(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133728
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20220907BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220907BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220907BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220907BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20220907BHJP
C11D 3/382 20060101ALI20220907BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220907BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K8/9789
A61K8/34
A61Q19/10
C11D1/02
C11D3/382
C11D3/20
C11D1/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032588
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】續 佐紀
(72)【発明者】
【氏名】平山 愛里
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC561
4C083AC562
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD132
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4H003AB03
4H003AC03
4H003AC08
4H003AC15
4H003AD04
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB14
4H003EB16
4H003EB28
4H003EB46
4H003ED02
4H003FA02
4H003FA14
4H003FA17
4H003FA23
4H003FA25
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れる皮膚洗浄剤組成を提供すること。
【解決手段】(A)アニオン性界面活性剤と、(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、を含有し、前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(B)]が3~30である皮膚洗浄剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤と、
(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、
(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、
を含有し、前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(B)]が3~30であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分のチシマザサ抽出物がチシマザサ水であり、(B)成分のハッカの水抽出物がハッカ油である請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が、5質量%~12質量%であり、
(B)成分のチシマザサ抽出物の含有量が、0.5質量%~1.2質量%であり、(B)成分のハッカの水抽出物の含有量が、0.2質量%~0.5質量%であり、
(C)成分が、5質量%~10質量%である請求項1から2のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
(D)両性界面活性剤を更に含有する請求項1から3のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
(D)成分の含有量が、0.5質量%~4質量%である請求項4に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手指の洗浄に用いる皮膚洗浄剤組成物には、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れるだけでなく、高い殺菌力を有することが求められており、従来、殺菌成分として合成化学物質が多く使われてきた(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、前記合成化学物質は、一般的に安全性や皮膚刺激の点から、配合条件や配合量が定められている。また、皮膚上のバリア機能を高める常在菌をも殺菌してしまうため、殺菌効果の高い皮膚洗浄剤組成物を用いて洗浄を繰り返すことにより、手肌の荒れや乾燥を引き起こすという課題があった。
【0003】
そこで、植物由来の手肌に優しい抗菌成分が求められている。しかし、植物の一般的な抽出方法であるアルコール等の有機溶剤によって抽出する方法、及び酸処理又はアルカリ処理によって抽出する方法によって得られた抽出物は、有効成分の分解や凝集が起こり、着色や特有の嫌味臭が発生するため、皮膚洗浄剤組成物等の化粧品への配合条件に制限があった。また、前記植物抽出物は、殺菌力が低く、皮膚洗浄剤組成物に配合しても、前記合成化学物質と同等の殺菌力が得られないという課題があった。
【0004】
したがって、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れる皮膚洗浄剤組成の提供が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/043226号
【特許文献2】特開2006-182698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れる皮膚洗浄剤組成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、皮膚洗浄剤組成物において、(A)アニオン性界面活性剤と、(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、を含有し、前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(B)]を3~30とすることにより、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)アニオン性界面活性剤と、
(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、
(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、
を含有し、前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(B)]が3~30であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物である。
<2> (B)成分のチシマザサ抽出物がチシマザサ水であり、(B)成分のハッカの水抽出物がハッカ油である前記<1>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<3> (A)成分の含有量が、5質量%~12質量%であり、
(B)成分のチシマザサ抽出物の含有量が、0.5質量%~1.2質量%であり、(B)成分のハッカの水抽出物の含有量が、0.2質量%~0.5質量%であり、
(C)成分が、5質量%~10質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<4> (D)両性界面活性剤を更に含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<5> (D)成分の含有量が、0.5質量%~4質量%である前記<4>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れる皮膚洗浄剤組成を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(皮膚洗浄剤組成物)
