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特開2022-133249バラスト要素のためのロックシステム及びロック方法並びにモバイルクレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133249
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】バラスト要素のためのロックシステム及びロック方法並びにモバイルクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/76 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B66C23/76 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022026915
(22)【出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10 2021 104 873.7
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ハラー トビアス
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
3F205CB02
3F205DA04
3F205GA02
3F205GA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上部構造体に残存するバラスト要素を、道路輸送のために、シンプル、迅速及び安全な方法で、互いに接続する可能性を提供する。
【解決手段】モバイルクレーンのカウンタウエイト装置に固定可能な少なくとも1つの連続的な第1カットアウト100を有する第1バラスト要素10と、第1バラスト10要素に接続可能であって、接続された状態で第1バラスト要素10の少なくとも1つの第1カットアウト100をカバーする少なくとも1つの第2カットアウト120を有する第2バラスト要素12と、バラスト要素をリリース可能に接続してロックするための少なくとも1つのロック装置20とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルクレーン(1)の2つのバラスト要素、特にプレート状のバラスト要素(10,12)をリリース可能に接続してロックするためのシステムであって、
前記モバイルクレーン(1)のカウンタウエイト装置(6)に固定可能な少なくとも1つの連続的な第1カットアウト(100)を有する第1バラスト要素(10)と、
前記第1バラスト要素(10)に可逆的に接続可能であって、接続された状態で前記第1バラスト要素(10)の前記少なくとも1つの第1カットアウト(100)をカバーする少なくとも1つの第2カットアウト(120)を有する第2バラスト要素(12)と、
前記2つのバラスト要素(10,12)を互いにリリース可能に接続してロックするための少なくとも1つのロック装置(20)と、を備え、
前記ロック装置(20)は、
前記第1及び第2カットアウト(100,120)の間にプッシュ可能な延長されたキャリア(200)と、
前記キャリア(200)に配置され、前記2つのバラスト要素(10,12)をロックするためのロック位置において前記第1及び/又は第2バラスト要素(10,12)のカウンタロック要素と協働するロック要素(202)と、
前記キャリア(200)に配置され、前記ロック要素(202)から離間され、前記キャリア(200)の長手軸に対して横断して前記ロック位置において前記第1及び/又は第2バラスト要素(10,12)に作用する力を吸収するように構成されたサポート要素(204)と、
前記ロック装置(20)を前記ロック位置において固定可能にする固定機構(206)と、を含む、システム。
【請求項2】
前記サポート要素(204)は、前記第1カットアウト(100)に形成されたカウンタサポート要素と協働し且つ前記ロック位置において前記キャリア(200)の前記長手軸に対して横断して作用する力を導入する、ように構成されており、前記カウンタサポート要素は、好ましくは、前記第1カットアウト(100)に形成され且つ前記サポート要素(204)が前記ロック位置において配置されるサポート凹部(108)の壁である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サポート要素(204)は、少なくとも1つの接触面(205)を有し、前記少なくとも1つの接触面(205)は、前記ロック位置において、前記第1カットアウト(100)の壁、特に前記第1カットアウト(100)に形成されたサポート凹部(108)の壁とは反対側に配置されており、前記第1及び/又は第2バラスト要素(10,12)において前記キャリア(200)の前記長手軸に対して横断して作用する力の発生時に前記壁に接触し且つ前記力を前記第1バラスト要素(10)へ導入する、ように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャリア(200)、前記ロック要素(202)及び前記サポート要素(204)は、互いに固定的に接続されており、好ましくは、一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記カウンタロック要素は、前記第2カットアウト(120)に形成されたロック凹部(126)に設けられており、非円形断面を有する開口部(124)を有し、前記ロック要素(202)は、平面視において前記キャリア(200)の外側輪郭を越えて突出しており、任意の円形断面を同様に有さず、前記ロック要素(202)は、リリース位置において前記開口部(124)を通ってプッシュ可能であり、前記ロック位置において前記開口部(124)を通過せず、特に前記ロック装置(20)を前記キャリア(200)の前記長手軸回りに回転させることによって達成されることができ、前記ロック要素(202)は、好ましくは、前記ロック位置において前記ロック凹部(126)の壁(127)に嵌合する形状を形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
前記ロック要素(202)は、平面視において矩形又は三角形である外側輪郭を有し、前記開口部(124)は、前記ロック要素(202)を前記リリース位置においてプッシュ可能にする相補的な矩形又は三角形の輪郭を有し、前記サポート要素(204)は、好ましくは、平面視において前記ロック要素(20)に対応する外側輪郭を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1カットアウト(100)及び/又は前記第2カットアウト(120)は、断面において任意の円形断面を有さない、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
