(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133661
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】連絡通路用防災システム
(51)【国際特許分類】
E06B 9/82 20060101AFI20220907BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20220907BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220907BHJP
E06B 5/16 20060101ALN20220907BHJP
【FI】
E06B9/82 B
A62C2/06 503
G08B17/00 E
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032465
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】花田 博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】杉田 大輔
【テーマコード(参考)】
2E042
2E239
5G405
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CB04
2E042CB07
2E042CB17
2E042CC04
2E042CC05
2E239CA02
2E239CA42
5G405AA01
5G405AA06
5G405AD02
5G405CA27
(57)【要約】
【課題】連絡通路の防災機能を強化し、利便性や機能の向上を図れる隣接建物間の通路接続を安全に実現できる連絡通路用防災システムを提供する。
【解決手段】隣接する第1建物1と第2建物2とを接続する連絡通路3に設置され、閉鎖信号Dcを受信した場合に閉鎖作動して当該連絡通路3を閉鎖自在な防火シャッター4と、第1建物1における連絡通路3の近傍箇所又は連絡通路3に設置される第1建物側火災感知器11と、第2建物2における連絡通路3の近傍箇所又は連絡通路3に設置される第2建物側火災感知器21と、第1建物側火災感知器11からの火災信号Dfの発生に伴って防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信する第1建物側情報伝達系統12と、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信する第2建物側情報伝達系統22とが備えられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1建物と第2建物とを接続する連絡通路に設置され、閉鎖信号を受信した場合に閉鎖作動して当該連絡通路を閉鎖自在な防火シャッターと、
前記第1建物における前記連絡通路の近傍箇所又は前記連絡通路に設置される第1建物側火災感知器と、
前記第2建物における前記連絡通路の近傍箇所又は前記連絡通路に設置される第2建物側火災感知器と、
前記第1建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記防火シャッターに閉鎖信号を送信する第1建物側情報伝達系統と、
前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記防火シャッターに閉鎖信号を送信する第2建物側情報伝達系統とが備えられる連絡通路用防災システム。
【請求項2】
前記第2建物側情報伝達系統は、前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第1建物側情報伝達系統を介して前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成される請求項1記載の連絡通路用防災システム。
【請求項3】
前記第1建物側情報伝達系統には、前記第1建物に設置されて前記第1建物側火災感知器及び前記防火シャッターの夫々に接続される第1建物側防災制御装置が含まれ、
前記第1建物側防災制御装置は、前記第1建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第1建物側火災感知器からの火災信号を受信して前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成され、
前記第2建物側情報伝達系統には、前記第2建物に設置されて前記第2建物側火災感知器に接続される第2建物側防災制御装置が含まれ、
前記第1建物側防災制御装置と前記第2建物側防災制御装置とが接続され、