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)アニオン性界面活性剤と、(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、を含有し、(D)両性界面活性剤を更に含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0011】
<(A)アニオン性界面活性剤>
前記(A)成分としてのアニオン性界面活性剤は、主に、泡質、洗浄後の感触、及び大腸菌に対する殺菌力を向上させるために含有される。
【0012】
前記(A)成分のアニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミノ酸系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、泡質、洗浄後の感触、及び大腸菌に対する殺菌力の点から、高級脂肪酸塩が好ましい。
【0013】
-高級脂肪酸塩-
前記(A)成分の中の前記高級脂肪酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ラウリン酸塩及びミリスチン酸塩をいずれも含む高級脂肪酸塩が好ましい。
【0014】
前記高級脂肪酸塩の対イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
前記アルカリ金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
前記アミン塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
前記アミノ酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リジン塩、アルギニン塩などが挙げられる。
これらの中でも、泡の弾力性に優れる点で、アルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩が特に好ましい。
【0015】
前記高級脂肪酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記高級脂肪酸塩の市販品としては、例えば、商品名で、NIKKOL ラウリン酸カリLK-120(ラウリン酸カリウム)、NIKKOL ミリスチン酸カリMK-140(ミリスチン酸カリウム)、タイソープ MNK-40(ヤシ油脂肪酸カリウム・ミリスチン酸カリウム配合液体(以上、日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0016】
前記高級脂肪酸塩は、高級脂肪酸塩として配合することも可能であるが、高級脂肪酸と、水酸化カリウム等の前記対イオンとなる塩とを別々に、配合槽中に添加して中和反応させて高級脂肪酸塩としてもよい。
【0017】
前記高級脂肪酸塩の調製に使用する前記高級脂肪酸は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記高級脂肪酸の市販品としては、例えば、商品名で、NAA(登録商標)-122(ラウリン酸)、NAA(登録商標)-142(ミリスチン酸)、NAA(登録商標)-160(パルミチン酸)、NAA(登録商標)-180(ステアリン酸)(以上、日油株式会社製)、Kortacid 1299(ラウリン酸)、Kortacid 1499(ミリスチン酸)(以上、Pacific Oleochemicals製)などが挙げられる。
【0018】
前記ラウリン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全量に対して、2質量%~12質量%が好ましく、4質量%~10質量%がより好ましい。
【0019】
前記ミリスチン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.5質量%~10質量%が好ましく、1質量%~8質量%がより好ましい。
【0020】
前記パルミチン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全量に対して、1質量%~11質量%が好ましく、3質量%~9質量%がより好ましい。
【0021】
前記ステアリン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~3質量%が好ましく、0.2質量%~1質量%がより好ましい。
【0022】
-ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩-
前記(A)成分の中の前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A1)で表される化合物などが挙げられる。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化1】
【0023】
前記一般式(A1)中、R1はアルキル基を示し、前記アルキル基部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
【0024】
前記一般式(A1)中、nはエチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数を示し、前記エチレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
【0025】
前記一般式(A1)中、Xは、アルカリ金属、又はアンモニウムを示す。
前記アルカリ金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
【0026】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(2)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(3)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、エチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数(n)を表す。
【0027】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の市販品としては、例えば、エマール20C(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、エマール270J(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、エマール20CM(ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム)、エマール125HP(ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)(以上、花王株式会社製)、アルスコープ(登録商標)DA-330S(ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム)、アルスコープ(登録商標)A-225B(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム)(以上、東邦化学工業株式会社製)、シノリンSPE-1150(ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、シノリンSPE-1250(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、シノリンSPE-1350(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)(以上、新日本理化株式会社製)、Texapon(テキサポン)(登録商標) N70(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)(BASF社製)などが挙げられる。
【0028】
-エーテルカルボン酸塩-
前記(A)成分の中の前記エーテルカルボン酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A2)又は(A3)で表される化合物などが挙げられる。前記エーテルカルボン酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化2】
【0029】
前記一般式(A2)及び(A3)中、R2は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R2部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
【0030】
前記一般式(A2)中、R3は炭素数2~4のアルキレン基を示し、前記R3部分の炭素数としては、2が好ましい。前記R3は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
