(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133722
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
F25D21/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032578
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】高岡 光幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
(57)【要約】
【課題】側壁の結露を抑制することができる冷却貯蔵庫を提供すること。
【解決手段】冷却貯蔵庫1は、貯蔵対象物を貯蔵するための貯蔵室17を有する断熱筐体10と、貯蔵室17を冷却するための冷却装置20と、断熱筐体10の外側に設けられ、断熱筐体10の側壁の外表面に沿って送風することができる送風ユニット30と、を備え、送風ユニット30は、流入孔35Aと流出孔H1とを有する外装箱30Aと、送風ファン33とを備える。送風ユニット30は、長孔H1が上方に配される姿勢で断熱筐体10の底面10Bに備えられるとともに、長孔H1が右側壁を臨むように底面10Bから外装箱30Aの一部がはみ出すように備えられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵対象物を貯蔵するための貯蔵室を有する断熱筐体と、
前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、
前記断熱筐体の外側に設けられ、前記断熱筐体の側壁の外表面に沿って送風することができる送風ユニットと、
を備える、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記断熱筐体を下方から支持する脚部を備え、
前記送風ユニットは、箱状をなし、空気を取り入れる流入孔および空気を送り出す流出孔を有する外装箱と、前記外装箱の内部に収容される送風ファンと、を備え、
前記外装箱は、前記流出孔が上方に配される姿勢で前記断熱筐体の底面に備えられるとともに、前記流出孔が前記側壁を臨むようにその一部が前記底面からはみ出すように備えられている、
請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記外装箱は、前記底面に沿う方向において前記底面からはみ出ている側とは異なる側に向かう側面に第2流出孔を備えている、
請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記断熱筐体は、磁性材料によって構成された付着部を備えており、
前記送風ユニットは、前記付着部に付着することで前記送風ユニットを前記断熱筐体に取付けることができる磁石部を備えている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記脚部は、前記断熱筐体を第1の位置において支持する第1脚部と、前記第1の位置とは異なる第2の位置において支持する第2脚部と、を備え、
前記外装箱は、上方の端部において一の方向に沿う一方と他方とに延びる一対の取付片を備え、一対の前記取付片が前記第1脚部および前記第2脚部と前記断熱筐体との間にそれぞれ挟持されることによって前記断熱筐体に取付けられている、
請求項2または3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記外装箱は、
上方に向けて開口するとともに前記送風ファンを収容するスライドケースと、
前記断熱筐体の底面に備えられ前記流出孔が配されている基体部と、前記基体部の一の方向に沿う一方の端部と他方の端部とにおいて下方に向けて延びるとともに、互いに向かい合う方向に延設されて前記スライドケースを下方から支持することができる一対のガイド部と、を有するガイドケースと、
を備えている、請求項2または3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記断熱筐体は、前方に開口を有する略直方体形状の貯蔵庫本体と、前記開口を開閉することができる扉と、を備えるとともに、前記側壁は、前記貯蔵庫本体の左方に配される左側壁および右方に配される右側壁の少なくとも一方であって、
前記側壁の前後方向の少なくとも一方の端部には、左右方向の外側に向けて立ち上がる板片状の送風ガイドが前記側壁の上下方向に亘って備えられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記送風ガイドは、不透明な材料によって構成されるとともに、その一部に透明な窓部を備えている、
請求項7に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記断熱筐体は、前方に開口を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記開口を開閉することができる扉と、を備えており、
前記断熱筐体の高さ方向の寸法は、前記断熱筐体の前後方向の寸法よりも大きい、請求項1または2に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、断熱筐体からなる貯蔵室の内部を冷却して、この貯蔵室に収容する被収容物を冷却状態で貯蔵する冷却貯蔵庫が知られている。この冷却貯蔵庫については、外気と庫内の温度差による結露を防止するために様々な工夫がなされている。例えば、下記の特許文献1には、外気と接する箇所の少なくとも一部に分子レベルの水を吸収放出する水吸放出部材を設けた冷却貯蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷却貯蔵庫における結露は、例えば、貯蔵室の前面開口部に取付けられた扉のシール部等において顕著に起こりやすく、特許文献1に開示された水吸放出部材は、このような局所的な結露に対応するための防露手段として有用である。しかしながら、冷却貯蔵庫の設置条件によっては、冷却貯蔵庫の側壁の広い範囲に亘って結露が発生する場合があった。冷却貯蔵庫の側壁に発生する結露は、衛生面で問題が生じ得ることに加え、結露により生じた水滴が垂れて冷却貯蔵庫の設置面に落下すると、ドライフロアや漏水検知フロアを採用している施設については問題となり得る。
