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特開2022-133748脱窒装置および水生生物飼育システム
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  • 特開-脱窒装置および水生生物飼育システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133748
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】脱窒装置および水生生物飼育システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
A01K63/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032621
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英光
(72)【発明者】
【氏名】川島 知也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慎治
(72)【発明者】
【氏名】小杉 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】西方 隆之
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA01
2B104CA03
2B104ED05
2B104ED12
2B104ED21
2B104EE02
2B104EF01
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して小型化および低コスト化ができるとともに、水中の硝酸の還元効率を向上できる脱窒装置および水生生物飼育システムを提供する。
【解決手段】本発明の脱窒装置50は、軸方向の一端部に底部57が設けられ、軸方向の他端部に開口部58が設けられ、水を貯留および排出可能な筒部51と、筒部51を回動可能に支持する回動軸部52と、筒部51に収容され、水中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させ、複数の小濾材54aを有する第3濾材54と、小濾材54aを包み、網目を有する包材80と、を備え、筒部51は、水の貯留量の変化に起因する回動軸部52の回りの回動によって、底部57が開口部58よりも下位に位置し、水を貯留する貯留状態と、開口部58が底部57よりも下位に位置し、貯留された水を排出する排出状態と、を交互に繰り返す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端部に底部が設けられ、前記軸方向の他端部に開口部が設けられ、水を貯留および排出可能な筒部と、
前記筒部の前記底部と前記開口部との間に対応した位置に配置され、前記筒部を回動可能に支持する回動軸部と、
前記筒部に収容され、前記水中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させ、複数の小濾材を有する濾材と、
前記小濾材を包み、網目を有する包材と、
を備え、
前記筒部は、前記水の貯留量の変化に起因する前記回動軸部の回りの回動によって、前記底部が前記開口部よりも下位に位置し、前記水を貯留する貯留状態と、前記開口部が前記底部よりも下位に位置し、貯留された前記水を排出する排出状態と、を交互に繰り返すことを特徴とする脱窒装置。
【請求項2】
前記筒部と前記濾材との間に配置されて前記濾材を保持する保持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の脱窒装置。
【請求項3】
軸方向の一端部に底部が設けられ、前記軸方向の他端部に開口部が設けられ、水生生物の飼育に用いられる水を貯留および排出可能な筒部と、
前記筒部の前記底部と前記開口部との間に対応した位置に配置され、前記筒部を回動可能に支持する回動軸部と、
前記筒部に収容され、前記水中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させる濾材と、
前記筒部と前記濾材との間に配置されて前記濾材を保持する保持部材と、
を備え、
前記筒部は、前記水の貯留量の変化に起因する前記回動軸部の回りの回動によって、前記底部が前記開口部よりも下位に位置し、前記水を貯留する貯留状態と、前記開口部が前記底部よりも下位に位置し、貯留された前記水を排出する排出状態と、を交互に繰り返すことを特徴とする脱窒装置。
【請求項4】
前記保持部材は、複数の線状材料により形成され、前記線状材料が内側に突出した突出部を有することを特徴とする請求項3に記載の脱窒装置。
【請求項5】
前記濾材は、複数の小濾材を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の脱窒装置。
【請求項6】
水生生物を飼育するための水を流通させる水生生物飼育システムであって、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の脱窒装置と、
前記脱窒装置よりも前記水の流通方向の下流に配置され、内部で水生生物が飼育される飼育部と、
前記飼育部よりも前記流通方向の下流に配置され、前記水中のアンモニアを酸化する硝化部と、
前記硝化部から前記脱窒装置に前記水を循環させるポンプと、
を備えることを特徴とする水生生物飼育システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱窒装置および水生生物飼育システムに関する。
【背景技術】
【0002】
