(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133595
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】内燃機関用のアクチュエータの制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20220907BHJP
F02D 15/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
F02D45/00 360A
F02D15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032357
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 佳裕
(72)【発明者】
【氏名】永井 希志郎
【テーマコード(参考)】
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G092DD04
3G092DF04
3G092DG08
3G092HE09X
3G384BA22
3G384DA05
3G384FA87Z
(57)【要約】
【課題】 低温時の応答性を確保可能な内燃機関用のアクチュエータの制御装置を提供すること。
【解決手段】 本発明では、内燃機関用のアクチュエータの制御装置において、所定温度よりも温度が低い場合に、前記所定温度よりも温度が高い場合と比較して、アクチュエータのモータに供給する電流の電流制限値が高い構成とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記制御装置は、
前記アクチュエータのモータの駆動指令を出力する駆動指令出力部と、
環境温度に応じて前記駆動指令を制限する駆動指令制限部であって、前記環境温度が低いほど前記駆動指令の制限が高い前記駆動指令制限部と、
を有することを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令制限部は、前記環境温度が低いほど前記環境温度の変化に対する前記駆動指令の制限値の上昇量が大きいことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記内燃機関の潤滑油が供給されて摺動する摺動部を有する
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令は、前記モータの駆動電流であり、
前記駆動指令制限部は、前記モータの前記駆動電流を制限することを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令の前記制限値は、前記環境温度に応じて階段状に変化する
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令の前記制限値は、前記環境温度に応じて連続的に変化する
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令制限部は、
前記環境温度が所定よりも高いときに、前記駆動指令の制限値を一定にし、
前記環境温度が前記所定以下のときに、前記駆動指令の制限値を前記環境温度が低いほど高くする
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記駆動指令制御部は、前記駆動指令の制限値が所定よりも高い状態が所定時間続いたときに、前記制限値を低くする
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記環境温度は、前記内燃機関のメインギャラリーの温度を用いる
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記アクチュエータは、前記内燃機関の潤滑油が流れる油路を有し、
前記環境温度は、前記油路を流れる前記潤滑油の温度を用いる
ことを特徴とする内燃機関用のアクチュエータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用のアクチュエータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動モータによって制御軸の回転位置を変更することで、内燃機関のピストンの上死点位置と下死点位置の少なくとも一方を変化させて、機関圧縮比を変更可能なアクチュエータである可変圧縮比機構が開示され、ストッパ突き当てによる初期位置学習を行っている。ここで、エンジン制御ユニット9は、電動モータ31の電流指令値が電流制限値CLを上回るときに電流制限値CLを電流指令値とすることで、電流指令値が電流制限値CLを上回ることがないようにしており、電流制限値CLは正回転及び負回転で可変となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術にあっては、ストッパに当接するときの電流制限値を規定しているが、低温時の応答性については改良の余地があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、低温時の応答性を確保可能な内燃機関用のアクチュエータの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、内燃機関用のアクチュエータの制御装置において、所定温度よりも温度が低い場合に、前記所定温度よりも温度が高い場合と比較して、アクチュエータのモータに供給する電流の電流制限値が高い構成とした。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明は低温域でのアクチュエータ駆動が可能となり、低温域における内燃機関の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。
