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特開2022-133251停止ピストン及びブレーキチャンバを備える油圧回転衝撃穿孔機
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  • 特開-停止ピストン及びブレーキチャンバを備える油圧回転衝撃穿孔機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133251
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】停止ピストン及びブレーキチャンバを備える油圧回転衝撃穿孔機
(51)【国際特許分類】
   B25D 16/00 20060101AFI20220906BHJP
   B25D 9/26 20060101ALI20220906BHJP
   B25D 17/10 20060101ALI20220906BHJP
   E21B 6/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B25D16/00
B25D9/26
B25D17/10
E21B6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027596
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】2101950
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505394482
【氏名又は名称】モンタベール
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェリュ フランスワ-ザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】エスコル ミシェル
【テーマコード(参考)】
2D058
2D129
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058CB03
2D058CC06
2D058CC25
2D058CC28
2D058DA03
2D129AA04
2D129AB13
2D129BA13
2D129DA21
2D129DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単で経済的な構造を有し、信頼性が改善され、追加的な外部コンポーネントの存在を必要としない油圧回転衝撃穿孔機を提供する。
【解決手段】ボディ(3)と、シャンク(21)と、シャンクを打撃するように構成され且つブレーキ面が設けられた打撃ピストン(5)と、打撃ピストンを油圧ブレーキするように構成されたブレーキチャンバ(15)と、シャンクに押圧力を与えるように構成され且つベアリング面が設けられた停止ピストン(17)とを備える。ベアリング面は、シャンクに向かう停止ピストン(17)の変位のストロークを制限するように、ボディに設けられた停止面に当接するように構成されおり、(i)シャンクが停止ピストンに当たって打撃ピストンに接触するとき、及び(ii)ブレーキ面がブレーキチャンバの入口エッジに配置されるとき、ベアリング面と停止面とが同時に所定の間隔距離にて軸方向に離間されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ(3)と、
前記ボディ(3)に取り付けられ且つツールを具備する少なくとも1つのドリルバーに結合されることを意図されたシャンク(21)と、
打撃軸(A)に従って前記ボディ(3)の内部にスライド可能に取り付けられ且つ前記シャンク(21)を打撃するように構成されるとともに前記打撃軸(A)に対して横断して延びるブレーキ面(16)を含む打撃ピストン(5)と、
前記打撃ピストン(5)が所定の打撃位置を超えたときに前記打撃ピストン(5)を油圧ブレーキするように構成されるとともに、前記打撃ピストン(5)が前記所定の打撃位置を超えたときに前記打撃ピストン(5)の前記ブレーキ面(16)によって部分的に閉じられるように構成されたブレーキチャンバ(15)と、
管状であって、前記打撃軸(A)に実質的に平行な変位軸に沿って前記ボディ(3)の内側にスライド可能に取り付けられた停止ピストン(17)と、を備える油圧回転衝撃穿孔機(2)であって、
前記停止ピストン(17)は、前記シャンク(21)に押圧力を与えるように構成されており、前記停止ピストン(17)は、前記シャンク(21)に向かう前記停止ピストン(17)の変位のストロークを制限するように、前記ボディ(3)に設けられた停止面(19)に当接するように構成されたベアリング面(18)を含み、
前記シャンク(21)が前記停止ピストン(17)に当たって前記打撃ピストン(5)に接触するとき、及び、前記打撃ピストン(5)の前記ブレーキ面(16)が前記ブレーキチャンバ(15)の入口エッジ(15.1)に配置されるとき、前記ベアリング面(18)と前記停止面(19)とが、同時に所定の間隔距離(D)にて互いから軸方向に離間されるように構成されている、ことを特徴とする油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項2】
前記打撃ピストン(5)の前記打撃軸(A)に対して実質的に平行に測定される前記所定の間隔距離(D)は、2mm以上である、請求項1に記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項3】
前記ブレーキ面(16)は、前記打撃軸(A)に対して実質的に垂直な平面に延びている、請求項1又は2に記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項4】
