(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013375
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】熱電発電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 35/08 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
H01L35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115892
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 正和
(57)【要約】
【課題】封止性を向上すること。
【解決手段】熱電発電モジュールは、第1基板11と、第2基板12と、熱電変換素子と、上面11aの周縁部と下面12bの周縁部とを封止する封止部30と、上面11aと封止部30との間に配置された第1半田41と、下面12bと封止部30との間に配置された第2半田42とを備え、第1半田41と封止部30とは、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、第2半田42と封止部30とは、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、第1半田41は、上面11aと封止部30との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成し、第2半田42は、下面12bと封止部30との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面に向かい合う第2面を有する第2基板と、
前記第1面と前記第2面との間に配置される熱電変換素子と、
前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記第1面の周縁部と前記第2面の周縁部とを封止する封止部と、
前記第1面と前記封止部との間に配置された第1半田と、
前記第2面と前記封止部との間に配置された第2半田と、
を備え、
前記第1半田と前記封止部とは、厚さ方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、
前記第2半田と前記封止部とは、厚さ方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、
前記第1半田は、前記第1面と前記封止部との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成し、
前記第2半田は、前記第2面と前記封止部との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成している、
熱電発電モジュール。
【請求項2】
前記第1面の周縁部に枠形状に形成された第1金属層と、
前記第2面の周縁部に枠形状に形成された第2金属層と、
を備え、
前記第1半田は、前記第1金属層に配置され、
前記第2半田は、前記第2金属層に配置され、
前記第1半田は、前記第1金属層を介して前記第1面と前記封止部とを固定し、
前記第2半田は、前記第2金属層を介して前記第2面と前記封止部とを固定する、
請求項1に記載の熱電発電モジュール。
【請求項3】
前記第1半田の外縁部及び前記第2半田の外縁部の少なくともどちらかは、厚さ方向視において、前記封止部の外縁部より外側にずれて配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の熱電発電モジュール。
【請求項4】
前記第1半田の内縁部及び前記第2半田の内縁部の少なくともどちらかは、厚さ方向視において、前記封止部の内縁部より内側にずれて配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の熱電発電モジュール。
【請求項5】
前記第1半田の外縁部及び前記第2半田の外縁部の少なくともどちらかは、厚さ方向視において、前記封止部の外縁部より内側にずれて配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の熱電発電モジュール。
【請求項6】
前記第1半田の内縁部及び前記第2半田の内縁部の少なくともどちらかは、厚さ方向視において、前記封止部の内縁部より外側にずれて配置されている、
請求項5に記載の熱電発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、半導体素子を第1主面に搭載した基板と、半導体素子を隠蔽する箱形状のキャップとを半田を介して封止する半田封止構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術では、半田がフィレット形状を維持した状態で半田濡れ領域に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱電変換素子を利用した熱電発電モジュールが知られている。熱電発電モジュールにおいては、一対の基板の間に熱電変換素子が配置される。一対の基板の間に温度差が与えられることにより、熱電発電モジュールがゼーベック効果により発電する。一対の基板の間に温度差があるので、熱電発電モジュールの表面に結露によって生じた水が内部に浸入しないように、周縁部を封止する必要がある。