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特開2022-133405鉛蓄電池用の改良されたセパレータ、改良された電池及び関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133405
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】鉛蓄電池用の改良されたセパレータ、改良された電池及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20220906BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/406 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/437 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20220906BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20220906BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/417
H01M50/443 E
H01M50/443 C
H01M50/403 D
H01M50/406
H01M50/44
H01M50/437
H01M50/434
H01M50/463 B
H01M50/411
H01M50/414
H01M50/489
H01M50/429
H01M50/457
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108995
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2018562301の分割
【原出願日】2017-06-01
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/035285
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,ジェームス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルズィー,アヒラ
(72)【発明者】
【氏名】マニカム,クマール
(72)【発明者】
【氏名】アピカトラ,ススミタ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロヴィン,エム.ニール
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,エリック,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マーガレット アール.
(57)【要約】
【課題】少なくとも特定の用途又は電池に関して、サイクル寿命の改善、アンチモン中毒の抑制、水の消費量の削減、フロート充電電流の低減、及び/又は電池を完全に再充電するのに必要な電圧の低減を行う改良されたセパレータの必要性がある。
【解決手段】 本明細書には鉛蓄電池用の改良されたセパレータ、改良された電池、及び関連方法が開示されている。セパレータは、多孔質膜と、ゴム及び/又はラテックスと、少なくとも1つの性能向上添加剤又は界面活性剤を含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セパレータであって、
ポリエチレンを含むポリオレフィン基材と、ポリイソプレンを含む天然ゴム及びラテックスからなる群から選ばれる1~20%のゴムと、少なくとも1つの性能向上添加剤とを含む多孔質膜を備え、前記少なくとも1つの性能向上添加剤が界面活性剤であり、前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つを含み、
前記界面活性剤は0.5g/m~20g/mの量で存在し、
前記多孔質膜の表面の少なくとも一部分にはゴムがコーティングされている電池セパレータ。
【請求項2】
前記ポリエチレンが超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)である、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
更に、架橋ゴム、非架橋ゴム、硬化ゴム、未硬化ゴム、ラテックス、合成ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記ゴムが、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、共重合体ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記ゴムをさらに前記多孔質膜の少なくとも一部分に含侵させた、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記ゴムを、前記多孔質膜を形成するのに使用された前記ポリオレフィン基材とさらに混合した、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記ポリオレフィン基材の重量に対して、1重量%から50重量%以下の量の前記ゴムが存在する、請求項6に記載の電池セパレータ。
【請求項8】
湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
マットをさらに備えた、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項10】
前記マットが、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つを含む、請求項9に記載の電池セパレータ。
【請求項11】
前記多孔質膜が、少なくとも約50μmから約500μmのバックウェブ厚さを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項12】
前記多孔質膜が、中実リブ、鋸歯状リブ、傾斜リブ、破断リブ、交差リブ、正極側リブ、負極側リブ、負極側交差リブ、チャネル、エンボス、突起、バンプ、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つであるリブを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項13】
請求項1又は9に記載の電池セパレータを含む鉛蓄電池。
【請求項14】
ポリエチレンを含むポリオレフィン基材と、ポリイソプレンを含む天然ゴム及びラテックスからなる群から選ばれる1~20%のゴムと、界面活性剤の混合物を混ぜ合わせるステップと、
前記混合物を押し出して膜にするステップと、
前記膜の少なくとも一部にゴムをコーティングするステップと
を含み、
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1つを含み、前記界面活性剤が0.5g/m~20g/mの量で存在する、セパレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2016年6月1日出願の国際特許出願第PCT/US2016/035285号の優先権及び利益を主張するものである。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は発明は、液式鉛蓄電池、特に強化された液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池、及びゲル電池や吸収ガラスマット(「AGM」)電池などの他の様々な鉛蓄電池用の新規な又は改良されたセパレータに関する。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は発明は、新規な又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、EFBセパレータ、電池、セル、システム、これらを含む方法、これらを使用した車両、これらを製造する方法、これらの使用、及びこれらの任意の組み合わせに関する。また、本明細書には、電池寿命を延ばす、電池故障を低減させる、水分損失を減らす、酸化安定性を向上させる、フロート電流を改善、維持及び/又は低下させる、充電終了(「EOC」)電流を改善する、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全充電するのに必要な電流及び/又は電圧を減少させる、内部電気抵抗を最小限に抑える、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増大させる、電解液のウェットアウト時間を低減させる、電池形成の時間を短縮する、アンチモン中毒を抑制する、酸の層化を抑制する、酸拡散を改善する及び/又は鉛蓄電池の均一性を向上させるための、そしてこれらの任意の組み合わせのための方法、システム、及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、ゴム、ラテックス、及び/又は改良された性能向上添加剤及び/又はコーティングを含む、鉛蓄電池用の改良されたセパレータに関する。少なくとも特定の実施形態によれば、開示されるセパレータは、例えばゴルフカート(ゴルフカーと呼ばれることもある)などの輸送マシン、インバータ、並びに太陽光発電システム及び風力発電システムなどの再生可能エネルギーシステム及び/又は代替エネルギーシステムなどにおけるディープサイクル用途に有用である。開示されるセパレータはまた、ディープサイクル及び/又は部分充電状態動作が電池使用の一部である電池システムで有用である。特定の他の実施形態において、開示されるセパレータは、添加剤及び/又は合金(アンチモンが主要な例である)が電池に添加されて電池の寿命を延ばす及び/又は電池の性能を向上させる、及び/又は電池のディープサイクル及び/又は部分充電状態動作能力を向上させる電池システムに使用することができる。
【背景技術】
【0003】
電気的短絡を防止する目的で、電池の正極(板)と負極(板)を分離するのに電池セパレータを使用する。このような電池セパレータは、一般的にはイオンが正極(板)と負極(板)の間を通過できるように微多孔性である。車両用電池、工業用電池、及び/又はディープサイクル電池などの鉛蓄電池において、電池セパレータは一般的に微多孔性ポリエチレンセパレータであり、一部の例では、そのようなセパレータは、バックウェブと、バックウェブの片側又は両側に起立する複数のリブとを備え得る。Besenhard、J.O.、Editor、Handbook of Battery Materials、Wiley-VCH Verlag GmbH、Weinheim、Germany(1999)、Chapter 9、pp.245~292を参照されたい。車両用電池の一部のセパレータは連続した長さで製造され、巻回された後、折り畳まれ、電池の電極を受容するポーチ又はエンベロープを形成するためにエッジに沿って封止される。工業用(牽引用又はディープサイクルストレージ)電池の特定のセパレータは、電極板(断片又はリーフ)とほぼ同じ大きさに切断される。
【0004】
鉛蓄電池の電極は、比較的高いアンチモン含有量を有する鉛合金から作られることが多
い。鉛/アンチモン合金は、電極フレームの製造プロセスにおいて(ほんの一例として、モールドにおける溶融金属の流量特性の改善や、鋳造電極フレームの硬度の増大など)と、電池の使用中において共に利点を有する。特に周期負荷の場合、端子と活物質の良好な接触が、機械的安定性に加えて正極で保証され、その結果、早過ぎる容量低下が起こらず(「アンチモンフリー」効果)、改善されたサイクル性がもたらされる。また、ディープサイクル電池では、アンチモンが電池の正格子に存在することが多い。
【0005】
しかしながら、アンチモンを含む正極は、アンチモンが電解液にイオン的に溶解する可能性があり、その後セパレータを通って移動するという欠点を有する。アンチモンは鉛より貴であるため、負極に析出する可能性がある。このプロセスはアンチモン中毒として説明される。水素の過電圧の低減を通じて、アンチモン中毒が水の消費量を増加させ、その結果電池は多くのメンテナンスが必要になる。特に、アンチモンは、水分解がその電池を完全に再充電するのに必要なエネルギーの一部を消費する可能性があるため、水分解に触媒作用を及ぼすことによって充電電圧を低下させ、電池を完全に再充電するのに必要なエネルギーを増大させることができる。鉛合金中のアンチモンを他の合金成分に完全に又は部分的に置き換えようとする試みが既に行われているが、満足な結果に至っていない。概して、ディープサイクル電池の正格子にアンチモンが存在することは、サイクル寿命が縮まる主な原因を示す可能性がある。
【0006】