前記第2建物側防災制御装置は、前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第2建物側火災感知器からの火災信号を受信し、前記第1建物側防災制御装置を経由してその第1建物側防災制御装置と前記防火シャッターとの間における前記第1建物側情報伝達系統の一部を介して、前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成される請求項2記載の連絡通路用防災システム。
【請求項4】
前記連絡通路には、前記第1建物側火災検知器と前記第2建物側火災検知器とが検知範囲を重複させる状態で設置される請求項1~3のいずれか1項に記載の連絡通路用防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する建物間の連絡通路を警戒する連絡通路用防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、大規模な建替計画や、機能集約による企業の特定地域への集中が多くみられる中、隣接する建物間を連絡通路にて接続し、利便性や機能向上を図るケースが多い。このようなケースでは、連絡通路の防災機能として、一方の建物における連絡通路の近傍箇所又は連絡通路に設置される一方建物側火災感知器と、当該一方建物側火災感知器が火災を感知した場合に一方の建物の情報伝達系統から閉鎖信号を受信して連絡通路を閉鎖自在な防火シャッター(例えば、特許文献1参照)が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、連絡通路で接続する複数の建物のうちの既存側の建物の条件等によっては、連絡通路の通路幅や通路長さや開口部の面積等を火災時の安全性を十分に得るだけ大きくするのが困難な場合がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、連絡通路の防災機能を強化し、利便性や機能の向上を図れる隣接建物間の通路接続を安全に実現できる連絡通路用防災システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、隣接する第1建物と第2建物とを接続する連絡通路に設置され、閉鎖信号を受信した場合に閉鎖作動して当該連絡通路を閉鎖自在な防火シャッターと、
前記第1建物における前記連絡通路の近傍箇所又は前記連絡通路に設置される第1建物側火災感知器と、
前記第2建物における前記連絡通路の近傍箇所又は前記連絡通路に設置される第2建物側火災感知器と、
前記第1建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記防火シャッターに閉鎖信号を送信する第1建物側情報伝達系統と、
前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記防火シャッターに閉鎖信号を送信する第2建物側情報伝達系統とが備えられる点にある。
【0007】
本構成によれば、第1建物側火災感知器が火災を感知した場合には、第1建物側情報伝達系統が防火シャッターに閉鎖信号を送信して防火シャッターを閉鎖作動させ、連絡通路を閉鎖することができる。他方、第2建物側火災感知器が火災を感知した場合には、第2建物側情報伝達系統が防火シャッターに閉鎖信号を送信して防火シャッターを閉鎖作動させ、連絡通路を閉鎖することができる。
よって、第1建物側火災感知器と第2建物側火災感知器の両方で連絡通路を警戒することができ、連絡通路の防災機能を強化し、利便性や機能の向上を図れる隣接する建物間の通路接続を安全に実現することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記第2建物側情報伝達系統は、前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第1建物側情報伝達系統を介して前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成される点にある。
【0009】
本構成によれば、第2建物側火災感知器が火災を感知した場合には、第2情報伝達系統が第1建物側情報伝達系統を介して防火シャッターに閉鎖信号を送信して防火シャッターを閉鎖作動させ、連絡通路を閉鎖することができる。
よって、第1建物側情報伝達系統と第2建物側情報伝達系統により第1建物側火災感知器と第2建物側火災感知器のいずれが火災を感知した場合でも防火シャッターを閉鎖作動させて連絡通路を閉鎖できながら、防火シャッターへの最終的な信号送信元を第1建物側情報伝達系統の1系統として、防火シャッターと情報伝達系統との接続形態を信頼性の高い汎用の接続形態(1系統)とすることができる。したがって、防火シャッターと情報伝達系統との接続形態として、専用の接続形態(2系統)を開発して建築基準法や消防法の認定を受ける場合に生じる時間やコストを削減することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記第1建物側情報伝達系統には、前記第1建物に設置されて前記第1建物側火災感知器及び前記防火シャッターの夫々に接続される第1建物側防災制御装置が含まれ、