前記ロック要素(202)は、前記キャリア(200)の一端部に配置されており、前記固定機構(206)は、前記キャリア(200)の反対側に配置された端部に配置されており、前記サポート要素(204)は、前記固定機構(206)と前記ロック要素(202)との間に配置されている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
ハンドル(208)は、前記ロック装置(20)を、リリース位置から前記ロック位置へ、並びにその逆へ、上昇及び/又は移動させるために、前記ロック要素(202)とは反対側に配置された前記キャリア(200)の端部に配置されており、前記ハンドル(208)は、好ましくは、前記キャリア(200)に旋回可能に支持されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
前記ロック要素(202)は、前記第2バラスト要素(12)が前記ロック位置にある前記キャリア(200)の前記長手軸に対して横断して配向されたサポート面(207)を有し、前記ロック装置(20)及び前記第2バラスト要素(12)は、好ましくは、前記第2バラスト要素(12)の総重量力が、前記少なくとも1つのロック装置(20)によって吸収されて、前記第1バラスト要素(10)へ及び/又は前記モバイルクレーン(1)の前記カウンタウエイト装置(6)へ導かれる、ように構成されている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記固定機構(206)は、特にボルト形状の固定要素(210)を含み、前記固定要素(210)は、前記キャリア(200)の前記長手軸に対して横断して延びる固定カットアウト(234)へプッシュ可能であり、固定要素ロック手段(212)によって固定位置においてリリース可能にロック可能であり、前記固定要素(210)及び/又は前記固定要素ロック手段(212)は、好ましくは、前記キャリア(200)に不可分に接続されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記ロック装置(20)は、アバットメント要素(230)を含み、前記アバットメント要素(230)は、前記キャリア(200)に前記キャリア(200)に対して変位可能に支持されており、前記ロック位置における前記第1バラスト要素(10)と接触するアバットメント面(232)を有し、前記キャリア(200)は、好ましくは、前記アバットメント要素(230)の中央カットアウトに変位可能に支持されている、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
前記アバットメント要素(230)は、横断カットアウト(201)を有し、前記横断カットアウト(201)は、前記中央カットアウトを通って前記キャリア(200)の前記長手軸に対して横断して延びており、前記固定カットアウト(234)でのカバレッジへ移動可能であり、前記ロック位置において前記固定要素(212)をプッシュ可能にする、ことを特徴とする請求項11及び12に記載のシステム。
【請求項14】
ロックアバットメントが設けられており、前記ロックアバットメントは、前記ロック位置の独立したリリースをブロックするように構成されており、前記ロックアバットメントは、好ましくは、前記ロック位置において前記ロック要素(202)と協働しており、前記第2カットアウト(120)に形成され且つ前記ロック要素(202)が前記ロック位置において配置されるとともに特に前記ロック要素(202)の前記外側輪郭と相補的な内側輪郭を有するロック凹部(126)の側壁によって形成されている、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項15】
前記第2バラスト要素(12)は、前記少なくとも1つのロック装置(20)を介して、特に少なくとも2つのロック装置(20)を介して、前記第1バラスト要素(10)にのみ接続可能であり、好ましくは、接続された状態で前記第1バラスト要素(10)の下に配置されている、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも2つのバラスト要素(10,12)を含むカウンタウエイト(5)を受けるために回転可能な上部構造体(3)に特に配置されたカウンタウエイト装置(6)と、請求項1から15のいずれか1つに記載のシステムと、を備えるモバイルクレーン(1)であって、前記カウンタウエイト装置(6)は、好ましくは、少なくとも1つのバラスト要素(10,12)を前記カウンタウエイト装置(6)に上昇させるための1つ以上のバラストシリンダを有する、モバイルクレーン。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1つに記載のシステムの2つのバラストプレート(10,12)を接続してロックする方法であって、
第1及び第2カットアウト(100,120)の相互に対向する開口部が互いをカバーするように、前記カウンタウエイト装置(6)に固定された前記第1バラストプレート(10)に前記第2バラストプレート(12)を案内するステップと、
前記ロック装置(20)を、アバットメント(232)に接触するまで、前記第1及び第2カットアウト(100,120)によって形成されたカットアウトへ、プッシュするステップと、
前記ロック装置(20)を前記ロック位置へ移動させる(この移動は、少なくとも、前記キャリア(200)の前記長手軸回りにおける前記ロック装置(20)の回転を含む)ステップと、
前記ロック装置(20)を、前記固定機構(206)によって前記ロック位置においてロックするステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記キャリア(200)の前記長手軸回りの前記回転の後における、前記ロック装置(20)の前記ロック位置への前記移動は、前記ロック要素(202)及び/又は前記サポート要素(204)が、好ましくは凹部(126)の上壁によって形成されるアバットメントに隣接するまでの、前記ロック装置(20)の上昇を含み、前記固定機構(206)は、このアバットメントでのみ作動可能であり、前記ラッチ装置(20)は、前記ロック位置においてロック可能である、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルクレーンの2つのバラスト要素をリリース可能に接続してロックするためのシステムに、関する。
【背景技術】
【0002】
通常、モバイルクレーンは、下部走行体を備え、下部走行体は、シャーシと、下部走行体に回転可能に支持され且つブーム及びカウンタウエイトアレンジメントを含む上部構造体と、を有する。ホイール付きシャーシの場合、下部走行体は、ここでは、公道交通において、ホイール付きの複数のアクスルで駆動可能である。国毎に異なる公道に対してアクスルが適用され得る荷重に関する仕様は、公道交通に適用される。この文脈において、可能な限り最良の方法で軸荷重を利用して、カウンタウエイトの十分に小さな部品配分段階で大きな変動性を有する、という経済的な利点を表す。