【
図2】環境温度と電動モータに必要なトルクと電流との関係を表すグラフ及びアクチュエータコントロールユニット11内に設定される電流制限値マップの特性図である。
【
図3】実施形態2の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。
【
図4】実施形態3の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。
【
図5】実施形態4のアクチュエータコントロールユニット11内に設定される電流制限値の特性図である。
【
図6】実施形態5の可変圧縮比機構のアクチュエータを低温域で制御した際の電流指令値及び実電流値の変化を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
【0010】
図1は、実施形態1の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。可変圧縮比機構のアクチュエータについては、特開2011-169251号公報の
図1に記載されたものと同じであるため、詳述を省略する。
【0011】
アクチュエータシステム1は、アクチュエータコントロールユニット11と、アクチュエータ12と、電動モータ13と、減速機14と、駆動部15とを有する。アクチュエータコントロールユニット11は、内燃機関であるエンジンを制御するエンジンコントロールユニット2からの指令値や各種情報に基づいてアクチュエータ12の制御情報を演算する演算部と、電動モータ13へ駆動指令である電流指令値(駆動電流とも記載する。)を出力する駆動指令部と、電流指令値に制限をかける電流指令値制限部と、を有する。尚、電流指令値は、例えばON-OFF Duty制御を行う場合はDuty比等で表される。
【0012】
電動モータ13は、電流指令値に基づいて供給された実電流値によってトルクを発生し、減速機14を介して駆動部15を駆動し、アクチュエータ12を作動する。これにより、電動モータ13によって駆動部15である制御軸の回転位置を変更し、リンク機構等からなるアクチュエータ12によって内燃機関のピストンの上死点位置と下死点位置の少なくとも一方を変化させ、機関圧縮比を変更する。
【0013】
エンジンコントロールユニット2は、エンジン内の潤滑油供給を行うメインギャラリーに設置されたメインギャラリー油温センサ3から油温を取得し、アクチュエータコントロールユニット11に油温情報を出力する。メインギャラリーから供給された潤滑油は、クランクシャフトの軸受部等に供給され、各摺動部を潤滑する。よって、エンジン内のフリクションは、潤滑油の粘性抵抗と相関を有し、粘性抵抗はメインギャラリーの油温と相関を有する。よって、メインギャラリー油温情報を取得することで、エンジン内のフリクションに応じた制御ができる。尚、メインギャラリー油温情報のように、環境温度を取得することが重要である。環境温度とは、アクチュエータ12に作用する負荷トルクのうち、温度依存因子となっているものの温度、すなわち、温度によって負荷トルクが変化する際の傾向との相関が高い温度を意味する。
【0014】
図2は、環境温度と電動モータに必要なトルクと電流との関係を表すグラフ及びアクチュエータコントロールユニット11内に設定される電流制限値マップの特性図である。
図2中のCondition Aと記載された特性は、例えば1000rpmを維持するのに必要な各温度における必要トルクを表し、Condition Bと記載された特性は、例えば2000rpmを維持するのに必要な各温度における必要トルクを表す。
図2中の電流制限値とは、電動モータ13に供給する電流値の上限値である。電流制限値は、電動モータ13に過剰な電流を継続して供給すると、モータ過熱が発生するため、これを抑制するために予め設定されている。
【0015】
図2中の点線で示す電流制限値は、比較例の電流制限値であり、全ての温度域において一定値を設定した場合を表す。同様に
図2中の実線で示す電流制限値は、実施形態1の電流制限値であり、温度域に応じて異なる電流制限値(低温ほど高い値)を設定した場合を表す。また、
図2中の停動トルクは、電動モータ13に電流制限値を付与したときに発生可能なトルクを表す。
図2中の点線で示す停動トルクは、比較例の停動トルクであり、全ての温度域において電流制限値を一定値とした場合に発生可能なトルクを表す。また、
図2中の実線で示す停動トルクは、実施形態1の停動トルクであり、実施形態1の電流制限値の場合に発生可能なトルクを表す。また、
図2中の必要電流値とは、Condition Bの必要トルクを確保するのに必要な電流値を表す。
【0016】
図2のCondition A,B(必要トルク)に示すように、低温環境下では、アクチュエータ駆動に必要な電動モータトルクが大きくなる。このとき、電流制限値を一定値としておくと、必要な電動モータトルクよりも小さなトルクしか発生できない低温域が生じ、アクチュエータを十分に駆動できないという問題がある。この問題を解決するために、モータ過熱を回避しつつ大きなトルクを発生可能な電動モータを採用すると、電動モータが大型化し、重量やコストの増大を招くという問題があった。
【0017】
そこで、実施形態1では、アクチュエータ駆動に必要なトルクが増大する低温域においては、電流制限値を他の高温域よりも大きな値に変更することとした。これにより、電動モータ13の大型化を回避しつつ、必要に応じて大きなトルクを発生することが可能となり、アクチュエータ駆動に必要なトルクを確保できる。また、電流制限値は、もともとモータ過熱を懸念して設定された値であるが、低温域であれば、モータが過熱しにくく、発熱したとしても、アクチュエータ内の油温上昇に貢献できることから、低温域でのエンジン性能を向上できる。