前記第1建物側防災制御装置は、前記第1建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第1建物側火災感知器からの火災信号を受信して前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成され、
前記第2建物側情報伝達系統には、前記第2建物に設置されて前記第2建物側火災感知器に接続される第2建物側防災制御装置が含まれ、
前記第1建物側防災制御装置と前記第2建物側防災制御装置とが接続され、
前記第2建物側防災制御装置は、前記第2建物側火災感知器からの火災信号の発生に伴って前記第2建物側火災感知器からの火災信号を受信し、前記第1建物側防災制御装置を経由してその第1建物側防災制御装置と前記防火シャッターとの間における前記第1建物側情報伝達系統の一部を介して、前記防火シャッターに閉鎖信号を送信するように構成される点にある。
【0011】
本構成によれば、第1建物系統火災感知器が火災を感知した場合には、第1建物側防災制御装置単独で防火シャッターに閉鎖信号を送信し、連絡通路用防火シャッターを閉鎖作動させて連絡通路を閉鎖することができる。他方、第2建物側火災感知器が火災を感知した場合には、第2建物側防災制御装置と第1建物側防災制御装置を連携させて、第1建物側防災制御装置と防火シャッターとの間における第1建物側情報伝達系統の一部をそのまま利用して、防火シャッターに閉鎖信号を送信し、連絡通路用防火シャッターを閉鎖作動させて連絡通路を閉鎖することができる。
よって、第1建物系統防災制御装置と第2建物系統防災制御装置とを連携させて連絡通路の防災機能の強化を効率良く実現することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記連絡通路には、前記第1建物側火災検知器と前記第2建物側火災検知器とが検知範囲を重複させる状態で設置される点にある。
【0013】
本構成によれば、検知範囲の重複する第1建物側火災検知器と第2建物側火災検知器にて連絡通路を二重に警戒することができる。よって、検知範囲の重複する位置で火災が発生した際、第1建物側火災検知器と第2建物側火災検知器の一方が火災を検知しない場合でも、他方が火災を検知することができ、連絡通路の防災機能を一層強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】連絡通路用防災システムの各部の配置を示す図
【
図3】連絡通路用防災システムの火災時の動作と信号の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の連絡通路用防災システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この連絡通路用防災システムは、隣接する第1建物1と第2建物2とを接続する連絡通路3やその近傍箇所で火災が発生した場合に、当該連絡通路3を自動的に閉鎖するシステムである。
【0016】
この連絡通路用防災システムには、連絡通路3に設置されて閉鎖信号Dcを受信した場合に閉鎖作動して当該連絡通路3を閉鎖自在な防火シャッター4と、第1建物1における連絡通路3の近傍箇所及び連絡通路3に設置される第1建物側火災感知器11と、第1建物側火災感知器11からの火災信号Dfの発生に伴って防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信する第1建物側情報伝達系統12とが備えられる。
第1建物側火災感知器11が火災を感知した場合に、第1建物側火災感知器11からの火災信号Dfの発生に伴って第1建物側情報伝達系統12により防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信されて防火シャッター4が連絡通路3を自動的に閉鎖するように構成される。
【0017】
また、この連絡通路用防災システムには、第2建物2における連絡通路3の近傍箇所及び連絡通路3に設置される第2建物側火災感知器21と、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信する第2建物側情報伝達系統22とが備えられる。
第2建物側火災感知器21が火災を感知した場合も、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って第2建物側情報伝達系統22により防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信されて防火シャッター4が連絡通路3を自動的に閉鎖するように構成される。この第2建物側情報伝達系統22は、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って第1建物側情報伝達系統12を介して防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成される。
