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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133731
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220907BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20220907BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/046 B
G06F3/044 126
G06F3/041 560
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032592
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 伸吾
(57)【要約】
【課題】電子ペンによるタッチパネルセンサの外周配線部の検出精度の向上を図る。
【解決手段】情報処理装置1-1は、電子ペン1a、タッチパネル1bおよび制御部1cを備える。電子ペン1aは、電磁波を出力する。タッチパネル1bは、第1の層1b-1と第2の層1b-2を備える。第1の層1b-1には、電極群eg1が実装され、電極群eg1には外周配線w1が接続される。第2の層1b-2には、電極群eg2が実装され、電極群eg2には外周配線w2が接続される。制御部1cは、外周配線w1、w2を介して、電極群eg1、eg2で受信される電磁波のスキャンを行って電子ペン1aのタッチパネル1bに対する位置検出を行う。この場合、制御部1cは、電子ペン1aのタッチパネル1bへの位置検出期間T1のうちの所定期間T1aにおいて、第1の層1b-1の電極群eg1を接地状態にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を出力する電子ペンと、
複数の第1の電極を含む第1の電極群が実装される第1の層と、複数の第2の電極を含む第2の電極群が実装される第2の層とを備え、前記第1の層を前記第2の層の上側にして配置し、前記第1の層に前記電子ペンがタッチされるタッチパネルと、
前記第1の電極群に接続される第1の外周配線および前記第2の電極群に接続される第2の外周配線を介して前記第1の電極群および前記第2の電極群で受信される前記電磁波のスキャンを行って前記電子ペンの前記タッチパネルに対する位置検出を行い、前記電子ペンの前記タッチパネルへの位置検出期間のうちの所定期間において前記第1の層の前記第1の電極群を接地状態にする制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の層に対して前記電子ペンの前記タッチパネルへの位置検出を前記所定期間で行い、前記所定期間において前記第2の層で検出した前記電磁波の強度が閾値より小さい場合、前記電子ペンの前記タッチパネルに対する位置を前記第1の外周配線が実装される外周配線部に位置すると判定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電子ペンから出力される前記電磁波を遮断する遮断パターンが前記第1の外周配線に接続される請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の外周配線および前記第2の外周配線は、垂直方向から見て重なるように配置される請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の層は、前記第2の電極群に所定周波数の信号が送信される送信層であり、前記第1の層は、前記信号によって前記第1の電極群との間に静電容量を発生させる受信層である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、
前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、
前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を開放状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行い、
前記タッチ位置検出期間内の第3の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う第1のタイミング波形を生成し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を開放状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行い、前記タッチ位置検出期間内の第3の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う第2のタイミング波形を生成し、
前記電子ペンが前記第1の外周配線が実装される外周配線部または前記第1の電極群が実装される範囲の最も外側にある場合は、前記第2のタイミング波形を選択して駆動し、
前記電子ペンが前記第1の電極群が実装される範囲内にある場合は、前記第1のタイミング波形を選択して駆動する、
請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル内蔵型の情報処理装置に対して、指によるタッチと共に、アクティブペンによるタッチを可能とした製品が開発されている。指によるタッチとアクティブペンによるタッチとを共通のタッチセンサを用いて検出するものとしては、例えば、タブレットPC(Personal Computer)がある。