【0005】
本技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、冷却貯蔵庫の側壁における結露の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る冷却貯蔵庫は、貯蔵対象物を貯蔵するための貯蔵室を有する断熱筐体と、前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、前記断熱筐体の外側に設けられ、前記断熱筐体の側壁の外表面に沿って送風することができる送風ユニットと、を備える。冷却貯蔵庫の断熱筐体は、中空構造を有する筐体の内部に断熱材が充填されており、庫内の冷気が外部に伝わりにくい構造となっている。しかしながら、厳密には、庫内の冷気が筐体を伝うなどして断熱筐体の外表面にまで伝わり得る。このような場合、冷却貯蔵庫の周囲が広く開放されている状況では、断熱筐体は周囲の雰囲気と速やかに熱交換することによって、外表面の温度は雰囲気温度とさほど変わらないものとなり結露が生じる心配はない。しかしながら、例えば、冷却貯蔵庫を複数近接させて設置したり、壁際に設置したりして、熱交換がされ難い状況では、断熱筐体の外表面の温度が低下して、冷却貯蔵庫の外表面に結露が発生され易い状態となる。上記構成によると、送風ユニットによって断熱筐体の側壁の外表面に沿って送風することができ、断熱筐体の外表面における熱交換を促すことができる。その結果、冷却貯蔵庫の周囲が広く解放されていなくても、結露の発生を抑制することができる。
【0007】
本技術の好適な一態様において、前記断熱筐体を下方から支持する脚部を備え、前記送風ユニットは、箱状をなし、空気を取り入れる流入孔および空気を送り出す流出孔を有する外装箱と、前記外装箱の内部に収容される送風ファンと、を備え、前記外装箱は、前記流出孔が上方に配される姿勢で前記断熱筐体の底面に備えられるとともに、前記流出孔が前記側壁を臨むようにその一部が前記底面からはみ出すように備えられている。上記構成によると、送風ユニットは、流出孔が設けられた部分が断熱筐体からはみ出す形で底面と床面との間に設置される。このような構成によると、上記効果に加え、送風ユニットにより、側壁に沿って好適に風を送ることができる。また、余分な設置スペースを要することなく送風ユニットを冷却貯蔵庫に取付けることができる。その結果、断熱筐体の外表面における熱交換をより一層効果的に促すことができる。
【0008】
本技術の好適な一態様において、前記外装箱は、前記底面に沿う方向において前記底面からはみ出ている側とは異なる側に向かう側面に第2流出孔を備えている。上記構成によると、送風ユニットは、断熱筐体の側面に沿う気流に加え、底面に沿う気流を作り出すことができる。例えば、外装箱の底面からはみ出ている側とは反対側に向かう側面に流出孔を備えることで、底面の中心側に向かう気流を作り出すことができる。これにより、断熱筐体の底面についても熱交換を促すことができ、断熱筐体の外表面における結露の発生をさらに効果的に防止することができる。
【0009】
本技術の好適な一態様において、前記断熱筐体は、磁性材料によって構成された付着部を備えており、前記送風ユニットは、前記付着部に付着することで前記送風ユニットを前記断熱筐体に取付けることができる磁石部を備えている。上記構成によると、特別な締結具等を用いることなく、送風ユニットを断熱筐体に簡便に取付けることができる。また、送風ユニットを容易に着脱することができ、冷却貯蔵庫の設置状況等に応じて適切なタイミングで容易に送風ユニットを取付けることができる。
【0010】
本技術の好適な一態様において、前記脚部は、前記断熱筐体を第1の位置において支持する第1脚部と、前記第1の位置とは異なる第2の位置において支持する第2脚部と、を備え、前記外装箱は、上方の端部において一の方向に沿う一方と他方とに延びる一対の取付片を備え、一対の前記取付片が前記第1脚部および前記第2脚部と前記断熱筐体との間にそれぞれ挟持されることによって前記断熱筐体に取付けられている。このような構成によると、特別な締結具等を用いたりすることなく、送風ユニットを断熱筐体に作業性よく取付けることができる。また、また、送風ファンや冷却装置の駆動時の振動によって、送風ユニットがずれたり脱落したりすることが抑制される。このことは、脚部を断熱筐体に対して締結できる構成とした場合に、その効果がより一層高められる。加えて、部品点数の低減を図ることができる。
【0011】
本技術の好適な一態様において、前記外装箱は、上方に向けて開口するとともに前記送風ファンを収容するスライドケースと、前記断熱筐体の底面に備えられ前記流出孔が配されている基体部と、前記基体部の一の方向に沿う一方の端部と他方の端部とにおいて下方に向けて延びるとともに、互いに向かい合う方向に延設されて前記スライドケースを下方から支持することができる一対のガイド部と、を有するガイドケースと、を備えている。このような構成によると、特別な締結具等を用いることなく、送風ユニットを断熱筐体に簡便に取付けることができる。また、送風ユニットを容易に着脱することができ、冷却貯蔵庫の設置状況に応じて必要な時に容易に送風ユニットを取付けることができたり、メンテナンス性に優れたものとして構成することができる。
【0012】
本技術の好適な一態様において、前記断熱筐体は、前方に開口を有する略直方体形状の貯蔵庫本体と、前記開口を開閉することができる扉と、を備えるとともに、前記側壁は、前記貯蔵庫本体の左方に配される左側壁および右方に配される右側壁の少なくとも一方であって、前記側壁の前後方向の少なくとも一方の端部には、左右方向の外側に向けて立ち上がる板片状の送風ガイドが前記側壁の上下方向に亘って備えられている。上記構成によると、送風ユニットから側壁に沿って発生された気流が、側壁から前方または後方に向けて逸れる事態を規制することができる。これにより、上下方向に向かう気流の生成を促し、冷却貯蔵庫の側面をより効果的に冷却することができる。この構成は、一つの送風ユニットが複数のファンを備える場合や、強い気流を発生する場合等に、特に効果的である。
【0013】
本技術の好適な一態様において、前記送風ガイドは、不透明な材料によって構成されるとともに、その一部に透明な窓部を備えている。上記構成によると、側壁における結露の発生の有無を窓部を介して目視で確認することができる。これにより、例えば、結露が発生しているときに送風ユニットの運転を開始したり、結露が解消されたときに送風ユニットの運転を停止したりすることができる。その結果、送風ユニットの運転コストの低減を図ることができる。
