IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイションの特許一覧

特開2022-133448インビボ・イメージングおよび診断のための機器、デバイスならびに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133448
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】インビボ・イメージングおよび診断のための機器、デバイスならびに方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220906BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/045 614
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110132
(22)【出願日】2022-07-08
(62)【分割の表示】P 2020067787の分割
【原出願日】2015-07-27
(31)【優先権主張番号】62/029,007
(32)【優先日】2014-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ガーデッキ ジョセフ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】解剖学的構造内の炎症を診断またはキャラクタライズするための例示的な方法および機器を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのソース装置を用いて、少なくとも1つの第1の電磁放射を少なくとも1つの第1の波長においてインビボで解剖学的構造へ供給する。少なくとも1つの検出器装置によって、少なくとも1つの第2の電磁放射を解剖学的構造から供給された少なくとも1つの第2の波長において検出する。第2の放射を第1の放射と関連付けることができて、第1の波長を第2の波長より短くできる。炎症によって生じた解剖学的構造における少なくとも1つの変化に起因して人工的な蛍光物質を提供することなく第2の放射を解剖学的構造から供給できる。解剖学的構造内の炎症を診断またはキャラクタライズすべく第2の放射に基づいて構造の少なくとも1つの特性を決定するために少なくとも1つのコンピュータ装置を用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造内の炎症を診断またはキャラクタライズするための方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの第1の電磁放射を少なくとも1つの第1の波長においてインビボで前記解剖学的構造へ供給するステップと、
少なくとも1つの第2の電磁放射を前記解剖学的構造から少なくとも1つの第2の波長において検出するステップであって、前記第2の放射は、前記第1の放射と関連付けられ、前記第1の波長は、前記第2の波長より短く、前記第2の放射は、前記炎症によって生じた前記解剖学的構造における少なくとも1つの変化に起因して人工的な蛍光物質を供給することなく前記解剖学的構造から供給される、前記検出するステップと、
コンピュータを用いて、前記解剖学的構造内の前記炎症を診断またはキャラクタライズするために、前記第2の放射に基づいて前記構造の少なくとも1つの特性を決定するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の波長は、600nm~900nmの間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の波長は、600および800nmの間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の波長は、650nm~750nmの間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の波長は、650nmと700nmとの間にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の波長は、640nmと1000nmとの間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の波長は、640nmと800nmとの間にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の波長は、ダブルクラッドファイバ光学部品のバックグラウンド放出の波長範囲外にあるように選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記波長範囲の上限は、20nm超である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記波長範囲の上限は、40nm超である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2の波長は、複数の第2の波長であり、前記検出する手順は、前記第2の波長の関数として行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記決定する手順は、前記炎症の前記キャラクタリゼーションをさらに特定するための前記第2の放射の放出スペクトルの数学的な操作を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの特性は、酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、および/または酵素活性のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記蛋白質修飾は、ジチロシンまたはニトロチロシンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記リポ蛋白修飾は、酸化LDLである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プラーク内出血は、内因性ポルフィリンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの第3の放射を前記試料へ、および少なくとも1つの第4の放射を参照へ供給するステップと、前記第3および第4の放射の間の干渉である少なくとも1つの第5の放射を受光するステップとをさらに備え、前記決定は、前記第5の放射のさらなる関数として行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の放射は、前記第1の放射と少なくとも部分的に共存する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記構造は、冠状動脈である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電磁気は、前記冠状動脈内に供給される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記解剖学的構造は、壊死性プラークを有することが疑われる患者における冠状動脈である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
決定する手順は、
少なくとも2つの第2の波長範囲を検出するステップと、
前記少なくとも2つの第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップと、
前記スペクトル形状または相対強度データをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記スペクトル形状データは、前記少なくとも2つの第2の波長範囲の比として比較される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スペクトル形状データまたは相対強度データは、ノイズまたはセンサ・パラメータを用いて較正される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記キャラクタライズする処理は、主成分分析法を用いて分析するステップを備える、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記決定する手順は、
前記複数の第2の波長を検出するステップと、前記第2の波長を用いてスペクトル形状および相対強度をスコアリングするステップと、
第3のスコアをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の放射は、640nmと660nmとの間の第1の範囲において、および660nmと740nmとの間の第2の範囲において供給され、前記決定する手順は、前記第1および第2の範囲の比をトレーニング・データセットと比較するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
解剖学的構造内の炎症を診断またはキャラクタライズするための機器であって、前記機器は、
少なくとも1つの第1の電磁放射を少なくとも1つの第1の波長においてインビボで前記解剖学的構造へ供給するように構成された少なくとも1つのソース装置と、少なくとも1つの第2の電磁放射を前記解剖学的構造から少なくとも1つの第2の波長において検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置であって、前記第2の放射は、前記第1の放射と関連付けられ、前記第1の波長は、前記第2の波長より短く、前記第2の放射は、前記炎症によって生じた前記解剖学的構造における少なくとも1つの変化に起因して人工的な蛍光物質を供給することなく前記解剖学的構造から供給される、前記検出器装置と、前記解剖学的構造内の前記炎症を診断またはキャラクタライズするために、前記第2の放射に基づいて前記構造の少なくとも1つの特性を決定するように構成された少なくとも1つのコンピュータ装置と
を備える、機器。
【請求項29】
方法であって、前記方法は、
カテーテルを血管中へ挿入するステップと、
少なくとも1つの第1の光放射を少なくとも1つの第1の波長において前記カテーテルを通して前記血管へ供給するステップと、
少なくとも1つの第2の光放射を前記少なくとも1つの第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において前記カテーテルを通して検出するステップであって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射によって衝撃を受けた前記血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出するステップと、
前記血管の少なくとも1つの特性を診断またはキャラクタライズするために、前記少なくとも1つの第2の光放射に基づいて前記血管の少なくとも1つの特性を決定するステップと
を備える、方法。
【請求項30】
前記第1の波長は、600nm~900nmの間にある、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の波長は、600および800nmの間にある、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の波長は、650nm~750nmの間にある、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の波長は、650nmと700nmとの間にある、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の波長は、640nmと1000nmとの間にある、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の波長は、640nmと800nmとの間にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の波長は、ダブルクラッドファイバ光学部品の前記バックグラウンド放出の波長範囲外にあるように選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記波長範囲の上限は、20nm超である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記波長範囲の上限は、40nm超である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの第2の波長は、複数の第2の波長であり、前記検出する手順は、前記第2の波長の関数として行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記決定する手順は、前記炎症の前記キャラクタリゼーションをさらに特定するための前記第2の放射の放出スペクトルの数学的な操作を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの特性は、酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つである、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記蛋白質修飾は、ジチロシンまたはニトロチロシンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記リポ蛋白修飾は、酸化LDLである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記プラーク内出血は、内因性ポルフィリンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの第3の放射を前記試料へ、および少なくとも1つの第4の放射を参照へ供給するステップと、前記第3および第4の放射の間の干渉である少なくとも1つの第5の放射を受光するステップとをさらに備え、前記決定は、前記第5の放射のさらなる関数として行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の放射は、前記第1の放射と少なくとも部分的に共存する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記血管は、壊死性プラークを有することが疑われる患者に設けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
決定する手順は、
少なくとも第2の波長範囲を検出するステップと、
前記少なくとも第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップと、
前記スペクトル形状または相対強度データをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
前記スペクトル形状データは、前記少なくとも2つの第2の波長範囲の比として比較される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スペクトル形状データまたは相対強度データは、ノイズまたはセンサ・パラメータを用いて較正される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記キャラクタライズする処理は、主成分分析法を用いて分析するステップを備える、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記決定する手順は、
前記複数の第2の波長を検出するステップと、前記第2の波長を用いてスペクトル形状および相対強度をスコアリングするステップと、
