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特開2022-133381既知の密度を用いて質量流量を補償する方法
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  • 特開-既知の密度を用いて質量流量を補償する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133381
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】既知の密度を用いて質量流量を補償する方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022108075
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2020552271の分割
【原出願日】2019-03-28
(31)【優先権主張番号】62/651,593
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パッテン, アンドリュー ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ガーネット, ロバート バークレイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】質量流量の測定を決定する方法が提供される。
【解決手段】方法は、第1の温度で流量計センサを較正するステップと、第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流すステップを備える。流体密度がメータ電子機器に入力される。流体の補償された質量流量値はメータ電子機器によって決定され、流量計センサの弾性率は不明である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量の測定を決定する方法であって、
第1の温度で流量計センサを較正するステップと、
第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流すステップと、
流体密度をメータ電子機器に入力するステップと、
メータ電子機器を用いて流体の補償された質量流量値を決定するステップを含み、流量計センサの弾性率は不明である、方法。
【請求項2】
流体密度は既知の基準値である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体密度は状態方程式から計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
状態方程式は、圧力項および温度項を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
補償された質量流量は、以下の数16として計算される
【数16】
、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の温度は非極低温であり、第2の温度は極低温である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第2の温度を有するプロセス流体を受け入れるように構成されたメータ電子機器(20)を備え、該メータ電子機器(20)は流量計のセンサアセンブリと通信するように構成された流量計(5)であって、
プロセス流体を受け入れるように構成される少なくとも1つの流れ導管(103A、1
03B)と、
少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)を振動させるように構成される少なくとも1つのドライバ(104)と、
少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)の振動を検出する少なくとも1つのピックオフ(105、105’)を備え
流量計は第1の温度にて較正され、
流体密度が前記メータ電子機器(20)に入力され、
前記メータ電子機器(20)は、流体の補償された質量流量値を決定するように構成され、
少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)の弾性率は未知である、流量計(5)。
【請求項9】
流体密度は既知の基準値である、請求項8に記載の流量計(5)。
【請求項10】
流体密度は状態方程式から計算される、請求項8に記載の流量計(5)。
【請求項11】
状態方程式は、圧力項および温度項を含む、請求項10に記載の流量計(5)。
【請求項12】
補償された質量流量は、以下の数17として計算される
【数17】
、請求項8に記載の流量計(5)。
【請求項13】
補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である、請求項8に記載の流量計(5)。
【請求項14】
第1の温度は非極低温であり、第2の温度は極低温である、請求項8に記載の流量計(
5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載する実施形態は補償する方法、特に既知の流体密度と駆動周波数を用いて温度についてコリオリセンサの質量流量を補償する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリメータは、幅広いプロセス流体及び環境条件下でパイプラインを流れる流体の質量流量と密度の両方を正確に測定できるように構成されている。コリオリメータが他の流量測定装置の較正の基準として使用される多くの用途がある。当然、これには高度な精度が必要である。
