(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133616
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】貨物収容体
(51)【国際特許分類】
B62D 63/06 20060101AFI20220907BHJP
B60P 3/22 20060101ALI20220907BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20220907BHJP
B65D 90/12 20060101ALI20220907BHJP
B60P 3/00 20060101ALN20220907BHJP
B65F 3/00 20060101ALN20220907BHJP
【FI】
B62D63/06 B
B60P3/22 Z
F15B20/00 Z
B65D90/12 Z
B60P3/00 Q
B65F3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032396
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】大井 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】日坂 侑生
【テーマコード(参考)】
3E024
3E170
3H082
【Fターム(参考)】
3E024AA05
3E024HA02
3E024HB02
3E024HC03
3E024HE03
3E170AA21
3E170AB21
3E170QA09
3E170QA12
3E170RA20
3H082AA18
3H082CC02
3H082DA04
3H082DA46
3H082DB21
3H082DB38
3H082DE06
3H082EE12
(57)【要約】
【課題】油圧配管を保護することができると共に、安価に製造することができる作業車を提供することである。
【解決手段】トラクタ2とトレーラ3を有する作業車1において、トラクタ2側の油圧ポンプ5とトレーラ3側の油圧モータ6が、略水平にのびる高圧側配管12及び低圧側配管13で接続されて油圧回路4が構成されており、高圧側配管12は、油圧ポンプ5側のトラクタ側高圧配管12aと油圧モータ6側のトレーラ側高圧配管12bに分離可能であり、低圧側配管13は、油圧ポンプ5側のトラクタ側低圧配管13aと油圧モータ6側のトレーラ側低圧配管13bに分離可能であり、油圧モータ6側のトレーラ側低圧配管13bに、作動油の圧力を吸収する圧力吸収部9を設け、圧力吸収部9は、分岐部16と、当該分岐部16と連続し上方向成分を有する行き止まり配管10を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車で搬送される貨物収容体であって、
前記搬送車側に油圧源を備え、前記貨物収容体に前記油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備え、
前記油圧機器は、吐出側配管及び回収側配管を介して前記油圧源と接続されており、
前記吐出側配管は、前記油圧源側の吐出側配管と、前記油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、
前記回収側配管は、前記油圧源側の回収側配管と、前記油圧機器側の回収側配管に分離可能であり、
前記油圧機器側の前記回収側配管に、作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設け、
前記圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有することを特徴とする貨物収容体。
【請求項2】
前記吐出側配管が上側、前記回収側配管が下側となるように両配管が配置されており、
前記回収側配管が屈曲又は湾曲して、前記回収側配管の一部が、前記吐出側配管の高さ位置に至っており、
前記回収側配管の最も高い高さ位置の部位に、前記圧力吸収部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貨物収容体。
【請求項3】
前記搬送車がトラクタ、又はコンテナ運搬車であり、
