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特開2022-133357がんイメージング及びがん放射線治療のための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133357
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】がんイメージング及びがん放射線治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20220906BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20220906BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20220906BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20220906BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220906BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K49/00
A61K51/04 200
A61K51/08 200
A61K51/04 100
A61K51/08 100
A61P35/00
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105214
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2019541232の分割
【原出願日】2018-01-30
(31)【優先権主張番号】17305098.0
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512269708
【氏名又は名称】ヴェクト-オール
【氏名又は名称原語表記】VECT-HORUS
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】511025226
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デクス-マルセイユ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE D’AIX-MARSEILLE
【住所又は居所原語表記】Jardin du Pharo, 58, Bld Charles Livon, F-13284 Marseille cedex 07, France
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】マリス,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ルコーシュ,パスカリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ノワック,ジョナタン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド,マリオン
(72)【発明者】
【氏名】テムサマニ,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】クレチャティスキー,ミシェル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がんイメージング、がん検出、及びがん放射線治療のための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】薬学的に許容されるマーカーMと、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドPとを含むコンジュゲート化合物、並びに対象にコンジュゲート化合物を投与すること及びマーカーの存在及び/又は量を分析することによって対象におけるがん細胞を標識する及び/又は検出する及び/又は処置する方法におけるその使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にコンジュゲート化合物を投与すること並びにマーカーの存在及び/又は量を分析することによって前記対象におけるがん細胞を標識する及び/又は検出する方法に使用する、化学式(I)のコンジュゲート化合物であって、
M-C-P(I)、
式中、Mは薬学的に許容されるマーカーを示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項2】
前記化合物は、複数の化学式(I)の単量体を含む多量体である、請求項1に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項3】
Pはアミノ酸配列(II)を含み、
A1-Met-A2-Arg-Leu-Arg-A3-A4(II)、
配列中、A1及びA4は、独立してシステイン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A2は、プロリン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A3は、グリシン又はそのアナログ若しくはイソスターを示す、請求項1又は2に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項4】
A1及びA4は、独立してシステイン(Cys)若しくは(D)-cys、ペニシラミン(Pen)、及び(D)-ペニシラミン((D)-Pen)から選択されるそのアナログを示し、並びに/又はA2は、プロリン(Pro)若しくはピペコリン酸(Pip)及びチアゾリジン-4-カルボン酸(Thz)から選択されるそのアナログを示し、並びに/又はA3は、Gly又はサルコシン(Sar)を示す、請求項3に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項5】
Pは、配列番号1~配列番号9のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項6】
Mは、放射性核種又は蛍光マーカーを示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項7】
Mは18F又は68Gaである、請求項6に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項8】
Mは、直接的に又は非直接的に、共有結合又はイオン結合によってPに結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項9】
前記キレーターCは、NODAGA、DOTA、DOTA-GA、NOTA、及びその機能的誘導体から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項10】
前記キレーターCは、スペーサーSを介してPに結合する、請求項9に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項11】
前記化合物は、LDLRとは異なる分子に結合する第2標的基Tをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項12】
Mは放射性核種を示し、前記方法は、
a) 前記コンジュゲート化合物を対象に投与するステップと、
b) イメージング方法を行うステップと、
c) ステップb)において得た信号を分析するステップとを含み、
信号の存在は、前記対象におけるがん細胞の存在及び/又はがん進展のステージ分類を示す、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項13】
LDLRを過剰発現するがん細胞を標識する及び/又は検出するための、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項14】
前記がんは、膵がん、副腎がん、又は膠芽腫から選択される、請求項13に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項15】
化学式(III)のコンジュゲート化合物であって、
M-C-S-P(III)、
式中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Sは、スペーサーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項16】
下記化学式のコンジュゲート化合物であって、
M-C-P、
式中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項17】
前記化合物は、LDLRとは異なる分子に結合する第2標的基Tをさらに含む、請求項15又は16に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項18】
前記化合物は、P基若しくはM基の複数のコピー、又はその両方の複数のコピーを含む多量体である、請求項15~17のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項19】
前記化合物は、複数の化学式(III)の単量体を含む多量体である、請求項18に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項20】
Pはアミノ酸配列(II)を含み、
A1-Met-A2-Arg-Leu-Arg-A3-A4(II)、
配列中、A1及びA4は、独立してシステイン(Cys)若しくは(D)-cys、ペニシラミン(Pen)、及び(D)-ペニシラミン((D)-Pen)から選択されるそのアナログを示し、並びに/又はA2は、プロリン(Pro)若しくはピペコリン酸(Pip)及びチアゾリジン-4-カルボン酸(Thz)から選択されるそのアナログを示し、並びに/又はA3は、Gly又はサルコシン(Sar)を示し、好ましくは、Pは、配列番号1~配列番号9のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15~19のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項21】
Mは、好ましくは18F、68Ga、90Y、177Lu、及び111Inから選択される、マーカー又は放射線治療剤である、請求項15~20のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項22】
Cは、NODAGA、DOTA、NOTA、DOTA-GA、及びその機能的誘導体から選択される、請求項15~21のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項23】
68Ga-NODAGA-配列番号1又は
68Ga-DOTA-配列番号1又は
177Lu-DOTA-配列番号1又は
68Ga-NODAGA-S-配列番号1又は
68Ga-DOTA-S-配列番号1又は
177Lu-DOTA-S-配列番号1であり、
式中、Sはスペーサーである、請求項15~22のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項24】
がんをイメージングする、標識する、検出する、診断する、又は放射線治療する方法に使用される、請求項15~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項25】
請求項15~20のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物と適切な希釈剤又は賦形剤とを含む組成物。
【請求項26】
Mを含まない、請求項15~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項27】
図14に示される化合物VHd。
【請求項28】
放射性核種をさらに含む、請求項27に記載の化合物VHd。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんイメージング、がん検出、及びがん放射線治療のための組成物及び方法に関する。本発明は、特に、LDLR標的ペプチドと薬学的に許容されるマーカーを含むコンジュゲート化合物、及びがん、特に低密度リポタンパク質受容体(Low-DensityLipoprotein Receptor、LDLR)を過剰発現するがんの標識、検出、ステージ分類、又は処置の
ためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、英国や世界保健機関のがん調査によると2012年には約1,400万の新規症例と820万のがん関連死を伴い、世界的な疾病及び死亡の主な原因のなかでも重要な要因となるものである。
【0003】
今では多くの形態のがんを処置することが可能であるが、その一部は未だ処置が困難である。例として、膵がんは、1年内で75%の死亡率と6%ほどの5年生存率とを伴う、死に至らせるがんの1つである。仏国では毎年約12,000人が、世界的には約340,000人が、膵がんと診断されている。このがんは、2030年までにがん死亡の第2の原因になると予測される。膵がんは、50歳を超える男性と女性の両方に影響し、特に処置が困難である。同様に、最も多く最も高悪性の悪性原発性脳腫瘍である多形性膠芽腫(glioblastomamultiforme、GBM)は、まれではあるが重篤な疾患である。欧州連合では
、毎年、約25,000の新規症例が診断されている(www.pubcan.org/cancer)。現在
の処置では十分に効果がないことから、重大な臨床的課題として残っている。実際に、現在のところ、5年後の生存は約3%であり、腫瘍発生の基本的な理解は大きく進んでいるものの、患者の総生存中央値は過去25年で3.3か月(11.3か月から14.6か月)しか増加していない(Patel MA,等.2014 Sep29;6(4):1953-85)。
【0004】
がんにみられる死の大部分は、早期診断がなされた場合に避けられ得るものである。様々ながんの5年生存率が検出時の腫瘍ステージにより大きく下がることを考慮すると、可能な限り早期に腫瘍を特定可能な非侵襲性イメージングツールの開発と、治療介入に効果があると考えられる患者の特定とが強く求められている。がんの死亡率及び疾病率は、有効なイメージング剤及び治療剤の開発により大きく改善可能である。
【0005】
がんの早期且つ正確な診断のための新規の方法の開発に対して多くの取り組みがなされている。様々なイメージング技術が使用されており、陽電子放射断層撮影(PETスキャン
)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、X線コンピュータ断層撮影(CTス
キャン)、核スキャン、超音波、及び磁気共鳴イメージ法(MRI)が含まれる。これらの
イメージング技術は十分に発達しているが、大部分は、分析する器官の非特定的な肉眼による生理学的な変化に基づくものである。現在腫瘍学で最も広く使用されているPETトレーサーは、グルコース利用を測定するプローブであるとともに、がん診断及びステージ分類の認知されているツールである18F-FDGである。しかしながら、18F-FDGには、一部の腫瘍における中程度の吸収(例えば前立腺)と特定の正常な組織(例えば脳)における高程度のバックグランド吸収を含む、重大な制限がある。
【0006】
選択的受容体標的ペプチド系薬剤は、その標的に対する高親和性及び特異性などのその固有の特性から、対応するペプチド受容体を過剰発現する腫瘍細胞の分子イメージングにおいて少なからぬ注目を集めている。実際に、腫瘍に多く発現される受容体を標的とすることは、受容体標的ペプチドが病的な組織を正常な組織と区別することから、より良好ながん診断が得られると考えられる。
【0007】
がん処置において、化学療法、免疫療法、又は放射線療法などの多くの手法が、単独又は組合せで用いられている。
【0008】
放射線療法(放射線治療、X線療法、又は照射法とも呼称される)は、がん細胞を死滅させて腫瘍を縮小させるため電離放射線を使用することに基づく。放射線療法は、治癒的及び緩和的症状の両方を得るために多様な腫瘍に使用されている。放射線療法の作用は局所的であり、処置される領域に限られる。放射線療法は、その遺伝物質を傷害することで、処置される領域(「標的組織」)において損傷をもたらす又は細胞を破壊し、これらの細胞が成長及び分割し続けることをできなくする。放射線は、がん細胞と正常な細胞との両方を傷害するが、大部分の正常な細胞は、放射線の作用から回復して適切に機能することができる。放射線療法の目的は、近接する健康な組織への害を抑えながら、可能な限り多くのがん細胞を傷害することである。電離放射線は、がんの組織のDNAを傷害することで作用して細胞死をもたらす。
【0009】
いくつかのタイプの放射線療法が存在する。