【0003】
関連技術としては、例えば、検出面に接触した状態で静電容量と電磁信号を授受する第1指示体の位置と、検出面に接触する第2指示体の位置を同時に検出するタッチパネルコントローラの技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-067300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、タブレットPC等に使用されているタッチパネルでは、タッチパネルセンサの外周配線部でアクティブペンによる信号を誤って検出し、誤った位置情報を出力してしまう可能性があるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、電子ペンによるタッチパネルセンサの外周配線部の検出精度の向上を図った情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、情報処理装置が提供される。情報処理装置は、電磁波を出力する電子ペンと、複数の第1の電極を含む第1の電極群が実装される第1の層と、複数の第2の電極を含む第2の電極群が実装される第2の層とを備え、第1の層を第2の層の上側にして配置し、第1の層に電子ペンがタッチされるタッチパネルと、第1の電極群に接続される第1の外周配線および第2の電極群に接続される第2の外周配線を介して第1の電極群および第2の電極群で受信される電磁波のスキャンを行って電子ペンのタッチパネルに対する位置検出を行い、電子ペンのタッチパネルへの位置検出期間のうちの所定期間において第1の層の第1の電極群を接地状態にする制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
1側面によれば、電子ペンによるタッチパネルセンサの外周配線部を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理装置の一例を説明するための図である。
図2】情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3】アクティブペンのタッチ位置検出の動作原理の一例を説明するための図である。
図4】タッチパネルの構成の一例を示す図である。
図5】タッチパネルのセンサパターンの構成の一例を示す図である。
図6】電磁波強度のグラフの一例を示す図である。
図7】電磁波強度のグラフの一例を示す図である。
図8】電磁波強度のグラフの一例を示す図である。
図9】タッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。
図10】タッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。
図11】受信層の外周配線に遮断パターンが設けられている構成の一例を示す図である。
図12】電磁波強度のグラフの一例を示す図である。
図13】タッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。
図14】電磁波強度のグラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は情報処理装置の一例を説明するための図である。情報処理装置1-1は、電子ペン1a、タッチパネル1bおよび制御部1cを備える。電子ペン1aは、タッチパネル1b上の画面をタッチして操作ができる電磁波放出型の電子ペンである。
【0010】
タッチパネル1bは、第1の層1b-1と第2の層1b-2を備える。第1の層1b-1には、電極er1-1、・・・、er1-nを含む電極群eg1が実装される。電極群eg1は、タッチパネルセンサとして使用されるセンサパターンである。また、電極群eg1には、外周配線w1が接続される。
【0011】
第2の層1b-2には、電極er2-1、・・・、er2-mを含む電極群eg2が実装される。電極群eg2は、タッチパネルセンサとして使用されるセンサパターンである。また、電極群eg2には、外周配線w2が接続される。
【0012】
制御部1cは、電極群eg1に接続される外周配線w1、および電極群eg2に接続される外周配線w2を介して、電極群eg1、eg2で受信される電磁波のスキャンを行って電子ペン1aのタッチパネル1bに対する位置検出を行う。この場合、制御部1cは、電子ペン1aのタッチパネル1bへの位置検出期間T1のうちの所定期間T1aにおいて、第1の層1b-1の電極群eg1を接地状態(GND)にする。なお、所定期間T1aでは、第2の層1b-2の電極群eg2で位置検出スキャンが行われる。
【0013】
このように、情報処理装置1-1では、電子ペン1aのタッチパネル1bへの位置検出期間T1のうちの所定期間T1aにおいて、電子ペン1aがタッチされる第1の層1b-1の電極群eg1を接地状態にする。これにより、電子ペン1aがタッチパネル1bの外周配線部に位置することが判別可能となり、電子ペン1aによるタッチパネルセンサの外周配線部を精度よく検出することが可能になる。
【0014】
次に指のタッチによる位置検出と、電子ペンのタッチによる位置検出との両方の機能を備え、図1に示した機能を有する情報処理装置について以下詳しく説明する。なお、以降の説明では、電子ペンをアクティブペンと呼ぶ。
【0015】
<情報処理装置の構成>
図2は情報処理装置の構成の一例を示す図である。情報処理装置1-2は、アクティブペン1、タッチパネル2および制御部3を備える。制御部3は図1の制御部1cに対応し、タッチパネルコントローラとして機能して、指およびアクティブペン1のタッチ有無検出およびタッチ位置検出を行う。