前記貨物収容体は、前記トラクタに牽引されるトレーラ、又は前記コンテナ運搬車に搭載されるコンテナであることを特徴とする請求項1又は2に記載の貨物収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車で搬送される貨物収容体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧機器を備えたトレーラを、油圧源を有するトラクタで牽引する、又は、油圧機器を備えたコンテナを、油圧源を有するトラクタに搭載し、トラクタやコンテナが所定の動作を行うようにした装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された装置では、トラクタ側に油圧ポンプ(油圧源)が設けられており、タンクトレーラ側に油圧機器が設けられている。そして、油圧機器は、油圧ポンプから供給された作動油によって駆動される。油圧機器はポンプであり、ポンプによってタンク内の液体(燃料)を、高圧排出することができる。
特許文献1に開示されているような従来の油圧配管には、作動油の圧力が急激に上昇しないように、アキュムレータが設けられている。そのため、油圧配管内の作動油が膨張すると、膨張した作動油はアキュムレータに移動し、油圧配管内が高圧になることが阻止され、油圧配管は保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の油圧配管に設けられているアキュムレータは高価であるため、油圧配管のコストダウンが図りにくい。
そこで本発明は、安価に製造することができると共に、破損しにくい油圧配管を備えた貨物収容体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第一の様相は、搬送車で搬送される貨物収容体であって、前記搬送車側に油圧源を備え、前記貨物収容体に前記油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備え、前記油圧機器は、吐出側配管及び回収側配管を介して前記油圧源と接続されており、前記吐出側配管は、前記油圧源側の吐出側配管と、前記油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、前記回収側配管は、前記油圧源側の回収側配管と、前記油圧機器側の回収側配管に分離可能であり、油圧機器側の前記回収側配管に、作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設け、前記圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有することを特徴とする貨物収容体である。
【0006】
本様相によると、搬送車で搬送される貨物収容体であって、搬送車側に油圧源を備え、貨物収容体に油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備え、油圧機器は、吐出側配管及び回収側配管を介して油圧源と接続されており、吐出側配管は、油圧源側の吐出側配管と、油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、回収側配管は、油圧源側の回収側配管と、油圧機器側の回収側配管に分離可能である。そのため、油圧機器を油圧源から切り離してメンテナンスすることができる。
また、油圧機器側の回収側配管に、作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設けたので、作動油が膨張しても、圧力吸収部で圧力を吸収し、油圧機器側の油圧配管を構成する吐出側配管、回収側配管、及び油圧機器に過度な負荷が掛かることを回避することができる。
圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有するので、作動油が膨張すると、作動油は、行き止まり配管に沿って上昇する。すなわち、作動油は、重力に抗して行き止まり配管内に進入し、油圧機器側の油圧配管内の圧力の上昇を抑制する。また、配管内の作動油が収縮すると、行き止まり配管内の作動油は、回収側配管側へ移動する。
行き止まり配管は上方向成分を有するので、作動油は膨張しない限り行き止まり配管内に進入することはない。よって、通常は、行き止まり配管内には作動油は存在しないか、又は存在していても比較的少量である。そして、油圧機器、吐出側配管、回収側配管内の作動油が膨張したときに、膨張した分だけ作動油が行き止まり配管内に進入し、油圧機器、吐出側配管、回収側配管内が高圧になることを阻止することができる。
その結果、油圧機器及び油圧機器側の吐出側配管、回収側配管を保護することができる。
本様相の貨物収容体に備えた油圧機器側の吐出側配管及び回収側配管には、高価なアキュムレータを設ける必要がない。
