(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133609
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】パーテーション装置
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20220907BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20220907BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220907BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220907BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20220907BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
F24F7/007 D
E04B2/74 561H
E04B2/74 541Z
E04B2/74 541G
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47G5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032379
(22)【出願日】2021-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】521089476
【氏名又は名称】株式会社REV
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】深澤 賢次郎
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ09
3B053NQ10
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】
ウイルスによる飛沫感染対策を実施しながらパーテーション越しでの会話を容易に行うことができるパーテーション装置1を提供する。
【解決手段】
本発明におけるパーテーション装置1は、間に中空部13を有して対面配置される第1の仕切板2及び第2の仕切板3と、第1の仕切板2及び第2の仕切板3の外周を密閉するフレーム10とを備え、第1の仕切板2及び第2の仕切板3はそれぞれに吸引部4,6を有し、第1の仕切板2に設けられた第1の吸引部4と第2の仕切板3に設けられた第2の吸引部6とが互いにずれた位置に配置され、フレーム10は、外部の排気装置等に接続される排気口11と、フレーム10の内部に設けられる吸引路9と、吸引路9を介して中空部13と排気口11とを連通する吸込部8とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に中空部を有して対面配置される第1の仕切板及び第2の仕切板と、
前記第1の仕切板及び第2の仕切板の外周を密閉するフレームと、を備え、
前記第1の仕切板及び第2の仕切板はそれぞれに吸引部を有し、第1の仕切板に設けられた第1の吸引部と第2の仕切板に設けられた第2の吸引部とが互いにずれた位置に配置され、
前記フレームは、外部の排気装置等に接続される排気口と、フレームの内部に設けられる吸引路と、吸引路を介して前記中空部と排気口とを連通する吸込部と、を有するパーテーション装置。
【請求項2】
前記第1の吸引部及び第2の吸引部は、第1の仕切板及び第2の仕切板のほぼ中央部に設けられる請求項1に記載のパーテーション装置。
【請求項3】
前記吸込部は、第1の仕切板及び第2の仕切板の両側において、前記第1の吸引部及び第2の吸引部とほぼ同じ高さ位置に設けられる請求項1又は2に記載のパーテーション装置
【請求項4】
前記第1の吸引部は第1の仕切板を貫通する複数の第1の吸引孔によって形成され、前記第2の吸引部は第2の仕切板を貫通する複数の第2の吸引孔によって形成され、
前記第1の吸引孔と前記第2の吸引孔とは、各仕切板の面方向と直交する方向において互いに開口部分の重なりを避けて配置されている請求項1に記載のパーテーション装置。
【請求項5】
前記第1の吸引孔及び第2の吸引孔は、小孔又はスリットからなる請求項4に記載のパーテーション装置。
【請求項6】
前記第1の仕切板及び第2の仕切板はそれぞれが矩形状に形成され、
前記フレームは第1の仕切板及び第2の仕切板の両側部を密閉する一対のサイドフレーム部を有し、