【0014】
本技術の好適な一態様において、前記断熱筐体は、前方に開口を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記開口を開閉することができる扉と、を備えており、前記断熱筐体の高さ方向の寸法は、前記断熱筐体の前後方向の寸法よりも大きい。冷却貯蔵庫は、高さ方向の寸法が大きいものほど、周辺が広く開放されていないときに結露を発生しやすくなる。上記構成は、上下方向の寸法の大きい縦型冷却貯蔵庫に適用することで、その効果をよりよく発揮することができるために好適である。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、例えば冷却貯蔵庫の側壁の周辺が広く開放されていなくても、冷却貯蔵庫の側壁における結露の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る冷却貯蔵庫の上方からの斜視図
【
図4】
図1の冷却貯蔵庫を下方から視たときの要部斜視図
【
図5】
図1の冷却貯蔵庫に備えられる送風ユニットの分解斜視図
【
図6】
図1の冷却貯蔵庫に備えられる送風ユニットの他の分解斜視図
【
図7】他の実施形態に係る送風ユニットを例示する分解斜視図
【
図10】
図8の冷却貯蔵庫に備えられる送風ガイドの分解斜視図
【
図11】送風ガイドの上端の取付構造を示す要部分解斜視図
【
図12】送風ガイドの下端の取付構造を示す要部分解斜視図
【
図13】他の実施形態に係る送風ガイドを例示する斜視図
【
図15】他の実施形態に係る送風ガイドを例示する斜視図
【
図16】他の実施形態に係る冷却貯蔵庫の要部斜視図
【
図17】
図16の冷却貯蔵庫に備えられる送風ユニットの斜視図
【
図18】他の実施形態に係る冷却貯蔵庫の要部斜視図
【
図19】
図18の冷却貯蔵庫に備えられる送風ユニットの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪実施形態1≫
一実施形態に係る冷却貯蔵庫1について、
図1ないし
図6に基づいて説明する。本実施形態では、例えばホテルやレストラン等の調理場等において使用される、業務用の冷却貯蔵庫1を例示している。この冷却貯蔵庫1は、比較的多量の食材等(貯蔵対象物の一例)を貯蔵できるものであって、例えば頻繁に扉16を開閉しても高い冷却性能を維持できるように構成されている。そして、この冷却貯蔵庫1には、送風ユニット30が備えられている。図面に示す符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、冷却貯蔵庫1を正面から視たときの前(手前),後(奥),左,右,上,下を表す。ただし、これらの方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
【0018】
冷却貯蔵庫1は、
図1および
図2に示すように、全体として略直方体形状をなす断熱筐体10を主体として構成されており、この断熱筐体10が脚部2によって支持されている。本実施形態における断熱筐体10は、例えばテーブル型(横型)の冷却貯蔵庫等と比較して、奥行き寸法に対する高さ寸法が十分に(例えば1.5倍以上に)高くなるように設計されている。断熱筐体10は、大まかには、貯蔵庫本体11と、仕切柱11Bと、を備えている。この貯蔵庫本体11は、前方の一面に開口11Aを有する箱形をなしており、ステンレス鋼板製の1つの外箱12の内部に、同じくステンレス鋼板製の内箱13が収容されて構成されている。外箱12と内箱13との間の空隙には、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材14が充填されている。仕切柱11Bは、十字形状をなしており、左右方向の中心と高さ方向の中心とにおいて開口11Aを横切るように、貯蔵庫本体11に固定されている。これにより、開口11Aは、上下左右の4つに区画されている。
【0019】
貯蔵庫本体11の開口11Aには、断熱扉16(扉の一例)が装着されている。より具体的には、貯蔵庫本体11の前面であって、開口11Aを取り囲む周縁部のうち、左側周縁部の上方部分および下方部分と、右側周縁部の上方部分および下方部分とにそれぞれ、計4枚の断熱扉16が回動可能に取り付けられている。4枚の断熱扉16は、上下左右の4つに区画された開口のそれぞれを覆うことができるようになっている。貯蔵庫本体11の開口11Aをこのように断熱扉16で閉じることによって、冷蔵室17(貯蔵室の一例)が画成される。そしてこれらの扉16を開閉することで、冷蔵室17に対して貯蔵対象物を出し入れすることができる。各断熱扉16には、断熱扉16を閉じたときに断熱筐体10および仕切柱11Bと対向する扉周縁部において、図示しない磁性パッキン等の密閉手段が装着されている。このように断熱扉16に密閉手段が備えられることにより、冷蔵室17の気密性(延いては、断熱性)が高められている。
【0020】
断熱筐体10の上方には、冷蔵室17を冷却するための冷却装置20と、冷却装置20の各種の運転を制御する制御装置70とが備えられている。冷却装置20は、冷媒管26(伝熱管ともいう)の内部を冷媒流路とする熱交換器であり、圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23(キャピラリーチューブ)と、冷却器24(蒸発器)と、を備え、これらが冷媒管26によってこの順に連結されることで、既知の冷凍サイクルを構成している。より具体的には、冷却装置20のうちの、圧縮機21、凝縮器22、および膨張弁23は、制御装置70とともに、断熱筐体10の外部上方に区画された機械室19に設けられている。冷凍サイクルにおける冷媒ガスは、圧縮機21によって圧縮されたのち、凝縮器22において液化されて、膨張弁23に送られる。冷却装置20のうちの冷却器24は、冷蔵室17の上方に区画された冷蔵室17に庫内ファン25とともに備えられ、膨張弁23を通過して膨張された液化冷媒が蒸発管24において気化することで、蒸発管24を冷却する。冷蔵室17においては、庫内ファン25によって庫内の空気が冷蔵室17に取り込まれるとともに、冷却器24の表面ないしは周辺を通過することで冷却され、冷気となって冷蔵室17に送られる。制御装置70は、図示しない庫内温度計の検知温度を基に、冷却装置20および庫内ファン25の運転を適切に制御する。このことにより、冷却貯蔵庫1の庫内温度は、所定の設定温度に冷却され、維持されるようになっている。