第3のスコアをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の放射は、640nmと660nmとの間の第1の範囲において、および660nmと740nmとの間の第2の範囲において供給され、前記決定する手順は、前記第1および第2の範囲の比をトレーニング・データセットと比較するステップを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項54】
機器であって、前記機器は、
血管中へ挿入されるように構成かつ構築されたカテーテルと、
少なくとも1つの第1の光放射を少なくとも1つの第1の波長において前記カテーテルを通して前記血管へ供給するように構成されたエネルギー・ソース装置と、少なくとも1つの第2の光放射を前記少なくとも1つの第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において前記カテーテルを通して検出するように構成された検出器装置であって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射によって衝撃を受けた前記血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出器装置と、
前記血管の少なくとも1つの特性を診断またはキャラクタライズするために、前記少なくとも1つの第2の光放射に基づいて前記血管の少なくとも1つの特性を決定するように構成されたコンピュータ装置と
を備える、機器。
【請求項55】
方法であって、前記方法は、
カテーテルを血管中へ挿入するステップと、
前記カテーテルを通して、少なくとも1つの第1の光放射を550nmと900nmとの間の少なくとも1つの第1の波長において前記血管へ供給するステップと、
前記カテーテルを通して、少なくとも1つの第2の光放射を640nmと900nmとの間の少なくとも1つの第2の波長において検出するステップであって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射によって衝撃を受けた前記血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出するステップと、
前記少なくとも1つの第2の光放射に基づいて酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを決定するステップと
を備える、方法。
【請求項56】
前記第1の波長は、600および900nmの間にある、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の波長は、600nmと700nmとの間にある、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記第2の波長は、640nmと1000nmとの間にある、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の波長は、640nmと800nmとの間にある、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の波長は、ダブルクラッドファイバ光学部品の前記バックグラウンド放出の波長範囲外にあるように選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記波長範囲の上限は、20nm超である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記波長範囲の上限は、40nm超である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの第2の波長は、複数の第2の波長であり、前記検出する手順は、前記第2の波長の関数として行われる、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記決定する手順は、前記炎症の前記キャラクタリゼーションをさらに特定するための前記第2の放射の放出スペクトルの数学的な操作を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記蛋白質修飾は、ジチロシンまたはニトロチロシンである、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記リポ蛋白修飾は、酸化LDLである、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記プラーク内出血は、内因性ポルフィリンを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つの第3の放射を前記試料へ、および少なくとも1つの第4の放射を参照へ供給するステップと、前記第3および第4の放射の間の干渉である少なくとも1つの第5の放射を受光するステップとをさらに備え、前記決定は、前記第5の放射のさらなる関数として行われる、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の放射は、前記第1の放射と少なくとも部分的に共存する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記血管は、壊死性プラークを有することが疑われる患者に設けられる、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
決定する手順は、
少なくとも2つの第2の波長範囲を検出するステップと、
前記少なくとも2つの第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップと、
前記スペクトル形状または相対強度データをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
前記スペクトル形状データは、前記少なくとも2つの第2の波長範囲の比として比較される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記スペクトル形状データまたは相対強度データは、ノイズまたはセンサ・パラメータを用いて較正される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記キャラクタライズする処理は、主成分分析法を用いて分析するステップを備える、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記決定する手順は、
前記複数の第2の波長を検出するステップと、前記第2の波長によってスペクトル形状および相対強度をスコアリングするステップと、
第3のスコアをトレーニング・データセットと比較するステップと
を備える、請求項55に記載の方法。
【請求項76】
前記決定する手順は、前記第1および第2の範囲の比をトレーニング・データセットと比較するステップを備える、請求項55に記載の方法。
【請求項77】
機器であって、前記機器は、
血管中へ挿入されるように構成かつ構築されたカテーテルと、前記カテーテルを通して、少なくとも1つの第1の光放射を550nmと800nmとの間の少なくとも1つの第1の波長において前記血管へ供給するように構成されたエネルギー・ソース装置と、前記カテーテルを通して、少なくとも1つの第2の光放射を640nmと900nmとの間の少なくとも1つの第2の波長において検出するように構成された検出器装置であって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射によって衝撃を受けた前記血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出器装置と、前記少なくとも1つの第2の光放射に基づいて酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを決定するように構成されたコンピュータ装置と
を備える、機器。
【請求項78】
イメージング方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの第1の光放射を600および900nmの間の少なくとも1つの第1の波長において構造へ供給するステップと、
少なくとも1つの第2の光放射を前記第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において検出するステップであって、前記第2の光放射は、前記第1の光放射によって衝撃を受けた前記構造の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出するステップと、
前記第2の光放射に基づいて前記構造の前記少なくとも一部分の少なくとも第1の画像および少なくとも1つの傾斜の第2の画像を発生させるステップと
を備える、方法。
【請求項79】
前記第1または第2の画像のうちの少なくとも1つは、重ね合わされる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記発生手順は、OCT画像、IVIS画像、血管造影画像、CT画像、またはMRI画像を得るステップを備える、請求項78に記載のイメージング方法。
【請求項81】
前記第2の画像は、前記第2の光放射の少なくとも2つの波長範囲の比の表示を含む、請求項78に記載のイメージング方法。
【請求項82】
機器であって、前記機器は、
少なくとも1つの第1の光放射を400nmと900nmとの間の少なくとも1つの第1の波長において構造へ供給するように構成されたエネルギー・ソースと、
少なくとも1つの第2の光放射を前記第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において検出するように構成された検出器装置であって、前記第2の光放射は、前記第1の光放射によって衝撃を受けた前記構造の少なくとも一部分の自己蛍光に基づく、前記検出器装置と、
前記第2の光放射に基づいて前記構造の前記少なくとも一部分の少なくとも1つの第1の画像および少なくとも1つの傾斜の第2の画像を発生させるように構成されたコンピュータ装置と
を備える、機器。
【請求項83】
機器であって、前記機器は、
光干渉断層撮影またはNIR蛍光のうちの少なくとも1つを容易にして蛍光信号を透過するように構成されたダブルクラッドファイバ構造であって、前記ダブルクラッドファイバ構造は、少なくとも1つのコアおよび少なくとも1つのクラッディングを備え、前記コアおよび前記クラッディングの構成は、前記少なくとも1つのコアの前記少なくとも1つのクラッディングに対する比が前記蛍光信号の曲げ損失の低減または最小化をもたらすように提供され、前記構成は、バックグラウンド蛍光の低減または最小化をさらに達成する、前記ダブルクラッドファイバ構造
を備える、機器。
【請求項84】
前記ダブルクラッドファイバの前記バックグラウンド蛍光に基づいて前記蛍光バックグラウンド信号を較正するコンピュータをさらに備える、請求項81に記載の機器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が参照によりその全体にわたって本明細書に組み込まれる、2014年7月25日出願の米国特許仮出願第62/029,007号に関連し、それからの優先権を主張する。
【0002】
本開示の分野
本開示は、医療イメージングに関し、より詳しくは、イメージングおよび診断のための、さらにいっそう詳しくは、例えば、近赤外自己蛍光(NIRAF:near infrared autofluorescence)による炎症および酸化ストレスの分子イメージングのための機器、方法ならびに機器の例示的な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
分子イメージングは、研究上の注目を集めており、例えば、炎症(非特許文献1)、酸化ストレス(例えば、参照文献2参照)、細胞シグナル経路(例えば、参考文献3参照)、酵素活性(例えば、参考文献4参照)(非特許文献2)などのように、人体に重要な分子発現を明らかにできる。分子情報は、様々な疾患、例えば、癌(例えば、参考文献5参照)、心血管疾患(例えば、参考文献6参照)、神経変性疾患(例えば、参考文献7参照)および眼科疾患(例えば、参考文献8参照)の診断に重要でありうる。臨床に用いられる医療イメージング・ツール、例えば、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)(例えば、参考文献9011参照)、磁気共鳴イメージング(MRI:magnetic resonance imaging)(例えば、参考文献12~16参照)、超音波(IVUS)(例えば、参考文献17および18参照)、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)(例えば、参考文献19~22参照)は、解剖学的構造の形態情報を取得できるが、分子情報の検出には限りがある。臨床に用いられる機能イメージング・ツールとして、陽電子放出断層撮影(PET:positron emission tomography)(例えば、参考文献23参照)および単一光子放出断層撮像(SPECT:single-photon emission computed tomography)(例えば、参考文献24参照)は、放射性医薬品に依存し、いずれも解剖学的構造の未変性の分子情報の検出を目指すものではない。
【0004】
組織上の炎症性バイオマーカーを画像化するために、例えば、外来性試薬を採用し、血流および管腔臓器のような人体内の種々の細胞受容体および分子種をラベルできる。例えば、炎症と関連付けられた細胞、化学物質および酵素、例えば、マクロファージ(例えば、参考文献25参照)、フィブリン(例えば、参考文献26参照)およびシステインプロテアーゼ(例えば、参考文献26および27参照)をラベルするために近赤外蛍光(NIRF:near infrared fluorescent)色素が特異的に設計される。しかしながら、かかる試薬の毒性、取り込みおよび排除は、患者の安全および健康に潜在的なリスクをもたらしかねない。外来性試薬の規制上の承認には時間がかかり、臨床応用を著しく阻害する。
【0005】
内因性イメージング方法、例えば、紫外/可視自己蛍光(例えば、参考文献18~31参照)、時間分解蛍光/蛍光寿命イメージング(例えば、参考文献32~32参照)、近赤外分光(NIRS:near infrared spectroscopy)/拡散反射分光(例えば、参考文献36~39参照)、ラマン分光(例えば、参考文献40~44参照)も集中的に調べられている。これらの例示的な技術は、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、コラーゲンおよびエラスチンのようなある一定の化学情報を検出できるが、炎症および酸化ストレスのバイオマーカーを評価するのに十分ではないかもしれない。それにゆえに、上記の内因性イメージング・モダリティによって提供された情報を炎症および酸化ストレスと直接に相関させることは難しい。
【0006】
従って、本明細書に先述された少なくともかかる不備に対処し、それらを克服する必要があろう。例えば、組織上の炎症を検出するために、例えば、別の(例えば、ラベルフリーの分子)イメージング・モダリティを提供することによってこれを行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Signore A,Mather SJ,Piaggio G,Malviya G,and Dierckx RA.Molecular Imaging of Inflammation/Infection:Nuclear Medicine and Optical Imaging Agents and Methods.Chemical Reviews.2010;110:3112-3145.
