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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133710
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20220907BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20220907BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/90
B60N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032556
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石井 正吾
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 大敬
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B087AA01
3B087BA02
3B087BD03
3B087DE08
3B087DE10
3B088JA02
(57)【要約】
【課題】後側乗員の快適性が損なわれることを抑制できる車両用シート装置を提供する。
【解決手段】車両用シート装置は、後列シート40、フットレスト、フットレスト位置センサ、及び第2ECU62を備える。後列シート40は、シートクッション41、シートバック42及びシートバック駆動部46を備える。フットレストは、前列シート20のシートバック22の後面に対して回動可能に設けられたフットレスト本体24a、及びフットレスト本体24aを回動させるフットレスト駆動部28を備える。第2ECU62は、シートバック42が直立位置よりも後方に傾けられている状態からシートバック42を前方に向けて傾動させる際に、フットレスト本体24aの回動位置が展開位置にある場合には、フットレスト駆動部28によりフットレスト本体24aを格納位置まで回動させた後に、シートバック駆動部46によりシートバック42を前方に向けて傾動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに連結されたシートクッション、前記シートクッションの後端部に対して傾動可能に連結されたシートバック、及び前記シートバックを傾動させるシートバック駆動部を備えるシートと、
前記シートの前方に位置する壁面に対して回動可能に設けられたフットレスト本体、及び前記フットレスト本体を回動させるフットレスト駆動部を備えるフットレストと、
前記フットレスト本体の回動位置を検出する検出部と、
前記シートバック駆動部及び前記フットレスト駆動部の作動を制御する制御装置と、を備え、
前記フットレスト本体が、前記壁面に沿う格納位置と、前記壁面に対して展開された展開位置とに回動可能に構成されている車両用シート装置であって、
前記制御装置は、前記シートバックが前記フロアに対して直立した直立位置よりも後方に傾けられている状態から前記シートバックを前方に向けて傾動させる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記シートバック駆動部により前記シートバックを前方に向けて傾動させる、
車両用シート装置。
【請求項2】
前記シートクッションは、車両の前後方向において前記フロアに対してスライド可能に連結されており、
前記シートは、前記シートクッションをスライドさせるスライド駆動部を備え、
前記制御装置は、前記シートクッションを前方に向けてスライドさせる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記スライド駆動部により前記シートクッションを前方に向けてスライドさせる、
請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
車両の前後方向において車両のフロアに対してスライド可能に連結されたシートクッション、前記シートクッションの後端部に対して傾動可能に連結されたシートバック、及びシートクッションをスライドさせるスライド駆動部を備えるシートと、
前記シートの前方に位置する壁面に対して回動可能に連結されたフットレスト本体、及び前記フットレスト本体を回動させるフットレスト駆動部を備えるフットレストと、
前記フットレスト本体の回動位置を検出する検出部と、
前記スライド駆動部及び前記フットレスト駆動部の作動を制御する制御装置と、を備え、