-放射線治療の最も多い形態である外部照射放射線治療(External BeamRadiotherapy
、EBRT)。患者は寝いすに座るか又は横になり、電離放射線の外部ソースを身体の特定の部分に向ける。X線及び電子ビームは外部ビーム放射線治療に最も広く使用されるソースである。
-密封放射線源が要処置領域内に又は隣接して配置される小線源治療。
-放射性医薬品と呼称される固体、液体、気体、又は他の形態の放射性物質(実質的に放射性薬剤)を使用する非密封線源放射線治療(又は非密封線源放射性核種療法)。これは、多様な手段(主に注入又は服用)で身体に取り入れられ、その特性及び投与経路に対応して特定の位置、器官、又は組織に局在化される。これには、ヨウ化物イオンを捕捉することで甲状腺を特定するヨウ化ナトリウムなどの単純な化合物から、放射性核種に付着して細胞表面の特定抗原を認識する組換え抗体などの複雑なバイオ医薬品までのいずれも含む。この技術は、放射線処置のために身体領域を標的とする放射性医薬品の物理的、化学的、及び生物学的特性に基づくものである。
【0010】
放射線治療にはいくつかの副作用がある。副作用の特徴、重症度、及び期間は、放射線を受ける器官、その処置自体(放射線のタイプ、用量、分割、併用される化学療法)、及び患者の状態に対応したものである。急性副作用(悪心、嘔吐、腸の不快感、膨満感、不妊等)と遅発性副作用(線維症、抜け毛、乾燥、心臓疾患、認知低下等)とが存在する。ゆえに、引き起こされる副作用の少ない標的化放射線治療の開発が求められている。
【0011】
ペプチド受容体放射性核種療法(Peptide receptorradionuclide therapy、PRRT)は、神経内分泌がんなどの特定のがんの処置に使用される分子治療(放射性同位元素治療とも呼ばれる)である。PRPTでは、細胞標的タンパク質(又はペプチド)が小量の放射性材料又は放射性核種と組み合わせられて、放射性ペプチドと呼ばれる特別なタイプの放射性医薬品を創出する。この放射性ペプチドは、患者の血流に注射されると移動して特定の腫瘍細胞と結合し、正常な組織を保持しながらがん組織に高用量の放射線を送達する。
【0012】
有効なイメージング剤及び標的剤の分野において明らかに未だ対処されていない医療ニーズがある。腫瘍において多く発現される受容体を標的とすることは、受容体標的ペプチドが病的な組織を正常な組織と区別することから、より良好ながん診断及び治療が得られると考えられる。
【0013】
本願は、LDLR標的剤に基づくがんイメージング及びがん放射線治療のための新規の組成物及び方法に関する。本発明は、LDLRに結合するとともにイメージング剤及び放
射線治療剤に対応するように最適化されたLDLRコンジュゲート化合物を提供し、そうした化合物がLDLR過剰発現がん細胞の有効、確実、且つ選択的な標識を可能にすることを示し、そうしたがんの有効な診断又は放射線治療に最も適切である、ということを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、LDLRを発現するがんの有効なイメージング、診断、検出、又は放射線治療のための新規の組成物及び方法を提供する。本発明は、特に、LDLRを過剰発現するがん細胞に結合するとともにイメージングすることが可能なコンジュゲート化合物を提供する。本発明は、そうしたがんのインビボでの検出、及びその有効かつ選択的な放射線治療を可能にする。本発明は、実際に、本発明のコンジュゲート剤ががん細胞と非がん細胞との区別をすることができるとともに、健康な組織に影響を及ぼすことなく、がん細胞に十分なレベルの照射を行うために使用され得ることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0015】
つまり、本発明のひとつの目的は、対象にコンジュゲート化合物を投与すること並びにマーカーの存在及び/又は量を分析することによって対象におけるがん細胞を標識する及び/又は検出する方法に使用する、化学式(I)のコンジュゲート化合物に関し、
M-P (I)、
式中、Mは、薬学的に許容されるマーカーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともにLDLRに結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0016】
本発明のさらなる目的は、対象におけるLDLR過剰発現がんを標識する又は検出する方法であって、
i)化学式(I)の化合物を対象に投与すること、
M-P (I)、
式中、Mは、薬学的に許容されるマーカーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともにLDLRに結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示し、並びに、
ii)マーカーの存在及び/又は量を分析することを含む。
【0017】
特定の実施形態において、コンジュゲート化合物は、複数の化学式(I)の単量体を含む多量体化合物である。
【0018】
好ましい実施形態において、Mは放射性核種又は蛍光マーカーを示し、Pはアミノ酸配列(II)を含み、
A1-Met-A2-Arg-Leu-Arg-A3-A4 (II)、
配列中、A1及びA4は、独立してシステイン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A2は、プロリン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A3は、グリシン又はそのアナログ若しくはイソスターを示す。
【0019】
さらに、M及びPは、共有結合的に又は非共有結合性相互作用によって、直接的に又はスペーサーによって、互いに連結することができる。特定の実施形態において、Mは、補欠分子族を使用してPに連結される、又はNODAGA、DOTA、DOTA-GA若しくはNOTA、若しくはその機能的誘導体などのキレート基を使用して閉じ込められる。
【0020】
本発明の他の目的は、化学式(III)のコンジュゲート化合物に関し、
M-C-S-P (III)、
式中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Sは、スペーサーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともにLDLRに結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0021】
本発明のさらなる目的は、上述のようなコンジュゲート化合物を含む組成物と、医療イメージング又は放射線治療におけるその使用に関する。
【0022】
本発明のさらなる目的は、対象におけるLDLR過剰発現がんを処置する方法であって、化学式(III)のコンジュゲート化合物を対象に投与することを含み、
M-C-S-P (III)、
式中、Mは、放射線治療における使用に適する薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Sは、スペーサーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともにLDLRに結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0023】
本発明は、膵がん、副腎がん、膠芽腫、前立腺がん、結腸がん、肝がん、膵がん、卵巣がん、肺がん、又は胃がんなどの任意のLDLR過剰発現がんを検出又は処置するために使用することができる。本発明は、ヒト対象などの任意の哺乳動物対象に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、種々のがん細胞株におけるヒト及びマウスのLDLR発現を示すウエスタンブロットである。(A)は、CHO95(eGFPと融合させてヒトLDLRを過剰発現する細胞株)、Hela(子宮頸がん)、NCI-H295R(副腎腺がん)、Capan、BxPC3、及びPanc1(膵がん)、MCF-7及びMDA-MB231(乳がん)を示す。右側のパネルでは、マウスの膵臓細胞株PK4におけるLDLRの発現がマウスの正常な膵臓と比較される。(B)において、膠芽腫細胞株U87MG(2列)、前立腺がん細胞株PC3、及びNCI-H295Rが示される。
図2図2は、GFPと結合したヒトLDLRを発現するCHO細胞における、コンジュゲートA(A)、コンジュゲートB(B)、コンジュゲートC(C)、コンジュゲートD(D)の結合・エンドサイトーシスを示す。LDLR-GFP信号は2列目に可視化され、コンジュゲート信号は、A680蛍光法を使用して4列目に、又は抗hFc-A594コンジュゲート2次抗体を使用して3列目に直接的に可視化されている。細胞核をヘキストでブルー染色し、その信号は1列目に可視化されている。LDLR-GFP及びコンジュゲートの共標識は、統合イメージにおいて5列目に強調された信号として可視化されている。
図3図3において、Aでは、PK4A腫瘍をインプラントされてコンジュゲートAを尾静脈に注射したマウスの膵臓、膵臓腫瘍、及び腎臓(コントロール)におけるコンジュゲートAの組織体内分布を示し、Bでは、コンジュゲートCを注射したマウスの膵臓及び膵臓腫瘍におけるコンジュゲートCの組織体内分布を示す。体内分布をELISAによる定量化を使用して評価した。
図4図4において、Aでは、PK4A腫瘍をインプラントして、コンジュゲートC又はコンジュゲートD(コントロール)の静脈内注射後15分、30分、60分、及び120分において分析したマウスの全身蛍光イメージングを示し、Bでは、コンジュゲートC又はコンジュゲートD(コントロール)の静脈内注射後4時間で採取した膵臓腫瘍、健康な膵臓及び肝臓のエクスビボイメージングを示す。
図5図5は、ケージ-βAla-PEG12-ペプチド-NH化合物の合成の反応スキームを示す。このスキームでは、NODAGA-βAla-PEG12-配列番号1-NHの合成を例として示す。
図6A-C】図6A-Cは、NCI-H295R細胞のインプラント後の14日目に18F-FDG(A)、68Ga-CH44(B)、及び68Ga-CH40(C)を投与したマウスのPETイメージングを示す。副腎腫瘍を丸で示す。
図7図7は、NCI-H295R細胞のインプラント後の32日目に68Ga-CH44(A)及び68Ga-CH40(B)を投与したマウスのPETイメージングを示す。副腎腫瘍を丸で示す。
図8図8は、NCI-H295R細胞のインプラント後の37日目に68Ga-FG770(A)及び68Ga-FG769(B)を投与したマウスのPETイメージングを示す。
図9A-C】図9A-Cは、Pk4a細胞のインプラント後の4日目に18F-FDG(A)、68Ga-CH44(B)、及び68Ga-CH40(C)を投与したマウスのPETイメージングを示す。膵臓腫瘍を丸で示す。
図10A-B】図10A-Bは、Pk4a細胞のインプラント後の12日目に68Ga-CH44(A)及び68Ga-CH40(B)を投与したマウスのPETイメージングを示す。膵臓腫瘍を丸で示す。
図11A-E】図11A-Eは、U87MG細胞の大脳インプラント後の14日目に68Ga-CH44(A)、16日目に68Ga-CH40(B)、21日目に68Ga-CH44(C)、21日目に68Ga-CH40(D)、及び21日目に68Ga-RGD(E)、を投与したマウスのPETイメージングを示す。
図12図12は、対照比における腫瘍として表した、21日目にU87MGをインプラントした動物における68Ga-CH44、68Ga-CH40、68Ga-RGDの定量化を示す。
図13図13は、NCI-H295R細胞のインプラント後の48日目に68Ga-CH44(A)及び68Ga-CH40(B)を投与したマウスのPETイメージングを示す。
図14図14は、化合物VHdの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、LDLR標的剤に基づくがんイメージング及びがん放射線治療のための組成物及び方法に関する。本発明は、LDLR結合部分と薬学的に許容されるマーカーとを含むコンジュゲート化合物を提供する。本発明は、さらに、そうした化合物がインビトロ及びインビボにおいてがん細胞を有効に標識可能であり、その効果的なイメージング、検出、ステージ分類、又は放射線治療を可能にすることを示す。
【0026】
より具体的には、本発明の目的は、化学式(I)のコンジュゲート化合物を使用してがん又は腫瘍又はがん・腫瘍細胞を標識する方法にあり、
M-P (I)、
式中、Mは、薬学的に許容されるマーカーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0027】
ヒトLDLRは、細胞外領域(1~768)、膜貫通領域(768~790)、及び細胞質領域(790~839)である3つの領域を含む839個のアミノ酸の膜貫通タンパク質である。細胞外領域は、LDL結合領域(1~322)とLDL結合領域外領域(322~768)の2つの小領域に分けれらる。LDLRは、大部分の有核細胞によって発現されると報告されており、1000~3000個のLDLRが非病的細胞の表面に存在すると一般に認められている。がん細胞におけるLDLRの量は、100,000以上まで大きく増加しうる。LDLRを過剰発現すると報告されている腫瘍細胞は、前立腺がん
(Chen等、2001、Int. J. Cancer、91、41-45)、結腸がん(Niendorf等、1995、Int. J.
Cancer、61、461-464)、白血病(Tatidis等、2002、Biochem. Pharmacol.、63、2169-2180)、結腸直腸がん(Caruso等、2001、Anticancer Res.、21、429-433)、乳がん(Graziani等、2002、Gynecol. Oncol.、85、493-497)の細胞、膠芽腫脳腫瘍細胞(Malentiska等、2000、Cancer Res.、60、2300-2303;Nikanjam等、2007、Int. J.Pharm.、328、86-94)、並びに肝臓がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、及び胃がんの細胞を含む。しかし
ながら、そうした発現の増大が受容体の構成・利用度、特に細胞外領域322~768に影響を及ぼし得るかは知られていない。実際に、受容体の高発現は、凝集又は構造変化をもたらし得ることが観察されている。そうした凝集は、細胞外領域322~768に結合するLDLR標的剤を使用してそうした細胞に対して薬剤を標的化する能力を変化させることがある。
【0028】
興味深いことに、またLDLRの偏在的発現にもかかわらず、本発明のコンジュゲートは、LDLRを過剰発現する細胞、特にLDLRを過剰発現するがん細胞を有効に標識可能にし、そうしたLDLR発現がん細胞の有効な標的化を可能にする。そうした作用は、適切な受容体密度、LDLRに対するコンジュゲート結合親和性、及び作用機序(非競合性)によるものであり得る。
【0029】
本発明は、本発明のコンジュゲートがLDLR過剰発現がん細胞を有効に結合する能力を保持することを示す。
【0030】
本発明は、LDLR過剰発現細胞(例えばがん細胞)の、通常レベルのLDLRを有する細胞(例えば正常細胞)からの区別に適するように、本発明のコンジュゲートによって薬学的に許容されるマーカーがLDLR過剰発現細胞を対象とすることができることを示す。
【0031】
本発明は、LDLRの密度及び再構築の可能にもかかわらず、本発明のコンジュゲートがLDLR過剰発現細胞に対して十分なレベルに標識することが可能であることを示す。
【0032】
このように、本発明は、安全かつ有効な標識剤及び放射線治療剤を提供し、有効ながん診断及びがん治療方法のデザインを可能にする。
【0033】
つまり、本発明の目的は、対象にコンジュゲート化合物を投与すること並びにマーカーの存在及び/又は量を分析することによって対象におけるがん細胞を標識する及び/又は検出する方法に使用する、化学式(I)のコンジュゲート化合物に関し、
M-P (I)、
式中、Mは、薬学的に許容されるマーカーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともにLDLRに結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0034】
また、本発明は、上述で規定されるようなコンジュゲート化合物を使用して対象におけるがんを標識化、イメージング、診断、又はステージ分類する方法にも関する。
【0035】
特定の実施形態において、本発明のコンジュゲート化合物は、LDLRとは異なる分子に結合する第2標的基Tをさらに含む。そうしたデュアルコンジュゲート化合物の例は、以下の化学式(IV)の化合物であり、
Mn-P-T-Mm (IV)、
式中、M及びPは上述のとおりであり、Tは第2標的基を示し、nは1又は0であり、mは1又は0である。好ましくは、m+n=1である。
【0036】
さらなる特定の実施形態において、デュアルコンジュゲート化合物は以下の構造を有し、