前記打撃ピストン(5)は、第1直径を有する第1ピストン部(5.1)と、前記第1直径よりも大きな第2直径を有する第2ピストン部(5.2)と、を含み、前記ブレーキ面(16)は、前記第1及び第2ピストン部(5.1,5.2)を接続する、請求項1から3のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項5】
前記ブレーキチャンバ(15)の内壁及び前記第2ピストン部(5.2)の外面は、前記第2ピストン部(5.2)が前記ブレーキチャンバ(15)に配置されるとき、半径方向の機能クリアランスを画定するように構成されている、請求項4に記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項6】
前記打撃軸(A)に従った前記打撃ピストン(5)の交互のスライドを制御するように構成された主油圧供給回路をさらに備え、前記主油圧供給回路は、高圧流体供給導管(11)と、低圧流体戻り導管(12)と、を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項7】
前記ボディ(3)及び前記打撃ピストン(5)は、前記高圧流体供給導管(11)に恒久的に接続された第1制御チャンバ(7)と、前記第1制御チャンバ(7)に拮抗する第2制御チャンバ(8)と、を少なくとも部分的に区画しており、前記油圧回転衝撃穿孔機(2)は、前記第2制御チャンバ(8)を前記高圧流体供給導管(11)と前記低圧流体戻り導管(12)とに交互に流体的に接続して前記打撃ピストン(5)の打撃及び戻りストロークを制御するように構成された制御分配器(9)を、さらに備える、請求項6に記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項8】
前記ブレーキチャンバ(15)は、前記第1制御チャンバ(7)の延長に、及び前記シャンク(21)の方向に、延びている、請求項7に記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項9】
前記主油圧供給回路は、前記変位軸に従った前記停止ピストン(17)のスライドを制御するようにも構成されている、請求項6から8のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項10】
前記ベアリング面(18)は、前記変位軸に対して傾斜している、請求項1から9のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項11】
前記ボディ(3)は、主ボディ(3.1)と、前記主ボディ(3.1)に固定され且つ前記停止ピストン(17)の周りに延びる内側スリーブ(3.2)と、を含み、前記内側スリーブ(3.2)は、前記停止面(19)を含む、請求項1から10のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【請求項12】
前記シャンク(21)と前記停止ピストン(17)との間において軸方向に配置され且つ前記シャンク(21)に前記押圧力を与えるように構成された停止リング(27)をさらに備える、請求項1から11のいずれか1つに記載の油圧回転衝撃穿孔機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より具体的にはドリルリグで使用される油圧回転衝撃穿孔機に、関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルリグは、公知の方法において、スライドにスライド可能に取り付けられ且つ1つ又は複数のドリルバーを駆動する油圧回転衝撃穿孔機を、備え、これらのドリルバーの最後の1つは、岩石と接触するビットと呼ばれるツールを、担持する。このような穿孔機の目的は、一般に、爆発荷重をそこに配置できるようにするために、多少の深い穴をドリルすることにある。したがって、穿孔機は、ドリルリグの主な要素であり、一方では、岩石を貫通するようにドリルバーを介してビットの回転及び衝撃を与え、他方では、ドリルされた穴から破片を取り出すように注入流体を供給する。
【0003】
より具体的には、油圧回転衝撃穿孔機は、一方では、主油圧供給回路から生じる1つ又は複数の流量の油圧流体によって駆動されるとともに、穿孔機の各動作サイクルで打撃するように構成された打撃ピストンと、ドリルバーに結合されたシャンクと、を含む打撃システムと、他方では、油圧回転モータが設けられ且つシャンク及びドリルバーを回転させるように構成された回転システムと、を備える。
【0004】
ビットを岩石に対して押圧し続けるために、一般に、油圧回転衝撃穿孔機でのスライドによって、押圧力が与えられる。有利には、押圧力は、主に、油圧シリンダ又は油圧モータにより主として駆動される駆動ケーブル又はチェーンのおかげで、スライドによって発生される。
【0005】
上述の押圧力は、油圧回転衝撃穿孔機から、シャンク及びドリルバーを介して、ビットに伝達される。より具体的には、押圧力は、穿孔機のボディから、穿孔機のボディに組み込まれた停止要素を介して、シャンクに伝達される。この停止要素は、パワフルな穿孔機のために、少なくとも1つの表面が流体により押圧力の伝達を確保するように、油圧供給される停止ピストンによって、構成され得る。また、押圧力は、打撃ピストンの打撃圧力及び打撃周波数によって主に引き起こされ且つこれらのパラメータと共に増大する穿孔機の反跳力を、部分的に補償するべきである。最終的には、ビットは、おおよそ、残留ベアリング力と呼ばれる押圧力と反跳力との間の差分によって、及び、シャンクでの停止要素により与えられる力によって、のみ、岩石に対して押圧される。
【0006】
油圧回転衝撃穿孔機が動作するときの安定性及び貫通速度性能は、特に、打つ瞬間におけるこの残留ベアリング力に、依存して、打撃ピストンから岩石への打波の適切な伝達を、保証する。
【0007】
