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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133586
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】空調服用ファンユニット
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20220907BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A41D13/002 105
F04D25/08 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032345
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】593161375
【氏名又は名称】山真製鋸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
【テーマコード(参考)】
3B011
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC03
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA97A
3H130DF08X
3H130DF09X
3H130DJ03X
3H130EB02Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電源ケーブルのプラグが外れたり、外れる毎にプラグが摩耗することで接続不良が発生するなど、電源ケーブルに係るクレームが多い。その問題を解消した空調服用ファンユニットを提供する。
【解決手段】ファンとモータをケーシングに収容して単体品とする。保護ガード5aの隣り合う二つのリブ9、9を筒面の一部として含めて形成され、二つのリブ9、9間の隙間を閉じる筒状部21を備え、バッテリー29からファンに電源を供給する電源コード27が、筒状部21に通されている。バッテリー29は、ファン駆動用にUSBバスパワーにより充電可能な二次電池で構成されている。衣服にはバッテリー29等を収容した角箱状部分の重さが掛かることになるが、この収容状態のままで充電できることから、充電のための取外しを不要とし、その分だけ角箱状部分のコンパクト化、軽量化を図れる。また、電源コード27が露出していない。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の嵌着穴に嵌着されて、ファンの駆動により身体と前記衣服との間に気流を形成することにより、前記身体の表面から出る汗を気化させて前記身体から熱を奪うことで冷却する空調服用ファンユニットにおいて、
モータの駆動により回転羽根を回転させて気流を形成するファンと、
前記ファンのモータに電源を供給するバッテリーと、
前記ファンと前記バッテリーを収容するケーシングと、
前記ケーシングに設けられた操作部と、
前記ファンにより形成された気流の上流側と下流側で前記回転羽根に対面するようにそれぞれ前記ケーシングに配置され、リブが放射状に広がる保護ガードと、
前記保護ガードの隣り合う二つのリブを筒面の一部として含めて形成され、前記二つのリブ間の隙間を閉じる筒状部とを備え、
前記バッテリーから前記ファンに電源を供給する電源コードが、前記筒状部を通されていることを特徴とする空調服用ファンユニット。
【請求項2】
請求項1に記載した空調服用ファンユニットにおいて、
バッテリーは、ファン駆動用にUSBバスパワーにより充電可能な二次電池で構成されており、ケーシングに設けられたUSBコネクタを介して充電されることを特徴とする空調服用ファンユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載した空調服用ファンユニットにおいて、
ケーシングはファンの回転羽根を囲う丸箱状部分の接線方向に、角箱状部分の長手方向が一致するように連設されて一体化されていることを特徴とする空調服用ファンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を吹き付けて身体を冷やす空調機構を備えた空調服に係り、特に、当該空調機構を実現する空調服用ファンユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の空調服は、ファンの回転で空気を取込み、身体と衣服との間に気流を形成することにより、身体の表面から出る汗を気化させて身体から熱を奪うことで冷却する原理に基づいている。
工事現場等で働く作業員は安全性を考慮して厚手の作業服を着なければならず、夏場には大量の汗をかき易い。この場合、身体と衣服との間に熱が籠って熱中症になり易い。このような問題を解消するために、特許文献1に記載のような空調服が開発され、作業員には愛用されていたが、最近では、空調服の快適さが広く知られるようになっており、上記した作業用だけでなく、通常の日常生活で着用する日常着としても利用されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-132040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ファンは衣服の穴に嵌着するので、重くなると衣服が引っ張られてしまうことから、従来は、ファンとバッテリーを別体とし、バッテリーをポケットに収容し、ファンとは電源ケーブルで繋いで衣服の内面に沿わせていた。