(M-C-)nP-T(-C-M)m、
式中、M、C、及びPは上述のとおりであり、Tは第2標的基を示し、nは1又は0であり、mは1又は0である。好ましくは、m+n=1である。
【0037】
Tは、LDLRとは異なる標的分子に(又はそうした分子を発現する細胞に)結合する任意の基であり得る。好ましくは、そうした標的分子は、膵がん細胞又は前立腺がん細胞又は卵巣がん細胞又は副腎がんなどの細胞がん細胞によって発現される分子である。そうした標的基の例は、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ニューロテンシン、ソマトスタチンのアナログ、及びそれらの誘導体を限定することなく含む。
【0038】
[コンジュゲート]
本発明は、特定のLDLR標的コンジュゲートの使用及び新規コンジュゲートのデザインを開示するものである。そうしたコンジュゲートは、以下に記載される、化学式(I)の単量体、又は多量体構造であり得る。
【0039】
特定の実施形態において、コンジュゲートは、上述で規定されるような化学式M-P(I)の化合物である。好ましくは、Pはアミノ酸配列(II)を含み、
A1-Met-A2-Arg-Leu-Arg-A3-A4 (II)、
配列中、A1及びA4は、独立してシステイン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A2は、プロリン又はそのアナログ若しくはイソスターを示し、A3は、グリシン又はそのアナログ若しくはイソスターを示す。
【0040】
より具体的には、A1及びA4は、互いに独立して、D配置若しくはL配置のシステイン(Cys、C)、又は、L配置若しくはD配置の2-アミノ-3-メルカプトプロパン酸及びそのS位置換誘導体、S-アセチルシステイン若しくは2-アミノ-3-(アセチルチオ)プロパン酸、セレノシステイン(Sec、U)若しくは2-アミノ-3-(セレノ)プロパン酸、システイノール(cysteinol)、3-メルカプトプロパン酸(Mpa)、若しくはペニシラミン(Pen)から選択されるその誘導体、から選択されるアミノ酸残基を示す。
【0041】
好ましい実施形態において、A1及びA4は、互いに独立して、システイン(Cys)、
(D)-cys、ペニシラミン(Pen)、及び(D)-ペニシラミン((D)-Pen)から選択される。
【0042】
A2は、より好ましくは、プロリン(Pro、P)、ピロリジン又-2-カルボン酸、ホモプロリン、2-(2-ピロリジニル)エタン酸、3-ヒドロキシプロリン(3Hyp)、4-ヒドロキシプロリン(4Hyp)、3-メチルプロリン、3,4-デヒドロプロリン、3,4-メタノプロリン(3,4-methanoproline)、4-アミノプロリン(4-aminoproline)、4-オキソプロリン、チオプロリン、チアゾリジン-4-カルボン酸(Thz)、2-オキソ
チアゾリジン-4-カルボン酸、インドリン-2-カルボン酸(Idc)、ピペコリン酸(Pip)、ピペリジン-2-カルボン酸、ニペコ酸(Nip)、ピペリジン-3-カルボン酸、
4-オキソピペコリン酸、4-ヒドロキシピペコリン酸、アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸、又はプロリノールから選択される残基を示す。
【0043】
好ましい実施形態において、A2は、プロリン、ピペコリン酸(Pip)、又はチアゾリ
ジン-4-カルボン酸(Thz)から選択される。
【0044】
A3は、より好ましくは、グリシン(Gly、G)、2-アミノエタン酸、サルコシン(Sar)、N-メチルグリシン(MeGly)、N-エチルグリシン(EtGly)、アリルグリシン(a
llylGly)、2-アミノペント-4-エン酸、2-シクロペンチルグリシン(Cpg)、2-シクロヘキシルグリシン(Chg)、2,2-ジプロピルグリシン(Dpg)、2-(3-インドリル)グリシン(IndGly)、2-インダニルグリシン(Igl)、2-ネオペンチルグリ
シン(NptGly)、2-オクチルグリシン(OctGly)、2-プロパルギルグリシン(Pra)
又は2-アミノペント-4-イン酸、2-フェニルグリシン(Phg)、2-(4-クロロ
フェニル)グリシン、アザグリシン(AzGly)、グリシノール(glycinol)、又は2-ア
ミノエタノールから選択される残基を示す。
【0045】
好ましい実施形態において、A3は、グリシン又はサルコシンである。
【0046】
好ましい実施形態において、Pは、
配列番号1:(D)-Cys-Met-Thz-Arg-Leu-Arg-Gly-Pen;
配列番号2:(D)-Cys-Met-Thz-Arg-Leu-Arg-Sar-Pen;
配列番号3:(D)-Cys-Met-Pip-Arg-Leu-Arg-Sar-Cys;
配列番号4:(D)-Cys-Met-Pip-Arg-Leu-Arg-Gly-Pen;
配列番号5:(D)-Cys-Met-Pip-Arg-Leu-Arg-Sar-Pen;
配列番号6:Cys-Met-Pro-Arg-Leu-Arg-Gly-Cys;
配列番号7:(D)-Cys-Met-Pro-Arg-Leu-Arg-Gly-Cys;
配列番号8:Asp-Ser-Gly-Leu-Cys-Met-Pro-Arg-Leu-Arg-Gly-Cys-Asp-Pro-Arg;
配列番号9:(D)-Pen-Met-Thz-Arg-Leu-Arg-Gly-Cys、である配列番号1~9のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む、又はそれらから実質的になる、又はそれらからなる。
【0047】
発明者らによって得られた結果は、本発明のコンジュゲートが、配列番号13又は配列番号14のアミノ酸配列を含むスクランブルペプチドと比較してLDLRに対する親和性(K)を向上させたものであるということを示す(実施例3参照)。加えて、本発明のコンジュゲートは、健康な膵臓と比較して膵臓腫瘍においてより良好に蓄積する(実施例4参照)。特に、実施例に示すように、がん組織の標識が非がん組織の標識に対して10~50倍優れたものであり得る。この蓄積レベルは、イメージにおける確実で明確な区別を可能にするために十分なものである。さらに、放射線治療における使用の場合に、コンジュゲートが健康な細胞と比較して腫瘍細胞に非常に良好な特異性を有することを意味する。
【0048】
上述のように、マーカーMは、任意の放射性核種又は蛍光マーカーであり得る。
【0049】
使用され得る蛍光マーカーは、例えば、Alexa Fluor 680、CF680、ATTO680、Fluoroprobes682、Cyanine5.5、IRDye680、又はVivotagである。一般的な方法において、すべての近赤外線(IR)蛍光マーカーが、最小組織自己蛍光を可能にすることから、イメージングに使用することができる。より具体的には、Alexa Fluor680は、スペクトルにおいてCy5.5色素に類似する、明るく光安定性の近赤外線色素である。Alexa Fluor680色素は、イメージング及びフローサイトメトリーにおける安定的な信号生成に使用され、水溶性で、pH4~pH10においてpH非感受性である。Alexa Fluo
r680のNHSエステル(又はスクシンイミジルエステル)は、この色素をタンパク質又は抗体にコンジュゲートするために最も一般的なツールである。色素のNHSエステルは、タンパク質の一級アミン(R-NH2)、アミン変性オリゴヌクレオチド、及び他のアミ
ン含有分子を標識するために使用可能である。
【0050】
最も好ましい実施形態において、Mは、医療イメージングにおける使用、例えば、陽電子放射断層撮影(PET)イメージング、シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影-コンピ
ュータ断層撮影、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影における使用に対応した放射性核種である。好ましくは、Mは、PETにおける使用に対応した放射性核種である。
【0051】
本発明における使用に適した放射性核種の例には、18F、11C、15O、13N、68Ga、82Rb、及び89Zrを限定することなく含む。イメージングに使用される好ましい放射性核種は、短期間の半減期(例えば30分から3日又は4日)、及び低いエネルギー放出量(例えば300keVガンマ放出放射性核種より劣る)を有し得る。好ましくは、放射性核種は68Gaである。68Gaは、短期間の半減期(68分)を有し、陽電子放射同位体である。
【0052】
放射線治療における使用では、放射性核種は、通常、好ましくはより長期間の半減期(例えば、1日~75日)を有する、ベータ-、又は高エネルギーガンマ放射放射性核種である。放射線治療に使用される好ましい放射性核種は、90Y、111In、131I、及び177Luから選択される。好ましい実施形態において、90Y、177Lu、又は111Inが使用される。
【0053】
本発明のコンジュゲートは、当業者に既知の任意の技術(化学的、生物学的又は遺伝子的合成等)によって合成可能である。化学合成では、天然アミノ酸、並びに例えばDエナンチオマー及びそれらの天然相同体のものとは疎水性及び立体障害が異なる側鎖を有する残基等の非天然のアミノ酸(いわゆる外来(exotic)の、すなわち非コードアミノ酸)、又はメチレン(-CH2-)基若しくはホスフェート(-PO2-)基、第2級アミン(-NH-)若しくは酸素(-O-)若しくはN-アルキルペプチドの挿入をとりわけ含み得る1つ以上のペ
プチド様結合を含むペプチド配列を導入可能な市販の構築物が使用される。また、ペプチド若しくは疑似ペプチド、又はそのタンパク質部分は、それらをコードする核酸配列から得ることもできる。これらの核酸配列はDNA又はRNAであり得、コントロール配列と組み合わせる、及び/又は生物学的発現ベクターに挿入することができる。
【0054】
本発明のコンジュゲート化合物において、MとPと(及び/又はPとT)の結合は、関連する薬剤の化学的性質、障害、及び数を考慮して、任意の許容される結合手段によって行うことができる。つまり、結合は、1つ以上の共有結合、イオン結合、水素結合、疎水結合、又はファンデルワールス結合によって行うことができる。また、結合は、-OH、-SH、-COH、-NH、-SOH、-CN、-N、-NCS、-POH、アルキン、マレイミド、又はスクシンイミドエステルなどの官能基が自然に存在する又は導入されたペプチド又は疑似ペプチドの任意の部位で行うことができる。つまり、Mは、ペプチド又は疑似ペプチドに、N末端若しくはC末端で、そのペプチド配列の天然又は非天然のアミノ酸側鎖が有する反応基で、又は補欠分子族を介してのいずれかで、共有結合によって結合(カップリング)することができる。同様に、結合は、イメージング剤又は放射線治療剤の任意の部位で行うことができる。
【0055】
相互作用は十分に強力なものであって、Mがその作用部位に到達してしまう前にペプチドから解離せず、イメージング方法を行う又はMが治療的作用を有するのに必要な時間、Mとペプチドが結合していることが好ましい。この理由のため、本発明の好ましい結合は、共有結合又はイオン結合である。イメージング剤又は放射線治療剤は、その末端の一方
(N末端又はC末端)、又はその配列の構成的アミノ酸の1つにおける側鎖のいずれかにおいてペプチドに直接的に結合可能である。また、イメージング剤又は放射線治療剤は、ペプチドの末端の一方、又はその配列の構成的アミノ酸の1つにおける側鎖のいずれかにおいて、リンカー又はスペーサーにより非直接的に結合可能である。特定の実施形態において、Mは例えばキレート剤を使用して閉じ込めることでペプチドに結合させる。
【0056】
これに関して、好ましい実施形態において、コンジュゲート化合物は、Mとともにキレートを形成可能なキレーターCを含む。そうしたコンジュゲートは、M-C-P構造を有する。各種キレーターを使用することができる。好ましくは、Cは、NODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1-グルタル酸-4,7-2酢酸)、DOTA(テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-4酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-3酢酸)、DOTA
-GA(2,2',2''-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7トリイル)3酢酸)、及びその機能的誘導体から選択される。
NODAGA及びNOTAはイメージングに好ましく、DOTAは放射線治療に好ましい。
【0057】
「機能的誘導体」という用語は、キレート機能を損なうことなくその1つ以上の官能基(すなわちキレート機能に関与する基)を他の官能基で置換することで、並びに/又は、キレート機能を損なうことなくキレート機能に関与しない基を付加及び/若しくは欠失させることで、上述のキレーターから誘導される任意の化合物を意味する。
【0058】
キレーターCは、ペプチドP(又はT)に直接的に、又は、通常P及びC(又はT及びC)に共有結合するスペーサーSを介して、結合することができる。これに関して、特定の実施形態において、コンジュゲートはM-C-P構造を含み、式中、M、C及びPは上述のとおりであり、CはペプチドPに直接的に結合する。他の特定の実施形態において、コンジュゲートはM-C-S-P構造を含み、式中、M、C、S及びPは上述のとおりである。さらに特定の実施形態において、コンジュゲートは、M-C-P-T、又はP-T-C-M、又はM-C-S-P-T、又はP-T-S-C-M構造を含み、式中、M、C、S、P、及びTは上述のとおりである。さらなる実施形態において、P及びTはスペーサー基を介して結合する。
【0059】
Sは、アルキル、アリール、PEG、又はペプチド性であり、アミン、エステル、アルデヒド、アルキル又はアリール酸、無水物、スルフヒドリル、又はカルボキシル基、臭化シアン若しくは塩化シアン、カルボニルジイミダゾール、スクシンイミドエステル、スルホン酸ハライド、マレイミド、アジド、イソチオシアネート、アルキンから誘導される基、などの官能基をその末端に有する、2官能性又は多官能性の薬剤から選択することができる。特定の実施形態において、Sは、好ましくはその一端にベータ-アラニンを有する1つ又は複数のPEGを含む。例として、Sは、その鎖の一端にベータ-アラニンを有する12個のPEGのオリゴマーである。他の実施形態において、Sは、G3又はG4Sなどの複数のGly残基を含む。その他の特定の実施形態において、Sは、複数のHis-Gluの繰り返し単位(2又は3単位)などのD配置又はL配置のアミノ酸を包含する親水性の負電荷を帯びたペプチド配列、又はGly-Gly-Gly-Arg-Asp-AsnなどのD配置又はL配置のアミノ酸を包含する親水性の中性配列を含む。他の実施形態において、血漿において安定的だが近位管状刷子縁膜においてヒドロラーゼによって腎臓で特異的に切断される代謝可能な基が、腎臓における貯留を低減するために使用可能である。例として、グリシル-リジン結合を使用可能である。つまり、Sは、任意の薬物動態学的調節剤であり得る。
【0060】
特定の実施形態において、本発明は、化学式(III)のコンジュゲート化合物に関し、
M-C-S-P (III)、
式中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Sは、スペーサーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0061】
特定の実施形態において、本発明は、第2標的基Tをさらに含む上述で規定されるようなコンジュゲート化合物に関する。
【0062】
本発明の好ましいコンジュゲート化合物は、化学式(III)の化合物であり、
式中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、NODAGA、DOTA、NOTA、及びDOTA-GAから選択され、
Sは、2官能性の薬剤、PEG又はペプチドを含むスペーサーを示し、又はSは存在せず、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有するとともに低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合可能なペプチド又は疑似ペプチドを示す。
【0063】
本発明の最も好ましい化合物において、CはNODAGA又はDOTAであり、Pは配列番号1~9から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0064】
本発明のコンジュゲート化合物の具体的な例は、
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及び、
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を含み、Sは上述で規定されるようなスペーサーである。