【0007】
前記吐出側配管が上側、前記回収側配管が下側となるように両配管が配置されており、前記回収側配管が屈曲又は湾曲して、前記回収側配管の一部が、前記吐出側配管の高さ位置に至っており、前記回収側配管の最も高い高さ位置の部位に、前記圧力吸収部が設けられているのが好ましい。
【0008】
この構成によると、圧力吸収部は、吐出側配管と回収側配管を含めた油圧回路全体の最も高い高さ位置、又は最も高い高さ位置と同等の高さ位置に配されているので、作動油が行き止まり配管内に進入しにくい。すなわち、行き止まり配管内が空の状態を保ち易い。そのため、作動油が膨張したときに、作動油は空の行き止まり配管内に進入することができ、油圧機器側の油圧配管内が高圧になることを回避することができる。
【0009】
前記搬送車がトラクタ、又はコンテナ運搬車であり、前記貨物収容体は、前記トラクタに牽引されるトレーラ、又は前記コンテナ運搬車に搭載されるコンテナであるのが好ましい。
【0010】
関連する様相は、トラクタとトレーラを有し、前記トラクタに油圧源を備え、前記トレーラに前記油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備えた作業車であって、前記油圧源と前記油圧機器が、吐出側配管及び回収側配管で接続されて油圧回路が構成されており、前記吐出側配管は、前記油圧源側の吐出側配管と、前記油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、前記回収側配管は、前記油圧源側の回収側配管と、前記油圧機器側の回収側配管に分離可能であり、油圧機器側の前記回収側配管に、作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設け、前記圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有することを特徴とする作業車である。
【0011】
さらに別の関連する様相は、コンテナと、当該コンテナを搭載して運搬するコンテナ運搬車を有し、前記コンテナ運搬車に油圧源を備え、前記コンテナに前記油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備えた作業車であって、前記油圧源と前記油圧機器が、吐出側配管及び回収側配管で接続されて油圧回路が構成されており、前記吐出側配管は、前記油圧源側の吐出側配管と、前記油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、前記回収側配管は、前記油圧源側の回収側配管と、前記油圧機器側の回収側配管に分離可能であり、油圧機器側の前記回収側配管に作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設け、前記圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有することを特徴とする作業車である。
【0012】
関連する様相によると、作業車は、コンテナと、当該コンテナを搭載して運搬するコンテナ運搬車を有し、コンテナ運搬車に油圧源を備え、コンテナに油圧源の作動油で駆動される油圧機器を備えており、油圧源と油圧機器が、吐出側配管及び回収側配管で接続されて油圧回路が構成されており、吐出側配管は、油圧源側の吐出側配管と、油圧機器側の吐出側配管に分離可能であり、回収側配管は、油圧源側の回収側配管と、油圧機器側の回収側配管に分離可能である。そのため、油圧回路を油圧源側と油圧機器側に分離し、油圧源と油圧機器を個々にメンテナンスし易い。
油圧機器側の回収側配管に作動油の圧力を吸収する圧力吸収部を設けたので、油圧回路内の作動油が膨張しても、圧力吸収部で圧力を吸収し、油圧機器側の配管に過度な負荷が掛かることを回避することができる。
圧力吸収部は、分岐部と、当該分岐部と連続し上方向成分を有する行き止まり配管を有するので、配管内の作動油が膨張すると、作動油は膨張した分だけ、行き止まり配管に進入する。すなわち、作動油は、重力に抗して行き止まり配管内に進入し、配管内の圧力の上昇を抑制する。また、作動油が収縮すると、行き止まり配管内の作動油は、回収側配管へ移動する。
行き止まり配管は、上方向成分を有するので、配管内の作動油は、膨張しない限り、行き止まり配管内に進入することはない。よって、通常は、行き止まり配管内には作動油は存在せず、又は存在していても比較的少量である。