好気条件下で効率的に水の脱窒処理を行うことが可能な脱窒装置および水生生物飼育システムが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の水生生物飼育システムは、水槽と、脱窒装置と、を備えている。脱窒装置は、水槽の上方に配置された濾過槽と、濾過槽内に収容された濾材と、濾過槽に設けられた間欠放水部と、を有している。脱窒装置は、濾過槽に流入する水中の硝酸を濾材に定着した脱窒菌により好気条件下で還元する。間欠放水部は、サイフォンにより構成されている。間欠放水部は、サイフォンの原理により、濾過槽内の高水位の水を低水位の水槽内に間欠的に排出する。これにより、濾過槽内の濾材は、間欠的に空中に暴露されるので、濾材に定着した脱窒菌に酸素を供給できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表WO2017/110296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の脱窒装置では、濾過槽内の水面と水槽内の水面との高低差を利用して濾過槽から水槽へ水を排出している。このため、脱窒装置を十分に機能させるためには、水槽から所定の高さに濾過槽を配置する必要がある。濾過槽には、例えば容積10リットルのピペット洗浄器や容積45リットルの角形の水槽等の大型の濾過槽が用いられている。このため、装置全体が大型化するという課題があった。一般に、脱窒装置が大型化すると、脱窒装置の製造コストも増大する。
したがって、従来の脱窒装置には、小型化および低コスト化という点で改善の余地がある。また、脱窒装置は、水中の硝酸の還元効率を向上させることが求められる。
【0006】
そこで本発明は、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができるとともに、水中の硝酸の還元効率を向上できる脱窒装置および水生生物飼育システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る脱窒装置は、軸方向の一端部に底部が設けられ、前記軸方向の他端部に開口部が設けられ、水を貯留および排出可能な筒部と、前記筒部の前記底部と前記開口部との間に対応した位置に配置され、前記筒部を回動可能に支持する回動軸部と、前記筒部に収容され、前記水中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させ、複数の小濾材を有する濾材と、前記小濾材を包み、網目を有する包材と、を備え、前記筒部は、前記水の貯留量の変化に起因する前記回動軸部の回りの回動によって、前記底部が前記開口部よりも下位に位置し、前記水を貯留する貯留状態と、前記開口部が前記底部よりも下位に位置し、貯留された前記水を排出する排出状態と、を交互に繰り返す。
【0008】
本態様によれば、筒部は、底部が開口部よりも下位に位置し、水を貯留する貯留状態と、開口部が底部よりも下位に位置し、貯留された水を排出する排出状態と、を交互に繰り返す。このため、筒部は、貯留状態において、内部の濾材に定着した脱窒菌によって、貯留された水中の硝酸を還元できる。筒部は、排出状態において、還元後の水を排出できる。筒部は、水を排出することによって、濾材を空中に暴露できる。これにより、濾材に定着した脱窒菌に酸素を供給できる。このため、脱窒装置は、大型の濾過槽を用いる必要がない。したがって、従来技術と比較して装置全体を小型化できる。装置全体を小型化できるので、従来技術と比較して脱窒装置の製造コストを削減できる。
以上より、本態様によれば、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる。
本態様によれば、濾材は、複数の小濾材に分割されているので、濾材が1個である場合と比較して、濾材の表面積を拡大できる。これにより、濾材における水との接触面積を拡大できる。したがって、水中の硝酸の還元効率を向上できる。
本態様によれば、水は複数の小濾材の間に形成された隙間を通過できるので、筒部の全体を水で迅速に満たすことができる。これにより、脱窒装置は、水が筒部の全体を満たす前に筒部から排出されてしまうことを抑制できる。したがって、1個の濾材が筒部の内部に詰め込まれる場合と比較して、貯留1回あたりの水中の硝酸の還元量を増加できる。よって、水中の硝酸の還元効率を向上できる。
本態様によれば、脱窒装置は、複数の小濾材を包む包材を備えている。これにより、複数の小濾材をまとめて交換できる。したがって、複数の小濾材が包材によって包まれていない場合と比較して、メンテナンス性を向上できる。
【0009】
上記態様の脱窒装置において、前記筒部と前記濾材との間に配置されて前記濾材を保持する保持部材を備えてもよい。
本態様によれば、保持部材は、濾材を保持する。これにより、濾材が開口部から脱落することを抑制できる。
【0010】
上記態様の脱窒装置において、軸方向の一端部に底部が設けられ、前記軸方向の他端部に開口部が設けられ、水生生物の飼育に用いられる水を貯留および排出可能な筒部と、前記筒部の前記底部と前記開口部との間に対応した位置に配置され、前記筒部を回動可能に支持する回動軸部と、前記筒部に収容され、前記水中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させる濾材と、前記筒部と前記濾材との間に配置されて前記濾材を保持する保持部材と、を備え、前記筒部は、前記水の貯留量の変化に起因する前記回動軸部の回りの回動によって、前記底部が前記開口部よりも下位に位置し、前記水を貯留する貯留状態と、前記開口部が前記底部よりも下位に位置し、貯留された前記水を排出する排出状態と、を交互に繰り返す。
【0011】
本態様によれば、筒部は、底部が開口部よりも下位に位置し、水を貯留する貯留状態と、開口部が底部よりも下位に位置し、貯留された水を排出する排出状態と、を交互に繰り返す。このため、筒部は、貯留状態において、内部の濾材に定着した脱窒菌によって、貯留された水中の硝酸を還元できる。筒部は、排出状態において、還元後の水を排出できる。筒部は、水を排出することによって、濾材を空中に暴露できる。これにより、濾材に定着した脱窒菌に酸素を供給できる。このため、脱窒装置は、大型の濾過槽を用いる必要がない。したがって、従来技術と比較して装置全体を小型化できる。装置全体を小型化できるので、従来技術と比較して脱窒装置の製造コストを削減できる。