前記一対のサイドフレーム部は、少なくとも中間部に前記吸込部を有し、上端部に前記排気口を有する請求項1又は3に記載のパーテーション装置。
【請求項7】
前記第1の仕切板及び第2の仕切板は透光性を有する樹脂材からなる請求項1に記載のパーテーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウイルス等の病原体の飛沫による感染症拡大を防止するためのパーテーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から対面会話時のウイルスによる飛沫感染対策としてアクリル板を人と人との間に仕切りとして置くパーテーション装置が知られている。また、最近では間仕切り板に吸引機能を持たせ、間仕切り板付近の空気を吸引することで、空気中にウイルスが拡散することを防止したり、さらに殺菌機能を持たせて空気を浄化することにより話し相手にウイルスが付着することを防止するパーテーション装置が知られている(特許文献1参照)
【0003】
また、2枚のアクリル板を貼り合わせて2層構造とし、上端に構成された飛沫吸引部から内部に空気を吸引することで、空気中にウイルスが拡散することを防止するようにしたパーテーション装置も知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社エコ革 「飛沫瞬時吸引・殺菌システム」プレスリリース 2020年7月9日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000061502.htmlURL最終閲覧日 2021年3月2日最終閲覧
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたパーテーション装置にあっては、間仕切り板に持たせた吸引機能より、間仕切り板を挟んで会話する相手側への飛沫の飛散をある程度防止できるものの、空気中にウイルスが拡散することを十分には抑制できない。一方、非特許文献1に記載されたパーテーションにあっては、2枚のアクリル板の上端に構成された飛沫吸引部から内部に空気を吸引するため、空気中にウイルスが拡散することを防止することができる。しかしながら、パーテーションを挟んで対面して会話する場合に、相手との会話が2枚のアクリル板によって遮られて聞き取りにくいといった問題がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、ウイルスの空気中への拡散対策を実施しながらパーテーション越しでの会話を容易に行うことができるパーテーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパーテーション装置は、間に中空部を有して対面配置される第1の仕切板及び第2の仕切板と、第1の仕切板及び第2の仕切板の外周を密閉するフレームとを備え、第1の仕切板及び第2の仕切板はそれぞれに吸引部を有し、第1の仕切板に設けられた第1の吸引部と第2の仕切板に設けられた第2の吸引部とが互いにずれた位置に配置され、フレームは、外部の排気装置等に接続される排気口と、フレームの内部に設けられる吸引路と、吸引路を介して中空部と排気口とを連通する吸込部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパーテーション装置によれば、2枚の仕切板に設けた各吸引部から仕切板の中空部内に飛沫を吸引し、中空部内の飛沫を仕切板のフレームを通して外部に吸引排気できるようにしたので、飛沫中に含まれるウイルスの拡散を効果的に防ぐことができる。
【0010】
また、本発明のパーテーション装置によれば、各仕切板に吸引部を設けたので、パーテーションを挟んで会話する互いの声が、仕切板の吸引部を通して聞こえ易くなる。さらに、各仕切板に設けた吸引部を互いにずれた位置に配置したので、一方の仕切板の吸引部から中空部内に吸引された飛沫がそのまま他方の仕切板の吸引部からは外部に放出されにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパーテーション装置の斜視図である。
【
図3】第1の仕切板の正面側から見た吸引部の拡大図である。
【
図4】フレームと仕切板との嵌合状態を示す断面図である。
【
図7】パーテーション装置による飛沫吸引作用を示す説明図である。
【
