(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133518
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20220907BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20220907BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B1/18 A
E06B3/32 A
E06B9/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032235
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】山本 丈志
(72)【発明者】
【氏名】谷内 勝昭
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CA01
2E014CD04
(57)【要約】
【課題】 障子が枠よりも室外側にはみ出しても網戸を取付けることのできる建具の提供。
【解決手段】 縦枠1と縦枠補助材2とを備え、縦枠1は、室外側の見付壁3の内周側縁部に縦枠補助材2の左右方向の移動を規制する規制部6を有し、縦枠補助材2は、網戸4の戸先が当接するものであって、樹脂部品5が取付けてあり、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に内周側から嵌め、樹脂部品5が縦枠1の見付壁3の室外側に位置して縦枠補助材2の見込方向の移動を規制してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と縦枠補助材とを備え、縦枠は、室外側の見付壁の内周側縁部に縦枠補助材の左右方向の移動を規制する規制部を有し、縦枠補助材は、網戸の戸先が当接するものであって、樹脂部品が取付けてあり、縦枠補助材を縦枠の見付壁に内周側から嵌め、樹脂部品が縦枠の見付壁の室外側に位置して縦枠補助材の見込方向の移動を規制してあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸を枠の室外側に持ち出して取付けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス呑み込み溝の溝幅が大きい障子を用いる場合、枠よりも障子が室外側にはみ出すことがあり、そのような場合でも網戸を取り付けたいという要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、障子が枠よりも室外側にはみ出しても網戸を取付けることのできる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、縦枠と縦枠補助材とを備え、縦枠は、室外側の見付壁の内周側縁部に縦枠補助材の左右方向の移動を規制する規制部を有し、縦枠補助材は、網戸の戸先が当接するものであって、樹脂部品が取付けてあり、縦枠補助材を縦枠の見付壁に内周側から嵌め、樹脂部品が縦枠の見付壁の室外側に位置して縦枠補助材の見込方向の移動を規制してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建具は、縦枠と縦枠補助材とを備え、縦枠は、室外側の見付壁の内周側縁部に縦枠補助材の左右方向の移動を規制する規制部を有し、縦枠補助材は、網戸の戸先が当接するものであって、樹脂部品が取付けてあり、縦枠補助材を縦枠の見付壁に内周側から嵌め、樹脂部品が縦枠の見付壁の室外側に位置して縦枠補助材の見込方向の移動を規制してあることで、障子が枠よりも室外側にはみ出しても網戸を取付けることができ、しかも縦枠補助材の取り付けが簡単に行え、施工性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】縦枠補助材の周辺を拡大して示す横断面図である。
【
図2】本発明の建具の一実施形態を示す横断面図である。
【
図4】
図2のA-A断面図であって、網戸を外したときの状態を示す。
【
図5】縦枠補助材への樹脂部品の取付け方を示す横断面図である。
【
図6】縦枠補助材を縦枠の見付壁に取付ける際の手順を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~4は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、ビル用の引違いサッシに適用したものであって、
図2,3に示すように、建物の躯体開口部に取付けられる枠8と、枠8内に引違い状に開閉自在に納めた外障子7a及び内障子7bと、外障子7aよりも室外側に左右方向に移動自在に設けた網戸4と、枠8の室外側に取付けた面格子49を備えている。