【非特許文献2】Su HS,Nahrendorf M,Panizzi P,Breckwoldt MO,Rodriguez E,Iwamoto Y,Aikawa E,Weissleder R and Chen JW.Vasculitis:Molecular Imaging by Targeting the Inflammatory Enzyme Myeloperoxidase.Radiology.2012;262:181-190.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題および/または不備に対処し、および/またはそれらを克服するために、近赤外自己蛍光(NIRAF)を用いて重要な生理学的事象、例えば、炎症および酸化ストレスと関連付けられた分子情報を決定するためのデバイス、方法および機器の例示的な実施形態。例えば、NIRAFを用いて不安定アテローム動脈硬化性プラークを検出するためにかかる機器、デバイスおよび方法を採用できる。
【0009】
本開示の例示的な実施形態によれば、炎症の過程を含めて体内の自然発生的な酸化過程によって修飾された、解剖学特徴からのネイティブな自己蛍光の存在を検出するための機器、デバイスおよび方法を提供できる。
【0010】
例えば、光または他の電磁放射を用いて、光スペクトルの赤色および近赤外領域において励起される自己蛍光を生体組織中で、または修飾体が酸化ストレスおよび炎症活性の結果でありうる、生体組織の修飾体中で自動的に生成することができる。
【0011】
NIRAFは、生体組織による光の光学的吸収によって発生させることができ、その場合に生体組織は、NIRAF光または他の電磁放射を励起光より長い波長で再放射できる。
【0012】
NIRAFの例示的な特徴の1つは、用いられるおよび/またはそれによって生成される放射/出力が、ヘモグロビンおよび水が低分子吸収断面積を有する波長域で供給されることである。
【0013】
この例示的な特徴は、NIRAF励起のより深い侵入および戻りのNIRAF放出のより良好な透過を促進して、生体組織損傷のリスクを低減できる。
【0014】
水およびヘモグロビンによる低い光吸収に起因して、NIRAFスペクトルは、波長に依存するわずかな減衰しかもたらさないであろう。NIRAF信号レベルが自己蛍光部分の濃度と直接に相関しうる。吸収の波長依存性を補正して固有のNIRAFスペクトルを復元するために必要とされる追加の例示的な手順、機器、デバイスおよび方法、例えば、拡散反射分光法は、診断上有効な結果を生成するために必須ではないであろう。
【0015】
NIRAFの1つの例示的な特徴は、多波長検出および追加のスペクトル処理方法を要件とすることなく、診断上有効な結果を達成できることである。
【0016】
NIRAF波長の例示的な選択は、構造蛋白質ならびにNADHおよびFADのような他の既知の生物学的自己蛍光分子からの干渉蛍光信号を低減できる。例示的なNIRAF手順を用いることによって、壊死物質を含んだアテローム動脈硬化性プラークを、脂質に富んだ、例えば、非壊死性、および他のアテローム動脈硬化性プラークに比べて高感度で特異的に検出することが可能である。
【0017】
NIRAF信号の1つの例示的な特徴は、信号が酸化ストレスのメカニズムによる蛋白質およびリポ蛋白の修飾に関係しうることである。
【0018】
ジチロシン架橋は、NIRAF信号を生成できる1つの例示的な特徴となりうる。
【0019】
本開示の例示的な実施形態によれば、例示的なNIRAF手順、機器、デバイスおよび方法の実装を他の構造的イメージング・モダリティ、例えば、OCT、OFDI、SD-OCT、TD-OCT、SECM、SEE、光音響学、共焦点内視鏡検査、超音波、血管内視鏡検査、気管支鏡検査、大腸内視鏡検査およびアイボックス(eye-box)と組み合わせることができる。NIRAFデータは、強度、例えば2つ以上の帯域間のスペクトル比、主成分分析、線形最小2乗法、ウェーブレット変換、サポートベクターマシンおよび/またはニューラルネットワークによって分析できる。
【0020】
NIRAF分析の出力を用いた本開示の追加の例示的な実施形態によれば、ロジスティック回帰、判別分析、クラスター分析、要因分析、ならびに他の教師ありおよび教師なし判定ツールを用いて診断予測を得ることができる。
【0021】
このように、解剖学的構造内の炎症を本開示の例示的な実施形態に従って診断またはキャラクタライズするために、例示的な方法および機器を提供できる。例えば、少なくとも1つのソース装置を用いて、少なくとも1つの第1の電磁放射を少なくとも1つの第1の波長においてインビボで解剖学的構造へ供給することが可能である。少なくとも1つの検出器装置によって、少なくとも1つの第2の電磁放射を解剖学的構造から供給された少なくとも1つの第2の波長において検出することが可能である。第2の放射を第1の放射と関連付けることができて、第1の波長を第2の波長より短くできる。第2の放射は、炎症によって生じた解剖学的構造における少なくとも1つの変化に起因し、人工的な蛍光物質を提供することなく解剖学的構造から供給することができる。解剖学的構造内の炎症を診断またはキャラクタライズすべく、第2の放射に基づいて構造の少なくとも1つの特性を決定するために少なくとも1つのコンピュータ装置を用いることができる。
【0022】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、機器および方法を提供できる。例えば、カテーテルを血管中へ挿入されるように構成かつ構築することができる。エネルギー・ソース装置によって、少なくとも1つの第1の光放射を少なくとも1つの第1の波長においてカテーテルを通して血管へ供給することが可能である。加えて、検出器装置によって、少なくとも1つの第2の光放射を第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長においてカテーテルを通して検出することが可能である。第2の光放射は、少なくとも1つの第1の光放射によって衝撃を受けた血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づくことができる。さらにまた、コンピュータ装置によって、血管の少なくとも1つの特性を診断またはキャラクタライズするために第2の光放射に基づいて血管の少なくとも1つの特性を決定することが可能である。
【0023】
本開示のさらに別の例示的な実施形態によれば、機器および方法を提供できる。例えば、カテーテルが血管中へ挿入されるように構成かつ構築される。エネルギー・ソース装置によって、カテーテルを通して、少なくとも1つの第1の光放射を550nmと800nmとの間の少なくとも1つの第1の波長において血管へ提供できる。検出器装置によって、カテーテルを通して、少なくとも1つの第2の光放射を640nmと900nmとの間の少なくとも1つの第2の波長において検出することが可能である。第2の光放射は、第1の光放射によって衝撃を受けた血管の少なくとも一部分の自己蛍光に基づくことができる。さらにまた、コンピュータ装置によって、第2の光照射に基づいて酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、および/または酵素活性のうちの少なくとも1つを決定することが可能である。
【0024】
本開示の別の例示的な実施形態において、第1の波長は、600nm~90nmの間、600nmと800nmとの間、650nm~750nmの間、および/または650nmと700nmとの間とすることができる。第2の波長は、640nmと1000nmとの間、および/または640nmと800nmとの間とすることができる。第2の波長は、ダブルクラッド光ファイバ光学部品のバックグラウンド放出の波長範囲外にあるように選択できる。波長範囲の上限は、20nmもしくは40nm超とすることができる。第2の波長は、複数の第2の波長とすることができて、検出は、第2の波長の関数として行うことができる。検出は、炎症のキャラクタリゼーションをさらに特定するために第2の放射の放出スペクトルの数学的操作を含むことができる。
【0025】
本明細書に示されるように、特性は、酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、および/または酵素活性のうちの少なくとも1つとすることができる。蛋白質修飾は、ジチロシンまたはニトロチロシンとすることができ、リポ蛋白修飾は、酸化LDLとすることができて、プラーク内出血は、内因性ポルフィリンを含むことができる。少なくとも1つの第3の放射を試料へ、および少なくとも1つの第4の放射を参照へ供給できる。第3および第4の放射の間干渉である少なくとも1つの第5の放射を受光できて、第5の放射のさらなる関数として決定を行うことができる。第1の放射は、第1の放射と少なくとも部分的に共存できる。
【0026】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、構造は、冠状動脈とすることができる。第1の電磁気を冠状動脈内に供給できる。冠状動脈は、壊死性プラークを有することが疑われる患者におけるものとすることができる。
【0027】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、決定は、少なくとも2つの第2の波長範囲を検出するステップと、少なくとも2つの第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップと、スペクトル形状または相対強度データをトレーニング・データセットと比較するステップとによって行うことができる。スペクトル形状データは、第2の波長範囲の比として比較できる。スペクトル形状または相対強度データをノイズまたはセンサ・パラメータを用いて較正できる。キャラクタライズする処理は、主成分分析法を用いて分析するステップを備えることができる。
【0028】
本開示のなお別の例示的な実施形態において、決定は、複数の第2の波長を検出するステップと、第2の波長によってスペクトル形状および相対強度をスコアリングするステップと、第3のスコアをトレーニング・データセットと比較するステップとを含むことができる。さらにまた、第2の放射を640nmと600nmとの間の第1の範囲において、および660nmと900nmとの間の第2の範囲において供給できて、決定は、第1および第2の範囲の比をトレーニング・データセットと比較するステップを備えることができる。
【0029】
本開示のさらに別の例示的な実施形態によれば、機器および方法を提供できる。例えば、エネルギー・ソースによって、少なくとも1つの第1の光放射を少なくとも1つの第1の波長において構造へ供給することが可能である。波長は、400nmと900nmとの間にあるように制御できる。検出器装置によって、少なくとも1つの第2の光放射を第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において検出することが可能である。第2の光放射は、第1の光放射によって衝撃を受けた構造の少なくとも一部分の自己蛍光に基づくことができる。さらにまた、コンピュータ装置によって、第2の光放射に基づいて構造の部分(単数または複数)の少なくとも1つの第1の画像および少なくとも1つの傾斜の第2の画像を発生させることが可能である。
【0030】
例えば、第1または第2の画像を重ね合わせることができる。発生手順は、OCT画像、IVIS画像、血管造影画像、CT画像、またはMRI画像を得るステップを備えることができる。第2の画像は、第2の光放射の少なくとも2つの波長範囲の比の表示を含むことができる。
【0031】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態では、光干渉断層撮影および/またはNIR蛍光のうちの少なくとも1つを容易にして、蛍光信号を透過するように構成された、ダブルクラッドファイバ構造を備える機器を提供できる。ダブルクラッドファイバ構造は、少なくとも1つのコアおよび少なくとも1つのクラッディングを含むことができる。コア対クラッディング比が蛍光信号の曲げ損失の低減または最小化をもたらすようにコアおよびクラッディングの構成を提供できて、この構成は、バックグラウンド蛍光の低減または最小化をさらに達成する。ダブルクラッドファイバのバックグラウンド蛍光に基づいて蛍光バックグラウンド信号を較正するコンピュータを提供できる。