そして、作動油が膨張したときにのみ作動油が行き止まり配管内に進入し、配管内が高圧になることを阻止することができる。その結果、油圧機器側の油圧回路を構成する油圧配管を保護することができる。
関連する様相の作業車は、高価なアキュムレータを必要とせず、安価に構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、貨物収容体に設けた油圧機器側の油圧配管が高圧になることを抑制することができると共に、油圧機器側の油圧配管を安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の作業車に設けられた油圧回路の回路図であり、(a)は、油圧源側と油圧機器側が分離されている状態を示し、(b)は、油圧源側と油圧機器側が接続されている状態を示す。
【
図3】
図1とは別の実施形態に係る作業車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、作業車1は、トラクタ2(搬送車)とトレーラ3(貨物収容体)を有する。
【0016】
トラクタ2(牽引車)は、係合部20を介してトレーラ3(被牽引車)と接続されている。トレーラ3の前部は、係合部20を介してトラクタ2上に載置されており、トレーラ3の後部は車輪18で支持されている。また、トレーラ3には支持脚19が設けられている。支持脚19は、油圧によって伸縮駆動され、伸長すると地面に接してトレーラ3の前部の重量を支持することができ、収縮すると地面から離れる。
【0017】
本実施形態では、トレーラ3は、燃料タンク14を搭載している。燃料タンク14には、供給配管15が接続されている。トレーラ3には、油圧モータ6とポンプ17(
図2(a))が設けられている。ポンプ17は、供給配管15(
図2(a))の途中に設けられており、油圧モータ6で駆動される。すなわち、ポンプ17は、油圧モータ6で駆動され、燃料タンク14内の燃料を、供給配管15を介して図示しない貯蔵タンク(地下タンク等)に送出することができる。
【0018】
作業車1には、油圧回路4が設けられている。
図2(a)に示すように、油圧回路4には、油圧源である油圧ポンプ5とタンク11、及び油圧モータ6(油圧機器)が設けられている。油圧ポンプ5とタンク11は、トラクタ2に設けられている。また、油圧モータ6は、トレーラ3に設けられている。
【0019】
油圧回路4は、作動油を吐出供給する油圧ポンプ5を備えた高圧側配管12(吐出側配管)と、作動油をタンク11に回収する低圧側配管13(回収側配管)を有する。すなわち作動油は、油圧ポンプ5から高圧側配管12(吐出側配管)を介して油圧モータ6に供給され、さらに、油圧モータ6から低圧側配管13(回収側配管)を介してタンク11に回収される。
【0020】
高圧側配管12は、トラクタ側高圧配管12a(油圧源側の吐出側配管)と、トレーラ側高圧配管12b(油圧機器側の吐出側配管)を有する。トラクタ側高圧配管12aの一端は、油圧ポンプ5の吐出口に接続されており、他端には油圧カプラ7のソケット7aが取り付けられている。また、トレーラ側高圧配管12bの一端は、油圧モータ6に接続されており、他端には油圧カプラ7のプラグ7bが取り付けられている。すなわち、油圧カプラ7によって、トラクタ側高圧配管12aとトレーラ側高圧配管12bは、着脱が可能に接続されている。なお、
図1では、後述のトレーラ側低圧配管13bや分岐部16と交錯しないように、トレーラ側高圧配管12bの途中の部位を破断して示している。
【0021】
低圧側配管13は、トラクタ側低圧配管13a(油圧源側の回収側配管)と、トレーラ側低圧配管13b(油圧機器側の回収側配管)を有する。
【0022】
トラクタ側低圧配管13aの一端は、タンク11に接続されており、他端には油圧カプラ8のソケット8aが取り付けられている。トラクタ側低圧配管13aは、一端が下端となり、他端が上端となるように起立姿勢を呈した状態でトラクタ2に取り付けられている。また、トラクタ側低圧配管13aは可撓性を有しており、変形が可能である。
【0023】
一方、トレーラ側低圧配管13bの一端は、トレーラ3に設けられた油圧モータ6に接続されており、他端には油圧カプラ8のプラグ8bが取り付けられている。
図1では、トレーラ側低圧配管13bが、作業車1の他の部材と交錯して煩雑になるのを避けるため、トレーラ側低圧配管13bの途中の部位を破断して示している。
【0024】