【0003】
カウンタウエイトアレンジメントは、通常、ベースカウンタウエイトプレートと、そこに置かれ又は積み重ねられ得るバラスト要素と、バラスト要素を有するベースカウンタウエイトプレートを上部構造体に取り付けるための装置と、を含む。したがって、原則として、装置は、バラスト要素を有するベースカウンタウエイトプレートを上部構造体に移動又は上昇させるバラストシリンダと呼ばれる油圧シリンダを、含む。
【0004】
公道交通を走行するときに軸荷重を変化させるために、輸送のために1つ以上のバラスト要素を取り外してそれらを別個に輸送するのではなく、むしろ代わりにそれらを上部構造体の鋼構造に固定的に接続することが、従来技術から知られている。したがって、カウンタウエイトが取り外されるとき、これらのバラスト要素は、下部走行体に戻って来ずに、そこからコンポーネント自体が、次いで、モバイルクレーンから取り外されて、別個の輸送車両に置かれる。これにより、全国的に許容される軸荷重は、公道走行のために上部構造体に選択的に残存するバラスト要素が、無い、1つ、2つ、又はそれ以上であるという点で、より良好に利用され得る。
【0005】
上部構造体に残存するバラスト要素は、特別な接続手段を介して、上部構造体のカウンタウエイト装置のフレームに接続される。ネジ及び/又はボルトシステムは、接続手段として、使用され得る。公道交通での走行のために2つ以上のバラスト要素が上部構造体に残存するべきである場合、そこで、さらなる接続手段は、バラスト要素を互いに接続するカウンタウエイトの間に、取り付けられなければならない。
【0006】
バラスト要素は、頻繁に、さらなるフックインバラスト要素をフックアップするための引張手段又は接続手段に縛るための外側でのボラードのような追加的な構造を、有する。これにより、上部構造体に残存するバラスト要素のための横に取り付け可能な接続システムの使用は、回避される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、最初に名付けられた種類のモバイルクレーンを用いて、上部構造体に残存するバラスト要素を、道路輸送のために、シンプル、迅速及び安全な方法で、互いに接続する可能性を、提供することにある。接続は、特に、工具無しで、実行できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する装置によって、達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から及び以下の説明から、得られる。
【0009】
したがって、モバイルクレーンの2つのバラスト要素をリリース可能に接続するためのシステムが、提案される。システムは、前記モバイルクレーンのカウンタウエイト装置(前記カウンタウエイト装置は、好ましくは、前記モバイルクレーンの上部構造体に配置されている)に固定可能な少なくとも1つの連続的な第1カットアウトを有する第1バラスト要素と、 前記第1バラスト要素に可逆的に接続可能であって、接続された状態で前記第1バラスト要素の前記少なくとも1つの第1カットアウトをカバーする少なくとも1つの第2カットアウトを有する第2バラスト要素と、前記2つのバラスト要素を互いにリリース可能に接続してロックするための少なくとも1つのロック装置と、を備える。
【0010】
ここで、本発明に係るロック装置は、前記第1及び第2カットアウトを通ってプッシュ可能な延長(elongate)されたキャリアと、前記キャリアに配置され、前記2つのバラスト要素をロックするためのロック位置において前記第1及び/又は第2バラスト要素のカウンタロック要素と協働するように構成されたロック要素と、 前記キャリアに配置され、前記ロック要素から離間され、前記キャリアの長手軸に対して横断して前記ロック位置において前記第1及び/又は第2バラスト要素に作用する力を吸収するように構成されたサポート要素と、 前記ロック装置を前記ロック位置において固定可能にする固定機構(securing mechanism)と、を含む。
【0011】
本発明に係るロック装置は、カウンタウエイト装置における配置のために、バラスト要素を互いに接続してロックすることの、シンプル且つ迅速な可能性を、提供する。特に、相互にカバーするカットアウトに導入され得るリリース位置から、道路輸送のためにバラスト要素が互いにロックされるロック位置へ、工具無しで、移動されることができる。状況により両方のバラスト要素の帯同が必要ない場合には、第2バラスト要素は、上部構造体から簡単に取り外されて、別個に輸送されることができ、一方、第1バラスト要素は、例えば、ネジ及び/又はボルト接続によってカウンタウエイト装置に固定される。
【0012】
道路走行中におけるブレーキ時若しくは加速時又はコーナリング時に発生する力は、さらに、追加的なサポート要素をロック装置のキャリアに設けることによって直接的に吸収されることができ、モバイルクレーンへ又はカウンタウエイト装置へ導入されることができる。サポート要素は、ロック要素又はキャリアとは異なる要素である。したがって、効果的な力吸収のために特に構成され得る。
【0013】
バラスト要素は、特にプレート形状に形成されている。それらは、好ましくは、接続又はロック状態で互いに配置されており、第2バラスト要素は、カウンタウエイト装置に固定された第1バラスト要素の下に、配置されている。したがって、ロック装置は、特に、ロック位置において(平面、水平ベースを、仮定する)垂直に整列されており、垂直方向においてバラスト要素又はそれらのカットアウトへ導入されている。垂直方向におけるロック装置のアレンジメントは、ここで、側面に取り付け可能又は導入可能な接続システムよりも、省スペースであり且つフレキシブルである。
【0014】
キャリアは、好ましくは、実質的にロッド形状又はシリンダ状であり、ロック及びサポート要素は、特に、キャリアから側方に突出する。
【0015】
可能性のある実施形態では、前記サポート要素は、前記ロック装置の前記ロック位置において前記第1カットアウトに形成されたカウンタサポート要素と協働し且つ前記キャリアの前記長手軸に対して横断して作用する力を前記第1バラスト要素へ導入する、ように構成されている。第1バラスト要素がカウンタウエイト装置に直接的に接続されているので、第1バラスト要素に作用する(例えば、道路走行中における加速時に発生する)力は、接続手段を介して、カウンタウエイト装置へ直接的に導入される。対照的に、第2バラスト要素に作用する力は、ロック装置を介して、第1バラスト要素へ及び/又はカウンタウエイト装置へ伝導される。サポート要素は、この目的のために、設けられており、対応して構成されている。
【0016】