【0021】
なお、断熱筐体10には、底面10Bの周縁部に脚部2が備えられ、断熱筐体10は脚部2によって下方から支持されている。より具体的には、本実施形態の断熱筐体10には、底面10Bの四隅にそれぞれ一つずつ脚部2が備えられている。そして、右前方の角部に備えられる第1脚部2Aと、右後方の角部に備えられる第2脚部2Bと、を利用して、後述する送風ユニット30が底面10Bに取付けられるようになっている。以下、第1脚部2Aと第2脚部2Bとについて特筆する場合にのみ、右前方と右後方の脚部2をそれぞれ第1脚部2Aと第2脚部2Bという。脚部2は、
図1に示すように、略円柱状の脚部本体2Cと、脚部本体2Cの上端から脚部本体2Cと同軸上に突出する軸部2Dと、を備えている。また、断熱筐体10の底面10Bには、脚部2の取付位置に取付孔10C(
図12参照)が設けられている。そしてこの取付孔10Cに脚部2の軸部2Dを挿入して嵌め合わせることで、脚部2が断熱筐体10に固定される。これにより、断熱筐体10は4つの脚部2によって床面から脚部2の高さ分だけ高い位置に支持されている。なお、取付孔10Cと軸部2Dとには、ネジ溝とネジ山とが設けられ、互いに螺号するように構成されていてもよい。
【0022】
断熱筐体10の外側には、断熱筐体10の側壁の外表面に沿って送風することができる送風ユニット30が備えられている。本実施形態では、断熱筐体10の底面10Bのうち、右側の縁部に送風ユニット30が備えられている。この送風ユニット30は、右側壁11Cの外表面に沿って送風できる構成とされている。
【0023】
送風ユニット30は、
図3~
図6に示すように、大まかには前後方向に長い扁平な直方体形状をなしており、前後方向(一の方向の一例)の前方と後方とにおいて、前方および後方にそれぞれ取付片が延出した形態をなしている。より具体的には、送風ユニット30は、上ケース31と、下ケース32と、ファン33と、固定部34と、ファンカバー35とを備えている。本実施形態では、上ケース31と下ケース32とを組み合わせることで、ファン33を収容する扁平な直方体形状の外装箱30Aが構成されるようになっている。この外装箱30Aは、ファン33のダクトとしても機能するように構成されている。上ケース31および下ケース32は、これに限定されるものではないが、金属および合成樹脂の少なくとも一方によって構成するとよい。
【0024】
上ケース31は、例えば
図5に示すように、外装箱30Aの上面部に対応する蓋部31Aと、右側面部に対応する側面部31Bと、を有しており、全体として前後方向に長い略矩形の薄板が、右方の端部において下方に向けて約90度に折り曲げられてなる断面略L字型をなしている。蓋部31Aのうち、側面部31Bに連続する右方の端部には、前後に帯状に延びる排気部31Eが設けられており、この排気部31Eには、厚み方向に貫通する複数の長孔H1が設けられている。本実施形態における排気部31Eの幅(左右方向の寸法)は約1~5cm(例えば2cm)に設定されており、複数(図では9個)の長孔H1が3列に配列されている。蓋部31Aの前端と後端にはそれぞれ、前後方向に向けて取付片31C,31Dが延設されている。前方の取付片31Cには、左方の端部から右方に向けて侵入する切欠孔C1が形成されている。後方の取付片31Dには、後方の端部から前方に向けて侵入する切欠孔C2が形成されている。ただし、切欠孔C1,C2の延びる向きはこれに限定されない。
【0025】
下ケース32は、外装箱30Aの下面部に対応する底部32Aと、左側面部に対応する側面部32Bと、前面部に対応する前面部32Cと、背面部に対応する背面部32Dと、を有しており、全体として上方と右方とに向けて開口された箱状をなしている。前面部32Cと背面部32Dにはそれぞれ、送風ユニット30の内部の空気を流出させるための調整孔H2(第2流出孔の一例)が備えられている。本実施形態における調整孔H2は、前面部32Cと背面部32Dに形成された比較的面積の小さな複数(図では前面部32Cと背面部32Dとに4つずつ)の孔である。また、下ケース32の前端と後端とにはそれぞれ、前後方向に向けて取付片32E,32Fが延設されている。前方の取付片32Eには、左方の端部から右方に向けて侵入する切欠孔C3が形成されている。後方の取付片32Fには、後方の端部から前方に向けて侵入する切欠孔C4が形成されている。ただし、切欠孔C3,C4の延びる向きはこれに限定されない。また、下ケース32の底部32Aには、ファン33を取り付けるための取付孔C5が形成されている。ファン33は、取付孔C5に挿通された状態で、固定部34を介して下ケース32に支持されている。
【0026】
ファン33は、気体を所定の方向に送ることができる装置である。本実施形態におけるファン33は、回転中心となるハブに複数の羽根が固定されてなるプロペラ33A(
図6参照)を回転させることで、プロペラ33Aの回転軸方向に風を発生させる軸流ファンである。このプロペラ33Aは、回転軸が上下方向に沿って配されており、下方から空気を取り入れて上方に送るようにプロペラ33Aの角度が設定されている。このファン33において、プロペラ33Aの上方はファンケースによって覆われており、プロペラ33Aによって上方に送られた空気はケースに突き当たったのち側方に向けて放射状に送られるようになっている。なお、本実施形態のファン33は、図示しない電動機が一体化されているファンモータである。このファン33は、配線部33Bを介して制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70によって運転と停止とを制御することができる構成とされている。ただし、ファン33は、上記のとおり断熱筐体10の側壁の外表面に沿って気体を送ることができるものであればその構成は制限されない。例えば、ファン33は、外部から動力を供給することで作動するものであってよいし、また、プロペラファン以外の軸流送風機、斜流送風機、および、横断流送風機や、ブロワなどであってよい。
【0027】