以下、各部の具体的構成について説明を加える。
【0018】
図1に示すように、連絡通路3は、天井部と左右の両側壁部と床部とを有し、屋外と区画された状態で第1建物1と第2建物2との間で人が双方向に通行可能に構成される。連絡通路3は、通路長さ方向で第1建物1側に位置する第1通路部31と、通路長さ方向で第2建物2側に位置する第2通路部32とから構成される。そして、本実施形態では、防火シャッター4が、連絡通路3の長手方向の複数箇所、具体的には、第1建物1と第1通路部31との境界部と、第1通路部31と第2通路部32との境界部と、第2通路部32と第2建物2との境界部の3箇所に設置される。
【0019】
図2に示すように、防火シャッター4には、シャッター制御装置41と、連絡通路3の通路幅方向の両端側に設置されるガイドレール等に案内される状態で昇降自在なシャッターカーテン42と、シャッター制御装置41からの作動信号等に基づいてシャッターカーテン42を昇降駆動させる駆動装置43とが備えられる。
【0020】
また、防火シャッター4には、シャッターカーテン42の位置を連絡通路3の上方や途中位置等に機械的に保持するブレーキ装置44と、シャッター制御装置41からの閉鎖信号Dcに基づいてブレーキ装置44の位置保持力を開放してシャッターカーテン42を自重降下させる自動閉鎖装置45と、当該防火シャッターの近傍の壁部に設置される操作スイッチ等を有する手動閉鎖装置46が備えられる。
【0021】
防火シャッター4は、通常は、シャッターカーテン42を連絡通路3の上方に格納した開放状態とされている。そして、火災時に第1建物側情報伝達系統12や第2建物側火災感知器21から送られてくる閉鎖信号Dcや手動閉鎖装置46の操作信号をシャッター制御装置41にて受信した場合に、シャッター制御装置41から自動閉鎖装置45に閉鎖信号Dcが送信されて自動閉鎖装置45が作動し、シャッターカーテン42を自重降下させるようになっている。
【0022】
図1に戻り、第1建物側火災感知器11として、火災時に発生する煙を感知して火災信号Dfを送信する第1建物側煙感知器11a,11b,11cと、火災時に発生する熱を感知して火災信号Dfを送信する第1建物側熱感知器11dとが備えられる。
本実施形態では、第1建物側煙感知器11a及び第1建物側熱感知器11dが第1建物1における連絡通路3の近傍箇所に設置され、第1建物側煙感知器11bが連絡通路3の第1通路部31に設置され、第1建物側煙感知器11cが連絡通路3の第2通路部32に設置される。
【0023】
第1建物側情報伝達系統12は、第1建物1側の各種の防災設備との間で各種の情報を伝達するものであり、第1建物1の防災センター等に設置される第1建物側防災制御装置12A、第1建物側防災制御装置12Aと第1建物側火災感知器11とを接続する信号線12a、第1建物側防災制御装置12Aと防火シャッター4とを接続する信号線12b等から構成される。
【0024】
第1建物側防災制御装置12Aには、情報の送受信を行う送受信部や各種の防災設備の状態表示等を行う表示部等が備えられる。
この第1建物側防災制御装置12Aは、第1建物側火災感知器11からの火災信号Dfの発生に伴って信号線12aを通じて第1建物側火災感知器11から火災信号Dfを受信し、信号線12bを通じて防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成される。
また、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って後述する信号線22bを通じて第2建物側防災制御装置22Aから火災信号Df又は閉鎖信号Dcを受信し、信号線12bを通じて防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成される。
【0025】
更に、第1建物側防災制御装置12Aは、防火シャッター4の作動に伴って信号線12bを通じて防火シャッター4から作動信号Dsを受信して防火シャッター4の状態等を表示部に表示するとともに、防火シャッター4からの作動信号Dsを後述する信号線22bを通じて第2建物側防災制御装置22Aに送信するように構成される。
【0026】
第2建物側火災感知器21として、火災時に発生する煙を感知して火災信号Dfを送信する第2建物側煙感知器21a,21b,21cと、火災時に発生する熱を感知して火災信号Dfを送信する第2建物側熱感知器21dとが備えられる。
本実施形態では、第2建物側煙感知器21a及び第2建物側熱感知器21dが第2建物2における連絡通路3の近傍箇所に設置される。また、第2建物側煙感知器21bが、第1建物側煙感知器11bとで第1通路部31を二重に警戒するように、第1建物側煙感知器11bと検知範囲を重複させる状態で連絡通路3の第1通路部31に設置される。更に、第2建物側煙感知器21cが、第1建物側煙感知器11cとで第2通路部32を二重警戒するように、第1建物側煙感知器11cと検知範囲を重複させる状態で連絡通路3の第2通路部32に設置される。