【0018】
実施形態1の場合、電流制限値は、所定温度までは一定値として設定し、所定温度より低い側には、階段状に大きな電流制限値に設定する。すなわち、所定温度までは電流制限値を一定値とすることで、所定温度より高い温度域での不必要な電力消費を抑制できる。また、所定温度より低い側では、階段状に電流制限値を設定することで、アクチュータコントロールユニット11内に複数箇所に応じた電流制限値を記憶しておくだけでよく、大きなメモリを必要としない。また、特性に応じた関数を設定し、演算により電流制限値を算出する場合に比べて、演算負荷をかけることがなく、制御を簡素化できる。
【0019】
また、階段状に電流制限値を設定する際、低温になるほど、電流制限値の上昇量が大きくなることで、粘性抵抗の上昇に応じた電流指令値を出力することが可能となり、電動モータ13を小型化できる。
【0020】
以上説明したように、実施形態1の内燃機関の可変圧縮機構のアクチュエータにおいては、以下に列挙する作用効果を奏する。
(1)内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
アクチュエータコントロールユニット11は、
アクチュエータ12の電動モータ13の電流指令値(駆動指令)を出力する駆動指令出力部と、
環境温度に応じて駆動指令を制限する電流指令値制限部(駆動指令制限部)であって、環境温度が低いほど駆動指令の制限が高い電流指令値制限部と、
を有する。
よって、電動モータ13の低温域におけるトルクを増加させることができ、電動モータ13を小型化できる。また、低音域でのアクチュエータ駆動が可能となり、低温域でのエンジン性能を向上できる。
【0021】
(2)電流指令値制限部は、環境温度が低いほど環境温度の変化に対する電流制限値の上昇量が大きい。すなわち、低温域では、低温になるほど等比級数的に粘性抵抗が大きくなるため、上昇量を大きくすることで、電動モータ13を小型化できる。
(3)内燃機関の潤滑油が供給されて摺動する摺動部を有する。すなわち、軸受などの潤滑油が供給されている部分は、温度に寄って潤滑油の粘度変化の影響を受けやすい。よって、低温時における電流制限値を大きくすることで、温度に寄って潤滑油の粘性抵抗が増大し、摺動抵抗が増大したとしても、アクチュエータを駆動できる。
(4)駆動指令は、電動モータ13の電流指令値であり、駆動指令制限部は、電動モータ13の電流指令値を制限する。よって、実電流を制限する場合に比べて過度の電流が流れることを抑制でき、安定した制御を実現できる。
(5)電流制限値は、環境温度に応じて階段状に変化する。よって、大きなメモリを必要とせず、演算により電流制限値を算出する場合に比べて制御を簡素化できる。
【0022】
(6)駆動指令制限部は、環境温度が所定よりも高いときに、電流制限値を一定にし、環境温度が所定以下のときに、電流制限値を環境温度が低いほど高くする。よって、低温域の必要なときのみ電流制限値を大きくすることで、不必要な電力消費を回避できる。
(7)環境温度は、内燃機関のメインギャラリーの温度を用いる。すなわち、エンジンコントロールユニット2で使用する信号をそのまま利用することができ、センサ等を別途追加する必要がなく、コストを抑制できる。
【0023】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。基本的な構成は実施形態1と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
図3は、実施形態2の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。実施形態1では、メインギャラリー油温センサ3から温度情報を取得した。これに対し、実施形態2では、エンジン内に設置された他の既存温度センサ30の温度情報を取得する点が異なる。例えば、水温センサなど、摺動部における温度や粘性抵抗と相関関係がある他のセンサを使用することで、新たなセンサを設置することなく、コストを抑制できる。
【0024】
〔実施形態3〕
次に、実施形態3について説明する。基本的な構成は実施形態1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図4は、実施形態3の可変圧縮比機構のアクチュエータを備えた内燃機関のシステム構成図である。実施形態1では、メインギャラリー油温センサ3から温度情報を取得した。これに対し、実施形態3では、エンジン内の潤滑油がアクチュエータ12に流れる油路を有し、アクチュエータ12内の潤滑にも使用する構成とされている点が異なる。加えて、アクチュエータ12内の温度を検出するアクチュエータ温度センサ16を備えている。尚、アクチュエータ温度センサ16は、アクチュエータ内の油温を検出するセンサでもよいし、アクチュエータハウジングの温度を検出するセンサであってもよい。
【0025】
アクチュエータ12内にエンジン内の潤滑油が供給されているため、アクチュエータ12内の温度環境とエンジン内の温度環境との相関が強い。よって、アクチュエータ温度センサ16により検出された温度を用いることで、エンジン内での粘性抵抗とアクチュエータ12内での粘性抵抗とを精度良く推定できる。また、電動モータ13の設置された環境に近いため、アクチュエータ12や電動モータ13の耐熱寿命特性を精度良く推定できる。
【0026】
(8)アクチュエータ12は、内燃機関の潤滑油が流れる油路を有し、環境温度は、油路を流れる潤滑油の温度を用いる。よって、アクチュエータ12内での粘性抵抗を精度よく推定できることに加え、アクチュエータ12内の耐熱寿命特性を精度良く推定できる。
【0027】
〔実施形態4〕