前記カウンタサポート要素は、好ましくは、前記第1カットアウトに形成され且つ前記サポート要素が前記ロック位置において配置されるサポート凹部(recess)の壁である。横断方向に、すなわち長手キャリア軸に対して直角に、つまり特に垂直に、第2バラスト要素に作用する力が、ロック装置のサポート面と第2バラスト要素との間における粘着摩擦によって決定され得る特定の値を超える場合、第2バラスト要素は、第1バラスト要素に対して移動して、ロック要素又はキャリアを押圧する。これにより、サポート要素は、第1バラスト要素におけるサポート凹部の壁に押圧されて、力は、壁へ導入されるようになる。
【0017】
さらなる可能性のある実施形態では、前記サポート要素は、少なくとも1つの接触面を有し、前記少なくとも1つの接触面は、前記ロック位置において、前記第1カットアウトの、特に前記第1カットアウトに形成されたサポート凹部の、壁(特に側壁)とは反対側に配置されており、前記第1及び/又は第2バラスト要素において前記キャリアの前記長手軸に対して横断して作用する力の発生時に前記壁に接触し且つ前記力を前記第1バラスト要素へ導入する、ように構成されている。接触は、特に、第1バラスト要素に対する第2バラスト要素の相対的な移動又は滑りの結果として、行われる。
【0018】
サポート凹部は、第1カットアウトの拡幅部分、すなわち、より大きな直径を有する領域によって、形成され得る。(平面視において)円形状又は非円形状の輪郭を有することができ、サポート要素は、ロック装置の移動時に、リリース位置からロック位置へ揺れること無く、サポート凹部内を移動することができる。
【0019】
さらなる可能性のある実施形態では、前記キャリア、前記ロック要素及び前記サポート要素は、互いに固定的に接続されており、すなわち、それらは、互いに対して移動可能に支持されていない。それらは、好ましくは、一体に形成されており、ロック要素及び/又はサポート要素は、代替的に、例えばネジによって、キャリアに固定されることもできる。ロック装置が1つの単一パーツのみであるので、特にシンプルなハンドリングが得られる。パーツは、紛失され得ない。
【0020】
さらなる可能性のある実施形態では、前記カウンタロック要素は、前記第2カットアウトに形成されたロック凹部に設けられており、非円形断面を有する開口部を有し、前記ロック要素は、平面視において前記キャリアの外側輪郭を越えて突出しており、任意の円形断面を同様に有さない。前記ロック要素は、前記開口部を通ってプッシュ可能であり、すなわち、リリース位置において前記開口部を通過する一方、前記ロック位置において前記開口部を通過しない。前記ロック要素は、好ましくは、前記ロック位置において前記ロック凹部の壁に嵌合する形状を形成するように構成されている。
【0021】
非円形状の開口部が合流するロック凹部は、同様に、非円形状でもよい。ロック要素がリリース位置からロック位置へ移動し得る十分なスペースが存在することを確保される必要があるのみである。これは、ロック凹部自体において、又はロック凹部と隣り合うさらなる凹部において、行われてもよい。
【0022】
ロック凹部は、ロック位置において溝へ正確に嵌合するように、特に底に向かって開口し且つロック要素の輪郭と相補的な形状を有する溝として、構成され得る。ロック要素は、そうすることで壁に当たるので、溝内でキャリアの長手軸回りにもはや回転し得ない。代替的には、ロック凹部は、開口部を通ってのロック要素の引き抜きのみがロック凹部自体によってブロックされるがしかし、長手キャリア軸回りに回転しないように、完全に又は少なくとも部分的に円形状として、形成されてもよい。この場合、異なる要素又は異なるアバットメントは、回転をブロックするのに、機能し得る。
【0023】
さらなる可能性のある実施形態では、前記ロック要素は、平面視において矩形又は三角形である形状又は外側輪郭を有し、前記開口部は、前記ロック要素を前記リリース位置においてプッシュ可能にする相補的な矩形又は三角形の輪郭を有する一方、前記開口部は、前記ロック位置において前記ロック要素の引き抜きをブロックする。外側輪郭の他のジオメトリもまた、代替的に考えられる。前記サポート要素は、好ましくは、平面視において前記ロック要素に対応する外側輪郭を、有する。
【0024】
さらなる可能性のある実施形態では、前記第1カットアウト及び/又は前記第2カットアウトは、断面において円形断面を有さない。これらの断面の少なくとも1つは、特に、上述されたロック凹部の開口部である。
【0025】
さらなる可能性のある実施形態では、前記ロック要素は、前記キャリアの一端部に配置されており、前記固定機構は、前記キャリアの反対側に配置された端部に配置されており、前記サポート要素は、前記固定機構と前記ロック要素との間に配置されている。ここで、「キャリアの端部に」というフレーズは、各要素が、端部に正確に配置される必要はなく、しかしまた端部の領域にのみ配置され得るように、広い解釈を与えられるべきである。

さらなる可能性のある実施形態では、ハンドルは、前記ロック装置を、リリース位置から前記ロック位置へ、並びにその逆へ、上昇及び/又は移動させるために、前記ロック要素とは反対側に配置された前記キャリアの端部に配置されており、前記ハンドルは、好ましくは、前記キャリアに旋回可能に支持されている。
【0026】
ハンドル又はラッチ要素の上部全体が完全に又は部分的に降下可能である凹部は、さらに、第1カットアウトのオリフィスの領域に設けられてもよい。この凹部は、特に、固定機構の作動がこの凹部内で行われ得るように、寛大に寸法決めされている。
【0027】
旋回性のため、ハンドルは、ロック状態において、第1バラスト要素の表面を越え過ぎて突出することはない。ハンドルはまた、引張手段を縛る(tying)のに機能し得る。例えば、2つのバラスト要素は、下に置かれた状態における少なくとも1つのロック装置によって、接続可能且つロック可能であり、そして、接続されたバラスト要素は、ロック装置を介して上部構造体又はカウンタウエイト装置に上昇されることができ、そこに固定されることができる。
【0028】
さらなる可能性のある実施形態では、前記ロック要素は、前記第2バラスト要素が前記ロック位置にある前記キャリアの前記長手軸に対して横断して配向されたサポート面を有する。バラスト要素は、接続状態において互いに上側に配置されており、第2バラスト要素は、少なくとも1つのロック装置を介して、上部構造体に固定された第1バラスト要素に吊される。前記ロック装置及び前記第2バラスト要素は、好ましくは、前記第2バラスト要素の総重量力が、前記少なくとも1つのロック装置から吸収されて、前記第1バラスト要素へ及び/又は前記モバイルクレーンの前記カウンタウエイト装置へ導かれる、ように構成されている。サポート面は、ロック要素に形成され得る。
【0029】
さらなる可能性のある実施形態では、前記固定機構は、特にボルト形状の固定要素を含み、前記固定要素は、前記ロック位置において前記キャリアの前記長手軸に対して横断して延びる固定カットアウトへプッシュ可能であり、固定位置において固定要素ロック手段によってリリース可能にロック可能である。ロック装置は、固定機構によってロック位置において固定可能であり、もはや独立してリリース位置へ移動し得ない。固定要素ロック手段は、折畳固定プラグでもよい。固定要素は、操作(特に、固定カットアウトのプラグイン又はプラグアウト)を促進するレバー又はハンドルを、含み得る。