前記フットレスト本体が、前記壁面に沿う格納位置と、前記壁面に対して展開された展開位置とに回動可能に構成されている車両用シート装置であって、
前記制御装置は、前記シートクッションを前方に向けて傾動させる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記スライド駆動部により前記シートクッションを前方に向けてスライドさせる、
車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フットレスト装置及びオットマン装置付き乗物用シートが開示されている。
特許文献1に記載の後列シートのシートクッションの前部には、オットマン装置が設けられている。シートクッションから離れた前方位置には、オットマン装置とは別のフットレスト装置が設けられている。
【0003】
フットレスト装置は、後列シートに着座した乗員の脚部を支持するフットレスト本体と、アクチュエータとを有している。フットレスト本体は、前列シートのシートバックの後面に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。アクチュエータは、フットレスト本体と前列シートのシートバックの後面との間に設けられている。
【0004】
アクチュエータは、制御手段により制御される。制御手段は、アクチュエータの駆動を通じてフットレスト本体を、収納位置と、下位置と、使用位置とに移動させる。
収納位置は、フットレスト本体の先端部を持ち上げて、フットレスト本体を前列シートのシートバックの後面に沿わせた位置である。下位置は、フットレスト本体の先端部を下げて、フットレスト本体をシートバックの下端側の後面に沿わせた位置である。使用位置は、収納位置と下位置との中間であって、フットレスト本体を略水平にした位置である。
【0005】
前列シートには、シートクッションを車両の前後方向においてスライドさせるアクチュエータ、及びシートバックを前後に傾動させるアクチュエータが設けられている。
後列シートには、シートクッションを車両の前後方向においてスライドさせるアクチュエータ、及びシートバックを前後に傾動させるアクチュエータが設けられている。
【0006】
特許文献1には、後側シートのシートバックが直立位置よりも大きく後方に傾けられており、且つシートクッションが後方にスライドされている状態(以下、リラックスモード)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-289133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えばリラックスモードである後列シートにおいて、シートバックを前方に傾動させるとともにシートクッションを前方にスライドさせる際に、フットレスト本体が使用位置にあると、以下の不都合が生じるおそれがある。すなわち、後側乗員の脚部がフットレスト本体によって支持されている状態で、後列シートのシートバックが前傾されるとともに、シートクッションが前方にスライドされると、後側乗員の腹部が圧迫されたり、後側乗員の脚部が前列シートのシートバックに衝突したりする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用シート装置は、車両のフロアに連結されたシートクッション、前記シートクッションの後端部に対して傾動可能に連結されたシートバック、及び前記シートバックを傾動させるシートバック駆動部を備えるシートと、前記シートの前方に位置する壁面に対して回動可能に設けられたフットレスト本体、及び前記フットレスト本体を回動させるフットレスト駆動部を備えるフットレストと、前記フットレスト本体の回動位置を検出する検出部と、前記シートバック駆動部及び前記フットレスト駆動部の作動を制御する制御装置と、を備え、前記フットレスト本体が、前記壁面に沿う格納位置と、前記壁面に対して展開された展開位置とに回動可能に構成されている車両用シート装置であって、前記制御装置は、前記シートバックが前記フロアに対して直立した直立位置よりも後方に傾けられている状態から前記シートバックを前方に向けて傾動させる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記シートバック駆動部により前記シートバックを前方に向けて傾動させる。
【0010】