固定部34は、取付孔C5の周縁に設置され、ファン33を取付孔C5に挿通させた状態で下ケース32に固定する要素である。固定部34は、ファン33における空気の吸入口が下ケース32よりも下方(換言すれば、外装箱30Aの外側)に配され、空気の排出口が下ケース32よりも上方(換言すれば、外装箱30Aの内側)に配されるように、ファン33の取付位置を調整するようになっている。なお、ファン33および取付孔C5は、空気を取り入れる流入孔35Aを有するファンカバー35によって下方から覆われている。ファンカバー35が下ケース32に備えられていることで、ファン33が下ケース32の底部32Aより下方に突出していても、他の部材に接触するなどして破損することが抑制される。
【0028】
この上ケース31と下ケース32とを重ねることで、下ケース32の上面および右面が上ケース31の蓋部31Aおよび側面部31Bによって覆われ、扁平な直方体形状の送風ユニット30の外装箱30Aが構成される。なお上ケース31と下ケース32とを重ね合わせたとき、上ケース31の取付片31C,31Dに設けられた切欠孔C1,C2と、下ケース32の取付片32E,32Fに設けられた切欠孔C3,C4とは、それぞれ重なり合うようになっている。また、切欠孔C1,C2および切欠孔C3,C4の位置および切欠き深さ(長さ)は、送風ユニット30を断熱筐体10に取り付けたときに、排気部31Eの一部または全部が、断熱筐体10の底面10Bから右方にはみ出すような構成とされている。排気部31Eは、典型的には、幅方向で1/2以上(例えば2/3以上、好ましくは全部。)の部分が断熱筐体10からはみ出すとよい。送風ユニット30は、このように上ケース31と下ケース32とを重ね合わせた状態で、断熱筐体10の底面10Bに固定される。本実施形態では送風ユニット30が約20mmほど断熱筐体10から右方にはみ出るように断熱筐体10に取付けられている。
【0029】
送風ユニット30の断熱筐体10への取付に際しては、例えば、以下のとおりにするとよい。最初に、第1脚部2Aおよび第2脚部2Bを取付孔10Cに対して緩め、断熱筐体10の底面10Bと脚部本体2Cとの間に、上ケース31と下ケース32とを挿入することができる程度の隙間を設けておく。そして、まず、右後方の第2脚部2Bの脚部本体2Cと断熱筐体10の底面10Bとの隙間に取付片31D,32Fを挿入し、第2脚部2Bの軸部2Dが切欠孔C2,C4に挿通されるように取付片31D,32Fの位置を調整する。その次に、右前方の第1脚部2Aの脚部本体2Cと断熱筐体10の底面10Bとの隙間に取付片31C,32Eを挿入し、第1脚部2Aの軸部2Dが切欠孔C1,C3に挿通されるように31C,32Eの位置を調整する。このとき、上ケース31および下ケース32は、まずは、断熱筐体10の右側方ないしは前方から挿入し、切欠孔C2,C4に軸部2Dを挿通させることができたのちに、軸部2Dを中心として時計回りに上ケース31と下ケース32とを回転させることで、第1脚部2Aの軸部2Dを切欠孔C1,C3に挿通させる。このように、一方の取付片31D,32Fの切欠孔C2,C4を長手方向に沿うように設け、他方の取付片31C,32Eの切欠孔C1,C3を幅方向(より厳密には、切欠孔C2,C4を中心とする円弧方向)に沿うように設けることで、送風ユニット30を断熱筐体10によりスムーズにとりつけることができる。特に送風ユニット30を断熱筐体10の右側方ないしは前方から取付けおよび取外しできる点において、送風ユニット30のメンテナンスの作業性が向上されるために有益である。その後、必要に応じて、例えば、第1脚部2Aおよび第2脚部2Bを取付孔10Cに対して緊結することにより、送風ユニット30を断熱筐体10の底面10Bに固定することができる。なお、送風ユニット30の取付において、上ケース31と下ケース32とは両方を同時に取り付けるようしてもよいし、いずれか一方を先に取り付けて他方を後に取付けるなどしてもよい。
【0030】
以上の構成の冷却貯蔵庫1は、貯蔵対象物を貯蔵するための冷蔵室17(貯蔵室)を有する断熱筐体10と、冷蔵室17を冷却するための冷却装置20と、断熱筐体10の外側に設けられ、断熱筐体10の右側壁(側壁の一例)の外表面に沿って送風することができる送風ユニット30と、を備えている。例えば、設置場所の制限等によってこの冷却貯蔵庫1の隣に近接して(例えば、2cm以下の離間距離で)別の冷却貯蔵庫(図示せず)や壁等が配されている場合には、冷却貯蔵庫1の周囲が広く開放されているとはいえず、断熱筐体10と周辺雰囲気の熱交換が行われ難くなり、断熱筐体10の外表面の温度が低下して結露が生じ易くなる。このような結露は、煮炊きを行う調理場等の湿度の高い環境において特に顕著となり得る。しかしながら、上記構成によると、送風ユニット30は、ファン33を回転駆動させることによって、断熱筐体10の右側壁(側壁の一例)の外表面に沿って周辺の空気を送ることができ、断熱筐体10の外表面と空気との間における熱交換を促すことができる。その結果、冷却貯蔵庫の周囲が広く解放されていなくても、結露の発生を抑制することができる。延いては、隣り合う冷却貯蔵庫や壁面との距離を狭くした場合でも結露水の床面への滴下を防止することができ、冷却貯蔵庫1をドライフロアや漏水検知フロア等に設置する場合に特に有用となり得る。
【0031】
上記構成の冷却貯蔵庫1は、断熱筐体10を下方から支持する脚部2を備え、また、送風ユニット30は、箱状をなし、空気を取り入れる流入孔35Aと空気を送り出す長孔H1(流出孔の一例)とを有する外装箱30Aと、外装箱30Aの内部に収容されるファン33(送風ファンの一例)と、を備えている。そして外装箱30Aは、長孔H1が上方に配される姿勢で断熱筐体10の底面10Bに備えられるとともに、長孔H1が右側壁を臨むように底面10Bから外装箱30Aの一部がはみ出すように備えられている。上記構成によると、送風ユニット30は、長孔H1の部分のみが断熱筐体10の右側壁から右方にはみ出す形で、断熱筐体10の底面10Bと床面(冷却貯蔵庫1の設置面)との間に設置される。これにより、送風ユニット30を右側壁に取付ける場合などと比較して余分な設置スペースを要することなく、送風ユニット30を冷却貯蔵庫1に取付けることができる。また、送風ユニット30のファン33が回転駆動すると、送風ユニット30の下方の空気が外装箱30Aに取り込まれるとともに長孔H1から排出されて、外装箱30Aがダクトとして機能する。このことにより、断熱筐体10の右側壁の外表面における熱交換を効果的に促すことができ、結露の発生をより好適に抑制することができる。