前記一般式(A2)中、oは1~20のアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、前記アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
【0032】
前記一般式(A2)及び(A3)中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。
【0033】
前記一般式(A2)又は(A3)で表されるエーテルカルボン酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ラウリルグリコール酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0034】
前記エーテルカルボン酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記エーテルカルボン酸塩の市販品としては、例えば、エナジコールEC-30(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ビューライト LCA-25F(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-30D(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-H(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸)、ビューライト LCA-25NH(ラウレス-4カルボン酸)、ビューライト SHAA(ラウリルグリコールカルボン酸ナトリウム)、ビューライト LCA(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、三洋化成工業株式会社製)、カオーアキポRLM-45NV(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、カオーアキポRLM-100NV(ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、花王株式会社製)などが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0035】
-アミノ酸系界面活性剤-
前記(A)成分の中の前記アミノ酸系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A4)で表される化合物などが挙げられる。前記アミノ酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化3】
【0036】
前記一般式(A4)中、R4は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R4部分の炭素数としては、8~18が好ましい。
【0037】
前記一般式(A4)中、R5は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。
【0038】
前記一般式(A4)中、R6及びR7は、水素原子又は-(CH2)m-COOM2を示す。前記R6及び前記R7は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
前記一般式(A4)中、m及びnは0~20の数を示す。前記m及び前記nは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0040】
前記一般式(A4)中、M1及びM2は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。前記M1及び前記M2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0041】
前記アミノ酸系界面活性剤の親水部のアミノ酸構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、グルタミン酸、メチルアラニンが好ましい。
【0042】
前記一般式(A4)で表されるアミノ酸系界面活性剤の具体例としては、N-ココイル-グリシンカリウム(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、N-ココイル-グリシンナトリウム(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)等のN-アシル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-N-カルボキシエチル-グリシンナトリウム等のN-アシル-N-カルボキシエチル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-パーム脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸及びその塩;N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミン等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン及びその塩;N-ココイル-β-アラニントリエタノールアミン等のN-アシル-β-アラニン及びその塩;ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム等のアシルサルコシン及びその塩などが挙げられる。
【0043】
前記アミノ酸系界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記アミノ酸系界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、アミライト(登録商標)GCK-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCK-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCS-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミライト(登録商標)GCS-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-22(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)LS-11(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)MS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(F)(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS21(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ジナトリウム)、アミライト(登録商標)ACS-12(ココイルアラニンナトリウム)(以上、味の素ヘルシーサプライ株式会社製)、アミノサーファクト(登録商標)AMMS-P1(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)(旭化成ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL サルコシネート MN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、NIKKOL アラニネート LN-30(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、アラノンACE(ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム)、アラノンAME(ミリストイルメチル-β-アラニンナトリウム)、アラノンALE(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、エナジコール L-30AN(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ソフティルトAT-L(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0044】
前記(A)成分のアニオン性界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡質、洗浄後の感触、及び大腸菌に対する殺菌力の点から、前記皮膚洗浄剤組成物全量に対して、3質量%~14質量%が好ましく、5質量%~12質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、3質量%以上であると、泡質、洗浄後の感触、及び大腸菌に対する殺菌力が良好であり、14質量%以下であると、安定性、特に低温安定性が良好である。
