(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013360
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
E04H6/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115867
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】392018078
【氏名又は名称】日栄インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】久保田 伸裕
(57)【要約】
【課題】 ピットの前壁付近に配管があっても、ゲートを容易に設置することができる機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る機械式駐車装置は、車両の駐車用のパレットが多段に積層され、ピット11に対して昇降するパレットユニットと、パレットユニットの前方に設けられ、パレットに対する車両の入出庫時に下降してピット11に没入する前面ゲート13と、ピット11の前壁19の付近で上下方向に延在する配管20の鉛直部22を囲むように、前壁19に固定されたガイドブラケット23と、ガイドブラケット23に設けられて前面ゲート13の上昇及び下降を案内するガイドシュー30と、ゲート13に接続されたワイヤーロープ34と、ワイヤーロープ34の巻取り及び送り出しにより、前面ゲート13を上昇及び下降させるモータ35とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車用のパレットが多段に積層され、ピットに対して昇降するパレットユニットと、
前記パレットユニットの前方に設けられ、前記パレットに対する前記車両の入出庫時に下降して前記ピットに没入するゲートと、
前記ピットの前壁の付近で上下方向に延在する配管を囲むように、前記前壁に固定されたガイドブラケットと、
前記ガイドブラケットに設けられて前記ゲートの上昇及び下降を案内するガイドシューと、
前記ゲートに接続されたワイヤーロープと、
前記ワイヤーロープの巻取り及び送り出しにより、前記ゲートを上昇及び下降させるモータとを備えることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車両の入出庫時に乗員の乗降を可能とする乗降位置にあるパレットに隣接し、前記乗員の歩行に供する歩廊を備え、
前記ガイドブラケット及び前記モータが、前記歩廊の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段に積層されたパレットがピットに対して昇降する機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部で多く採用されている多段に積層されたパレットがピットに対して昇降する機械式駐車装置として、例えば特許文献1に記載のピット式立体駐車装置がある。このピット式立体駐車装置では、ピット内に段状パレット体が昇降自在に配設され、ピット内前部に所定間隔をおいて両側一対のガイド支柱が収納状に立設され、この両側のガイド支柱間にゲート体が巻上機構を介して昇降自在に配設されている。
【0003】
特許文献1において、ゲート体は、段状パレット体の昇降作動時に前面を遮断して安全を図るものであるが、
図7に示すように、以前の機械式駐車装置では、そのようなゲートは設置が義務付けられておらず、設けられていなかった。
図7において、機械式駐車装置1は、車両2の駐車用のパレット3が3段に積層されてなり、ピット4に対して昇降するパレットユニット5を備えるが、パレットユニット5の前面にゲートは設けられていない。一方、機械式駐車装置1の周囲の雨水等を排水するために、ビット4の前壁6の付近には、前壁6に沿って上下方向に延在する排管7が、昇降するパレットユニット5と干渉しないように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、機械式駐車装置1のようなゲートのない機械式駐車装置の設備更新に際し、ゲートを設置したいとのニーズがあるが、特許文献1においてガイド支柱がピット内前部に収納されているように、従来のゲート構造を
図7のピットに適用しようとするとゲートの昇降を案内するガイド支柱が配管と干渉するので、設備の入替ができずにゲートを諦めざるを得なかったり、配管の改造に多額の費用を要したりするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ピットの前壁付近に配管があっても、ゲートを容易に設置することができる機械式駐車装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る機械式駐車装置は、車両の駐車用のパレットが多段に積層され、ピットに対して昇降するパレットユニットと、前記パレットユニットの前方に設けられ、前記パレットに対する前記車両の入出庫時に下降して前記ピットに没入するゲートと、前記ピットの前壁の付近で上下方向に延在する配管を囲むように、前記前壁に固定されたガイドブラケットと、前記ガイドブラケットに設けられて前記ゲートの上昇及び下降を案内するガイドシューと、前記ゲートに接続されたワイヤーロープと、前記ワイヤーロープの巻取り及び送り出しにより、前記ゲートを上昇及び下降させるモータとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る機械式駐車装置は、前記車両の入出庫時に乗員の乗降を可能とする乗降位置にあるパレットに隣接し、前記乗員の歩行に供する歩廊を備え、前記ガイドブラケット及び前記モータが、前記歩廊の下方に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ピットの前壁付近に配管があっても、機械式駐車装置においてゲートを容易に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】発明を実施するための形態に係る機械式駐車装置を側面視で示す説明図である。
【
図2】発明を実施するための形態に係る機械式駐車装置を正面視で示す説明図である。
【
図3】発明を実施するための形態に係る機械式駐車装置を平面視で示す説明図である。
【
図4】前面ゲートの昇降構造を側面視で拡大して示す説明図である。
【
図5】
図4のA-A線に沿った断面を示す説明図である。
【
図6】