トレーラ側低圧配管13bは、トレーラ3に取り付けられている。トレーラ側低圧配管13bの油圧カプラ8のプラグ8bが取り付けられた端部は、トラクタ側低圧配管13aの油圧カプラ8のソケット8aが設けられた端部付近の高所(高圧側配管12の設置高さ)に配されている。すなわち、トレーラ側低圧配管13bは、屈曲して鉛直方向上向きに延びており、分岐部16(下方接続部16c)と接続されている。そして、油圧カプラ8(ソケット8a、プラグ8b)によって、可撓性を有するトラクタ側低圧配管13aとトレーラ側低圧配管13bは、着脱が可能である。
【0025】
また、トレーラ側低圧配管13bのプラグ8bが設けられた端部付近の部位には、本発明の特徴的な構成である圧力吸収部9が設けられている。圧力吸収部9は、分岐部16と行き止まり配管10を備えている。
【0026】
分岐部16は、トレーラ側低圧配管13bにおける最も高い位置に配置されている。すなわち、分岐部16は、トレーラ側高圧配管12bと同等又は同等以上の高さ位置に配されている。
図1では、分岐部16が手前側にあり、トレーラ側高圧配管12bが向こう側にあり、トレーラ側高圧配管12bの途中の部位を破断し、トレーラ側高圧配管12bが分岐部16と交錯しないように描写している。すなわち、図示の都合で、トレーラ側高圧配管12bを破断して示しているが、実際にはトレーラ側高圧配管12bは、分岐部16の向こう側で連続している。
【0027】
分岐部16は、側方接続部16a、上方接続部16b、下方接続部16cを有する。分岐部16は、トレーラ側低圧配管13bの途中に設けられており、側方接続部16aと下方接続部16cを介してトレーラ側低圧配管13bの一連の油路が構成されている。
【0028】
一方、圧力吸収部9の行き止まり配管10は、一端が開口し、他端が閉じた有底の管部材である。行き止まり配管10の一端の開口が、分岐部16の上方接続部16bに接続されており、行き止まり配管10は、分岐部16を介してトレーラ側低圧配管13bと連通している。また、行き止まり配管10は、起立姿勢を呈しており、行き止まり配管10の閉じた側の端部が上端を構成している。
【0029】
すなわち、行き止まり配管10の向きは上方向成分を有し、行き止まり配管10は、トレーラ側低圧配管13bにおける、最も高い高さ位置に起立姿勢で配置されている。また、行き止まり配管10は、トレーラ側高圧配管12bよりも高い高さ位置に配されている。
【0030】
図2(b)に示すように、油圧カプラ7(ソケット7a、プラグ7b)と、油圧カプラ8(ソケット8a、プラグ8b)を接続すると油圧回路4が構成されている。
【0031】
作業車1では、トラクタ2側(油圧源側)の油圧配管(トラクタ側高圧配管12a、トラクタ側低圧配管13a)とトレーラ3側(油圧機器側)の油圧配管(トレーラ側高圧配管12b、トレーラ側低圧配管13b)が、油圧カプラ7、8を介して接続され、高圧側配管12及び低圧側配管13が構成される。
【0032】
トレーラ側高圧配管12b(吐出側配管)とトレーラ側低圧配管13b(回収側配管)の両配管は、概ね平行であり、トレーラ側高圧配管12bが上側、トレーラ側低圧配管13bが下側に配置されている。
【0033】
そして、油圧モータ6は、油圧ポンプ5によって供給される作動油で駆動される。作動油は、油圧ポンプ5から高圧側配管12を介して油圧モータ6に供給され、油圧モータ6を駆動した後、低圧側配管13を介してタンク11に回収される。
【0034】
油圧モータ6は、ポンプ17(
図2(b))を駆動し、燃料タンク14内の燃料を、供給配管15を介して図示しない貯蔵タンクに送出する。
【0035】
以上、説明した油圧回路4において、メンテナンス等のために、
図2(a)に示すように、トラクタ側高圧配管12aとトレーラ側高圧配管12b、及び、トラクタ側低圧配管13aとトレーラ側低圧配管13bを油圧カプラ7、8で切り離すと、作動油がトレーラ側高圧配管12b、油圧モータ6、トレーラ側低圧配管13b内に閉じ込められた状態になる。
【0036】
ここで、油圧カプラ7、8を切り離した際の気温が低く、その後、気温が上昇すると、トレーラ側高圧配管12b、油圧モータ6、トレーラ側低圧配管13b内の作動油が膨張して配管内の圧力が上昇してしまう。その結果、オイルシール等が破損し、作動油が液漏れしてしまうことが懸念される。
【0037】
ところが、本実施形態の作業車1では、油圧回路4に、圧力吸収部9(行き止まり配管10)が設けられている。行き止まり配管10内には作動油が存在しない。すなわち、行き止まり配管10内の空気は、外部に漏れにくく、作動油と入れ替わりにくい。そのため、膨張した作動油は、行き止まり配管10内に進入することができる。これにより、トレーラ側高圧配管12b、油圧モータ6、トレーラ側低圧配管13b内に閉じ込められた作動油が高圧になることが回避される。その結果、トレーラ側高圧配管12b、油圧モータ6、トレーラ側低圧配管1bが破損することを防止することができる。