【0032】
本開示の例示的な実施形態は、外来性ラベルを追加する必要がないという点で有利でありうる。一般に、蛍光検出では、診断または治療手順の時間および複雑さを増加させかねない人工的または外来性蛍光部分の追加が必要なことがある。本開示の例示的な実施形態によれば、解剖学的構造に見られるジチロシンまたは他のフルオロフォアの使用が、外来性蛍光部分を解剖学的構造中へ追加する必要なしに、診断またはキャラクタリゼーションを容易にできる。
【0033】
本開示の例示的な実施形態のこれらおよび他の目的、特徴ならびに利点は、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な記載を読む際に添付の特許請求の範囲と併せて考察したときに明らかになりうる。
【0034】
本開示のさらなる目的、特徴および利点は、本開示の例示的な実施形態を示す添付図面と併せて考察した以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示による近赤外(NIR)自己蛍光装置/システムの例示的な実施形態の概略ブロック図である。
図2】本開示によるデータを収集、処理、および分析するための方法の例示的な実施形態のフロー図である。
図3図1に示される例示的なNIRAF機器/システムによって取得された本開示の例示的な自己蛍光スペクトルのグラフである。
図4】本開示による機器、デバイスおよび方法の例示的な実施形態を用いた、4つの代表的なプラークからの、肉眼所見(図4(a)~図4(d))および関連付けられたNIRAFマップ(図4(i)~図4(l))の比較の説明図のセットである。
図5】67個のアテローム動脈硬化性プラークから収集されたNIRAF強度の例示的な比較を提供するグラフである。
図6図6(a)~図6(b)は、67個のアテローム動脈硬化性プラークから取得されたNIRAFスペクトルの主成分分析からの例示的な結果を提供するグラフである。
図7】67個のアテローム動脈硬化性プラークから取得されたすべての病理の主成分分析に基づく例示的な病理学的分類スキームを示す散布図である。
図8】本開示の例示的な実施形態を用いた、判定ラインを構築するために判別分析を用いて主成分分析によって分類された壊死性コアおよび病理学的内膜肥厚病理の間の判別を示す散布図である。
図9】本開示の例示的な実施形態を用いて低い方のスペクトルにおける例示的なシミュレーション・スペクトル・データに適用された主成分分析を適用するステップに基づく(based applying)例示的な病理学的分類を示す別の散布図である。
図10】壊死性コアおよび病理学的内膜肥厚として分類されたプラークから得られた例示的な自己蛍光スペクトルに対してスペクトル帯域の位置を示すグラフである。
図11】本開示の例示的な実施形態を用いた、積分スペクトル帯域強度の比をとるステップに基づく別の病理学的分類スキームを示す別の散布図である。
図12】本開示の例示的な実施形態を用いた、2つの例示的な励起波長における異なる病理に関する例示的なNIRAF信号レベルを示すグラフである。
図13図13(a)~13(b)は、本開示の例示的な実施形態を用いて新鮮な未固定の薄切片から得られた例示的なNIRAFおよび組織学的データの画像である。
図14図14(a)~14(b)は、本開示の例示的な実施形態を用いて相関する病理をもつ新鮮な未固定の大動脈薄切片から得られた代表的なアテローム動脈硬化性プラークから取得された積分信号およびスペクトル比レベルを示すグラフである。
図15図15(a)~15(d)は、本開示の例示的な実施形態を用いて新鮮な未固定の大動脈薄切片から得られた最初の3つの主成分に関する積分強度および主成分スコアを示す画像である。
図16図16(a)~16(b)は、ヒト大動脈組織が酸化剤に曝露されたときの自己蛍光に対する例示的なスペクトル変化を示すグラフである。
図17図17(a)~17(b)は、蛋白質修飾および酸化ストレスの強力な自己蛍光性バイオマーカー、ジチロシンの例示的なスペクトル吸収および放出の違いを示すグラフである。
図18】本開示のさらに別の例示的な実施形態による例示的なデバイス/システム/機器の概略ブロック図である。
図19図19(a)~19(b)は、本開示の例示的な実施形態によるボールレンズ・プローブを通しての脂質に富むプラーク、石灰化プラークおよび脂肪線条からのNIRAFスペクトルの例示的な測定結果を示すグラフのセットである。
図20】本開示の例示的な実施形態による2つの例示的なNIRAF励起波長によって発生した積分自己蛍光およびファイバ・バックグラウンド信号の例示的な結果比のグラフである。
図21】本開示の例示的な実施形態によるマルチモダリティOCT-NIRAFカテーテル・イメージングシステムの概略ブロック図を示す。
図22】本開示の例示的な実施形態によるマルチチャネル検出を用いたNIRAFカテーテル・イメージングシステムの概略ブロック図を示す。
図23】スペクトル比取得のための多重ダイクロイックミラーをもつNIRAFカテーテル・イメージングシステムの概略ブロック図を示す。
図24】本開示の例示的な実施形態による2D NIRAFアンファス(en face)強度マップの代表的な画像を示す。
図25a図25(a)~25(b)は、本開示の例示的な実施形態による破綻した壊死性コア・プラークから得られた(from obtained from)例示的な合成OCT-NIRAF画像および対応する組織構造(histology)である。
図25b図25(a)~25(b)は、本開示の例示的な実施形態による破綻した壊死性コア・プラークから得られた(from obtained from)例示的な合成OCT-NIRAF画像および対応する組織構造(histology)である。
図26】異なる病理学的分類に対して冠状動脈内カテーテルを通して得られたNIRAF強度を示す箱ひげ図である。
図27】本開示のある一定の例示的な実施形態による例示的なシステムの例示的なブロック図である。
図28】本開示のさらなる例示的な実施形態による別の方法の例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面全体にわたって、同じ参照番号および文字は、別に明記されない限り、示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネントまたは部分を示すために用いられる。そのうえ、本主題の開示が図面を参照して次に詳細に記載されることになるが、この開示は、例示的な実施形態に関連付けてそのように記載される。本主題の開示および添付される特許請求の範囲の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載される例示的な実施形態に変更および修正を行うことができるものとする。
【0037】
図1に図示されるように、本開示の例示的な実施形態による例示的なデバイスは、エネルギー・ソース、例えば、例示的な波長740nmの狭帯域(0.1nm)ダイオードレーザ110放出光から構成できる。コリメート光を生成するためにレンズ組立品115を用いることができ、コリメート光は、レーザ・ソースからのスプリアス放出を除去するためにショートパスフィルタ120を通過して、ダイクロイック・ビームスプリッタ・フィルタ125に反射され、第2のレンズ組立品130によって動脈検体または他の試料140上へ集束されることができる。動脈検体は、温度制御デバイス150をもつコンピュータ制御された3次元ステージ上に載せられる。動脈検体140からの放出光は、同じレンズ組立品130によって、例えば、180度背面散乱の幾何配置で集光され、ほぼコリメートされて、ダイクロイック・ビームスプリッタ125を透過し、ロングパスフィルタを含む、第2のレンズ組立品160によって集束される。組立品160は、放出光を光検出器170中へ集束させる。コンピュータ180(例えば、その例示的な実施形態が図27のブロック図に示される)は、ステージの動きおよびエネルギー・ソース110の動作を制御できて、NIRAF信号を取得および/または処理できる。当然のことながら、本明細書に記載される組織/試料は、様々な解剖学的構造および/または生体組織、例えば、動脈組織、血管を含むことができる。
【0038】
図2は、図1および27に示されるコンピュータ180によって実装できる、データ収集および処理のための本開示による方法の例示的な実施形態のフロー図を示す。特に、NIR自己蛍光およびOFDIデータセットを収集するためにこの例示的な方法を提供できる。一般に、組織を走査した後に、関心領域(ROI:Region of interest)を示す基準マーク(fiduciary mark)を自己蛍光走査のコーナ(at corners or)に置くことができる。OFDIビームがROIとアラインされて走査される。自動蛍光信号の条件付けを行うために標準的なデータ処理方法/手順を採用できる。NIRAFスペクトルは、テキストに別の指摘がない限り、バルク測定で管腔側から取得される。例えば、図2に示される例示的な実施形態によれば、検死後データを得て前処理を行うことできる(手順201)。次に、OFDIビームをアラインして、NIRAFラスタ走査を行うことができる(手順202)。ROIをラベルして、画像/写真を撮ることができる(手順203)。組織学的検査を行うことができる(手順204)。さらにまた(Further.)、ダーク検出器ノイズおよびバックグラウンドを除去できて(手順205)、例えば、ローパスフィルタを用いて、ノイズを除去できる(手順206)。組織学的検査(手順204)と併せてまたは一緒に活用できるピーク強度マップを発生させることができる(手順207)。さらにまた、主成分分析および象限判別分析(PCA/QDA:principal component analysis/quadrant discrimination analysis)認定を行うことができて、PCAマップを形成し(手順208)、組織学的検査と比較することができる。
【0039】
図3は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて異なるアテローム動脈硬化性病理から得られた代表的な例示的自己蛍光スペクトルのグラフを示す。内膜過形成(IH:intimal hyperplasia)、石灰化(CA:calcified)、病理学的内膜肥厚(PIT:pathological intimal thickening)、壊死性コア(NC)プラーク中に位置する特定部位から、最大強度に対して正規化された、代表的なスペクトルを得ることができる。正規化スペクトルは、760~820nm領域におけるスペクトル形状の違いを示すことができ、この違いは、プラーク・タイプ間の分子組成における例示的な変化を示すことができる。
【0040】
図4(a)~図4(l)は、本開示による例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いた、肉眼所見(上の行-図4(a)~4(d))および関連付けられたNIRAFマップ(中央行-図4(e)~4(h))を4つの代表的なプラークからの好ましい標準的な組織構造(histology)(下の行-図4(i)~4(l))と比較した説明図のセットである。例えば、データセットに係る最大強度に対してNIRAF強度マップを正規化できる。以下の例示的な図は、この図に示された病理、すなわち、内膜過形成(図4(a)、4(e)、4(i)参照);線維石灰化プラーク(図4(b)、4(f)および4(j)参照);病理学的内膜肥厚(図4(c)、4(g)、4(k)参照);壊死性コア(図4(d)、4(h)、4(l)参照)に対応する。これらの例示的なプラークを組織構造(histology)によって診断できる。
【0041】