以上より、本態様によれば、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる。
本態様によれば、保持部材は、濾材を保持する。これにより、濾材が開口部から脱落することを抑制できる。
【0012】
上記態様の脱窒装置において、前記保持部材は、複数の線状材料により形成され、前記線状材料が内側に突出した突出部を有してもよい。
本態様によれば、保持部材は、線状材料が内側に突出した突出部を有している。これにより、保持部材は、突出部と濾材との間の摩擦で濾材を保持できるので、他の部材を別途設けることなく濾材を保持できる。これにより、保持部材を簡素化できるので、脱窒装置の製造工程を簡素化できる。したがって、生技性を向上できるとともに、製造コストを削減できる。よって、低コスト化を実現できる。また、保持部材は、他の部材を別途設けることなく濾材を保持できるので、脱窒装置全体を小型化できる。
【0013】
上記態様の脱窒装置において、前記濾材は、複数の小濾材を有してもよい。
本態様によれば、濾材は、複数の小濾材に分割されているので、濾材が1個である場合と比較して、濾材の表面積を拡大できる。これにより、濾材における水との接触面積を拡大できる。したがって、水中の硝酸の還元効率を向上できる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る水生生物飼育システムは、水生生物を飼育するための水を流通させる水生生物飼育システムであって、上記の脱窒装置と、前記脱窒装置よりも前記水の流通方向の下流に配置され、内部で水生生物が飼育される飼育部と、前記飼育部よりも前記流通方向の下流に配置され、前記水中のアンモニアを酸化する硝化部と、前記硝化部から前記脱窒装置に前記水を循環させるポンプと、を備える。
本態様によれば、水生生物飼育システムは、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる上記脱窒装置を備えている。したがって、水生生物飼育システム全体としても、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる。また、濾材が複数の小濾材を有する場合、濾材が1個である場合と比較して、水中の硝酸の還元効率を向上できる。また、脱窒装置が複数の小濾材を包む包材を備えている場合、複数の小濾材が包材によって包まれていない場合と比較して、メンテナンス性を向上できる。また、脱窒装置が濾材を保持する保持部材を備える場合、濾材が開口部から脱落することを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
上記各態様によれば、本発明は、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができるとともに、水中の硝酸の還元効率を向上できる脱窒装置および水生生物飼育システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る水生生物飼育システムの模式図である。
図2】第1実施形態に係る脱窒装置の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る脱窒装置の断面図である。
図4図3のIV部における拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る水生生物飼育システム1について図1から図4に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る水生生物飼育システム1の模式図である。
本実施形態の水生生物飼育システム1は、例えば魚や貝等の水生生物を飼育するために使用される。より具体的には、水生生物飼育システム1は、水生生物を養殖するために使用される。水生生物飼育システム1は、水生生物を飼育するための水Lを流通させることで、循環させる閉鎖循環系である。水Lは、例えば海水や淡水等である。水Lは、飼育する水生生物にあわせて適宜選択可能である。
図1に示すように、水生生物飼育システム1は、飼育部10と、硝化部20と、脱窒装置50と、ポンプ2と、を備えている。水生生物飼育システム1は、ポンプ2によって、飼育部10、硝化部20、脱窒装置50の順に水Lを流通させ、脱窒装置50から再び飼育部10に水Lを流通させることで循環させる。以下、水Lの流通方向を流通方向Dとする。
以下の説明において、上下方向は、重力上下方向と一致しているものとする。上方から下方に向かって、脱窒装置50、飼育部10、硝化部20の順に配置されている。
【0018】
(飼育部)
飼育部10は、飼育槽16と、排出管12と、を備えている。飼育槽16は、内部で水生生物が飼育される水槽である。飼育槽16は、水Lを貯留している。飼育槽16は、例えばアクリルやポリエチレン等の合成樹脂によって形成されている。飼育槽16は、上方に開口している。飼育槽16内の水Lには、水生生物の飼育の過程で残餌や水生生物の代謝物(糞や体液等)が蓄積されていく。残餌や水生生物の代謝物には、毒性の高いアンモニアが含まれている。飼育槽16には、エアレーション11が収容されている。エアレーション11は、水Lに空気を供給する。
【0019】
排出管12は、飼育槽16から水Lを排出する。排出管12は、管本体部13と、バルブ14と、を有している。