図8】吸引部の変形例を示すスリットの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のパーテーション装置について、図面を参照しながら各実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、パーテーション装置、パーテーション装置の構成部材およびパーテーション装置の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実寸の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特に断らない限り、便宜上、
図1に示すパーテーションの向きを基準に、上下、左右などの方向を表わす。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0013】
図1乃至
図6には本発明の一実施形態に係るパーテーション装置1が示されている。このパーテーション装置1は、間に中空部13を有して対面配置される第1の仕切板2及び第2の仕切板3と、第1の仕切板2及び第2の仕切板3の外周を取り囲んで中空部13を密閉するフレーム10と、を備える。第1の仕切板2及び第2の仕切板3は、いずれも同一形状の矩形平板からなり、互いの間に距離tを隔てて略平行に対面配置される。そのため、第1の仕切板2と第2の仕切板3との間には距離tを有する中空部13が仕切板の全域に形成される。第1の仕切板2及び第2の仕切板3には、透明性が高く加工性や耐衝撃性にも優れている透明アクリル板が望ましいが、透光性を有する板材であればアクリル板に限定されるものではない。
【0014】
前記中空部13は、第1の仕切板2及び第2の仕切板3の外周を密閉するフレーム10によって形成される。このフレーム10は、前記第1の仕切板2及び第2の仕切板3の両側縁を密閉するサイドフレーム10aと、第1の仕切板2及び第2の仕切板3の上下側縁を密閉する上下フレーム10bとで構成される。サイドフレーム10aは、
図4に示されるような断面形状をしており、サイドフレーム10aの左右両側にはコ字状の凹溝14が2列に設けられている。また、
図4及び
図5に示されるように、少なくともサイドフレーム10aの中央部には中空状の吸引路9が設けられている。これら凹溝14及び吸引路9はサイドフレーム10aの長手方向に沿って設けられている。なお、上下フレーム10bには左右の凹溝14のみが設けられていてもよい。サイドフレーム10a及び上下フレーム10bに設けられた左右の凹溝14に第1の仕切板2及び第2の仕切板3の各外周縁を嵌め込み固定することで、仕切板2,3の外周が密閉された中空部13が形成される。本実施形態におけるフレーム10は、同一断面形状のアルミ押出材が採用されている。同一断面形状のアルミ押出材を用いることにより、フレーム10の外形部をそろえて組み立てるだけで容易に第1の仕切板2および第2の仕切板3の2枚を平行に保持することができる。アルミ押し出し材によって作製されたフレーム10は、中空多穴構造であり、高剛性であると共に軽量なので使い勝手が良い。なお、フレームの素材としては、アルミ材以外に金属材又は樹脂材なども適用される。
【0015】
前記第1の仕切板2及び第2の仕切板3は、それぞれに吸引部4,6を有している。これらの吸引部4,6は、
図1に示されるように、第1の仕切板2及び第2の仕切板3のほぼ中央部に設けられている。仕切板2,3の中央部は、仕切板2,3を挟んで会話する場合に、おおむね対面者の口に近い位置にある。そのため、中央部に吸引部を4,6設けることで、会話中に発生する飛沫を効率よく吸引できると同時に吸引部4,6を介して会話の相手の声が聞き取り易くなる。本実施形態では、第1の吸引部4及び第2の吸引部6は、仕切板2,3を貫通する複数の吸引孔5,7によって形成される。
図3に示されるように、この実施形態における吸引孔5,7は小さな円孔からなり、複数の吸引孔5,7が同心円状に配置されることで、所定の面積を有する吸引部4,6が構成される。吸引孔5,7の大きさ、数は適宜であり、また、吸引孔5,7の配置も同心円状に限定されるものではなく、例えば格子状や放射状であってもよい。仕切板全体に占める吸引部4,6の面積や配置、形状などは、飛沫の吸引力や声の聞き取り易さなどを考慮して適時決めることができる。一例では、
図6に示されるように、仕切板2,3の横幅をLとした場合、吸引部4,6は、仕切板2,3の中心から半径r=L/5の円形領域aの範囲内に設けられる。
【0016】
また、第1の吸引部4と第2の吸引部5とは、
図2及び