【0045】
<(B)チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物>
前記(B)成分としての植物抽出物は、チシマザサ抽出物及びハッカの水抽出物油から選択される少なくとも1種であり、主に、大腸菌に対する殺菌力を向上させるために含有される。
【0046】
-チシマザサ抽出物-
前記チシマザサ抽出物の抽出原料として使用するチシマザサ(Sasa kurilensis)は、イネ科(Poaceae)タケ亜科(Bambusoideae)ササ属(Sasa)に属する単子葉植物である。日本国内で広く自生又は栽培されており、容易に入手可能である。
【0047】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサは、チシマザサの変種であってもよい。
前記チシマザサの変種としては、本発明の効果を奏する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キアケボノネマガリ、ギンタイチシマ、キンタイチシマ、キンメイチシマ、シモフリネマガリ、タカラネマガリ、チャボコンシマチシマ、チャボマキバ、チャボシモフリチシマ、ノチザエキフネマガリ、マキバネマガリ、ミイロチシマ、変種エゾネマガリ、ナガバネマガリダケなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において、チシマザサ及びその変種を併せて「チシマザサ類」と称する。また、前記チシマザサ類の抽出物を「チシマザサ抽出物」と称する。
前記チシマザサ類の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0048】
前記チシマザサ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができるが、大腸菌に対する殺菌力及び液外観の点で、水蒸気蒸留法、圧搾抽出法などの抽出法で抽出したものが好ましく、前記抽出物の精製物がより好ましい。これらの抽出法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0049】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサ類の使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記チシマザサ類の使用部位としては、地上部が好ましい。
【0050】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサ類の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0051】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサ類の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態などが挙げられる。
【0052】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサ類を乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0053】
前記抽出原料として使用する前記チシマザサ類を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
【0054】
前記チシマザサ抽出物を水蒸気蒸留法で調製する場合、その抽出溶媒として用いられる水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0056】
前記チシマザサ抽出物の抽出条件(抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記圧搾抽出法の場合は、低温及び高圧で行われることが好ましく、一般的に、抽出温度が70℃以下、圧力が100mmHg~700mmHgの減圧下で行われる。
【0057】
前記チシマザサ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記チシマザサ抽出物そのものであってもよく、前記チシマザサ抽出物の粗精製物又は精製物、前記チシマザサ抽出物の濃縮物、前記チシマザサ抽出物の希釈物、前記チシマザサ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記チシマザサ抽出物は、前記チシマザサ抽出物の乾燥物を、再度水に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0058】
これらの中でも、前記チシマザサ抽出物としては、チシマザサを低温高圧圧搾抽出法で抽出及び精製したチシマザサ水が好ましい。
このようなチシマザサ抽出物の市販品としては、例えば、商品名で、アクアアロマ クマザサ(アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社製)、チシマザサ水 K2-C(日本ハルマ株式会社製)などが挙げられる。
【0059】
前記チシマザサ抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大腸菌に対する殺菌力の点から、前記皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.5質量%~1.5質量%が好ましく、0.5質量%~1.2質量%がより好ましい。前記チシマザサ抽出物の含有量が、0.5質量%以上又は1.5質量%以下であると、大腸菌に対する殺菌力が良好である。
【0060】
-ハッカの水抽出物-
前記ハッカの水抽出物の抽出原料として使用するハッカは、シソ科(Lamiaceae)ハッカ属(Mentha)に属する植物であり、多くの種は多年草だが、一年草の種もある。日本国内で広く自生又は栽培されており、容易に入手可能である。
【0061】
前記ハッカ属(Mentha)に属する植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニホンハッカ(別名:ワシュハッカ)、ミズハッカ、ベルガモットハッカ、ミドリハッカ、セイヨウハッカ、ヨウシュハッカなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ニホンハッカ、ヨウシュハッカが好ましい。
前記ハッカ属に属する植物の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0062】
前記ハッカの水抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができるが、大腸菌に対する殺菌力及び液外観の点で、水蒸気蒸留法で抽出及び精製した抽出物が好ましい。
【0063】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物の使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ハッカ属に属する植物の使用部位としては、地上部が好ましい。
【0064】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0065】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態などが挙げられる。
【0066】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物を乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0067】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
【0068】
前記抽出原料として使用する前記ハッカ属に属する植物を前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0069】
前記ハッカの水抽出物の抽出溶媒として用いられる水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0071】
前記ハッカの水抽出物の抽出条件(抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0072】