しかしながら、ファンに繋いだ電源ケーブルのプラグが外れたり、外れる毎にプラグが摩耗したりすることで接続不良が発生するなど、空調服のクレームには電源ケーブルに係るものが多い。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、軽量化を図りつつ、ファンとバッテリーを一体化することで、電源ケーブルのプラグが外れることに伴う問題を解消できた、新規かつ有用な空調服用ファンユニットを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために為されたものであり、請求項1の発明は、衣服の嵌着穴に嵌着されて、ファンの駆動により身体と前記衣服との間に気流を形成することにより、前記身体の表面から出る汗を気化させて前記身体から熱を奪うことで冷却する空調服用ファンユニットにおいて、モータの駆動により回転羽根を回転させて気流を形成するファンと、前記ファンのモータに電源を供給するバッテリーと、前記ファンと前記バッテリーを収容するケーシングと、 前記ケーシングに設けられた操作部と、前記ファンにより形成された気流の上流側と下流側で前記回転羽根に対面するようにそれぞれ前記ケーシングに配置され、リブが放射状に広がる保護ガードと、前記保護ガードの隣り合う二つのリブを筒面の一部として含めて形成され、前記二つのリブ間の隙間を閉じる筒状部とを備え、前記バッテリーから前記ファンに電源を供給する電源コードが、前記筒状部を通されていることを特徴とする空調服用ファンユニットである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した空調服用ファンユニットにおいて、バッテリーは、ファン駆動用にUSBバスパワーにより充電可能な二次電池で構成されており、ケーシングに設けられたUSBコネクタを介して充電されることを特徴とする空調服用ファンユニットである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した空調服用ファンユニットにおいて、ケーシングはファンの回転羽根を囲う丸箱状部分の接線方向に、角箱状部分の長手方向が一致するように連設されて一体化されていることを特徴とする空調服用ファンユニットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空調服用ファンユニットによれば、ファンとバッテリーを一体化しても軽量化されており、更に、電源ケーブルのプラグが外れることに伴う問題を解消できている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る空調服用ファンユニットの斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1を別方向から見た斜視図である。
図4図1の一部破断正面図である。
図5図1の下面図である。
図6図1の空調服用ファンユニットを上着に取り付けた状態を示す。
図7図6の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る空調服用ファンユニット1を図面にしたがって説明する。
図1図4に示すように、空調服用ファンユニット1はプラスチック製のケーシング3で囲われて単体品として構成されている。このケーシング3の内部は、ファン25の収容部とバッテリー29等の収容部になって仕切られている。
ファン25の収容部は丸箱状に、バッテリー29等の収容部は角箱状にそれぞれなっており、丸箱状部分5に角箱状部分15が連設されて一体化されている。
【0012】
ケーシング3の丸箱状部分5の軸方向両端面に保護ガード5a、5eが配置されており、保護ガード5a側が空気の吹出し側、保護ガード5e側が空気の吸込み側にそれぞれ対向している。
丸箱状部分5の円筒部は二重筒構造で、保護ガード5a側に丸箱状部分5の外形をなす外円筒部5bが連設されており、その内周面には雌ネジ5cが形成されている。また、外円筒部5bの外方に延びる外フランジ5dが連設されている。
一方、保護ガード5e側に丸箱状部分5の内側に隠れる内円筒部5fが連設されており、その外周面には雄ネジ5gが形成されている。また、内円筒部5fの外方に延びる外フランジ5hが連設されている。
雌ネジ5cと雄ネジ5gとの螺合により、外円筒部5bに内円筒部5fが収まった状態で一体化され、その軸方向両端面で保護ガード5aと保護ガード5eが対向する。
【0013】
保護ガード5aは、外円筒部5bの軸心に配置された円盤状のガードマーク7から、放射状に均等に延び出たリブ9、9、……で構成されており、これらのリブ9、9、……は外円筒部5bの縁に到達して一体化している。保護ガード5a側は空気の吹出し側になっており、衣服と身体との間に隙間を作るために、リブ9、9、……が外方に向かって立ち上がっており、ガードマーク7側が外方に膨らんだフード形になっている。そして、この周方向に隣り合うリブ9とリブ9との間が通風路になっている。リブ9は帯板状になっており、板面9aが周方向を向いている。
【0014】
保護ガード5e側も、保護ガード5a側と同様に構成されており、内円筒部5fの軸心に配置された円盤状のガードマーク11から、放射状に均等に延び出たリブ13、13、……で構成されており、これらのリブ13、13、……は内円筒部5fの縁に到達して一体化している。保護ガード5e側は空気の吸込み側になっており、衣服に装着すると衣服の外面と凹凸無く連なるように平面状になっている。そして、この周方向に隣り合うリブ13とリブ13との間が通風路になっている。リブ13は細棒状になっている。
【0015】
保護ガード5a側の外円筒部5bに角箱状部分15が連設されている。角箱状部分15は4つの横長の長方形面部で囲まれた直方体状になっており、丸箱状部分5の接線方向にいずれかの長方形面部の長手方向が一致するように連設されて一体化されてケーシング3になっている。このケーシング3は、保護ガード5e側はほぼ平面状になっているが、保護ガード5a側は、保護ガード5aの膨らんだ分だけ凸状になっている。
衣服には、空調服用ファンユニット1を角箱状部分15が横長長方形になるように装着するので、角箱状部分15の長方形面部の連設側と反対側が下面部15aになっており、図7に示すように、この下面部15aに操作ボタン17が配設されている。また、一方の側面部15bにUSBコネクタ19が配設されている。
【0016】
保護ガード5a側の周方向に隣り合うリブ9とリブ9との間のうち、角箱状部分15に向かう一箇所では、筒状部21が一体に成形されている。筒状部21はリブ9とリブ9の対向する板面9a、9aを筒面の一部として含めて成形されている。筒状部21の板面9aと板面9aとの間の筒面は、リブ9よりも外方にも内方にも殆ど突出していない。