ところが、フラックス入りの半田を用いる場合、半田にフラックスの抜けにともなう空洞が形成され、封止性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、封止性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、第1面を有する第1基板と、前記第1面に向かい合う第2面を有する第2基板と、前記第1面と前記第2面との間に配置される熱電変換素子と、前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記第1面の周縁部と前記第2面の周縁部とを封止する封止部と、前記第1面と前記封止部との間に配置された第1半田と、前記第2面と前記封止部との間に配置された第2半田と、を備え、前記第1半田と前記封止部とは、厚さ方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、前記第2半田と前記封止部とは、厚さ方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置され、前記第1半田は、前記第1面と前記封止部との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成し、前記第2半田は、前記第2面と前記封止部との間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成している、熱電発電モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、封止性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す断面図であり、
図1のA-A線断面矢視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る熱電発電モジュールの第1基板の第1面を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る熱電発電モジュールの封止部を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1半田パターンと第2半田パターンと封止部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す断面図であり、
図2の部分拡大図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る熱電発電モジュールの変形例を示す断面図であり、
図2の部分拡大図である。
【
図8】
図8は、従来の熱電発電モジュールを示す平面図である。
【
図9】
図9は、従来の熱電発電モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する複数の実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、熱電発電モジュール1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。
【0011】
[熱電発電モジュール]
図1は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す平面図である。
図2は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す断面図であり、
図1のA-A線断面矢視図である。
図3は、実施形態に係る熱電発電モジュールの第1基板の第1面を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、熱電発電モジュール1は、第1基板11と、第2基板12と、第1基板11と第2基板12との間に配置される熱電変換素子21と、封止部30とを備える。
【0012】
第1基板11及び第2基板12のそれぞれは、電気絶縁材料によって形成される。実施形態において、第1基板11及び第2基板12のそれぞれは、ポリイミド基板である。
図3に示すように、実施形態において、第1基板11と第2基板12とは、矩形状に形成されている。本実施形態では、第1基板11と第2基板12との厚さは25μmである。
【0013】
第1基板11と第2基板12とは、間隙を介して向かい合う。実施形態において、第2基板12は、第1基板11よりも上方に配置される。第1基板11は、上面11a(第1面)と下面11bとを有する。第2基板12は、第1基板11の上面11aと向かい合う下面12b(第2面)と上面12aとを有する。
【0014】
熱電変換素子21は、第1基板11の上面11aと第2基板12の下面12bとの間に1つ以上配置される。複数の熱電変換素子21は、第1電極22及び第2電極23によって接続される。
【0015】
熱電変換素子21は、熱電材料によって形成される。熱電変換素子21を形成する熱電材料として、マンガンケイ化物系化合物(Mn-Si)、マグネシウムケイ化物系化合物(Mg-Si-Sn)、スクッテルダイト系化合物(Co-Sb)、ハーフホイスラ系化合物(Zr-Ni-Sn)、及びビスマステルル系化合物(Bi-Te)が例示される。熱電変換素子21は、マンガンケイ化物系化合物、マグネシウムケイ化物系化合物、スクッテルダイト系化合物、ハーフホイスラ系化合物、又はビスマステルル系化合物から選択される1つの化合物により構成されてもよいし、少なくとも2つの化合物の組み合わせにより構成されてもよい。
【0016】
熱電変換素子21は、p型素子21Pと、n型素子21Nとを含む。p型素子21P及びn型素子21Nのそれぞれは、所定面内に複数配置される。前後方向において、p型素子21Pとn型素子21Nとは交互に配置される。左右方向において、p型素子21Pとn型素子21Nとは交互に配置される。
【0017】
第1電極22及び第2電極23は、金属により形成される。第1電極22及び第2電極23を形成する金属として、銅(Cu)、銅を含む合金、ニッケル(Ni)、ニッケルを含む合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウムを含む合金が例示される。また、第1電極22及び第2電極23の構造は、Cu、Al、Niのうち2つ又は3つを組み合わせた2層又は3層構造でもよい。これらの第1電極22及び第2電極23の表面がニッケル膜で覆われてもよい。