図3に示されるように、互いにずれた位置に配置されている。この実施形態では第1の吸引孔5と第2の吸引孔7とが、各仕切板2,3の面と直交する直線方向において互いに開口部分の重なりを避けて配置されている。すなわち、第1の仕切板2の面と直交する第1の吸引孔5を通る直線C上には第2の吸引孔7は形成されず、第2の仕切板3の面と直交する第2の吸引孔7を通る直線C’上には第1の吸引孔5は形成されていない。このため、第1の吸引部4から中空部13内に吸引された飛沫は第2の仕切板3の壁面に遮られて、第2の吸引部6からそのまま放出されずに中空部13内に留まる確率が高くなる。逆の場合も同様である。なお、この実施形態では第1の吸引孔5と第2の吸引孔7の互いに開口部分の重なりを避ける手段として、互いの吸引孔5,7の円周部を接近させた位置に第1の吸引孔5と第2の吸引孔7を配置しているが、互いの吸引孔5,7の円周部を離した位置に第1の吸引孔5と第2の吸引孔7を配置することもできる。
【0017】
その際、音声の減衰を最小限に抑える必要がある。互いの吸引孔が離れすぎると声が聞き取りにくくなるからである。たとえば、
図3に示されるように、第1の吸引孔5と第2の吸引孔7が同じ直径ΦDで形成されている場合、第1の吸引孔5を第2仕切板3に対して投影したときに、投影面における第1の吸引孔5と第2の吸引孔7の中心位置は、吸引孔の直径ΦDとほぼ同距離のDだけ離れるように配置されるのが望ましい。
【0018】
図1及び
図5に示されるように、左右一対のサイドフレーム10aには、上端部に外部排気装置(図示せず)等に接続される排気口11が設けられ、ほぼ中央部に吸込口8が設けられている。排気口11と吸込口8は、サイドフレーム10の内部に形成された中空状の吸引路9とつながっている。そのため、吸引路9を介して前記仕切板2,3の中空部13とサイドフレーム10aの排気口11とが連通する。前記排気口11には外部排気装置に接続するための接手12が取り付られている。また、前記吸込口8は一例ではサイドフレーム10aの内側壁に開設された円孔であり、吸引路9に貫通している。吸引口8の大きさ、孔の数は適宜設計される。吸引口8の位置は、
図1に示されるように、サイドフレーム10のほぼ中央位置、すなわち仕切板2,3の設けられた吸引部4,6とほぼ同じ高さ位置が望ましい。仕切板2,3の吸引部4,6から中空部13内に吸引された飛沫を左右方向にほぼ水平に吸引し、そのまま左右のサイドフレーム10aの各吸込口8から吸引路9内に引き込むことで吸引効率を上げることができる。
【0019】
図7には、前記パーテーション装置1における飛沫吸引作用が示されている。テーブル16に設置された本発明のパーテーション装置1を挟んで二人の会話者17,18が居る場合、二人の会話によって飛び散る飛沫は、各仕切板2,3の中央部に設けられた第1の吸引部4及び第2の吸引部6から中空部13内に吸引される。中空部13内に閉じ込められた飛沫の多くは、漂いながら左右に分かれてサイドフレーム10aの吸引部8内に吸い込まれ、サイドフレーム10aの吸引路9を介して排気口11(第5図参照)に達する。中空部13から吸引部8までの吸引力X及び吸引部8から排気口11までの吸引力Zは、排気口11に接続される外部排気装置(図示せず)に設けられる吸引装置によって得られる。また、空気中の飛沫が各仕切板2,3の吸引部4,6から中空部13内に吸引される吸引力Yも同様である。パーテーション装置1の排気口11にまで吸引された飛沫は、そのまま外部排気装置によって吸引排気される。
【0020】
このように、この実施形態に係るパーテーション装置1によれば、パーテーション装置1を挟んで会話する際に飛び散る多くの飛沫を2枚の仕切板2,3の間に設けた中空部13内に効率よく吸引することができ、飛沫中に含まれるウイルスの拡散を効果的に防ぐことができる。
【0021】
また、一方の仕切板2に設けた吸引部4と他方の仕切板3に設けた吸引部6とが互いにずれた位置に配置されているので、一方の吸引部4から中空部13内に吸引された飛沫がそのまま他方の吸引部6から放出されてしまうといったことがない。
【0022】
さらに、2枚の仕切板2,3のほぼ中央部に複数の吸引孔5,7からなる吸引部4,6を設けたので、会話者の声が吸引部4,6を通して相手側に伝わり易く、会話が2枚の仕切板2,3によって遮られるといったことがない。なお、吸引部4,6の吸引孔5,7は、複数の小孔に限られることなく、
図8に示されるような複数のスリット15によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 パーテーション装置
2 第1の仕切板
3 第2の仕切板
4 第1の吸引部
5 第1の吸引孔
6 第2の吸引部
7 第2の吸引孔
8 吸込部
9 吸引路
10 フレーム
10a サイドフレーム
10b 上下フレーム
11 排気口
12 接手
13 中空部
14 凹溝
15 スリット
16 テーブル
17、18 会話者