【0003】
このような用途の1つは、例えばロケットエンジンのテストである。この用途において、ロケットのテストスタンドへの液体水素と酸素の流れを測定するために使用されるベンチュリ流量計を較正する必要がある。プロセス条件でのこのような用途の基準センサの精度要件は高く、一部の用途では0.35%のニーズがある。
【0004】
現在、LNG、液体アルゴン、液体窒素、液体酸素を含む極低温用途のセンサは、従来の温度補正を使用した質量測定精度が最高1%であることを示している。
質量流量とコリオリセンサの流量測定信号との関係は、振動している1または複数の管の剛性に大きく依存することが理解されている。温度は、3つの異なるメカニズムによってコリオリ流量センサの1または複数の管の剛性に影響を与えることも理解されている。
【0005】
第1のメカニズムは、温度による弾性率の変化である。この影響は何年も前に認識されており、式1に示すように、線形温度補償が開発された。
【数1】
ここで、
【数1A】
=質量流量
FCF=流量較正係数(単位:μs 当たりg/s)
Δt=基本的なコリオリ時間測定
Zero=流れが無い状態でのΔt
Φ=弾性率を変更するための温度係数
ΔT=温度差(℃)である。
【0006】
殆どのコリオリセンサの用途の範囲では、温度による弾性率の変化は線形に近いため、この補正は殆どの用途で良好に機能する。コリオリセンサが最初に極低温用途に用いられたとき、図2に示すように、係数は0℃以下では非線形であることが認識された。-233℃までの低温及び極低温用途用の補正が式2で与えられるように開発された。
【数2】
ここで、各Φ項は特に低温での非線形弾性率の動作を特徴付ける多項式係数である。これは図3に示される。Φ2とΦ3の値が夫々0のとき、式2は式1になる(collapse)こと
に注意すべきである。
【0007】
管の剛性に影響を与える第2のメカニズムは、温度変化に伴う材料の膨張である。管が拘束されていない場合、管の長さ、断面及び内部体積が全て変化し、剛性が効果的に変化する。
【0008】
密度測定に使用される管周期の二乗に基づく温度補正は、流量較正係数、FCFの温度補正と同じではないことが経験的に観察された。これは熱膨張によるものと判断された。質量流量及び密度方程式の一般的な形式が開発され、U字管コリオリセンサを片持ち梁として理想化した。このメカニズムを説明する流れと密度測定の関係は、夫々式3と4に示されている。
【数3】
ここで、
α=熱膨張係数
f(Φ)=式2で表される多項式
【数4】
ここで、
=期間の二乗
C1&C2=較正定数
f(Φ)=式2で表される多項式
【0009】
管の剛性に影響を与える第3のメカニズムは、熱的に誘発された応力である。温度が変化しても1または複数の管が自由に動かない場合、機械的な復元ひずみによって熱ひずみが打ち消される。この効果は、直管式又は薄型のコリオリセンサでは重要である。他のセンサ形状の場合、このメカニズムは基本的に無視できる。
【発明の概要】
【0010】
実施形態に従って、質量流量の測定を決定する方法が提供される。流量計センサは第1の温度で較正される。第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体が流量計センサを通って流れる。流体密度がメータ電子機器に入力される。流体の補償された質量流量値がメータ電子機器を用いて決定され、ここで、流量計センサの弾性率は不明である。
【0011】
第2の温度を有するプロセス流体を受け入れるように構成されたメータ電子機器を備える流量計が提供され、メータ電子機器は流量計のセンサアセンブリと通信するように構成される。少なくとも1つの流れ導管はプロセス流体を受け入れるように構成される。少なくとも1つのドライバは少なくとも1つの流れ導管を振動させるように構成される。少なくとも1つの流れ導管の振動を検出する少なくとも1つのピックオフが提供され、流量計は第1の温度にて較正される。流体密度がメータ電子機器に入力され、メータ電子機器は、流体の補償された質量流量値を決定するように構成され、少なくとも1つの流れ導管の弾性率は未知である。
【0012】
態様
質量流量の測定を決定する方法の一態様に従って、第1の温度で較正される流量計セン
サを備える。第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体が流量計センサを通って流れる。流体密度がメータ電子機器に入力される。流体の補償された質量流量値がメータ電子機器を用いて決定され、ここで、流量計センサの弾性率は不明である。
【0013】
好ましくは、密度は既知の基準値である。
好ましくは、密度は状態方程式から計算される。
好ましくは、状態方程式は、圧力項および温度項を含む。
好ましくは、補償された質量流量は、以下の数5として計算される。
【数5】
【0014】
好ましくは、補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である。
好ましくは、第1の温度は非極低温であり、第2の温度は極低温である。
【0015】