【0018】
第1電極22は、第1基板11の上面11aに設けられる。第1電極22は、第1基板11の上面11aと平行な所定面内において複数設けられる。第2電極23は、第2基板12の下面12bに設けられる。第2電極23は、第2基板12の下面12bと平行な所定面内において複数設けられる。第1電極22及び第2電極23は、隣接する一対のp型素子21P及びn型素子21Nのそれぞれに接続される。
【0019】
第1電極22及び第2電極23は、複数の熱電変換素子21を直列に接続する。第1電極22及び第2電極23により複数の熱電変換素子21が直列に接続された直列回路が形成される。p型素子21P及びn型素子21Nが第1電極22及び第2電極23を介して電気的に接続されることにより、pn素子対が構成される。複数のpn素子対が第1電極22及び第2電極23を介して直列に接続されることにより、複数の熱電変換素子21を含む直列回路が構成される。
【0020】
熱電変換素子21に電流が供給されることにより、熱電発電モジュール1がペルチェ効果により吸熱又は発熱する。第1基板11と第2基板12との間に温度差が与えられることにより、熱電発電モジュール1は、ゼーベック効果により発電する。
【0021】
第1基板11に配置される第1電極22の下面は、熱電発電モジュール1の冷却面である。第2基板12に配置される第2電極23の上面は、熱電発電モジュール1の加熱面である。
【0022】
図4は、実施形態に係る熱電発電モジュールの封止部を示す平面図である。封止部30は、枠形状に形成されている。封止部30は、上下方向視において、面方向に整列された複数のpn素子対の周囲を囲んで配置される。封止部30は、第1基板11の上面11aと第2基板12の下面12bとの間に配置され、第1基板11の上面11aの周縁部と、第2基板12の下面12bの周縁部とを封止する。封止部30は、第1基板11の上面11aと第2基板12の下面12bとに半田によって固定される。封止部30は、上下方向視(厚さ方向視)において、第1基板11及び第2基板12と外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。本実施形態では、封止部30は、上下方向視において、第1基板11及び第2基板12と外縁部及び内縁部がずれて配置されている。
【0023】
封止部30は、枠部31と、枠部31の中央部に形成された開口部32とを有する。
【0024】
枠部31は、矩形の外形を有する枠形状に形成されている。枠部31は、上下方向視において、第1基板11及び第2基板12と外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。本実施形態では、枠部31の外縁部31eは、上下方向視において、第1基板11の外縁部11e及び第2基板12の外縁部12eとずれて配置されている。枠部31は、第1基板11及び第2基板12に比べて、大きい外形または小さい外形を有する。本実施形態では、枠部31は、第1基板11及び第2基板12に比べて小さい外形を有する。言い換えると、本実施形態では、枠部31の外縁部31eは、上下方向視において、第1基板11の外縁部11e及び第2基板12の外縁部12eより内側にずれて配置されている。これにより、枠部31は、上下方向と直行する方向から見た側面視において、第1基板11及び第2基板12との間に段差を有している。本実施形態では、枠部31の外縁部31eは、側面視において、第1基板11の外縁部11e及び第2基板12の外縁部12eより内側に凹んだ段差を有している。
【0025】
本実施形態では、段差L1は3.0mmである。段差L1は、第1金属層13及び第2金属層14の幅の60%程度以上あればよい。
【0026】
枠部31は、上面31aと下面31bとを有する。枠部31の上面31aは、第2基板12の下面12bと向かい合う。枠部31の下面31bは、第1基板11の上面11aと向かい合う。
【0027】
枠部31は、例えば銅などの半田が濡れる性質を有する材料で形成されている。上面31aと下面31bとは、全面が半田の濡れ領域となる。
【0028】
本実施形態では、枠部31の厚さは1.2mmである。
【0029】
開口部32は、枠部31の中央部に矩形状に形成された開口である。開口部32には、熱電変換素子20が配置される。
【0030】
[封止部の半田パターン]
枠部31の下面31bには、第1半田パターン33が形成されている。枠部31の上面31aには、第2半田パターン34が形成されている。
【0031】
図4に示すように、第1半田パターン33は、枠部31の下面31bに周方向に間隔を空けて配置されたドット状半田によって形成されている。第1半田パターン33は、第1基板11と枠部31とを重ね合わせた状態において、第1基板11に形成された第1半田パターン15と周方向において交互に位置するように配置されている。より詳しくは、第1半田パターン15の隣接するドット状半田の間に、枠部31の第1半田パターン33のドット状半田が位置する。第1半田パターン15及び第1半田パターン33は、第1基板11の第1金属層13及び枠部31の下面31bに濡れ広がるように、量、配置及び焼成条件などが設定される。第1半田パターン33の幅L3は、枠部31の幅L2の約80%である。
【0032】
第2半田パターン34は、第1半田パターン33と同様に形成されている。第1半田パターン33は、枠部31の上面31aに周方向に間隔を空けて配置されたドット状半田によって形成されている。第2半田パターン34は、第1基板11と枠部31とを重ね合わせた状態において、第2基板12に形成された第2半田パターン16と周方向において交互に位置するように配置されている。より詳しくは、第2半田パターン16の隣接するドット状半田の間に、枠部31の第2半田パターン34のドット状半田が位置する。第2半田パターン16及び第2半田パターン34は、第2基板12の第2金属層14及び枠部31の上面31aに濡れ広がるように、量、配置及び焼成条件などが設定される。第2半田パターン34の幅は、枠部31の幅L2の約80%である。