前記ハッカの水抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ハッカの水抽出物そのものであってもよく、前記ハッカの水抽出物の粗精製物又は精製物、前記ハッカの水抽出物の濃縮物、前記ハッカの水抽出物の希釈物、前記ハッカの水抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記ハッカの水抽出物は、前記ハッカの水抽出物の乾燥物を、再度水に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0073】
これらの中でも、前記ハッカの水抽出物としては、ハッカ属に属する植物を水蒸気蒸留法で抽出及び精製したハッカ油が好ましい。
このようなハッカの水抽出物の市販品としては、例えば、商品名で、ハッカ油(鈴木薄荷株式会社製)、薄荷白油(長岡実業株式会社製)などが挙げられる。
【0074】
前記ハッカの水抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大腸菌に対する殺菌力及び臭いの点から、前記皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~0.6質量%が好ましく、0.2質量%~0.5質量%がより好ましい。前記ハッカの水抽出物の含有量が、0.1質量%以上であると、大腸菌に対する殺菌力が良好であり、0.6質量%以下であると、特異的な臭いを抑制することができる。
【0075】
<(C)グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコール>
前記(C)成分としての多価アルコールは、主に、泡質及び洗浄後の感触を向上させるために含有される。
【0076】
前記(C)成分の多価アルコールは、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である。
【0077】
前記(C)成分の多価アルコールは、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(C)成分の多価アルコールとしてのグリセリンの市販品としては、例えば、商品名で、ELOGLYN R995(グリセリン)(LG Household & Health Care製)、化粧品用濃グリセリン(ミヨシ油脂株式会社製)、トリオール VE(高級アルコール工業株式会社製)などが挙げられる。
【0078】
前記(C)成分の多価アルコールとしての1,3-ブチレングリコールの市販品としては、例えば、商品名で、ハイシュガーケイン BG(高級アルコール工業株式会社製)などが挙げられる。
【0079】
前記(C)成分の多価アルコールとしてのプロピレングリコールの市販品としては、例えば、商品名で、化粧用プロピレングリコール(ADEKA製)、Propylene Glycol JSQI(ダウ・ケミカル製)などが挙げられる。
【0080】
前記(C)成分の多価アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡質及び洗浄後の感触の点から、前記皮膚洗浄剤組成物全量に対して、3質量%~12質量%が好ましく、5質量%~10質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、3質量%以上であると、泡質及び洗浄後の感触が良好であり、12質量%以下であると、泡質及び洗浄後の感触が良好である。
【0081】
<質量比[(C)/(B)]>
前記(B)成分の含有量(質量%)に対する前記(C)成分の含有量(質量%)の質量比[(C)/(B)]としては、大腸菌に対する殺菌力が高く、表皮ブドウ球菌(皮膚常在菌)に対する殺菌力が低い点から、3~30であり、5~25が好ましい。前記質量比[(C)/(B)]が、3未満又は30を超えると、大腸菌に対する殺菌力が低下する。
【0082】
<(D)両性界面活性剤>
前記(D)成分としての両性界面活性剤は、主に、泡質を向上させるために含有される。
【0083】
前記両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、アミンオキシド型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0085】
前記アミドベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、コカミドプロピルベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
前記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
前記ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルヒドロキシスルタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0088】
前記アミドスルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
前記ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
前記イミダゾリン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤシ油アルキル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
前記アミンオキシド型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記(D)成分の両性界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(D)成分の両性界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、NIKKOL AM-3130N(コカミドプロピルベタイン、日光ケミカルズ株式会社製)、TEGO Betain(コカミドプロピルベタイン、Evonik社製)、アンヒトール 20AB(ラウリン酸アミドプロピルベタイン、花王株式会社製)、MITAINE L(ラウリルベタイン、Miwon Commercial社製)、アンホレックスLSB(ラウリルヒドロキシスルタイン、ミヨシ油脂株式会社)、アンヒトール 20HD(ラウリルヒドロキシスルタイン、花王株式会社製)、ソフタゾリン LSB(ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、川研ファインケミカルズ株式会社)、ソフタゾリン CH(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、川研ファインケミカルズ株式会社)、アンヒトール20N(ラウリルジメチルアミンオキシド、花王株式会社製)、ユニセーフ(登録商標)A-LM(ラウリルジメチルアミンオキシド、日油株式会社製)などが挙げられる。
【0093】
前記(D)成分の両性界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡質及び手肌への刺激のなさの点から、前記皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~5質量%が好ましく、0.5質量%~4質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、0.1質量%以上であると、泡質が良好であり、5質量%以下であると、手肌への刺激のなさが良好である。
【0094】
<その他の成分>
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の各成分以外にも、本発明を損なわない範囲で、必要に応じて、皮膚洗浄剤組成物などに通常用いられる成分をその他の成分として配合することができる。
【0095】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン類、保湿剤、前記(A)成分以外のアニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等)、カチオン性界面活性剤(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、抗炎症剤(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、アラントイン等)、ビタミン類、カチオン性ポリマー(例えば、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム(ポリクオタニウム-6)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等)、両性ポリマー(例えば、アクリル酸/ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、アニオン性ポリマー(例えば、アクリル酸系ポリマー等)、動物抽出エキス又はその誘導体、前記(B)成分以外の植物抽出エキス又はその誘導体、パール化剤、着色剤、スクラブ剤(例えば、ポリエチレン等)、香料、色素、顔料、前記(B)成分以外の防腐剤(例えば、メチルパラベン、フェノキシエタノール等)、糖類、油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、湿潤剤(例えば、ソルビトール等)、乳化剤(例えば、ステアレス-11、トリデセス-8、オクチルドデセス-5等)、キレート剤(例えば、EDTA-4Na等)、pH調整剤(例えば、水酸化カリウム、モノエタノールアミン等)、溶媒(例えば、水等)などが挙げられる。