【0065】
特定の実施形態において、本発明のコンジュゲート化合物は、多量体形態である、すなわちP基若しくはM基の複数のコピー、又はその両方の複数のコピーを含むことができる。より具体的には、コンジュゲート化合物は、M-P-X-P-M構造を含むことができ、式中、M及びPは上述のとおりであり、Xは架橋剤であり、iは0又は1から選択される整数であり、jは0、1、2、3、4、又は5から選択される整数であり、kは0、1、2、3、4、又は5から選択される整数である。そうした多量体構造において、i=0であるとき、j及びkはまた通常0である。さらに、kはjと等しい、又はjより小さくともよい。また、そうした多量体構造において、Mは、上述のように(つまり、直接的に又はキレーター及び/若しくはスペーサーを使用してのいずれかで)Pと結合することができる。
【0066】
そうした多量体化合物の特定の例は、M-P-X-P-M構造を有し、式中、M及びPは上述のとおりであり、Xは架橋剤であり、jは1であり、kは0である。
【0067】
架橋剤Xは、医薬又は獣医学の領域における使用に適合する任意の化学架橋基であり得る。基は、好ましくは、生物学的活性及び毒性を有しない。架橋剤のサイズは当業者により調節することができる。X基の好ましい例は、ポリリジン若しくはポリグルタミン酸プラットフォーム(直鎖、環状、若しくは分岐状ブロック)である、又は1つのアミノ官能基及び4つのアジド官能基を含むPEG(3)-ペントリマー-G1-(NH2+4xN3)*4HClなどの多官能性有機化合物である。特定の実施形態において、架橋剤は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの反応性官能基を含み、少なくとも2つのペプチドの結合を可能にする。反応性官能基の例は、例えば、アミン、酸、チオール、アジド、アルキン、カルボニル、又はヒドラジンを含む。ペプチドは、薬剤の反応性官能基で共有結合によって直接的に、又は例えばグリシン若しくは一連のグリシン、PEG分子、若しくはアミノヘキサン酸から構成され得るスペーサーを介して、のいずれかでXと結合することができる。
【0068】
本発明のそうした多量体化合物の具体的な例は、図14に示すような化合物VHd:DOTA-PEG2-E(PEG2-配列番号1)-PEG2-E(PEG2-配列番号1)-NH2である。
【0069】
また、本発明は、マーカー基Mを有しない上述のコンジュゲート化合物のいずれか1つにも関する。そうした化合物は、最終標識化コンジュゲート化合物の調製における中間体である。実際に、実施例に示すように、コンジュゲートはまず調製されて、その後、通常投与前に標識化を行う。つまり、本発明は、Mを有しない上述で規定されるような任意の
コンジュゲートにも関する。本発明は、特にC-(S-)P構造の化合物に関し、式中、C、S、P及びnは上述のように規定されて結合し、並びにさらに上述で規定されるようなT基を含むその変異体、並びに/又はその多量体に関する。
【0070】
また、本発明は、上述で規定されるような少なくとも1つのコンジュゲート化合物を含む医薬組成物にも関する。組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤を含むことができる。
【0071】
また、本発明は、上述で規定されるようなコンジュゲート化合物から構成される診断用又は医療用イメージング剤を含むことを特徴とする診断用組成物に関する。
【0072】
[イメージング・診断における使用]
本発明のコンジュゲートは、任意の哺乳動物対象、特にヒト対象においてインビボでLDLR発現がんを標識化、検出、又は診断するために使用可能である。
【0073】
これに関して、特定の実施形態において、Mは、イメージングにおける使用に対応した放射性核種又は蛍光性色素であり、その標識及び/又は検出の方法は、
a) コンジュゲート化合物を対象に投与するステップと、
b) イメージング方法を行うステップと、
c) ステップb)において得た信号を分析するステップとを含み、
信号の存在は、対象におけるがん細胞の存在及び/又はがん進展のステージ分類を示す。
【0074】
コンジュゲートは種々の経路によって投与することができる。好ましくは、コンジュゲートは、全身、非経口、又は局所注射によって注入される。特に、注射は、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、又は腫瘍内に行うことができる。特定の実施形態において、本発明のコンジュゲート化合物は静脈内に注射される。そうした投与モードにより、生体における化合物の適切な拡散、及び対象の組織への到達が可能になる。他の実施形態において、投与は腫瘍内注射によって行われる。そうしたモードは、腫瘍の存在が既知である又はその疑いが高いときに適切であり、この方法によって例えば腫瘍のステージ分類、その進行又は処置の有効性の評価が行われる。
【0075】
投与される化合物の量は、方法の目的(イメージング、検出、モニタリング)及び対象に対応して当業者によって調節することができる。
【0076】
本発明の化合物は、当該分野においてそれ自体既知の種々のイメージング方法に使用することができ、これは例えば、限定することなく、シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影(PET)、陽電子放射断層撮影-コンピュータ断層撮影(PET-CT)、又は単一光子放射
コンピュータ断層撮影(SPECT)などである。好ましい方法はPETである。
【0077】
得られる信号は、方法によって、定量的マーカー値、イメージ、分布曲線、陽電子消滅事象の数等であり得る。ステップc)において、そうした信号は、対象におけるがんの存在、ステージ分類、又は進行を測定するために分析される。「分析」という用語は、信号が正常な信号に対応しているかどうかの測定を可能にする任意の方法を指す。分析は、視覚的であるだけでなく定量的分析にも関与し得る。分析には、イメージングによって得られた信号値を、同じ対象又は他の対象における既知の健康な組織の信号値と比較するステップを含むことができる。また、信号値は参照値と比較することもできる。
【0078】
参照値又は健康な組織からのコントロールよりも重要であるステップb)において得られた値は、がん細胞の存在を示す。がんの進展のステージ分類は、同じ対象において、時
間を隔てた2つの異なるイメージングセッション後に得られた信号を比較することで評価することができる。
【0079】
本発明のコンジュゲート化合物は、LDLRを過剰発現するがん細胞の標識及び/又は検出に特に対応している。これに関して、「LDLRを過剰発現する細胞」という用語は、標準レベルの発現に対して少なくとも10%多いLDLRを発現する細胞を指す。通常、1000~3000のLDLRが、「正常な」細胞の表面に存在する。LDLR過剰発現細胞は、少なくとも20%多いLDLR、より具体的には少なくとも50%、75%、100%、又は150%多いLDLRを発現する細胞である。
【0080】
本方法を使用して検出可能なLDLR過剰発現がんの具体的な例は、膵がん、副腎がん、膠芽腫、前立腺がん、結腸がん、肝がん、膵がん、卵巣がん、肺がん、又は胃がんを含む。
【0081】
[放射線治療]
さらなる態様において、本発明はまた、放射線治療によってがんを処置するための本発明のコンジュゲート化合物の使用にも関する。
【0082】
「処置」、「処置すること」、「処置する」という用語、及び他の同様の表現は、薬理及び/又は生理的作用を得ることを指し、例えばがん細胞成長を阻害、又はがん細胞死を促進することを指す。
【0083】
これに関して、処置方法には、処置方法を必要とする対象に上述で規定するようなコンジュゲート化合物を投与することを含む。
【0084】
好ましくは、コンジュゲート化合物は、好ましくはより長期間の半減期(例えば、1日~75日)を有する、ベータ-、又は高エネルギーガンマ放射放射性核種などの放射線治療に適する放射性核種を含む。放射線治療に使用される好ましい放射性核種は、90Y、111In、131I、及び177Luから選択される。好ましい実施形態において、90Y、177Lu、又は111Inが使用される。
【0085】
コンジュゲートは種々の経路によって投与することができる。好ましくは、コンジュゲートは、全身、非経口、又は局所注射によって注入される。特に、注射は、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、又は腫瘍内に行うことができる。特定の実施形態において、本発明のコンジュゲート化合物は静脈内に注射される。そうした投与モードにより、生体における化合物の適切な拡散、及び対象の組織への到達が可能になる。他の実施形態において、投与は腫瘍内注射によって行われる。
【0086】
化合物は、腫瘍を照射するために十分な量で投与される必要がある。そうした量は当業者により調節することができる。
【0087】
処置は、単独又は例えば化学療法などの他のがん治療との組合せ(例えば交互に又は併用して)で行うことができる。
【0088】
方法は、膵がん、副腎がん、膠芽腫、前立腺がん、結腸がん、肝がん、膵がん、卵巣がん、肺がん、又は胃がんなどの任意のLDLR過剰発現がんを処置するために使用することができる。方法は、任意の哺乳動物対象、特にヒト対象において、がんの発症の任意のステージで使用することができる。通常、複数の連続的な処置治療計画が行われる。治療における使用において、本発明のコンジュゲート化合物は、任意の薬学的に許容される塩の形態であり得る。「薬学的に許容される塩」という表現は、例えば及び非限定的に、医
薬的に許容される塩基又は酸付加塩、水和物、エステル、溶媒和物、前駆体、代謝物又は立体異性体を指す。「薬学的に許容される塩」という表現は、遊離塩基を適する有機酸又は無機酸とを反応させることによって一般に調製することができる非毒性塩を指す。これらの塩は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持する。そうした塩の代表的な例は、水溶性及び水不溶性塩、例えば、酢酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム、アムソナート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化水素酸塩、ブロミド、酪酸塩、カンシラート、炭酸塩、塩酸塩、クロリド、クエン酸塩、クラブラン酸塩、ジクロルヒドラート、二リン酸塩、エデト酸塩、エデト酸カルシウム、エジシラート、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムカート、ナプシル酸塩、硝酸塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メチレン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、又はエンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラマート、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、トリエチオジド、トリフルオロ酢酸塩及び吉草酸塩を含む。
【0089】
また、コンジュゲート化合物は、任意の適切な医薬的賦形剤、担体、又は希釈剤とともに製剤化することができる。これに関して、本発明はまた、上述で規定されるような化合物及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物にも関する。薬学的に許容される担体は、各投与モードに対応して従来より使用される担体から選択することができる。考慮される投与モードに対応して、化合物は固体形態、半固体形態、又は液体形態であり得る。固体組成物、例えば錠剤、ピル、纏まっていない又はゼラチンカプセル内に含められた粉末又は顆粒については、活性物質を、a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/若しくはグリシン、b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩、及び/若しくはポリエチレングリコール、c)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/若しくはポリビニルピロリドン、d)崩壊剤、例えば、デンプン、カンテン、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、若しくは発泡性混合物、並びに/又は、e)吸着剤、色素、着香剤及び甘味料と組み合わせることができる。賦形剤は、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム及び医薬品質の類似体であり得る。半固体組成物、例えば坐剤については、賦形剤は、例えば、エマルジョン若しくは油性懸濁液、又はポリアルキレングリコール、例えばポリプロピレングリコール系のものであり得る。液体組成物、特に、注射剤又はソフトカプセル内に含めるものは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、エタノール、油及びそれらの類似体などの医薬的に純粋な溶媒への活性物質の溶解、分散などによって調製することができる。
【0090】
本発明の組成物又はコンジュゲートを、任意の適する経路によって投与することができ、例えば、静脈内、点滴、皮下又は筋肉内の経路を介して注射することができる製剤の形態などで非経口経路によって、例えばコーティング錠若しくは素錠、ゼラチンカプセル、粉末、ペレット、懸濁液または経口溶液の形態(1つのそのような経口投与形態は、即時放出を伴う場合もあり、または長期もしくは遅延放出を伴う場合もある)などで経口経路(又はper os)によって、例えば坐剤の形態などで直腸経路によって、例えばパッチ、ポ
マード又はゲルの形態などで局所経路によって、特に経皮経路によって、例えばエアロゾル及びスプレー形態などで鼻腔内経路によって、経舌経路によって、又は、眼内経路によって投与することができるがこれら経路に限らない。
【0091】
また、本発明は、好ましくはキレート剤Cを使用して、マーカーMをペプチドPに結合させるステップを含む、上述で規定されるようなコンジュゲート化合物を調製又は作製する方法にも関する。
【0092】
また、本発明は、上述で規定されるようなコンジュゲート化合物を準備するステップと、該化合物を適切な賦形剤又は希釈剤とともに製剤化するステップとを含む、医薬組成物を作製する方法にも関する。
【0093】
本発明の他の態様及び利点は、本質的に例示であるのみであるとともに本願の範囲を限定することのない以下の実施例を考慮して明白になる。
【実施例0094】
<実施例1:マウス及びヒト組織におけるLDL-受容体(LDLR)発現>
対象のマウス及びヒト細胞株におけるLDLRの膜発現を評価するために、ProteoExtract Subcellular Proteome Extractionキット(Calbiochem, LaJolla, CA, USA)を使用して、ヒト及びマウスがん細胞株からの膜抽出物を調製した。
【0095】
製造者の指示に従ってBioRad DC Proteinアッセイ(Bio-Rad,Hercules, CA, USA)を使用して、膜抽出物を定量化した。まず、10μg又は20μgの膜細
胞タンパク質をドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって4~12%ポリアクリルアミドゲル上に分離して、ニトロセルロース膜(AmershamBiosciences)上に移動した。ヤギ抗LDLR抗体(R&D Systems、(1/500))で、その
後ペルオキシダーゼコンジュゲートロバ抗ヤギ2次抗体(JacksonImmunoresearch)で、
膜をプローブした。最後に、化学発光を使用してタンパク質を検出した。
【0096】
図1Aに示すように、LDLR発現は副腎がん(NCI-H295R)、膠芽腫(U87MG)、乳がん(MDA-MB-231)、及び前立腺(PC3)のヒトがん細胞において増強される。CHO95
(GFPと融合したhLDLRを安定的に発現する改変チャイニーズハムスター卵巣細胞(hLDLR-GFP))をポジティブコントロールとして使用する。ヒト膵がん細胞(Capan、BxPC3及びPanc1)では、LDLRレベルは変化する。Hela(子宮頸がん)又はMCF7乳がんなどの他の細胞型では、LDLRの発現レベルは顕著に低く、ほとんど検出されない。LDLR発現は、マウスの膵臓細胞株PK4A(膵臓に自然発生腫瘍を発症したマウス由来)において、正常な膵臓組織と比較して増大する。
【0097】
<実施例2:蛍光LDLR標的コンジュゲートであるコンジュゲートA、コンジュゲートB、コンジュゲートC、及びコンジュゲートDの合成>
以下の実施例において、コンジュゲートA、B、C及びDの作製及び使用を開示する。コンジュゲートA、B、C及びDは、以下に示すペプチドA(配列番号1)、ペプチドB(配列番号13)、ペプチドC(配列番号6)、及びペプチドD(配列番号14)をそれぞれ含む。