文献WO2010/082871は、油圧回転衝撃穿孔機を開示しており、ここで、停止ピストンは、打撃システムの動作条件において、打撃ピストンの所望の打撃ストロークに従って、打撃ピストン及び穿孔機のボディによって区画され且つ高圧流体供給導管に恒久的に接続される油圧制御チャンバを介して、平衡位置に位置付けられており、油圧制御チャンバは、一方で、停止ピストンを前方に付勢して、他方で、停止ピストンの後面が、停止ピストンを受けるキャビティの後壁から所定の距離に配置されるとき、低圧流体戻り導管に接続されるように、構成されている。
【0008】
文献WO2010/082871に記載されている停止ピストン及びボディの構成は、所定の最適な作業位置の周りで、打撃システムの動作中に、停止ピストンの実質的に安定した位置決めを確保することを、可能にする。
【0009】
しかしながら、停止ピストンが、油圧的又は機械的に決定される平衡位置にあるとき、油圧回転衝撃穿孔機のいくつかの動作条件では、ビットが岩石に接触したままにならない可能性がある。この特定のケースでは、打撃ピストンの各打撃は、シャンク、ドリルバー、及びビットに伝達され、岩石に対するビットの僅かな支持も無く、これらの部分に対して及び穿孔機の打撃線に対して、破壊的な影響を発生させる。この打撃フェーズは、例えば、与えられた打撃圧力に対して小さ過ぎる押圧力から生じる「不十分にサポートされた打撃」フェーズ又は「アイドル打撃」フェーズと、呼ばれ得る。
【0010】
これらの不都合を克服するために、打撃ピストンを作動する打撃圧力、したがって打撃ピストンの衝突速度を、穿孔機が不十分にサポートされる打撃フェーズで作動する場合に、制限することが知られている。とりわけ、押圧力の低減若しくはシリンダに供給される流量の増大、又はスライドの前進モータの、検出は、打撃ピストンの打撃圧力を制限するように、穿孔機の外部の制御部材に制御信号を送信することを、可能にする。
【0011】
打撃ピストンの打撃圧力を制限することを目的としたこの制限機能は、穿孔機で常に最良に調整されるとは限らず、使用者によって時として切断される。さらに、経済的な理由のために、この制限機能は、時として、穿孔機に実装されない。
【0012】
アイドル打撃の場合における回転油圧衝撃穿孔機の打撃線の劣化のリスクを制限するために、環状のブレーキチャンバを有する、油圧回転衝撃穿孔機のボディを備えることも、も知られている。例えば、ブレーキチャンバは、シャンクに対する打撃ピストンの衝突速度を急速に遅くして、したがってシャンクに伝達されるエネルギーを制限するために、及び、油圧回転衝撃穿孔機のボディに設けられ且つ打撃ピストンの打撃ストロークを制限するように構成されたピストン停止面に対する打撃ピストンの衝突速度を制限するためにも、打撃ピストンが所望の最大ストロークを越えるとき、(高圧流体供給導管に恒久的に接続され且つ打撃ピストンの打撃及び戻りストロークの制御に関与する)制御チャンバの延長に設けられており、制御チャンバから(打撃ピストンに設けられたブレーキ面を介して)流体的に隔離されるように構成されている。
【0013】
穿孔機のボディには、また、前停止面が設けられており、その機能は、軸方向に且つ穿孔機の前方に向かって、シャンクのストロークを制限することにある。採用された技術的選択に応じて、前停止面でのシャンクの位置は、例えば、スライドによって穿孔機に対して引抜力が与えられたときに、打撃ピストンのシャンクに対する衝突速度を低下させることを可能にし得て、その目的は、ビットが岩石に捕捉されたときにビットをアンブロックすること、又はシャンクと打撃ピストンとの間における任意の接触を防止することにある。
【0014】
油圧回転衝撃穿孔機のこのような実施形態によれば、停止ピストンは、シャンクに向かう停止ピストンの変位ストロークを制限するように、ボディに設けられた停止面に当接するために適したベアリング面を含み、油圧回転衝撃穿孔機は、シャンクが一般に停止リングを介して停止ピストンを支えて打撃ピストンに接触するとき、及び、打撃ピストンのブレーキ面がブレーキチャンバの入口エッジに配置されるとき、ベアリング面と停止面とが、同時に互いに接触するように構成されている。
【0015】
したがって、停止ピストンに設けられたベアリング面とボディに設けられた停止面とが互いに接触するとき、停止ピストンによって占められる位置は、通常、打撃ピストンがシャンクに接触するときに、打撃ピストンのブレーキ面が環状のブレーキチャンバに侵入し始めて、その結果、そのブレーキフェーズに入るように、打撃ピストンに対してシャンクを軸方向に位置付けることに、対応する。(打撃ピストンがブレーキチャンバを流体的に隔離する正確な瞬間において、)打撃ピストンのこのような位置は、打撃ピストンの最大衝突速度に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それにもかかわらず、停止ピストンのこの構成では、シャンクの正確な位置は、特に穿孔機の反跳力と穿孔機でのスライドにより与えられる押圧力とに依存するので、決定されない(シャンクは、停止ピストンを支持するベアリング位置の前に、停止面を支持するベアリング位置の間に、配置される)。したがって、停止ピストンに設けられたベアリング面とボディに設けられた停止面とが互いに接触する場合、シャンクに対する打撃ピストンの衝突速度は、決定された最大衝突速度と決定された最小衝突速度との間における残留ベアリング力に基づいて、構成されるが、正確には画定され得ない。
【0017】
さらに、打撃ピストンとシャンクとの間における衝突速度は、打撃ピストンにより与えられる前の打撃によってスラストが与えられたシャンクが、前停止面で跳ね返って、高い反跳速度でそのブレーキフェーズの前に再び打撃ピストンに遭遇する場合、最大衝突速度よりも高くなり得る。ビットが岩石に接触しないときに、打撃ピストンのシャンクに対する衝突速度が高過ぎる場合、(主にドリルバーを互いに接続するスレッドにおいて、)停止ピストンとシャンクとの間に、前ベアリング面、停止ピストン、打撃ピストン、ピストン停止面、シャンク、ドリルバー、及び/又はビット間に、介在される可能性のある停止リングでの、穿孔機のユーザにとって、早期破裂は特に嘆かわしいだろう。