管本体部13は、飼育槽16の側壁に設けられている。管本体部13は、所定の長さを持つ管状の部材である。管本体部13の一端は、飼育槽16内に配置されている。管本体部13の他端は、飼育槽16外に配置されている。管本体部13の周壁と飼育槽16の側壁との間には、水漏れを防止するシール材(不図示)が設けられている。管本体部13は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成されている。管本体部13は、飼育部10の内外を連通させている。管本体部13の他端には、チューブ15の一端が取り付けられている。チューブ15は、管本体部13と連通している。チューブ15は、例えばゴム等の合成樹脂によって形成されている。チューブ15は、管本体部13よりも柔軟な材料で形成されている。チューブ15は、管本体部13から、飼育槽16の下方に配置された後述の硝化部20まで延びている。
バルブ14は、管本体部13に設けられている。バルブ14は、管本体部13の開度を調整することで水Lの流通量を調整する。バルブ14は、管本体部13が開放状態にある場合、水Lが管本体部13を流通可能にする。バルブ14は、管本体部13が閉塞状態にある場合、水Lが管本体部13を流通するのを止める。
【0020】
(硝化部)
硝化部20は、飼育部10よりも下方であって、流通方向Dの下流に配置されている。硝化部20は、第1硝化槽21と、第2硝化槽22と、排出管30と、を有している。
第1硝化槽21は、例えばアクリルやポリエチレン等の合成樹脂によって形成されている。第1硝化槽21は、上方に開口している。
第1硝化槽21の開口の内側には、チューブ15の他端が配置されている。第1硝化槽21には、チューブ15を通じて飼育部10から水Lが流入する。第1硝化槽21には、第1濾材25が収容されている。第1濾材25は、例えばサンゴ化石やカキの貝殻等である。第1濾材25には、アンモニアを酸化して亜硝酸を生成する菌が定着している。第1濾材25は、水L内に含まれるアンモニアを酸化して亜硝酸を生成する。第1濾材25は、水LのPH値を安定した状態に保持する。
第1硝化槽21の底壁には、後述の連結管23が設けられている。
【0021】
第2硝化槽22は、第1硝化槽21の下方に配置されている。第2硝化槽22は、第1硝化槽21と同形状に形成されている。第2硝化槽22は、例えばアクリルやポリエチレン等の合成樹脂によって形成されている。第2硝化槽22は、上方に開口している。第2硝化槽22の開口縁には、第1硝化槽21が載置されている。第2硝化槽22には、後述の連結管23を通じて第1硝化槽21から水Lが排出される。第2硝化槽22には、第2濾材26が収容されている。第2濾材26は、例えばセラミックやセルロース等である。第2濾材26には、亜硝酸を酸化して硝酸を生成する菌が定着している。第2濾材26は、水L内に含まれる亜硝酸を酸化して硝酸を生成する。
【0022】
連結管23は、上下方向に延びる管状の部材である。連結管23の一端は、第1硝化槽21内に配置されている。連結管23の他端は、第2硝化槽22内に配置されている。連結管23は、第1硝化槽21と第2硝化槽22とを連通させている。連結管23の周壁と第1硝化槽21の底壁との間には、水漏れを防止するシール材(不図示)が設けられている。連結管23は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成されている。
【0023】
排出管30は、第2硝化槽22から水Lを排出する。排出管30は、管本体部31と、バルブ32と、を有している。排出管30は、排出管12と同様の基本構造を有しているため、排出管30とその周辺の構造については説明を適宜省略する。
管本体部31は、第2硝化槽22の側壁に設けられている。管本体部31は、所定の長さを持つ管状の部材である。管本体部31の一端は、第2硝化槽22内に配置されている。管本体部31の他端は、第2硝化槽22外に配置されている。管本体部31は、第2硝化槽22の内外を連通させている。管本体部31の他端には、チューブ33の一端が取り付けられている。チューブ33は、管本体部31と連通している。チューブ33の他端は、ポンプ2の流入口と連通している。
バルブ32は、管本体部31に設けられている。バルブ32は、バルブ14と同様に水Lの流通量を調整する。
【0024】
(ポンプ)
ポンプ2は、硝化部20よりも下方であって、流通方向Dの下流に配置されている。ポンプ2は、硝化部20から脱窒装置50に水Lを循環させる。ポンプ2の流出口には、チューブ4の一端が取り付けられている。チューブ4は、ポンプ2と連通している。
(冷却装置)
チューブ4の他端は、ポンプ2よりも流通方向Dの下流に配置された冷却装置3の流入口に取り付けられている。冷却装置3の流出口には、チューブ5の一端が取り付けられている。チューブ5は、冷却装置3と連通している。チューブ5は、冷却装置3から上方に延びている。
【0025】
チューブ5の他端には、排出管40が取り付けられている。排出管40は、冷却装置3からチューブ5を通じて水Lを排出する。排出管40は、管本体部41と、バルブ42と、を有している。排出管40は、排出管12と同様の基本構造を有しているため、排出管40とその周辺の構造については説明を適宜省略する。
管本体部41は、所定の長さを持つ管状の部材である。管本体部41の一端は、チューブ5の他端に取り付けられている。管本体部41は、チューブ5と連通している。管本体部41は、チューブ5の他端から飼育部10側に向かって延びている。管本体部41の他端は、飼育部10よりも上方に配置されている。バルブ42は、管本体部41に設けられている。バルブ42は、バルブ14と同様に水Lの流通量を調整する。
【0026】
(脱窒装置)
脱窒装置50は、飼育部10よりも上方に配置されている。これにより、飼育部10は、脱窒装置50よりも流通方向Dの下流に配置されている。
図2は、第1実施形態に係る脱窒装置50の斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る脱窒装置50の断面図である。
図2および図3に示すように、脱窒装置50は、所謂ししおどしの外観を有している。脱窒装置50は、供給チューブ6と、筒部51と、ロープ61と、回動軸部52と、支持体53と、第3濾材54(請求項の濾材に相当)と、包材80と、保持部材90と、移動規制部材55と、供給部100と、を有している。