少なくとも特定の用途又は電池に関して、サイクル寿命の改善、アンチモン中毒の抑制、水の消費量の削減、フロート充電電流の低減、及び/又は電池を完全に再充電するのに必要な電圧の低減を行う改良されたセパレータの必要性がある。より具体的には、電池寿命の延長、電池不良の低減、水分損失の低減、酸化安定性の向上、フロート電流の改善、維持、及び/又は低減、充電終了(「EOC」)電流の改善、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全に充電するのに必要な電流及び/又は電圧の低減、内部電気抵抗増大の最小化、電気抵抗の低減、湿潤性の増大、電解液のウェットアウト時間の低減、電池形成時間の短縮、アンチモン中毒の抑制、酸の層化の抑制、酸拡散の改善、及び/又は鉛蓄電池の均一性の向上を行う改良されたセパレータと、改良されたセパレータを備えた改良された電池(ゴルフカー用電池又はゴルフカート用電池)の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1つ以上の実施形態の詳細を以下の記述において説明する。他の特徴、目的、及び利点は、記述及び請求項から明白となるであろう。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は発明は、上記の問題又はニーズに対処することができる。少なくとも特定の目的、態様、又は実施形態によれば、本開示又は発明は、例えばアンチモン中毒が抑制され、サイクル性能が向上した電池を提供することによって、上述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は発明は、新規な又は改良されたセパレータ、セル、電池、システム、及び/又は、このような新規のセパレータ、セル、及び/又は電池を製造及び/又は使用する方法に関する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、ゴルフカート(ゴルフカーと呼ばれることもある)などのディープサイクル及び/又は動力用途の、又は太陽光もしくは風力発電システム用の電池を含む管状又は平板鉛蓄電池用の新規な又は改良された電池セパレータ、及び/又は、このような改良されたセパレータ、セル、電池、システムなどを製造及び/又は使用する改良された方法に関する。また、本明細書には、特に生来の又は意図された電池寿命の50%を超えて電池性能及び寿命を延ばす、電池不良を低減する、水分損失を減らす、酸化安定性を向上させる、フロート電流を改善、維持する、及び/又は低下させる、充電終了電流を改
善する、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全充電するのに必要な電流及び/又は電圧を減少させる、酸の層化を抑制する、内部電気抵抗を低減させる、アンチモン中毒を抑制する、湿潤性を増大させる、電解液のウェットアウト時間を低減させる、ウェットアウト時間の低減に起因する電池形成に必要な時間を低減させる、酸拡散を改善する、鉛蓄電池の均一性を向上させる、及び/又はサイクル性能を向上させるための方法、システム及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、新規なセパレータが、低減された電気抵抗、性能向上添加剤又はコーティング、改良された充填剤、増大した湿潤性、増大した酸拡散などを含む改良されたセパレータに関する。
【0009】
これら及び他の目的を達成するために、特定の選択実施形態において、微多孔質膜と、任意選択の繊維状マット(ラミネートされる、又はその他の方法で微多孔質膜に隣接する)とを有するセパレータを、負極と正極とを有し、その間にセパレータが配設されたEFB又はディープサイクル電池などの鉛蓄電池に使用することが提案される。微多孔質膜又は繊維状マットの片方又は両方は、天然及び/又は合成ゴムと、微多孔質膜又は繊維状マットのいずれかのいずれかの面の少なくとも一部分に含浸させた又はコーティングした少なくとも1つの性能向上添加剤とを含んでよい。
【0010】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、(水又は酸)湿潤性が高い微多孔性セパレータが提供される。湿潤性が高い新規なセパレータは、電解質イオン種にとってアクセスしやすくなり、これにより電解質イオン種のセパレータ通過が促進され、電気抵抗が減少する。
【0011】
一部の例では、1つ以上の性能向上添加剤及び/又は1つ以上の性能向上コーティングを含む改良されたセパレータを備えた改良された電池は、3週間の連続過充電の後に、従来のゴムセパレータよりフロート電流の20%低下、一部の例では30%低下、一部の例ではフロート電流の40%低下、そして一部の例では50%超の低下を示す可能性がある。改良されたセパレータを備えた電池は、鉛蓄電池セパレータの他の主要な望ましい機械的特性のバランスを保持及び維持する。このような改良されたセパレータはまた、従来のセパレータに比べて過充電後にはるかに均一なフロート電流を示すことができる。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、1つ以上の界面活性剤などの、1つ以上の性能向上添加剤及び/又はコーティングを含む微多孔性セパレータが提供される。1つ以上の添加剤及び/又はコーティングは、アンチモン中毒を抑制する、水の消費量を減少させる、電気抵抗を低減させる、及び/又はサイクル性能を向上させる働きをすることができる。
【0013】
特定の実施形態によれば、改良されたセパレータは、セパレータの片面又は両面に、リブ、突起、バンプ、エンボス、テクスチャフィーチャ、チャネル、鋸歯状リブ、バトルメントリブ、又はこれらの組み合わせを有することができる。セパレータのプロファイルは、酸の層化を抑制し、これにより電池性能及び一貫性を向上させることができる。一部の実施形態では、使用されるリブパターンは、ゴルフカート用電池又は他のディープサイクル電池に使用されるようなリブパターンであってよい。特定の実施形態では、リブは、様々な高さ、例えば0.2mmから2mm以上の高さ、一部の例では1mm超の高さ、一部の例では約1.5mmの高さなどであってよく、特定の実施形態では、様々な距離、例えば0.2mmから10mm以上、一部の例では約1から10mm、例えば約3.5から7mm離間されてよい。一部の実施形態では、縦リブもしくはミニリブ又は交差リブもしくはミニリブが、主要な縦リブが含まれる表面以外の表面に含まれ、一部の例では、そのような交差リブは、負極側交差リブである(好ましくは負極側交差ミニリブ)、及び/又は主要な縦リブがもう1つの表面又は面を延びる方向と直交する方向に延びる。
【0014】
本明細書に記載の鉛蓄電池用セパレータは、天然又は合成ラテックス及び/又はゴムをさらに含むポリオレフィン微多孔質膜を備えてよい。好ましい実施形態では、ラテックス及び/又はゴムは未硬化である。好ましいと思われるポリオレフィン微多孔質膜は、ポリエチレン、例えば超高分子量ポリエチレンなどのポリマー、ラテックス及び/又はゴム、粒子状充填剤、一部の実施形態では、残留加工用可塑剤(例えば加工油)、及び1つ以上の性能向上添加剤及び/又はコーティング(例えば界面活性剤)を含み、任意選択的に1つ以上の追加の添加剤又は薬剤を含む。ポリオレフィン微多孔質膜は、膜の40重量%以上の量の粒子状充填剤を含んでよい。
【0015】
本発明の選択実施形態は、基材と、ゴムと、少なくとも1つの性能向上添加剤とから構成される多孔質膜を有する電池セパレータを提供する。基材は、ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ゴム、合成木材パルプ(「SWP」)、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース系繊維、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。ゴムは、架橋ゴム、非架橋ゴム、天然ゴム、ラテックス、合成ゴム、及びこれらの組み合わせであってよい。ゴムはさらに、メチルゴム、ポリブタジエン、1つ以上のクロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、共重合体ゴム、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。共重合体ゴムは、スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(EPM及びEPDM)、エチレン/ビニルアセテートゴム、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0016】
本発明のある態様は、多孔質膜の表面の少なくとも一部分にコーティングされたゴム、又は多孔質膜の少なくとも一部分に含浸させたゴムを提供することができる。本発明の別の態様は、多孔質膜を形成するのに使用される基材と混合されるゴムを提供することができる。例示的な実施形態の改良によって、基材中のゴムは少なくとも約1重量%から約50重量%以下となる。例示的な実施形態のさらなる改良によって、基材中のゴムは少なくとも約1重量%から約20重量%以下となる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの性能向上添加剤は界面活性剤であり、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせのうちのいずれか1つであってよい。例示的な実施形態の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約25g/m以下となる。例示的な実施形態のさらなる改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約20g/m以下となる。例示的な実施形態の別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約15g/m以下となる。例示的な実施形態のさらに別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約10g/m以下となる。例示的な実施形態のさらに別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約6g/m以下となる。例示的な実施形態の別の態様によれば、少なくとも1つの性能向上添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0018】
本発明の別の態様によれば、基材は、シリカ、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、魚粉、魚骨粉、及びこれらの組み合わせのうちのいずれか1つを有する。本発明の別の態様によれば、基材は加工用可塑剤を有する。加工用可塑剤は、加工油、石油、パラフィン系鉱油、鉱油、及びこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0019】
例示的な実施形態の改良は、繊維状マットなどのマットを備えた電池セパレータを提供する。マットは、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせのうちのいずれか1つを含んでよい。
【0020】
例示的な実施形態の別の改良は、バックウェブ厚さが少なくとも約50μmから約500μmの多孔質膜を提供する。例示的な実施形態のさらなる改良は、バックウェブ厚さが少なくとも約50μmから約350μmの多孔質膜を提供する。
【0021】
例示的な実施形態のさらに別の改良は、中実リブ、鋸歯状リブ、傾斜リブ、破断リブ、交差リブ、正極側リブ、負極側リブ、負極側交差リブ、チャネル、エンボス、突起、バンプ、及びこれらの組み合わせのいずれでもよいリブを備えた多孔質膜を提供する。リブはさらにゴム製であってよい。例示的なセパレータは、切断片、ポケット、スリーブ、ラップ、エンベロープ、及びハイブリッドエンベロープなど様々な形状又は構造であってよい。
【0022】
本発明の別の態様は、正極と、正極と隣接する負極と、正極と負極の間に配置されたセパレータと、正極の少なくとも一部分、負極の少なくとも一部分、及びセパレータの少なくとも一部分を実質的に沈める電解液とを有する鉛蓄電池を提供する。例示的なセパレータは、基材と、少なくとも1つの性能向上添加剤と、ゴムとからなる多孔質膜を有してよい。例示的な鉛蓄電池は、水分損失の低減、アンチモン中毒の抑制、湿潤性の増大、再充電の高速化、酸化安定性の向上、フロート電流の低減、充電終了電流の低減、再充電電圧の低減、及びこれらの組み合わせを示すことができる。例示的な鉛蓄電池は、平板電池、液式鉛蓄電池、強化された液式鉛蓄電池、ディープサイクル電池、ゲル電池、吸収ガラスマット(「AGM」)電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形型車両用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド車両用電池、電気自動車用電池、eリキシャ用電池、又はeバイク用電池など多くの用途を有してよい。例示的な鉛蓄電池は、部分充電状態、走行中、静止中、バックアップ電源用途、サイクル用途、又はこれらの組み合わせにおいて動作することができる。
【0023】