【0030】
前記固定要素及び/又は前記固定要素ロック手段は、好ましくは、前記キャリアに不可分(inseparably)に接続されている。ここで、不可分とは、移動不可能であることを意味するのではなく、しかしむしろ、パーツが、常にキャリアに接続されたままであり、したがって、紛失され得ず、したがって、環境に対するリスクを示し得ないことのみを、意味する。ルーズなパーツは、存在しない。さらに、これは、ロック装置の操作を容易にする。
【0031】
さらなる可能性のある実施形態では、前記ロック装置は、アバットメント要素を含み、前記アバットメント要素は、前記キャリアに前記キャリアに対して変位可能に支持されており、前記ロック位置において前記第1バラスト要素と接触するアバットメント面を有し、前記キャリアは、好ましくは、前記アバットメント要素の中央カットアウトに変位可能に支持されている。アバットメント要素は、スリーブとしてキャリアを囲むことができ、底に向かって(すなわち、第1バラスト要素の表面に向かって)平坦化されることができる。ロック装置は、好ましくは、アバットメント面が第1バラスト要素に接触するまで、長い間、第1カットアウトへプッシュされる。そして、ロック装置は、ロック位置へ移動され得て、固定機構は、作動され得る。
【0032】
さらなる可能性のある実施形態では、前記アバットメント手段は、横断カットアウトを有し、前記横断カットアウトは、前記中央カットアウトを通って前記キャリアの前記長手軸に対して横断して延びており、前記固定カットアウトでのカバー範囲(covering,coverage)へ移動可能であり、前記ロック位置において前記固定要素をプッシュ可能にする。したがって、アバットメント要素及びキャリアは、固定位置において互いにロックされており、もはや互いに対して移動され得ない。
【0033】
互いから離間されて(長手軸に沿って)配置された複数の横断カットアウト又は横断ボアは、固定要素を受けるために、キャリアに設けられることができ、個々の横断カットアウトは、ロックプロセスを決定するロック装置の異なる位置で、アバットメント要素の1つの横断カットアウトでのカバー範囲(coverage)へ、持ち込まれ得る。
【0034】
さらなる可能性のある実施形態では、前記ロック位置の独立したリリースをブロックするように構成されたロックアバットメントが、設けられている。前記ロックアバットメントは、好ましくは、前記ロック位置において前記ロック要素と協働するとともに、前記第2カットアウトに形成されたロック凹部の側壁によって実施されており、前記ロック凹部には、前記ロック要素が前記ロック位置において配置されるとともに特に前記ロック要素の前記外側輪郭と相補的な内側輪郭を有する。これに関連して、ロック凹部が底部に向かって開口された溝として構成されている(カウンタウエイト装置が「頂部」に配置されている)場合に有利であり、ロック要素は、ロック装置の回転及び後続の上昇の後に、溝へ移動して、そこで回転しないように固定されている。
【0035】
あるいは、ロックアバットメントは、ロック凹部の外側に配置されることができ、ロック装置の、別の要素、例えばサポート要素又は別個に設けられたアバットメント要素と、協働することができる。
【0036】
さらなる可能性のある実施形態では、前記第2バラスト要素は、前記少なくとも1つのロック装置を介して、特に少なくとも2つのロック装置を介して、前記第1バラスト要素にのみ接続可能であり、好ましくは、接続された状態で前記第1バラスト要素の下に配置されている。ここで、第2バラスト要素は、特に、ロック装置にのみ吊されており、それを介して又は第1バラスト要素を介して、カウンタウエイト装置に接続されている。
【0037】
本発明はさらに、本発明に係るシステムを備えるモバイルクレーンに、関する。モバイルクレーンは、本発明に係るシステムによって接続可能且つロック可能な少なくとも2つのバラスト要素を含むカウンタウエイトを受けるために回転可能な上部構造体に特に配置されたカウンタウエイト装置を、さらに備える。ここで、本発明に係るシステムと同じ利点及び特性が明らかに得られるので、この点で繰り返しの説明は省略される。
【0038】
前記カウンタウエイト装置は、好ましくは、少なくとも1つのバラスト要素を前記カウンタウエイト装置に上昇させるための1つ以上のバラストシリンダを、有する。さらに、本発明に係るモバイルクレーンは、例えば80k.p.h.までの比較的高速にて公道で駆動され得て、したがって高い加速及びブレーキ力がロック装置に対応する歪みを加えることを発生させ得る、所謂高速クレーンであることができる。したがって、サポート要素は、それに応じて設計されなければならない。
【0039】
本発明はさらに、本発明に係るシステムの2つのバラストプレートを接続してロックする方法に、関する。本方法は、以下のステップを含む。第1及び第2カットアウトの相互に対向する開口部が、互いによってカバーされて連続カットアウトを形成するように、前記カウンタウエイト装置に任意に固定された前記第1バラストプレートに、前記第2バラストプレートを好ましくは下から案内する。 前記ロック装置を、アバットメントに接触するまで、前記第1及び第2カットアウトによって形成されたカットアウトへ、プッシュする(特に垂直にプッシュする)。前記ロック装置を前記ロック位置へ移動させる(この移動は、少なくとも、前記キャリアの前記長手軸回りにおける前記ロック装置の回転を含む)。前記ロック装置を、前記固定機構によって前記ロック位置においてロック又は固定する。

ここで、本発明に係るシステムと同じ利点及び特性が明らかに得られるので、この点で繰り返しの説明は省略される。バラスト要素のアンロックは、実質的に、これらのステップを逆の順序で実行することによって行われる。
【0040】
本発明の可能性のある実施形態では、前記キャリアの前記長手軸回りの前記回転の後における前記ロック装置の前記ロック位置への前記移動は、前記ロック要素及び/又は前記サポート要素がアバットメントに隣接するまでの、前記ロック装置の上昇を含む。特に、リリース位置とロック位置との間における角度範囲での上昇は、できない。
【0041】
前記アバットメントは、好ましくは、凹部(例えば、上述のロック凹部)の上壁によって形成されており、前記ロック装置は、このアバットメントの接触時にのみ十分に上昇されており、したがって、前記固定機構は、作動可能(又は前記固定要素が、配置可能)になり、前記ロック装置は、前記ロック位置においてロックされる。
【0042】
本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、図面を参照しながら以下で説明される実施形態から、得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るモバイルクレーンを側面図で示す。