【0032】
上記構成の冷却貯蔵庫1において、外装箱30Aは、底面10Bに沿う方向において底面10Bからはみ出ている側とは異なる側に向かう側面(ここでは前面部32Cと背面部32D)に調整孔H2(第2流出孔)流入孔を備えている。上記構成によると、送風ユニット30は、下方の空気を外装箱30Aに取り込み、長孔H1と調整孔H2から排出することができる。これにより、冷却貯蔵庫1の背壁についても熱交換が促され、背壁における結露の発生を抑制することができる。
【0033】
上記構成の冷却貯蔵庫1において、脚部2は、断熱筐体10を右前方(第1の位置)において支持する第1脚部2Aと、右後方(第1の位置とは異なる第2の位置)において支持する第2脚部2Bと、を備えている。また外装箱30Aは、上方の端部において前後方向(一の方向)に沿う前方(一方)と後方(他方)とに延びる一対の取付片31C,32Eおよび取付片31D,32Fを備え、一対の取付片31C,32Eおよび取付片31D,32Fが第1脚部2Aおよび第2脚部2Bと断熱筐体10との間にそれぞれ挟持されることによって断熱筐体10に取付けられている。上記構成によると、特別な締結具等を用いることなく、従来の冷却貯蔵庫1の脚部構造を利用して、送風ユニット30を断熱筐体10に作業性よく取付けることができる。また、送風ファン33や冷却装置20の駆動時の振動によって、送風ユニット30がずれたり脱落したりすることが抑制される。これは、脚部2を断熱筐体10に対して締結できる構成とした場合に、その効果がより一層高められる。加えて、部品点数の低減を図ることができる。
【0034】
上記構成の冷却貯蔵庫1において、断熱筐体10、前方に開口11Aを有する箱状の貯蔵庫本体11と、開口11Aを蓋する断熱扉16(扉)とを備えており、断熱筐体10の高さ方向の寸法は、断熱筐体10の前後方向の寸法よりも大きいものとされている。上下方向(高さ方向)の寸法の大きい縦型冷却貯蔵庫は、高さ方向の寸法の小さい横型冷却貯蔵庫と比較して、隣り合う冷却貯蔵庫や壁面との隙間が狭いときに結露が発生しやすい構造となっている。したがって、以上の構成は、上下方向の寸法の大きい縦型冷却貯蔵庫に適用することで、その効果をよりよく発揮することができるために好適である。
【0035】
≪実施形態2≫
実施形態2に係る送風ユニット130について、
図7を参照して説明する。実施形態2では、送風ユニット130の下ケース132に、調整孔H2とは別の調整孔H3(第2流出孔の他の一例)が備えられている点において、実施形態1と相違している。それ以外の構成については、実施形態1と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0036】
より具体的には、調整孔H3は、外装箱130Aのうち、排気部31Eが設けられている側(右方)とは異なる側(ここでは左方)に向かう側面(ここでは側面部32B)に形成されている。調整孔H3は、調整孔H2よりも面積の大きな貫通孔である。このような構成によると、送風ユニット30は、ファン33によって断熱筐体10の下方の空気を外装箱30Aに取り込み、長孔H1、調整孔H2、および調整孔H3から排出することができる。このように送風ユニット130のファン33を回転駆動させることで、断熱筐体10の右側壁11Cの外表面だけではなく、断熱筐体10の底面10Bに沿う気流を作り出すことができる。このように、排気部31Eの側、換言すると、外装箱30Aの底面10Bからはみ出る側(右方)とは反対側(左方)に向かう側面部32B(側面)に調整孔H3を備えることで、底面10Bの右側(外側)から中心側に向かう気流が作り出される。これにより、断熱筐体10の底面10Bにおいても熱交換を促すことができ、断熱筐体10の外表面における結露の発生をより効果的に防止することができる。
【0037】
≪実施形態3≫
実施形態3に係る冷却貯蔵庫201について、
図8~
図12を参照して説明する。実施形態3の冷却貯蔵庫201において、断熱筐体10は、送風ガイド40を備えている点において、実施形態1および2と相違している。それ以外の構成については、実施形態1または2と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0038】
より具体的には、冷却貯蔵庫201の断熱筐体10は、前方に開口11Aを有する略直方体形状の貯蔵庫本体11と、開口11Aを開閉することができる断熱扉16(扉)と、を備えている。また、貯蔵庫本体11の右側壁11C(側壁)には、前方(前後方向の少なくとも一方の一例)の端部に沿って、送風ガイド40が上下方向に亘って備えられている。送風ガイド40は、送風ユニット30が送る空気が、上下方向の途中で右側壁11Cから前方に逸れることを規制し、気流が右側壁11Cの上方にまで達するように案内する要素である。送風ガイド40は、例えば
図10に示すように、ガイド本体41と、上ブラケット42および下ブラケット43と、を備えている。これらガイド本体41、上ブラケット42、および下ブラケット43は、これに限定されるものではないが、金属および合成樹脂の少なくとも一方によって構成するとよい。
【0039】
ガイド本体41は、長尺な帯状の板片を断面コの字型に曲げ加工したような形態を有しており、その長さは、断熱筐体10の高さ方向の寸法と概ね同一とされている。ガイド本体41は、前方側に配される正面部41Aと、この正面部41Aの左右方向の両端から後方に向けて延びる一対の側壁部41B,41Bと、を含む。ガイド本体41は、正面部41Aが手前に配され、一方の側壁部41Bが右側壁11Cに沿うように貯蔵庫本体11に取付けられる。正面部41Aと各側壁部41B,41Bのなす角度はそれぞれ約90度であり、ガイド本体41が貯蔵庫本体11に取付けられると、正面部41Aは、右側壁11Cに対して右方(すなわち、左右方向の外側)に向けて立ち上がるように構成されている。正面部41Aの幅は、例えば、送風ユニット30の断熱筐体10からのはみ出し寸法と同程度(±30%程度)とするとよい。
【0040】