【0018】
本発明は、これらの欠点を克服することを目的とする。
【0019】
したがって、本発明の起源における技術的課題は、簡単で経済的な構造を有し、信頼性が改善され、追加的な油圧回路及びパーツに関連する又は関連しない追加的な外部コンポーネントの存在を必要としない、油圧回転衝撃穿孔機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のために、本発明は、ボディと、前記ボディに取り付けられ且つツールを具備する少なくとも1つのドリルバーに結合されることを意図されたシャンクと、打撃軸に従って前記ボディの内部にスライド可能に取り付けられ且つ前記シャンクを打撃するように構成されるとともに前記打撃軸に対して横断して延びるブレーキ面を含む打撃ピストンと、前記打撃ピストンが所定の打撃位置を超えたときに前記打撃ピストンを油圧ブレーキするように構成されるとともに、前記打撃ピストンが前記所定の打撃位置を超えたときに前記打撃ピストンの前記ブレーキ面によって部分的に閉じられるように構成されたブレーキチャンバと、管状であって、前記打撃軸に実質的に平行な変位軸に沿って前記ボディの内側にスライド可能に取り付けられた停止ピストンと、を備える油圧回転衝撃穿孔機(rotaryーpercussive hydraulicperforator)に、関する。
【0021】
前記停止ピストンは、前記シャンクに押圧力を与えるように構成されており、前記停止ピストンは、前記シャンクに向かう前記停止ピストンの変位のストロークを制限するように、前記ボディに設けられた停止面に当接するように構成されたベアリング面を含む。
【0022】
油圧回転衝撃穿孔機は、前記シャンクが前記停止ピストンに当たって前記打撃ピストンに接触するとき、及び、前記打撃ピストンの前記ブレーキ面が前記ブレーキチャンバの入口エッジに配置されるとき、前記ベアリング面と前記停止面とが、同時に所定の間隔距離にて互いから軸方向に離間されるように構成されている、ことを特徴とする。
【0023】
換言すると、油圧回転衝撃穿孔機は、シャンクが停止ピストンに当たって打撃ピストンに接触するとき、及び、ベアリング面が停止面に当接するとき、ブレーキ面が、ブレーキチャンバに配置されるとともに、ブレーキチャンバの入口エッジから軸方向に同時に所定の間隔距離にて離間されるように、構成されている。
【0024】
本明細書では、「当たる」(bearing on)とは、「直接的又は間接的に当たる」と理解されるべきである。結果として、本発明によれば、シャンクは、停止ピストンに直接的に当たってもよく、又は、停止ピストンに間接的に、すなわち、シャンクと停止ピストンとの間に介在される停止リングなどの中間部品を介して、当たってもよい。
【0025】
本発明に係る油圧回転衝撃穿孔機の具体的な構成は、穿孔機でのスライドにより与えられる押圧力が、もしもあれば、打撃圧力に比較して非常に小さい場合に、打撃ピストンが、シャンクを打撃することができる前に、所定の間隔距離に対応する距離にてブレーキチャンバへ侵入するように、停止ピストンが、軸方向位置にシャンクを位置付けることができるようにすることを、可能にする。したがって、本発明に係る油圧回転衝撃穿孔機は、残留ベアリング力が小さいとき、したがって穿孔機の打撃線の構成要素、特にシャンク、ドリルバー、及びビットに、損傷を発生させることなく、シャンクと打撃ピストンとの間における衝突が、低減された速度(最小衝突速度と最大衝突速度との間に含まれる)で行われることを、保証する。
【0026】
結果として、本発明に係る油圧回転衝撃ドリルは、打撃ピストンがシャンクを打撃する最大衝突速度と最小衝突速度との間の中間衝突速度を規定して、したがって、ドリルされる岩石にビットが当たらないとき、シャンクに伝達されるエネルギーを、ドリルバー及びビットに確実に制限して、したがって、シャンク、ドリルバー、ビット、及び穿孔機の全打撃線を保護することを、可能にする。この保護機能は、外部制御ブロック又は追加的な内部若しくは外部油圧回路を追加することなく、既存の部品にて、穿孔機に統合されている。このような保護機能は、ハザードを対象とする外部機能によって、穿孔機の安全性をもはや保証する必要がないことを、可能にする。
【0027】
有利には、中間衝突速度は、中間衝突速度での打撃ピストンの衝突がその前ベアリング面への衝突後にシャンクの低速リバウンドを発生させるだけになるように、打撃ピストンの最大衝突速度、ブレーキチャンバのブレーキ力、及び停止ピストンの構成を考慮して、較正されてもよい。
【0028】
油圧回転衝撃穿孔機は、単独で又は組み合せで考慮される、以下の特徴のうちの1つ以上を、さらに有してもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記打撃ピストンの前記打撃軸に対して実質的に平行に測定される前記所定の間隔距離は、2mm以上である。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキ面は、前記打撃軸に対して実質的に垂直な平面に延びている。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキ面は、環状である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、前記打撃ピストンは、前記ブレーキ面を画定するブレーキショルダを、含む。