【0033】
[第1基板及び第2基板の半田パターン]
図5は、第1半田パターンと第2半田パターンと封止部を示す断面図である。
図6は、実施形態に係る熱電発電モジュールを示す断面図であり、
図2の部分拡大図である。第1基板11の上面11aには、第1金属層13が形成されている。第1金属層13は、上面11aの周縁部を囲んで配置された矩形の枠形状に形成されている。第1金属層13は、第1半田の濡れ領域になる。第1金属層13は、例えば銅などの半田が濡れる性質を有する金属材料である。
【0034】
第1金属層13は、上下方向視において、枠部31と外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。本実施形態では、第1金属層13は、上下方向視において、枠部31と外縁部及び内縁部がずれて配置されている。第1金属層13は、枠部31に比べて、大きい外形または小さい外形を有する。本実施形態では、第1金属層13は、枠部31に比べて大きい外形を有する。本実施形態では、第1金属層13の外縁部13eは、上下方向視において、枠部31の外縁部31eより外側にずれて配置されている。本実施形態では、第1金属層13の内縁部13fは、上下方向視において、枠部31の内縁部31fより内側にずれて配置されている。
【0035】
第2基板12の下面12bには、第2金属層14が形成されている。第2金属層14は、下面12bの周縁部を囲んで配置された矩形の枠形状に形成されている。第2金属層14は、第2半田の濡れ領域になる。第2金属層14は、例えば銅などの半田が濡れる性質を有する金属材料である。
【0036】
第2金属層14は、上下方向視において、枠部31と外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。本実施形態では、第2金属層14は、上下方向視において、枠部31と外縁部及び内縁部がずれて配置されている。第2金属層14は、枠部31に比べて、大きい外形または小さい外形を有する。本実施形態では、第2金属層14は、枠部31に比べて大きい外形を有する。本実施形態では、第2金属層14の外縁部14eは、上下方向視において、枠部31の外縁部31eより外側にずれて配置されている。本実施形態では、第2金属層14の内縁部14fは、上下方向視において、枠部31の内縁部31fより内側にずれて配置されている。
【0037】
本実施形態では、第1金属層13及び第2金属層14の厚さは300μmである。
【0038】
第1金属層13には、第1半田パターン15が形成されている。第2金属層14には、第2半田パターン16が形成されている。
【0039】
図3に示すように、第1半田パターン15は、第1基板11の上面11aに周方向に間隔を空けて配置されたドット状半田によって形成されている。第1半田パターン15は、第1基板11と枠部31とを重ね合わせた状態において、枠部31に形成された第1半田パターン33と周方向において交互に位置するように配置されている。より詳しくは、第1半田パターン15の隣接するドット状半田の間に、枠部31の第1半田パターン33のドット状半田が位置する。
【0040】
第2半田パターン16は、第1半田パターン15と同様に形成されている。第2半田パターン16は、第2基板12の下面12bに周方向に間隔を空けて配置されたドット状半田によって形成されている。第2半田パターン16は、第2基板12と枠部31とを重ね合わせた状態において、枠部31に形成された第2半田パターン34と周方向において交互に位置するように配置されている。より詳しくは、第2半田パターン16の隣接するドット状半田の間に、枠部31の第2半田パターン34のドット状半田が位置する。
【0041】
図5に示すように、第1半田パターン15と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。第1半田41(
図6参照)と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。言い換えると、第1半田41の第1基板11の上面11aにおける濡れ領域と封止部30における濡れ領域とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。第2半田パターン16と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。第2半田42(
図6参照)と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。言い換えると、第2半田42の第2基板12の下面12bにおける濡れ領域と封止部30における濡れ領域とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。
【0042】
第1半田パターン15の外縁部15e及び第2半田パターン16の外縁部16eの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31の外縁部31eより外側にずれて配置されていてもよい。本実施形態では、第1半田パターン15の外縁部15e及び第2半田パターン16の外縁部16eは、上下方向視において、枠部31の外縁部31eより外側にずれて配置されている。
【0043】
第1半田パターン15の内縁部15f及び第2半田パターン16の内縁部16fの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31の内縁部31fより内側にずれて配置されていてもよい。本実施形態では、第1半田パターン15の内縁部15f及び第2半田パターン16の内縁部16fは、上下方向視において、枠部31の内縁部31fより内側にずれて配置されている。
