(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133484
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】電子回路モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220907BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20220907BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
H05K9/00 Q
H01L23/12 J
H01L23/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019134877
(22)【出願日】2019-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘幸
【テーマコード(参考)】
5E321
5E338
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321AA17
5E321BB53
5E321CC06
5E321CC12
5E321GG05
5E338AA03
5E338BB05
5E338BB13
5E338BB71
5E338CC08
5E338EE02
5E338EE51
(57)【要約】
【課題】ボイドの発生を抑制しつつ、放熱用ビアを効率的に配置する。
【解決手段】電子部品が実装される実装面と、外部接続端子が設けられる背面とを有する回路基板を備えた電子回路モジュールであって、回路基板は、実装面に設けられ、複数の表層接地パターンを有する表層接地電極と、背面に設けられ、複数の背面接地パターンを有する背面接地電極と、表層接地電極と背面接地電極とを接続する複数の放熱用ビアと、を有し、回路基板の表層接地電極と背面接地電極とが重なる所定の領域において、複数の表層接地パターンの各々と、複数の背面接地パターンの各々とが、互いに重なる位置に配置されており、複数の放熱用ビアの各々が、表層接地パターンおよび背面接地パターンを回避した位置に配置されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される実装面と、外部接続端子が設けられる背面とを有する回路基板を備えた電子回路モジュールであって、
前記回路基板は、
前記実装面に設けられ、複数の表層接地パターンを有する表層接地電極と、
前記背面に設けられ、複数の背面接地パターンを有する背面接地電極と、
前記表層接地電極と前記背面接地電極とを接続する複数の放熱用ビアと、
を有し、
前記回路基板の前記表層接地電極と前記背面接地電極とが重なる所定の領域において、
前記複数の表層接地パターンの各々と、前記複数の背面接地パターンの各々とが、互いに重なる位置に配置されており、
前記複数の放熱用ビアの各々が、前記表層接地パターンおよび前記背面接地パターンを回避した位置に配置されている
ことを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項2】
前記回路基板の前記所定の領域において、
前記複数の表層接地パターンおよび前記複数の背面接地パターンがマトリクス状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子回路モジュール。
【請求項3】
前記回路基板の前記所定の領域において、
前記表層接地パターンの外形寸法および設置間隔と、前記背面接地パターンの外形寸法および設置間隔とが同一である
ことを特徴とする請求項2に記載の電子回路モジュール。
【請求項4】
前記回路基板の前記所定の領域において、
前記表層接地パターンの外形寸法と、前記背面接地パターンの外形寸法とが同一であり、前記表層接地パターンの設置間隔と背面接地パターンの設置間隔とのうち、一方の設置間隔が他方の設置間隔の整数倍である
ことを特徴とする請求項2に記載の電子回路モジュール。
【請求項5】
前記表層接地パターンおよび前記背面接地パターンは、前記表層接地電極および前記背面接地電極に対し、前記表層接地パターンおよび前記背面接地パターンの周囲にレジストを塗布することにより形成される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項6】
前記実装面と対向する矩形状の天板部と、前記天板部の4つの辺の各々から前記実装面側に向って垂設された側板部とを有し、前記実装面を覆うように設けられる金属カバーをさらに備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子回路モジュール。
【請求項7】
前記回路基板は、
前記実装面において、当該実装面の外周部に沿って環状に形成された外側表層接地電極を有し、
前記金属カバーは、
前記外側表層接地電極の全周に亘って、前記側板部が前記外側表層接地電極に半田付けされる
ことを特徴とする請求項6に記載の電子回路モジュール。
【請求項8】
前記回路基板は、前記実装面よりも前記背面側の層に設けられた下層接地電極と、前記実装面から前記背面側に延出する接地用ビアとを有し、
前記外側表層接地電極は、前記実装面において前記表層接地電極と分離して形成され、
前記表層接地電極と前記外側表層接地電極とは、前記接地用ビアを介してそれぞれ前記下層接地電極に接続されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電子回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置等に用いられる電子回路モジュールにおいて、回路基板の実装面に設けられた表層接地電極と、回路基板の背面(実装面と対向する面)に設けられた背面接地電極とを、放熱用ビアによって接続することにより、電子部品から発せられた熱を、回路基板の背面側に放熱できるようにした技術が考案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-210044号公報