一態様に従って、第2の温度を有するプロセス流体を受け入れるように構成されたメータ電子機器を備える流量計が提供され、メータ電子機器は流量計のセンサアセンブリと通信するように構成される。少なくとも1つの流れ導管はプロセス流体を受け入れるように構成される。少なくとも1つのもドライバは少なくとも1つの流れ導管を振動させるように構成される。少なくとも1つの流れ導管の振動を検出する少なくとも1つのピックオフが提供され、流量計は第1の温度にて較正される。流体密度がメータ電子機器に入力され、メータ電子機器は、流体の補償された質量流量値を決定するように構成され、少なくとも1つの流れ導管の弾性率は未知である。
【0016】
好ましくは、密度は既知の基準値である。
好ましくは、密度は状態方程式から計算される。
好ましくは、状態方程式は、圧力項および温度項を含む。
好ましくは、補償された質量流量は、以下の数6として計算される。
【数6】
【0017】
好ましくは、補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である。
好ましくは、第1の温度は非極低温であり、第2の温度は極低温である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
全ての図面で同じ符号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1】センサアセンブリとメータ電子機器を備える流量計を示す。
図2】温度に対する316ステンレス鋼の弾性率変化の詳細を示すグラフである。
図3】極低温における316ステンレス鋼の弾性率の詳細を示すグラフである。
図4】極低温における316ステンレス鋼の熱膨張の詳細を示すグラフである。
図5】一実施形態に従った質量流量を決定する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図5及び以下の説明は特定の実施例を記載して、本実施形態の最良モードを如何にして作り使用するかを当業者に教示する。本発明の進歩性のある原理を教示すること
を目的として、いくつかの従来の態様を簡略化又は省略している。当業者は、これらの実施例の変形例が本明細書の範囲内にあることを理解するだろう。当業者であれば、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、補償方法の変形例を形成できることを理解する。結果として、本発明は後述する特定の実施例に限定されるものではない。更に、図は、例示の目的で、特定の金属、合金、及び/又は流体を説明している場合がある。提供さ
れる実施形態は、開示される特定の金属、合金、及び/又は流体に限定されず、異なる金
属、合金、及び/又は流体が考えられる。
【0020】
図1は、実施形態に従った流量計5を示す。流量計5はセンサアセンブリ10とメータ電子機器20を備える。メータ電子機器20は、リード100を介してセンサアセンブリ10に接続されて、1又は複数の密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度の測定、または他の測定又は情報を経路26を介して提供する。流量計5は、コリオリ質量流量計又は他の振動式流量計を含む。ドライバ、ピックオフセンサ、流れ導管、または振動の動作モードの数に関係なく、流量計5が任意の方法の流量計5を含むことができることは、当業者には明らかであろう。
【0021】
センサアセンブリ10はフランジ101及び101’、マニホールド102及び102’、ドライバ104、ピックオフセンサ105、105’、及び流れ導管103A、103Bを含む。ドライバ104及びピックオフセンサ105、105’は流れ導管103A、103Bに接続される。
【0022】
フランジ101、101’はマニホールド102、102’に固定されている。幾つかの実施形態にて、マニホールド102、102’はスペーサ106の両端部に固定されている。スペーサ106は、マニホールド102と102’との間の間隔を維持する。センサアセンブリ10が、測定されているプロセス流体を運ぶパイプライン(図示せず)に挿入されると、プロセス流体は、フランジ101を通ってセンサアセンブリ10に入り、入口マニホールド102を通過し、そこで、プロセス流体の総量が流れ導管103A及び103Bに入るように向けられ、流れ導管103A及び103Bを通って流れ、出口マニホールド102’に戻り、そこでフランジ101‘を通ってセンサアセンブリ10を出る。
【0023】
プロセス流体は、液体を含む。プロセス流体は、ガスを含む。プロセス流体は、例えば取り込まれたガス及び/又は取り込まれた固体を含む液体などの多相流体を含むが、これ
らに限定されない。曲げ軸W-W及びW’-W’の周りに実質的に同じ質量分布、慣性モーメント、及び弾性率を夫々持つように、流れ導管103A及び103Bが選択され、入口マニホールド102及び出口マニホールド102’に適切に取り付けられる。流れ導管103A及び103Bは、マニホールド102及び102'から本質的に平行に外向きに
延びる。
【0024】
流れ導管103A及び103Bは、夫々の曲げ軸W及びW’の周りに両方向にドライバ104によって駆動され、これは流量計5の第1の位相不一致曲げモードと呼ぶ。このドライバ104は、導管103’に取り付けられるマグネット及び導管103に取り付けられる対向するコイルのような周知の構成要素の1つを構成する。交流が対向するコイルを通って通過し、両導管を振動させる。適切な駆動信号がメータ電子機器20によってリード110を介してドライバ104に付与される。他のドライバも考えられ、これらは本記載及び特許請求の範囲内である。