例示的な鉛蓄電池はさらに、正極、負極、又はセパレータのうちの少なくとも1つに隣接するマットを有してよい。例示的なマットは、繊維状マットであってよく、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせから構成されてよい。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、1つ以上の基材と、ゴムと、少なくとも1つの添加剤との混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にすることによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。本発明のさらに別の態様は、ポリマーと、少なくとも1つの添加剤との混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にし、膜にゴムを添加することによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。例示的な方法は、ゴムを膜の少なくとも一部分に積層し、ゴムを膜の少なくとも一部分に含浸させ、ゴムのスラリーを膜の少なくとも一部分にコーティングし、膜の少なくとも一部分をゴムのスラリーに浸すことによって、又は膜上にゴム製のリブを形成することによって、ゴムを膜に添加することができる。
【0025】
本発明の別の選択実施形態は、1つ以上の基材と、ゴムとの混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にし、膜に少なくとも1つの添加剤を添加することによって、例示的なセパレータを製造する別の方法を提供する。例示的な方法は、少なくとも1つの添加剤を
膜の少なくとも一部分に積層し、少なくとも1つの添加剤を膜の少なくとも一部分に含浸させ、少なくとも1つの添加剤を膜の少なくとも一部分にコーティングすることによって、又は膜を少なくとも1つの添加剤に浸すことによって、少なくとも1つの添加剤を膜に添加することができる。
【0026】
本発明のさらに別の選択実施形態は、1つ以上の基材の混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にし、膜にゴムを添加し、膜に少なくとも1つの添加剤を添加することによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。
【0027】
特定の好ましい実施形態において、本開示又は発明は、構成要素並びに物理的特性及び特徴が相乗的に組み合わさって、ディープサイクル電池産業においていまだに満たされていないニーズに、ゴルフカート(ゴルフカー)及び/又はeリキシャ用電池用途などの多くのディープサイクル電池用途において現在使用されている、完全ゴム製の以前から知られている可撓性セパレータの性能を満たす、又は特定の実施形態においてこれを超える改良された電池セパレータ(ポリエチレンなどのポリオレフィンと、一定量のゴム及び/又はラテックスからなる微多孔質膜を有するセパレータ)によって予想外の方法で対処する可撓性電池セパレータを提供する。特に、本明細書に記載の本発明のセパレータは、ゴルフカート用電池などのディープサイクル電池で伝統的に使用されてきた純粋な架橋ラテックス及び/又はゴム製のセパレータより堅牢で、壊れにくく、脆さが低く、経時的に安定的で(品質が変化しにくく)、安価である。本発明の性能向上添加剤を含む可撓性セパレータは、ポリエチレン系セパレータの所望の堅牢な物理的及び機械的特性を、完全に架橋ラテックス及び/又はゴムから作られる従来のセパレータのSb抑制能力と結合すると共に、このセパレータを使用する電池システムの充電終了電流及び充電終了電位を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図2A】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図2B】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図2C】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図2D】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図2E】本発明の例示的なセパレータの一般的な物理的描写を示す。
図3A】実施例1に係るセパレータで試験した電池の最初の4サイクルにおける線形掃引サイクリックボルタンメトリー曲線を含む。
図3B】対照1に係るセパレータで試験した電池の最初の4サイクルにおける線形掃引サイクリックボルタンメトリー曲線を含む。
図4A】電解液をアンチモンの添加によりスパイクした後の、実施例1に係るセパレータで試験した電池の最初の4サイクルにおける線形掃引サイクリックボルタンメトリー曲線を含む。
図4B】電解液をアンチモンの添加によりスパイクした後の、対照1に係るセパレータで試験した電池の最初の4サイクルにおける線形掃引サイクリックボルタンメトリー曲線を含む。
図5】実施例1及び対照1並びに図3Aから図4Bに係るセパレータの試験から得られたサイクル4の様々な結果を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
物理的性質
ここで図1を参照すると、例示的なセパレータ100は、上部エッジ101と、下部エッジ103と、側面エッジ105a、105bと、装置方向(「MD」)と装置直交方向(「CMD」)とを有する。例示的なセパレータは、多孔質又は微多孔質膜のバックウェ
ブ102と、バックウェブ102から延び、好ましくはセパレータの縦方向、すなわちMDに沿って配置される一連の主要、すなわち正極側リブ104とを備えてよい。示されているように、リブ104は鋸歯状である。ただしリブ104は、バックウェブ102から又はバックウェブ102へと延びる、中実リブ、溝、テクスチャ領域、セレーションもしくは鋸歯状リブ、中実リブ、バトルメントもしくはバトルメントリブ、破断リブ、傾斜リブ、直線リブ、曲線もしくは正弦波リブ、ジグザグリブ、エンボス、ディンプルなど、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。一部の実施形態では、正極側リブは、0°より大きく180°より小さい、又は180°より大きく360°より小さい角度であってよく、負極側交差リブは、多孔質膜の第2の表面上に、セパレータの上部エッジすなわちCMDにほぼ平行に配置されてよい。
【0030】
例示的な実施形態は、リブ104が正極(図示せず)に面している状態でセパレータ100を電池(図示せず)内に配置するが、これは必須ではない。リブ104は、正極に面している場合に正極側リブと呼ばれてよい。また、微多孔質膜の反対側から延びるリブ(図示せず)は、負極(図示せず)に面し、MDの縦方向又はCMDの横方向に配置されてよい。CMDに沿って配置される場合、一般に「交差リブ」と呼ばれ、以下で説明するように「負極側交差リブ」又は「NCR」と呼ばれる。セパレータ100は、典型的には電池内に配置されて負極側交差リブを負極に向けて位置決めするが、これは必須ではない。また、正極側リブに照らして、負極側リブは、同じリブ、より小さいリブ、縦方向のミニリブ、交差ミニリブ、NCR、対角線リブ、又はこれらの組み合わせであってよい。さらに、セパレータの負極及び/又は正極表面は、全体又は一部にリブがなく、セパレータの片側又は両側が平滑又は平坦であってよい。
【0031】
ここで図2Aから図2Eを参照すると、リブ形状が異なるリブ付きセパレータのいくつかの実施形態が示されている。示されているリブは正極側であることが好ましい場合がある。図2Aから図2Cの角度の付いたリブパターンは、特定の電池における酸の層化を抑制又は解消するのに役立ち得る、好ましいと思われるDaramic(登録商標)RipTide(登録商標)の酸混合リブ形状であってよい。図2Dの形状は、縦方向の鋸歯状リブパターンであり得る。図2Eの形状は、対角線オフセットリブパターンであってよい。負極面は、リブを有しない(平滑)か、同じリブ、より小さいリブ、縦方向のミニリブ、交差ミニリブもしくはNCR、対角線リブ、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0032】
製造/厚さ
一部の実施形態では、多孔質セパレータ膜は、約50μmから1.0mm、少なくとも約50μm、少なくとも約75μm、少なくとも約100μm、少なくとも約125μm、少なくとも約150μm、少なくとも約175μm、少なくとも約200μm、少なくとも約225μm、少なくとも約250μm、少なくとも約275μm、少なくとも約300μm、少なくとも約325μm、少なくとも約350μm、少なくとも約375μm、少なくとも約400μm、少なくとも約425μm、少なくとも約450μm、少なくとも約475μm、又は少なくとも約500μmのバックウェブ厚さを有することができる(ただし、特定の実施形態では、例えば10μmから50μmの厚さの、非常に薄く平らな50μmのバックウェブ厚さが与えられる)。特定の実施形態では、バックウェブ厚さは、約125μm±35μm以下であってよい。
【0033】
リブ
リブは、正極側、負極側、両極側で連続、不連続、中実、多孔質、非多孔質で、負極側でミニリブ又は交差ミニリブなどであってよい。リブは、特定の好ましい実施形態において鋸歯状(例えば鋸歯状の正極側リブ、負極側リブ、又はその両方)であってよい。セレーション又は鋸歯状リブは、約0.05mmから約1mmの平均先端長を有してよい。例えば、平均先端長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm
、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、もしくは0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、もしくは0.1mm以下であってよい。
【0034】
セレーション又は鋸歯状リブは、約0.05mmから約1mmの平均基線長を有してよい。例えば、平均基線長は、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、もしくは0.9mm以上、及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、もしくは0.1mm以下であってよい。
【0035】
セレーション又は鋸歯状リブが存在する場合、約0.05mmから約4mmの平均高さを有してよい。例えば、平均高さは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、もしくは0.9mm以上、及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、もしくは0.1mm以下であってよい。セレーションの高さがリブの高さと同一な実施形態の場合、鋸歯状リブは、突起と呼ばれてもよい。このような範囲は、セパレータの全体の厚さが、典型的に約1mmから約4mmである可能性がある工業用の牽引型スタート/ストップ電池用セパレータ、及びセパレータの全体の厚さが少し小さい(例えば、典型的には約0.3mmから約1mm)可能性がある自動車用スタート/ストップ電池用セパレータに適用されてよい。
【0036】
セレーション又は鋸歯状リブは、装置方向の柱状部内の平均中心間ピッチが約0.1mmから約50mmであってよい。例えば、平均中心間ピッチは、約0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、もしくは1.5mm以上、及び/又は約1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、もしくは0.2mm以下であってよい。また、セレーション又は鋸歯状リブの隣接する柱状部は、装置方向の同じ位置に又はオフセットして同様に配置することができる。オフセット構造では、隣接するセレーション又は鋸歯状リブは、装置方向の異なる位置に配置される。図1Aは、オフセット構造で配置された鋸歯状リブを示す。
【0037】
セレーション又は鋸歯状リブは、約0.1:1から約500:1の平均高さ底幅比率を有してよい。例えば、平均高さ底幅比率は、約0.1:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、もしくは450:1以上、及び/又は約500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、もしくは25:1以下であってよい。
【0038】
セレーション又は鋸歯状リブは、約1000:1から約0.1:1の平均底幅先端幅比率を有してよい。例えば、平均底幅先端幅比率は、約0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は約1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1以下であってよい。
【0039】