上ブラケット42および下ブラケット43は、ガイド本体41を断熱筐体10に取付けるための取付治具であり、ガイド本体41と連結される連結部42A,43Aと、断熱筐体10に連結される取付片42B,43Bと、をそれぞれ備えている。上ブラケット42および下ブラケット43は、ガイド本体41に取付けたとき、取付片42B,43Bが正面部41Aおよび側壁部41B,41Bに対して略垂直となるように構成されている。連結部42A,43Aとガイド本体41とは、例えば、ネジ等の締結具44によって連結される。取付片42B,43Bにはそれぞれ、切り欠きC11,C12が設けられている。本実施形態の上ブラケット42および下ブラケット43において、切り欠きC11,C12は、後方から前方に向けて延びるように設けられている。上ブラケット42の取付片42Bは、例えば
図11に示すように、断熱筐体10の上面10Dと、機械室19を区画する側板部19Aの固定治具19Bと、の間に挟持されて、締結具44によって固定されている。切り欠きC11には、締結具44の軸部が挿通される。下ブラケット43の取付片43Bは、例えば
図12に示すように、断熱筐体10の底面10Bと、脚部2(第1脚部2A)との間、に挟持されて固定されている。切り欠きC12には、第1脚部2Aの軸部2Dが挿通される。
【0041】
上記構成によると、送風ユニット30から右側壁11Cに沿って発生された気流が、右側壁11Cの途中で前方または後方に向けて逸れる事態を規制することができる。これにより、右側壁11Cを上下方向に沿って抜ける気流の生成を促すことができ、冷却貯蔵庫1の側面の熱交換を促すことができる。この構成は、一つの送風ユニット30が複数のファン33を備える場合や、強い気流を発生する場合等に、発生された気流が隙間から逃れるのを防ぎ、上下方向に通過させるために特に効果的である。また、上記構成の送風ガイド40は、断熱筐体10に直接穴を開けるなどして取り付ける必要がなく、また、取外しが可能であることから、断熱筐体10の断熱性を低下させることなく必要に応じて断熱筐体10に取付けることができるために好ましい。
【0042】
≪実施形態4≫
実施形態4に係る送風ガイド140について、
図13~
図15を参照して説明する。実施形態4の送風ガイド140は、開口部H4を備える点において上記実施形態3と相違している。それ以外の構成については、実施形態1~3のいずれかと同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0043】
より具体的には、送風ガイド140は、ガイド本体141と、カバー部143と、を備える。ガイド本体141は、正面部141Aにおいて厚み方向に貫通する孔である開口部H4を備えている。本実施形態のガイド本体141は、例えば
図13に示されるように、長手方向に沿って離間して配される複数(ここでは4つ)の開口部H4を備えている。ただし、ガイド本体141は、例えば
図15に示されるように、4つの開口部H4を繋げたような、長手方向に延びる一つの開口部H4’を備えていてもよい。ガイド本体141は、不透明であり、金属および合成樹脂の少なくとも一方によって構成されている。カバー部143は、ガイド本体141の開口部H4を覆う要素であり、例えば、正面部141Aと同程度かやや小さい寸法に形成されている。カバー部143は、透明のシート状をなしており、例えば合成樹脂シートによって構成されている。カバー部143は、ガイド本体141の一対の側壁部141Bの間において、開口部H4を塞ぐようにガイド本体141に取付けられる。これによって、ガイド本体141には、前後方向の反対側を視認することができる窓部Wが構築される。
【0044】
上記構成の送風ガイド140において、ガイド本体141は不透明な材料によって構成されているとともに、その一部に透明な窓部Wを備えている。窓部Wは相対的に大きいものが一つ備えられていてもよいし、相対的に小さなものが複数備えられていてもよい。このような構成によると、右側壁11Cにおける結露の発生の有無を窓部Wを介して目視で確認することができる。これにより、例えば、結露が発生しているときに送風ユニット30の運転を開始したり、結露が解消されたときに送風ユニット30の運転を停止したりすることができる。その結果、送風ユニット30の運転コストの低減を図ることができる。
【0045】
≪実施形態5≫
実施形態5の冷却貯蔵庫201について、
図16および
図17を参照して説明する。実施形態5に係る冷却貯蔵庫201は、送風ユニット230の外装箱230Aの構成が異なる点において、実施形態1~4と相違している。それ以外の構成については、実施形態1~4のいずれかと同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0046】
冷却貯蔵庫201の貯蔵庫本体11は、底面10Bを含む外箱12がステンレス鋼板(磁性材料の一例)によって構成されており、底面10Bは磁石を磁着することができる付着部としての機能を備えている。また、送風ユニット230における外装箱230Aは、上ケースを有しておらず、下ケース232のみを有している。
【0047】
下ケース232は、外装箱30Aの下面部に対応する底部32Aと、外装箱30Aの左側面部に対応する側面部32Bと、外装箱30Aの前面部に対応する前面部32Cと、送風ユニット30の背面部に対応する背面部32Dと、外装箱30Aの右側面部に対応する側面部32Gと、上面部の一部に対応する排気部32Hと、を有している。外装箱230Aは、大まかには、上方に向けて開口された箱状をなしており、上面部の右方の端部に沿って帯状に排気部32Hが設けられている。排気部32Hは、幅方向の寸法が、断熱筐体10からのはみ出し寸法と等しくなるように設計されており、左方の端部は上方に向けて折り上げられている。そして、この折り上げ部が、外装箱230Aを断熱筐体10に取付けるときの位置合わせとして利用される。また、下ケース232の側面部32B、前面部32C、および背面部32Dの外側にはそれぞれ、磁石を含む磁石部234が設けられている。これらの3つの磁石部234は、付着部である底面10Bに磁着することで、送風ユニット230を断熱筐体10に取付けることができるように構成されている。
【0048】
上記構成によると、送風ユニット230は、特別な締結具等を用いることなく、また、複雑な取付構造を採用することなく、磁石の付着力によって断熱筐体10に接触させるだけで簡便に取付けることができる。また、送風ユニット230は、断熱筐体10から容易に着脱することができ、冷却貯蔵庫の設置状況に応じて必要な時に容易に送風ユニット230を取付けることができるために好適である。
【0049】
≪実施形態6≫
実施形態6に係る冷却貯蔵庫301について、