【0016】
<アクティブペンのタッチ位置検出の動作原理>
図3はアクティブペンのタッチ位置検出の動作原理の一例を説明するための図である。アクティブペン1のタッチ位置検出は、デジタイザ(信号や人間の操作をデジタル化して、データとしてコンピュータに取り込む装置)の動作を原理としている。
【0017】
図3には、デジタイザのセンサ板bsに張り巡らせた複数のアンテナコイル(アンテナコイル群)と、座標指示機能を有するアクティブペン1との電磁誘導を利用した方式が示されている。
【0018】
デジタイザのセンサ板bsには、アンテナコイル群として、互いに直行する2次元(X軸、Y軸)方向に複数の長方形アンテナコイルが平行に並べられている。このアンテナコイルの巻き数は、単一または数ターン程度である(図3は、略図のためX軸方向検出用のアンテナコイル群Lgxのみが示されている)。また、デジタイザ本体には、切替スイッチswおよび受信回路rcが設けられる。
【0019】
アンテナコイル群Lgxを構成する複数の長方形のアンテナコイルそれぞれをアンテナコイルLx1、Lx2、Lx3とする。アンテナコイルLx1、Lx2、Lx3の一端は、GNDに接続される(接地される)。
【0020】
アンテナコイルLx1の他端は、切替スイッチswの端子x1に接続され、アンテナコイルLx2の他端は、切替スイッチswの端子x2に接続され、アンテナコイルLx3の他端は、切替スイッチswの端子x3に接続される。切替スイッチswの端子s0は、受信回路rcに接続される。受信回路rcは、タッチパネルコントローラに含まれる回路である。
【0021】
一方、アクティブペン1には、コイルL1と交流ドライバd1が組み込まれており、交流ドライバd1は、コイルL1から連続的に交番磁界の電磁波を発生させるための電源およびドライブ回路から構成される。
【0022】
ここで、アクティブペン1からは電磁波が出力され、アンテナコイル群Lgxで電磁波が受信される。また、切替スイッチswの端子s0を端子x1、x2、x3に対して順番に切り替えるスイッチングを行うことにより、センサ板bs上のアンテナコイルLx1、Lx2、Lx3が走査(スキャン)される。受信回路rcでは、アンテナコイル群Lgxで受信された電磁波を電圧信号に変換する。
【0023】
この場合、受信回路rcによって、アクティブペン1がタッチされている場所から最も近い位置にあるアンテナコイルからは最も強い電圧信号が検出され、それに隣接するアンテナコイルからは比較的弱い電圧信号が検出されることで、アクティブペン1のセンサ板bs上における位置が算出される。
【0024】
なお、図3の例では、X軸方向のアンテナコイル群Lgxのみを示したので、X軸方向のアンテナコイル群Lgxに対するスキャン動作について述べたが、実際にはY軸方向のアンテナコイル群も有しており、Y軸方向のアンテナコイル群に対するスキャン動作も行われる。
【0025】
この場合、X軸方向のアンテナコイル群Lgxに対するスキャンが行われる期間では、Y軸方向のアンテナコイル群に対するスキャンは停止する。すなわち、X軸方向のアンテナコイル群Lgxに対しては、切替スイッチswによるスイッチング(タッチ位置検出スキャン)が行われ、Y軸方向のアンテナコイル群に対しては、切替スイッチswの端子s0がどの端子にも接続されないハイインピーダンス状態(開放状態)になる。
【0026】
また、Y軸方向のアンテナコイル群に対するスキャンが行われている期間では、X軸方向のアンテナコイル群Lgxに対するスキャンは停止する。すなわち、Y軸方向のアンテナコイル群に対しては、切替スイッチswによるスイッチング(タッチ位置検出スキャン)が行われ、X軸方向のアンテナコイル群Lgxに対しては、切替スイッチswの端子s0がどの端子にも接続されないハイインピーダンス状態になる。
【0027】
<タッチパネルの構成>
次にタッチパネルの構成について説明する。なお、上述の図3ではタッチパネルのセンサパターンとしてアンテナコイル(ループアンテナ)を用いてタッチ位置検出の動作について説明したが、本発明ではセンサパターンとしてアンテナコイルではなく、モノポールアンテナを用いるものとする。
【0028】
図4はタッチパネルの構成の一例を示す図である。タッチパネル2は、FPD(Flat Panel Display)の表示面に配置され、図4に示すように指やアクティブペン1がタッチされる面より順番に、カバーガラスCG、およびフィルム層であるPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムf1、f2が貼り合わされる。
【0029】
PETフィルムf1には、複数のRx透明電極e1がX軸方向に積層され、PETフィルムf2には、複数のTx透明電極e2がY軸方向に積層される。Rx透明電極e1とTx透明電極e2は、細長い短冊状の電極(モノポールアンテナ)であり、PETフィルムf1とPETフィルムf2が貼り合わされることにより、直交したマトリクス状になるように設計される。
【0030】
そして、Rx透明電極e1とTx透明電極e2は、外周配線(図示せず)に接続して外周配線は1か所に集約され、外周配線はフレキシブル基板に接続される。さらに、そのフレキシブル基板は、制御部3が実装されているリジッド基板に接続される。カバーガラスCGは、Rx透明電極e1およびTx透明電極e2の保護と、タッチパネル2全体の固定のために貼り合わされる。
【0031】
<指のタッチ有無検出およびアクティブペンのタッチ有無検出>
指のタッチ有無検出の場合、Tx透明電極e2より、例えば、100kHzの周波数信号を送信し、Rx透明電極e1より受信する。このとき、指をタッチするとタッチした部分の静電容量が変化し、Rx透明電極e1の電圧値が上昇する。制御部3は、その電圧値の変化を検出することにより、指のタッチの有無を判定する。