図5は、67個のプラーク間のNIRAF強度の例示的な比較を提供する例示的なグラフである。例えば、このグラフには、13個の壊死性コア・プラーク、21個の病理学的内膜肥厚、10個の線維石灰化プラーク、9個の内膜過形成プラーク、および14個の線維性プラークがある。一元配置分散分析(ANOVA:analysis of variance)を用いると、NC、PITおよびCAのNIRAF強度は、IHおよびFBとは著しく異なりうる(p<0.0001)。このことが意味しうるのは、NIRAFが強度情報に基づいて異なるタイプのプラークを識別できるということである。
【0042】
図6(a)および6(b)は、本開示の例示的な実施形態に従って67個のプラークからなるデータセットに主成分分析(PCA)を適用することによって得られた例示的な結果を示す。この例では、ピーク強度に基づく正規化(他の正規化メトリクスを採用してもよい)を通じて自己蛍光スペクトルが前処理され、次に、標準的なPCAアルゴリズム/手順を適用する前に、特別にプログラムされたコンピュータ(例えば、コンピュータ180)を用いて平均センタリングが行われる。PCAアルゴリズム/手順の例示的な出力は、PCAスコア(図6(a)参照)およびローディング・ベクトルもしくは主成分(図6(b)参照)である。この例では、最初の2つの主成分もしくはローディング・ベクトルがスペクトル分散の98%超を占めうる。第2の主成分は、約760nmと820nmとの間に例示的な特徴を示し、この特徴が例示的なスペクトル形状の変動とおそらく一致する。
【0043】
図7は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて提供された第1および第2のPCAスコアに基づく例示的な散布図を例示的な結果を提供する表と併せて示す。例えば、各タイプのプラークは、特異的な分布を有しうる。例えば、象限判別分析(QDA)を用いて、PCAスコア面を、例えば、4つの異なるカテゴリ:NC/PIT/CA/IHを表す4つの部分空間に分割できる。例示的なリーブワンアウト方策に従って、感度および特異性を分析してプラーク・タイプを識別できる。例示的な結果については以下の表1を参照。
【0044】
【表1】
【0045】
図8は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて提供された、病理学的内膜肥厚から識別された壊死性コアを示す第1および第2の例示的なPCAスコアに基づく別の例示的な散布図を例示的な結果を提供する表と併せて示す。例えば、総合的な例示的精度は、約85%になりうる。この分析は、脂質に富むプラークを検出するためのみならず、それらのリスクポテンシャルを評価するためにNIRAFスペクトルを利用する診断上の価値を実証しうる。言い換えれば、このNIRAF分析は、安定な脂質に富むプラーク、例えば、病理学的内膜肥厚および脂肪線条より壊死性コア・プラークの識別に対して、他の例示的なスペクトロスコピーに基づく技術より高感度であるように思われる。例示的な結果については以下の表2を参照。
【0046】
【表2】
【0047】
図9は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて提供された、低下したスペクトル分解能をもつ例示的なスペクトルデータの第1および第2のPCAスコアに基づく別の例示的な散布図を例示的な結果を提供する表と併せて示す。例えば、各タイプのプラークは、特異的な分布を有しうる。象限判別分析(QDA)を用いて、PCAスコア面を、例えば、4つの異なるカテゴリ:脂質(LPD:lipid)/糜爛(ERO:erosion)/石灰化(CA:calcification)/線維性(FB:fibrous)を表す4つの部分空間に分割できる。例示的なリーブワンアウト方策に従って、感度および特異性を分析してプラーク・タイプを識別できる。結果は、検出された各チャネルの積分スペクトル帯域幅が診断能力を失うことなく、0.1nmと10nmとの間で変動しうることを示すことができる。例示的な結果については以下の表3を参照。
【0048】
【表3】
【0049】
スペクトル帯域比は、スペクトルまたは統計モデルを必要とすることなく、NIRAFスペクトルのセットにおける変化をモニタするための例示的な方法を提供できる。スペクトル帯域比は、定義されたスペクトル範囲を有する1つのスペクトル帯域において受光された強度を積分して、そのユニークなスペクトルをもつ第2のスペクトル帯域の積分強度で割ることによって構築される。図10は、代表的な壊死性コア(NC)および病理学的内膜肥厚(PIT)プラークからの例示的なNIRAFスペクトルに対して例示的なスペクトル積分領域を説明するグラフを示す。この例では、短い方の波長帯域(青色チャネル)は、642~650nmの波長域に及び、長い方の波長帯域(赤色チャネル)は、680~700nmの領域に及ぶ。スペクトル比を構築するために各例示的なスペクトル帯域からの積分信号を割ることができて、診断用コントラストの別の例を提供できる。
【0050】
病理学的な状態、スペクトル干渉物質の存在およびバックグラウンド放出に基づくスペクトルの変化に基づいて最高感度の診断基準を提供するために、スペクトル帯域を定義するのに用いることができるスペクトル・パラメータを最適化できる。図11は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて提供された、積分スペクトル強度およびスペクトル比の比較に基づく(based a comparison)例示的な診断アルゴリズムを示す散布図である。例えば、壊死性コアおよび病理学的内膜肥厚病理を判別できる判定ラインを発生させるために線形判別分析を適用できる。例示的な結果は、青色および赤色帯域を定義するスペクトル・パラメータがNCおよびPIT病理を高感度で特異性に判別することを示す。例示的な結果については表4を参照。
【0051】
【表4】
【0052】
近赤外域における異なる励起波長を用いて、自己蛍光スペクトルを発生させることができて、そのスペクトル特性を異なるアテローム動脈硬化性プラークを判別するために用いることができる。例えば、図12は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて例示的な組織信号レベルを633nmおよび740nmの2つの例示的な励起波長間で評価したグラフを示す。図12では、Y軸が対数目盛りで示される。励起に依存する信号強度のこの例示的な比較では、分光器および検出器の波長に依存するスペクトル応答によって自己蛍光放出強度が正規化された。両方の励起波長がプラーク間で同様のNIRAFコントラストを示す。加えて、633nmの励起光の方がより強い例示的な組織信号レベルを提供できる。
【0053】
炎症を診断またはキャラクタライズするために用いることができる励起波長(第1の光放射または第1の電磁放射)は、例えば、600nmと900nmとの間、もしくは600nmと850nmとの間、または620nmと770nmとの間、あるいは630nmと750nmとの間、または650nmと700nmとの間とすることができる。他の実施形態では、第1の波長は、400および600nmの間、または550および600nmの間である。この波長は、例えば、壊死性コアと正常組織との間の吸収の違いが大きいところで、または壊死性組織の吸収ピークにおいて選択できる。いくつのか実施形態では、病理学的内膜肥厚組織のような異なる指標組織の吸光度に基づいて励起波長が選択されてもよい。
【0054】
検出される波長(例えば、第2の光放射、または第2の電磁放射)は、例えば、診断上関連する自己蛍光性部分からの放出を最適化し、組織および光ファイバの両方からのバックグラウンド放射を最小限に抑えるように選択される。例示的な放出は、640nm~1000nm、900nmまで、または800nmまでの波長範囲を有する。いくつかの実施形態において、第2の光放射は、640nm~800nm、または680nm~770nmの波長範囲を有する。1000nmの上限は、Siベースの検出器の感度に基づき、例えば、InGaSベースの検出器によって拡大できる。従って、他の検出器について、異なる上限が示されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の光放射は、20nm超または40nm超の波長範囲を有するように選択される。いくつかの他の実施形態では、第2の光放射は、2つ、3つ、またはより多くの波長範囲を有するように選択される。いくつかの実施形態では、第2の光放射は、Siバックグラウンドの極小値を除くように選択される。例えば、第2の光放射は、600nm-1および/または800nm-1およびその周りの波長を除外するように選択されてもよい。
【0055】
NIRAFイメージングは、その厚さをおよそ5~10μmの間とすることができる、新鮮な未固定の動脈組織からカットされた組織学的薄切片上で行うこともできる。図13(a)および13(b)は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法、ならびにトリクロームのような標準的な組織学染色剤を用いて染色された連続的にカットされた薄切片を用いて発生させた、それぞれ、例示的な画像および例示的なNIRAF積分強度マップを示す。例示的なNIRAFマップは、線形グレースケールで表示されて、高スペクトル強度の領域が白く見える。例示的なNIRAFイメージングは、自己蛍光スペクトルを特異的な形態学的特徴から得ることを可能にする。NIRAFマップと染色された組織構造(histology)との間の重ね合わせは、スペクトル特性を特異的な形態学的特徴、例えば、薄い線維性被膜、壊死性コア領域、泡沫細胞、マクロファージ、好中球、コラーゲンおよびエラスチン・ファイバ、コレステロール・クレフト、石灰化およびセロイド沈着に割り当てることを可能にする。高スペクトル強度の領域が壊死性コア・プラークの壊死性領域に割り当てられ、バルク組織測定から観測された自己蛍光が壊死性領域で発生し、この領域には蛋白質および脂質の修飾のような、炎症および酸化ストレスに反応する確立した分子レベルの過程があることを確認する。
【0056】
図14(a)は、異なった病理の16個の薄切片の分析から(from the analysis of the analysis of)本開示の例示的な実施形態に従って発生させることができるスペクトル帯域比のグラフを示す。エラーバーは、1標準偏差であり、NC-壊死性(nectroic)コア、PIT-病理学的内膜肥厚、IH-全内膜過形成であり、PITおよびNCプラークから内膜および中膜領域をレポートできる。一元配置ANOVAを用いると、強度ランクは、高から低へNC>中膜>IH~PIT>内膜である。NCは、非常に不均質であるが、その強度が他の4つのカテゴリより著しく高い(p<0.01)。中膜は、2番目に高い強度を有し、これは、高密度に整列したエラスチンおよび平滑筋線維におそらく起因する。細胞外の脂質プールが内膜およびIHと同様のNIRAF強度を有し、脂質沈着それ自体がNIRAFに寄与しないことを示唆する。
【0057】
図14(b)は、異なる形態学的特徴間のスペクトル形状の違いを推定するために例示的な方法によって用いることができる、スペクトル帯域比のグラフを示す。例えば、スペクトル比(青色/赤色)のランクは、高から低へNC>PIT>内膜~中膜>IHとなりうる。NCは、他の4つのカテゴリより著しく強い赤色シフトを示す(p<0.01)。これは、バルク組織測定からの観測と一致する。PITは、2番目に強い赤色/青色比を有し、これは、正常組織とNCとの間の移行につれて、PITがある一定の化学反応および生理的過程を経験し、NIRAFフルオロフォアの発生につながることを示唆する。内膜および中膜は、同様の赤色/青色比を有し、それらがともにコラーゲンおよびエラスチンを主成分として有するという事実と合致する。IHは、プラークの内膜/中膜より若干低い。考えられる理由としてありうるのは、NCおよびPITに存在する炎症活性が内膜および中膜で蛋白質およびリポ蛋白を修飾するかもしれないということである。
【0058】