【0096】
-pH-
前記皮膚洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8.0~12.0が好ましく、8.5~11.0がより好ましい。
前記pHは、例えば、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、HM-30V)を使用して測定することができる。
【0097】
-容器-
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、特に制限はなく、通常の容器に充填して使用される。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプディスペンサー容器、チューブ容器、フォーマー容器、スクイズ容器、袋状容器などが挙げられる。これらの中でも、フォーマー容器が好ましい。
【0098】
前記フォーマー容器としては、特に制限はなく、公知のフォーマー容器の中から適宜選択することができ、例えば、ノンガス型の泡吐出容器、噴射剤と耐圧容器を使用したエアゾール容器などが挙げられる。これらの中でも、ノンガス型の泡吐出容器が好ましい。
【0099】
前記ノンガス型の泡吐出容器としては、前記皮膚洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器などが挙げられる。このようなフォーマー容器は、大和製罐株式会社製、株式会社吉野工業所製等のものを使用することができる。より具体的には、フォーマー容器としては、特開平7-315463号公報、特開平8-230961号公報、及び特開2005-193972号公報に記載されたフォーマー容器などを使用することができる。
【0100】
前記ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための泡形成部材を有する。
前記ノンガス型の泡吐出容器の具体例としては、多孔質膜体(材質は、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい)を有し、前記皮膚洗浄剤組成物が該多孔質膜体を通過することにより泡が形成されるものなどが挙げられる。
【0101】
前記多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100メッシュ以上が好ましく、100メッシュ~400メッシュがより好ましく、200メッシュ~305メッシュが特に好ましい。
また、前記多孔質膜体の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から、2枚~4枚が好ましい。
【0102】
-性状-
前記皮膚洗浄剤組成物の性状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、常温で液体状が好ましい。
前記皮膚洗浄剤組成物の25℃における粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mPa・s~30mPa・sが好ましく、3mPa・s~30mPa・sがより好ましい。前記粘度が、1mPa・s以上又は30mPa・s以下であると、泡質が良好である。
また、フォーマー容器を使用する際、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器と、200メッシュの多孔質膜体を2枚使用する際において、使用する温度条件下で皮膚洗浄剤組成物の粘度は、15mPa・s以下が好ましく、1mPa・s~10mPa・sがより好ましい。
ここで、前記粘度は、例えば、B型粘度計を用いて、前記皮膚洗浄剤組成物の温度を25℃とし、転数60回転/分間、No.1のローターにて1分間後の粘度を測定することにより測定できる。
【0103】
-製造方法-
本発明の皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分、及び前記精製水(前記皮膚洗浄剤組成物全体が100質量%となるように残量として配合)を混合して得ることができる。混合する際、必要に応じて加温してもよい。
【0104】
前記皮膚洗浄剤組成物は、装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0105】
-用途-
前記皮膚洗浄剤組成物の使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全身、顔、手などに使用することができる。
前記皮膚洗浄剤組成物の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フォーマー容器に充填し、泡状に吐出して使用することが好ましい。
【0106】
前記皮膚洗浄剤組成物は、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れるため、例えば、ボディシャンプー、ボディソープ、洗顔フォーム、液体ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いることができ、特に泡状で吐出される液体ハンドソープに好適に用いることができる。
【実施例0107】
以下に実施例、比較例、及び処方例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び処方例に何ら限定されるものではない。
【0108】
実施例、比較例、及び処方例に記載の各成分の含有量は質量%で示し、全て純分換算した値である。また、(B)成分の含有量(質量%)に対する(C)成分の含有量(質量%)の質量比[(C)/(B)]は、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位まで求め、記載した。
【0109】
(実施例1~32及び比較例1~12)
<皮膚洗浄剤組成物の調製>
70℃~80℃において、下記表1~表6に示す組成及び含有量(質量%)の(A)成分、(C)成分、及び(D)成分と、精製水と、共通成分とを均一に溶解させた。その後、40℃以下に冷却してから、(B)成分又は(B)成分の比較成分を添加し、均一になるまで撹拌し、溶解液を得た。次いで、前記溶解液を撹拌しながら適宜水酸化カリウムを加え、所定のpHに調整した。その後、各溶解液の全体量が100質量%になるように精製水を加え、実施例1~32及び比較例1~12の皮膚洗浄剤組成物を得た。
なお、下記表7に示す通り、(B)成分の「ハッカ油」は水蒸気蒸留抽出法により得られた抽出物であり、(B)成分の「チシマザサ水」は圧搾抽出法により得られた抽出物であり、(B)成分の比較成分は、ブチレングリコール又はエタノールを抽出溶媒として用いた溶剤抽出物である。
【0110】
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物について、以下のようにして、「大腸菌に対する殺菌力」、「液外観」、「臭い」、「泡質」(泡の弾力性、泡のクリーミーさ、及び泡の持続性)、「洗浄後の感触」(すすぎ後のさっぱり感及びすすぎ後のしっとり感)、「手肌への刺激のなさ」、及び「安定性」(低温安定性、高温安定性、及びpH)を評価及び判定した。また、実施例1~32の各皮膚洗浄剤組成物について、以下のようにして、更に「表皮ブドウ球菌に対する殺菌力」を評価及び判定した。結果を下記表1~表6に示した。
【0111】
<大腸菌に対する殺菌力>
(1)菌液の調製
感染症を引き起こす代表的な大腸菌(Escherichia coli NBRC3972:グラム陰性菌、独立行政法人製品評価技術基盤機構より入手)を、SCDLP培地(日本製薬株式会社製)を用いて、好気条件下で30℃にて24時間静置培養した。次に、前記大腸菌を生理食塩水(大塚製薬株式会社製)に懸濁させ、初発菌数が106細胞個/mLとなるように調整し、菌液を調製した。
【0112】
(2)試験液の調製
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物を滅菌水で10倍希釈し、各試験液を調製した。
【0113】
(3)評価方法