【0008】
枠8は、
図2,3に示すように、上枠9と下枠10と左右の縦枠1,1とを枠組みして構成してある。縦枠1は、
図1に示すように、室外側の見付壁3の内周側縁部に室内側に僅かに突出するリブ11が設けてあると共に、リブ11から外周側に離間した位置に室内側に向けて僅かに突出する突条(規制部)6が設けてある。突条6は、内周側に傾斜面12を有し、外周側面13は見付壁3と直角に形成されている。
【0009】
外障子7aと内障子7bは、
図2,3に示すように、上框14と下框15と戸先框16と召合せ框17とを框組みし、その内側にガラス(複層ガラス)18を納めて構成してある。外障子7aと内障子7bは、厚いガラス18を納めるためにガラス呑み込み溝19の溝幅が大きくなっており、そのため外障子7aが枠8よりも室外側にはみ出している。
【0010】
網戸4は、
図2,3に示すように、上框20と下框21と左右の縦框22,22とを框組みし、その内側に網23を張って構成してある。網戸4は、外障子7aと干渉しないように、枠8の室外側に持ち出した形になっており、上枠9の室外側端部に形成した垂下片24と、下枠10の室外側端部に形成した網戸レール25とに案内され、上下枠9,10の長手方向に沿って摺動可能となっている。
【0011】
本建具は、室外側に持ち出した網戸4の縦框22と縦枠1との間から虫が侵入するのを防止するため、
図2に示すように、縦枠1の室外側の見付壁3に縦枠補助材2を取付けてあり、網戸4の縦框22の外周側縁部に取付けたモヘア26が縦枠補助材2に当接している。
縦枠補助材2は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、
図1に示すように、見込壁27と室内側壁28と室外側壁29と中間壁30とを有し、室内側壁28と中間壁30との間に見込方向の建物側に位置する建物側溝31が外周側に向けて開放して形成され、室外側壁29と中間壁30との間に見込方向の建物と反対側に位置する反建物側溝32が外周側に向けて開放して形成されている。
見込壁27の外周側面の建物側溝31内には突条33が形成してある。縦枠1の見付壁3は、縦枠補助材2の建物側溝31内に室内側壁28の室外側に沿う形で挿入され、見付壁3の内周側端部が縦枠補助材2の突条33と室内側壁28との間に差し込まれている。また、縦枠補助材2の室内側壁28の外周側端部には室外側に向けて突出してリブ34が形成してあり、該リブ34が縦枠1の見付壁3の突条6と係止することで、縦枠補助材2の左右方向の移動が規制されている。
また縦枠補助材2は、見込壁27の外周側面の反建物側溝32内にも突条35が形成してあり、室外側壁29の外周側端部に室内側に向けて突出してリブ36が形成してあり、中間壁30の外周側端部には室外側に向けて突出してリブ37が形成してある。
【0012】
縦枠補助材2は、
図4に示すように、少なくとも上部と下部の二箇所に樹脂部品5が取付けてある。樹脂部品5は、硬質樹脂で形成したピース状の部品であり、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に固定する働きがある。樹脂部品5は、
図1に示すように、縦枠補助材2の建物側溝31内に挿入される規制部38と、反建物側溝32内に挿入される抜け止め部39を有している。規制部38と抜け止め部39との繋ぎ部分の内周側には略円形断面の溝40が形成してある。
規制部38は、内周側に縦枠補助材2の突条33を逃がす凹部41を有し、外周側に45°の傾斜面42が形成してある。規制部38の室内側面43は、外周側に向かうにつれて室内側に僅かに傾斜している。規制部38は、縦枠1の見付壁3と縦枠補助材2の中間壁30との隙間に見込方向に圧縮された状態で圧入され、縦枠1の見付壁3の内周側端から外周側に離間した位置(突条6が設けてある位置)を、縦枠補助材2の室内側壁28と樹脂部品5の規制部38とで挟持している。これにより、縦枠補助材2の見込方向の移動が規制され、縦枠補助材2が縦枠1の見付壁3にぐらぐらしないように固定されている。
抜け止め部39は、縦枠補助材2の反建物側溝32内の突条35とリブ36,37とに係止して反建物側溝32と嵌合することで、樹脂部品5が縦枠補助材2から外れないように抜け止めしている。
【0013】
縦枠補助材2は、上述した樹脂部品5による固定のみでも十分であるが、
図4に示すように、念のために縦枠補助材2の上端部と下端部の二箇所をねじ(タッピングねじ)44で固定してある。ねじ44は、内周側から縦枠補助材2の見込壁27に形成した孔(図示省略)に通し、後述する面格子取付ブラケット45取付用のねじ46と同様に、縦枠1の見付壁3と縦枠補助材2の中間壁30との隙間に螺入してある(
