)スイッチ153、253が利用可能な期間Δtav内で実効的に開放されているかどうかを、検出手段157、257を使用して検出し、
スイッチ153、253が利用可能な期間Δtav後に依然として閉鎖されている場合に、ステップg)を続行するステップ409、
g)ヒューズを溶断するステップ412。
【0138】
利点は、コントローラが(過電流状態を判定する)ステップ403を実行することであり、この理由は、このことが、(例えば、外部プロセッサが何かおかしいことがあることを検出する前に)スイッチの開放および/またはヒューズの溶断をより早く自動的にトリガし、それによって、車両を損傷し、かつ/またはその乗員の命を危険にさらすリスクを回避するか、または低減するからである。検出の高速化はまた、ヒューズを存続させる確率を高める。
【0139】
方法400は、相対的な単純な手順を記述し、本発明によって提案される最も重要なステップを示す。しかし、この方法の多くの変形例が可能である。
【0140】
図4Aの変形例では、示されていないが、ステップc)およびd)は省略され、ヒューズを溶断するための分岐は省略され、ステップ410のタイムアウト値は、事前定義される(例えば、ハードコード化される)。そのような実施形態では、接触器は、ステップa)にあるとすると、電流を測定し、ステップb)で過電流が検出された場合、接触器は、まずステップe)およびf)で主スイッチを開放しようとすることとなり、当該事前定義されたタイムアウト期間の後に主スイッチが実際に開放されているかどうかを評価することとなる。かつ、主スイッチが開放されていない場合、接触器は、ヒューズを溶断することとなる。
【0141】
図4Bは、ここで上述した方法のさらなる変形例である方法410のフローチャートを示し、過電流状態が(またはその一部として)発生したことを検出した後であるとすると、接触器は、測定された一次電流が事前定義された(臨界)閾値よりも大きいかどうかを(ステップ414で)試験し、そうである場合、接触器は、(ステップgで)ヒューズを溶断することとなる。そうでない場合、接触器は、まず、ステップe)およびf)で主スイッチを開放しようとすることとなり、(ステップ410で)事前定義されたタイムアウト期間ΔTの後、主スイッチが実際に開放されているかどうかを評価することとなる。かつ、主スイッチが開放されていない場合、接触器は、ヒューズを溶断することとなる(ステップg)。
【0142】
図4Cは、
図4Aの方法400の別の変形例と見なすことができる、接触器150、250を通って流れる電流を遮断する方法420のフローチャートを示す。
図4Cの方法420と
図4Aの方法400との間の最も重要な違いは、それがステップ413を含んでいることであり、ステップ413では、ステップb)で過電流状況が検出されてから経過した時間が、利用可能な時間Δtavよりも大きいかどうかが試験され、そうでない場合、ステップc)に戻り、利用可能な時間Δtavを更新する。
【0143】
この方法410の利点は、利用可能な時間Δtavが、(ステップaで)一次電流の最近の測定値を考慮して、したがって、スイッチを開放しようとする間に一次電流の変動を実効的に考慮して、少なくとも1回更新され、例えば、動的に更新されることである。
【0144】
図4Dは、
図4Aの方法400の別の変形例と見なすことができる、接触器150、250を通って流れる電流を遮断する方法430のフローチャートを示す。
図4Dの方法430と
図4Aの方法400との間の最も重要な違いは、
スイッチを開放する試行が、コントローラ自体の過電流検出によって引き起こされるだけでなく、接触器の外部に位置するコントローラまたはプロセッサまたはECUから来る、スイッチを開放するための(またはバッテリなどを切断するための)コマンドによっても引き起こされ得ること、および
接触器のコントローラがまた、接触器の外部に位置するコントローラまたはプロセッサまたはECUから来る、ヒューズを無条件に溶断するためのコマンドを受信した405後に、ヒューズを溶断し得ることである。
【0145】
ステップ401、403、405、および/または402は、並行的に、または半並行的に、例えば、時間多重化された様式で実行されてもよい。
【0146】
図4A~
図4Dは、本明細書で提案される接触器のコントローラによって実行され得る方法の4つの例を示すが、もちろん、実際には、他の変形例も可能である。
【0147】
上述したように、主スイッチ153、253が実際に開放されているかどうかを試験することまたは評価することまたは査定すること409を、アクチュエータの状態を評価することによって間接的に実行することができる。アクチュエータの状態を、例えば、可動要素が実際に移動したか否かを検出するために、アクチュエータの電流波形を測定し、分析することによって(例えば、シャント抵抗器を使用して)、判定することができる。アクチュエータの状態を、位置センサ(例えば、磁気位置センサ、または近接センサ)を使用することによって、または任意の他の好適な方法で判定することもできる。