25℃にて、前記(2)で得られた各試験液10mLに、前記(1)で得られた菌液0.1mLを添加して十分撹拌し、前記(1)の添加から30秒間後に混合液0.3mLを取り出し、2.7mLのSCDLP寒天培地(Soybean-Casein Digest Broth with Lectin & Polysorbate 80、和光純薬工業株式会社製)に加え、10倍希釈液を得た。同様の方法を繰り返し、菌液の102倍、103倍、及び104倍の各希釈液を得た。各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、SCDLP寒天培地15mLを加えて均一化し、30℃にて1日間培養した後、コロニー数をカウントして生存菌数を測定した(寒天平板希釈法)。下記式(1)により初発菌数と、生存菌数との差(Δlog10)を算出し、下記判定基準に基づき「大腸菌に対する殺菌力」を判定した。なお、下記式(1)により算出される数値が大きいほど殺菌力が高いことを表す。
殺菌数Δlog10=-log10(生存菌数/初発菌数) ・・・式(1)
-「大腸菌に対する殺菌力」の判定基準-
◎ : Δlog10が、2.7以上
○ : Δlog10が、2.5以上2.7未満
△ : Δlog10が、2.0以上2.5未満
× : Δlog10が、2.0未満
【0114】
<液外観>
実施例1~32及び比較例1~12の調製直後の各皮膚洗浄剤組成物50gを硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、専門パネル1名が液外観を目視にて観察し、下記判定基準に基づき「液外観」を判定した。
-「液外観」の判定基準-
◎ : 液色が透明
○ : 液色がわずかに黄色を呈している
△ : 液色が黄色を呈している
× : 液色が褐色を呈している
【0115】
<臭い>
実施例1~32及び比較例1~12の調製直後の各皮膚洗浄剤組成物50gを硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、専門パネル3名が下記判定基準に基づき「臭い」を評価した。結果は、専門パネル3名の平均評価点を求め、下記判定基準に基づき判定した。
-「臭い」の評価基準-
5 : 特異的な臭いが全くない
4 : 特異的な臭いをわずかに感じる
3 : 特異的な臭いをやや感じる
2 : 特異的な臭いをかなり感じるが嫌味臭はない
1 : 特異的な臭いを強く感じ嫌味臭である
-「臭い」の判定基準-
◎ : 平均評価点が4.0点以上
○ : 平均評価点が3.0点以上4.0点未満
△ : 平均評価点が2.0点以上3.0点未満
× : 平均評価点が2.0点未満
【0116】
<泡質>
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物をフォーマー容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。専門パネル3名が、前記容器に充填した実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物の(1)「泡の弾力性」、(2)「泡のクリーミーさ」、及び(3)「泡の持続性」を以下の方法で評価し、3名の専門パネルの平均評価点をそれぞれの項目で算出し、3項目の平均評価点の合計点を求め、下記判定基準に基づき「泡質」を判定した。
-「泡質」の判定基準-
◎ : (1)~(3)の平均評価点の合計点が12.0点以上、かつ(1)~(3)の全項目の平均評価点が4点以上
○ : (1)~(3)の平均評価点の合計点が9.0点以上12.0点未満、かつ(1)~(3)の全項目の平均評価点が3点以上
△ : (1)~(3)の平均評価点の合計点が6.0点以上9.0点未満、かつ(1)~(3)の全項目の平均評価点が全項目2点以上
× : (1)~(3)の平均評価点の合計点が6.0点未満
【0117】
(1)泡の弾力性
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させた後、右手の手の平に集めた泡に左手を押し付け、「泡の弾力性」を下記評価基準に基づき評価した。
-「泡の弾力性」の評価基準-
5点 : 泡の弾力性が非常にある
4点 : 泡の弾力性がある
3点 : 泡の弾力性がややある
2点 : 泡の弾力性がややない
1点 : 泡の弾力性がほとんどない
【0118】
(2)泡のクリーミーさ
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させたときの泡の外観を目視にて観察し、またこのときの使用感から「泡のクリーミーさ」を下記評価基準に基づき評価した。
-「泡のクリーミーさ」の評価基準-
5点 : ほとんどの泡が細かい泡で、非常にクリーミーであった
4点 : 細かい泡の中の一部に大きな泡が混ざっているが、クリ-ミーであった
3点 : 細かい泡の中に大きな泡が半分ぐらい混ざり、ややクリーミーであった
2点 : 細かい泡よりも大きく粗い泡の方が多く、クリーミーではなかった
1点 : 大きく粗い泡しか立たず、全くクリーミーではなかった
【0119】
(3)泡の持続性
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させた後、10秒間静置した。両手を10往復擦り合わせた直後の泡量(Fa)、及び擦り合わせてから10秒間静置後の泡量(Fb)をそれぞれ目視にて観察し、「泡の持続性」を下記評価基準に基づき評価した。
-「泡のクリーミーさ」の評価基準-
5点 : 泡量(Fa)と泡量(Fb)とで全く変化なし
4点 : 泡量(Fa)と泡量(Fb)とでほぼ変化なし
3点 : 泡量(Fa)と比べて泡量(Fb)が減少している
2点 : 泡量(Fa)と比べて泡量(Fb)がかなり減少している
1点 : 泡量(Fa)及び泡量(Fb)共に泡が手に残らない
【0120】
<洗浄後の感触>
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物をフォーマー容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。専門パネル3名が、前記容器に充填した実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物の(1)「すすぎ後のさっぱり感」及び(2)「すすぎ後のしっとり感」を以下の方法で評価し、3名の専門パネルの平均評価点をそれぞれの項目で算出し、(1)及び(2)の平均評価点の合計点を求め、下記判定基準に基づき「洗浄後の感触」を判定した。
-「洗浄後の感触」の判定基準-
◎ : (1)及び(2)の平均評価点の合計点が8.0点以上
○ : (1)及び(2)の平均評価点の合計点が7.0点以上8.0点未満
△ : (1)及び(2)の平均評価点の合計点が5.0点以上7.0点未満
× : (1)及び(2)の平均評価点の合計点が5.0点未満
【0121】
(1)すすぎ後のさっぱり感
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10秒間擦りあわせた後、水道水(25℃、2L/分間)で両手をすすぎ、各専門パネルがすすぎ終わったと判断した地点で、「すすぎ後のさっぱり感」を下記評価基準に基づき評価した。
-「すすぎ後のさっぱり感」の評価基準-
5点 : さっぱり感が非常にある
4点 : さっぱり感がある
3点 : さっぱり感がややある
2点 : さっぱり感がややない
1点 : さっぱり感が全くない
【0122】
(2)すすぎ後のしっとり感
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10秒間擦りあわせた後、水道水(25℃、2L/分間)で両手をすすぎ、各専門パネルがすすぎ終わったと判断した地点で、「すすぎ後のしっとり感」を下記評価基準に基づき評価した。
-「すすぎ後のしっとり感」の評価基準-
5点 : しっとり感が非常にある
4点 : しっとり感がある
3点 : しっとり感がややある
2点 : しっとり感がややない
1点 : しっとり感が全くない
【0123】
<手肌への刺激のなさ>
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物をフォーマー容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。
専門パネル3名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった右手の平に、実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物1g(1プッシュ)を25℃の条件において、フォーマー容器から吐出させた。両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10秒間擦りあわせた後、水道水(25℃、2L/分間)で両手をすすぎ、タオルドライ後、「手肌への刺激のなさ」を下記評価基準に基づき評価した。結果は、専門パネル3名の平均評価点を求め、下記判定基準に基づき判定した。
-「手肌への刺激のなさ」の評価基準-