【表1】
【0098】
[コンジュゲートC及びコンジュゲートD融合タンパク質作製]
ペプチドC及びペプチドDをIgG1のFcフラグメントと融合させてクローニングした。
【0099】
ペプチドC又はペプチドDに融合させたFcフラグメントを作製するために、テンプレートとして使用したプラスミドpINFUSE hIgG1-Fc2(InvivoGen)に基づ
いてプラスミド構築物を構築した。プライマーC又はプライマーDと呼称されるメガプライマーはオリゴヌクレオチドを使用してPCRによって合成した:
-フォワードプライマー
CTTGGCATTATGCACCTCCA(配列番号10)
-ペプチドCをコードする配列を含むリバースプライマー
CTGGCCAGCTAGCACTCAGCAACCGCGAAGACGAGGCATACAAGCACCTTTACCCGGAGACAGGGAG(配列番号
11)
-ペプチドDをコードする配列を含むリバースプライマー
CTGGCCAGCTAGCACTCGCAGGGTCTGCCCAGCATTCTGCAAGCACCTTTACCCGGAGACAGGGAG(配列番号12)
【0100】
PCR反応の作製物を精製し、DpnI(親のメチル化DNAを消化する酵素)で消化し、QuickChange II Site Directed Mutagenesisキット(Agilent)を使用して基質として使用されるpINFUSE hIgG1-
Fc2プラスミドで行う第2のPCR反応においてメガプライマーとして使用した。コンピテントな細菌の形質転換後、単離したコロニーを取得し、プラスミドDNAを調製し、確認のためcDNA構築物を両鎖においてシーケンシングした。pコンジュゲート-C及びpコンジュゲート-Dと呼称されるベクターに、哺乳動物細胞の遺伝子導入後にC末端においてペプチドC及びペプチドDと融合させたFcフラグメントを発現させる。Expi293発現系(Thermo Fischer)を、培養上清における融合タンパク質コンジュゲートC及びコンジュゲートDの一時的発現のために使用した。遺伝子導入の72時間後、上清を回収し、製造者の推奨に従ってMontage antibody protein A PROSEP Aキット(Millipore)を使用して精製した。
【0101】
[コンジュゲートA及びコンジュゲートBタンパク質合成]
コンジュゲートA及びコンジュゲートBのヒトIgG1 Fcフラグメント(Merck Millipore)へのコンジュゲーションを、2ステップの方法で、ヘテロ2官能性スペーサー
であるスルホ-SMCC(PierceBiotechnology, Rockford, IL, USA)を使用して行った。まず、Fcフラグメントをスルホ-SMCCと反応させて、チオール部分に対する反応性タンパク質を取得し、第2ステップにおいて、チオール官能基化ペプチドA又はBをリ
ジン結合Fc-SMCCタンパク質にコンジュゲートした。
【0102】
[チオール官能基化ペプチド合成]
ペプチドA及びペプチドBのアミノ酸配列はそれぞれcMThzRLRGPen(配列番号1)及びcRPLGRMC(配列番号13)であり、「Thz」はチアゾリジン、「Pen」はペニシラミンを示す。
【0103】
N-α-Fmoc-保護アミノ酸を標準的な直交側鎖保護に選択した:Fmoc-Cys(Trt)-OH(D配置又はL配置)、Fmoc-Pen(Trt)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Thz-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Leu-OH、及びFmoc-Gly-OH。これらの全てを、ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)
、エタンジチオール(EDT)、トリイソプロピルシラン(TIS)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBop)、1
-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1、2、3、-トリアゾロ[4、5-β]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、及び2-トリチルチオ-1-エチルアミンヒドロクロリド(Trt-システアミン)とともにIris Biotechから購入した。
【0104】
ジメチルホルムアミド(DMF)、無水プロピオン酸、AcOH、K3[Fe(CN)6
]、炭酸アンモニウム、及びジクロロメタン(DCM)をSigma-Aldrichから
購入した。
【0105】
Pr-ペプチドA-G-CH-CH-SHとPr-ペプチドB-G-CH-CH-SHとの両方をFmoc/tBu方法及びIris Biotechから購入したFmoc-Gly-Wang樹脂(100~200メッシュ、1%DVB、0.7mmol/g添加)を用いて固相ペプチド合成(SPPS)法によって合成した。そうした樹脂により、その側鎖において完全に脱保護されるとともにC末端において遊離カルボン酸を有するペプチドの合成が可能になる。Gly残基をC末端位に挿入して、ラセミ化を回避しながら官能基化させた。
【0106】
cMThzRLRGPen及びcRPLGRMC配列についてLiberty(CEM)マ
イクロ波合成装置にてペプチド合成を行った。
【0107】
自動合成では、0.25mmolスケール合成において4/4/8当量のaa/DIEA/HATU(樹脂に対して)を使用してn+1アミノ酸の酸性官能基のマイクロ波活性によってアミノ酸を結合させた。結合時間を10分に調節した。チアゾリジン又はプロリン残基後に導入されるアミノ酸にはダブルカップリングを必要とする。こうして結合された新しいアミノ酸のFmoc基の脱保護をDMF内の20%ピペリジンを使用して行った。ペプチド伸長時に結合した最後のアミノ酸を脱保護して、無水プロピオン酸(2*5分、Pr2O/DCM:1/1)を使用してN-プロピオニル化した。
【0108】
そして、少なくとも2時間室温(RT)で94/2/2/2のTFA/TIS/H2O/EDTを含む溶
液を使用して樹脂結合ペプチドを切断した。樹脂のグラムあたり最小で15mLの切断溶液を使用した。そして、粗ペプチドを氷冷のエーテルを使用して沈殿させ、3000rpmで8分間遠心分離し、HO/0.1%TFAにおいて凍結乾燥させた。白色固体を取得し、さらに精製することなく環化ステップに用いた。
【0109】
L配置又はD配置のいずれかである2つの適切に保護されたCys又はPenにおける2つのチオール官能基から分子内環化によりジスルフィド架橋を得た。粗Pr-cMTh
zRLRGPen-G-OH及びPr-cRPLGRMC-G-OHをAcOH0.5%
に溶解して0.5mg/mLの最終濃度を得た。炭酸アンモニウム(2N)をペプチド溶液に添加して塩基性の約pH8~9に達するようにした。そして、明るく一定の黄色が観察されるまでK[Fe(CN)](0.01N)を反応混合物に添加した。分析RP-HP
LCによって反応のモニタリングを行った。通常、反応は30分未満で定量可能になった。反応混合物を0.45μm膜でろ過して分取RP-HPLCによって精製した。95%を超える純度の画分を捕集して凍結乾燥し、純白色粉末を得た(最終純度>95%)。純粋な合成ペプチドの均質性及び同一性を分析RP-HPLCによって評価した。ペプチドは、ポジティブモードで使用したLCQ Fleet(ThermoFisher)のESI質量分析によって同一性について十分に確認された。
【0110】
i)DMF内におけるPyBop/DIEAでの第1のGly残基の活性化と2-トリチルチオ-1-エチルアミンヒドロクロリド(Trt-システアミン)での反応、及びii)酸性条件におけるシステアミントリチル保護の除去(DCM/TIS/TFA:3/1/1)により、Pr
-ペプチドB-G-OH及びPr-ペプチドA-G-OHのチオール官能基化はシステアミンを使用してそのC末端において行った。
【0111】
[Pr-ペプチドA-G-CH-CH-SH及びPr-ペプチドB-G-CH-CH-SHのFcフラグメントへの化学コンジュゲーション]
第1のステップにおいて、ペプチドA及びペプチドBをスルホ-SMCCスペーサーで官能基化させた。ペプチドA-SMCC及びペプチドB-SMCCを、Fcあたりモル過剰の25ペプチドを用いてヒトFcフラグメント(AG 714-Millipore)の一級アミンと反応させた。反応物をPBSバッファ内において室温(RT)で1時間インキュベートした。余分なペプチドを除去するために、混合物をPierce(登録商標)デキストラン脱塩カラム(Pierce)にて精製した。Fc-ペプチドA及びFc-ペプチドBコンジュゲート濃縮物は抗FcELISAアッセイを使用して測定した。
【0112】
[コンジュゲートA、B、C及びDの化学合成]
フルオロフォアAlexa680(A680励起:679nm;放出:702nm)をFc-ペプチドA
、Fc-ペプチドB、Fc-ペプチドC、及びFc-ペプチドDにコンジュゲートするために、SAIVI Rapid抗体標識キット(S30045-ThermoFicher)を使用した。こ
のキットは、インビボのイメージング用途(約2のDOL(degree oflabeling))において最適な標識度(DOL、色素対タンパク質比)で抗体を標識するように設計されている。各
コンジュゲートのDOL(表2参照)は、吸収度(A)=吸収係数(ε)×モル濃度×経路長(d)のランベルト-ベールの法則を使用して吸収分光法によって測定可能である。コンジュゲート溶液のUV-VISスペクトルを測定した。色素の吸収極大(λabs)に
おける吸収度(Amax)及び280nm(タンパク質の吸収極大)における吸収度(A280)の測定により、結合色素の濃度を取得し、これはc(色素)=Amax/εmax×dによって得られ、式中、εmaxは吸収極大における色素の吸収係数であり、また280nmにおけるその吸収度から同様にタンパク質濃度を取得し、これはc(タンパク質)=Aprot/εprot×dによって得られ、式中、εprotは280nmにおけるタンパク質の吸収係数である。そして、DOLは、DOL=[Amax/εmax]/[Aprot/εprot]で算出される。
【表2】
表2は、コンジュゲートのDOLを示す。
コンジュゲートA、B、C、及びDの濃度は抗FcELISAアッセイを使用して測定した。
【0113】
<実施例3:LDLRに対するコンジュゲートA、B、C、及びDの親和性(KD)の表面プラズモン共鳴法(SPR)測定。コンジュゲートのh/mLDLRに対する結合・エン
ドサイトーシス特性はCHO細胞及びがん細胞株によって安定的に発現される>
[LDLRに対するコンジュゲートの親和性(KD)]
組換えヒトLDLR(Hisタグ付き)をSinoBiological(Beijing, China)から購入した。コンジュゲートのLDLRとの相互作用を、BiacoreT200(GE Healthcare)及びランニングバッファとして50mMのHEPES-NaOH(
pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%のTween-20、50μMのEDTAを使用して25℃でテストした。hLDLRを30~60fmol/mmの密度でNiHCセンサーチップ(Xantec,Dusseldorf, Germany)に固定した。コンジュゲートのLDLRコーティングフローセルに対する結合を非コーティングフローセルに対する非特異的結合に対して補正した。単一サイクルの動態学的方法を使用してリガンドのLDLRに対する親和性を測定した。リガンドをランニングバッファに希釈し、濃度を増加させて30μl/minで2分連続的に注入した。リガンド注入前に同様の条件でランニング
バッファのブランクテスト注射を行った。ダブルサブトラクションセンサーグラムをBiacoreT200評価Evaluationバージョン2.0の1:1のラングミュア結合モデルに全体的に適合させた。Kを以下の表3にまとめる。
【表3】
表3は、コンジュゲートA、B、C、及びDのヒトLDLRに対する親和性を示す。
【0114】
[LDLR発現細胞による蛍光コンジュゲートの結合・エンドサイトーシス]
LDLRによってエンドサイトーシスされるh/mLDLR-GFPに親和性を有するコンジュゲート(コンジュゲートA及びC)とコントロールコンジュゲート(コンジュゲートB及びD)の能力を評価するために、hLDLR-GFP生細胞におけるすべてのコンジュゲートのインキュベートに関与する免疫細胞化学的実験を37℃で1時間行い、そ
の後共焦点顕微鏡分析を行った。
【0115】
これらの実験において、図2に関して、LDLR-GFP信号を2列目に可視化し、コンジュゲート信号を、A680蛍光法を使用して4列目に、又は抗hFc-A594コンジュゲート2次抗体を使用して3列目に直接的に可視化している。細胞核をヘキストでブルー染色し、その信号を1列目に可視化できている。LDLR-GFP及びコンジュゲートの共標識は、統合イメージにおいて5列目に強調された信号として可視化できている。得られた結果は、コンジュゲートA及びCがCHO-hLDLR-GFP細胞に結合してエンドサイトーシスされている一方、コントロールコンジュゲートB及びDはそうではないことを示している。
【0116】
<実施例4:ナイーブ又は担がんマウスに静脈注射したLDLR標的コンジュゲートの分布のELISA定量化>
マウス膵臓腺がんPK4A細胞はS.Vasseur(Inserm U1068,Cellular Stress)から取得され、これは以前に記載されたものである(Guillaumond F等、 2013 Proc NatlAcad Sci USA 110(10):3919-3924)。細胞を、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマ
イシン(100μg/mL)、ウシ胎仔血清(10 % Gold Serum,InVitrogen)を添加したダルベ
ッコ改変イーグル培地(DMEM; Invitrogen,Carlsbad, CA)にて培養し、5%CO2を含
む大気中にて37℃でインキュベートした。細胞を腫瘍の誘導に使用した。PK4A腫瘍の異種移植を生後4週のHsdにおいて誘導した。胸腺欠損ヌード-Foxn1nuヌードマウスの雄を、Envigo(Harlan,Indianapolis, IN)から、150μLの完全培
地に懸濁した1×10細胞の肩部間への皮下注射によって取得した。腫瘍サイズを一日おきに目視で評価し、動物をインビボのイメージング実験に使用した。PK4A皮下腫瘍量が約700~1500mmのサイズに達すると(インプラント後10~14日)、担腫瘍マウスに5nmolのコンジュゲートを尾静脈から注射した。コンジュゲートA及びBでは2時間後、コンジュゲートC及びDでは4時間後、全血をヘパリン処理チューブ(Sigma Aldrich)に採血して、5000gでの15分の遠心分離後に血漿を単離した。そ
して、マウスを2ml/minの速度で10分間PBS1×で灌流した。器官を取り出して、計量し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma Aldrich)を含有するPBS内のPB
S/0.1%トリトン(Sigma Aldrich)にてホモジネートした。器官ホモジネートを-
80℃で12時間凍結して音波処理3×10sし、組織ライセートの清澄化を20000gでの15分間の遠心分離によって行った。単離上清のFc濃度を抗FcELISAで測定した。図3に示す結果は、膵臓腫瘍対膵臓において、コンジュゲートAの40倍の蓄積及びコンジュゲートCの30倍の蓄積を示す。腎臓の蓄積をコントロールとして示す。
【0117】
<実施例5:膵臓腫瘍及び健康な膵臓におけるコンジュゲートC及びそのスクランブル対照物であるコンジュゲートDの体内分布>
担腫瘍マウスに、コントロールとしてのコンジュゲートDとともに、5nmolのコンジュゲートCを静脈内注射した(n=5)。静脈内注射後の15分、30分、60分、及び120分において蛍光全身イメージングをモニタリングした。実験終了時(分子の静脈内注射後4時間)に膵臓、肝臓、及び腫瘍組織を採取し、エクスビボで蛍光を測定した。図4は、コンジュゲートCがスクランブルコンジュゲートDと比較して膵臓腫瘍に有意に蓄積することを示す。さらに、健康な膵臓組織においては蓄積が観察されなかったので、この蓄積は膵臓腫瘍に特異的であった。
【0118】
<実施例6:NODAGA-配列番号1-NH、DOTA-配列番号1-NH、NODAGA-βAla-PEG12-配列番号1-NH、DOTA-βAla-PEG12-配列番号1-NH、及びそのそれぞれのスクランブルコントロールNODAGA-βAla-PEG12-配列番号13-NH、及びDOTA-βAla-PEG12-配列番号13NHの合成>