一部の実施形態において、セパレータは、中実リブ、セレーションもしくは鋸歯状リブ、ディンプル、又はこれらの組み合わせの組み合わせを特徴とすることができる。例えば、セパレータは、セパレータに沿って上から下に延びる一連の鋸歯状リブと、セパレータに沿って水平に延びる第2の一連の鋸歯状リブとを有してよい。他の実施形態において、セパレータは、中実リブ、鋸歯状リブ、ディンプル、連続リブ、中断リブ、破断した中実リブ、又はこれらの組み合わせが交互に連なってよい。
【0040】
一部の選択された実施形態において、多孔性セパレータは、突起として膜の反対の面に負極側の縦方向又は交差リブを有してよい。負極側のすなわち背面リブは、セパレータの上部エッジに平行であってよい、又はそこにある角度で配置されてよい。例えば、交差リブは、上部エッジに対して約90°、80°、75°、60°、50°、45°、35°、25°、15°又は5°で配向されてよい。交差リブは、上部エッジに対して約90から60°、60から30°、60~45°、45~30°、又は30~0°で配向されてよい。典型的には、交差リブは、負極に面している膜の面上に存在する。本発明の一部の実施形態において、リブ付き膜は、少なくとも約0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、又は1.0mmの横方向交差リブ高さHNCRを有してよい。本発明の一部の実施形態において、リブ付き膜は、約1.0mm、0.5mm、0.25mm、0.20mm、0.15mm、0.10mm又は0.05mm以下の横方向交差リブ高さを有してよい。
【0041】
本発明の一部の実施形態において、リブ付き膜は、少なくとも約0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、又は1.0mmの横方向交差リブ幅を有してよい。本発明の一部の実施形態において、リブ付き膜は、約1.0mm、0.5mm、0.25mm、0.20mm、0.15mm、0.10mm又は0.05mm以下の横方向交差リブ幅を有してよい。
【0042】
特定の選択された実施形態において、多孔質膜は、約0.10から0.15mmの横方向交差リブ高さ、及び約0.10から0.15mmの縦方向リブ高さを有してよい。一部の実施形態において、多孔質膜は、約0.10から0.125mmの横方向交差リブ高さ、及び約0.10から0.125mmの縦方向リブ高さを有してよい。
【0043】
このような負極側交差リブは、正極側リブより小さくかつ近接していてよい。正極側リブ104は、8μmから1mmの高さを有し、1μmから20mmだけ離間することができるのに対し、微多孔質ポリオレフィン多孔質膜の好ましいバックウェブ厚さ(リブやエンボスを含まない)は、約50μmから約500μm(例えば特定の実施形態において、約125μm以下)であってよい。例えば、リブは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、同様に増えて最大で20mmまで離れてよい。
【0044】
負極側交差リブは、約25μmから約100μm、好ましくは約50μmから75μmの高さを有してよいが、25μmと小さくてもよい。一部の例において、NCRは、約25μmから約250μm、好ましくは約50μmから125μm、又は好ましくは約50μmから75μmであってよい。
【0045】
厚さ
特定の選択実施形態において、例示的な微多孔質膜は、少なくとも0.1mm、0.2
mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm又は1.0mmのバックウェブ厚さを有してよい。リブ付きセパレータは、約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm又は0.1mm以下のバックウェブ厚さを有してよい。一部の実施形態において、微多孔質膜は、約0.1から1.0mm、0.1から0.8mm、0.1から0.5mm、0.1から0.5mm、0.1から0.4mm、0.1から0.3mmのバックウェブ厚さを有してよい。一部の実施形態において、微多孔質膜は、約0.2mmすなわち200μmのバックウェブ厚さを有してよい。
【0046】
(ハイブリッド)エンベロープ/形
セパレータ100は、平板、1つ以上のリーフ、ラップ、スリーブとして、又はエンベロープもしくはポケットセパレータとして設けることができる。例示的なエンベロープセパレータは、正極を包むことができる(「正極包囲セパレータ」)結果、セパレータは、正極に面する2つの内面と、隣接する負極に面する2つの外面とを有する。代替的に、別の例示的なエンベロープセパレータは、負極を包むことができる(「負極包囲セパレータ」)結果、セパレータは、負極に面する2つの内面と、隣接する正極に面する2つの外面とを有する。このようなエンベロープセパレータでは、下部エッジ103は、折り畳まれた又は封止された折り目エッジであってよい。さらに、側面エッジ105a、105bは、連続的又は断続的に封止された継ぎ目エッジであってよい。エッジは接着剤、熱、超音波溶接など、又はこれらの任意の組み合わせによって結合又は封止されてよい。
【0047】
特定の例示的なセパレータは、ハイブリッドエンベロープを形成するために処理され得る。ハイブリッドエンベロープは、エンベロープを形成するためにセパレータシートを半分に折り、セパレータシートのエッジを互いに結合する前、結合中又は結合した後に1つ以上の切れ目又は開口を形成することにより設けることができる。開口の長さは、エッジ全体の長さの少なくとも1/50、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3であってよい。開口の長さは、エッジ全体の長さの1/50から1/3、1/25から1/3、1/20から1/3、1/20から1/4、1/15から1/4、1/15から1/5又は1/10から1/5であってよい。ハイブリッドエンベロープは、1から5個、1から4個、2から4個、2から3個又は2個の開口を有することができ、これらは、下部エッジの長さに沿って均等に配置されてもよいし、均等に配置されなくてもよい。エンベロープの隅には開口がないことが好ましい。切れ目は、セパレータがエンベロープを作るために折り曲げられ、封止された後に切断されてよい、又は切れ目は、多孔質膜をエンベロープの形にするのに先立って形成されてよい。
【0048】
セパレータアセンブリ構造の他の一部の例示的な実施形態は、正極に面するリブ104、負極に面するリブ104、負極又は正極エンベロープ、負極又は正極スリーブ、負極又は正極ハイブリッドエンベロープ、包まれる又はスリーブ付けされてよい両電極、及びこれらの任意の組み合わせを備える。
【0049】
組成
特定の実施形態において、改良されたセパレータは、天然又は合成基材、加工用可塑剤、充填剤、天然又は合成ゴム又はラテックス、及び1つ以上の他の添加剤及び/又はコーティングなどから作ることができる多孔質膜を備えてよい。
【0050】
基材
特定の実施形態において、例示的な天然又は合成基材は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、フェノール樹脂、天然又は合成ゴム、合成木材パルプ、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース系繊維、及びこれらの任意の組み合わせを含んでよい。特定の好ましい実施形態において、例示的なセパレータは、熱可塑性ポリマーでできた微多孔質膜であって
よい。例示的な熱可塑性ポリマーは原則として、鉛蓄電池での使用に適した全ての耐酸性熱可塑性材料を含むことができる。特定の好ましい実施形態において、例示的な熱可塑性ポリマーは、ポリビニル及びポリオレフィンを含むことができる。特定の実施形態において、ポリビニルは、例えばポリ塩化ビニル(「PVC」)を含むことができる。特定の好ましい実施形態において、ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体、及びこれらの任意の組み合わせを含み得るが、ポリエチレンを含むことが好ましい。特定の実施形態において、例示的な天然又は合成ゴムは、例えばラテックス、非架橋又は架橋ゴム、クラム又はグランドゴム、及びこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0051】
ポリオレフィン
特定の実施形態において、多孔質膜層は、ポリオレフィン、具体的にはポリエチレンを含むことが好ましい。好ましくは、ポリエチレンは高分子量ポリエチレン(「HMWPE」)(例えば、少なくとも600,000の分子量を有するポリエチレン)である。さらにいっそう好ましくは、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)(例えば、粘度測定法により測定され、マーゴリーズの方程式により算出された少なくとも1,000,000、特に4,000,000より多く、最も好ましくは5,000,000から8,000,000の分子量を有するポリエチレン)、(2,160gの標準的負荷を使用したASTM D1238(条件E)で指定され測定された)実質ゼロ(0)の標準的負荷メルトインデックス、及び600ml/g以上、好ましくは1,000ml/g以上、より好ましくは2,000ml/g以上、及び最も好ましくは(130℃で100gのデカリンにおける0.02gのポリオレフィンの溶液で決定された)3,000ml/g以上の粘度数である。
【0052】
ゴム
本明細書で開示される新規なセパレータは、ラテックス及び/又はゴムを含んでよい。本明細書で使用されるゴムは、ゴム、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、架橋もしくは非架橋ゴム、硬化もしくは未硬化ゴム、クラムもしくはグランドゴム、又はこれらの混合物を指すものとする。例示的な天然ゴムは、様々な供給者から市販されている1つ以上のポリイソプレン混合物を含んでよい。例示的な合成ゴムには、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、並びにスチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(「EPM」及び「EPDM」)、及びエチレン/ビニルアセテートゴムなどの共重合体ゴムが含まれる。ゴムは架橋ゴム又は非架橋ゴムであってよく、特定の好ましい実施形態において、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態において、ゴムは、架橋ゴムと非架橋ゴムの混合物であってよい。
【0053】
可塑剤
特定の実施形態において、例示的な加工用可塑剤は、加工油、石油、パラフィン系鉱油、鉱油、及びこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0054】
充填剤
特定の実施形態において、例示的な充填剤は、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、魚粉、魚骨粉など、及びこれらの任意の組み合わせを含んでよい。特定の好ましい実施形態において、充填剤は1つ以上のシリカである。可塑剤(例えば鉱油)に対する吸油度及び親和度が比較的高いシリカが、本明細書に示すタイプの鉛蓄電池セパレータを形成するときに、ポリオレフィン基材(例えばポリエチレン)と鉱油の混合物に分散可能になることが望ましい。一部の選択された実施形態において、充填剤は、25μm以下、一部の例では22μm、20μm、18μm、15μm、又は10μm
以下の平均粒径を有する。一部の例では、シリカ充填剤粒子の平均粒径は15から25μmである。シリカ充填剤の粒径及び/又はシリカ充填剤の表面積は吸油量と関係する。最終生産物すなわちセパレータ中のシリカ粒子は、上記の粒径範囲内に収まり得る。ただし、原料として使用される最初のシリカは、1つ以上の塊及び/又は凝集体として発生し、約200μm以上の大きさを有してよい。一部の実施形態では、最終のセパレータシートは、セパレータシート製品の重量当たり、約0.5%から約40%の範囲の残留すなわち最終油分、一部の実施形態では約10%から約30%の残留加工油、一部の例では約20%から約30%の残留加工油又は残留油を有する。セパレータ膜の細孔径に関して、細孔径は、サブミクロンから100μmまで、特定の実施形態では約0.1μmから約10μmであってよい。本明細書に記載のセパレータ膜の空孔率は、特定の実施形態において50%より大きくてよい。
【0055】
充填剤はさらに、いわゆる電解質イオンの水和層を抑制して膜透過を促進することによって、強化された液式電池又はシステムなどの電池の全電気抵抗又はERを再度減少させることができる。
【0056】
1つ以上の充填剤は、セパレータを透過する電解質及びイオンの流れを促進する様々な種(例えば金属などの極性種)を含んでよい。これもまた、このようなセパレータが強化された液式電池などの液式電池で使用されると全電気抵抗を減少させる。
【0057】
添加剤/界面活性剤