【0038】
行き止まり配管10は、トレーラ側高圧配管12b(高圧側配管12)、油圧モータ6、トレーラ側低圧配管13b(低圧側配管13)における最も高い高さ位置に配されている。そのため、作動油が常圧で行き止まり配管10内に進入することはなく、行き止まり配管10内には空気が入っている。そのため、作動油が膨張すると、作動油は、行き止まり配管10内の空気を圧縮しながら行き止まり配管10内に進入することができる。
【0039】
本実施形態では、圧力吸収部9は、分岐部16と行き止まり配管10を備えており、行き止まり配管10は、分岐部16の上方に設けられた上方接続部16bに接続された例を説明した。圧力吸収部9は、別の形態を呈していてもよい。
【0040】
例えば、
図1に示す圧力吸収部9の分岐部16の3つの接続部(側方接続部16a、上方接続部16b、下方接続部16c)が、全て側方(水平方向)を向くように分岐部16を配置してもよい。この場合、行き止まり配管は、例えばL字形に屈曲した構造を採用する。そして、L字の一方の辺が水平方向を向いて分岐部16と接続して連通し、L字の他方の辺が鉛直方向を向くようにする。L字形の行き止まり配管の鉛直方向を向いた部位を、トレーラ側高圧配管12b及びトレーラ側低圧配管13bよりも高い位置に配置する。すなわち、行き止まり配管内に空気溜まりが生じるように、行き止まり配管の高さ位置を設定する。
【0041】
トレーラ3側の油圧機器としては、他に支持脚19がある。支持脚19にも、図示しない油圧配管と油圧シリンダが設けられており、支持脚19は、油圧ポンプ5から供給された作動油によって油圧シリンダが駆動され、油圧シリンダのピストンに連動して支持脚19を伸縮することができる。支持脚19は、例えば、伸長して地面に接し、トレーラ3の前方の部位を支持したり、トレーラ3の前部がトラクタ2に支持されているときには収縮して地面から離間させることができる。
【0042】
以上では、圧力吸収部9を、作動油を回収する側の低圧側配管13上に設けた例を示したが、圧力吸収部9は、高圧側配管12上に設けてもよい。この場合においても、油圧回路4における最も高い位置に圧力吸収部9を配置する。
【0043】
図3は、
図1とは別の作業車31の側面図である。
作業車31は、トラクタ32(搬送車;コンテナ運搬車)とコンテナ33(貨物収容体)を有する。すなわち、トラクタ32上にコンテナ33が搭載されており、トラクタ32はコンテナ運搬車として機能する。トラクタ32側には油圧源である油圧ポンプ35及びタンク41が設けられている。また、コンテナ33側には油圧モータ36(油圧機器)が設けられている。
【0044】
トラクタ32側の油圧ポンプ35及びタンク41と、コンテナ33側の油圧モータ36は、油圧回路34上に設けられている。油圧回路34は、
図1の油圧回路4と同様に、トラクタ32側のトラクタ側高圧配管42a(吐出側配管42)とコンテナ33側の高圧配管42b(吐出側配管42)が、油圧カプラ37で着脱可能に接続されており、トラクタ32側のトラクタ側低圧配管43a(回収側配管43)とコンテナ33側の低圧配管43b(回収側配管43)が、油圧カプラ38で着脱可能に接続された構造を有する。すなわち、油圧回路34は、
図1、
図2の油圧回路4と同様の構造を有し、重複する説明は省略する。
【0045】
油圧モータ36は、油圧ポンプ35から供給された作動油によって駆動される。コンテナ33は、油圧モータ36で駆動される昇降装置によって、トラクタ32と地面の間を積み卸しすることができる。
【0046】
作業車を、荷箱(貨物収容体)に塵芥を収容する塵芥収集車とすることもできる。そして、塵芥を荷箱に詰め込むための塵芥圧縮装置や、大きな塵芥(破砕対象物)を破砕する破砕装置(シュレッダ)等の様々な用途に本発明を実施することができる。本発明を実施した貨物収容体は、高価なアキュムレータを使用せずに済む。
【符号の説明】
【0047】
1、31 作業車
2 トラクタ(搬送車)
3 トレーラ(貨物収容体)
4、34 油圧回路
5、35 油圧ポンプ(油圧源)
6、36 油圧モータ(油圧機器)
7、8、37、38 油圧カプラ
7a、8a ソケット
7b、8b プラグ
9 圧力吸収部
10 行き止まり配管
12、42 高圧側配管(吐出側配管)
13、43 低圧側配管(回収側配管)
32 トラクタ(搬送車)
33 コンテナ(貨物収容体)