以下の実施例において、68Ga-CH44は68Ga-NODAGA-βAla-PEG12-配列番号1-NHの省略形として使用し 68Ga-FG770は68Ga-DOTA-βAla-PEG12-配列番号1-NHの省略形として使用し、68Ga-CH40は68Ga-NODAGA-βAla-PEG12-配列番号13-NHの省略形として使用し 68Ga-FG769は68Ga-DOTA-βAla-PEG12-配列番号13-NHの省略形として使用する。
【表4】
2タイプのキレートケージをLDLR標的ペプチドベクターにコンジュゲートした。
-NODAGA(1、4、7-トリアザシクロノナン-1-グルタル酸-4、7-2酢酸)によりイメージングのための放射標識コンジュゲートの合成が可能になる。
-DOTA(テトラアザシクロドデカン-1、4、7、10-4酢酸)を、放射線治療
の可能性から放射標識コンジュゲートの調製のために導入した。
【0119】
大員環NOTA(1、4、7-トリアザシクロノナン-1、4、7-3酢酸)及びNODAGAは、一般に使用される放射性トレーサーである68ガリウムのキレート化のための最も好ましいリガンドである。これらのリガンドのなかでも、NODAGAは、このキレートケージがNOTAと比較してさらなる結合部分を含むため選択された。これは、6座配位を飽和させるためにカルボキシアームのすべてを利用可能であるということを確実にする。
【0120】
放射線治療では、111インジウム、177Lu、又は90イットリウムを臨床において使用する。そうした放射性金属は、それとともに熱力学的及び動態学的に安定的な複合体を形成するDOTA大員環キレーターに良好に適合する。実際に、DOTAは、これらの放射性核種とともにより安定的な複合体を形成するために、8つのドナー原子及び適切な空洞サイズを提供する。
【0121】
NODAGA及びDOTAの誘導体を、LDLR発現がんを優先的に標的化可能なイメージング剤及び受容体媒介放射線治療を開発するために調製した。
【0122】
ペプチドベクターにコンジュゲートした大員環キレーターの位置及び距離を評価するために、種々の構築物を設計及び調製した。キレート剤をC末端、N末端、又はペプチドベクター配列にさらに導入されたリジンのアミノ側鎖にコンジュゲートした。すべての誘導体は、精製LDLRにおけるSPR分析によって評価されるように標的LDL受容体に常に結合した。このように、N末端にキレート剤を有する構築物が選択され、これはこの合成経路がより設定しやすいことによるものである。
【0123】
図5は、ケージ-リンカー-ペプチド-NHコンジュゲートの合成の反応スキームを示す。このスキームでは、NODAGA-βAla-PEG12-配列番号1-NHの合成の例を示す。
【0124】
合成反応の試薬及び条件は図5に関して以下のとおりである。
-ステップa:AA(4当量(eq)))、HATU(4eq)、DIEA(8eq)、DMF
、マイクロ波活性、
-ステップb:Fmoc-PEG12-OH(1.5eq)、DIC(4eq)、HOBt(2eq)、DMF、室温(RT)、24時間、
-ステップc:Fmoc-(β)Ala-OH(3eq)、COMU(3eq)、DIEA(8eq)、DMF、RT、3時間、
-ステップd:DMF/ピペリジン(20%)15分、TFA/TIS/HO/EDT(94/2/2/2)、RT、2時間、
-ステップe:AcOH(0.5%)、(NHCO、KFe(CN)、pH=7~8、[ペプチド]=1mg/mL、
-ステップf:NODAGA-NHS(2eq)、DIEA(10eq)、DMF、RT、3
0分。
【0125】
分析及び精製方法
-反応進行及び純度のモニタリングをC18 KinetexTM(5μm、150mm x 4.6mm)を備えたThermo Fisher UltiMate 3000システムにて行
った。検出を214nmで行った。溶出系をH2O/0.1%TFA(溶液A)及びMeCN/0.1%TFA(溶液B)から構成した。流速は2mL/minであり、溶液Bの0~100%の勾配は4分で行った。
-粗生成物をC18 LunaTM(5 μm、100mm x 21.2mm)を備えたThermo
Fisher UltiMate 3000システムにてRP-HPLCによって精製した。検出を214nmで行った。溶出系をH2O/0.1%TFA(溶液A)及びMeCN/0.1%TFA(溶液B)から構成した。流速は20mL/minであった。
【0126】
[H-配列番号1-NH2、H-βAla-PEG12-配列番号1-NH2、及びH-βAla-PEG12-配列番号13-NH2の合成]
N-α-Fmoc-保護アミノ酸を標準的な直交側鎖保護に選択した:Fmoc-Cys(Trt)-OH(D配置又はL配置)、Fmoc-Pen(Trt)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Thz-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-βALa-OH、及びFmoc-Gly-OH。これらの全てを、ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジイソプ
ロピルエチルアミン(DIEA)、エタンジチオール(EDT)、トリイソプロピルシラン(TIS)、1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルフォリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート(COMU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1、2、3、-トリアゾロ[4、5-β]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、N、N´-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾールとともにIris Biote
chから購入した。
【0127】
ジメチルホルムアミド(DMF)及びジクロロメタン(DCM)をSigma-Aldrichから購入した。
【0128】
Fmoc-21-アミノ-4、7、10、13、16、19-ヘキサオキサヘンエイコサン酸(Fmoc-PEG12-OH)をPolyPeptide Laboratoriesから購
入した。
【0129】
コンジュゲートH-配列番号1-NH2、H-βAla-PEG12-配列番号1-NH2、及びH-βAla-PEG12-配列番号13-NH2を、Fmoc/tBu方法及びIris Biotechから購入したFmoc-Rinkアミド樹脂(100~200メッシュ、1%DVB、0.7mmol/g添加)を用いて、固相ペプチド合成(SPPS)法によって合成した。そうした樹脂により、その側鎖において完全に脱保護されるとともにC末端
アミドを有するペプチドの合成が可能になる。
【0130】
cMThzRLRGPen(配列番号1)及びcRPLGRMC(配列番号13)配列についてLiberty(CEM)マイクロ波合成装置にてペプチド合成を行い、一方で必要
であれば、リンカーFmoc-βAla-OH及びFmoc-PEG12-OHを手動で結合させた。
【0131】
自動合成では、0.25mmolスケール合成において4/4/8当量のaa/DIEA/HATU(樹脂に対して)を使用してn+1アミノ酸の酸性官能基のマイクロ波活性によってアミノ酸を結合させた。結合時間を10分に調節した。チアゾリジン又はプロリン残基後に導入されるアミノ酸にはダブルカップリングを必要とする。こうして結合された新しいアミノ酸のFmoc基の脱保護をDMF内の20%ピペリジンを使用して行った。ペプチド伸長時に結合した最後のアミノ酸を脱保護して、N末端におけるさらなる結合を可能にした。ケージとペプチドベクターとの間に導入したリンカーを有する配列において、1.5/4/2当量のaa/DIC/HOBt(樹脂に対して)を使用してFmoc-PEG12-OHを手動で導入した。反応を一晩室温で行った。TNBSテストにより結合効率をモニタリングできた。ピペリジン/DMF(20%、3*5分)溶液でのFmoc脱保護後、Fmoc-βAla-OHを、3/8/3当量のaa/DIEA/COMUを使用して、室温で3時間、遊離N末端に最後にコンジュゲートした。TNBSテストにより結合効率をモニタリングでき、FmocをDMF内の20%ピペリジン溶液で除去した(3*5分)。
【0132】
そして、94/2/2/2のTFA/TIS/H2O/EDTを含む溶液を使用して少なくとも2時間室温(RT)で樹脂結合ペプチドを切断した。樹脂のグラムあたり最小で15mLの切断溶液を使用した。そして、粗ペプチドを氷冷のエーテルを使用して沈殿させ、3000rpmで8分間遠心分離し、HO/0.1%TFAにおいて凍結乾燥させた。白色固体を取得し、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0133】
[コンジュゲートH-配列番号1-NH、H-βAla-PEG12-配列番号1-NH、及びH-βAla-PEG12-配列番号13-NHの環化]
L配置又はD配置のいずれかである2つの適切に保護されたCys又はPenにおける2つのチオール官能基から分子内環化によりジスルフィド架橋を得た。AcOH、K3[Fe(CN)6]、及び炭酸アンモニウムをSigma-Aldrichから購入した。H-配列番号1-NH、H-βAla-PEG12-配列番号1-NH、及びH-βAla-PEG12-配列番号13-NHの粗コンジュゲートをAcOH0.5%に溶解して、0.5mg/mLの最終濃度を得た。炭酸アンモニウム(2N)をペプチド溶液に添加して塩基性の約pH8~9に達するようにした。そして、明るく一定の黄色が観察されるまでK[Fe(CN)](0.01N)を反応混合物に添加した。分析RP-HPL
Cによって反応のモニタリングを行った。通常、反応は30分未満で定量可能になった。反応混合物を0.45μm膜でろ過して分取RP-HPLCによって精製した。95%を超える純度の画分を捕集して凍結乾燥し、純白色粉末を得た(最終純度>95%)。純粋な合成ペプチドの均質性及び同一性を分析RP-HPLCによって評価した。ペプチドは、ポジティブモードで使用したLCQ Fleet(ThermoFisher)のESI質量分析によって同一性について十分に確認された。
【0134】
[H-配列番号1-NH、H-βAla-PEG12-配列番号1-NH、及びH-βAla-PEG12-配列番号13-NHのへのNODAGA及びDOTAコンジュゲート]
NODAGA モノ-N-ヒドロキシスクシンイミド(NODAGA-NHS)及びDOTA モノ-N-ヒドロキシスクシンイミド(DOTA-NHS)の活性化エステルを使用して、キレータ
ーをペプチドにコンジュゲートした。
【0135】
NODAGA-NHS及びDOTA-NHSをChematech(Dijon, France)
から得た。
【0136】
DMF(1.2mM)内のペプチド溶液にキレート剤(4eq)及びDIEA(10eq)を添加した。反応混合物を室温で攪拌した。分析RP-HPLCによる反応のモニタリングにより、反応が定量的であることを評価した。反応混合物を0.45μm膜でろ過して分取RP-HPLCによって精製した。95%を超える純度の画分を捕集して凍結乾燥し、純白色粉末を得た(最終純度>95%)。純粋な合成ペプチドの均質性及び同一性を分析RP-HPLCによって評価した。ペプチドは、ポジティブモードで使用したLCQ Fleet(ThermoFisher)のESI質量分析によって同一性について十分に確認された。
【0137】
<実施例7:LDLRに対するMG04/VH-DO35、CH44、FG770、CH40及びFG769の親和性(KD)の表面プラズモン共鳴法(SPR)測定>
[LDLRに対するコンジュゲートの親和性(KD)]
組換えヒトLDLR(Hisタグ付き)をSinoBiological(Beijing, China)から購入した。コンジュゲートのLDLRとの相互作用を、BiacoreT200(GE Healthcare)及びランニングバッファとして50mMのHEPES-NaOH(
pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%のTween-20、50μMのEDTAを使用して25℃でテストした。hLDLRを30~60fmol/mmの密度でNiHCセンサーチップ(Xantec,Dusseldorf, Germany)に固定した。コンジュゲートのLDLRコーティングフローセルに対する結合を非コーティングフローセルに対する非特異的結合に対して補正した。単一サイクルの動態学的方法を使用してリガンドのLDLRに対する親和性を測定した。リガンドをランニングバッファに希釈し、濃度を増加させて30μl/minで2分連続的に注入した。リガンド注入前に同様の条件でランニング
バッファのブランクテスト注射を行った。ダブルサブトラクションセンサーグラムをBiacoreT200評価Evaluationバージョン2.0の1:1のラングミュア結合モデルに全体的に適合させた。Kを以下の表5にまとめる。
【表5】
表5は、コンジュゲートCH40、FG769、CH44、FG770、及びMG04のLDLRに対する親和性を示す。
【0138】
<実施例8:副腎腫瘍の皮下マウスモデルにおける68Ga-CH44及びそのスクランブル対照物68Ga-CH40のPETイメージング>
この実施例の目的は、副腎がんをインプラントしたマウス(異種移植モデル)に静脈内投与した後のLDLRを標的とするコンジュゲート(68Ga-CH44)及びそのスクランブル
対照物(68Ga-CH40)の体内分布を評価するためにPETスキャンを使用することであっ
た。18F-FDGをコントロールとして使用した。
【0139】
〔材料〕
[放射標識]
CH44及びCH40は68Ga塩化物を使用して放射標識した。市販のTiO2系68Ge/68Gaジェネレータ(Obninsk)を使用して、ガリウムを68Ga3+形態で
得た。200μLの酢酸アンモニウムバッファ内(4M、pH6)において25℃で15分間
、20μgのNODAGA-CH44及び40μgのNODAGA-CH40を74~148MBq(2~4mCi)の68Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。
【0140】
68Ga-CH44及び68Ga-CH40について得られた比放射能はそれぞれ12.5Bq/mmol及び5.5Bq/mmolであった。
【0141】
[腫瘍インプラント]
エクスマルセイユ倫理委員会(Comity 14)により承認されているプロトコルに従って
動物の研究を行った。生後4週のBALB/cヌードマウスの雄をCharles River Incから取得した。50%マトリゲル(Corning)を含有する150μLの完
全培地内のNCI-H295R細胞をマウスに上部側腹から皮下にインプラントした。腫瘍が700~1500mmに含まれる量に達したときマウスをイメージング実験に使用した。
【0142】
[投与経路、用量、及び実験設計]
動物に、10±4MBqの68Ga-CH44又は68Ga-CH40の用量で静脈内の単一ボーラスによってテスト物質を投与した。
【0143】
6匹のマウスにNCI-H295R副腎がん細胞をインプラントした。インプラント後の14日目に、動物に18F-FDG、68Ga-CH44及び68Ga-CH40をそれぞれ24時間間隔で静脈内に投与した。インプラント後の32日目に、動物に68Ga-CH44、及び24時間後に68Ga-CH40を静脈内に投与した。各投与後、副腎がん異種移植及び他の組織の体内分布はPETイメージングを使用して評価した。
【0144】
[PETスキャン]
ヌードマウスのグループ(n=5~7)に10±4MBqの68Ga-CH44を静脈内投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。PET及びPET/CT研究をマイクロPET/マイクロCTげっ歯動物モデルスキャナー(nanoPET/CT,Mediso)で行った。麻酔を5%イソフルランで誘導し、1.5%で維持した。画質を向
上させるために、静止PET放射スキャン毎に(エネルギーウィンドウ:400-600 keV、
時間:1FOVにつき20分)、マウスにつき2千万の同時計数イベントを得た。2様式のPET/CTでは、CTイメージ(35 kVp、350nsの露出時間、中ズーム)を得て、解
剖学的な位置合わせと減弱補正とを対応するPETスキャンに適用した。最初の注射後6時間において、同じヌードマウスのグループに10±4MBqの68Ga-CH40を投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。この一連の取得はコントロールグループをなすものであった。
【0145】
〔結果〕
[PETイメージング]
3つすべての化合物について14日目に、68Ga-CH44及び68Ga-CH40について32日目に、イメージ取得を行った。14日目において、18F-FDGを注射した動物のイメージング画像は腫瘍部位において有意な蓄積を示さなかった(図6A)。
【0146】