同構成によれば、シートバックが直立状態よりも後方に傾けられている状態からシートバックを前方に向けて傾動させる際に、フットレスト本体が展開位置にある場合には、まず、フットレスト本体が格納位置まで回動される。その後、シートバックが前方に向けて傾動される。これにより、シートに着座している乗員の腹部が圧迫されにくくなる。したがって、乗員の快適性が損なわれることを抑制できる。
【0011】
上記車両用シート装置において、前記シートクッションは、車両の前後方向において前記フロアに対してスライド可能に連結されており、前記シートは、前記シートクッションをスライドさせるスライド駆動部を備え、前記制御装置は、前記シートクッションを前方に向けてスライドさせる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記スライド駆動部により前記シートクッションを前方に向けてスライドさせることが好ましい。
【0012】
同構成によれば、シートクッションを前方に向けてスライドさせる際に、フットレスト本体が展開位置にある場合には、まず、フットレスト本体が格納位置まで回動される。その後、シートクッションが前方に向けてスライドされる。これにより、シートに着座している乗員の脚部が壁面に衝突しにくくなる。したがって、乗員の快適性が損なわれることを抑制できる。
【0013】
上記課題を解決する車両用シート装置は、車両の前後方向において車両のフロアに対してスライド可能に連結されたシートクッション、前記シートクッションの後端部に対して傾動可能に連結されたシートバック、及びシートクッションをスライドさせるスライド駆動部を備えるシートと、前記シートの前方に位置する壁面に対して回動可能に連結されたフットレスト本体、及び前記フットレスト本体を回動させるフットレスト駆動部を備えるフットレストと、前記フットレスト本体の回動位置を検出する検出部と、前記スライド駆動部及び前記フットレスト駆動部の作動を制御する制御装置と、を備え、前記フットレスト本体が、前記壁面に沿う格納位置と、前記壁面に対して展開された展開位置とに回動可能に構成されている車両用シート装置であって、前記制御装置は、前記シートクッションを前方に向けて傾動させる際に、前記フットレスト本体の回動位置が前記展開位置にある場合には、前記フットレスト駆動部により前記フットレスト本体を前記格納位置まで回動させた後に、前記スライド駆動部により前記シートクッションを前方に向けてスライドさせる。
【0014】
同構成によれば、シートクッションを前方に向けてスライドさせる際に、フットレスト本体が展開位置にある場合には、まず、フットレスト本体が格納位置まで回動される。その後、シートクッションが前方に向けてスライドされる。これにより、シートに着座している乗員の脚部が壁面に衝突しにくくなる。したがって、乗員の快適性が損なわれることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、後側乗員の快適性が損なわれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両用シート装置の一実施形態について、前列シート及び後列シートを示す側面図。
図2】車両用シート装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】退避状態にある前列シートと、リクライニング状態にある後列シートとを示す側面図。
図4】後列リターン制御の処理手順を示すフローチャート。
図5】(a)~(c)は、後列リターン制御の実行に伴う前列シート及び後列シートの動作態様を順に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図5を参照して、車両用シート装置の一実施形態について説明する。
なお、以降においては、車両の前後方向の前側及び後側を単に前側及び後側として説明する。また、車両が水平面上に位置するときの車両の上下方向の上側及び下側を単に上側及び下側として説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の車両のフロア90には、前列シート20及び後列シート40が前後方向に並んで設けられている。前列シート20は、助手席である。
<前列シート20>
前列シート20は、シートクッション21と、シートバック22と、ヘッドレスト23と、フットレスト24と、スライド駆動部25と、シートバック駆動部26と、ヘッドレスト駆動部27とを備えている。
【0019】
<シートクッション21及びスライド駆動部25>
シートクッション21は、フロア90に設けられたスライド機構29を介して前後方向にスライド可能に連結されている。
【0020】