【0032】
また、アクティブペン1のタッチ有無検出およびホバー(hover)検出の場合、アクティブペン1は電磁波を輻射している。その電磁波をRx透明電極e1およびTx透明電極e2をアンテナとして受信し、制御部3は、受信した電磁波のエネルギーを電圧に変換する。そして、制御部3は、その電圧値の変化を検出することにより、アクティブペン1のタッチ有無検出およびホバー検出を判定する。
【0033】
<指のタッチ位置検出およびアクティブペンのタッチ位置検出>
指のタッチの位置検出は、最初に1つのTx透明電極e2を選択し、Rx透明電極e1を順次走査して、電圧値が変化したクロスポイント(交点)があれば検出する。そして、次のTx透明電極e2を選択し、Rx透明電極e1を順次走査して、電圧値が変化したクロスポイントがあれば検出する。このようなスキャンを最後のTx透明電極e2まで繰り返し検出する(クロスポイントスキャン)。
【0034】
また、アクティブペン1の位置検出は、Tx透明電極e2、Rx透明電極e1をそれぞれ順次走査して、電圧値が変化したマトリクス状になっているラインの交点を検出する(ラインスキャン)。
【0035】
<タッチパネルのセンサパターンの構成>
次にタッチパネル2のセンサパターンの構成について図5を用いて説明する。なお、以降の説明では、Rx透明電極が実装されるフィルム層を受信層と呼び、Tx透明電極が実装されるフィルム層を送信層と呼ぶ。また、Rx透明電極をセンサパターンRx、Tx透明電極をセンサパターンTxと呼ぶ。
【0036】
図5はタッチパネルのセンサパターンの構成の一例を示す図である。受信層2aにおいて、2点鎖線で囲まれるセンサパターン範囲h1は、センサパターンRxが実装される領域である。センサパターン範囲h1には、X軸方向に、センサパターンRx1、・・・、Rx17が配置されている。
【0037】
また、受信層2aのセンサパターン範囲h1の外側には、外周配線部pw1が設けられている。外周配線部pw1は、センサパターンRxに接続される外周配線が実装される領域である。
【0038】
外周配線部pw1には、センサパターンRx1、・・・、Rx17それぞれに接続される外周配線wa1、・・・、wa17(総称する場合は外周配線wa)が実装されている。また、外周配線wa1、・・・、wa17は、外周配線部pw1の1か所に集約して引き出されて制御部3に接続される。
【0039】
送信層2bにおいて、2点鎖線で囲まれるセンサパターン範囲h2は、センサパターンTxが実装される領域である。センサパターン範囲h2には、Y軸方向に、センサパターンTx1、・・・、Tx18が配置されている。
【0040】
また、送信層2bのセンサパターン範囲h2の外側には、外周配線部pw2が設けられている。外周配線部pw2は、センサパターンTxに接続される外周配線が実装される領域である。
【0041】
外周配線部pw2には、センサパターンTx1、・・・、Tx18それぞれに接続される外周配線wb1、・・・、wb18(総称する場合は外周配線wb)が実装されている。また、外周配線wb1、・・・、wb18は、外周配線部pw2の1か所に集約して引き出されて制御部3に接続される。
【0042】
なお、送信層2bでは、センサパターンTxに所定周波数の信号が制御部3から送信され、このとき、受信層2aには、該信号によってセンサパターンRxとの間に静電容量が発生する。このような制御が行われることで、上述したように、アクティブペン1のタッチ位置検出だけでなく、上述のような指のタッチ位置検出を行うことが可能になる。
【0043】
一方、図5において、アクティブペン1がタッチしている受信層2a上の位置Aは、アクティブペン1がセンサパターン範囲h1の内部にあることを示している。また、アクティブペン1がタッチしている受信層2a上の位置Bは、アクティブペン1が外周配線部pw1にあることを示している。さらに、アクティブペン1がタッチしている受信層2a上の位置Cは、アクティブペン1がセンサパターン範囲h1の最も外側(センサパターン範囲h1と外周配線部pw1との境界部分)にあることを示している。
【0044】
<電磁波強度の算出例>
アクティブペン1により放射される電磁波を、センサパターンRxおよびセンサパターンTxで受信すると、センサパターンRx、Txには、電磁誘導による電圧が発生する。制御部3では、該電圧値が閾値以上となるセンサパターンRxを受信層2aから検出し、該電圧値が閾値以上となるセンサパターンTxを送信層2bから検出して、検出したセンサパターンRx、Txにもとづいて、アクティブペン1の位置を検出する。
【0045】
ここで、例えば、アクティブペン1の電磁波発振部(アクティブペン1のペン先)からカバーガラスCGまでの距離を1cm、カバーガラスCGの厚さを0.7mm、上側の受信層2aの厚さを100μm、下側の送信層2bの厚さを100μmとする。
また、センサパターンRxの間隔およびセンサパターンTxの間隔を10mm、外周配線パターンの間隔を0.2mm、センサパターンRx、Txから外周配線パターンまでの距離を0.5mmとする。
【0046】
(アクティブペン1がセンサパターン範囲h1内の位置Aにある場合)
センサパターンRx1、・・・、Rx4それぞれの電磁波強度をRx1A、・・・、Rx4Aとし、センサパターンTx1、Tx2、Tx3それぞれの電磁波強度をTx1A、Tx2A、Tx3Aとすると、各電磁波強度は以下の式(1)のように計算される。なお、以降に示す電磁波強度の算出式は、電磁波の強度は距離の二乗に反比例するという逆二乗の法則にもとづくものである。また、算出結果の単位はm-2であるが、相対値と考えてよい。