【0027】
第2建物側情報伝達系統22は、第2建物2側の各種の防災設備との間で各種の情報を伝達するものであり、第2建物2の防災センター等に設置される第2建物側防災制御装置22A、第2建物側防災制御装置22Aと第2建物側火災感知器21とを接続する信号線22a、第2建物側防災制御装置22Aと第1建物側防災制御装置12Aとを接続する連携手段としての信号線22b等を備えて構成される。
【0028】
第2建物側防災制御装置22Aには、情報の送受信を行う送受信部や各種の防災設備の状態表示等を行う表示部等が備えられる。
この第2建物側防災制御装置22Aは、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って信号線22aを通じて第2建物側火災感知器21から火災信号Dfを受信すると、その火災信号Df又は閉鎖信号Dcを信号線22bを通じて第1建物側防災制御装置12Aに送信し、第1建物側防災制御装置12Aを経由してその第1建物側防災制御装置12Aと防火シャッター4との間における第1建物側情報伝達系統12の一部を介して、信号線12bを通じて防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成される。
また、第2建物側防災制御装置22Aは、防火シャッター4の作動に伴って第1建物側防災制御装置12Aを経由してその第1建物側防災制御装置12Aと防火シャッター4との間における第1建物側情報伝達系統12の一部を介して、信号線12b及び信号線22bを通じて防火シャッター4から作動信号Dsを受信して防火シャッター4の状態等を表示部に表示するように構成される。
【0029】
以下、
図3を参照して、連絡通路用防災システムの火災時の動作の流れ及び信号の流れについて説明を加える。なお、本実施形態では、火災時に防火シャッター4が連絡通路3を段階的に閉鎖する場合を例に挙げて説明するが、一度で全てを閉鎖するようにしてもよい。
【0030】
図3に示すように、この連絡通路用防災システムは、連絡通路3又はその近傍箇所で火災が発生し、第1建物側煙感知器11a~11cと第2建物側煙感知器21a~21cのいずれかが1回目の火災を感知すると(ステップ♯1)、防火シャッター4が連絡通路3の上部側(天井裏等)を閉鎖する第1動作を実行する(ステップ♯2)。
【0031】
このとき、第1建物側煙感知器11a~11cのいずれかが火災を感知した場合には、第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aに火災信号Dfが送信され、火災信号Dfを受信した第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信される。
【0032】
また、第2建物側煙感知器21a~21cのいずれかが火災を感知した場合には、第2建物側情報伝達系統22の第2建物側防災制御装置22Aに火災信号Dfが送信され、火災信号Dfを受信した第2建物側防災制御装置22Aから第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aに火災信号Df又は閉鎖信号Dcが送信され、火災信号Df又は閉鎖信号Dcを受信した第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信される。
【0033】
いずれの場合も、最終的に第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信され、その閉鎖信号Dcを受信した防火シャッター4のシャッター制御装置41から自動閉鎖装置45に閉鎖信号Dcが送信され、自動閉鎖装置45が一時的に作動してシャッターカーテン42が連絡通路3の上部側を閉鎖する設定レベルまで自重降下し、防火シャッター4が連絡通路3の上部側(天井裏等)を閉鎖する。
【0034】
そして、防火シャッター4のシャッター制御装置41から第1建物側防災制御装置12Aに作動信号Dsが送信され、その作動信号Dsを受信した第1建物側防災制御装置12Aが防火シャッター4の状態等を表示部に表示するとともに、作動信号Dsを第2建物側防災制御装置22Aに送信し、その作動信号Dsを受信した第2建物側防災制御装置22Aも防火シャッター4の状態等を表示部に表示する。
【0035】
連絡通路用防災システムは、第1動作の実行後、第1建物側煙感知器11a~11c、第1建物側熱感知器11d、第2建物側煙感知器21a~21c、第2建物側熱感知器21dのいずれかが火災を感知すると(ステップ♯3)、防火シャッター4が連絡通路3の全てを閉鎖する第2動作を実行する(ステップ♯4)。