スライド機構29は、フロア90に固定されたロアレール30と、ロアレール30に対して前後方向にスライド可能に設けられたアッパレール31とを備えている。アッパレール31には、シートクッション21が支持されている。
【0021】
シートクッション21は、スライド機構29を介して、前後方向においてフロア90に対してスライド可能に連結されている。
図1及び図2に示すように、スライド駆動部25は、駆動源としてのモータ25Mを備えている。モータ25Mの作動によりロアレール30に対してアッパレール31をスライドさせることで、シートクッション21がスライドされる。
【0022】
<シートバック22及びシートバック駆動部26>
図1に示すように、シートバック22は、シートクッション21の後端部に対して前後方向に傾動可能に連結されている。シートバック22は、前列シート20の幅方向、すなわち車幅方向に沿って延びる図示しない軸線を中心に傾動可能である。
【0023】
シートバック駆動部26は、駆動源としてのモータ26Mを備えている。モータ26Mの作動によりシートクッション21に対してシートバック22が傾動される。
<ヘッドレスト23及びヘッドレスト駆動部27>
ヘッドレスト23は、シートバック22の上端部に対して前後方向に傾動可能に連結されている。ヘッドレスト23は、前列シート20の幅方向、すなわち車幅方向に沿って延びる図示しない軸線を中心に傾動可能である。
【0024】
図1及び図2に示すように、ヘッドレスト駆動部27は、駆動源としてのモータ27Mを備えている。モータ27Mの作動によりシートバック22の上端部に対してヘッドレスト23が傾動される。
【0025】
<フットレスト24>
図1に示すように、フットレスト24は、フットレスト本体24aと、フットレスト駆動部28とにより構成されている。フットレスト本体24aは、シートバック22の後面に対して回動可能に連結されている。フットレスト本体24aは、シートバック22の下端部の後面に連結されている。フットレスト本体24aは、前列シート20の幅方向、すなわち車幅方向に沿って延びる図示しない軸線を中心に傾動可能である。
【0026】
フットレスト本体24aは、格納位置と展開位置とに回動可能に構成されている。
格納位置は、フットレスト本体24aの先端部が持ち上げられることでシートバック22の後面に沿う位置である。
【0027】
展開位置は、フットレスト本体24aの先端部がシートバック22の後面に対して展開された位置である。
図1及び図2に示すように、フットレスト駆動部28は、駆動源としてのモータ28Mを備えている。モータ28Mの作動によりシートバック22の後面に対してフットレスト本体24aが傾動される。
【0028】
<前列シート20のセンサ及びスイッチ>
図2に示すように、前列シート20には、シートクッション21の前後方向における位置を検出するスライド位置センサ25Sが設けられている。
【0029】
前列シート20には、シートクッション21に対するシートバック22の傾動位置、所謂リクライニング角度を検出するシートバック位置センサ26Sが設けられている。
前列シート20には、シートバック22に対するヘッドレスト23の傾動位置を検出するヘッドレスト位置センサ27Sが設けられている。
【0030】
前列シート20には、シートバック22の後面に対するフットレスト本体24aの回動位置を検出するフットレスト位置センサ28Sが設けられている。
車両には、シートクッション21の前後方向における位置を変更するスライド操作スイッチ32が設けられている。
【0031】
車両には、シートバック22の傾動位置を変更するシートバック操作スイッチ33が設けられている。
車両には、ヘッドレスト23の傾動位置を変更するヘッドレスト操作スイッチ34が設けられている。
【0032】
スライド操作スイッチ32、シートバック操作スイッチ33、及びヘッドレスト操作スイッチ34の配設位置としては、例えば前列シート20のシートクッション21の側面が挙げられる。
【0033】
本実施形態のフットレスト本体24a、フットレスト駆動部28、フットレスト位置センサ28Sが、本発明に係るフットレスト本体、フットレスト駆動部、検出部にそれぞれ相当する。また、シートバック22の後面が、本発明に係る壁面に相当する。
【0034】
<後列シート40>
後列シート40は、前列シート20と同様な構成を有している。以降では、後列シート40の構成のうち前列シート20の構成と対応する構成については、前列シート20の構成の符号「**」に「20」を加算した符号を付すことにより重複した説明を省略する。
【0035】