【0047】
【数1】
・・・(1)
【0048】
(アクティブペン1が外周配線部pw1内の位置Bにある場合)
センサパターンRx14、・・・、Rx17それぞれの電磁波強度をRx14B、・・・、Rx17Bとし、センサパターンTx16、・・・、Tx18それぞれの電磁波強度をTx16B、・・・、Tx18Bとすると、各電磁波強度は以下の式(2)のように計算される。
【0049】
【数2】
・・・(2)
【0050】
(アクティブペン1がセンサパターン範囲h1の最も外側の位置Cにある場合)
センサパターンRx14、・・・、Rx17それぞれの電磁波強度をRx14C、・・・、Rx17Cとし、センサパターンTx16、・・・、Tx18それぞれの電磁波強度をTx16C、・・・、Tx18Cとすると、各電磁波強度は以下の式(3)のように計算される。
【0051】
【数3】
・・・(3)
【0052】
<電磁波強度のグラフ>
図6は電磁波強度のグラフの一例を示す図である。グラフG1は、アクティブペン1が位置Aにある場合の式(1)による計算結果の電磁波強度をプロットしたものである。縦軸は電磁波強度であり、横軸はセンサパターンRxA、TxAの番号である。
【0053】
電磁波強度の閾値thを6000と設定した場合、グラフG1から閾値より大きいセンサパターンは、センサパターンRx2AとセンサパターンTx2Aとなっている。したがって、この場合、アクティブペン1は、センサパターンRx2と、センサパターンTx2との交点に位置することが検出される。
【0054】
図7は電磁波強度のグラフの一例を示す図である。グラフG2は、アクティブペン1が位置Bにある場合の式(2)による計算結果の電磁波強度をプロットしたものである。縦軸は電磁波強度であり、横軸はセンサパターンRxB、TxBの番号である。
【0055】
電磁波強度の閾値thを6000と設定した場合、グラフG2から閾値より大きいセンサパターンは、センサパターンRx14B、・・・、Rx17BおよびセンサパターンTx16B、Tx17B、Tx18Bとなっている。
【0056】
図8は電磁波強度のグラフの一例を示す図である。グラフG3は、アクティブペン1が位置Cにある場合の式(3)による計算結果の電磁波強度をプロットしたものである。縦軸は電磁波強度であり、横軸はセンサパターンRxC、TxCの番号である。
【0057】
電磁波強度の閾値thを6000と設定した場合、グラフG3から閾値より大きいセンサパターンは、センサパターンRx14C、・・・、Rx17CおよびセンサパターンTx16C、Tx17C、Tx18Cとなっている。
【0058】
このように、アクティブペン1が位置Aのようにセンサパターン範囲h1内にある場合はアクティブペン1の位置が正確に検出される。しかし、アクティブペン1が位置Bのように外周配線部pw1にある場合、およびアクティブペン1が位置Cのようにセンサパターン範囲h1の最も外側にある場合では、図7図8に示すように両方とも電磁波強度が閾値より大きくなる。このため、アクティブペン1が位置Bにあるのか、またはアクティブペン1が位置Cにあるのかを区別することが困難になる。
【0059】
したがって、アクティブペン1が位置Bにあっても、位置Cとして検出されてしまう可能性があり(またはその逆の可能性がある)、このような誤検出を防止するために、例えば、外周配線とセンサパターンの間に「十分な距離」を確保して対応することが考えられる。しかし、このような対応策では、タッチパネルを狭額縁化することができず、タッチパネルを小型化することが困難になる。
【0060】
<タッチ位置検出タイミング>
次に本発明のタッチ位置検出タイミングについて、従前のタイミング波形と比較しながら説明する。
(従前のタッチ位置検出タイミング)
図9はタッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。本発明が適用されない場合のタイミング波形を示している。指のタッチ位置検出とアクティブペンのタッチ位置検出とが時分割で交互に行われる。
【0061】
〔期間t1〕センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいて、指のタッチ位置検出が行われる。
〔期間t2〕センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいて、アクティブペンのタッチ位置検出が行われる。
【0062】
〔期間t2a〕センサパターンRxにおいてアクティブペンのタッチ位置検出が行われ、センサパターンTxはハイインピーダンス状態になる。
〔期間t2b〕センサパターンRxはハイインピーダンス状態になり、センサパターンTxにおいてアクティブペンのタッチ位置検出が行われる。なお、ハイインピーダンス状態は、図3で上述したように、切替スイッチswの端子s0がどの端子にも接続されず、スキャン動作が行われていない状態である。
【0063】
(本発明のタッチ位置検出タイミング)
図10はタッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。情報処理装置1-2のタイミング波形M1を示している。指のタッチ位置検出とアクティブペンのタッチ位置検出とが時分割で交互に行われる。
【0064】
〔期間t11〕制御部3は、センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいて、指のタッチ位置検出を行う。
〔期間t12〕制御部3は、センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいて、アクティブペン1のタッチ位置検出を行う。