図18および
図19を参照して説明する。実施形態6の冷却貯蔵庫301は、断熱筐体10の底面10Bおよび送風ユニット330の外装箱330Aの構成が異なる点において、実施形態1~5と相違している。それ以外の構成については、実施形態1~5のいずれかと同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0050】
外装箱330Aは、ガイドケース331と、スライドケース332とを有している。スライドケース332は、実施形態1の下ケース32に対して、右側面部に対応する側面部331Eを設けることで、上方に向けて開口する箱状をなしている。また、スライドケース332は、下ケース32における前方および後方の取付片32E,32Fが取り除かれた構成となっている。
【0051】
一方のガイドケース331は、実施形態1の上ケース31の蓋部31A下面に対して、前後方向(一の方向の一例)に沿う前方(一方)と後方(他方)の端部のそれぞれにおいて、一対のガイドブラケット31G,31G(ガイド部の一例)が取付けられた構成となっている。ガイドブラケット31G,31Gはそれぞれ、横断面が略Z型をなす板片であり、基部31G1,31G1と、壁部31G2,31G2と、支持部31G3,31G3と、を備えている。基部31G1,31G1は、上ケース31の蓋部31Aの下面に固定される部分である。壁部31G2,31G2は、基部31G1,31G1から下方に向けて延設され、前後方向の端部において互いに対向する部分である。支持部31G3,31G3は、壁部31G2,31G2の下端から互いに向かい合う側に延びる部分である。このようなガイドケース331は、実施形態1の上ケース31と同様に脚部2と断熱筐体10の底面10Bとの間に挟持されて、断熱筐体10に取付けられる。そして、一対のガイドブラケット31G,31Gによって画成された空間に、スライドケース332を右方向にスライドさせることでスライドケース332を挿入することができ、そして一対のガイドブラケット31G,31Gの支持部31G3,31G3によってスライドケース332は下方から支持される構成となっている。
【0052】
以上の構成において、外装箱330Aは、上方に向けて開口するとともに送風ファン33を収容するスライドケース332と、断熱筐体10の底面10Bに備えられ長孔H1(流出孔)が配されているガイドケース331(基体部の一例)と、ガイドケース331の前後方向(一の方向の一例)に沿う前方(一方)と後方(他方)の端部とにおいて下方に向けて延びるとともに、互いに向かい合う方向に延設されてガイドケース331を下方から支持することができる一対のガイドブラケット31G,31G(ガイド部の一例)と、を有するガイドケース331と、を備えている。このような構成によると、スライドケース332は、一対のガイドブラケット31G,31Gによって下方から支持されるとともに、一対のガイドブラケット31G,31Gの間を左右方向に(例えば、冷却貯蔵庫301の中心側に向けて)スライド可能とされる。このような構成によると、スライドケース332は、特別な締結具等を用いることなくガイドケース331に対して挿抜可能に支持されるようになっており、例えば、送風ファン33の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0053】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、一つの送風ユニット30には一つのファン33が設けられていたが、一つの送風ユニット30に設けられるファン33の数はこれに限定されず、2つまたは3つ以上の複数のファン33が設けられてもよい。この場合、当然のことながら、下ケース32(外装箱30A)に設けられる取付孔C5や固定部34の数も適宜変更し得る。ファン33の数が増大された送風ユニットは、例えば実施形態2の送風ユニットのように、外装箱に大きな第2流出孔や、多数の第2流出孔を設けた場合等に、それぞれの流出孔から十分な量の空気を排出することができ、特に有効となり得る。
【0054】
(2)上記実施形態において、送風ユニット30の排気部31Eには長孔H1が9個×3列で設けられていた。しかしながら、送風ユニット30に設けられる排気口の形状は長孔に限定されず、任意の形状、および任意の数であってよい。排気口を、複数の相対的に小さな孔によって構成することで、送風ユニット30の内部に埃等の異物が入りにくいという利点がある。なお、排気口は、本願発明の目的を損ねない範囲において、フィルタ等によって覆ってもよい。
【0055】
(3)上記実施形態では切欠孔C1~C4の形状は直線状であったが、切欠孔の形状はこれに限定されず、曲線状、鉤状等であってよい。また、上記実施形態では、一方の取付片31D,32Fの切欠孔C2,C4と、他方の取付片31C,32Eの切欠孔C1,C3との延びる向きを変えていたが、切欠孔の延びる向きは全て同じであってもよい。例えば、全ての切欠孔を幅方向に沿うように設け、送風ユニットを幅方向に(冷却貯蔵庫に遠い位置から近づく方向に)移動させることで、第1脚部および第2脚部の軸部に対して切欠孔を嵌めるようにしてもよい。この場合、送風ユニットの排気部のはみ出し量を容易に調整することができるという利点がある。
【0056】
(4)上記実施形態において、送風ガイドは、冷却貯蔵庫の右側壁の前方の端部にのみ設けられていた。しかしながら、送風ガイドは、右側壁に設けられることに限定されず、右側壁、左側壁、後側壁(背壁)のいずれか1つ、または2つ以上に組み合わせて設けられていてもよい。さらに、送風ガイドは、左右の側壁の前方の端部に設けることに限定されず、後方の端部に設けてもよいし、冷却貯蔵庫の前方と後方の両方の端部に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,201,301…冷却貯蔵庫(冷却貯蔵庫)、2…脚部、2A…第1脚部、2B…第2脚部、10…断熱筐体、10B…底面、11…貯蔵庫本体、11A…開口、11C…右側壁、16…扉、17…冷蔵室(貯蔵室)、20…冷却装置、30,130,230,330…送風ユニット、30A,130A,230A,330A…外装箱、31…上ケース、31C,31D…取付片、31E…排気部、31G,31G…ガイドブラケット(ガイド部)、32…下ケース、32E,32F…取付片、40,140…送風ガイド