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記打撃ピストンは、第1直径を有する第1ピストン部と、前記第1直径よりも大きな第2直径を有する第2ピストン部と、を含み、前記ブレーキ面は、前記第1及び第2ピストン部を接続する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ピストン部は、環状ピストンカラーである。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記ボディは、前記打撃軸に沿った前記打撃ピストンの変位中に前記第1ピストン部を軸方向に案内するように構成された案内面を、含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキチャンバの内壁及び前記第2ピストン部の外面は、前記第2ピストン部が前記ブレーキチャンバに配置されるとき、半径方向の機能クリアランスを画定するように構成されている。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記半径方向の機能クリアランスは、10~120μmとの間に含まれる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記打撃軸に沿った前記打撃ピストンの交互のスライドを制御するように構成された主油圧供給回路をさらに備え、前記主油圧供給回路は、高圧流体供給導管と、低圧流体戻り導管と、を含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記ボディ及び前記打撃ピストンは、前記高圧流体供給導管に恒久的に接続された第1制御チャンバと、前記第1制御チャンバに拮抗(antagonist)する第2制御チャンバと、を少なくとも部分的に区画しており、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記第2制御チャンバを前記高圧流体供給導管と前記低圧流体戻り導管とに交互に流体的に接続して前記打撃ピストンの打撃及び戻りストロークを制御するように構成された制御分配器(Control distributor)を、さらに備える。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキチャンバは、前記第1制御チャンバの延長に、及び前記シャンクの方向に、延びている。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキチャンバは、前記打撃ピストンの前記ブレーキ面が前記ブレーキチャンバから離れるときに、前記第1制御チャンバによって高圧流体が供給されるように、構成されている。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキチャンバは、前記打撃ピストンの前記ブレーキ面が前記ブレーキチャンバに配置されるときに、前記第1制御チャンバから少なくとも部分的に流体的に隔離されるように、構成されている。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記ブレーキチャンバは、前記入口エッジとは反対側に配置された底面を、含む。有利には、前記ブレーキ面は、前記打撃ピストンの前記打撃ストロークを制限するように、前記ブレーキチャンバの前記底面に当接するように構成されている。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記主油圧供給回路は、前記変位軸に沿った前記停止ピストンの前記スライドを制御するようにも構成されている。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記ボディ及び前記停止ピストンは、前記高圧流体供給導管に恒久的に接続され且つ前記停止ピストンを前記シャンクに向かって付勢するように構成された一次制御チャンバを、区画する。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、前記ボディ及び前記停止ピストンは、前記低圧流体戻り導管又は専用のドレインラインに恒久的に接続された二次制御チャンバを区画しており、前記二次制御チャンバは、前記一次制御チャンバに拮抗する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記二次制御チャンバは、前記停止ピストンを前記シャンクとは反対側に付勢するように構成されている。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記主油圧供給回路は、前記低圧流体戻り導管に接続された低圧アキュムレータを、さらに含む。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記主油圧供給回路は、前記高圧流体供給導管に接続された高圧アキュムレータを、さらに含む。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記低圧及び高圧アキュムレータの少なくとも1つ又は各々は、ハイドロニューマチックアキュムレータ、ピストンアキュムレータ、ブラダアキュムレータ、又は任意の他のタイプのアキュムレータなどの、膜アキュムレータである。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記変位軸に沿った前記停止ピストンのスライドを制御するように構成された二次油圧供給回路を、備える。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記油圧回転衝撃穿孔機の異なる動作パラメータに従って前記停止ピストンの前記位置を調整するように構成された制御装置を、備える。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記停止ピストンは、前記打撃ピストンの周りにスライド可能に取り付けられている。