【0065】
〔期間t12a〕制御部3は、センサパターンRxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行い、センサパターンTxをハイインピーダンス状態にする。
〔期間t12b〕制御部3は、センサパターンRxを接地状態にし、センサパターンTxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行う。
【0066】
このように、情報処理装置1-2のアクティブペン1のタッチ位置検出では、まず、受信層2aのセンサパターンRxでタッチ位置検出を行うときは、送信層2bのセンサパターンTxは開放してハイインピーダンス状態にする(期間t12a)。
【0067】
受信層2aのセンサパターンRxによるタッチ位置検出が終わると、次に送信層2bのセンサパターンTxでタッチ位置検出を行う。センサパターンTxでタッチ位置検出を行うときは、受信層2aのセンサパターンRxは接地状態にする(期間t12b)。そして、このタイミング(期間t12b)でアクティブペン1の外周配線の位置検出が可能になる。送信層2bのセンサパターンTxによるタッチ位置検出が終わると、指のタッチ位置検出に戻る。
【0068】
制御部3が、送信層2bのセンサパターンTxでタッチ位置検出を行う期間で、受信層2aのセンサパターンRxを接地状態とすることにより、アクティブペン1からの電磁波を遮断し、下側の送信層2bには電磁誘導による電圧は発生しなくなる。そして、制御部3は、送信層2bのセンサパターンTxで検出した電磁波強度の値が閾値より小さい場合、アクティブペン1が外周配線部に位置すると判定する。
【0069】
このように、制御部3は、タッチ位置検出期間t12内の期間t12aでは、センサパターンRxに対するスキャンを行い、かつセンサパターンTxはハイインピーダンス状態とし、タッチ位置検出期間t12内の期間t12bでは、センサパターンRxを接地状態し、かつセンサパターンTxに対するスキャンを行う。
【0070】
このように、アクティブペン1のタッチ位置検出期間t12内に外周配線部に対するタッチ位置検出を可能とする期間t12bを設けることで、アクティブペン1がタッチパネル2の外周配線部に位置することが判別可能となり、アクティブペン1によるタッチパネルセンサの外周配線部を精度よく検出することが可能になる。
【0071】
また、アクティブペン1が外周配線部に位置する場合は、制御部3は、アクティブペン1のセンサパターン範囲h1内にはタッチ位置検出無し、と判定するので、誤った位置情報の出力を防止することができる。さらに、外周配線部とセンサパターンとの間に距離を確保するといった構造が不要となるので、タッチパネルを狭額縁化でき、タッチパネルの小型化が可能になる。
【0072】
<遮断特性の向上>
(遮断パターンの設置)
図11は受信層の外周配線に遮断パターンが設けられている構成の一例を示す図である。受信層2aのセンサパターンRxに接続される外周配線に対して、アクティブペン1から出力される電磁波を遮断する遮断パターンが接続される。
【0073】
図11の例では、センサパターンRx1に接続される外周配線wa1に遮断パターンbp1が接続され、センサパターンRx2に接続される外周配線wa2に遮断パターンbp2が接続されている。
【0074】
このように、外周配線部pw1に実装される外周配線waに遮断パターンを接続することで、センサパターンRxを接地状態としたときのアクティブペン1からの電磁波遮断に加えて、さらにアクティブペン1からの電磁波をより遮断することができ、遮断特性を向上させることができる。なお、遮断パターンは導体パターンであり、任意の数および任意の長さで外周配線に接続される。
【0075】
(受信層および送信層の外周配線の位置)
受信層2aに実装される外周配線waと、送信層2bに実装される外周配線wbとは、垂直方向から見て重なるように配置される。このような実装にすることにより、センサパターンRxを接地状態としたときに、アクティブペン1からの電磁波をより効率的に遮断することができ、遮断特性を向上させることができる。
【0076】
<本発明の変形例1>
受信層2aのセンサパターンRxの間隔が狭い、またはセンサパターンRxの幅が大きい等によって、送信層2bの十分な検出感度が得られない場合、アクティブペンのタッチ位置検出の精度が低下する可能性がある。変形例1は、このような問題を解決するものである。
【0077】
ここで、図5に示したように、アクティブペン1がセンサパターン範囲h1の内部の位置Aにあり、また受信層2aの遮断率を80%と設定したとする。この場合、センサパターンRx1、・・・、Rx4それぞれの電磁波強度をRx1D、・・・、Rx4Dとし、センサパターンTx1、Tx2、Tx3それぞれの電磁波強度をTx1D、Tx2D、Tx3Dとすると、各電磁波強度は以下の式(4)のように計算される。
【0078】
Rx1D=4662.22×0.2=932.44
Rx2D=8734.39×0.2=1746.88
Rx3D=4662.22×0.2=932.44
Rx4D=1943.67×0.2=388.73
Tx1D=4615.95×0.2=923.19
Tx2D=8573.39×0.2=1714.68
Tx3D=4615.95×0.2=923.19
・・・(4)
【0079】
図12は電磁波強度のグラフの一例を示す図である。グラフG4は、アクティブペン1が位置Aにある場合の式(4)による計算結果の電磁波強度をプロットしたものである。縦軸は電磁波強度であり、横軸はセンサパターンの番号である。
【0080】