特定の実施形態において、例示的なセパレータは、セパレータすなわち微多孔質膜に添加された1つ以上の性能向上添加剤を含んでよい。性能向上添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。特定の実施形態において、添加界面活性剤は、イオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤であってよい。
【0058】
本明細書に記載の特定の実施形態において、少量のアニオン性又は非イオン性界面活性剤が本発明の微多孔質膜又はセパレータに添加される。界面活性剤の量が少ないため、望ましい特徴は、より少量の全有機体炭素(「TOC」)及び/又はより少量の揮発性有機化合物(「VOC」)を含むことができる。
【0059】
特定の適切な界面活性剤は非イオン性である一方、他の適切な界面活性剤はアニオン性である。添加剤は、単一の界面活性剤であっても、例えば2つ以上のアニオン性界面活性剤、2つ以上の非イオン性界面活性剤、又は少なくとも1つのイオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤などの2つ以上の界面活性剤の混合物であってもよい。選択された適切な界面活性剤は、6未満の、好ましくは3未満のHLB値を有してよい。これらの特定の適切な界面活性剤を、本明細書に記載の本発明のセパレータと関連して使用することによって、鉛蓄電池に使用される場合に、その鉛蓄電池の水分損失の低減、アンチモン中毒の抑制、サイクリングの改善、フロート電流の減少、フロート電位の減少など、又はこれらの任意の組み合わせをもたらす、より一層改良されたセパレータをもたらすことができる。適切な界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホネート塩、アルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物、せっけん、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アニオン性スルホコハク酸塩などの1つ以上のスルホコハク酸塩、スルホコハク酸塩のジアルキルエステル、アミノ化合物(第一級、第二級、第三級アミン、又は第四級アミン)、エチレンオキシド及び酸化プロピレンのブロック共重合体、種々のポリエチレンオキシド、並びにモノ及びジアルキルホスフェートエステルの塩等の界面活性剤を含む。添加剤は、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化エステル、ポリエトキシル化アルコール、アルキルポリグリコシド及びその混合物などのアルキル多糖類、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、オルガノシリコン
系界面活性剤、エチレンビニルアセテートターポリマー、エトキシル化アルキルアリールリン酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0060】
特定の実施形態において、添加剤は、式(I)の化合物により表すことができる。
【数1】
ここで、
Rは、酸素原子により遮られ得る、10から4200個の炭素原子、好ましくは13から4200個の炭素原子を有する直鎖状又は非芳香族炭化水素基である。
は、H、-(CHCOOMx+ 1/x又は-(CH-SOx+ 1/x、好ましくはH、ここでk=1又は2。
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H又はNH 、ここで、全ての変数Mが同時にHの意味を有しているわけではない。
n=0又は1。
m=0又は10から1400の整数。
x=1又は2。
【0061】
式(I)に従った化合物における酸素原子対炭素原子の比率は1:1.5から1:30の範囲であり、m及びnは同時に0となることはできない。ただし、好ましくは、変数n及びmの1つのみが0でない。
【0062】
非芳香族炭化水素基により、芳香族基を含まない、又はそれ自体を表す基が意図される。炭化水素基は、酸素原子により遮られ得る(すなわち1つ以上のエーテル基を含む)。
【0063】
Rは、好ましくは、酸素原子により遮られ得る直鎖又は分岐脂肪族炭化水素基である。飽和、非架橋炭化水素基が、非常に特に好ましい。ただし、上記のとおり、Rは、特定の実施形態において芳香環を含むものであってよい。
【0064】
電池セパレータの製造に式(I)の化合物を使用することによって、セパレータは、酸化破壊から効果的に保護することができる。
【0065】
式(I)に従った化合物を含有する電池セパレータが好ましい。ここで、
Rは、1から60個、好ましくは1から20個及び非常に特に好ましくは1から8個の酸素原子により遮られ得る10から180個、好ましくは12から75個及び非常に特に好ましくは14から40個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくは式R-[(OC)p(OC]-の炭化水素基である。ここで、
は、10から30個の炭素原子、好ましくは12~25個、特に好ましくは14から20個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、芳香環を含むなど直鎖状又は非直鎖状であってよい。
Pは、0から30、好ましくは0から10、特に好ましくは0から4の整数である。
qは、0から30、好ましくは0から10、特に好ましくは0から4の整数である。
化合物は、p及びqの合計が0から10、特に0から4であると特に好ましい。
n=1。
m=0。
【0066】
式R-[(OC(OC]-は、これらの化合物ではあるが、角括弧内の基のシーケンスが示されているものとは異なるものも含まれていると理解すべきである。例えば、本発明によれば、括弧内の基が(OC)基と(OC)基を置換することにより形成される化合物も適切である。
【0067】
が10から20個、好ましくは14から18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基である添加剤は、特に有利であることが証明されている。OCは、好ましくはOCHCHを表し、OCは、OCH(CH及び/又はOCHCHCHを表す。
【0068】
好ましい添加剤として、特にアルコール(p=q=0、m=0)が言及されてもよい。第一級アルコールが特に好ましく、脂肪アルコールエトキシレート(p=1から4、q=0)、脂肪アルコールプロポキシレート(p=0、q=1から4)及び脂肪族アルコールアルコキシレート(p=1から2、q=1から4)第一級アルコールのエトキシレートが好ましい。脂肪族アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールのエチレンオキシド又は酸化プロピレンとの反応を通じて入手可能である。
【0069】
水及び硫酸に溶けない、又は単に溶けにくいm=0型の添加剤は、特に有利であることが証明されている。
【0070】
式(I)に従った化合物を含む添加剤も好ましい。ここで、
Rは、20から4200個、好ましくは50から750個及び非常に特に好ましくは80から225個の炭素原子を有するアルカン基である。
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H又はNH 、特に、Li、Na及びK又はHなどのアルカリ金属イオンであり、全ての変数Mが同時にHの意味を有するわけではない。
n=0。
mは、10から1400の整数である。
x=1又は2。
【0071】
塩添加物
特定の実施形態において、適切な添加剤には、特に、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が含まれてよく、その酸基は、少なくとも部分的に、すなわち、好ましくは40%、特に好ましくは80%中和されている。割合は、酸基の数を参照する。塩形態において全体的に存在するポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)が非常に特に好ましい。適切な塩には、Li、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Zn、及びアンモニウム(NR、Rは水素又は炭素官能基である)が含まれる。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が含まれてよい。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)、特に1,000から100,000g/mol、特に好ましくは1,000から15,000g/mol及び非常に特に好ましくは1,000から4,000g/molの平均モル質量Mを有するポリアクリル酸が好ましい。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)重合体及び共重合体の分子量は、重合体の水酸化ナトリウム溶液で中和された1%水溶液の粘度を計測することにより確認される(フィケンチャーの定数)。
【0072】
アクリル酸(メタクリル酸)の共重合体、特に、アクリル酸(メタクリル酸)に加えて、エチレン、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸エチルヘキシルをコモノマーとして含む共重合体も適切である。少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも80重量%のアクリル酸(メタクリル酸)単量体を含む共重合体が好ましく、割合は、単量体又は重合体の酸性型に基づく。
【0073】
ポリアクリル酸重合体及び共重合体を中和するために、アルカリ金属及び水酸化カリウム及び特に水酸化ナトリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物が特に適切である。また、セパレータを強化するためのコーティング及び/又は添加物には、例えば金属アルコキシ
ドが含まれてよく、ほんの一例として(限定する意図はなく)、金属は、Zn、Na、又はAl、ほんの一例としてナトリウムエトキシドであってよい。
【0074】
一部の実施形態において、微多孔質ポリオレフィン多孔質膜は、そのような層の片側又は両側にコーティングを含んでよい。このようなコーティングは、界面活性剤又は他の材料を含んでよい。一部の実施形態において、コーティングは、参照によって本明細書に組み込まれる、例えば米国特許公開第2012/0094183号に記載の1つ以上の材料を含んでよい。このようなコーティングは、例えば電池システムの過充電電圧を低減させることにより、格子腐食を抑えて電池寿命を延長し、ドライアウト及び/又は水分損失を防ぐことができる。
【0075】
比率
特定の選択された実施形態において、膜は、約5から15重量%のポリマー、一部の例では約10重量%のポリマー(例えばポリエチレン)、約10から75重量%の充填剤(例えばシリカ)、一部の例では約30重量%の充填剤、及び約10から85重量%の加工油、一部の例では約60重量%の加工油を組み合わせることによって作成されてよい。他の実施形態では、充填剤含有量を減らし、油含有量が高い、例えば約61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%又は70重量%より大きい。充填剤対ポリマーの(重量)比率は、例えば約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1又は6:1であってよい(又はほぼこれらの特定範囲にあってよい)。充填剤対ポリマーの(重量)比率は、約1.5:1から約6:1、一部の例では2:1から6:1、約2:1から5:1、約2:1から4:1、及び一部の例では約2:1から約3:1であってよい。充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、多孔質膜は、加工油及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。少なくとも1つの実施形態によれば、微多孔質膜は、加工油、添加剤及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。混合物はまた、セパレータ技術では一般的な少量の他の添加剤又は薬剤(例えば界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの任意の組み合わせ)を含んでよい。一部の例では、微多孔質ポリマー層は、8から100容量%のポリオレフィン、0から40容量%の可塑剤、及び0から92容量%の不活性充填材の均一混合物であってよい。好ましい可塑剤は石油である。可塑剤は、ポリマーと充填剤と可塑剤とからなる組成物から、溶媒抽出及び溶媒乾燥によって最も取り除きやすい成分であるため、電池セパレータに多孔性を付与するのに有用である。