図2図2は、本発明に係るシステムの一実施形態を備えるモバイルクレーンのカウンタウエイト装置の拡大詳細を斜視図で示す。
図3図3は、斜視図におけるロック装置の一実施形態を示す。
図4図4~6は、バラスト要素のロックに関する図3に従ったロック装置の異なる位置を有する第1及び第2バラスト要素を斜視断面図で示す。
図5図4~6は、バラスト要素のロックに関する図3に従ったロック装置の異なる位置を有する第1及び第2バラスト要素を斜視断面図で示す。
図6図4~6は、バラスト要素のロックに関する図3に従ったロック装置の異なる位置を有する第1及び第2バラスト要素を斜視断面図で示す。
図7図7は、ロック装置の別の実施形態を斜視図で示す。
図8図8は、第1カットアウトへ導入された図7に従ったロック装置を有する第1バラスト要素を側面断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、カウンタウエイトアレンジメント5のバラスト要素をロックするための、本発明に係るシステムを備える、モバイルクレーン1の一実施形態を、側面視で示す。モバイルクレーン1は、ホイール2bを持つ複数のホイールアスクル2aを含むホイールシャーシを持つ下部走行体2を、備える。したがって、モバイルクレーン1の重量は、異なるホイールアスクル2aに亘って、分散される。
【0045】
上部構造体6は、下部走行体2上に、垂直軸回りに回転可能に、支持されている。上部構造体6は、リア領域に、起伏可能な伸縮ブーム4と、カウンタウエイトアレンジメント5(上部構造体バラスト又は単にカウンタウエイトとも呼ばれる)と、を有する。上部構造体フレーム構造のリア領域は、第1バラスト要素10が接続手段7(特に、ネジ及び/又はボルト接続)を介して固定可能なカウンタウエイト装置6を、形成する。バラスト要素は、ここではこれ以上詳細には図示されない油圧バラストシリンダによって、下部走行体2の特殊な載置面から上昇され得ており、上部構造体バラスト5を装備するためにカウンタウエイト装置6に移動され得る。バラストプレートが積層され得るとともに次いでバラストシリンダにより上部構造体6に上昇され得るベースカウンタウエイトプレート8は、この目的のために下部走行体2の中央領域に配置されている。
【0046】
公道交通においてモバイルクレーン1を運転するときにアクスル荷重を変化させてより良好に利用することができるようにするために、複数のバラスト要素、この場合には少なくとも2つのプレート状バラスト要素又はバラストプレート10,12(図2参照)は、輸送のために上部構造体6の鋼構造に固定的に接続されることができ、したがって上部構造体6上に残存されることができる。
【0047】
図2は、接続手段7を介してそこに固定された2つのバラストプレート10,12を有する、上部構造体5のカウンタウエイト装置6を、斜視図で示す。ここで、第1(上)バラストプレート10は、カウンタウエイト装置6に直接的に接続されており、一方、第2(下)バラストプレート12は、第1バラストプレート10に接続されて、複数のロック装置20(本ケースでは4つ)を介してロックされている。必要に応じて、第2バラストプレート12が上部構造体6から取り外されることができ、第1バラストプレート10のみがそこに接続されることができる。バラストプレートの両方又はいずれも、同様に、上部構造体6に残存されない。バラストプレート10,12は、側部にT溝30を有し、T溝30へは、さらなるバラスト要素が、フックインバラストとしてフックされ得る。
【0048】
図3では、2つのバラストプレート10,12を互いに接続してロックするために使用されるロック装置20の1つが、斜視図で示されている。ロック装置20は、延長された略シリンダ状のキャリア200を、有する。平面視において略矩形の輪郭を有するラッチ状又はバー状のロック要素202は、キャリア200の端部(以下、「下端部」という)に、配置されている。ロック要素20を上昇させて作動させ得る(すなわち、特に、押し込んだり、引き出したり、回転させたりし得る)旋回可能なハンドル28は、キャリア200の他端部に、配置されている。
【0049】
延長されたキャリア軸と平行に延び且つキャリア200がアバットメント要素230に対して変位可能に案内される、ボアとして設計された中央凹部を有するスリーブ状アバットメント要素230は、ハンドル208の下に配置されている。アバットメント要素230は、側部から見て逆「T」字の形状を、実質的に有する。同様にラッチ形状又はバー形状であって平面視において実質的に矩形の輪郭を有するサポート要素204は、アバットメント要素230とロック要素202との間におけるキャリア200に、配置されている。ロック及びサポート要素202,204は、キャリア200と一体に、形成されており、両側でキャリア200から離れる半径方向に、すなわちウィング状に、突出している。ロック及びサポート要素202,204は、ここでは、互いに平行に整列されており、それらの前面において、わずかに凸状にスイープされる各接触面203,205を、有する。
【0050】
さらに、ロック装置20は、ボルト状の固定要素210又は固定ボルト210を含む固定機構206を、有する。固定ボルト210は、アバットメント要素230の固定カットアウト234において、支持されている。固定カットアウト234は、長手キャリア軸に対して横断して延び、ボアとして形成され、その中心凹部と交差する。キャリア200は、固定ボルト210がプッシュされ得てアバットメント要素230をキャリア200に動かないように固定し得るように、ロック装置20のロック位置において固定カットアウト234をカバーする少なくとも1つの対応する横ボア201(図5参照)を、有する。固定ボルト210の端部には、固定ボルト210を簡易且つ快適に変位可能にするレバー220が、配置されている。
【0051】
プラグインボルト又は固定ボルト210は、ここでは折畳固定プラグとして設計された固定要素ロック手段212によって、完全に挿入された位置において固定可能又はロック可能であり、固定カットアウト234から望ましくない態様でスライドアウトすることができない。レバー220及び折畳固定プラグ212の両方は、ロック装置に固定されており、固定部材214を介してそこに永久的に接続されている。したがって、ルーズなパーツは存在せず、ロック装置20はユニットを形成する。
【0052】
図4図6は、バラストプレート10,12及びロック装置20を通る各斜視断面図において第1及び第2バラストプレート10,12のロック時に垂直に作用するロック装置20の異なる位置を、示す。
【0053】
第1バラストプレート10は、連続的な第1カットアウト、すなわち上側から下側に延びるカットアウト100を、有する。ここで、第2バラストプレート12はまた、第2カットアウト120と呼ばれるこのような連続的なカットアウトを、有する。接続又はロック状態において、第1及び第2カットアウト100,120は、互いをカバーしており、ロック装置20が垂直方向にプッシュ可能なバラスト要素10,12の両方を通して連続的なカットアウトを形成する。第1及び第2カットアウト100,120の両方は、それぞれ、異なる直径の断面を有する。