一方で、14日目(図6B及び図6C)及び32日目(図7A及び図7B)において、イメージング画像はほとんどの動物で、68Ga-CH40と比較して68Ga-CH4
4の有意な蓄積を示した。
【0147】
〔結論〕
実験では、ほとんどの動物で14日目及び32日目において68Ga-CH44による明確で選択的な副腎がんのイメージング及び標識化を示した。
【0148】
<実施例9:副腎腫瘍の皮下マウスモデルにおける68Ga-FG770及びそのスクランブル対照物68Ga-FG769のPETイメージング>
この実施例の目的は、副腎がんをインプラントしたマウス(異種移植モデル)に静脈内投与した後のLDLRを標的とするコンジュゲート(68Ga-FG770)及びそのスクランブル対照物(68Ga-FG769)の体内分布を評価するためにPETスキャンを使用することであった。この研究に使用したケージはNODAGAではなくDOTAであった。
【0149】
〔材料〕
[放射標識]
FG770及びFG769は68Ga塩化物を使用して放射標識した。市販のTiO2系68Ge/68Gaジェネレータ(Obninsk)を使用して、ガリウムを68Ga3+
態で得た。100μLの酢酸アンモニウムバッファ内(2M、pH4.5)において95℃で1
5分間、20μgのDOTA-FG770及び20μgのDOTA-FG769を74~148MBq(2~4mCi)の68Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。
【0150】
68Ga-FG770及び68Ga-FG769について得られた比放射能はそれぞれ6.45Bq/mmol及び6.16Bq/mmolであった。
【0151】
[腫瘍インプラント]
エクスマルセイユ倫理委員会(Comity 14)により承認されているプロトコルに従って
動物の研究を行った。生後4週のBALB/cヌードマウスの雄をCharles River Incから取得した。50%マトリゲル(Corning)を含有する150μLの完
全培地内のNCI-H295R細胞をマウスに上部側腹から皮下にインプラントした。腫瘍が700~1500mmに含まれる量に達したときマウスをイメージング実験に使用した。
【0152】
[投与経路、用量、及び実験設計]
動物に、10±4MBqの68Ga-FG770又は68Ga-FG769の用量で静脈内の単一ボーラスによってテスト物質を投与した。
【0153】
6匹のマウスにNCI-H295R副腎がん細胞をインプラントした。インプラント後の37日目に、動物に68Ga-FG770及び68Ga-FG769をそれぞれ24時間間隔で静脈内に投与した。投与後、副腎がん異種移植及び他の組織の体内分布はPETイメージングを使用して評価した。
【0154】
[PETスキャン]
ヌードマウスのグループ(n=3)に10±4MBqの68Ga-FG770を静脈内投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。PET及びPET/CT研究をマイクロPET/マイクロCTげっ歯動物モデルスキャナー(nanoPET/CT,Mediso)で行った。麻酔を5%イソフルランで誘導し、1.5%で維持した。画質を向上
させるために、静止PET放射スキャン毎に(エネルギーウィンドウ:400-600 keV、時
間:1FOVにつき20分)、マウスにつき2千万の同時計数イベントを得た。2様式のPET/CTでは、CTイメージ(35kVp、350nsの露出時間、中ズーム)を得て、解剖学的な位置合わせと減弱補正とを対応するPETスキャンに適用した。
【0155】
最初の注射後24時間において、同じヌードマウスのグループに10±4MBqの68Ga-FG769を静脈内に投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間及び4時間において得た。PETイメージにおける定量的対象領域(ROI)分析はInter
viewfusionを使用して減弱及び減衰補正PETイメージにおいて行われた。
【0156】
〔結果〕
[PETイメージング]
68Ga-FG770及び68Ga-FG769の両化合物について37日目に、イメージ取得を行った。イメージング画像はほとんどの動物で、68Ga-FG769と比較して68Ga-FG770の有意な蓄積を示した(それぞれ図8A及び図8B)。
【0157】
〔結論〕
実験では、ほとんどの動物で37日目において68Ga-FG770による明確で選択的な副腎がんのイメージング及び標識化を示した。
【0158】
<実施例10:膵臓がんの皮下マウスモデルにおける68Ga-CH44及びそのスクランブル対照物68Ga-CH40のPETイメージング>
この実施例の目的は、膵臓がんをインプラントしたマウス(異種移植モデル)に静脈内投与した後のLDLRを標的とするコンジュゲート(68Ga-CH44)及びそのスクランブル
対照物(68Ga-CH40)の体内分布を評価するためにPETスキャンを使用することであっ
た。18F-FDGをコントロールとして使用した。
【0159】
〔材料〕
[放射標識]
CH44及びCH40は68Ga塩化物を使用して放射標識した。市販のTiO2系68Ge/68Gaジェネレータ(Obninsk)を使用して、ガリウムを68Ga3+形態で
得た。200μLの酢酸アンモニウムバッファ内(4M、pH6)において25℃で15分間
、20μgのCH44及び40μgのCH40を74~148MBq(2~4mCi)の
Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。
【0160】
68Ga-CH44及び68Ga-CH40について得られた比放射能はそれぞれ12.5Bq/mmol及び5.5Bq/mmolであった。
【0161】
[腫瘍インプラント]
エクスマルセイユ倫理委員会(Comity 14)により承認されているプロトコルに従って
動物の研究を行った。生後4週のBALB/cヌードマウスの雄をCharles River Incから取得した。150μLの完全培地内のPk4a細胞(1×106)をマウスに肩部間において皮下にインプラントした。腫瘍が700~1500mmに含まれる量に達したときマウスをイメージング実験に使用した。
【0162】
[投与経路、用量、及び実験設計]
動物に、10±4MBqの68Ga-CH44及び68Ga-CH40の用量で静脈内の単一ボーラスによってテスト物質を投与した。
【0163】
マウス(n=5~6)にPk4a膵臓がん細胞をインプラントした。インプラント後の4日目に、動物に18F-FDG、68Ga-CH44及び68Ga-CH40をそれぞれ24時間間隔で静脈内に投与した。インプラント後の12日目に、動物に68Ga-CH44、及び24時間後に68Ga-CH40を静脈内に投与した。
【0164】
各投与後、膵臓がん異種移植及び他の組織の体内分布はPETイメージングを使用して評価した。
【0165】
[PETスキャン]
ヌードマウスのグループ(n=5~7)に10±4MBqの68Ga-CH44を静脈内投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。PET及びPET/CT研究をマイクロPET/マイクロCTげっ歯動物モデルスキャナー(nanoPET/CT,Mediso)で行った。麻酔を5%イソフルランで誘導し、1.5%で維持した。画質を向
上させるために、静止PET放射スキャン毎に(エネルギーウィンドウ:400-600 keV、
時間:1FOVにつき20分)、マウスにつき2千万の同時計数イベントを得た。2様式のPET/CTでは、CTイメージ(35kVp、350nsの露出時間、中ズーム)を得て、解剖学的な位置合わせと減弱補正とを対応するPETスキャンに適用した。最初の注射後6時間において、同じヌードマウスのグループに10±4MBqの68Ga-CH40を投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。この一連の取得はコントロールグループをなすものであった。
【0166】
〔結果〕
[PETイメージング]
18F-FDG、68Ga-CH44及び68Ga-CH40について4日目に、68Ga-CH44及び68Ga-CH40について12日目に、イメージ取得を行った。腫瘍サイズが小さいため、4日目において種々の化合物の有意な蓄積は示されなかった(それぞれ図9A及び図9B)しかしながら、イメージング画像はほとんどの動物で、12日目において68Ga-CH40と比較して68Ga-CH44の有意な蓄積を示した(それぞれ図10A及び図10B)。
【0167】
〔結論〕
実験では、12日目において68Ga-CH44による明確で選択的な膵臓がんのイメージング及び標識化を示した。
【0168】
<実施例11:膠芽腫の同所性マウスモデルにおける68Ga-CH44及びそのスクランブル対照物68Ga-CH40のPETイメージング>
この実施例の目的は、膠芽腫をインプラントしたマウス(異種移植モデル)に静脈内投与した後のLDLRを標的とするコンジュゲート(68Ga-CH44)及びそのスクランブル対
照物(68Ga-CH40)の体内分布をPETスキャンの使用から評価することであった。また
、膠芽腫に対するいくつかの臨床的検討に使用されているインテグリン特異的マーカーである68Ga-RGDに対して21日目に比較を行った。
【0169】
〔材料〕
[放射標識]
CH44及びCH40は68Ga塩化物を使用して放射標識した。市販のTiO2系68Ge/68Gaジェネレータ(Obninsk)を使用して、ガリウムを68Ga3+形態で
得た。200μLの酢酸アンモニウムバッファ内(4M、pH6)において25℃で15分間
、20μgのCH44及び40μgのCH40を74~148MBq(2~4mCi)の
Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。
【0170】
68Ga-CH44及び68Ga-CH40について得られた比放射能はそれぞれ12.5Bq/mmol及び5.5Bq/mmolであった。68Ga-RGDの比放射能は7.35Bq/mmolであった。
【0171】
[腫瘍インプラント]
エクスマルセイユ倫理委員会(Comity 14)により承認されているプロトコルに従って
動物の研究を行った。生後6週のBALB/cヌードマウスの雄をCharles River Incから取得した。マウスには、5μLのPBS内のU87MG細胞(5×105)を脳線条体(1mm前方、ブレグマに対して2mm外側、3mmの深さ)にインプラントした。マウスを注射後の14日目及び21日目においてイメージング実験に使用し、予期される量はそれぞれ9mm及び53mmであった。
【0172】
[投与経路、用量、及び実験設計]
動物に、8±4MBqの68Ga-CH44及び68Ga-CH40の用量で静脈内の単一ボーラスによってテスト物質を投与した。
【0173】
マウス(n=6)にU87MG膠芽腫細胞をインプラントした。インプラント後の14日目に、動物に68Ga-CH44及び68Ga-CH40をそれぞれ24時間間隔で静脈内に投与した。インプラント後の21日目に、動物に68Ga-CH44、68Ga-CH40、68Ga-RGDをそれぞれ24時間及び72時間間隔で静脈内に投与した。
【0174】
各投与後、膠芽腫がん及び他の組織の体内分布はPETイメージングを使用して評価した。
【0175】
[PETスキャン]
ヌードマウスのマウス(n=6)に8±4MBqの68Ga-CH44を静脈内投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。PET及びPET/CT研究をマイクロPET/マイクロCTげっ歯動物モデルスキャナー(nanoPET/CT,Mediso
)で行った。麻酔を5%イソフルランで誘導し、1.5%で維持した。画質を向上させるために、静止PET放射スキャン毎に(エネルギーウィンドウ:400-600 keV、時間:1
FOVにつき20分)、マウスにつき2千万の同時計数イベントを得た。2様式のPET/CTでは、CTイメージ(35kVp、350nsの露出時間、中ズーム)を得て、解剖学的な位置合わせと減弱補正とを対応するPETスキャンに適用した。最初の注射後6時間において、同じヌードマウスのグループに8±4MBqの68Ga-CH40を投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。この一連の取得はコントロールグループをなすものであった。
【0176】
〔結果〕
[PETイメージング]
68Ga-CH44及び68Ga-CH40について14日目に、68Ga-CH44、68Ga-CH40、及び68Ga-RGDについて21日目に、イメージ取得を行った。イメージング画像は、6匹のマウスのうち4匹において14日目に68Ga-CH44の信号を示し、16日目における68Ga-CH40では有意な信号を示さなかった(それぞれ図11A及び図11B)。21日目において、6匹のマウスすべては、68Ga-CH40又は68Ga-RGDのいずれかの弱い信号よりも有意に強い68Ga-CH44の大きい信号を示した(それぞれ図11C図11D図11E)。イメージング信号を定量化するために、腫瘍/対照比の分析を行った。定量化は、68Ga-CH44が68Ga-CH40又は68Ga-RGDよりも有意に蓄積する(約4倍)ことを示す(図12)。
【0177】
〔結論〕
実験では、21日目において68Ga-CH44による明確で選択的な膠芽腫がんのイメージング及び標識化を示した。
【0178】
<実施例12:副腎がんの皮下マウスモデルにおける68Ga-CH44及び68Ga
-MG04のPETイメージング>
この実施例の目的は、副腎がんの皮下モデルをインプラントしたマウス(異種移植モデル)に静脈内投与した後の、1つはNODAGAケージを含み(68Ga-CH44)、1つはD
OTAケージを含みスペーサー(S)を有しない(68Ga-MG04)LDLRを標的とする2
つのコンジュゲートの体内分布はPETスキャンを使用して評価及び比較することであった。
【0179】
〔材料〕
[放射標識]
CH44及びMG04は68Ga塩化物を使用して放射標識した。市販のTiO2系68Ge/68Gaジェネレータ(Obninsk)を使用して、ガリウムを68Ga3+形態で
得た。200μLの酢酸アンモニウムバッファ内(4M、pH6)において25℃で15分間
、20μgのCH44を68Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。200μLの酢酸アンモニウムバッファ内(pH4)において100℃で10分間、20μgのMG
04を68Gaと反応させることで、放射標識反応を行った。
【0180】
68Ga-CH44及び68Ga-MG04について得られた比放射能はそれぞれ331.3±10.5MBq/g及び449.7±148.1MBq/gであった。複合体形成能は、68Ga-MG04で91±16.9%、68Ga-CH44で97±1.4%であった。
【0181】
[腫瘍インプラント]
クレルモン-オーベルニュ大学により承認されているプロトコルに従って動物の研究を行った。生後4週のBALB/cヌードマウスの雄をCharles River Incから取得した。50%マトリゲル(Corning)を含有する150μLの完全培地内のN
CI-H295R細胞をマウスに頸部下部において皮下にインプラントした。腫瘍が200~400mmに含まれる量に達したときマウスをイメージング実験に使用した。
【0182】
[投与経路、用量、及び実験設計]
動物に、21.6±3.6MBqの68Ga-CH44又は150.8±40.3μL量の68Ga-MG04の用量で静脈内の単一ボーラスによってテスト物質を投与した。
【0183】
6匹のマウスにNCI-H295R副腎がん細胞をインプラントした。インプラント後の48日目に、動物に68Ga-CH44及び68Ga-MG04をそれぞれ48時間間隔で静脈内に投与した。各投与後、副腎がん異種移植及び他の組織の体内分布はPETイメージングを使用して評価した。
【0184】
[PETスキャン]
ヌードマウスのグループ(n=2)に21.6±3.6MBqの68Ga-CH44を静脈内投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。マイクロPETげっ歯動物モデル(eXplore Vista, GEHealthcare)及びマイクロCTげっ歯動物モ
デル(eXplore CT120, GEHealthcare)でPET及びCT研究を行った。麻酔を5%イソ
フルランで誘導し、1.5%で維持した。画質を向上させるために、静止PET放射スキャン毎に(エネルギーウィンドウ:250-700 keV、時間:1FOVにつき5分)、マウス
につき2千万の同時計数イベントを得た。2様式のPET/CTでは、CTイメージ(70kVp、32nsの露出時間、中ズーム)を得て、解剖学的な位置合わせと減弱補正とを対応す
るPETスキャンに適用した。68Ga-CH44注射後48時間において、同じヌードマウスのグループに21.6±3.6MBqの68Ga-MG04を投与し、PET/CTスキャンを注射後(p.i.)1時間において得た。この一連の取得は第2グループをなすものであった。