【特許文献2】特開2010-021456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表層接地電極に表層接地パターン(半田付け用のランド)を設け、背面接地電極に背面接地パターン(半田付け用のランド)を設けた場合において、表層接地パターンと背面接地パターンとが重なる位置に放熱用ビアを設けた場合、半田付け時に放熱用ビアからのガスの流出によってボイドが生じる虞がある。そこで、表層接地パターンと背面接地パターンとを回避した位置に放熱用ビアを形成することで、ボイドの発生を抑制する方法が考えられる。しかしながら、従来、表層接地パターンと背面接地パターンとが互いに無関係に配置されるため、放熱用ビアの配置可能な領域(すなわち、表層接地パターンと背面接地パターンとを回避した領域)が比較的少なく、放熱用ビアを効率的に配置することができない。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、ボイドの発生を抑制しつつ、放熱用ビアを効率的に配置することが可能な技術の必要性を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の電子回路モジュールは、電子部品が実装される実装面と、外部接続端子が設けられる背面とを有する回路基板を備えた電子回路モジュールであって、回路基板は、実装面に設けられ、複数の表層接地パターンを有する表層接地電極と、背面に設けられ、複数の背面接地パターンを有する背面接地電極と、表層接地電極と背面接地電極とを接続する複数の放熱用ビアと、を有し、回路基板の表層接地電極と背面接地電極とが重なる所定の領域において、複数の表層接地パターンの各々と、複数の背面接地パターンの各々とが、互いに重なる位置に配置されており、複数の放熱用ビアの各々が、表層接地パターンおよび背面接地パターンを回避した位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、ボイドの発生を抑制しつつ、放熱用ビアを効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る電子回路モジュールの外観斜視図
【
図2】一実施形態に係る電子回路モジュールの外観斜視図
【
図3】一実施形態に係る電子回路モジュールが備えるICの構成を示す図
【
図4】一実施形態に係る電子回路モジュールの平面図
【
図5】
図4に示す電子回路モジュールのA-A断面図
【
図6】一実施形態に係る電子回路モジュールが備える回路基板(放熱用ビアが形成されていない状態)の平面図
【
図7】一実施形態に係る電子回路モジュールが備える回路基板(放熱用ビアが形成されていない状態)の底面図
【
図8】一実施形態に係る電子回路モジュールが備える回路基板(放熱用ビアが形成されていない状態)の平面図
【
図9】一実施形態に係る電子回路モジュールが備える回路基板(放熱用ビアが形成された状態)の平面図
【
図10】一実施形態に係る電子回路モジュールが備える回路基板の変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔一実施形態〕
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の特徴を判り易く説明するために、便宜的に回路基板の実装面のある側を上側、背面のある側を下側として説明を進めるが、このことは電子回路モジュールの使用時の方向を限定するものではなく、上下を逆転して使用したり、横に向けて使用したり、斜めに傾けて使用したりしても構わない。また、以下の説明では、「上方からの平面視において2つの部分が重なる」ことを、単純に「2つの部分が重なる」という場合もある。
【0010】
(電子回路モジュール100の概略構成)
図1および
図2は、一実施形態に係る電子回路モジュール100の外観斜視図である。
図1および
図2に示す電子回路モジュール100は、各種電気製品に実装されることにより、当該電子回路モジュール100が備える電子回路によって、特定の機能(例えば、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信機能)を実現するための装置である。
【0011】
図1および
図2に示すように、電子回路モジュール100は、全体的に薄型の直方体形状を有している。電子回路モジュール100は、回路基板110、IC(Integrated Circuit)120、および金属カバー130を備える。
図1は、金属カバー130が回路基板110に取り付けられた状態の電子回路モジュール100を示す。
図2は、金属カバー130が回路基板110に取り付けられていない状態の電子回路モジュール100を示す。
【0012】
回路基板110は、平板状且つ矩形状の部材である。回路基板110の表面は、各種電子部品が実装される実装面110Aとなっている。回路基板110としては、例えば、PWB(Printed Wiring Board)が用いられる。
【0013】
本実施形態では、実装面110Aに実装される電子部品の一例として、IC120を用いているが、これに限らず、実装面110Aには、その他の電子部品や、配線パターン等も実装され得る。
【0014】
図2に示すように、実装面110Aには、外側表層接地電極115が設けられている。外側表層接地電極115は、実装面110Aの外周部に沿って環状に形成された薄膜状の電極である。外側表層接地電極115には、金属カバー130が半田付けによって固定される。例えば、外側表層接地電極115は、各種導電膜(例えば、銅膜)が用いられて形成される。