【0054】
断面106及び124は、ロック及びサポート要素202,204のジオメトリに適合されており、ロック装置20が図4及び図5で見ることができる1つの単一のアライメントにおけるカットアウト100,120へのみプッシュ可能であることを提供する。バー状のロック要素202を持つここに示される実施形態では、断面106及び124もまた、矩形断面を有する。
【0055】
図5では、ロック装置20は、完全に押し込まれた位置、すなわち最大深さで見られることができ、リリース位置と呼ばれる。サポート要素204は、断面106と比較して増大した直径を有する凹部内108,122に、配置されている。この凹部は、第1バラストプレート10の下側へ開口する第1カットアウト100の凹部によって形成され、ここではサポート凹部108と呼ばれており、これに隣接する第2カットアウト120の凹部108及び第2バラストプレート12の上側への開口によって形成される。断面106は、サポート凹部108の開口部とも呼ばれ得る。凹部108及び122は、円形の断面を有し得る。
【0056】
拡大された直径を再び有する凹部128に合流する収縮領域124は、第2カットアウト120の凹部122に隣接する。特に第2バラストプレート12の下側へ開口する凹部128は、円形断面を有し得る。凹部124と128との間の遷移領域には、凹部128に向かって(底部に向かって)開口して、ロック要素202に対して相補的に形成される(実質的に矩形の断面を有するラッチ形状又はバー形状である)溝126が、形成されており、ロック要素202は、ロック凹部と呼ばれるこの溝126に正確に嵌合するようになる。領域124は、ロック凹部126の開口部とも、呼ばれ得る。
【0057】
ロック凹部126の長手軸は、リリース位置において、領域124又はロック要素202の長手軸に対して、(平面視において)横断して延びている。ロック要素202がロック凹部126に嵌合するように、ロック装置20は、リリース位置から出発して90°回転されなければならない。ロック要素202がロック凹部126に配置され且つサポート要素がサポート凹部108に配置されるロック装置20の位置は、ロック位置と呼ばれる。2つのバラストプレート10,12は、ロック位置において、互いに接続されてロックされている。この点において、第2バラストプレート12は、ロック要素202の上部サポート面207上に、ロック凹部126の上壁を介して、存在する。
【0058】
ロック装置20は、第2バラストプレート12の総重量を受けて、第1バラスト要素10上に、アバットメント要素230の下向きのアバットメント面232を介して存在しており、領域106に上方に隣接する凹部(depression)104の上部サポート面105上においてより正確に表現される。次に、凹部104は、第1バラストプレート10の上側へ開口した凹部102に合流しており、凹部102では、ハンドル208及びアバットメント要素230が、(少なくとも部分的に沈む)ロック位置となる。これにより、ロック状態において、第1バラストプレート10を越えて(又は無視できるだけ)突出するパーツはない。
【0059】
例えば、クレーンオペレータが、クレーン展開後に、公道交通における第1展開場所から離れるように、2つのカウンタウエイト又はバラストプレート10,12を持つモバイルクレーン1を移動させたいと決定した場合、彼は、ロック装置20を介してバラストプレート10,12を接続するだろう。この目的のために、彼は、図4に示すように、旋回可能ハンドル208にて、ロック装置を取り上げる。彼は、第1バラストプレート10における第1カットアウト100の断面106に対応するロック要素202を、整列させて、キャリア200と共に横断ラッチとして形成されたロック要素202を、バラストプレート10,12における対応するカットアウト100,120内に導入する。これは、アバットメント要素230のアバットメント面232が、凹部104において提供されたアバットメント又はサポート面105に当接するまで、とても長い間、行われる。
【0060】
プラグインボルト210が、依然としてプラグインされている場合、レバー220を使用することによって横断カットアウト201から引き出される。ここで、固定部材214の長さは、理想的には、固定ピン210が固定カットアウト234から完全に引き出され得ることを、防止する。ここで、キャリア200は、さらに降下され得る。完全に押し込まれた位置(図5参照)では、ロック要素202は、凹部128におけるロック凹部126の下に、配置される。
【0061】
ここで、ロック装置20は、ロック要素202が溝126と平行に整列されるように、リリース位置から全体として90°回転され得る。ロック要素202は、上部接触面207がロック凹部126の上壁に当接するまで、ハンドル208でのロック装置20の繰り返し上昇を介して、ロック凹部126へ下から挿入される。ここで、横断カットアウト201及び固定カットアウト234は、プラグインボルト210が再びプラグインされ得るように、互いを再びカバーする(図6参照)。
【0062】
このロック位置では、バラストプレート10,12は、特に、カウンタウエイトアレンジメント5におけるバラストシリンダ(図示せず)を介して、最初はまだ保持されている。しかしながら、バラストプレートは、別個でもよい。バラストシリンダを降下させた後、バラストプレート10,12は、それらのアバットメントにあり、第1バラストプレート10は、上部構造体6又はカウンタウエイトアレンジメント5との接続部にあり、第2バラストプレート12は、ロック要素202での力導入のための表面203にある。力の流れは、キャリア200、プラグインボルト210及びアバットメント要素230を介して、第1バラストプレート10に発生する。
【0063】
残りのバラストプレート10,12を備えるモバイルクレーン1は、ここで、ベースカウンタウエイトプレート8上に置かれた他のバラストウエイトを、そのブーム4を介して、下部走行体2から独立して取り上げることができ、それらを、道路走行のための別個の輸送車両上に置くことができる。続いて、モバイルクレーン1は、公道で駆動され得る状態へ、移動される。バラストプレート10及び12の大きな質量は、上部構造体6の鋼構造上に、残存する。
【0064】
特に、モバイルクレーン1は、公共交通における高速クレーンとして、駆動する。このことは、バラストプレート10,12が、例えば80k.p.hまでの範囲の速度で加速を、全て経験することを、意味する。これらの加速は、とりわけ、ブレーキ、加速、コーナリング、頂や凹に亘るドライビング、及び振動によって、引き起こされる。したがって、ロック装置20は、公共交通において安全な方法で、走行方向及び走行方向に対して横断する方向に、大きな力を吸収するように、構成されている。後者は、水平又は垂直に整列され得る。考えられる全ての重ね合わせもまた、論理的に考慮され得る。