図1に示すように、後列シート40は、シートクッション41と、シートバック42と、ヘッドレスト43と、スライド駆動部45と、シートバック駆動部46と、ヘッドレスト駆動部47と、スライド機構49とを備えている。
【0036】
ただし、後列シート40は、フットレスト本体24a、フットレスト駆動部28、フットレスト位置センサ28Sに対応する構成を備えていない。
スライド機構49は、前列シート20のスライド機構29よりも後方に設けられている。
【0037】
<後列シート40のセンサ及びスイッチ>
図2に示すように、後列シート40には、スライド位置センサ45S、シートバック位置センサ46S、及びヘッドレスト位置センサ47Sが設けられている。
【0038】
車両には、シートクッション41の前後方向における位置を変更するスライド操作スイッチ52が設けられている。
車両には、シートバック42の傾動位置を変更するシートバック操作スイッチ53が設けられている。
【0039】
車両には、ヘッドレスト43の傾動位置を変更するヘッドレスト操作スイッチ54が設けられている。
車両には、前列シート20のフットレスト本体24aの回動位置を変更するフットレスト操作スイッチ55が設けられている。
【0040】
スライド操作スイッチ52、シートバック操作スイッチ53、ヘッドレスト操作スイッチ54、及びフットレスト操作スイッチ55は、例えば後列シート40のシートクッション41の側面、あるいは後列シート40と車幅方向に隣り合って設けられた図示しないコンソールボックスなどに設けられている。
【0041】
<リラックスモードスイッチ81>
車両には、前列シート20を後述する退避状態に変更するとともに、後列シート40を後述するリラックス状態に変更するリラックスモードスイッチ81が設けられている。リラックスモードスイッチ81の配設位置としては、例えば、後列シート40のシートクッション41の側面、あるいは後列シート40と車幅方向に隣り合って設けられた図示しないコンソールボックスなどが挙げられる。
【0042】
<前列リターンスイッチ82>
車両には、前列シート20を退避状態から後述する使用状態に変更する前列リターンスイッチ82が設けられている。前列リターンスイッチ82の配設位置は、例えば、前列シート20のシートクッション21の側面、図示しないインストルメントパネル、あるいは運転席のドアトリムなどが挙げられる。
【0043】
<後列リターンスイッチ83>
車両には、後列シート40を中立状態からリラックス状態に変更する後列リターンスイッチ83が設けられている。後列リターンスイッチ83の配設位置としては、例えば、後列シート40のシートクッション41の側面、あるいは後列シート40と車幅方向に隣り合って設けられた図示しないコンソールボックスなどが挙げられる。
【0044】
<退避状態>
図3に示すように、退避状態は、前列シート20のシートクッション21が、前後方向におけるスライド可能な範囲の前端位置にある状態を含む。
【0045】
退避状態は、前列シート20のシートバック22が、フロア90に対して直立した直立位置よりも前傾された前傾位置にある状態を含む。
退避状態は、前列シート20のヘッドレスト23がシートバック22の上端部に対して前方に屈曲された前位置にある状態を含む。
【0046】
退避状態においては、フットレスト操作スイッチ55の操作を通じてフットレスト本体24aの回動位置を格納位置と展開位置との間で変更することが可能である。
<使用状態>
図1に示すように、使用状態は、前列シート20のシートクッション21が、前後方向におけるスライド可能な範囲の前端位置よりも後方の使用位置にある状態を含む。使用位置は、前列シート20のシートクッション21の前方に、乗員が着座するために必要な空間が確保された位置である。
【0047】
使用状態は、前列シート20のシートバック22が、直立位置よりも後傾された後傾位置にある状態を含む。
使用状態は、前列シート20のヘッドレスト23がシートバック22に沿う上位置にある状態を含む。
【0048】
<リラックス状態>
図3に示すように、リラックス状態は、後列シート40のシートバック42がフロア90に対して直立した直立位置よりも後方に傾けられている状態を含む。
【0049】
リラックス状態は、後列シート40のシートクッション41が、前後方向におけるスライド可能な範囲の後端位置にある状態を含む。
<中立状態>
図1に示すように、中立状態は、後列シート40のシートバック42の初期状態であり、シートバック42が、上記直立位置よりも後方に傾けられており、且つリラックス状態よりも前方に傾けられている状態を含む。
【0050】
中立状態は、後列シート40のシートクッション41が、前後方向におけるスライド可能な範囲の中央位置にある状態を含む。