(供給チューブ)
供給チューブ6の一端は、管本体部41の他端に連通している(図1参照)。供給チューブ6の他端は、上方から見て飼育槽16の開口の内側に配置されている。供給チューブ6は、可撓性を有している。供給チューブ6は、例えばシリコーン等の合成樹脂によって形成されている。
【0027】
(筒部)
筒部51は、有底円筒状の部材である。筒部51は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成されている。筒部51は、水Lを貯留および排出可能である。筒部51は、筒本体部56と、底部57と、開口部58と、連結部59と、を有している。筒本体部56と、底部57と、開口部58とは、一体に形成されている。
筒本体部56は、円筒状に形成された部材である。筒本体部56は、軸方向の両端部が開口している。筒本体部56における軸方向の開口部58側には、接続孔101が1個設けられている。接続孔101は、筒本体部56を貫通している。接続孔101は、円形状に形成されている。接続孔101は、上方に開口している。
底部57は、有底筒状に形成されている。底部57は、筒本体部56における軸方向の一端部に外挿されている。
【0028】
開口部58は、筒部51の軸方向の他端部に設けられている。開口部58の開口縁58aは、筒部51の軸方向に斜めに交差する面に沿っている。連結部59は、筒本体部56の軸方向の中間部に配置されている。連結部59は、筒部51の径方向であって、水平方向に沿う方向に貫通する挿入孔59aを有している。挿入孔59aには、後述の回動軸部52が挿入される。連結部59は、筒本体部56の外周面のうち下方に面する部分に固定されている。
【0029】
筒部51は、底部57が開口部58よりも下位に位置し、水Lを貯留する貯留状態A(図1参照)と、開口部58が底部57よりも下位に位置し、貯留された水Lを排出する排出状態B(図1参照)と、を交互に繰り返す。貯留状態Aのうち、開口部58が最上位に位置する状態を最上位状態A1とする。最上位状態A1は、筒部51付近に設けられたストッパ(不図示)によって位置決めされる。最上位状態A1にある筒部51の軸方向は、上下方向と交差している。貯留状態Aにある筒部51には、水Lが供給される。排出状態Bのうち、開口部58が最下位に位置する状態を最下位状態B1とする。最下位状態B1にある筒部51の軸方向は、上下方向と交差している。
【0030】
(ロープ)
ロープ61の一端は、開口部58の上端部に取り付けられている。ロープ61の他端は、最下位状態B1の開口部58よりも上方に筒部51とは別体に設けられた取り付け部(不図示)に取り付けられている。ロープ61は、長さにより筒部51の最下位状態B1を位置決めする。
【0031】
(回動軸部)
回動軸部52は、筒部51の筒本体部56の下方に配置されている。回動軸部52は、筒部51の底部57と開口部58との間に対応した位置に配置されている。回動軸部52は、筒部51の軸方向において、水Lが貯留されていない空の状態における筒部51の重心よりも開口部58側に位置している。回動軸部52は、筒部51の径方向であって、水平方向に沿う方向に延びる1本の棒状の部材である。回動軸部52は、筒部51の連結部59に形成された挿入孔59aを貫通している。回動軸部52は、筒部51を回動可能に支持している。回動軸部52の軸方向の両端部には、一対の支持体53が設けられている。支持体53は、回動軸部52の軸方向の端部から上方に向かって延びている。支持体53の上端部は、例えば飼育槽16の上方に設けられたフレーム(不図示)に固定されている。支持体53は、回動軸部52を回動不能に支持している。
回動軸部52は、水Lの貯留量の変化に起因する筒部51の回動の回動中心となる。図1に示すように、筒部51は、回動軸部52の回りの回動によって、貯留状態Aと、排出状態Bと、を交互に繰り返す。以下、「回動」とは、回動中心の回りに時計回りおよび反時計回りの両方に回転することをいう。
【0032】
(第3濾材)
図2および図3に示すように、第3濾材54は、筒部51に収容されている。第3濾材54は、軸方向において回動軸部52を挟んで開口部58側から底部57側に至る範囲に配置されている。第3濾材54のうち底部57側の端部は、底部57の内側の底面から軸方向に離間している。第3濾材54のうち開口部58側の端部は、回動軸部52と開口部58との間であって、回動軸部52寄りに位置している。第3濾材54は、例えば、セルロースによって形成されたバクテリアの担体である。第3濾材54の内部には、水Lが浸水可能となっている。第3濾材54は、脱窒菌が定着される。脱窒菌は、筒部51に貯留された水L中の硝酸を還元して窒素ガスを生成する。脱窒菌は、酸素が供給された好気条件下で活性化し、硝酸を効率的に還元できる。第3濾材54は、複数の小濾材54aを有している。複数の小濾材54a同士の隙間は、水Lが通過可能となっている。
【0033】
(包材)
図4は、図3のIV部における拡大斜視図である。
包材80は、袋状の部材である。包材80は、網状に形成されている。包材80は、全ての小濾材54aを包んで一体化している。図4に示すように、包材80は、伸縮性を有する複数の繊維材料81を直交するように編み立てて形成されている。繊維材料81は、例えばナイロン糸やポリウレタン糸等である。複数の繊維材料81の間には、網目82が形成されている。網目82は、平面視で、長方形状に形成されている。
(保持部材)
保持部材90は、第3濾材54を保持する。保持部材90は、筒部51と第3濾材54との間に配置されている。保持部材90は、筒部51との間の摩擦により筒部51の内部に保持されている。保持部材90は、筒部51の軸方向に延びる筒状に形成されている。より具体的には、保持部材90は、例えば結束バンド(不図示)によりシート状の網状部材91を筒状に丸めて形成されている。網状部材91は、複数の線状材料92を不織布状に絡めて、結合液(不図示)により結合して形成されている。線状材料92は、例えばポリ塩化ビニル等の繊維である。なお、保持部材90を形成する網状部材91には、例えば多孔質材およびスポンジ状のものが含まれる。