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記停止ピストンは、前記シャンクを前記打撃ピストンに対して所定の平衡位置に位置付けるように構成されている。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記ベアリング面は、前記変位軸に対して傾斜している。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、前記ベアリング面は、5~175°の間に、有利には30~60°の間に、例えば約45°に含まれる傾斜角度に従って、前記変位軸に対して傾斜している。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、前記停止面は、5~175°の間に、有利には30~60°の間に、例えば約45°に含まれる傾斜角度に従って、前記変位軸に対して傾斜している。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記ベアリング面は、前記停止ピストンの後方に向かって傾斜している。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、前記停止面及び前記ベアリング面は、前記変位軸に対して実質的に垂直に延びており、したがって、前記打撃軸に対して実質的に垂直に延びている。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記停止面は、環状である。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記ベアリング面は、環状である。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記ベアリング面及び前記停止面は、前記ベアリング面及び前記停止面の一部のみに亘って、互いに接触するように構成されている。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記ボディは、主ボディと、前記主ボディに固定され且つ前記停止ピストンの周りに延びる内側スリーブと、を含み、前記内側スリーブは、前記停止面を含む。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、前記停止面は、前記主ボディに設けられている。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記シャンクと前記停止ピストンとの間において軸方向に配置され且つ前記シャンクに前記押圧力を与えるように構成された停止リングを、さらに備える。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記停止リング及び前記停止ピストンは、同軸状に延びている。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、前記シャンクは、前記打撃軸に沿って長手方向に延びている。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、前記停止ピストンは、前記ベアリング面を含む環状カラーを、含む。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、前記油圧回転衝撃穿孔機は、前記ボディに対して固定された前停止面を備え、前記前停止面は、環状であって、前記シャンクの周りに延びており、前記シャンクは、前記シャンクの前方への前記変位ストロークを制限するように、前記前停止面に当接するように構成されている。有利には、前記シャンクは、前記シャンクの外面に設けられ且つ前記前停止面に当接するように構成された前ベアリング面を含む環状ベアリングカラーを、含む。
【0070】
本発明は、同一の参照符号が構造的及び/又は機能的に同一又は類似の要素に対応する、添付の図面を参照した以下の説明からより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧回転衝撃穿孔機の縦断面図であって、第1動作構成における打撃ピストン、停止ピストン及びシャンクを示す。
図2図2は、図1の油圧回転衝撃穿孔機の縦断面図であって、第2動作構成及び第3動作構成における打撃ピストン、停止ピストン及びシャンクをそれぞれ示す。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る油圧回転衝撃穿孔機の縦断面図である。
図4図4は、図1の詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1及び図2は、ブラスト孔をドリルするために意図された油圧回転衝撃穿孔機2を、表す。油圧回転衝撃穿孔機2は、より詳細にはキャリア機械上に設けられたスライド(図には表されていない)上にスライド可能に取り付けられるように構成されたボディ3を含む。図1及び図2に表される実施形態によれば、ボディ3は、主ボディ3.1と、また、主ボディ3.1にスライド可能又は強制的に取り付けられた内側スリーブ3.2及び追加的な内側スリーブ3.3と、を含む。
【0073】
油圧回転衝撃穿孔機2は、打撃軸Aに従って、ボディ3により画定される、ピストンシリンダ6に交互にスライド可能に取り付けられた打撃ピストン5を含む打撃システム4を、備える。打撃ピストン5及びピストンシリンダ6は、環状である第1制御チャンバ7と、第1制御チャンバ7の断面よりも大きな断面を有し且つ第1制御チャンバ7に拮抗する第2制御チャンバ8と、を区画する。
【0074】