【0036】
このとき、第1建物側煙感知器11a~11c、第1建物側熱感知器11dのいずれかが火災を感知した場合には、火災信号Dfを受信した第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信される。
【0037】
また、第2建物側煙感知器21a~21c、第2建物側熱感知器21dのいずれかが火災を感知した場合には、第2建物側情報伝達系統22の第2建物側防災制御装置22Aに火災信号Dfが送信され、火災信号Dfを受信した第2建物側防災制御装置22Aから第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aに火災信号Df又は閉鎖信号Dcが送信され、火災信号Df又は閉鎖信号Dcを受信した第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信される。
【0038】
いずれの場合も、最終的に第1建物側情報伝達系統12の第1建物側防災制御装置12Aから防火シャッター4に閉鎖信号Dcが送信され、その閉鎖信号Dcを受信した防火シャッター4のシャッター制御装置41から自動閉鎖装置45に閉鎖信号Dcが送信され、自動閉鎖装置45が一時的に作動してシャッターカーテン42が連絡通路3の全てを閉鎖する床レベルまで自重降下し、防火シャッター4が連絡通路3の全てを閉鎖する。
【0039】
そして、第1動作と同様、防火シャッター4のシャッター制御装置41から第1建物側防災制御装置12Aに作動信号Dsが送信され、その作動信号Dsを受信した第1建物側防災制御装置12Aが防火シャッター4の状態等を表示部に表示するとともに、作動信号Dsを第2建物側防災制御装置22Aに送信し、その作動信号Dsを受信した第2建物側防災制御装置22Aも防火シャッター4の状態等を表示部に表示する。
【0040】
以上説明したように、この連絡通路用防災システムによれば、第1建物側火災感知器11と第2建物側火災感知器21の両方で連絡通路3を警戒することができ、連絡通路3の防災機能を強化し、利便性や機能の向上を図れる隣接建物間の通路接続を安全に実現することができる。
しかも、防火シャッター4への最終的な信号送信元を第1建物側情報伝達系統12の1系統として、防火シャッター4と情報伝達系統との接続形態を信頼性の高い汎用の接続形態(1系統)とすることができ、防火シャッター4と情報伝達系統との接続形態として、専用の接続形態(2系統)を開発して建築基準法や消防法の認定を受ける場合に生じる時間やコストを削減することができる。
【0041】
更に、本実施形態では、既設の第1建物1に対して第2建物2と連絡通路3とを新設して建物全体を増床しており、第1建物1の第1建物側情報伝達系統12の主要部分は、これまで運用されてきた実績のあるものとなっている。そのため、その実績のある主要部分を有する第1建物側情報伝達系統12を最終的な信号送信元にして、第1建物側防災制御装置12Aに対して第2建物側防災制御装置22Aからの火災信号Df又は閉鎖信号Dcを受信自在に接続することで、第1建物側情報伝達系統12だけでなく、第2建物側情報伝達系統22も防火シャッター4に接続することができ、新たに連絡通路3に設置される防火シャッター4の運用までに要する検査や調整等の手間や時間を少なくすることができる。
【0042】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0043】
(1)前述の実施形態では、第2建物側情報伝達系統22が、第2建物側火災感知器21からの火災信号Dfの発生に伴って第1建物側情報伝達系統12を介して防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成される場合を例に示したが、例えば、第2建物側情報伝達系統22の第2建物側防災制御装置22Aと防火シャッター4とを信号線等で直接に接続することで、第1建物側情報伝達系統12を介さずに直接に防火シャッター4に閉鎖信号Dcを送信するように構成されてもよい。
【0044】
(2)前述の実施形態では、連絡通路3の3箇所に防火シャッター4を設置する場合を例に示したが、防火シャッター4は、連絡通路3の状況に応じて1箇所や2箇所又は4箇所以上に設置するようにしてもよい。
【0045】
(3)前述の実施形態では、連絡通路3にて接続される第1建物1と第2建物2の一方が既設の建物で他方が新設の建物である場合を例に示したが、両方が新設の建物であったり、両方が既設の建物であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 第1建物
2 第2建物
3 連絡通路
4 防火シャッター
11 第1建物側火災感知器
12 第1建物側情報伝達系統
12A 第1建物側防災制御装置
21 第2建物側火災感知器
22 第2建物側情報伝達系統
22A 第2建物側防災制御装置
Dc 閉鎖信号
Df 火災信号