【0077】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている微多孔質膜は、天然ゴム、合成ゴム、又はこれらの混合物である可能性があるラテックス及び/又はゴムを含んでよい。天然ゴムは、様々な供給者から市販されている1つ以上のポリイソプレン混合物を含んでよい。例示的な合成ゴムには、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、並びにスチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(EPM及びEPDM)及びエチレン/ビニルアセテートゴムなどの共重合体ゴムが含まれる。ゴムは架橋ゴム又は非架橋ゴムであってよく、特定の好ましい実施形態では、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態において、ゴムは、架橋ゴムと非架橋ゴムの混合物であってよい。ゴムは、最終セパレータ重量(ゴム及び/又はラテックスを含むポリオレフィンセパレータシート又は層の重量)の少なくとも約1重量%
、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は10重量%の量でセパレータ中に存在してよい。特定の実施形態において、ゴムは、約1から20重量%、2から20重量%、2.5から15重量%、2.5から12.5重量%、2.5から10重量%、又は5から10重量%の量で存在してよい。微多孔質膜はさらに、50重量%もの高いゴム及び/又はラテックス含有量を有してよい。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0078】
ポリエチレン及び充填剤(例えばシリカ)を含む、本発明に従って作られる微多孔質膜は、典型的には残留油分を有し、一部の実施形態では、そのような残留油分は、セパレータ膜の総重量の約0.5%から最大約40%(一部の例ではセパレータ膜の総重量の約10から40%であり、一部の例では総重量の約20から40%)である。本明細書における特定の選択された実施形態において、セパレータ中の残留油分の一部乃至全部は、界面活性剤、親水性親油性バランス(「HLB」)が6未満の界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤などの多量の性能向上添加剤を添加することによって置き換えられてよい。例えば、界面活性剤や非イオン性界面活性剤などの性能向上添加剤は、微多孔性セパレータ膜の総重量の残留油分の全ての量まで(例えば20%、30%、さらに40%まで)の最大0.5%を占め、これによりセパレータ膜中の残留油を部分的又は完全に置き換えることができる。
【0079】
製造
一部の実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成要素を混合することにより作られてよい。例えば約30重量%のシリカを約10重量%のUHMWPE、及び約60%の加工油と押出機において混合してよい。例示的な微多孔質膜は、構成要素を加熱された押出機に通し、押出機により生成された押し出し物を型に通して2つの加熱されたプレス又はカレンダースタックもしくはロールにより形成されたニップに入れて連続ウェブを形成することにより作成してよい。溶媒を用いて相当量の加工油をウェブから抽出することができる。次にウェブを乾燥させ、細長く切って所定の幅のレーンにし、ロールに巻き付けることができる。代替的又は付加的に、プレス又はカレンダーロールには、様々な溝パターンが彫り込まれ、微多孔質膜へ又は微多孔質膜から延びるリブ、溝、テクスチャ領域、セレーション、鋸歯状リブ、バトルメントもしくはバトルメントリブ、破断リブ、傾斜リブ、直線リブ、曲線もしくは正弦波リブ、エンボス、ディンプルなど、又はこれらの任意の組み合わせを付与してセパレータを成すことができる。
【0080】
ゴムを用いた製造
一部の実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成要素を混合することにより作られてよい。例えば約5から15重量%のポリマー(例えばポリエチレン)、約10から75重量%の充填剤(例えばシリカ)、約1から50重量%のゴム及び/又はラテックス、及び約10から85%の加工油を押出機において混合してよい。例示的な微多孔質膜は、構成要素を加熱された押出機に通し、押出機により生成された押し出し物を型に通して2つの加熱されたプレス又はカレンダースタックもしくはロールにより形成されたニップに入れて連続ウェブを形成することにより作成してよい。溶媒を用いて相当量の加工油をウェブから抽出することができる。次にウェブを乾燥させ、細長く切って所定の幅のレーンにし、ロールに巻き付けることができる。代替的又は付加的に、プレス又はカレンダーロールには、様々な溝パターンが彫り込まれ、微多孔質膜へ又は微多孔質膜から延びるリブ、溝、テクスチャ領域、セレーション、鋸歯状リブ、バトルメントもしくはバトルメントリブ、破断リブ、傾斜リブ、直線リブ、曲線もしくは正弦波リブ、エンボス、ディンプルなど、又はこれらの任意の組み合わせを(上記のように)付与してセパレータを成すことができる。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望
ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0081】
押出機の構成要素に添加されるのに加えて、特定の実施形態は、押し出した後にゴムを微多孔質膜に結合する。例えばゴムを、片側又は両側、好ましくは負極に面する側に、ゴム及び/又はラテックス、任意選択的にシリカ、及び水を含む液体スラリーによってコーティングし、次に、この材料の膜が例示的な微多孔質膜の表面に形成されるように乾燥させてよい。この層の湿潤性を良くするために、既知の湿潤剤を鉛蓄電池に使用されるスラリーに添加することができる。特定の実施形態において、スラリーはまた、本明細書に記載の1つ以上の性能向上添加剤を含むことができる。微多孔質膜に非常にしっかりと付着し、仮にあったとしても電気抵抗をわずかしか増加させない多孔質層及び/又は膜が、セパレータの表面に形成される。ゴムは添加された後、さらに機械プレス又はカレンダースタックもしくはロールを使用して圧縮されてよい。ゴム及び/又はラテックスを塗布する考えられる他の方法は、ゴム及び/又はラテックススラリーをセパレータの1つ以上の表面に、浸漬被覆、ローラー塗装、スプレー塗装、カーテン式塗布、又はこれらの任意の組み合わせにより塗布することである。これらのプロセスは、加工油が抽出される前もしくは抽出された後、又は細長く切ってレーンにされる前もしくはされた後に行われてよい。
【0082】
本発明のさらなる実施形態は、含浸及び乾燥によりゴムを膜に付着させることを含む。
【0083】
界面活性剤を用いた製造
特定の実施形態において、任意選択的な添加剤又は薬剤(例えば界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの任意の組み合わせ)もまた、押出機内で他の構成要素と混合されてよい。次に本開示に係る微多孔質膜をシート又はウェブ状に押出成形し、上記と実質的に同じ方法で完成させることができる。
【0084】
特定の実施形態において、1つ以上の添加剤は、押出機内に添加するのに加えて又は押出機内に添加する代わりに、例えば完成したときに(例えば大量の加工油を抽出した後や、ゴムの導入の前後に)セパレータ多孔質膜に塗布することができる。特定の好ましい実施形態によれば、添加剤又は添加剤の溶液(例えば水溶液)は、セパレータの1つ以上の表面に塗布される。この変形は、熱不安定添加剤、及び加工油の抽出に使用される溶媒に可溶な添加剤の塗布に特に適している。本発明に係る添加剤の溶媒には、メタノールやエタノールなどの低分子量アルコール、及びこれらのアルコールと水の混合物が特に適している。塗布は、負極に面する側、正極に面する側、又はセパレータの両側で行うことができる。塗布はまた、溶媒槽における細孔形成剤(例えば加工油)の抽出中に行われてよい。特定の選択実施形態において、セパレータが製造される前に押出機に添加される界面活性剤コーティング又は性能向上添加剤(又は両方)などの性能向上添加剤の一部分は、電池システム内のアンチモンと結合することができ、アンチモンを不活性化する、アンチモンを含む化合物を形成する、アンチモンが電池の泥受けに落ち込むようにする、及び/又はアンチモンが負極に析出しないようにすることができる。界面活性剤又は添加剤は、電解質、ガラスマット、電池ケース、ペースティングペーパー、ペースティングマットなどに添加することもできる。
【0085】
特定の実施形態において、添加剤(例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物)は、少なくとも0.5g/m、1.0g/m、1.5g/m、2.0g/m、2.5g/m、3.0g/m、3.5g/m、4.0g/m、4.5g/m、5.0g/m、5.5g/m、6.0g/m、6.5g/m、7.0g/m、7.5g/m、8.0g/m、8.5g/m、9.0g/m、9.5g/mもしくは10.0g/m、又はさらに最大約25.0g/mの密度すなわちアドオンレベルで存在し得る。添加物は、0.5から15g/m、0.5
から10g/m、1.0から10.0g/m、1.5から10.0g/m、2.0から10.0g/m、2.5から10.0g/m、3.0から10.0g/m、3.5から10.0g/m、4.0から10.0g/m、4.5から10.0g/m、5.0から10.0g/m、5.5から10.0g/m、6.0から10.0g/m、6.5から10.0g/m、7.0から10.0g/m、7.5から10.0g/m、4.5から7.5g/m、5.0から10.5g/m、5.0から11.0g/m、5.0から12.0g/m、5.0から15.0g/m、5.0から16.0g/m、5.0から17.0g/m、5.0から18.0g/m、5.0から19.0g/m、5.0から20.0g/m、5.0から21.0g/m、5.0から22.0g/m、5.0から23.0g/m、5.0から24.0g/m、又は5.0から25.0g/mの密度すなわちアドオンレベルでセパレータ上に存在し得る。
【0086】
塗布は、添加剤又は添加剤の溶液に電池セパレータを浸し(溶媒槽添加)、必要に応じて(例えば乾燥によって)溶媒を除去することにより行うこともできる。このように、添加剤の塗布は、例えば膜生成中に適用されることが多い抽出と組み合わせることができる。他の好ましい方法は、表面に添加剤をスプレーすること、浸漬被覆、ローラー塗装、又はカーテン式塗布によりセパレータの表面に1つ以上の添加剤を塗布することである。
【0087】
本明細書に記載の特定の実施形態において、本発明のセパレータに少量のイオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性の界面活性剤が添加される。このような例では、望ましい特徴は、より少量の全有機体炭素及び/又はより少量の揮発性有機化合物を含み、(界面活性剤が少量であるため)このような実施形態に係る本発明の望ましいセパレータを製造することができる。
【0088】
繊維状マットとの結合
特定の実施形態において、本開示に係る例示的なセパレータは、向上したウィッキング特性及び/又は向上した電解質の濡れ性もしくは保持性を有する繊維層又は繊維状マットなどの別の層(積層又はそれ以外)と結合することができる。繊維状マットは、ガラス繊維、又は合成繊維からなる織物、不織布、フリース、メッシュ、ネット、単層、多層(各層が他の層と同一、類似又は異なる特性を有し得る)、合成繊維、ガラス及び合成繊維との混合物、もしくは紙からできたフリースや織物、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0089】
特定の実施形態において、繊維状マット(積層又はそれ以外)は、追加材料のキャリアとして使用されてよい。追加材料には、例えばゴム及び/又はラテックス、任意選択的にシリカ、水、及び/又は本明細書に記載の種々の添加剤などの1つ以上の性能向上添加剤、又はこれらの任意の組み合わせが含まれてよい。例として、追加材料は、その後繊維状マットの1つ以上の表面にコーティングされて膜を形成する、又は繊維状マットに浸透及び含浸させることができるスラリーの形で供給することができる。
【0090】
繊維層が存在する場合、微多孔質膜は繊維層より大きい表面積を有することが好ましい。したがって、微多孔質膜と繊維層を結合するとき、繊維層は微多孔質層を完全に覆うわけではない。膜層の少なくとも2つの対向するエッジ領域が覆われることなく、ポケットやエンベロープなどの任意選択的な形成を促進するヒートシールのためのエッジを設けることが好ましい。このような繊維状マットの厚さは、一部の実施形態では、少なくとも100μm、少なくとも約200μm、少なくとも約250μm、少なくとも約300μm、少なくとも約400μm、少なくとも約500μm、少なくとも約600μm、少なくとも約700μm、少なくとも約800μm、少なくとも約900μm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mmなどであってよい。その後の積層されたセパレータは細かく切
断することができる。特定の実施形態において、繊維状マットは微多孔質膜のリブ付きの表面に積層される。特定の実施形態において、取り扱い及び/又は組み立て上の利点が、ロール状及び/又は切断片状に供給される場合の本明細書に記載の改良されたセパレータによって電池メーカーにもたらされる。また、前述のように、改良されたセパレータは、1つ以上の繊維状マットなどが付加されない独立したセパレータシート又は層であってよい。