【0148】
「スイッチが開放されているかどうかを検出するステップ409は、シャント抵抗器にわたる電圧および/またはコイル(またはスイッチと直列のコイル、またはシャントと直列のコイル)にわたる電圧を測定することを含んでもよく、したがって、複数の電圧測定を伴ってもよい。これらの2つの電圧は、時間多重スキーム、および単一または2つのアナログデジタル変換器(ADC)を使用して測定され、サンプリングされてもよい。
【0149】
もちろん、接触器150、250のコントローラ160、260はまた、例えば、
-測定された電流値を、外部プロセッサに、例えば、バッテリジャンクションボックス(BJB)またはパワーリレーアセンブリ(PRA)とも称されることがあるバッテリ切断ユニット(BDU)に、定期的に伝送することなどの、(
図4A~
図4Dに示されていない、他のタスクを実行してもよい。上述したように、電流値が伝送されるレートは、一次電流が測定されるレートよりも小さくてもよく、過電流状態を評価するために内部で使用されてもよい。
【0150】
図5は、本発明の実施形態で使用され得る集積回路500のブロック図を示す。
【0151】
図5の集積回路500は、以下を含む。
-プログラム可能なプロセッサ、例えばプログラム可能なマイクロコントローラまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)、の形態のコントローラ、
-磁気センサ、例えば、1つ以上の水平ホール素子、1つ以上の垂直ホール素子、磁気抵抗(MR)素子を含む回路、任意選択で集積磁束集中器(IMC)、
-集積回路に接続可能なシャント抵抗器にわたる電圧を感知するためのシャントインターフェースであって、この電圧から二次電流(またはLV電流)を導出することができる、シャントインターフェース、
-(例えば、
図2に示されるように)集積回路に接続可能な、コイルにわたる電圧を感知するための電圧感知インターフェース、
-任意選択でPWM信号を使用してアクチュエータ156、256を駆動するための第1の出力OUT1、
-ヒューズドライバ、例えばパイロヒューズドライバ、を作動させるか、またはトリガするための第2の出力OUT2、
-コントローラのための実行可能な命令であって、
i)当該磁気センサを使用して、過電流状態が発生したかどうかを検出する403ために、一次電流を測定し401、過電流状態が検出された場合に、ステップii)を続行し、そうでない場合に、ステップi)を繰り返し、
ii)アクチュエータを動作させて408主スイッチ153、253を開放するために、第1の出力OUT1をアサートし、
iii)シャントインターフェースから取得された信号、および電圧感知インターフェースから取得された信号を分析することによって、主スイッチ153、253が実効的に開放されているかどうかを検出し409、一定時間間隔(例えば、Δtav)後に主スイッチが依然として閉鎖されていることが検出された場合に、ヒューズ158、258を溶断する412ために第2の出力OUT2をアサートするための命令を含む不揮発性メモリ。
【0152】
不揮発性メモリはまた、電流対時間曲線に対応するデータを含んでもよい。
【0153】
「シャントインターフェース」、および「電圧感知インターフェース」および「電源電圧インターフェース」は、6つの端子(またはピン)で示されているが、当技術分野において知られている様式でいくつかの信号を「グランド端子」と共有することができることから、それは、絶対的には必要とされない。
【0154】
集積回路500は、(例えば、水晶式の、またはRC発振器に基づく)クロックジェネレータ、電圧レギュレータ、タイマユニット、アナログマルチプレクサ、例えば第1の出力OUT1に接続可能な、パルス幅変調(PWM)ジェネレータブロック、外部プロセッサからの命令を受信するためのデジタル通信インターフェース、シャントインターフェースから取得され、電圧感知インターフェースから取得された信号をデジタル化するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)、12ボルト電源入力、タイマユニット、外部温度を測定するためのNTCインターフェース(負温度係数コンポーネント)、磁気センサの温度を測定するか、または推定するための温度センサ、のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
【0155】
図6は、集積シャント抵抗器を含むコイルインターフェース回路と、コイルを通る電流の流れを制御するための集積トランジスタとを備えるコイルインターフェース回路と、を有する、
図5の集積回路500の変形例として見ることができる集積回路600のブロック図を示す。
【外国語明細書】