<制御装置60>
車両には、前列シート20の作動を制御する第1ECU61及び後列シート40の作動を制御する第2ECU62を含む制御装置60が設けられている。
【0051】
第1ECU61と第2ECU62とは車載ネットワークを介して電気的に接続されている。
<第1ECU61>
図2に示すように、第1ECU61には、スライド駆動部25、シートバック駆動部26、及びヘッドレスト駆動部27が電気的に接続されている。
【0052】
第1ECU61には、スライド位置センサ25S、シートバック位置センサ26S、及びヘッドレスト位置センサ27Sが電気的に接続されている。
第1ECU61には、スライド操作スイッチ32、シートバック操作スイッチ33、ヘッドレスト操作スイッチ34、及び前列リターンスイッチ82が電気的に接続されている。
【0053】
第1ECU61は、スライド操作スイッチ32からの指令信号に基づきスライド駆動部25の作動を制御する。第1ECU61は、スライド操作スイッチ32が前方に向けて押し操作されると、シートクッション21を前方に向けてスライドさせるべくスライド駆動部25を作動させる。第1ECU61は、スライド操作スイッチ32が後方に向けて押し操作されると、シートクッション21を後方に向けてスライドさせるべくスライド駆動部25を作動させる。
【0054】
第1ECU61は、シートバック操作スイッチ33からの指令信号に基づきシートバック駆動部26の作動を制御する。第1ECU61は、シートバック操作スイッチ33が前方に向けて押し操作されると、シートバック22を前方に向けて傾動させるべくシートバック駆動部26を作動させる。第1ECU61は、シートバック操作スイッチ33が後方に向けて押し操作されると、シートバック22を後方に向けて傾動させるべくシートバック駆動部26を作動させる。
【0055】
第1ECU61は、ヘッドレスト操作スイッチ34からの指令信号に基づきヘッドレスト駆動部27の作動を制御する。第1ECU61は、ヘッドレスト操作スイッチ34が前方に向けて押し操作されると、ヘッドレスト23を前位置に向けて傾動させるべくヘッドレスト駆動部27を作動させる。第1ECU61は、ヘッドレスト操作スイッチ34が後方に向けて押し操作されると、ヘッドレスト23を上位置に向けて傾動させるべくヘッドレスト駆動部27を作動させる。
【0056】
第1ECU61は、前列シート20の退避状態及び使用状態を記憶するメモリ61Mを備えている。
<第2ECU62>
図2に示すように、第2ECU62には、スライド駆動部45、シートバック駆動部46、及びヘッドレスト駆動部47が電気的に接続されている。また、第2ECU62には、フットレスト駆動部28が電気的に接続されている。
【0057】
第2ECU62には、スライド位置センサ45S、シートバック位置センサ46S、及びヘッドレスト位置センサ47Sが電気的に接続されている。また、第2ECU62には、フットレスト位置センサ28Sが電気的に接続されている。
【0058】
第2ECU62には、スライド操作スイッチ52、シートバック操作スイッチ53、及びヘッドレスト操作スイッチ54が電気的に接続されている。また、第2ECU62には、フットレスト操作スイッチ55、リラックスモードスイッチ81、及び後列リターンスイッチ83が電気的に接続されている。
【0059】
第2ECU62は、スライド操作スイッチ52からの指令信号に基づきスライド駆動部45の作動を制御する。
第2ECU62は、シートバック操作スイッチ53からの指令信号に基づきシートバック駆動部46の作動を制御する。
【0060】
第2ECU62は、ヘッドレスト操作スイッチ54からの指令信号に基づきヘッドレスト駆動部47の作動を制御する。
第2ECU62は、フットレスト操作スイッチ55からの指令信号に基づきフットレスト駆動部28の作動を制御する。第2ECU62は、フットレスト操作スイッチ55が上方に向けて押し操作されると、フットレスト本体24aを格納位置に向けて回動させるべくフットレスト駆動部28を作動させる。第2ECU62は、フットレスト操作スイッチ55が下方に向けて押し操作されると、フットレスト本体24aの先端部を下方に向けて回動させるべくフットレスト駆動部28を作動させる。
【0061】
第2ECU62は、後列シート40の中立状態及びリラックス状態を記憶するメモリ62Mを備えている。