【0091】
繊維状マットは、微多孔質膜に積層される場合、接着剤、熱、超音波溶接、圧縮など、又はこれらの任意の組み合わせにより接着されてよい。
【0092】
空孔率
本発明のセパレータは、約5μm未満、好ましくは約1μm未満の細孔を有する微多孔質膜、メソ多孔質膜、又は約1μmより大きい細孔を有する微多孔質膜などの多孔質膜を含むことが好ましい。特定の好ましい実施形態において、例示的な多孔質膜は、約0.1μmの孔径及び約60%の空孔率を有する微多孔質膜である。
【0093】
基本重量
特定の選択された実施形態において、例示的なセパレータは、g/mを単位にして測定される基本重量(面積重量ともいう)で特徴付けることができる。例示的なセパレータは、小さい基本重量を示すことができる。例えば、例示的なセパレータの基本重量は、140g/m以下、130g/m以下、120g/m以下、110g/m以下、100g/m以下、90g/m以下、又はより小さくてよい。例示的なセパレータは、好ましくは約130g/mから約90g/m以下、好ましくは約120g/mから約90g/m以下の基本重量を有する。
【0094】
基本重量は、サンプルの重さを量った後、その値をサンプルの面積で割るだけで測定される。例えば、1m×1mのサンプルを採り、重さを量る。面積はリブ、溝、エンボスなどを考慮せずに計算される。例えば、リブ付きのセパレータの1m×1mのサンプルは、フラットセパレータの1m×1mのサンプルと同じ面積を有することになる。
【0095】
実施例
下記の以下の実施例は、開示された主題に係る方法及び結果を示す。これらの実施例は、本明細書に開示された主題の全ての態様を含むことを意図しておらず、むしろ代表的な方法、組成、及び結果を示すことを意図している。これらの実施例は、当業者に明らかな本発明の同等物及び変形を排除することを意図していない。
【0096】
数(例えば量、温度など)に関する正確さを保証するように努力したが、何らかの誤差及びずれが考慮されるべきである。特に明示しない限り、部は重量部、温度はセ氏温度(℃)又は周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧近傍である。例えば成分濃度、温度、圧力、及び説明したプロセスから得られる製品純度及び収量を最適化するのに用いられ得る他の反応領域及び条件など、多くの反応条件のバリエーション及び組み合わせが存在する。このようなプロセス条件の最適化には合理的で日常的な実験しか必要とされないであろう。
【0097】
この実施例では、アンチモン(Sb)スクリーニングが、ゴルフカート用電池用途において伝統的に使用されてきた従来の可撓性ゴムセパレータ(対照1)と比較して、本発明に係る可撓性セパレータ(実施例1)に対して行われた。特に、セパレータ浸出液の生成には下記が含まれる。
切断により5gのセパレータサンプルを採取する。
瓶に入った比重が1.26から1.28の硫酸250mlにサンプルを浸す
瓶を53℃の水槽に7日間入れる
サンプルをろ過し、電気化学セルであるがまま(無希釈)の浸出電解質を使用する。
【0098】
電気化学セルの設定
作用電極及び対電極として鉛電極を使用する。水銀/硫酸水銀(Hg/HgSO)参照電極を使用する。
作用電極側を75gの浸出液、対電極側を30gの浸出液で満たす。
ブランク溶液(硫酸のみ)に所望の電位範囲で線形掃引サイクリックボルタンメトリーを実行する。具体的には、-1V対Hg/HgSO参照電極と-1.8V対Hg/HgSO参照電極の間でデータ走査が行われた。この電圧領域は、硫酸鉛の鉛への還元を示すこの曲線のピークより負であり、負極の過充電を表す。
作用電極(「WE」と呼ばれることもある)側において電解液を100ppmのSbでスパイクし、CV(サイクリックボルタンメトリー)を再度実行する。
実施例1のセパレータの浸出液の結果と対照1のセパレータの浸出液の結果を比較する。
必要に応じて複数回実行する。
【0099】
図3A及び図3Bは、実施例1のセパレータ(図3A)及び対照1のセパレータ(図3B)に関する、線形掃引サイクリックボルタンメトリー曲線(サイクリックボルタモグラム)による結果を示している。図3A及び図3Bはともに、電解液を100ppmのSbでスパイクする前の結果を表す。データは前述の電圧領域上での最初の4回の走査を示す。セパレータ浸出液は、図3A及び図3Bの1.4Vを超える電位において水素発生を示す。実施例1のセパレータは、対照1のセパレータと比較してH2発生の傾向が低いことを示し、同じ電位における実施例1のセパレータの場合のH2発生電流は低いと見られる。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態に係るセパレータの性能は、対照1の完全ゴム製の従来のゴムセパレータと同様か、同じか、又はこれより一層優れている。これらの結果は、実施例1の本発明のセパレータのようなPE系セパレータにとって驚くべきものである。
【0100】
図4A及び図4Bは、電解液を100ppmのSbでスパイクした後の結果を示す。図4A及び図4Bはそれぞれ、実施例1及び対照1の浸出液についての最初の4つのサイクルを示し、データは、水素発生に起因する約4倍の電流増加を示す。水素発生の傾向(Sb抑制の指標)は、どちらのサンプルでもほぼ同じであるが、これは実施例1の本発明のセパレータのようなPE系セパレータにとって驚くべき結果である。
【0101】
図5は、浸出液に100ppmのアンチモンを添加する前後の、実施例1のセパレータを使用する浸出液中の鉛電極のCVの第4のサイクルデータを対照1のセパレータの浸出液と比較したグラフを示す。データは、対照セパレータと本発明のセパレータについての水素発生電流の差異、及びアンチモンの存在が鉛電極(負極)の電気化学にどのように影響を及ぼすかを示す。Sbの存在下において本発明のセパレータの性能が対照セパレータの性能と同等であることは明らかである。そして、溶液中にアンチモンが存在しない場合、本発明のセパレータは水素発生を遅らせて電位を高くする。
【0102】
また、本発明のセパレータを使用した実験において、このセパレータを使用した電池ではSb中毒が抑えられることが分かった。Sb中毒は、水を電気化学的に還元することによる水素発生過電圧の減少、又は水素発生率の上昇として現れる。この過電圧は、一定の電位で水素発生電流を測定することによって測定でき、そのような実験は、本発明に係るセパレータが既知のセパレータより性能がよいことを示した。同様の実験において、本発明に係るセパレータを含む電池のCV曲線に関連した大きな陽極(正電流)ピークに違いが見られることも認められた。このようなピークは、鉛作用電極の表面におけるPbのP
bSOへの酸化に起因する。また、従来の比較セパレータの場合、PbをPbSOに化学変化させるSbが表面に存在することに起因し得る、ピーク位置の40から60mVの正シフトが示された。本発明に係るセパレータを含む電池の場合、鉛表面におけるSbの抑制を示すピーク位置のより小さいシフトが観察される。この観察は、水素発生率の明らかな低下と併せて、本発明に係るセパレータがSbの負極(鉛電極)への析出を軽減していることを示す。
【0103】
本明細書には、鉛蓄電池用の改良されたセパレータが開示されている。セパレータは、多孔質膜と、ゴム及び/又はラテックスと、少なくとも1つの性能向上添加剤又は界面活性剤を含んでよい。
【0104】
本発明の選択実施形態は、基材と、ゴムと、少なくとも1つの性能向上添加剤とから構成される多孔質膜を有する電池セパレータを提供する。基材は、ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ゴム、合成木材パルプ(「SWP」)、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース系繊維のうちの1つ以上、及びこれらの組み合わせであってよい。ゴムは、架橋ゴム、非架橋ゴム、天然ゴム、ラテックス、合成ゴム、及びこれらの組み合わせであってよい。ゴムはさらに、メチルゴム、ポリブタジエン、1つ以上のクロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコンゴム、共重合体ゴム、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。共重合体ゴムは、スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(EPM及びEPDM)、エチレン/ビニルアセテートゴム、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0105】
本発明のある態様は、多孔質膜の表面の少なくとも一部分にコーティングされたゴム、又は多孔質膜の少なくとも一部分に含浸させたゴムを提供することができる。本発明の別の態様は、多孔質膜を形成するのに使用される基材と混合されるゴムを提供することができる。例示的な実施形態の改良によって提供される基材中のゴムは、少なくとも約1重量%から約50重量%以下である。例示的な実施形態のさらなる改良によって提供される基材中のゴムは、少なくとも約1重量%から約20重量%以下である。
【0106】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの性能向上添加剤は界面活性剤であり、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせのうちのいずれか1つであってよい。例示的な実施形態の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約25g/m以下となる。例示的な実施形態のさらなる改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約20g/m以下となる。例示的な実施形態の別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約15g/m以下となる。例示的な実施形態のさらに別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約10g/m以下となる。例示的な実施形態のさらに別の改良によって、少なくとも1つの性能向上添加剤は、少なくとも約0.5g/mから約6g/m以下となる。例示的な実施形態の別の態様によれば、少なくとも1つの性能向上添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0107】
本発明の別の態様によれば、基材は、シリカ、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、魚粉、魚骨粉、及びこれらの組み合わせのいずれか1つを有する。本発明の別の態様によれば、基材は加工用可塑剤を有する。加工用可塑剤は、加工油
、石油、パラフィン系鉱油、鉱油、及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0108】
例示的な実施形態の改良は、繊維状マットなどのマットを備えた電池セパレータを提供する。マットは、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせのうちのいずれか1つを含んでよい。
【0109】
例示的な実施形態の別の改良は、バックウェブ厚さが少なくとも約50μmから約500μmの多孔質膜を提供する。例示的な実施形態のさらなる改良は、バックウェブ厚さが少なくとも約50μmから約350μmの多孔質膜を提供する。
【0110】
例示的な実施形態のさらに別の改良は、中実リブ、鋸歯状リブ、傾斜リブ、破断リブ、交差リブ、正極側リブ、負極側リブ、負極側交差リブ、チャネル、エンボス、突起、バンプ、及びこれらの組み合わせのいずれでもよいリブを備えた多孔質膜を提供する。リブはさらにゴム製であってよい。例示的なセパレータは、切断片、ポケット、スリーブ、ラップ、エンベロープ、及びハイブリッドエンベロープなど様々な形状又は構造であってよい。
【0111】
本発明の別の態様は、正極と、正極と隣接する負極と、正極と負極の間に配置されたセパレータと、正極の少なくとも一部分、負極の少なくとも一部分、及びセパレータの少なくとも一部分を実質的に沈める電解液とを有する鉛蓄電池を提供する。例示的なセパレータは、基材と、少なくとも1つの性能向上添加剤と、ゴムとからなる多孔質膜を有してよい。例示的な鉛蓄電池は、水分損失の減少、アンチモン中毒の抑制、湿潤性の増大、再充電の高速化、酸化安定性の向上、フロート電流の減少、充電終了電流の減少、再充電電圧の低減、及びこれらの組み合わせを示すことができる。例示的な鉛蓄電池は、平板電池、液式鉛蓄電池、強化された液式鉛蓄電池、ディープサイクル電池、ゲル電池、吸収ガラスマット(「AGM」)電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形型車両用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド車両用電池、電気自動車用電池、eリキシャ用電池、又はeバイク用電池など多くの用途を有してよい。例示的な鉛蓄電池は、部分充電状態、走行中、静止中、バックアップ電源用途、サイクル用途、又はこれらの組み合わせにおいて動作することができる。