図15(a)~15(d)は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて壊死性コア・プラークの薄切片から収集されたすべての自己蛍光スペクトルに対して主成分分析を行うことによって得られた例示的な結果を説明する画像のセットを示す。例示的な薄切片は、ホルマリン固定またはパラフィン埋め込みなしに凍結組織からカットされた。自己蛍光スペクトルは、本開示による例示的な実施形態を用いて取得された。スペクトルは、バックグラウンドが差し引かれて、PCAアルゴリズムを適用する前にベクトルの長さによって正規化された。例えば、図15(a)は、積分スペクトル強度から構築されて、壊死性コアおよび中膜の両方の領域に高い強度が位置することを示すことができる。残りの画像は、最初の3つの主成分に由来するスコアから構築される。図15(b)における例示的な画像は、第1の主成分から導出されたスコアに基づく。この例示的な画像は、明確に壊死性コア領域の輪郭を描くことができて、限局的な高強度領域も示すことができる。例えば、第1の主成分は、スペクトル変動の約95%超を占める。比較として、それぞれ図15(c)および図15(d)に示される、第2および第3の成分に基づくPCA画像もスペクトルの違いを強調表示できて、合わせてスペクトル変動のおよそ3%を占める。PCA導出画像は、強度ベースの画像とは異なり、分子組成の変動に関係しうる形態学的領域を強調表示する。
【0059】
図16(a)~16(b)は、本開示の例示的な実施形態による機器、デバイスおよび方法を用いて発生させた自己蛍光スペクトル特性に対する例示的な変化を説明するグラフのセットを示す。例えば、例示的な健常ヒト動脈切片を均等に2つに分割できて、一方の半分は、10%リン酸緩衝生理食塩水中、およそ37℃で12時間にわたってインキュベートされ、2つ目の半分も、10%リン酸緩衝生理食塩水中に溶解した飽和酢酸マンガン(III)からなる酸化性溶液中、同じ温度で同じ時間にわたってインキュベートされる。検体のNIRAFスペクトラムがインキュベーション前(オリジナル)およびインキュベーション後(対照および酸化)に収集された。NIRAF積分強度が図16(a)において比較され、ここでエラーバーは、1標準偏差を示す。オリジナルの強度は、図16(a)に示されるように均一ではない。酢酸マンガン(III)に曝露されて酸化された組織の強度は、対照より若干高くなりえて、組織の自己蛍光が蛋白質を修飾する酸化剤によって増加しうることを示す。NIRAFスペクトル比も図16(b)で比較される。赤色/青色シフトとして構築された例示的なスペクトル比が酸化された組織の自己蛍光スペクトルに予想された赤色シフトを対照組織と比較して示す。対照試料が呈示するスペクトルの赤色シフトが小さいという事実は、インキュベーション期間中に発生する組織分解または酸化が少ないことを示唆する。飽和酢酸マンガン(III)溶液中でインキュベートされた試料は、著しくより強いスペクトルの赤色シフトを示す。これは、NIRAFスペクトル特性が酸化生成物、例えば、蛋白質修飾体の存在に対して高感度でありうることを実証する。
【0060】
ジチロシン架橋は、蛋白質修飾に関する確立された内因性バイオマーカーのうちの1つであり、強い自己蛍光を放出する。図17(a)~17(b)は、ジチロシンの吸収および自己蛍光スペクトルの違いをチロシンおよびヒト・アテローム動脈硬化性プラークと比較して説明するグラフのセットを示す。例えば、ジチロシンは、280nmに最大吸収を有し、可視領域を通して著しい吸収を有しうるが、一方でチロシンは、UV吸収に限られる(図17(a))。例示的な励起波長633nmで励起されたときに、ジチロシンからの蛍光ならびに例示的な壊死性コア(NC)および内膜過形成(IH)プラークからの自己蛍光を図17(b)において比較できる。ジチロシン・スペクトルは、著しく赤色シフトしているように見え、アテローム動脈硬化症が進行するにつれて見ることができる赤色シフト放出を説明できる。
【0061】
ジチロシン架橋に加えて、フィブリン、フィブリノーゲン、リポフスチン、セロイドのような追加の形態学的/組織学的構造もNIRAF信号を発生させることができる。よく知られた酸化性生成物(oxidative product)、例えば、クロロチロシン、ニトロチロシン、ビリルビン、ビリベルジン、4-ヒドロキシ-2-ノネナール、ヒドロキシイミニオジヒドロピロール、およびポルフィリンがNIRAF信号に寄与しうる。
【0062】
図18に図示されるように、本開示の例示的な実施形態による例示的なデバイスを本開示の別の例示的な実施形態によるデュアルクラッドファイバをテストするために用いることができる。図18に示されるこの例示的なデバイス/システムは、エネルギー/光/レーザ・ソース1810を含むことができ、このソース1810は、例えば、ヘリウム:ネオンレーザまたは他の光ソースによって生成された、例えば、約633nmの例示的な波長において光を放出する、例えば、狭帯域(0.1nm)ダイオードレーザとするか、またはそれを含むことができる。ソース1810からのコリメート光は、レーザ・ソースからのスプリアス放出を除去するためにショートパスフィルタ1815を通過できて、ダイクロイック・ビームスプリッタ・フィルタ1820に反射され、レンズ組立品1825によってダブルクラッドファイバ・ボールレンズ・プローブ1830中へ集束される。背面反射されファイバで発生した蛍光は、例えば、180°背面散乱の幾何配置で同じレンズ1830によって集光できて、コリメートされ、ダイクロイック・ビームスプリッタ1820およびロングパスフィルタ1840によってフィルタされて、単一チャネル検出器、検出器のアレイ、および/または低光レベルCCDが装備されたf/2 NIR分光器とすることができる検出器1850中へ集束される。本明細書に記載される特別にプログラムされたコンピュータとすることができるコンピュータ1860を用いてコンピュータ制御を達成できる。
【0063】
図19(a)~19(b)は、本開示の例示的な実施形態によるダブルクラッドファイバ・ボールレンズ・プローブを通しての代表的な壊死性コア、石灰化および脂肪線条プラークからのNIRAFスペクトルの例示的な測定結果を説明するグラフのセットを示す。例示的な生スペクトルが図19(a)に示される。抽出組織のNIRAFが約680~750nmの例示的放出ウィンドウ内で図19(b)に示される。壊死性コア・プラークは、ファイバ・バックグラウンドよりずっと強い信号を有しうる。
【0064】
図20は、633nmおよび740nmの2つの例示的な波長で発生した代表的な脂質含有(LPD)/糜爛性(Erosive)、石灰化(CA)および線維性(FB)アテローム動脈硬化性プラークからの積分自己蛍光強度の例示的な比のグラフを示す。組織の自己蛍光信号は、例えば、ダブルクラッドファイバで発生した強いシリカのラマン散乱を除外するために680~750nmのスペクトル・ウィンドウにわたって積分される。積分ウィンドウは、組織の自己蛍光対ファイバ・バックグラウンド比を最大にするように選択された。
【0065】
NIRAF分子イメージング・カテーテルシステムと、生体組織の病理学的状態のより包括的な観点を提供できる他の微細構造イメージング・モダリティとを結合することができる。本開示によるマルチモダリティNIRAFイメージング・カテーテルシステムの例示的な実施形態の概略ブロック図が図21に示される。図21のこの例示的な機器は、例えば、(本明細書に記載されるような、1つ以上のプロセッサを用いて画像を発生させることができる)微細構造イメージングシステム2105、シングルモード光ファイバ2110、エネルギー・ソース、例えば、近赤外レーザ2115、光ファイバ2120、デュアルモダリティ・ロータリジャンクション(rotary junction)2125、透明イメージング・シース2130、デュアルモダリティ光学イメージング・カテーテル2135、マルチモードファイバ2145、光検出器2150、データ取得システム2155ならびにデータ処理および記憶ユニット/装置2160を含むことができる。当然のことながら、複数のこれらの記載される各システム、装置および要素、または同様のデバイスを図21の例示的な機器中に、もしくはそれとともに含めるか、および/または実装することができる。
【0066】
微細構造イメージングシステム2105(例えば、光周波数領域イメージング、光干渉断層撮影、スペクトル符号化共焦点顕微鏡などのモダリティのうちの1つ以上を実装する1つ以上のシステム)は、組織の微細構造に関する情報および信号を取得するために組織2140から背面反射光を検出できる。NIRAF分子イメージングシステムは、組織2140から特異的な分子情報を検出できる。シングルモードファイバ2110によって微細構造イメージングシステム2105をデュアルモダリティ・ロータリジャンクション2125へ接続できる。NIRAFレーザ2115をデュアルモダリティ・ロータリジャンクション2125へ接続するためにシングルモードもしくはマルチモードファイバ2120を用いることができる。マルチモードファイバ2145は、例えば、NIRAF分子イメージング・モダリティが高い光スループットを達成するように、デュアルモダリティ・ロータリジャンクション2125を光検出器2150へ接続するのに好ましい光ファイバとすることができる。
【0067】
デュアルモダリティ・ロータリジャンクション2125は、2つの異なる光ビームを結合し、固定されたイメージングシステムから回転および並進するイメージング・カテーテル2135への間のインターフェースとしての役割を果たすことができる。マルチモダリティ・カテーテルは、デュアルクラッドファイバ2165、駆動軸2170、および透明なイメージング・シース2130に納められた遠位集束光学部品2175を含むことができる。イメージング・シース2130は、イメージング・カテーテル2135および組織2140を保護するために用いることができ、一方でイメージング・カテーテル2135は、回転および並進して組織2140のヘリカル走査を行う。デュアルモダリティ光学イメージング・カテーテル2135によって光学イメージング・ビーム2143を組織2140上へ集束できる。組織2140からの戻り光信号は、NIRAF分子イメージングシステムの微細構造イメージングシステム2105および光検出器2150によって検出される。NIRAFおよび微細構造2105システムの両方を同期させることができて、信号をデータ取得システム2155によって同時に取得できる。データ処理および記憶ユニット/装置/機器2160は、適切な操作のため、ならびにその後の可視化および分析のためにデータをリアルタイムで記録および/または処理できる。
【0068】
NIRAF分子イメージングシステムは、構成要素の選択にフレキシビリティを有する。ソース2115(例えば、NIRレーザ・ソース)は、連続波またはパルスモードのいずれかで動作できて、シングルもしくはマルチモードのいずれかの光ファイバ2120のいずれかへ結合できる。ファイバ2120、2145は、例えば、組織信号対バックグラウンド信号比を改善するために低バックグラウンド放出を有するように選択されるべきである。光検出器2150は、光学フィルタ、光学組立品、およびシングルチャネルまたはマルチチャネル検出のいずれかを含むことができる。シングルチャネル検出は、好ましい実施形態となりうる、光ダイオード、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管のうちのいずれかの使用を含むことができる。シングルチャネル検出のケースでは、光学組立品は、コリメートするための第1のレンズ、介在する光学フィルタおよび光を検出器へ集束させるための第2のレンズを含むことができる。光学組立品の第2の実施形態は、光をコリメートするための第1のレンズ、分散要素、例えば、プリズムもしくは格子など、分散光を集束させるための第2のレンズ、および光検出の前にスペクトル帯域幅を選択するためのスリットからなることができる。マルチチャネル検出スキームおよび/または構成は、スペクトル分散要素、例えば、格子、プリズム、分光器または連続したフィルタなど、および光検出器の使用を含むことができる。マルチチャネル検出スキームの実施形態は、分光器、NIRAF放出を分散させるための格子またはプリズム、およびそれを検出するための電荷結合検出器(CCD:charge coupled detector)、電子増倍電荷結合デバイス(electron multiplying charge coupled device)、CMOSカメラ、またはマルチチャネル光電子増倍器を含むことができる。第2の実施形態は、最も短い波長帯域が最初に反射されて、次に短い帯域がそれに続くように配置された一連のダイクロイックフィルタを用いる。これらのスペクトル帯域が次に多重シングルチャネル検出器によって検出される。