【0044】
[半田による封止方法及び作用]
図5に示すように、上下方向に下から順番に、第1基板11と枠部31と第2基板12とを重ね合わせた状態で焼成処理を行うことによって、第1基板11と枠部31、及び枠部31と第2基板12とが半田によって接合される。
【0045】
第1基板11と枠部31と第2基板12とを重ね合わせた状態では、第1基板11の第1半田パターン15の間に、枠部31の第1半田パターン33が位置している。この状態で焼成されることによって、第1基板11の第1半田パターン15と枠部31の第1半田パターン33とが溶融して一体化した第1半田41によって第1基板11と枠部31とが接合される。このように、第1基板11の上面11aと封止部30とは、第1基板11の第1半田パターン15と枠部31の第1半田パターン33とを焼成処理した第1半田41により固定される。言い換えると、第1半田41は、第1基板11の上面11aと封止部30との間に配置されている。
【0046】
より詳しくは、第1半田41は、第1基板11の第1金属層13及び枠部31の下面31bに濡れ広がる。上下方向視において、第1基板11の第1金属層13の外縁部13eは、枠部31の外縁部31eより外側に位置している。上下方向視において、第1基板11の第1金属層13の内縁部13fは、枠部31の内縁部31fより内側に位置している。これにより、第1半田41は、第1金属層13を介して第1基板11の上面11aと封止部30とを固定する。第1半田41は、第1基板11の上面11aと枠部31の下面31bとの間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成する。本実施形態では、第1半田41は、第1基板11の上面11aと枠部31の下面31bとの間において、外縁部及び内縁部にフィレット形状を形成する。より詳しくは、第1半田41は、枠部31の下面31bから第1基板11の上面11aに向かうにつれて広がるフィレット形状になる。フィレット形状が形成されることによって、第1基板11の上面11aと枠部31の下面31bとの間を接合する接合膜が均一に形成される。第1基板11の上面11aと枠部31の下面31bとの接合膜において、外側と内側とを連通する空洞の発生が抑制される。
【0047】
第1基板11と枠部31と第2基板12とを重ね合わせた状態では、第2基板12の第2半田パターン16の間に、枠部31の第2半田パターン34が位置している。この状態で焼成されることによって、第2基板12の第2半田パターン16と枠部31の第2半田パターン34とが溶融して一体化した第2半田42によって第2基板12と枠部31とが接合される。このように、第2基板12の下面12bと封止部30とは、第2基板12の第2半田パターン16と枠部31の第2半田パターン34とを焼成処理した第2半田42により固定される。言い換えると、第2半田42は、第2基板12の下面12bと封止部30との間に配置されている。
【0048】
より詳しくは、第2半田42は、第2基板12の第2金属層14及び枠部31の上面31aに濡れ広がる。上下方向視において、第2基板12の第2金属層14の外縁部14eは、枠部31の外縁部31eより外側に位置している。上下方向視において、第2基板12の第2金属層14の内縁部14fは、枠部31の内縁部31fより内側に位置している。これにより、第2半田42は、第2金属層14を介して第2基板12の下面12bと封止部30とを固定する。第2半田42は、第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成する。本実施形態では、第2半田42は、第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの間において、外縁部及び内縁部にフィレット形状を形成する。より詳しくは、第2半田42は、枠部31の上面31aから第2基板12の下面12bに向かうにつれて広がるフィレット形状になる。フィレット形状が形成されることによって、第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの間を接合する接合膜が均一に形成される。第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの接合膜において、外側と内側とを連通する空洞の発生が抑制される。
【0049】
本実施形態では、第1半田41及び第2半田42の厚さは150μmである。
【0050】
[効果]
以上説明したように、本実施形態では、第1半田41と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。これにより、第1半田41は、第1基板11の上面11aと封止部30の下面31bとの間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成している。本実施形態では、第2半田42と封止部30とは、上下方向視において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかがずれて配置されている。これにより、第2半田42は、第2基板12の下面12bと封止部30の上面31aとの間において、外縁部及び内縁部の少なくともどちらかにフィレット形状を形成している。本実施形態は、第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの間を接合する接合膜を均一に形成することができる。本実施形態は、第2基板12の下面12bと枠部31の上面31aとの接合膜において、外側と内側とを連通する空洞の発生を抑制することができる。このようにして、実施形態によれば、封止性を向上することができる。
【0051】