【0034】
図4に示すように、保持部材90は、線状材料92が内側に突出した突出部93を有している。突出部93の外形の最大寸法は、包材80の網目82の内形の短辺寸法よりも小さい。保持部材90は、保持部材90と包材80との間の摩擦により、包材80に包まれた第3濾材54を保持している。
【0035】
(移動規制濾材)
図2および図3に示すように、筒部51の内部であって、第3濾材54と筒部51の開口部58との間には、移動規制部材55が配置されている。移動規制部材55は、筒部51の軸方向から見て第3濾材54と重なる位置に配置されている。移動規制部材55は、筒部51の軸方向に重ね合わされた2本の棒材55aにより形成されている。2本の棒材55aは、筒部51の軸方向から見て互いに交差している。移動規制部材55は、第3濾材54の開口部58側への移動を規制している。
【0036】
(供給部)
供給部100は、筒部51の底部57と開口部58との間に対応した位置に配置されている。より具体的には、供給部100は、開口部58と移動規制部材55との間に対応した位置に配置されている。供給部100は、軸方向において回動軸部52よりも開口部58側に設けられている。供給部100は、筒部51と連通している。供給部100は、筒部51の内部に水Lを供給する。供給部100は、供給管102を有している。
供給管102は、L字状に形成されている。供給管102は、第1円筒102aと、第2円筒102bと、を有している。第1円筒102aと第2円筒102bとは、端部同士で連通している。第1円筒102aの外径は、接続孔101の内径よりも僅かに小さい。第1円筒102aは、接続孔101に挿入されている。第1円筒102aは、接続孔101に対して回動可能である。第2円筒102bは、筒部51の軸方向に沿って、第1円筒102aから底部57側に延びている。
供給管102の一端は、供給チューブ6の他端に連通している。供給管102の他端は、筒部51の内部に位置している。
【0037】
(水生生物飼育システムの動作)
次に、水生生物飼育システム1の動作について図1から図4に基づいて説明する。
飼育部10の飼育槽16内には、水生生物の飼育の過程で残餌や水生生物の代謝物(糞や体液等)が蓄積されていく。残餌や水生生物の代謝物には、アンモニアが含まれている。このため、飼育槽16内の水Lは、アンモニアを含んだものとなる。
排出管12の管本体部13は常時開放されているため、飼育槽16内の水Lは、排出管12、チューブ15を通って硝化部20の第1硝化槽21内に流入する。
【0038】
水Lに含まれるアンモニアは、第1硝化槽21の第1濾材25によって酸化され、亜硝酸が生成される。第1硝化槽21内の水Lは、連結管23を通って第2硝化槽22内に流入する。
水Lに含まれる亜硝酸は、第2硝化槽22の第2濾材26によって酸化され、硝酸が生成される。排出管30の管本体部31は常時開放されているため、第2硝化槽22内の水Lは、排出管30、チューブ33を通ってポンプ2内に流入する。ポンプ2内に流入した水Lは、脱窒装置50に向けて圧送される。ポンプ2によって圧送された水Lは、冷却装置3を通過し、排出管40に流入する。排出管40の管本体部41は常時開放されているため、水Lは、排出管40を通って脱窒装置50の供給チューブ6に流入する。供給チューブ6に流入した水Lは、供給部100から筒部51に供給される。
【0039】
筒部51は、空の状態において、貯留状態Aのうち最上位状態A1にある。最上位状態Aにある筒部51には、硝酸を含んだ水Lが流入する。筒部51に流入した水Lは、第3濾材54を構成する複数の小濾材54a同士の隙間や包材80の網目82、保持部材90内の隙間を通って、筒部51の内部に充填される。このようにして、筒部51は、水Lを貯留する。貯留された水Lに含まれている硝酸は、第3濾材54に定着した脱窒菌によって窒素ガスに還元される。生成された窒素ガスは、空中に放出される。第3濾材54は、セルロースによって形成されているため、硝酸の還元中に、脱窒菌によって分解されて体積が減少する。包材80の網目82には、保持部材90の突出部93が浸入する。このため、第3濾材54の体積が減少したとしても、第3濾材54は、包材80と保持部材90と間の摩擦により保持される。
【0040】
筒部51に貯留された水Lの水面は、上昇して開口部58に近づく。これにより、内部に貯留された水Lを含む筒部51の重心は、底部57側から開口部58側に移動する。筒部51は、回動軸部52を回動中心として回動し始める。筒部51の開口部58は、下降を開始する。内部に貯留された水Lを含む筒部51の重心は、筒部51の軸方向において、回動軸部52よりも開口部58側に移動する。筒部51は、排出状態Bに移行する。筒部51に貯留されていた水Lは、開口部58から下方の飼育槽16内に向けて排出される。これにより、水Lは、アンモニアが除去された状態で、再び飼育槽16内に流入する。
【0041】
筒部51は、排出状態Bのうち最下位状態B1に移行する。筒部51が最上位状態A1から最下位状態B1へと移行する時に、保持部材90による第3濾材54の保持が解除されていたとしても、移動規制部材55によって第3濾材54の脱落が防止される。筒部51が水Lを排出すると、空の状態となった筒部51の重心は、筒部51の軸方向において、回動軸部52よりも底部57側に移動する。これにより、筒部51は、最下位状態B1から最上位状態A1へと移行する。
第3濾材54は、筒部51から水Lが排出されると、空中に暴露される。これにより、第3濾材54に定着した脱窒菌には、酸素が供給される。脱窒菌は、再び活性化する。脱窒装置50は、次に貯留される水L中の硝酸を還元することができる。
【0042】
(実施形態の効果)