【0015】
IC120は、電子回路モジュール100の電子回路が備える主要構成部品である。IC120は、例えば回路基板110の実装面110Aの中央部付近に実装される。IC120は、プロセッサ、メモリ等を備えて構成されている。例えば、IC120は、メモリに記憶されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、電子回路モジュール100の各種機能を実現する。
【0016】
金属カバー130は、回路基板110の実装面110Aを覆う金属製の部材である。金属カバー130は、矩形状の天板部130Aと、天板部130Aの四辺の各々から下方へ垂設された4つの側板部130Bとを有する。金属カバー130は、下部が開口した、薄型の直方体形状を有する。金属カバー130は、外側表層接地電極115の全周に亘って、4つの側板部130Bの各々が、外側表層接地電極115に対して半田付けによって固定およびグラウンド接続される。金属カバー130は、回路基板110の実装面110Aを覆うことにより、電子回路の一部であるIC120を外部の衝撃等から保護するとともに、IC120からの電磁波ノイズの漏出およびIC120への電磁波ノイズの侵入を抑制して、電磁波ノイズに対するシールド性を高めている。
【0017】
(IC120の構成)
図3は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備えるIC120の構成を示す図である。
図3(a)は、IC120の側面図である。
図3(b)は、IC120の底面図である。
図3(b)に示すように、IC120の底面の中央部には、矩形状の接地用端子121が設けられている。また、
図3(a)および
図3(b)に示すように、IC120の外周部には、複数の電気信号用端子122が並べて設けられている。
【0018】
(電子回路モジュール100の構成)
図4は、一実施形態に係る電子回路モジュール100の平面図である。
図5は、
図4に示す電子回路モジュール100のA-A断面図である。
【0019】
図4および
図5に示すように、回路基板110は、実装面110Aと背面110B(実装面110Aと対向する面)とを有している。回路基板110の実装面110Aには、複数の表層接地パターン111Aを有する表層接地電極111が設けられている。複数の表層接地パターン111Aは、実装面110Aの中央部付近に設定された実装領域110A1(IC120が実装される領域)に設けられている。
図4に示す例では、複数の表層接地パターン111Aは、いずれも矩形状を有している。
【0020】
また、
図4および
図5に示すように、複数の表層接地パターン111A上には、IC120が配置されている。IC120の底面に設けられた接地用端子121は、複数の表層接地パターン111Aの各々に対して、半田付けによって接続されている。
【0021】
また、
図5に示すように、回路基板110の背面110Bには、複数の背面接地パターン112Aを有する背面接地電極112が設けられている。複数の背面接地パターン112Aは、背面110Bの中央部付近に設定された内側領域110B1(上方からの平面視において、実装面110Aの実装領域110A1と重なる領域)に設けられている。また、
図5に示すように、複数の背面接地パターン112Aの各々は、上方からの平面視において、複数の表層接地パターン111Aの各々と重なる位置に設けられている。複数の背面接地パターン112Aの各々は、外部の基板(図示省略)に設けられた対応する電極に対して、半田付けによって接続される。
【0022】
また、
図5に示すように、背面110Bの外周部に設定された外側領域110B2(内側領域110B1を取り囲む領域)には、複数の外部接続端子114が設けられている。複数の外部接続端子114の各々は、外部の基板(図示省略)に設けられた対応する電極に対して、半田付けによって接続される。
【0023】
また、
図4および
図5に示すように、回路基板110における複数の表層接地パターン111Aの各々の周囲には、複数の放熱用ビア113が形成されている。放熱用ビア113は、回路基板110を上下方向に貫通する貫通孔形状を有しており、且つ、内壁に電極が形成されている。また、通常、放熱用ビア113の内部には樹脂や金属等の物質が充填されていても構わない。放熱用ビア113は、回路基板110の実装面110Aに設けられた表層接地電極111(
図6参照)と、回路基板110の背面110Bに設けられた背面接地電極112(
図7参照)とを接続する。放熱用ビア113は、電子部品であるIC120から発せられた熱を、回路基板110の背面110Bから外部(例えば、マザーボード)へ放出する(以下、IC120から発せられた熱を回路基板110の背面側に放熱するともいう)ために設けられている。
【0024】
また、
図5に示すように、回路基板110の実装面110Aにおいて、外側表層接地電極115は、表層接地電極111と分離して形成されている。そして、表層接地電極111と外側表層接地電極115とは、それぞれ実装面110Aから下方に延出する接地用ビア117を介して、実装面110Aと背面110Bとの間の層に設けられた内層接地電極116に接続されている。
【0025】
これにより、外部から金属カバー130に伝わる電磁波ノイズ(以下、外来ノイズともいう)を、外側表層接地電極115および接地用ビア117を介して、内層接地電極116へ逃がすことができる。また、接地用ビア117をインダクタ素子として機能させることで、高周波信号でもある外来ノイズが外側表層接地電極115から接地用ビア117を介して表層接地電極111に伝達されるのを抑制することができる。これにより、外部からIC120への電磁波ノイズの侵入を抑制することができる。また、同様にIC120から外部への電磁波ノイズの漏出を抑制することができる。