本実施形態では、第1半田41は、第1金属層13を介して、第1基板11の上面11aと封止部30とを固定する。本実施形態では、第2半田42は、第2金属層14を介して第2基板12の下面12bと封止部30とを固定する。本実施形態では、第1金属層13及び第2金属層14によって、第1半田41及び第2半田42をフィレット形状に形成することができる。
【0052】
本実施形態では、第1半田41の外縁部41e及び第2半田42の外縁部42eの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31の外縁部31eより外側にずれて配置されている。本実施形態では、第1半田41の内縁部41f及び第2半田パターン42の内縁部42fの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31の内縁部31fより内側にずれて配置されている。本実施形態は、第1半田41を、枠部31の下面31bから第1基板11の上面11aに向かうにつれて広がるフィレット形状に形成できる。本実施形態は、第2半田42を、枠部31の上面31aから第2基板12の下面12bに向かうにつれて広がるフィレット形状に形成できる。
【0053】
これに対して、
図8、
図9を用いて、従来の熱電発電モジュール100について説明する。
図8は、従来の熱電発電モジュールを示す平面図である。
図9は、従来の熱電発電モジュールを示す断面図である。従来の熱電発電モジュール100は、第1基板111と、第2基板112と、第1基板111と第2基板112との間に配置される熱電変換素子120と、封止部130とを備える。枠部131は、第1基板111及び第2基板112と同じ外形を有する。枠部131は、側面視において、第1基板111及び第2基板112との間に段差を有していない。第1金属層113及び第2金属層114は、枠部131と同じ外形を有する。上下方向視において、第1基板111の外縁部111e、第1金属層113の外縁部113e、第1半田141の外縁部141e、枠部131の外縁部131e、第2半田142の外縁部142e、第2金属層114の外縁部114e、及び、第2基板112の外縁部112eは、同じ位置に配置されている。上下方向視において、第1金属層113の内縁部113f、第1半田141の内縁部141f、枠部131の内縁部131f、第2半田142の内縁部142f、及び、第2金属層114の内縁部114fは、同じ位置に配置されている。第1半田141及び第2半田142は、フィレット形状を有していないので、第1基板111と枠部131との接合膜、及び枠部131と第2基板112との接合膜において、接合膜に不均一が生じて外側と内側とを連通する空洞Sが生じるおそれがある。
【0054】
[変形例]
図7は、実施形態に係る熱電発電モジュールの変形例を示す断面図であり、
図2の部分拡大図である。枠部30Aの枠部31Aは、第1基板11及び第2基板12に比べて大きい外形を有する。言い換えると、熱電発電モジュール1Aは、枠部31Aの外縁部31Aeは、上下方向視において、第1基板11の外縁部11e及び第2基板12の外縁部12eより外側にずれて配置されている。これにより、枠部31Aは、側面視において、第1基板11及び第2基板12より外側に突出した段差を有している。上下方向視において、第1基板11の第1金属層13の外縁部13e及び第2基板12の第2金属層14の外縁部14eは、枠部31Aの外縁部31Afより内側に位置している。第1半田41の外縁部41e及び第2半田42の外縁部42eの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31Aの外縁部31Aeより内側にずれて配置されていてもよい。本実施形態では、第1半田41の外縁部41e及び第2半田42の外縁部42eは、上下方向視において、枠部31Aの外縁部31Aeより内側にずれて配置されている。第1半田41の内縁部41f及び第2半田42の内縁部42fの少なくともどちらかは、上下方向視において、枠部31Aの内縁部31Afより外側にずれて配置されていてもよい。本実施形態では、第1半田41の内縁部41f及び第2半田42の内縁部42fは、上下方向視において、枠部31Aの内縁部31Afより外側にずれて配置されている。これらにより、第1半田41Aは、第1基板11から枠部31Aに向かうにつれて広がるフィレット形状になる。第2半田42Aは、第2基板12から枠部31Aに向かうにつれて広がるフィレット形状になる。この構成によっても、実施形態と同様に封止性を向上することができる。
【0055】
上記では、第1半田パターン15、第2半田パターン16、第1半田パターン33及び第2半田パターン34は、ドット状半田であるとして説明したが、これに限定されず、例えば周方向に連続した環状半田でもよい。
【0056】
上記において、第1基板11及び第2基板12がセラミック基板である場合、半田はセラミック基板上に濡れ広がるので、第1金属層13及び第2金属層14は備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…熱電発電モジュール、11…第1基板、11a…上面(第1面)、11b…下面、11e…外縁部、12…第2基板、12a…上面、12b…下面(第2面)、12e…外縁部、13…第1金属層、13e…外縁部、13f…内縁部、14…第2金属層、14e…外縁部、14f…内縁部、15…第1半田パターン(第1半田)、15e…外縁部、15f…内縁部、16…第2半田パターン(第2半田)、16e…外縁部、16f…内縁部、21…熱電変換素子、21P…p型素子、21N…n型素子、22…第1電極、23…第2電極、30…封止部、31…枠部、31a…上面、31b…下面、31e…外縁部、31f…内縁部、32…開口部、33…第1半田パターン(第1半田)、33e…外縁部、33f…内縁部、34…第2半田パターン(第2半田)、34e…外縁部、34f…内縁部、41…第1半田、41e…外縁部、41f…内縁部、42…第2半田、42e…外縁部、42f…内縁部。