このように、本実施形態では、脱窒装置50は、筒部51と、筒部51を回動可能に支持する回動軸部52と、筒部51に収容され、水L中の硝酸を還元する脱窒菌を定着させる第3濾材54と、を備えている。筒部51は、水Lの貯留量の変化に起因する回動軸部52の回りの回動によって、貯留状態Aと、排出状態Bと、を交互に繰り返す。
本実施形態によれば、筒部51は、貯留状態Aと、排出状態Bと、を交互に繰り返す。このため、筒部51は、貯留状態Aにおいて、内部の第3濾材54に定着した脱窒菌によって、貯留された水L中の硝酸を還元できる。筒部51は、排出状態Bにおいて、還元後の水Lを排出できる。筒部51は、水Lを排出することによって、第3濾材54を空中に暴露できる。これにより、第3濾材54に定着した脱窒菌に酸素を供給できる。このため、脱窒装置50は、大型の濾過槽を用いる必要がない。したがって、従来技術と比較して装置全体を小型化できる。装置全体を小型化できるので、従来技術と比較して脱窒装置50の製造コストを削減できる。
本実施形態によれば、脱窒装置50は、少なくとも筒部51と、回動軸部52と、第3濾材54と、を備える簡単な構成とすることができる。これにより、脱窒装置50を安価な材料で仕上げることができるので、従来技術と比較して脱窒装置50の製造コストを削減できる。
以上より、本構成によれば、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる。
本実施形態では、第3濾材54は、複数の小濾材54aに分割されているので、第3濾材54が1個である場合と比較して、第3濾材54の表面積を拡大できる。これにより、第3濾材54における水Lとの接触面積を拡大できる。したがって、水L中の硝酸の還元効率を向上できる。
本実施形態によれば、水Lは複数の小濾材54aの間に形成された隙間を通過できるので、筒部51の全体を水Lで迅速に満たすことができる。これにより、脱窒装置50は、水Lが筒部51の全体を満たす前に筒部51から排出されてしまうことを抑制できる。したがって、1個の第3濾材54が筒部51の内部に詰め込まれる場合と比較して、貯留1回あたりの水L中の硝酸の還元量を増加できる。よって、水L中の硝酸の還元効率を向上できる。
本実施形態によれば、脱窒装置50は、複数の小濾材54aを包む包材80を備えている。これにより、複数の小濾材54aをまとめて交換できる。したがって、複数の小濾材54aが包材80によって包まれていない場合と比較して、メンテナンス性を向上できる。
【0043】
本実施形態では、保持部材90は、第3濾材54を保持する。これにより、第3濾材54が開口部58から脱落することを抑制できる。
【0044】
本実施形態では、保持部材90は、複数の線状材料92により形成され、線状材料92が内側に突出した突出部93を有している。
本実施形態によれば、保持部材90は、線状材料92が内側に突出した突出部93を有している。これにより、保持部材90は、突出部93と第3濾材54との間の摩擦で濾材を保持できるので、他の部材を別途設けることなく第3濾材54を保持できる。これにより、保持部材90を簡素化できるので、脱窒装置50の製造工程を簡素化できる。したがって、生技性を向上できるとともに、製造コストを削減できる。よって、低コスト化を実現できる。また、保持部材90は、他の部材を別途設けることなく第3濾材54を保持できるので、脱窒装置50全体を小型化できる。
【0045】
本実施形態によれば、保持部材90が網状部材91により形成されているので、水Lは、保持部材90の内部を通過できる。これにより、脱窒装置50は、水Lが筒部51の全体を満たす前に筒部51から排出されてしまうことを抑制できる。したがって、貯留1回あたりの水L中の硝酸の還元量を増加できる。よって、水L中の硝酸の還元効率を向上できる。
【0046】
本実施形態では、第3濾材54を包み、網目82を有する包材80を備え、包材80の網目82の内形は、突出部93の外形よりも大きい。
本実施形態によれば、網目82の内形は、突出部93の外形よりも大きいので、突出部93は、網目82に容易に侵入できる。これにより、保持部材90は、突出部93と包材80との間の摩擦で第3濾材54を保持できるので、第3濾材54の位置ずれを抑制できる。したがって、第3濾材54が開口部58から脱落することをより良好に抑制できる。
本実施形態によれば、保持部材90は、第3濾材54の位置ずれを抑制できるので、筒部51の重心が移動することを抑制できる。これにより、筒部51が回動して開口部58が最上位から最下位まで移動する時間と、筒部51が回動して開口部58が最下位から最上位まで移動する時間とがずれることを抑制できる。これにより、脱窒装置50の性能を安定化できる。
本実施形態によれば、保持部材90は、突出部93と包材80との間の摩擦で第3濾材54を保持できる。これにより、第3濾材54が水L中の硝酸を還元する過程で溶けて体積が減少したとしても、第3濾材54の位置ずれを抑制できる。
【0047】
本実施形態では、水生生物飼育システム1は、脱窒装置50を備えている。
本実施形態によれば、水生生物飼育システム1は、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる脱窒装置50を備えている。したがって、水生生物飼育システム1全体としても、従来技術と比較して小型化および低コスト化ができる。また、第3濾材54が複数の小濾材54aを有するので、第3濾材54が1個である場合と比較して、水L中の硝酸の還元効率を向上できる。また、脱窒装置50が複数の小濾材54aを包む包材80を備えるので、複数の小濾材54aが包材80によって包まれていない場合と比較して、メンテナンス性を向上できる。また、脱窒装置50が第3濾材54を保持する保持部材90を備えるので、第3濾材54が開口部58から脱落することを抑制できる。また、保持部材90が網状部材91により形成されているので、水L中の硝酸の還元効率を向上できる。
【0048】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