5 : 洗浄中また乾燥した時に、手肌に刺激が全くない
4 : 洗浄中また乾燥した時に、手肌に刺激がほとんどない
3 : 洗浄中または乾燥した時に、手肌に刺激がわずかにある
2 : 洗浄中または乾燥した時に、手肌に刺激がある
1 : 洗浄中または乾燥した時に、手肌に強い刺激がある
-「手肌への刺激のなさ」の判定基準-
◎ : 平均評価点が4.0以上
〇 : 平均評価点が3.0以上4.0未満
△ : 平均評価点が2.0以上3.0未満
× : 平均評価点が2.0未満
【0124】
<安定性>
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物の(1)「低温安定性」、(2)「高温安定性」、及び(3)「pH」を以下の方法で評価し、(1)~(3)のそれぞれの項目の合計点を求め、下記判定基準に基づき「安定性」を判定した。
-「安定性」の判定基準-
◎ : (1)~(3)の合計点が12.0点以上、かつ(1)~(3)の全項目が3点以上
○ : (1)~(3)の合計点が9.0点以上12.0点未満、かつ(1)~(3)の全項目が3点以上
△ : (1)~(3)の合計点が6.0点以上9.0点未満、かつ(1)~(3)の全項目が2点以上
× : (1)~(3)の合計点が6.0点未満
【0125】
(1)低温安定性
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物50gを硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、10℃の環境下で1ヶ月間保管した後又は10℃の環境下で1ヶ月間保管後に25℃に戻した後、専門パネル1名が液外観を目視にて観察し、下記評価基準に基づき「低温安定性」を評価した。
-「低温安定性」の評価基準-
5点 : 10℃で1ヵ月保管後に析出が全くない
4点 : 10℃で1ヵ月保管後に25℃に戻した際に析出物がない
3点 : 10℃で1ヵ月保管後に25℃に戻した際にわずかに析出物による懸濁が認められる
2点 : 10℃で1ヵ月保管後に25℃に戻した際に析出物が認められる
1点 : 10℃で1ヵ月保管後に25℃に戻した際に多量の析出物が認められる
【0126】
(2)高温安定性
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物50gを硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、50℃の環境下で1ヶ月間保管した後、専門パネル1名が液外観目視観察及び臭気評価をし、下記評価基準に基づき「高温安定性」を評価した。
-「高温安定性」の評価基準-
5点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較して色及び臭いに変化がない
4点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較して色及び臭いにほとんど変化がない
3点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較して色又は臭いにわずかに変化が認められるが、商品価値上問題がない程度である
2点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較して色又は臭いに変化が認められ、商品価値上問題がある
1点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較して色又は臭いが大きく変化し、商品価値上問題がある
【0127】
(3)pH
実施例1~32及び比較例1~12の各皮膚洗浄剤組成物50gを硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、50℃の環境下で1ヶ月間保管した後、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、HM-30V)を用いてpHを測定し、下記評価基準に基づき「pH」を評価した。
-「pH」の評価基準-
5点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較してpH変化が±0.2以内
4点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較してpH変化が±0.2超え±0.4以内
3点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較してpH変化が±0.4超え±0.6以内
2点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較してpH変化が±0.6超え±0.8以内
1点 : 50℃で1ヵ月保管後に保存前と比較してpH変化が±0.8超え
【0128】
<表皮ブドウ球菌に対する殺菌力>
表皮ブドウ球菌は、バリア機能をもつ皮膚の常在菌であるため、皮膚洗浄剤組成物は表皮ブドウ球菌に対する殺菌力が低いことが好ましい。そこで、以下の方法で、実施例1~32の各皮膚洗浄剤組成物の表皮ブドウ球菌に対する殺菌力を評価した。
【0129】
(1)菌液の調製
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis ATCC12228、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)より入手)を、SCDLP培地(日本製薬株式会社製)を用いて、好気条件下で30℃にて24時間静置培養した。次に、前記表皮ブドウ球菌を生理食塩水(大塚製薬株式会社製)に懸濁させ、初発菌数が106細胞個/mLとなるように調整し、菌液を調製した。
【0130】
(2)試験液の調製
実施例1~32の各皮膚洗浄剤組成物を滅菌水で10倍希釈し、各試験液を調製した。
【0131】
(3)評価方法
25℃にて、前記(2)で得られた各試験液10mLに、前記(1)で得られた菌液0.1mLを添加して十分撹拌し、前記(1)の添加から30秒間後に混合液0.3mLを取り出し、2.7mLのSCDLP寒天培地(Soybean-Casein Digest Broth with Lectin & Polysorbate 80、和光純薬工業株式会社製)に加え、10倍希釈液を得た。同様の方法を繰り返し、菌液の102倍、103倍、及び104倍の各希釈液を得た。各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、SCDLP寒天培地15mLを加えて均一化し、30℃にて2日間培養した後、コロニー数をカウントして生存菌数を測定した(寒天平板希釈法)。下記式(2)により初発菌数と前記生存菌数との差(Δlog10)を算出し、下記判定基準に基づき「表皮ブドウ球菌に対する殺菌力」を判定した。なお、下記式(2)により算出される数値が大きいほど殺菌力が高いことを表す。
殺菌数Δlog10=-log10(生存菌数/初発菌数) ・・・式(2)
-「表皮ブドウ球菌に対する殺菌力」の判定基準-
◎ : Δlog10が、1.0未満
○ : Δlog10が、1.0以上2.0未満
△ : Δlog10が、2.0以上3.0未満
× : Δlog10が、3.0以上
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
(処方例1~8)
<皮膚洗浄剤組成物の調製>
実施例1~32及び比較例1~12の皮膚洗浄剤組成物の調製において、下記表7に示す組成及び含有量(質量%)に変更したこと以外は、実施例1~32及び比較例1~12の皮膚洗浄剤組成物の調製と同様の方法で処方例1~8の皮膚洗浄剤組成物を得た。
【0139】
【0140】
【0141】
実施例1~32、比較例1~12、又は処方例1~12で使用した各成分の詳細について、下記表9に示す。
【0142】
【表9】
※1:ラウリン酸カリウムは、ラウリン酸(Kortacid 1299、Pacific Oleochemicals製)を水酸化カリウム(POTASSIUM HYDROXIDE 48%、UNID製)で中和させて調製したものを使用した。
※2:ミリスチン酸カリウムは、ミリスチン酸(Kortacid 1499、Pacific Oleochemicals製)を水酸化カリウム(POTASSIUM HYDROXIDE 48%、UNID製)で中和させて調製したものを使用した。
前記皮膚洗浄剤組成物は、皮膚上のバリア機能を高める常在菌は保持しながら、病原性を持つ大腸菌等に対しては高い殺菌力を有し、着色がなく液外観が良好であり、嫌味臭がなく、泡質、洗浄後の感触、手肌への刺激のなさ、及び安定性に優れるため、例えば、ボディシャンプー、ボディソープ、洗顔フォーム、液体ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いることができ、特に泡状で吐出される液体ハンドソープに好適に用いることができる。