電磁波強度の閾値thを6000と設定した場合、グラフG4から閾値より大きいセンサパターンは無く、アクティブペン1が位置Aにあっても、タッチ位置を検出できないという状態が発生する。
【0081】
<変形例1のタッチ位置検出タイミング>
図13はタッチ位置検出タイミングの波形の一例を示す図である。変形例1のタイミング波形M2を示している。指のタッチ位置検出とアクティブペンのタッチ位置検出とが時分割で交互に行われる。
【0082】
〔期間t21〕制御部3は、センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいて指のタッチ位置検出を行う。
〔期間t22〕制御部3は、センサパターンRxおよびセンサパターンTxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行う。
【0083】
〔期間t22a〕制御部3は、センサパターンRxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行い、センサパターンTxをハイインピーダンス状態にする。
〔期間t22b〕制御部3は、センサパターンRxをハイインピーダンス状態にし、センサパターンTxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行う。
〔期間t22c〕制御部3は、センサパターンRxを接地状態にし、センサパターンTxにおいてアクティブペン1のタッチ位置検出を行う。
【0084】
このように、変形例1では、受信層2aのセンサパターンRxでタッチ位置検出をしているときは、送信層2bのセンサパターンTxはハイインピーダンス状態になる(期間t22a)。
【0085】
受信層2aのタッチ位置検出が終わると、次に送信層2bのセンサパターンTxのタッチ位置検出を行う。送信層2bのセンサパターンTxでタッチ位置検出を行っているときは、受信層2aはハイインピーダンス状態として、送信層2bでタッチ位置検出を行う(期間t22b)。
【0086】
さらに、送信層2bのタッチ位置検出が終わると、次にアクティブペン1の外周配線検出を行う。この場合、送信層2bでタッチ位置検出をしているときは、受信層2aのセンサパターンRxは接地状態とすることで、アクティブペン1の外周配線検出を行う。アクティブペン1の外周配線検出が終わると、指のタッチ位置検出に戻る。
【0087】
このように、制御部3は、アクティブペン1のタッチパネルへのタッチ位置検出期間t22に対し、タッチ位置検出期間t22内の期間t22aでは、センサパターンRxに対するスキャンを行い、かつセンサパターンTxはハイインピーダンス状態とする。
【0088】
また、タッチ位置検出期間t22内の期間t22bでは、センサパターンRxをハイインピーダンス状態とし、かつセンサパターンTxに対するスキャンを行う。さらに、タッチ位置検出期間t22内の期間t22cでは、センサパターンRxを接地状態とし、かつセンサパターンTxに対するスキャンを行う。そして、制御部3は、送信層2bのセンサパターンTxで検出した電磁波強度の値が閾値より小さい場合、アクティブペン1が外周配線部に位置すると判定する。
【0089】
これにより、送信層2bの十分な検出感度が得られない場合でも、アクティブペン1がタッチパネル2の外周配線部に位置することが判別可能となり、アクティブペン1によるタッチパネルセンサの外周配線部を精度よく検出することが可能になる。
【0090】
なお、変形例1において、アクティブペン1が外周配線部の位置Bにある場合、センサパターンRx14、・・・、Rx17それぞれの電磁波強度をRx14B、・・・、Rx17Bとし、センサパターンTx16、・・・、Tx18それぞれの電磁波強度をTx16B、・・・、Tx18Bとすると、各電磁波強度は以下の式(5)のように計算される。
【0091】
【数4】
Tx16B=0
Tx17B=0
Tx18B=0
・・・(5)
【0092】
図14は電磁波強度のグラフの一例を示す図である。グラフG5は、アクティブペン1が位置Bにある場合の式(5)による計算結果の電磁波強度をプロットしたものである。縦軸は電磁波強度であり横軸はセンサパターンの番号である。
【0093】
電磁波強度の閾値thを6000と設定した場合、グラフG5から、閾値より大きいセンサパターンは、センサパターンRx14B、・・・、Rx17Bであり、閾値より小さいセンサパターンは、センサパターンTx16B、Tx17B、Tx18Bとなっている。したがって、変形例1においても、センサパターンRxの電磁波強度が閾値より大きくセンサパターンTxの電磁波強度が閾値より小さい場合、アクティブペン1が外周配線部にあると検出できる。
【0094】
<本発明の変形例2>
変形例2では、図13のタイミング波形M2(第2のタイミング波形)で駆動し、アクティブペン1のタッチ有無を検出した場合は図10に示すタイミング波形M1(第1のタイミング波形)に切り替えるものである。この場合、例えば、装置運用開始時はタイミング波形M2で駆動する。
【0095】
アクティブペン1が外周配線部pw1内(位置B)や、センサパターン範囲h1の最も外側(位置C)にある場合は、タイミング波形M2を継続する。また、アクティブペン1がセンサパターン範囲h1内にあることを検出した場合、タイミング波形M2をタイミング波形M1に切り替える。
【0096】
そして、タイミング波形M1での運用時に、アクティブペン1が外周配線部pw1内(位置B)や、センサパターン範囲h1の最も外側(位置C)にあることを検出した場合は、タイミング波形M1をタイミング波形M2に切り替える。
【0097】