【0065】
この目的のために、サポート要素204が設けられている。それは、少なくとも走行方向において、ブレーキ力及び加速力を吸収することを、意図されている。ロック位置では、サポート要素204は、この目的のために、第1バラストプレート10の第1カットアウト100のサポート凹部108に、受けられる。サポート凹部108の寸法は、カウンタサポート要素として作用する壁とサポート要素204の前面又は接触面205との間に、遊びがあまり存在しないように、設計されている。
【0066】
第2バラストプレート12は、ロック要素202のサポート面207上にあり、その重量力を導入する。粘着摩擦は、ここで生成される。走行方向におけるブレーキ及び加速力がこの粘着摩擦を超える場合、第2バラストプレート12は、ロック要素202の前面又は接触面203が、カウンタロック要素として作用するロック凹部126の側壁に当接して形状嵌合を確立するまで、サポート面207上を滑る。
【0067】
ロックされた接続部へ力がどのように導入されるかとは独立して、それらは、再び導かれなければならない。これは、フォースぺアを介して、行われるべきである。フォースペアの下の力は、サポート要素204及びその接触面205を介して、第1バラストプレート10へ導入される。フォースペアの上の力は、アバットメント要素230のアバットメント面232間の摩擦を介して、第1バラストプレート10へ導入される、又はアバットメント要素230の外側ジャケット面を介して、凹部104の側壁へ導入される。その結果、キャリア200は、(変化する)荷重の下で曲げられて、対応する寸法にされる。
【0068】
走行方向に対して横断する力は、アバットメント要素230のアバットメント面232においてフォースペアを介して伝達されるトルクを、発生させる。少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つのロック装置20は、バラストプレート10,12をロックするために、この目的のために、全体的に存在しなければならない。横断力は、摩擦を介して、伝達される。
【0069】
バラスト要素10,12を接続するために、レンチ等のようなさらなる工具は、必要とされない。ハンドル208は、第1バラスト要素10又は上側凹部102から、高く突出し過ぎないように、旋回可能である。後者は、追加的にプラグインボルト210の関連要素を取り上げ、快適な操作のために寸法が十分に大きい。
【0070】
バラストプレート10,12には、異なる直径の断面間における遷移部で、様々なスロープが設けられており、スロープは、特に、ロック及びサポート要素202,204並びにキャリア200に設けられたスロープと共に、カットアウト100,120へのロック装置20の導入を促進する。ロック装置20のロック位置での回転は、ロック凹部又は溝126の形状によって、しっかりと防止される。ロック要素202が溝126の下にある場合、ロック装置20は、回転され得る。この必要な回転はまた、サポート要素204に沿って行われる。
【0071】
アバットメント要素230の位置は、位置凹部104及び対応する側方に平坦化された部分又は平面状の接触面233を介して、確保される。アバットメント要素230とキャリア200とが互いに対して十分正確に位置決めされる場合、プラグインボルト210は、容易にプラグインされ得る。
【0072】
ロック装置20が取り付けられる時間は、重大ではない。それは、バラスト要素10,12の設置の前又は後に、行われ得る。このことは、2つのバラスト要素10,12が、例えば、ロック装置20によってのみロックされて、次いで、接続手段7を介してカウンタウエイト装置6に取り付けられること、又は、第1バラスト要素10が、最初に、上部構造体6に固定されて、次いで、第2バラスト要素12が、ロック装置20を介して第1バラスト要素10に取り付けられてロックされることを、意味する。
【0073】
プラグインボルト210のプラグイン後における大きな遊びを低減するために、設定可能性は、提供され得る。必要に応じて、第1バラストプレート10とアバットメント要素230との間に導入又は配置される、セッティング金属シートがあり得る。
【0074】
本発明に係るロック装置20’の別の実施形態は、図7及び8に示されている。この点において、ロック要素202’は、(平面視において矩形の輪郭を有する)バー形状ではなく、しかしむしろ、平面視において三角形の形状(特に正三角形の形状)を、有する。(平面視において)円形状を有する2つのサポート要素204’は、ここでさらに提供される。これにより、力伝達は、フォースペアによって得られ、全外周が接触面として機能する。
【0075】
さらに、第1カットアウト100へ設置可能又は設置されてサポート要素204’のためのカウンタアバットメントを有するホルダ250は、設けられている。この実施形態におけるホルダ250は、2つ以上の環状ワッシャ251を、含む。2つ以上の環状ワッシャ251は、垂直方向に延びる複数のネジを介して接続されており、互いに上方に平行に配置されており、中央開口部がサポート要素204’の外径に適合されており、さらに、リリース位置において三角形状のロック要素202‘を導くように互いから120°離間された3つの凹部を有する。サポート要素204’は、ロック位置において、環状ワッシャ251のレベルにある。
【0076】
上部環状ワッシャ251と第1カットアウト100’の環状突起/アバットメントとの間には、セッティング金属シート252が、挿入されている。ロック装置20’の押し込み及び回転は、第1実施形態と類似の態様でワークしており、ここで、ロック位置へ約90°の回転が行われず、しかしむしろ60°の回転が行われる。
【符号の説明】
【0077】
1 モバイルクレーン
2 下部走行体
2a アクスル
2b ホイール
4 ブーム
5 カウンタウエイトアレンジメント
6 上部構造体
7 接続手段
8 ベースカウンタウエイトプレート
10 第1バラスト要素
12 第2バラスト要素
20 ロック装置
30 T溝
100 第1カットアウト
102 凹部
104 凹部
105 サポート面
106 第1凹部/開口部の断面
108 サポート凹部
120 第2カットアウト
122 凹部
124 第2カットアウト/開口部の断面
126 ロック凹部(溝)
127 壁
128 凹部
200 キャリア
201 横断カットアウト
202 ロック要素
203 接触面
204 サポート要素
205 接触面
206 固定機構
207 サポート面
208 ハンドル
210 固定要素
212 固定要素ロック手段
214 固定部材
220 レバー
230 アバットメント要素
232 アバットメント面
233 接触面
234 固定カットアウト
250 ホルダ
251 環状ワッシャ
252 セッティング金属シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】