打撃システム4は、打撃ストローク及び戻りストロークを交互に沿ってピストンシリンダ6の内側における打撃ピストン5の交互移動を制御するように配置された制御分配器9を、さらに含む。制御分配器9は、打撃ピストン5の打撃ストローク中に、高圧非圧縮流体供給導管のような高圧流体供給導管11と、打撃ピストン5の戻りストローク中に、低圧非圧縮流体戻り導管のような低圧流体戻り導管12とに、交互に接続して、第2制御チャンバ8を設定するように構成されている。有利には、第1制御チャンバ7は、高圧流体供給導管11に接続された供給チャンネル13によって、高圧流体を恒久的に供給される。
【0075】
高圧流体供給導管11及び低圧流体戻り導管12は、打撃システム4が設けられた主油圧供給回路に、属する。有利には、主油圧供給回路は、高圧流体供給導管11に接続された高圧アキュムレータ14を、含んでもよい。
【0076】
打撃システム4はまた、打撃ピストン5が所定の打撃位置を超えたときに、打撃ピストン5を油圧ブレーキするように構成されたブレーキチャンバ15を、含む。有利には、ブレーキチャンバ15は、環状であって、第1制御チャンバ7の延長で、及び油圧回転衝撃穿孔機2の前方に向かって、延びている。ブレーキチャンバ15は、環状である入口エッジ15.1と、同じく環状であって入口エッジ15.1とは反対側に配置された底面15.2と、を含む。
【0077】
ブレーキチャンバ15は、より詳細には、打撃ピストン5が所定の打撃位置を超えるとき、打撃ピストン5に設けられたブレーキ面16によって部分的に閉じられ、したがって第1制御チャンバ7から部分的に流体的に隔離され、打撃ピストン5のブレーキ面16がブレーキチャンバ15から離れるとき、第1制御チャンバ7によって高圧流体が供給される、ように構成されている。
【0078】
有利には、ブレーキ面16は環状であり、打撃軸Aに対して横断して、好ましくは打撃軸Aに対して実質的に垂直な平面に、延びている。それにもかかわらず、本発明の変形例によれば、ブレーキ面16は、打撃軸Aに対して30~90°の間に含まれる角度を、有してもよい。ブレーキ面16は、打撃ピストン5の打撃ストロークを制限するように、ブレーキチャンバ15の底面15.2に当接するように構成されている。
【0079】
図1及び図2に表される実施形態によれば、打撃ピストン5は、第1直径を有する第1ピストン部5.1と、第1直径よりも大きな第2直径を有する第2ピストン部5.2と、ブレーキ面16を画定し且つ第1及び第2ピストン部5.1,5.2を接続するブレーキショルダと、を含む。有利には、ブレーキチャンバ15の内壁及び第2ピストン部5.2の外面は、第2ピストン部5.2がブレーキチャンバ15に配置されるとき、半径方向の機能クリアランスを画定するように構成されている。本発明の一実施形態によれば、半径方向の機能クリアランスは、10~120μmの間に含まれる。
【0080】
また、油圧回転衝撃穿孔機2は、管状であり且つ打撃軸Aに平行な(好ましくは打撃軸Aに一致する)変位軸に沿ってボディ3の内部にスライド可能に取り付けられた停止ピストン17を、備える。図1及び図2に表される実施形態によれば、停止ピストン17は、打撃ピストン5の周りにスライド可能に取り付けられており、打撃ピストン5に同軸状に延びている。
【0081】
また、停止ピストン17は、ベアリング面18を含む。ベアリング面18は、環状であり、油圧回転衝撃穿孔機2の前方へ向かう停止ピストン17の変位ストロークを制限するように、また環状であり且つボディ3(例えば内側スリーブ3.2)に設けられた停止面19に当接するように、構成されている。
【0082】
図1及び図2に表される実施形態によれば、ベアリング面18は、30~60°の間に含まれる(例えば約45°の)傾斜角度に応じて変位軸に対して傾斜しており、停止面19もまた、30~60°の間に含まれる(例えば約45°の)傾斜角度に応じて変位軸に対して傾斜している。有利には、ベアリング面18及び停止面19各々は、停止ピストン17の後端の方向に発散する。それにもかかわらず、図3に表される本発明の別の実施形態によれば、停止面19及びベアリング面18各々は、変位軸に対して実質的に垂直に延びてもよい。
【0083】
さらに、油圧回転衝撃穿孔機2は、ビットとも呼ばれるツールを具備する少なくとも1つのドリルバー(図示せず)に、公知の方法で結合されるように意図されたシャンク21を、さらに備える。シャンク21は、有利には打撃軸Aと一致する延長軸に沿って長手方向に延びており、打撃ピストン5に臨み且つ油圧回転衝撃穿孔機2の各動作サイクル中に打撃ピストン5が当たるように意図された端面22.1が設けられた第1端部22と、第1端部22とは反対側且つ少なくとも1つのドリルバーに結合されるように意図された第2端部(図示せず)と、を含む。
【0084】
また、シャンク21は、シャンク21の前方への変位ストロークを制限するように、環状であり且つシャンク21の周りに延びる前停止面25に当接するように構成された、前ベアリング面24を含む。前ベアリング面24は、例えば、環状でもよく、又は、シャンク21に設けられたメス及びオスの結合スプラインが前ベアリング面24まで延びる場合には、不連続でもよい。前停止面25は、ボディ3、特に主ボディ3.1に直接的に設けられてもよく、又は、主ボディ3.1に配置された環状停止リングに設けられてもよい。有利には、前ベアリング面24は、打撃軸Aに対して傾斜しており、打撃ピストン5の方向に発散している。
【0085】
より詳細には、停止ピストン17は、シャンク21に臨み且つシャンク21に直接的に又はシャンク21と停止ピストン17との間に軸方向に介在する停止リング27を介してシャンク21に間接的に押圧力を与えるように構成された前面26を、含む。
【0086】
停止ピストンの動作は、当業者にとって周知であり、したがって、本明細書では詳細には説明されない。さらに、停止ピストンの油圧供給は、当業者にとって周知の種々の方法で、行われてもよい。しかしながら、停止ピストン17の油圧供給の異なる例は、以下に説明される。
【0087】