次に、実施形態4について説明する。基本的な構成は実施形態1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図5は、実施形態4のアクチュエータコントロールユニット11内に設定される電流制限値の特性図である。実施形態1では、電流制限値を設定する際、所定温度までは一定値とし、所定温度より低い側には、階段状に大きな電流制限値に設定した。これに対し、実施形態3では、必要トルクに応じて電流制限値を連続的に可変設定する点が異なる。具体的には、予めアクチュエータコントロールユニット11内に、環境温度を入力とする電流制限値演算関数を設定し、環境温度に応じた電流制限値を算出し、この値によって電流指令値を制限する。これにより、環境温度に応じた最適な電流制限値を設定することが可能となり、電動モータ13の過熱を効果的に抑制でき、電動モータ13を更に小型化できる。
(9)電流制限値は、環境温度に応じて連続的に変化する。よって、電動モータ13の過熱を効果的に抑制でき、電動モータ13を更に小型化できる。
【0028】
〔実施形態5〕
次に、実施形態5について説明する。基本的な構成は実施形態1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図6は、実施形態5の可変圧縮比機構のアクチュエータを低温域で制御した際の電流指令値及び実電流値の変化を表すタイムチャートである。
図6中の上段は、実施形態1の構成を用い、低温域で電動モータ13を駆動した場合を示し、
図6の下段は、実施形態5の構成を用い、低温域で電動モータ13を駆動した場合を示す。
実施形態1では、電流制限値で制限する際、特に一定値よりも高い電流制限値を適用した状態に制限を加えることなく、低温域で駆動する限りに置いて、電流制限値の上昇を許容していた。これに対し、実施形態5では、電流制限値の上昇を許容していた時間をカウントアップし、高い電流制限値を設定している間に一定値よりも高い電流指令値が出力された積算時間が所定時間続いたときは、低温域であったとしても、電流制限値を一定値に戻す、もしくは電流制限値を低くするものである。これにより、電動モータ13の過熱を効果的に抑制できる。
(10)駆動指令制御部は、電流制限値が所定よりも高い状態が所定時間続いたときに、電流制限値を低くする。よって、電動モータ13の過熱を効果的に抑制できる。
【0029】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明の範囲内にある限り上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態5では、一定値よりも大きな電流制限値に設定した状態で、一定値よりも高い電流指令値が出力された積算時間に基づいて制限したが、例えば、一定値よりも大きな電流制限値によって制限された電流指令値の積算時間としてもよい。もしくは、一定値よりも高い電流制限値に設定した状態で、実際に印加した実電流値の累積平均値を常に算出し、この累積平均値が予め設定された所定電流値を超えたときに、電流制限値を低くするように構成してもよい。
【0030】
以上説明した実施態様から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
本発明の一つの実施態様としては、
内燃機関用のアクチュエータの制御装置であって、
前記制御装置は、
前記アクチュエータのモータの駆動指令を出力する駆動指令出力部と、
環境温度に応じて前記駆動指令を制限する駆動指令制限部であって、前記環境温度が低いほど前記駆動指令の制限が高い前記駆動指令制限部と、
を有する。
より好ましい態様では、上記態様において、前記駆動指令制限部は、前記環境温度が低いほど前記環境温度の変化に対する前記駆動指令の制限値の上昇量が大きい
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記内燃機関の潤滑油が供給されて摺動する摺動部を有する。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記駆動指令は、前記モータの駆動電流であり、
前記駆動指令制限部は、前記モータの前記駆動電流を制限する。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記駆動指令の前記制限値は、前記環境温度に応じて階段状に変化する。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記駆動指令の前記制限値は、前記環境温度に応じて連続的に変化する。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記駆動指令制限部は、
前記環境温度が所定よりも高いときに、前記駆動指令の制限値を一定にし、
前記環境温度が前記所定以下のときに、前記駆動指令の制限値を前記環境温度が低いほど高くする置。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記駆動指令制御部は、前記駆動指令の制限値が所定よりも高い状態が所定時間続いたときに、前記制限値を低くする。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記環境温度は、前記内燃機関のメインギャラリーの温度を用いる。
さらに別の好ましい態様では、上記いずれかの態様において、
前記アクチュエータは、前記内燃機関の潤滑油が流れる油路を有し、
前記環境温度は、前記油路を流れる前記潤滑油の温度を用いる。
【符号の説明】
【0031】
1 アクチュエータシステム
2 エンジンコントロールユニット
3 メインギャラリー油温センサ
11 アクチュエータコントロールユニット
12 アクチュエータ
13 電動モータ13
14 減速機14
15 駆動部15
16 アクチュエータ温度センサ
30 内燃機関に既存の温度センサ