図1参照)。このように、縦枠1の見付壁3と縦枠補助材2の中間壁30との隙間にねじ44を螺入することで、縦枠補助材2の上下方向の移動が規制され、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3により強固に固定できる。
【0014】
次に、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に取付ける際の手順を説明する。まず、縦枠補助材2の長手方向の所定の位置に樹脂部品5を取付ける。樹脂部品5の取付けは、
図5(a)の矢印に示すように、規制部38側を縦枠補助材2の建物側溝31に指で押し込み、次に
図5(b)の矢印に示すように、抜け止め部39側を反建物側溝32に指で押して嵌め込み、
図5(c)に示す状態で樹脂部品5を取付ける。
その後、
図6(a)に示すように、縦枠補助材2を外周側に傾けた状態で樹脂部品5の規制部38と室内側壁28との間に縦枠1の見付壁3の内周側端部を当て、縦枠補助材2を内周側に回しながら樹脂部品5の規制部38と室内側壁28との間に縦枠1の見付壁3の内周側端部を嵌め込む。
縦枠補助材2の室内側壁28のリブ34が縦枠1の見付壁3のリブ11を超えたら、
図6(b)に示すように、縦枠補助材2を外周側に向けて強く押し込む。
すると、
図6(c)に示すように、縦枠補助材2の室内側壁28のリブ34が縦枠1の見付壁3の突条6を乗り越えることで縦枠補助材2の左右方向の移動が規制され、同時に縦枠1の見付壁3が縦枠補助材2の室内側壁28と樹脂部品5の規制部38とで挟持されることで縦枠補助材2の見込方向の移動が規制されて、縦枠補助材2が縦枠1の見付壁3に固定される。
【0015】
面格子49は、
図2,4に示すように、縦枠補助材2に取付けた面格子取付ブラケット45に取付けてある。面格子取付ブラケット45は、
図1に示すように、室内側端部に縦枠補助材2の見込壁27と室外側壁29とに当接するように略L字型に折り曲げられた取付部47と、縦枠補助材2の室外側端部外周側に係止する係止部48とを有し、取付部47に内周側から挿入したねじ(タッピングねじ)46を縦枠1の見付壁3と縦枠補助材2の中間壁30との隙間に螺入することで、縦枠補助材2に取付けてある。本建具は、このように縦枠補助材2に面格子取付ブラケット45を取付けることで、網戸4に加えて面格子49も取付可能である。
【0016】
以上に述べたように本建具は、縦枠1と縦枠補助材2とを備え、縦枠1は、室外側の見付壁3の内周側縁部に縦枠補助材2の左右方向の移動を規制する規制部(突条)6を有し、縦枠補助材2は、網戸4の戸先が当接するものであって、樹脂部品5が取付けてあり、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に内周側から嵌め、樹脂部品5が縦枠1の見付壁3の室外側に位置して縦枠補助材2の見込方向の移動を規制してあることで、障子7aが枠1よりも室外側にはみ出しても網戸4を取付けることができ、しかも縦枠補助材2は縦枠1の見付壁3に内周側から嵌めるだけで簡単に取付けできるので、施工性が良い。
縦枠補助材2は、見込方向の建物側に位置する建物側溝31を有し、樹脂部品5は、建物側溝31内に挿入した規制部38を有し、縦枠補助材2の室内側壁28と樹脂部品5の規制部38とで縦枠1の見付壁3を挟持していることで、縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に簡単に且つ確実に取付けできる。
また本建具は、縦枠1の見付壁3の内周側端から外周側に離間した位置を縦枠補助材2の室内側壁28と樹脂部品5とで挟持していることで、縦枠補助材2の室外側が内外周方向に振れるのを防止し、縦枠補助材2をより強固に固定できる。
縦枠補助材2は、見込方向の建物と反対側に反建物側溝32を有し、樹脂部品5は、反建物側溝32に嵌合して抜け止めする抜け止め部39を有するので、樹脂部品5をあらかじめ縦枠補助材2に取付けた状態で縦枠補助材2を縦枠1の見付壁3に取付けることができ、施工性が一層向上する。
【0017】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。縦枠と縦枠補助材の断面形状や材質は、適宜変更することができる。樹脂部品の具体的な形状、材質は、適宜変更することができる。樹脂部品は、縦枠補助材を縦枠の見付壁に嵌めた後に取付けるものであってもよい。本発明の建具は、網戸を有さず、面格子を取付けるために縦枠補助材を取付けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 縦枠
2 縦枠補助材
3 見付壁
4 網戸
5 樹脂部品
6 突条(規制部)