図1及び図2に表される実施形態によれば、ボディ3及び停止ピストン17は、打撃ピストン5と共に、例えば高圧流体供給導管11に恒久的に接続され得て且つ停止ピストン17を前方にすなわちシャンク21に向かって付勢するように構成された一次制御チャンバ28を、区画する。
【0088】
ボディ3及び停止ピストン17は、打撃ピストン5と共に、一次制御チャンバ28に拮抗し且つ例えば低圧流体戻り導管12又は専用のドレインラインに接続され得る二次制御チャンバ29をも、区画する。有利には、ベアリング面18及び停止面19は、二次制御チャンバ29を部分的に区画する。
【0089】
図1及び図2に表される実施形態によれば、ボディ3及び停止ピストン17は、二次制御チャンバ29に拮抗し且つ(低圧流体戻り導管12に接続され且つ打撃システム4の主油圧供給回路に属する)低圧アキュムレータ32に例えば接続された追加的な制御チャンバ31を、区画する。上述の低圧及び高圧アキュムレータ各々は、ハイドロニューマチックアキュムレータ、ピストンアキュムレータ、ブラダアキュムレータ、又は任意の他のタイプのアキュムレータなどの、膜アキュムレータでもよい。それにもかかわらず、図3に表される実施形態によれば、追加的な制御チャンバ31は、外ドレイン30に接続されてもよい。本発明の別の変形例によれば、追加的な制御チャンバ31は、低圧流体戻り導管12に直接的に、すなわち低圧アキュムレータの存在なしに、接続されてもよい。
【0090】
図1及び図2に表される本発明の実施形態によれば、主油圧供給回路は、変位軸に沿った停止ピストン17のスライドをも制御するように構成されている。しかしながら、本発明の変形例によれば、油圧回転衝撃穿孔機2は、主油圧供給回路から分離され且つ変位軸に沿って停止ピストン17のスライドを制御するように構成された二次油圧供給回路を、含んでもよい。
【0091】
また、油圧回転衝撃穿孔機2は、打撃軸Aと実質的に一致する回転軸回りにシャンク21を回転駆動するように構成された回転駆動システム33を、備える。回転駆動システム33は、管状であり且つシャンク21の周りに配置される結合ピニオンのような、結合部材34を含む。結合部材34は、シャンク21に設けられたメス及びオス結合スプラインとそれぞれ回転結合される、オス結合スプライン及びメス結合スプラインを、含む。
【0092】
有利には、結合部材34は、回転駆動システム33に属し且つ外部油圧供給回路により油圧供給される油圧モータのような駆動モータ35の出力軸と回転結合された、外周ギアを含む。回転駆動システム33は、例えば、一方で駆動モータ35の出力軸に他方で結合部材34の外周ギアに結合される、中間ピニオン36を含んでもよい。
【0093】
油圧回転衝撃穿孔機2が動作するとき、シャンク21は、駆動モータ35のおかげで回転されており、シャンク21は、その端面17において、主油圧供給回路により供給される打撃システム4によって確保される打撃ピストン5のサイクルヒットを、受ける。同時に、油圧回転衝撃穿孔機2が取り付けられたキャリア機械は、ボディ3及びシャンク21を介して、ドリルバーに押圧力を与える。油圧回転衝撃穿孔機2の内部では、ボディ3とシャンク21との間で、この押圧力は、停止ピストン17及び停止リング27を介して、伝達される。
【0094】
油圧回転衝撃穿孔機2は、ベアリング面18及び停止面19が、所定の間隔距離Dにて同時に互いから軸方向に離間されるように、より具体的には、シャンク21が、停止リング27を介して停止ピストン17に当たって、打撃ピストン5に接触して、打撃ピストン5のブレーキ面16が、ブレーキチャンバ15の入口エッジ15.1に配置される、すなわち入口エッジ15.1とは半径方向に反対側に、配置される、ように、構成されている。
【0095】
有利には、打撃ピストン5の打撃軸Aに実質的に平行に測定される所定の間隔距離Dは、2mm以上である。
【0096】
油圧回転衝撃穿孔機2のこのような構成は、スライドにより油圧回転衝撃穿孔機2に与えられる押圧力が、もしあるならば、打撃圧力に比較して小さ過ぎる場合に、打撃ピストン5が、シャンク21を打撃することができる前に、所定の間隔距離Dに対応する距離にて、ブレーキチャンバ15へ侵入するように、シャンク21を、(ベアリング面18が停止面19に当接する停止ピストンの位置に対応する)軸方向位置に、位置付けることができる停止ピストン17を、可能にする。したがって、本発明に係る油圧回転衝撃穿孔機2は、スライドより油圧回転衝撃穿孔機2に与えられる押圧力が、もしあるならば、低過ぎる場合に、シャンク21と打撃ピストン5との間における衝突が、低減された速度で行われることを保証し、したがって穿孔機の打撃線の構成要素への、特にシャンク21、ドリルバー及びビットへの、損傷が発生しない。
【0097】
その結果、本発明に係る油圧回転衝撃穿孔機2は、(ブレーキ面16が入口エッジ15に配置される、打撃ピストン5の位置に対応する)打撃ピストン5の最大衝突速度と、(ブレーキ面16が底面15.2に配置されて接触する、打撃ピストン5の位置に対応する)打撃ピストン5の最小衝突速度と、の間に含まれる打撃ピストンの中間衝突速度を、規定して、したがって、ビットが、ドリルされた岩石に載っていないときに、シャンク21、ドリルバー及びビットに伝達されるエネルギーを、確実に制限して、したがって、シャンク21、ドリルバー、ビット及び油圧回転衝撃穿孔機2の打撃線全体を保護することを、可能にする。
【0098】
このような保護機能は、外部制御ブロック又は追加的な内部若しくは外部油圧回路を追加することなく、油圧回転衝撃穿孔機2に組み込まれており、したがって、ハザードを対象とする外部機能によって穿孔機の安全性を保証する必要なく、得られる。
【0099】
言うまでもなく、本発明は、例として上述されたこの油圧回転衝撃穿孔機の唯一の実施形態に限定されず、反対に、その全ての変形例を包含する。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】