【0026】
また、外側表層接地電極115が表層接地電極111と分離されているため、金属カバー130を外側表層接地電極115に半田付けする際に、半田付け装置から加えられた熱を、IC120が配置されている実装面110Aの中央部側に加わり難くしたり、金属カバー130を外側表層接地電極115に半田付けする際に、半田118が実装面110Aの中央部側に流れ込んでしまうことを抑制したりすることができる。
【0027】
また、外側表層接地電極115を表層接地電極111と分離することにより、外側表層接地電極115の面積を小さくできるため、金属カバー130を外側表層接地電極115に半田付けする際に、半田付け装置から加えられた熱が外側表層接地電極115から過度に放熱されてしまうことを抑制することができる。
【0028】
このように、本実施形態の電子回路モジュール100は、電磁波ノイズに対するシールド性を高めつつ、金属カバーの半田付けに伴う不具合を抑制することができる。なお、このような効果は、表層接地電極111と外側表層接地電極115とが、接地用ビア117を介して、背面接地電極112と接続されていても得ることができる。すなわち、表層接地電極111と外側表層接地電極115とは、接地用ビア117を介して、実装面110Aよりも背面110B側の層に設けられた下層接地電極(内層接地電極116または背面接地電極112)と接続されていればよい。
【0029】
次に、
図6~
図9を参照して、表層接地パターン111A、背面接地パターン112A、および放熱用ビア113の配置位置について説明する。
【0030】
図6は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備える回路基板110(放熱用ビア113が形成されていない状態)の平面図である。
図6に示すように、回路基板110の実装面110Aの実装領域110A1には、複数の矩形状の表層接地パターン111Aがマトリクス状に配置されている。複数の表層接地パターン111Aは、実装面110Aに設けられた一枚の矩形状の表層接地電極111に対して、当該複数の表層接地パターン111Aが形成される領域の周囲にレジスト111Bを塗布することによって形成される露出部分(いわゆる、半田付け用のランド)である。このように、本実施形態の電子回路モジュール100は、表層接地電極111の所定の領域を複数の表層接地パターン111Aに区分することで、表層接地電極111を半田付けする際に、ボイドを逃がし易くすることが可能となっている。
【0031】
図7は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備える回路基板110(放熱用ビア113が形成されていない状態)の底面図である。
図7に示すように、回路基板110の背面110Bの内側領域110B1には、複数の円形状の背面接地パターン112Aがマトリクス状に配置されている。複数の背面接地パターン112Aは、背面110Bに設けられた一枚の矩形状の背面接地電極112に対して、当該複数の背面接地パターン112Aが形成される領域の周囲にレジスト112Bを塗布することによって形成される露出部分(いわゆる、半田付け用のランド)である。ここで、隣接する2つの背面接地パターン112Aの中心間隔D2は、隣接する2つの表層接地パターン111Aの中心間隔D1(
図6参照)と同じである。このように、本実施形態の電子回路モジュール100は、背面接地電極112の所定の領域を複数の背面接地パターン112Aに区分することで、背面接地電極112を半田付けする際に、ボイドを逃がし易くすることが可能となっている。
【0032】
図8は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備える回路基板110(放熱用ビア113が形成されていない状態)の平面図である。
図8では、回路基板110の平面図に対して、回路基板110の背面110Bに設けられた複数の背面接地パターン112Aが重ねて示されている。
【0033】
図8に示すように、複数の背面接地パターン112Aは、複数の表層接地パターン111Aと同じレイアウト(3×3のマトリクス状)に配置されている。また、隣接する2つの背面接地パターン112Aの中心間隔D2は、隣接する2つの表層接地パターン111Aの中心間隔D1と同じである。このため、
図8に示すように、上方からの平面視において、複数の背面接地パターン112Aの各々は、複数の表層接地パターン111Aの各々と重なる位置に配置されている。
【0034】
また、各背面接地パターン112Aの外形寸法(直径)は、各表層接地パターン111Aの外形寸法(一辺の長さ)と同じであるが、各背面接地パターン112Aの中心位置と、各表層接地パターン111Aの中心位置とが同じであるため、各背面接地パターン112Aは、表層接地パターン111Aの外周部から外側へはみ出さないように配置されている。
【0035】
図9は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備える回路基板110(放熱用ビア113が形成された状態)の平面図である。
図9に示すように、複数の表層接地パターン111Aの各々の周囲には、回路基板110を上下方向に貫通する複数の放熱用ビア113が形成されている。
【0036】
ここで、本実施形態の回路基板110は、複数の背面接地パターン112Aの各々が、複数の表層接地パターン111Aの各々と重なるように配置されているため、