【0025】
メータ電子機器20は、夫々リード111及び111’上のセンサ信号を受信する。メータ電子機器20は、リード110上に駆動信号を生成し、これにより、ドライバ104が流れ導管103A及び103Bを振動させる。他のセンサデバイスも考えられ、これらは本記載及び特許請求の範囲内である。
【0026】
メータ電子機器20は、とりわけ、流量を計算するために、ピックオフセンサ105及び105'からの左および右の速度信号を処理する。通信経路26は、メータ電子機器2
0がオペレータ又は他の電子システムとインターフェースすることを可能にする入力及び出力手段を提供する。図1の記載は、流量計の動作の単なる例として提供されており、本発明の開示を限定することを意図していない。実施形態にて、1つ以上のドライバ及びピックオフを有する単管及び多管の流量計が考えられる。
【0027】
一実施形態におけるメータ電子機器20は、流れ導管103A及び103Bを振動させるように構成される。振動はドライバ104によって実行される。メータ電子機器20は、ピックオフセンサ105及び105'から結果として生じる振動信号をさらに受信する
。振動信号は、流れ導管103A及び103Bの振動応答を含む。メータ電子機器20は、振動応答を処理し、応答周波数及び/又は位相差を決定する。メータ電子機器20は、
振動応答を処理し、プロセス流体の質量流量及び/又は密度を含む1つ又は複数の流量測
定値を決定する。他の振動応答特性及び/又は流れ測定が考えられ、これらは本記載及び
特許請求の範囲内である。
【0028】
一実施形態にて、流れ導管103A及び103Bは示すように、実質的にオメガ形状の流れ導管を含む。或いは、他の実施形態においては、流量計は実質的に直線状の流れ導管、U字形の導管、デルタ形の導管を含む。更なる流量計の形状及び/又は構成が用いられ
得て、これらは本記載及び特許請求の範囲内である。
【0029】
図3から、316ステンレス鋼の弾性率は、標準圧力で液体水素の温度、20°Kで線形ではないことが判る。弾性率の変化がΔtへの唯一の影響である場合、任意の流量にお
ける0℃(273.15°K)での変化との差は、20-50°Kの範囲で6-6.8%の範囲で変化することが判る。これは、実際のセンサの材料特性がこの合金の利用可能なデータと同様に動作することも前提としている。
【0030】
一実施形態に従って、用途に近い温度で既知の密度又は想定密度を使用して、温度による弾性率の変化を決定する方法が提供される。この実施形態はまた、熱膨張係数が一定であるという仮定を行う。図4から、仮定が少しの誤りを導入することが判る。再び、316ステンレス鋼は例示のみを目的として提供されており、同様の傾向が異なる金属/合金
にも存在することに注意されたい。
【0031】
一実施形態にて、極低温での質量流量測定の全体的な不確実性は、弾性率の補正と、極低温での流れの較正に関連する問題を排除することによって最小限に抑えられる。例えば液体水素や天然ガスなどの単一成分流体でよく知られている流体密度の状態方程式を使用すると、上記の問題なしに正確な質量流量計算が実行される。
【0032】
従来の補償方法とは異なり、この方法は温度の関数としての弾性率の変化に対する質量流量方程式の依存性を排除する。実施形態にて、温度による弾性率の変化に関係なく、質量流量測定の式が式5のように提供される。
【数7】
【0033】
流体密度ρfは、既知の量として入力するか、または商業的に純粋な水素のような既知
の流体の場合は、圧力と温度の入力を使用して状態方程式から計算できる。温度と圧力は、単にメータ電子機器に入力するか、温度と圧力センーの少なくとも1つによって測定され得る。この方法で動作する二重チューブU字型チューブのコリオリセンサの場合、液体水素などの純粋な極低温流体を測定するときに、±0.5%の流れ精度を期待するのが妥
当である。
【0034】
図5を参照して、質量流量測定を決定する実施形態のステップを概説するフローチャートが提供される。ステップ500では、第1の温度で流量計が較正される。特に第1の温度で較正されているにもかかわらず、ステップ502では、異なる第2の温度を有する流体が流量計センサ10を通って流される。ステップ504では、流体の密度がメータ電子機器20に提供される。ステップ506では、流体の補償された質量流量値がメータ電子機器20で決定される。この場合、流量計センサの弾性率は未知のままであり、メータ電子機器によって利用されない。これは、従来技術からの大きな逸脱である。これは式5に示される。従って、温度測定も正確な流量測定にとって重要ではないことは、当業者には明らかであろう。実際、温度の流量誤差への寄与は0.0006%と低い場合があるため
、流体密度、圧力、校正定数、およびその他の不確実性関連の要因などの要素と比較すると無視することができる。
【0035】
実施形態にて、第1の温度(即ち、流量計が較正される温度)は、非極低温である。これは通常、製造施設の典型的な温度範囲、即ち「室温」周りに対応する。しかし、流れ流体は極低温であるため、温度は約-100℃から―273℃の間である。これの1つの利点は、コストの削減と、較正中の極低温流体の取扱いの困難さである。上記の理由により、標準の室温で較正された流量計は、極低温流体でも正確であり、これも再び従来技術からの逸脱である。これは表1に記載され、これは例示のみであって、決してこれに限定されない。表1の中の値は、1つの特定の流量計モデルについてのみの例示であり、実施形態を限定するようには機能しない。