【0069】
当業者には当然のことながら、本開示の例示的な実施形態によれば、例示的な分子イメージングシステム2105は、イメージングおよびその比較を改善するために、以下には限定されないが、超音波(ultrasound,ultrasound)、光音響イメージングなどを含めて、非光学イメージング・モダリティを利用できる他のシステムと結合および/または統合できる。
【0070】
本開示の別の例示的な実施形態によるNIRAFカテーテルシステムの例示的な実施形態の概略図が図22に示される。この例示的な機器は、レーザまたは電磁放射の別のソース2210、光学的ロータリジャンクション2220、NIRAFカテーテル2230、分光器2260、マルチチャネル検出器2270ならびにデータ取得および記憶システム2280を含むことができる。当然のことながら、複数のこれらの記載される各システム、装置および要素、またはそれらと同様のものを図22に示される例示的な機器中に、もしくはそれとともに含めるか、および/または実装することができる。
【0071】
例えば、ソース(例えば、NIRAFレーザ)2210(NIRAF laser(2210)を、シングルモードまたはマルチモードとすることができる、光ファイバ2215によって光学的ロータリジャンクション2220へ接続できる。光学的ロータリジャンクション2220は、固定されたイメージングシステムから回転および並進するNIRAFカテーテル2230への間のインターフェースとしての役割を果たすことができる。ロータリジャンクション2220では、光がレンズ2222によってコリメートされ、レーザからのスプリアス放出を除去するためにダイクロイックミラー2224によってフィルタされて、第2のレンズ2226によってNIRAFイメージング・カテーテル2230中に集束される。NIRAFカテーテル2230は、光ファイバ2232、駆動軸2234、および透明なイメージング・シース2238に収められた遠位集束光学部品2236を含むことができる。光ファイバ2232は、デュアルクラッドファイバまたはマルチモードファイバのいずれかとすることができる。イメージング・シース2238は、イメージング・カテーテル2230および組織2240を保護するために用いることができ、一方でNIRAFカテーテル2230は、回転および並進して組織2240のヘリカル走査を行う。光学イメージング・ビーム2242をNIRAFカテーテル2230によって組織2240上へ集束できる。組織2240からの戻り光信号は、光学的ロータリジャンクション2230を通して戻され、ダイクロイックミラー2224によってフィルタされて、第3のレンズ2228によってマルチモードファイバ2250中へ結合され、分光器2260へ送られて、マルチチャネル検出器2270で検出される(detected a multichannel detector)。マルチチャネル検出器2270は、マルチチャネル光電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD:charge coupled device)、電子増倍電荷結合デバイス(EMCCD)、および/またはCMOSカメラとするか、またはそれらを含むことができる。データ処理および記憶機器/システム2280をマルチチャネル検出器2270および光学的ロータリジャンクション2220へ接続できる。データ処理および記憶機器/システム2280は、適切な操作のため、ならびにその後の可視化および分析のためにデータをリアルタイムで記録および/または処理できる。
【0072】
スペクトル比の例示的な計算/決定は、多重ダイクロイックミラーおよび単一チャネル検出器スキームを用いて達成できて、検出されるスペクトル帯域の位置および幅は、直列に配置されたダイクロイックミラーの波長に依存する透過および反射特性の選択によって制御される。本開示によるNIRAFカテーテルシステムの別の例示的な実施形態の概略図が図23に示される。この例示的な機器は、レーザまたは電磁放射のソース2310、光学的ロータリジャンクション2320、NIRAFカテーテル2330、多重フィルタ組立品、多重シングルチャネル検出器2370、2372、2374ならびにデータ取得および記憶システム2380を含むことができる。当然のことながら、複数のこれらの記載される各システム、装置および要素、またはそれらと同様のものを図23に示される例示的な機器中に、および/またはそれとともに含めるか、および/または実装することができる。
【0073】
図22に示される例示的な実施形態と同様に、ソース(例えば、NIRAFレーザ)2310レーザは、シングルモードまたはマルチモードのいずれかとすることができる、光ファイバ2315によって光学的ロータリジャンクション2320へ接続される。光学的ロータリジャンクション2320は、固定されたイメージングシステムから回転および並進するNIRAFカテーテル2330への間のインターフェースとしての役割を果たすことができる。光学イメージング・ビーム2342をNIRAFカテーテル2330によって組織2340上へ集束できる。組織2340からの戻り光信号は、光学的ロータリジャンクション2330を通して戻され、マルチモードファイバ2350中へ結合されて、多重フィルタ組立品へ送られる。多重フィルタ組立品は、コリメーティングレンズ2360、ロングパスフィルタ2362、最短波長カットオフにおけるダイクロイックミラー2364、および長い方の波長カットオフにおけるダイクロイックミラー2366を含むことができる。各ダイクロイックミラー2364、2366は、シングルチャネル検出器2372、2374ならびに、最も長い波長を受光する追加の検出器2376と対をなすことができる。図23は、例示的な3チャネル検出システムを示す。とはいえ、当然のことながら、フィルタリング段階および検出器の数を増やすことによってチャネルの数を増やすことが可能である。多重検出器および光学的ロータリジャンクション2320へデータ処理および記憶機器/システム2380を接続できる。データ処理および記憶機器/システム2280は、適切な操作のため、ならびにその後の可視化および分析のためにデータをリアルタイムで記録および/または処理できる。
【0074】
図24は、図21の図を参照して本明細書に記載されるようなマルチモダリティOCT-NIRAFシステムおよびカテーテルを用いて例示的なヒト冠状動脈から得られた2D NIRAFアンファス強度マップの代表的なイメージングを示す。この例では、新鮮なエクスプラント(explant)ヒト心臓が回収手順後24時間以内に画像化されてエクスビボ・イメージング研究に用いられた。OCT-NIRAFイメージングの前に、カテーテル・アクセスを容易にして冠状動脈内腔の自然な直径を維持するために内腔が10%リン酸緩衝生理食塩水でフラッシュされた。2D NIRAF強度マップのx軸は、縦方向の引き戻し位置に対応し、y軸は、走査角(すなわち、0~360度)に対応する。画像において、破線は、内膜過形成に対応し、一方で点線は、石灰化プラークである。縦軸は、イメージング角(0~360度)であり、横軸は、引き戻し方向(0~50mm)である。画像方位は、血管の遠位(左側)から近位(右側)である。カラーマップは、青(低NIRAF強度)から緑、黄および白(最高NIRAF強度)に及ぶ。
【0075】
図25(a)および25(b)は、破綻した壊死性コア・プラークに関して、包括的に走査した冠状動脈から抽出された合成OCT-NIRAF画像と対応する組織学切片との例示的な画像のセットを示す。OCT-NIRAF画像は、本明細書に記載され、図21に示されるようなマルチモダリティOCT-NIRAFシステムおよびカテーテルを用いて発生させた。例示的なOCT-NIRAF画像(図25(a)参照)では、OCT画像がプラーク破綻(矢印)および脂質プールまたは壊死性コアを示唆する高減衰エリア(星)の存在を示す。NIRAF信号は、壊死性コア位置にわたって高く、コントラストが良好である。対応する組織学画像(図25(b)参照)では、プラークが破綻した薄い線維性被膜を有するプラーク(thin-capped fiberatheroma)であることをH&E染色切片が確認する。両方の画像についてスケールバーは、1mmである。この例示的な結果は、重ね合わされた冠状動脈内OCTおよびNIRAFイメージングを標準治療として経皮的カテーテル処置を受けた、生きているヒト患者で実証することができて、炎症反応および酸化ストレスに関係するバイオマーカーの微細構造および蛍光イメージングを提供する。
【0076】
図26は、壊死性コア(NC)、病理学的内膜肥厚(PIT)、石灰化(CA)および内膜過形成(IH)を含む種々の冠状動脈病変タイプに関するカテーテル・ベースのNIRAF信号強度の例示的な表現の箱ひげ図を示す。NIRAF強度は、本明細書に記載され、図21に示されるようなマルチモダリティOCT-NIRAFシステムおよびカテーテルを用いて(using as described using)病気のヒト冠状動脈からエクスビボで取得された。NC、PIT、CAおよびIHからのNIRAF強度は、一元配置ANOVAによれば統計的に著しく相違した(p<0.0005)。スチューデントのt検定を用いると、NCプラークのNIRAF強度が非壊死性病変より著しく高かった(p<0.0005)。冠状動脈中の石灰化プラークは、PITより僅かに高いNIRAFを示した。この知見について考えられる1つの理由は、この研究では石灰化した冠状動脈プラークが進行して、かなりの細胞外脂質と共存したということである。これらの結果は、NIRAFが冠状動脈におけるNCプラークと非NCプラーク(CAおよびPIT)とを識別できることを示す。
【0077】
加えて、本開示の例示的な実施形態を、例えば、癌および神経変性疾患を含めて、他の疾患の分析および/または処置に用いることができる。
【0078】
図27は、本開示によるシステムの例示的な実施形態のブロック図を示す。例えば、本明細書に記載される本開示による例示的な手順を処理装置および/または計算装置2702によって行うことができる。かかる処理/計算装置/システム2702は、例えば、全体的または部分的に、以下には限定されないが、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサを含み、コンピュータ・アクセス可能媒体(例えば、RAM、ROM、ハードドライブ、または他の記憶デバイス)上に記憶された命令を用いることができる、コンピュータ/プロセッサ2704とするか、またはそれを含むことができる。
【0079】
図27に示されるように、例えば、(例えば、処理装置2702と通信を行う)コンピュータ・アクセス可能媒体2706(例えば、本明細書に先に記載されるように、記憶デバイス、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、メモリスティック、CD-ROM、RAM、ROM、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD:compact disc)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc)、もしくはBlu-ray Disc(BD)(商標))、フラッシュメモリデバイス、メモリカードなど、またはそれらの一群)を提供できる。コンピュータ・アクセス可能媒体2706は、実行可能な命令2708をその上に含むことができる。加えてまたは代わりに、コンピュータ・アクセス可能媒体2706とは分離して記憶装置2710を設けることができ、記憶装置2710は、例えば、本明細書において先に記載されたような、ある一定の例示的な手順、処理、および方法を処理装置が実行するように構成するために、処理装置2702に命令を与えることができる。
【0080】