図9に示すように、放熱用ビア113が表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aと重なってしまうことなく、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの周囲に、多数の放熱用ビア113を形成することができる。
【0037】
すなわち、本実施形態の電子回路モジュール100は、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの周囲に、より多数の放熱用ビア113を効率的に形成することができ、且つ、複数の放熱用ビア113の各々を、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aと重ならない位置(表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aを回避した位置)に形成することができる。
【0038】
このため、本実施形態の電子回路モジュール100は、IC120から発せられた熱の放熱効果をより高めることができる。また、本実施形態の電子回路モジュール100は、半田付け時において、放熱用ビア113からのガスの流出によるボイドの発生を抑制することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、表層接地パターン111Aの形状を矩形状、背面接地パターン112Aの形状を円形状としたが、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの形状はこれに限定されるものではない。表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの形状をともに円形状としたり、ともに矩形状としたりしても構わないし、表層接地パターン111Aと背面接地パターン112Aとのうちの一方を円形状や矩形状以外の形状(正多角形等)としても構わない。
【0040】
(回路基板110の変形例)
図10は、一実施形態に係る電子回路モジュール100が備える回路基板110の変形例を示す平面図である。
【0041】
図10に示す例では、回路基板110の実装面110Aの中央部には、5×5のマトリクス状に配置された、25個の表層接地パターン111Aが設けられている。一方、
図10に示す例では、回路基板110の背面110Bの中央部には、3×3のマトリクス状に配置された、9個の表層接地パターン111Aが設けられている。
【0042】
ここで、各背面接地パターン112Aの外形寸法(直径)は、各表層接地パターン111Aの外形寸法(一辺の長さ)と同じである。また、隣接する2つの背面接地パターン112Aの中心間隔D3は、隣接する2つの表層接地パターン111Aの中心間隔D1(
図6参照)の2倍である。
【0043】
このため、
図10に示すように、各背面接地パターン112Aは、表層接地パターン111Aの外周部から外側へはみ出さないように、表層接地パターン111Aと重なる位置に配置されている。
【0044】
これにより、本変形例の回路基板110は、
図10に示すように、放熱用ビア113が表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aと重なってしまうことなく、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの周囲に、多数の放熱用ビア113を形成することができる。
【0045】
なお、隣接する2つの背面接地パターン112Aの中心間隔は、隣接する2つの表層接地パターン111Aの中心間隔の3倍以上の整数倍であってもよい。また、隣接する2つの表層接地パターン111Aの中心間隔は、隣接する2つの背面接地パターン112Aの中心間隔の整数倍であってもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、IC120が実装される実装面110Aと、外部接続端子114が設けられる背面110Bとを有する回路基板110を備えた電子回路モジュール100であって、回路基板110は、実装面110Aに設けられ、複数の表層接地パターン111Aを有する表層接地電極111と、背面110Bに設けられ、複数の背面接地パターン112Aを有する背面接地電極112と、表層接地電極111と背面接地電極112とを接続する複数の放熱用ビア113と、を有し、回路基板110の表層接地電極111と背面接地電極112とが重なる所定の領域(実装領域110A1および内側領域110B1が該当)において、複数の表層接地パターン111Aの各々と、複数の背面接地パターン112Aの各々とが、互いに重なる位置に配置されており、複数の放熱用ビア113の各々が、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aと重ならない位置(表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aを回避した位置)に配置されている。
【0047】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの周囲に、より多数の放熱用ビア113を効率的に形成することができ、且つ、複数の放熱用ビア113の各々を、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aと重ならない位置に形成することができる。
【0048】
したがって、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100によれば、ボイドの発生を抑制しつつ、放熱用ビア113を効率的に配置することができる。そして、放熱用ビア113を効率的に配置することによって、IC120から発せられた熱を回路基板110の背面側に効率良く放熱できるようになる。