このようなタイミング波形M1、M2の切替動作を行うことにより、アクティブペン1のタッチ位置検出の周期を短くすることができ、アクティブペン1のタッチ位置検出の追従性をより高めることが可能になる。
【0098】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1-1 情報処理装置
1a 電子ペン
1b タッチパネル
1c 制御部
1b-1 第1の層
1b-2 第2の層
er1-1、・・・、er1-n 第1の電極
er2-1、・・・、er2-m 第2の電極
eg1、eg2 電極群
w1、w2 外周配線
T1 位置検出期間
T1a 所定期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、情報処理装置が提供される。情報処理装置は、電磁波を出力する電子ペンと、複数の第1の電極を含む第1の電極群が実装される第1の層と、複数の第2の電極を含む第2の電極群が実装される第2の層とを備え、第1の層を第2の層の上側にして配置し、第1の層に電子ペンがタッチされるタッチパネルと、第1の電極群に接続される第1の外周配線および第2の電極群に接続される第2の外周配線を介して第1の電極群および第2の電極群で受信される電磁波のスキャンを行って電子ペンのタッチパネルに対する位置検出を行い、電子ペンのタッチパネルへの位置検出期間のうちの所定期間において第1の層の第1の電極群を接地状態にする制御部と、を有する。また、制御部は、第2の層に対して電子ペンのタッチパネルへの位置検出を所定期間で行い、所定期間において第2の層で検出した電磁波の強度が閾値より小さい場合、電子ペンのタッチパネルに対する位置を第1の外周配線が実装される外周配線部に位置すると判定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を出力する電子ペンと、
複数の第1の電極を含む第1の電極群が実装される第1の層と、複数の第2の電極を含む第2の電極群が実装される第2の層とを備え、前記第1の層を前記第2の層の上側にして配置し、前記第1の層に前記電子ペンがタッチされるタッチパネルと、
前記第1の電極群に接続される第1の外周配線および前記第2の電極群に接続される第2の外周配線を介して前記第1の電極群および前記第2の電極群で受信される前記電磁波のスキャンを行って前記電子ペンの前記タッチパネルに対する位置検出を行い、前記電子ペンの前記タッチパネルへの位置検出期間のうちの所定期間において前記第1の層の前記第1の電極群を接地状態にする制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2の層に対して前記電子ペンの前記タッチパネルへの位置検出を前記所定期間で行い、前記所定期間において前記第2の層で検出した前記電磁波の強度が閾値より小さい場合、前記電子ペンの前記タッチパネルに対する位置を前記第1の外周配線が実装される外周配線部に位置すると判定する、
報処理装置。
【請求項2】
前記電子ペンから出力される前記電磁波を遮断する遮断パターンが前記第1の外周配線に接続される請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の外周配線および前記第2の外周配線は、垂直方向から見て重なるように配置される請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の層は、前記第2の電極群に所定周波数の信号が送信される送信層であり、前記第1の層は、前記信号によって前記第1の電極群との間に静電容量を発生させる受信層である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、
前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、
前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記開放状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行い、
前記タッチ位置検出期間内の第3の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記電子ペンの前記タッチパネルへのタッチ位置検出期間に対し、前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は開放状態とし、前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う第1のタイミング波形を生成し、
前記タッチ位置検出期間内の第1の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群に対するスキャンを行い、かつ前記第2の層の前記第2の電極群は前記開放状態とし、前記タッチ位置検出期間内の第2の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記開放状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行い、前記タッチ位置検出期間内の第3の期間では、前記第1の層の前記第1の電極群を前記接地状態とし、かつ前記第2の層の前記第2の電極群に対するスキャンを行う第2のタイミング波形を生成し、
前記電子ペンが前記第1の外周配線が実装される前記外周配線部または前記第1の電極群が実装される範囲の最も外側にある場合は、前記第2のタイミング波形を選択して駆動し、
前記電子ペンが前記第1の電極群が実装される範囲内にある場合は、前記第1のタイミング波形を選択して駆動する、
請求項1記載の情報処理装置。