【0112】
例示的な鉛蓄電池はさらに、正極、負極、又はセパレータのうちの少なくとも1つに隣接するマットを有してよい。例示的なマットは繊維状マットであってよく、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせから構成されてよい。
【0113】
本発明のさらに別の態様は、1つ以上の基材と、ゴムと、少なくとも1つの添加剤との混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にすることによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。本発明のさらに別の態様は、ポリマーと、少なくとも1つの添加剤との混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にし、膜にゴムを添加することによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。例示的な方法は、ゴムを膜の少なくとも一部分に積層し、ゴムを膜の少なくとも一部分に含浸させ、ゴムのスラリーを膜の少なくとも一部分にコーティングし、膜の少なくとも一部分をゴムのスラリーに浸すことによって、又は膜上にゴム製のリブを形成することによって、ゴムを膜に添加することができる。
【0114】
本発明の別の選択実施形態は、1つ以上の基材と、ゴムとの混合物を混ぜ合わせ、混合
物を押し出して膜にし、膜に少なくとも1つの添加剤を添加することによって、例示的なセパレータを製造する別の方法を提供する。例示的な方法は、少なくとも1つの添加剤を膜の少なくとも一部分に積層し、少なくとも1つの添加剤を膜の少なくとも一部分に含浸させ、少なくとも1つの添加剤を膜の少なくとも一部分にコーティングすることによって、又は膜を少なくとも1つの添加剤に浸すことによって、少なくとも1つの添加剤を膜に添加することができる。
【0115】
本発明のさらに別の選択実施形態は、1つ以上の基材の混合物を混ぜ合わせ、混合物を押し出して膜にし、膜にゴムを添加し、膜に少なくとも1つの添加剤を添加することによって、例示的なセパレータを製造する方法を提供する。
【0116】
添付の請求項の組成及び方法は、本明細書に記載の特定の組成及び方法による範囲に限定されず、本明細書に記載の特定の組成及び方法は、請求項の数少ない態様の例示を意図している。機能的に同等な任意の組成及び方法は、請求項の範囲内にあることを意図している。本明細書に示されている及び記載されているものに加えて、様々な組成及び方法の変形例が、添付の請求項の範囲内にあることを意図している。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的な組成及び方法ステップのみが具体的に説明されているが、組成及び方法ステップの他の組み合わせも、たとえ具体的に列挙されていなくても、添付の請求項の範囲内にあることが意図されている。このように、ステップ、要素、成分、又は構成の組み合わせは、本明細書に明示的に又はそれ以下で言及されているが、ステップ、要素、成分、及び構成の他の組み合わせも明示的に述べられていないが含まれる。本明細書で使用される「~を備えた(comprising)」という用語とこの用語の変形は、「~を含む(including)」という用語とこの用語の変形と同義に使用されており、オープンすなわち非限定的な用語である。「~を備えた(comprising)」及び「~を含む(including)」という用語は様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」という用語は、「~を備えた(comprising)」及び「~を含む(including)」の代わりに使用して、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、これもまた開示される。実施例又は注記した場合を除いて、明細書及び請求項で用いられる成分の量、反応条件等を表す全ての数は、少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとして理解されるのではなく、有効桁数及び通常の丸め手法に照らして解釈されるものとする。
【0117】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、本明細書に開示又は提供されているのは、新規な又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、強化された液式電池セパレータ、電池、セル、及び/又は、そのようなセパレータ、電池セパレータ、強化された液式電池セパレータ、セル、及び/又は電池を製造及び/又は使用する方法である。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、強化された液式電池用の新規な又は改良された電池セパレータに関する。また、本明細書には、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらの任意の組み合わせを有する方法、システム及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、強化された液式電池用の改良されたセパレータに関し、セパレータは、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらの任意の組み合わせを有する。少なくとも特定の実施形態によれば、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらの任意の組み合わせを含む又は示すセパレータが提供される。少なくとも特定の実施形態によれば、平板電池、管状電池、車両用SLI、及びHEV ISS用
途、ディープサイクル用途、ゴルフカーもしくはゴルフカート及びeリキシャ用電池、部分充電状態(「PSOC」)で動作する電池、インバータ電池、再生可能エネルギー源用の蓄電池、及びこれらの任意の組み合わせのための電池用途のセパレータが提供される。
【0118】
本発明は、本発明の精神及び不可欠な属性から逸脱することなく他の形態で具現化することもでき、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記の明細書ではなく添付の請求項が参照されるべきである。開示される方法及びシステムを実行するために使用可能なコンポーネントが開示される。これらの及び他のコンポーネントは、本明細書で開示され、また、これらのコンポーネントの組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されるとき、これらのそれぞれの種々の個々のまた集合的な組み合わせ及び置換についての特定の参照は明示的に開示されないが、それぞれが、全ての方法及びシステムについて本明細書で特に企図され説明されることが理解される。これは、限定はしないが、開示される方法におけるステップを含む本出願の全ての態様に当てはまる。そのため、実行され得る様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップのそれぞれが、開示される方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせと共に実行され得ることが理解される。
【0119】
構造及び方法の先の記述は、例示のためだけに提示されている。実施例は、最良の態様を含む例示的な実施形態を開示し、また、任意の当業者が任意の装置又はシステムを作り使用する、及び任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本発明を実行できるようにするために用いられる。これらの実施例は、網羅的であること又は本発明を開示された詳細なステップ及び/又は形式に限定することを意図していない。上記の教示の観点から、多数の変更及び変形が可能である。本明細書に記載の特徴は、任意の組み合わせで結合されてよい。本明細書に記載の方法のステップは、物理的に可能な任意のシーケンスで実行されてよい。本発明の特許性のある範囲は、添付の請求項により定められ、当業者が想到可能な他の実施例を含んでよい。このような他の実施例は、請求項の文言と変わらない構造要素を有する場合、又は請求項の文言とごくわずかな違いを有する同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあると意図される。
【0120】
添付の請求項の組成及び方法は、本明細書に記載の特定の組成及び方法による範囲に限定されず、本明細書に記載の特定の組成及び方法は、請求項の数少ない態様の例示を意図している。機能的に同等な任意の組成及び方法は、請求項の範囲内にあることを意図している。本明細書に示されている及び記載されているものに加えて、様々な組成及び方法の変形例が、添付の請求項の範囲内にあることを意図している。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的な組成及び方法ステップのみが具体的に説明されているが、組成及び方法ステップの他の組み合わせも、たとえ具体的に列挙されていなくても、添付の請求項の範囲内にあることが意図されている。このように、ステップ、要素、成分、又は構成の組み合わせは、本明細書に明示的に又はそれ以下で言及されているが、ステップ、要素、成分、及び構成の他の組み合わせも明示的に述べられていないが含まれる。
【0121】
明細書及び添付の請求項で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明確に異なった指示をしていない限り、複数の指示対象を含む。範囲は、本明細書において「約(about)」又は「約(approximately)」1つの特定の値から、及び/又は「約(about)」又は「約(approximately)」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表される場合、他の実施形態は1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、既述の「約(about)」を用いて、値が近似値として表される場合、特定の値は、他の実施形態を形成することが理解される。さらに、範囲の各々の端点は、他の端点に関係して、また他の端点から独立して共に重要であることが理解される。「任意選択的な(optional)」又は「任意選択的に(optionally)」は、続いて説明されるイベント又は状況が起き
ても起きなくてもよいこと、及び記述が前記イベント又は状況が起きる場合及びそれが起きない場合を含むことを意味している。
【0122】
本明細書の説明及び請求項を通して、単語「を備える(comprise)」、並びに「を備えた(comprising)」及び「を備える(comprises)」などのこの単語の変化形は、「を含むが限定されない(including but not limited to)」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数、又はステップを除外することを意図していない。「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」という用語は、「~を備えた(comprising)」及び「~を含む(including)」の代わりに使用して、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、これもまた開示される。「例示的な(exemplary)」又は「例えば(for example)」は、「~の例(an example of)」を意味し、好適な又は理想的な実施形態が指示することを伝えることを意図していない。同様に、「などの(such
as)」は、限定的意味で使用されず、説明的又は例示目的で使用される。
【0123】
記されている以外に、明細書及び請求項で用いられている形状、寸法等を表す全ての数は、少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとして理解されるのではなく、有効桁数及び通常の丸め手法に照らして解釈されるものとする。
【0124】
別途定義されない限り、本明細書で使用されている全ての技術用語及び科学用語は、開示されている発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書で引用された出版物及びそれらが引用されている資料は、参照により具体的に組み込まれている。
【0125】
また、本明細書に例示的に適切に開示されている発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素がない限り実施可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図5