第1実施形態では、保持部材90は、例えばポリ塩化ビニル等の繊維である線状材料92によって形成されていた。これに対して第2実施形態では、保持部材90は、例えばゴム等の弾性材料により形成されている点で、第1実施形態と異なる。
【0049】
本実施形態では、保持部材90は、第3濾材54を弾性力により保持している。
本実施形態によれば、保持部材90は、弾性力により第3濾材54を保持できるので、他の部材を別途設けることなく第3濾材54を保持できる。これにより、保持部材90を簡素化できるので、脱窒装置50の製造工程を簡素化できる。したがって、生技性を向上できるとともに、製造コストを削減できる。よって、低コスト化を実現できる。また、保持部材90は、他の部材を別途設けることなく第3濾材54を保持できるので、脱窒装置50全体を小型化できる。
【0050】
なお、本発明は上記の実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0051】
上述した実施形態では、水生生物飼育システム1は、水生生物を養殖するために使用されるとしたが、これに限られない。水生生物飼育システム1は、和風庭園の飼育池や学校内の飼育池、一般家庭の観賞魚用の飼育池等に使用されていてもよい。
この場合、脱窒装置50は、所謂ししおどしの外観を有しているため、脱窒装置50を飼育池に設けるだけで、飼育池周辺の美観を向上できる。また、例えば既にししおどしが設置されている飼育池に脱窒装置50を使用する場合において、既存のししおどしを脱窒装置50に入れ替えるだけで上述した実施形態の効果を得られる。
【0052】
上述した実施形態では、脱窒装置50は、水生生物の飼育に用いられる水L中の硝酸を還元するために用いられているとしたが、飼育用以外の用途の水を還元するために用いられてもよい。脱窒装置50は、例えば河川や公園の池の水を浄化(還元)するために用いられてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、筒部51は、円筒状の部材であるとしたが、これに限られない。筒部51は、底部57と開口部58とを有していればよい。筒部51は、例えば角筒状の部材であってもよい。
【0054】
上述した実施形態では、飼育部10と硝化部20とは、別体であるとしたが、これに限られない。飼育部10と硝化部20とは、例えば一の槽内に設けられていてもよい。この場合、飼育部10と硝化部20とは、例えば逆流が防止された流通路を備えた仕切板等で仕切られている。
上述した実施形態では、硝化部20は、飼育部10よりも下方に配置されているとしたが、これに限られない。硝化部20は、飼育部10よりも流通方向Dの下流に配置されていればよい。硝化部20は、例えば飼育部10と上下方向で同じ位置に配置されていてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、硝化部20は、第1硝化槽21と第2硝化槽22とを有しているとしたが、これに限られない。例えば、硝化部20は、一の硝化槽のみを有し、第1濾材25と第2濾材26とがともに一の硝化槽内に収容されていてもよい。
上述した実施形態では、ポンプ2は、飼育部10および硝化部20よりも下方に配置されているとしたが、これに限られない。ポンプ2は、硝化部20よりも下流に配置されていればよい。ポンプ2は、例えば硝化部20と上下方向で同じ位置に配置されていてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、水生生物飼育システム1は、脱窒装置50を1個備えているとしたが、これに限られない。例えば、水生生物飼育システム1は、脱窒装置50を5個備えていてもよい。この場合、チューブ5は、例えば分岐用の配管(不図示)に接続され、6本に分岐される。分岐された6本のうち5本は、それぞれ脱窒装置50に接続される。分岐された6本のうち1本は、飼育槽16に直接水Lを供給して、飼育槽16に任意の流れや渦を発生させる。脱窒装置50の個数は、適宜変更可能である。
【0057】
上述した実施形態では、第3濾材54は、例えば、セルロースにより形成されているとしたが、これに限られない。第3濾材54は、例えば、エタノールや酒類、みりん、砂糖等により形成されていてもよい。第3濾材54は、例えば、木片や割り箸等を粉砕して形成されたウッドチップやパルプ、紙等により形成されてもよい。
上述した実施形態では、第3濾材54のうち底部57側の端部は、底部57の内側の底面から軸方向に離間しているとしたが、これに限られない。第3濾材54は、底部57の内側の底面まで設けられてもよい。
【0058】
上述した実施形態では、第3濾材54は、複数の小濾材54aを有しているとしたが、これに限られない。第3濾材54は、複数の小濾材54aに分割されていない、1個の部材であってもよい。
上述した実施形態では、包材80は、1個のみ設けられ、全ての小濾材54aを包んでいるとしたが、これに限られない。包材80は、複数設けられてもよい。複数の包材80は、それぞれ複数の小濾材54aのうち一部の小濾材54aを包んでいてもよい。包材80に包まれない小濾材54aが存在してもよい。
【0059】
上述した実施形態では、脱窒装置50は、包材80と、保持部材90と、を有しているとしたがこれに限られない。脱窒装置50は、包材80および保持部材90のいずれか一方のみを有していてもよい。脱窒装置50が、包材80を有しておらず、保持部材90のみを有している場合は、保持部材90は、第3濾材54と保持部材90との間の摩擦により第3濾材54を保持する。
【符号の説明】
【0060】
1…水生生物飼育システム
2…ポンプ
10…飼育部
20…硝化部
50…脱窒装置
51…筒部
52…回動軸部
54…第3濾材(濾材)
54a…小濾材
57…底部
58…開口部
80…包材
82…網目
90…保持部材
91…網状部材
92…線状材料
93…突出部
A…貯留状態
B…排出状態
D…流通方向
L…水
図1
図2
図3
図4