二つのリブ9、9間の隙間が閉じられているように見えるが、トンネル状になっており、内部の通路21aはガードマーク7側と外円筒部5bの縁側で開通して、ガードマーク7側が上端開口、外円筒部5bの縁側が下端開口になっている。筒状部21は上下方向に延びる位置で形成されており、通路21aの下端開口は角箱状部分15と丸箱状部分5との間の仕切り23を上下方向に貫通した貫通路23aに上下方向で連通している。
【0017】
丸箱状部分5にファン25が収容されている。ファン25は、有底円筒状のハブ25aに複数の回転羽根25b、25b、……が取り付けられている。丸箱状部分5の保護ガード5a側のガードマーク7には外円筒部5bの内部に突出するモータ(図示省略)が固定されており、その出力軸にハブ25aが被せられ固定されている。
【0018】
モータには電源コード27の一端側が接続されている。この電源コード27は一端側から下方に向かって延びている。電源コード27のモータの接続部位の近傍に筒状部21の上端開口が配置されているので、電源コード27は丸箱状部分5に殆ど露出することなく、筒状部21に通されており、その下端開口から引き出されているが、引き出された先方では直ぐ下方の貫通路23aを通り抜けて、角箱状部分15に入り込んでいる。このように、丸箱状部分5の内部では、電源コード27は筒状部21に収納された状態になっており、回転羽根25b、25b、……が回転しても、その回転に干渉することは無い。
【0019】
角箱状部分15には、バッテリー29が基板31に取り付けられた状態で収容されている。バッテリー29は横長に寝かせた状態になっており、基板31の上面に取り付けられている。バッテリー29はリチウムイオン二次電池で、USBバスパワーにより充電可能になっている。基板31にはUSBコネクタ19も接続されており、USBコネクタ19に接続された外部電源から電源供給を受けてバッテリー29が充電されるようになっている。この基板31には、角箱状部分15に引き出された電源コード27の他端側と操作ボタン17も取り付けられている。操作ボタン17はモータのON/OFFスイッチになっており、操作部としての操作ボタン17を押すと、バッテリー29から電源供給を受けてモータが駆動し、回転羽根25b、25b、……が回転し、再び、操作ボタン17を押すと、モータが停止し、回転羽根25b、25b、……が回転を止める。
【0020】
空調服用ファンユニット1は、上記のように構成されている。
空調服用ファンユニット1を装着する衣服は上着でもズボンでもよいが、以下では、上着に装着した例について説明する。
図6図7に示すように、上着33の背中側の下部には、中央を境にして左右対称的に円形の嵌着穴33a、33aが設けられており、それぞれに空調服用ファンユニット1、1を装着するようになっている。
【0021】
空調服用ファンユニット1から、保護ガード5e側を取外しておき、上着33の表地側から嵌着穴33aに保護ガード5e側の内円筒部5fを差入れ、裏地側に突出させる。そして、その突出した内円筒部5fに保護ガード5a側の外円筒部5bを取り付けて、雌ネジ5cと雄ネジ5gを螺合状態にする。その後、螺進させて、嵌着穴33aの穴縁を、外フランジ5dと外フランジ5hで強固に挟持した状態にする。これにより、丸箱状部分5が作られると共に、上着33に空調服用ファンユニット1が装着される。
【0022】
この装着状態では、図7に示すように、上着33の裏地側に、ケーシング3の丸箱状部分5の外円筒部5bが配置され、その下側に角箱状部分15が連なっている。
嵌着穴33aの穴縁には、バッテリー29等を収容した角箱状部分15の重さが掛かることになるが、バッテリー29はUSBバスパワーにより充電可能なリチウムイオン二次電池で構成されており、この収容状態のままで充電できる。バッテリー29の交換を可能とするために、角箱状部分15は蓋体15cをビス15dで止めることで開閉可能になっているが、充電の度に取り外すことは不要であり、その分だけ角箱状部分15をコンパクト化できる。また、コンパクト化により、軽量化も図れている。従って、バッテリー29側が吊り下がっているような不快感は無い。
また、電源コード27が露出していないので、ファン25に繋いだ電源コード27のプラグが外れたり、外れる毎にプラグが摩耗したりすることで接続不良が発生するなどの問題が解決されている。
【0023】
モータの駆動により回転羽根25b、25b……が回転すると、気流が発生する。回転羽根25b、25b……を挟んで、この気流の上流側、すなわち吸込み側では保護ガード5eが、下流側、すなわち吹出し側では保護ガード5aが対向している。従って、矢印に示すように、空気が吹き出される。
上着33を着たときに身体と上着33との間に形成された気流は、身体の表面から出る汗を気化させて身体から熱を奪うことで冷却する。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上着には合羽、ジャケット、ベスト等種々のものが含まれており、それぞれの、作業着や日常着などの用途に応じてデザインは変わる。
いずれにしても、特許請求されている形状等を除いては、本発明の範囲は限定されず、従来からあるまたは将来案出される形状や素材を任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0025】
1…空調服用ファンユニット 3…ケーシング 5…丸箱状部分
5a…保護ガード 5b…外円筒部 5c…雌ネジ 5d…外フランジ
5e…保護ガード 5f…内円筒部 5g…雄ネジ 5h…外フランジ
7…ガードマーク 9…リブ 9a…板面 11…ガードマーク
13…リブ 15…角箱状部分 15a…下面部 15b…側面部
15c…蓋体 15d…ビス 17…操作ボタン 19…USBコネクタ
21…筒状部 21a…通路 23…仕切り 23a…貫通路
25…ファン 25a…ハブ 25b…回転羽根 27…電源コード
29…バッテリー 31…基板 33…上着 33a…嵌着穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7