リラックスモードスイッチ81が操作されると、第1ECU61は、前列シート20の状態を退避状態に変更するための制御を実行する。この際、スライド駆動部25によりシートクッション21を前端位置までスライドさせるとともにシートバック駆動部26によりシートバック22を前傾位置まで傾動させる。このとき、第2ECU62は、後列シート40の状態をリラックス状態に変更するための制御を実行する。この際、スライド駆動部45によりシートクッション41を後端位置までスライドさせるとともに、シートバック駆動部46によりシートバック42を直立位置よりも後方に傾動させる。
【0062】
一方、前列リターンスイッチ82が操作されると、第1ECU61は、前列シート20の状態を退避状態から使用状態に変更するための制御を実行する。
後列シート40がリラックス状態である場合に、後列リターンスイッチ83が操作されると、第2ECU62は、後列シート40の状態をリラックス状態から中立状態に変更するための制御(以下、後列リターン制御)を実行する。
【0063】
この際、第2ECU62は、フットレスト位置センサ28Sからの検出結果に基づいてフットレスト本体24aの回動位置が展開位置にあるか否かを判断する。そして、フットレスト本体24aの回動位置が展開位置にある場合には、第2ECU62は、フットレスト駆動部28によりフットレスト本体24aを格納位置まで回動させる。その後、第2ECU62は、シートバック駆動部46によりシートバック42を中立状態となるまで前方に傾動させるとともに、スライド駆動部45によりシートクッション41を中立状態となるまで前方にスライドさせる。
【0064】
<後列リターン制御>
次に、図4のフローチャートを参照して、後列リターン制御の処理手順について説明する。後列リターン制御は、後列リターンスイッチ83が操作された場合に、第2ECU62を通じて実行される。
【0065】
図4に示すように、この一連の処理では、まず、第2ECU62は、フットレスト本体24aの回動位置についての情報を取得し、フットレスト本体24aの回動位置が展開位置か否かを判断する(ステップS1)。
【0066】
ここで、第2ECU62は、フットレスト本体24aの回動位置が展開位置ではないと判断した場合(ステップS1:「NO」)には、次に、スライド駆動部45を作動させて後列シート40のシートクッション41を中立状態となるまで前方に向けてスライドさせる。また、第2ECU62は、シートバック駆動部46を作動させてシートバック42を中立状態となるまで前方に向けて傾動させる(以上、ステップS3)。そして、この一連の処理を終了する。
【0067】
一方、第2ECU62は、フットレスト本体24aの回動位置が展開位置であると判断した場合(ステップS1:「YES」)には、次に、フットレスト駆動部28を作動させてフットレスト本体24aを格納位置まで回動させる(ステップS2)。
【0068】
次に、第2ECU62は、上記ステップS3を実行して、この一連の処理を終了する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5(a)に示すように、後列シート40の状態をリラックス状態から中立状態に変更する際に、フットレスト本体24aが展開位置にある場合には、図5(b)に示すように、まず、フットレスト本体24aが格納位置に回動される。
【0069】
その後、図5(c)に示すように、シートクッション41が中立状態となるまで前方に向けてスライドされ、シートバック42が中立状態となるまで前方に向けて傾動される。
これにより、シートクッション41を前方に向けてスライドさせるとともにシートバック42を前方に向けて傾動させる際に、後列シート40に着座している乗員(以下、後側乗員)の腹部が圧迫されたり、脚部が前列シート20のシートバック22の後面に衝突することが抑えられる。
【0070】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上記作用を奏することから、後側乗員の快適性が損なわれることを抑制できる。
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0071】
・後列リターンスイッチ83、前列リターンスイッチ82、及びリラックスモードスイッチ81の配設位置は適宜変更できる。また、スライド操作スイッチ32、シートバック操作スイッチ33、ヘッドレスト操作スイッチ34、スライド操作スイッチ52、シートバック操作スイッチ53、ヘッドレスト操作スイッチ54、及びフットレスト操作スイッチ55の配設位置は適宜変更できる。また、こうしたスイッチは、車両に搭載されているものに限定されず、リモコンキーに設けられていてもよいし、車両と通信可能なタブレット端末に設定されていてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、第1ECU61と第2ECU62とを別々に設けるようにしたが、前列シート20の作動及び後列シート40の作動の双方を1つの制御装置によって制御するようにしてもよい。