【0036】
・不確かさの計算:
・質量流量測定に影響を与える変数
【数8】
・単一の変数xによる質量流量測定の不確かさ
【数9】
・全ての変数による質量流量測定の全体的な不確かさ
【数10】
・推定される質量流量測定の誤差
【数11】
【0037】
不確かさと較正からの温度変化ΔTの不確かさによる流量誤差の一部
【数12】
不確かさと熱膨張係数αの不確かさによる流量誤差の一部
【数13】
不確かさと流体密度ρの不確かさによる流量誤差の一部
【数14】
【0038】
不確かさと管周期Kの不確かさによる流量誤差の一部
【数15】
【0039】
が1943kg/mのコリオリ流量計の推定される全流量誤差の不確かさを表1に
示す。
【表1】
【0040】
上記の実施形態の詳細な説明は、本記載の範囲内にあるべき、本発明者らによって企図されている全ての実施形態の包括的な説明ではない。事実、当業者であれば、上述した実施形態の特定の要素は、さらなる実施形態を作成するために様々に組み合わせ、又は、なくすことができ、そのようなさらなる実施形態が本出願の範囲及び教示の中に入ることは認識されよう。上述した実施形態は、本発明の範囲及び教示内の追加の実施形態を作成するために全体的に又は部分的に組み合わせることができることも、当業者には明らかであろう。
【0041】
このように、特定の実施形態が説明の目的で記載されているが、関連技術の熟練者が認識するように、種々の均等な修正が本記載の範囲内で可能である。ここに付与された開示は燃料と水の混合物の他の燃料消費計算に適用され得て、上記の記載及び添付の図面に示す実施形態に適用されるのではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量の測定を決定する方法であって、
第1の温度で流量計センサを較正するステップと、
第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流すステップと、
流体密度をメータ電子機器に入力するステップと、
弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、メータ電子機器を用いて流体の補償された質量流量値を決定するステップを含み
補償された質量流量は、以下の数16として計算される方法。
【数16】
上記の数16において、左辺のmドットが質量流量であり、右辺における、FCFが流量較正係数(単位:μs 当たりg/s)、Δtがコリオリ時間測定、zeroが、流れが無い状態でのΔt、ρ f が流体密度、αが熱膨張係数、K が期間の二乗、C およびC が較正定数、ΔTが温度差(℃)である。
【請求項2】
流体密度は既知の基準値である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体密度は状態方程式から計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
状態方程式は、圧力項および温度項を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の温度は-100℃より高く、第2の温度は-100℃より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2の温度を有するプロセス流体を受け入れるように構成されたメータ電子機器(20)を備え、該メータ電子機器(20)は流量計のセンサアセンブリと通信するように構成された流量計(5)であって、
プロセス流体を受け入れるように構成される少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)と、
少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)を振動させるように構成される少なくとも1つのドライバ(104)と、
少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)の振動を検出する少なくとも1つのピックオフ(105、105’)を備え
流量計は第1の温度にて較正され、
流体密度が前記メータ電子機器(20)に入力され、
前記メータ電子機器(20)は、少なくとも1つの流れ導管(103A、103B)の弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、流体の補償された質量流量値を決定するように構成され、補償された質量流量は、以下の数17として計算される流量計(5)。
【数17】
上記の数17において、左辺のmドットが質量流量であり、右辺における、FCFが流量較正係数(単位:μs 当たりg/s)、Δtがコリオリ時間測定、zeroが、流れが無い状態でのΔt、ρ f が流体密度、αが熱膨張係数、K が期間の二乗、C およびC が較正定数、ΔTが温度差(℃)である。
【請求項8】
流体密度は既知の基準値である、請求項に記載の流量計(5)。
【請求項9】
流体密度は状態方程式から計算される、請求項に記載の流量計(5)。
【請求項10】
状態方程式は、圧力項および温度項を含む、請求項に記載の流量計(5)。
【請求項11】
補償された質量流量値の正確さは、±0.5%である、請求項に記載の流量計(5)。
【請求項12】
第1の温度は-100℃より高く、第2の温度は-100℃より低い、請求項に記載の流量計(5)。
【外国語明細書】