【0049】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、回路基板110において、複数の表層接地パターン111Aおよび複数の背面接地パターン112Aがマトリクス状に配置されている。
【0050】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、複数の放熱用ビア113の効率的な配置を、より容易に行うことができる。
【0051】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、回路基板110において、表層接地パターン111Aの外形寸法および設置間隔と、背面接地パターン112Aの外形寸法および設置間隔とが同一である。
【0052】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、複数の放熱用ビア113の効率的な配置を、より容易に行うことができる。
【0053】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、回路基板110において、表層接地パターン111Aの外形寸法と、背面接地パターン112Aの外形寸法とが同一であり、表層接地パターン111Aの設置間隔と背面接地パターン112Aの設置間隔とのうち、一方の設置間隔が他方の設置間隔の整数倍である。
【0054】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、複数の放熱用ビア113の効率的な配置を、より容易に行うことができる。
【0055】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100において、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aは、表層接地電極111および背面接地電極112に対し、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aの周囲にレジストを塗布することにより形成される。
【0056】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、表層接地パターン111Aおよび背面接地パターン112Aを容易に形成することができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、実装面110Aと対向する矩形状の天板部130Aと、天板部130Aの4つの辺の各々から実装面110A側に向って垂設された側板部130Bとを有し、実装面110Aを覆うように設けられる金属カバー130をさらに備える。
【0058】
このように、回路基板110の実装面110Aを金属カバー130で覆うことによって、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、電磁波ノイズに対するシールド性を高めることができる。
【0059】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100において、回路基板110は、実装面110Aにおいて、当該実装面110Aの外周部に沿って環状に形成された外側表層接地電極115を有し、金属カバー130は、外側表層接地電極115の全周に亘って、側板部130Bが外側表層接地電極115に半田付けされる。
【0060】
このように、外側表層接地電極115の全周に亘って、金属カバー130の側板部130Bを外側表層接地電極115に半田付けすることによって、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、電磁波ノイズに対するシールド性をさらに高めることができる。
【0061】
また、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100では、回路基板110の実装面110Aにおいて、外側表層接地電極115は、表層接地電極111と分離して形成されている。そして、表層接地電極111と外側表層接地電極115とは、それぞれ実装面110Aから下方に延出する接地用ビア117を介して、実装面110Aよりも背面110B側の層に設けられた下層接地電極(内層接地電極116または背面接地電極112)に接続されている。
【0062】
これにより、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール100は、電磁波ノイズに対するシールド性をさらに高めつつ、金属カバーの半田付けに伴う不具合を抑制することができる。一方、このような構造は、電子部品から発せられた熱を外周部側に放熱し難い構造となっているため、電子部品から発せられた熱を回路基板110の背面側に効率良く放熱できる本発明の特徴は、このような構造において特に有効である。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0064】
例えば、本発明は、金属カバーを有しない電子回路モジュール(例えば、電子部品が樹脂封止される電子回路モジュール)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 電子回路モジュール
110 回路基板
110A 実装面
110A1 実装領域
110B 背面
110B1 内側領域
110B2 外側領域
111 表層接地電極
111A 表層接地パターン
111B レジスト
112 背面接地電極
112A 背面接地パターン
112B レジスト
113 放熱用ビア
114 外部接続端子
115 外側表層接地電極
116 内層接地電極
117 接地用ビア
120 IC(電子部品)
121 接地用端子
122 電気信号用端子
130 金属カバー
130A 天板部
130B 側板部