【0073】
・後列シート40は、シートクッション41の座面の前部を後部に対して傾動させるチルト機構を備えるものであってもよい。また、後列シート40は、シートクッション41の座面全体を昇降させるリフト機構を備えるものであってもよい。
【0074】
例えば後列シート40が、チルト機構を駆動するチルト駆動部及びリフト機構を駆動するリフト駆動部を備える場合、後列シート40のリラックス状態は、シートクッション41の座面の前部が後部に対して中立状態に比べて上方に傾動された位置にある状態を含むものであってもよい。また、リラックス状態は、シートクッション41の座面全体が中立状態に比べて上方にリフトされた位置にある状態を含むものであってもよい。
【0075】
・前列シート20のヘッドレスト駆動部27を省略することもできる。また、後列シート40のヘッドレスト駆動部47を省略することもできる。
・後列シート40のリラックス状態は、シートバック42が直立位置よりも後方に傾けられている状態を含む一方、シートクッション41が前後方向における後端位置にある状態を含まないものであってもよい。この場合であっても、後列シート40の状態をリラックス状態から中立状態に変更する際に、フットレスト本体24aが格納位置に回動された後に、シートバック42が前方に向けて傾動されることにより、上記作用効果に準じた作用効果を奏することができる。
【0076】
・後列シート40のリラックス状態は、シートクッション41が前後方向における後端位置にある状態を含む一方、シートバック42が直立位置よりも後方に傾けられている状態を含まないものであってもよい。この場合であっても、後列シート40の状態をリラックス状態から中立状態に変更する際に、フットレスト本体24aが格納位置に回動された後に、シートクッション41が前方に向けてスライドされることにより、上記作用効果に準じた作用効果を奏することができる。
【0077】
・上記実施形態では、リラックスモードスイッチ81が操作されると、第1ECU61は、前列シート20の状態を使用状態から退避状態に変更するための制御を実行したが、当該制御を実行しないようにすることもできる。
【0078】
・上記実施形態では、本発明に係るシートを後列シート40、すなわち助手席の後方に配置されるシートとして具体化したが、運転席の後方に配置されるシートとして具体化することもできる。この場合、例えば停車中の車両や自動運転中の車両において、後列シート40をリラックス状態とするとともに、前列シート20を退避状態とすることができる。
【0079】
・上記実施形態では、本発明に係るシートを後列シート40として具体化したが、本発明に係るシートを例えば3列シート車両の3列目のシートとして具体化することもできる。この場合、上記実施形態の前列シート20を2列目のシートとし、後列シート40を3列目のシートとして置き換えればよい。
【符号の説明】
【0080】
20…前列シート
21…シートクッション
22…シートバック
23…ヘッドレスト
24…フットレスト
24a…フットレスト本体
25…スライド駆動部
25M…モータ
25S…スライド位置センサ
26…シートバック駆動部
26M…モータ
26S…シートバック位置センサ
27…ヘッドレスト駆動部
27M…モータ
27S…ヘッドレスト位置センサ
28…フットレスト駆動部
28M…モータ
28S…フットレスト位置センサ(検出部)
29…スライド機構
30…ロアレール
31…アッパレール
32…スライド操作スイッチ
33…シートバック操作スイッチ
34…ヘッドレスト操作スイッチ
40…後列シート
41…シートクッション
42…シートバック
43…ヘッドレスト
45…スライド駆動部
45M…モータ
45S…スライド位置センサ
46…シートバック駆動部
46M…モータ
46S…シートバック位置センサ
47…ヘッドレスト駆動部
47M…モータ
47S…ヘッドレスト位置センサ
49…スライド機構
50…ロアレール
51…アッパレール
52…スライド操作スイッチ
53…シートバック操作スイッチ
54…ヘッドレスト操作スイッチ
55…フットレスト操作スイッチ
60…制御装置
61…第1ECU
61M…メモリ
62…第2ECU
62M…メモリ
81…リラックスモードスイッチ
82…前列リターンスイッチ
83…後列リターンスイッチ
90…フロア
図1
図2
図3
図4
図5