さらにまた、例示的な処理装置2702は、例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット、イントラネット、データ収集プローブ、センサなどを含むことができる入力/出力インターフェース/装置2714を設けることができるか、またはそれらを含むことができる。I/Oインターフェース/装置2714は、入力および出力デバイスに通信インターフェースを提供するために用いることができて、入力および出力デバイスは、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインターフェース(例えば、ジェスチャ認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光記憶デバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブルおよび(有線または無線いずれかの)ネットワークを含んでもよい。図27に示されるように、例示的な処理装置2702は、例示的なディスプレイ装置2712と通信を行うことができ、ディスプレイ装置2712は、本開示のある一定の例示的な実施形態によれば、例えば、処理装置からの情報を出力するのに加えて、情報を処理装置へ入力するように構成されたタッチスクリーンとすることができる。さらにまた、データをユーザ・アクセス可能なフォーマットおよび/またはユーザ可読フォーマットで表示および/または記憶するために例示的なディスプレイ2712および/または記憶装置2710を用いることができる。
【0081】
検出器インターフェースも入力および出力デバイスへのI/Oインターフェースと連動するように設けることができる。検出器は、例えば、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)、光ダイオード、アバランシェフォトダイオード検出器(APD:avalanche photodiode detector)、電荷結合デバイス(CCD)、多画素フォトンカウンタ(MPPC:multi-pixel photon counter)などを含んでもよい。さらに、検出器の機能がコンピュータ・アクセス可能媒体2706上に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば、1つ以上のプログラム)によって実現されてもよい。
【0082】
本開示のさらに別の例示的な実施形態によれば、機器および方法を図28のフロー図に示されるように提供できる。例えば、エネルギー・ソースを用いて、少なくとも1つの第1の光放射を少なくとも1つの第1の波長において構造へ提供することが可能である(手順2810)。波長は、400nmと800nmとの間にあるように制御できる(手順2820)。検出器装置を用いて、少なくとも1つの第2の光放射を第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長において検出することが可能である(手順2830)。第2の光放射は、第1の光放射によって衝撃を受けた構造の少なくとも一部分の自己蛍光に基づくことができる。さらにまた、コンピュータ装置を用いて、第2の光放射に基づいて構造の部分(単数または複数)の少なくとも1つの第1の画像および少なくとも1つの傾斜の第2の画像を発生させることが可能である(手順2840)。
【0083】
例えば、第1または第2の画像を重ね合わせることができる。発生手順は、OCT画像、IVIS画像、血管造影画像、CT画像、またはMRI画像を得るステップを備えることができる。第2の画像は、第2の光放射の少なくとも2つの波長範囲の比の表示を含むことができる。
【0084】
以上は、本開示の原理を単に示すに過ぎない。本明細書における教示に鑑みて、当業者には記載される実施形態の様々な修正および変更が明らかであろう。実際、本開示の例示的な実施形態による装置、システムおよび方法を任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD-OCTシステムまたは他のイメージングシステムとともに用いることができ、および/またはそれらを実装することができ、さらに例えば、それらの開示が参照によりその全体にわたって本明細書に組み込まれる、2005年5月26日に国際公開第2005/047813号として公開された2004年9月8日出願の国際出願PCT/US2004/029148号、2006年5月4日に米国特許出願公開第2006/0093276号として公開された2005年11月2日出願の米国特許出願第11/266,779号、および2005年1月27日に米国特許出願公開第2005/0018201号として公開された2004年7月9日出願の米国特許出願第10/501,276号、ならびに2002年5月9日に公開された米国特許出願公開第2002/0122246号に記載されるシステムとともに用いることができる。従って、当然のことながら、当業者は、本明細書に明示的に示されも記載されもしないが、本開示の原理を具現し、従って、本開示の精神および範囲内にある多くのシステム、装置および方法を案出できるであろう。加えて、先行技術の知識が先に参照により本明細書に明示的に組み込まれなかった範囲内で、先行技術の知識がその全体にわたって本明細書に明示的に組み込まれる。さらにまた、本明細書に記載される複数の例示的な実施形態を互いに一緒におよび互換的に動作させることができる。本明細書において先に参照されたすべての刊行物は、参照によりその全体にわたって本明細書に組み込まれる。
【0085】
例示的な参考文献
以下の参考文献は、参照によりその全体にわたって本明細書に組み込まれる:
1.Signore A,Mather SJ,Piaggio G,Malviya G,and Dierckx RA.Molecular Imaging of Inflammation/Infection:Nuclear Medicine and Optical Imaging Agents and Methods.Chemical Reviews.2010;110:3112-3145.
2.Su HS,Nahrendorf M,Panizzi P,Breckwoldt MO,Rodriguez E,Iwamoto Y,Aikawa E,Weissleder R and Chen JW.Vasculitis:Molecular Imaging by Targeting the Inflammatory Enzyme Myeloperoxidase.Radiology.2012;262:181-190.

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25a
図25b
図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
血管中へ挿入されるように、構成、かつ構築されたカテーテルと、
少なくとも1つの第1の光放射を、600nmと900nmとの間にある少なくとも1つの第1の波長で前記カテーテルを通して前記血管へ供給するように構成されたエネルギー・ソースと、
少なくとも1つの第2の光放射を前記少なくとも1つの第1の波長とは異なる少なくとも1つの第2の波長で前記カテーテルを通して検出するように構成された検出器であって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射による衝突を受けた前記血管の少なくとも1つの部分の自己蛍光に基づいている、検出器と、
酸化ストレス、カルシウム、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性の少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性を決定するように構成されたプロセッサと、
を備え、前記プロセッサは、
前記検出器から、640nmと900nmとの間の範囲内で検出された少なくとも2つの第2の波長範囲を取得するように、そして
前記少なくとも2つの第2の波長範囲に基づいて、スペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするように構成されている、
機器。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するときに、
前記少なくとも2つの第2の波長範囲の比に基づいて、前記スペクトル形状データをキャラクタライズするように、さらに構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記スペクトル形状データをキャラクタライズするときに、
プロットの位置を前記比および積分スペクトル強度の関数として決定するように、
前記プロットの前記位置に基づいて、前記血管の少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記プロットの前記位置に基づいて、前記血管の少なくとも1つの特性を決定するときに、
前記プロットの前記位置に基づいて判定ラインを発生させるために、線形判別分析の実行に基づいて、前記血管の少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記プロットの前記位置に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するときに、
前記少なくとも1つの第2の光放射の強度に基づいて、前記血管の少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記スペクトル形状データまたは前記相対強度データをキャラクタライズするときに、
前記スペクトル形状データまたは前記相対強度データに基づいて、主成分分析(PCA)を実行するように、および、
前記主成分分析(PCA)に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記主成分分析(PCA)に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するときに、
主成分分析(PCA)に基づいて、第1および第2のPCAスコアを発生するように、
前記第1および第2のPCAスコアに基づいて、プロットの位置を決定するように、かつ、
前記プロットの前記位置に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記プロットの前記位置に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するときに、
前記プロットの前記位置に基づく象限判別分析(QDA)の実行に基づいて、前記血管の前記少なくとも1つの特性を決定するように、さらに構成されている、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の光放射は、第1の励起波長と第2の励起波長を備え、
前記プロセッサは、所見を画定するときに、
前記少なくとも1つの第2の光放射の強度に対して波長依存の正規化を適用するように、かつ、
前記第1の励起波長または前記第2の励起波長を用いて正規化された前記少なくとも1つの第2の光放射の前記強度に基づいて、前記所見を画定するように、さらに構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記第1の波長は、600nmと700nmとの間にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
前記血管は、壊死性プラークを有することが疑われる患者の内部に用意される、請求項1~10のいずれか一項に記載の機器。
【請求項12】
前記機器は、光コヒーレンストモグラフィーシステムまたは光周波数ドメインシステムを備え、
前記光コヒーレンストモグラフィーシステムまたは前記光周波数ドメインシステムは、少なくとも1つの第3の放射を試料へ、および少なくとも1つの第4の放射を参照へ供給するように構成され、前記第3および第4の放射の間の干渉である少なくとも1つの第5の放射を受光するように構成され、前記血管の前記少なくとも1つの特性の決定は、前記少なくとも1つの第5の放射のさらなる関数として実行される、請求項1~11のいずれか一項に記載の機器。
【外国語明細書】