【0185】
〔結果〕
[PETイメージング]
68Ga-CH44について48日目に、イメージ取得を行った。48時間後に68Ga-MG04についてイメージ取得を行った。48日目(図13A)及び50日目(図13B)において、イメージング画像は、68Ga-CH44及び68Ga-MG04の有意な蓄積を示した(薄灰色矢印=腫瘍、濃灰色矢印=腎臓)。さらに、68Ga-MG04の腫瘍取り込みは68Ga-CH44と比較して73%高い。イメージは同じしきい値で示す(SUVmin=0; SUVmax=1)。SUV(標準取込値(Standardized UptakeValue))は
【数1】
であり、式中、MBqはメガベクレルであり、g=グラムである。
【0186】
〔結論〕
実験では、2つの分子68Ga-MG04及び68Ga-CH44による明確で選択的な副腎がんのイメージング及び標識化を示し、68Ga-MG04の腫瘍取り込みの利点もある(73%)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B-C】
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14
【配列表】
2022133357000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にコンジュゲート化合物を投与すること並びにマーカーの存在及び/又は量を分析することによって前記対象におけるがん細胞を標識する及び/又は検出する方法に使用する、M-C-Pの式で表されるコンジュゲート化合物であって
中、Mは薬学的に許容されるマーカーを示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有し、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合し、配列番号1~9から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項2】
前記化合物は、P基若しくはM基の複数のコピー又はそれらの両方の複数のコピーを含む多量体である、請求項1に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項3】
Mは、放射性核種又は蛍光マーカーを示す、請求項1又は2に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項4】
Mは18 68 Ga、 11 C、 15 O、 13 N、 82 Rb、 90 Y、 111 In、 131 I又は 177 Luである、請求項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項5】
前記キレーターCは、NODAGA、DOTA、DOTA-GA、NOTA、及びその
機能的誘導体から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項6】
前記キレーターCは、スペーサーSを介してPに結合する、請求項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項7】
前記化合物は、LDLRとは異なる分子に結合する第2標的基Tをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項8】
Mは放射性核種を示し、前記方法は、
a) 前記コンジュゲート化合物を対象に投与するステップと、
b) イメージング方法を行うステップと、
c) ステップb)において得た信号を分析するステップとを含み、
信号の存在は、前記対象におけるがん細胞の存在及び/又はがん進展のステージ分類を示す、請求項1~のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項9】
LDLRを過剰発現するがん細胞を標識する及び/又は検出するための、請求項1~のいずれか1項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項10】
前記がんは、膵がん、副腎がん、又は膠芽腫から選択される、請求項に記載の使用のためのコンジュゲート化合物。
【請求項11】
M-C-S-Pの式で表されるコンジュゲート化合物であって
中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Sは、スペーサーを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有し、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合し、配列番号1~9から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項12】
M-C-Pの式で表されるコンジュゲート化合物であって
中、Mは、薬学的に許容される放射性核種を示し、
Cは、Mとともにキレートを形成するキレーターを示し、
Pは、最大で30個のアミノ酸残基を有し、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合し、配列番号1~9から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド又は疑似ペプチドを示す、コンジュゲート化合物。
【請求項13】
前記化合物は、LDLRとは異なる分子に結合する第2標的基Tをさらに含む、請求項11又は12に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項14】
前記化合物は、P基若しくはM基の複数のコピー、又はその両方の複数のコピーを含む多量体である、請求項11~13のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項15】
前記化合物は、複数のM-C-S-P又はM-C-Pの式の単量体を含む多量体である、請求項11~14のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項16】
Mは、好ましくは18F、68Ga、90Y、177Lu、 11 C、 15 O、 13 N、 82 Rb、 111 In、 131 及び111Inから選択される、マーカー又は放射線治療剤である、請求項11~15のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項17】
Cは、NODAGA、DOTA、NOTA、DOTA-GA、及びその機能的誘導体から選択される、請求項11~16のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項18】
68Ga-NODAGA-配列番号1
68 Ga-NOTA-配列番号1、
68Ga-DOTA-配列番号1
68 Ga-DOTA-GA-配列番号1、
18 F-NODAGA-配列番号1、
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18 F-DOTA-GA-配列番号1、
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90 Y-DOTA-配列番号1、
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111 In-DOTA-配列番号1、
111 In-DOTA-GA-配列番号1、
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177Lu-DOTA-配列番号1
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90 Y-NODAGA-配列番号6、
90 Y-NOTA-配列番号6、
90 Y-DOTA-配列番号6、
90 Y-DOTA-GA-配列番号6、
111 In-NODAGA-配列番号6、
111 In-NOTA-配列番号6、
111 In-DOTA-配列番号6、
111 In-DOTA-GA-配列番号6、
177 Lu-NODAGA-配列番号6、
177 Lu-NOTA-配列番号6、
177 Lu-DOTA-配列番号6、
177 Lu-DOTA-GA-配列番号6、
68Ga-NODAGA-S-配列番号1
68 Ga-NOTA-S-配列番号1、
68Ga-DOTA-S-配列番号1
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号1、
18 F-NODAGA-S-配列番号1、
18 F-NOTA-S-配列番号1、
18 F-DOTA-S-配列番号1、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号1、
90 Y-NODAGA-S-配列番号1、
90 Y-NOTA-S-配列番号1、
90 Y-DOTA-S-配列番号1、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号1、
111 In-NODAGA-S-配列番号1、
111 In-NOTA-S-配列番号1、
111 In-DOTA-S-配列番号1、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号1、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号1、
177 Lu-NOTA-S-配列番号1、
177Lu-DOTA-S-配列番号1
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号1、
68 Ga-NODAGA-S-配列番号2、
68 Ga-NOTA-S-配列番号2、
68 Ga-DOTA-S-配列番号2、
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号2、
18 F-NODAGA-S-配列番号2、
18 F-NOTA-S-配列番号2、
18 F-DOTA-S-配列番号2、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号2、
90 Y-NODAGA-S-配列番号2、
90 Y-NOTA-S-配列番号2、
90 Y-DOTA-S-配列番号2、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号2、
111 In-NODAGA-S-配列番号2、
111 In-NOTA-S-配列番号2、
111 In-DOTA-S-配列番号2、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号2、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号2、
177 Lu-NOTA-S-配列番号2、
177 Lu-DOTA-S-配列番号2、
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号2、
68 Ga-NODAGA-S-配列番号3、
68 Ga-NOTA-S-配列番号3、
68 Ga-DOTA-S-配列番号3、
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号3、
18 F-NODAGA-S-配列番号3、
18 F-NOTA-S-配列番号3、
18 F-DOTA-S-配列番号3、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号3、
90 Y-NODAGA-S-配列番号3、
90 Y-NOTA-S-配列番号3、
90 Y-DOTA-S-配列番号3、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号3、
111 In-NODAGA-S-配列番号3、
111 In-NOTA-S-配列番号3、
111 In-DOTA-S-配列番号3、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号3、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号3、
177 Lu-NOTA-S-配列番号3、
177 Lu-DOTA-S-配列番号3、
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号3、
68 Ga-NODAGA-S-配列番号4、
68 Ga-NOTA-S-配列番号4、
68 Ga-DOTA-S-配列番号4、
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号4、
18 F-NODAGA-S-配列番号4、
18 F-NOTA-S-配列番号4、
18 F-DOTA-S-配列番号4、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号4、
90 Y-NODAGA-S-配列番号4、
90 Y-NOTA-S-配列番号4、
90 Y-DOTA-S-配列番号4、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号4、
111 In-NODAGA-S-配列番号4、
111 In-NOTA-S-配列番号4、
111 In-DOTA-S-配列番号4、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号4、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号4、
177 Lu-NOTA-S-配列番号4、
177 Lu-DOTA-S-配列番号4、
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号4、
68 Ga-NODAGA-S-配列番号5、
68 Ga-NOTA-S-配列番号5、
68 Ga-DOTA-S-配列番号5、
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号5、
18 F-NODAGA-S-配列番号5、
18 F-NOTA-S-配列番号5、
18 F-DOTA-S-配列番号5、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号5、
90 Y-NODAGA-S-配列番号5、
90 Y-NOTA-S-配列番号5、
90 Y-DOTA-S-配列番号5、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号5、
111 In-NODAGA-S-配列番号5、
111 In-NOTA-S-配列番号5、
111 In-DOTA-S-配列番号5、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号5、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号5、
177 Lu-NOTA-S-配列番号5、
177 Lu-DOTA-S-配列番号5、
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号5、
68 Ga-NODAGA-S-配列番号6、
68 Ga-NOTA-S-配列番号6、
68 Ga-DOTA-S-配列番号6、
68 Ga-DOTA-GA-S-配列番号6、
18 F-NODAGA-S-配列番号6、
18 F-NOTA-S-配列番号6、
18 F-DOTA-S-配列番号6、
18 F-DOTA-GA-S-配列番号6、
90 Y-NODAGA-S-配列番号6、
90 Y-NOTA-S-配列番号6、
90 Y-DOTA-S-配列番号6、
90 Y-DOTA-GA-S-配列番号6、
111 In-NODAGA-S-配列番号6、
111 In-NOTA-S-配列番号6、
111 In-DOTA-S-配列番号6、
111 In-DOTA-GA-S-配列番号6、
177 Lu-NODAGA-S-配列番号6、
177 Lu-NOTA-S-配列番号6、
177 Lu-DOTA-S-配列番号6、又は
177 Lu-DOTA-GA-S-配列番号6であり、
式中、Sはスペーサーである、請求項11~17のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項19】
がんをイメージングする、標識する、検出する、診断する、又は放射線治療する方法に使用される、請求項11~18のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項20】
請求項11~18のいずれか1項に記載のコンジュゲート化合物と適切な希釈剤又は賦形剤とを含む組成物。
【請求項21】
図14に示される化合物VHd。
【請求項22】
放射性核種をさらに含む、請求項21に記載の化合物VHd。