図4のB-B線に沿った断面を示す説明図である。
【
図7】従来の機械式駐車装置を側面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態に係る機械式駐車装置10は、地下構造を有するピット3段式の機械式駐車装置であり、ピット11に対して昇降するパレットユニット12,12と、パレットユニット12,12の前方に設けられた前面ゲート13,13とを備える。
【0013】
パレットユニット12は、車両14の駐車用のパレット15が3段に積層されてなり、操作盤16の操作により、公知の昇降機構によりピット11に対して昇降する。
【0014】
パレットユニット12が最も上昇した位置では、下段のパレット15がピット11の上面(ピット11が形成された場所の地面又は床面)17と略同じ高さの乗降位置となって、車両14の下段のパレット15に対する入出庫や、その入出庫時における乗員の車両14からの降車、車両14への乗車が可能となる。パレットユニット12の左右には、その乗降位置にあるパレット15に隣接して、乗員の歩行に供する歩廊18が設けられている。
【0015】
また、パレットユニット12が最も下降した位置では、上段のパレット15が乗降位置となって、車両14の上段のパレット15に対する入出庫や乗員の乗降が可能となり、パレットユニット12が昇降範囲の中間的な位置では、中段のパレット15が乗降位置となって、車両14の中段のパレット15に対する入出庫や乗員の乗降が可能となる。
【0016】
前面ゲート13は、通常はピット11(ピット11の上面17)からせり上がった状態で、人が不用意に機械式駐車装置10の前方からパレットユニット12に進入することを防止する。
【0017】
一方、前面ゲート13は、車両14の入出庫時には、車両14が入出庫する所定のパレット15が(必要に応じてパレットユニット12が昇降することによって)乗降位置になると、ピット11の鉛直な前壁19の付近で前壁19に沿って下降し、ピット11に没入する。
【0018】
前面ゲート13の昇降構造について詳述すると、
図4乃至
図6に示すように、ピット11の内部には、歩廊18の下方で前壁19の付近に排水用の配管20が設けられている。配管20は、前壁19から後方に延在する水平部21と、水平部21の後端から下方に屈曲し、前壁19に沿って上下方向に延在する鉛直部22とを有し、鉛直部22を囲むようにガイドブラケット23が設けられている。
【0019】
ガイドブラケット23は、上下方向に延在して鉛直部22を左右(側方)から挟むことにより鉛直部22を囲むサイドフレーム24及びサイドフレーム25と、サイドフレーム24及びサイドフレーム25の上部を連結するアッパーフレーム26と、サイドフレーム24及びサイドフレーム25の下部を連結するロワーフレーム27とを備え、アッパーフレーム26及びロワーフレーム27が水平部21を上下から挟み、ロワーフレーム27が前壁19及び鉛直部22に挟まれた状態で、アッパーフレーム26がボルト28,28により前壁19に固定され、ロワーフレーム27がボルト29,29により前壁19に固定されている。
【0020】
サイドフレーム24及びサイドフレーム25のうち、パレットユニット12の側に位置するサイドフレーム25には、ガイドシュー30,30が設けられている。ガイドシュー30にはガイド溝31が形成され、前面ゲート13の左右は水平断面がC字状となるように形成され、そのC字状の先端をなす平板状の係合部32が、前面ゲート13の昇降位置(高さ位置)にかかわらずガイド溝31に挟まれ、ガイド溝31と係合する。
【0021】
歩廊18の下方には、歩廊18を支持する歩廊受けフレーム33が設けられ、歩廊受けフレーム33の下部には、一端が前面ゲート13の下部に接続されたワイヤーロープ34と、ワイヤーロープ34の他端が接続され、ワイヤーロープ34の巻取り及び送り出しにより前面ゲート13を上昇及び下降させるモータ35と、モータ35から前面ゲート13にかけてワイヤーロープ34の向きを変えるシーブ36,37とが設けられている。
【0022】
前面ゲート13がピット11に没入した状態で、モータ35がワイヤーロープ34を巻き取ると、前面ゲート13はワイヤーロープ34に引き上げられてガイドシュー30に案内されながら上昇し、ピット11からせり上がる。また、前面ゲート13がピット11からせり上がった状態で、モータ35がワイヤーロープ34を送り出すと、前面ゲート13は自重によりガイドシュー30に案内されながら下降し、ピット11に没入する。
【0023】
本実施の形態に係る機械式駐車装置10は、車両14の駐車用のパレット15が多段に積層され、ピット11に対して昇降するパレットユニット12と、パレットユニット12の前方に設けられ、パレット15に対する車両14の入出庫時に下降してピット11に没入する前面ゲート13と、ピット11の前壁19の付近で上下方向に延在する配管20の鉛直部22を囲むように、前壁19に固定されたガイドブラケット23と、ガイドブラケット23に設けられて前面ゲート13の上昇及び下降を案内するガイドシュー30と、ゲート13に接続されたワイヤーロープ34と、ワイヤーロープ34の巻取り及び送り出しにより、前面ゲート13を上昇及び下降させるモータ35とを備えるので、前面ゲート13が配管20と干渉しないガイドブラケット23及びガイドシュー30に支持されてガイド支柱が不要で、ピット11の前壁19の付近に配管22があっても、前面ゲート13を容易に設置することが可能となる。
【0024】
また、機械式駐車装置10は、車両14の入出庫時に乗員の乗降を可能とする乗降位置にあるパレット15に隣接し、乗員の歩行に供する歩廊18を備え、ガイドブラケット23及びモータ35が、歩廊18の下方に位置するので、ガイドブラケット23がパレットユニット12の昇降を阻害する事態も防止することができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0026】
例えば、上記実施の形態では、ガイドシューが溝を有し、その溝に前面ゲートの係合部が係合したが、ガイドシューの前面ゲートを支持、案内する態様はどのような形態であってもよく、また、ガイドブラケットの形態もどのようなものであってもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
10 機械式駐車装置
11 ピット
12 パレットユニット
13 前面ゲート(ゲート)
14 車両
15 パレット
18 歩廊
19 前壁
20 配管
23 ガイドブラケット
30 ガイドシュー
34 ワイヤーロープ
35 モータ