(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133784
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】動作補助装置
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032669
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】507418692
【氏名又は名称】トヨフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 茂樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HT36
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK33
3C707XK42
(57)【要約】
【課題】弾性体の付勢力を容易に変更可能な動作補助装置を提供する。
【解決手段】使用者に装着される動作補助装置1は、上肢フレーム13Bと、上肢フレーム13Bが連結されるベース部と、ベース部21に設けられた回動軸23に固定された下肢フレーム33と、ベース部21に設けられ、一端43Aと他端43Bとを有し、他端43Bは回動軸23に固定された弾性体43と、を備える。動作補助装置1は、更に、上肢フレーム13B及び下肢フレーム33が所定の姿勢にある状態において、弾性体43の他端に対する一端の位置を変更可能な変更機構(一対の平板41と、支柱と、固定ピンと、コイルばねと、ストッパ)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に装着される動作補助装置であって、
第1フレームと、
前記第1フレームが連結されるベース部と、
前記ベース部に設けられた回動軸に固定された第2フレームと、
前記ベース部に設けられ、一端と他端とを有し、前記他端は前記回動軸に固定された弾性体と、
前記第1フレーム及び前記第2フレームが所定の姿勢にある状態において、前記弾性体の前記他端に対する前記一端の位置を変更可能な変更機構と、を備える動作補助装置。
【請求項2】
前記弾性体は、ゼンマイばねであり、前記一端は前記ゼンマイばねの外側の端部であり、前記他端は前記ゼンマイばねの中心部である、請求項1に記載の動作補助装置。
【請求項3】
前記変更機構は、
前記弾性体の前記一端が固定され、前記弾性体を保持し、前記回動軸に対して回動可能に支持された弾性体支持部と、
前記弾性体支持部に形成されたピン貫通穴及び前記ベース部に形成された複数の固定穴のいずれかに挿入される固定ピンと、を有する、請求項1または請求項2に記載の動作補助装置。
【請求項4】
前記弾性体支持部は、一対の平板を有し、
前記弾性体は、前記一対の平板の間に設けられている、請求項3に記載の動作補助装置。
【請求項5】
前記ベース部には、ピン貫通穴が形成され、
前記変更機構は、
前記第1フレームを前記ベース部に回動可能に接続し、複数のピン挿入孔が形成された接続部と、
前記複数のピン挿入孔のいずれか及び前記ピン貫通穴に挿入される固定ピンと、を備える、請求項1または請求項2に記載の動作補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の大腿部の側方側に配置された圧縮コイルスプリングと、人体の上体を支持する上体支持フレームと、の間にワイヤが設けられて前傾姿勢サポート装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前傾姿勢サポート装置では、上体支持フレームがベース部に対して傾動することでワイヤの一部がプーリの巻付部に巻き取られ、圧縮コイルスプリングを圧縮させて、上体支持フレームに人体を引き起こす方向へ人体に付勢力を伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された前傾姿勢サポート装置において圧縮コイルスプリングの付勢力を変更する場合には、圧縮コイルスプリングを伸ばすか、ワイヤを巻き上げて保持する必要があるため、強い力が必要であり、付勢力の変更が容易ではない。
【0005】
本開示の目的は、弾性体の付勢力を容易に変更可能な動作補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様である動作補助装置は、使用者に装着される動作補助装置であって、第1フレームと、前記第1フレームが連結されるベース部と、前記ベース部に設けられた回動軸に固定された第2フレームと、前記ベース部に設けられ、一端と他端とを有し、前記他端は前記回動軸に固定された弾性体と、前記第1フレーム及び前記第2フレームが所定の姿勢にある状態において、前記弾性体の前記他端に対する前記一端の位置を変更可能な変更機構と、を備える。
【0007】
前記弾性体は、ゼンマイばねであり、前記一端は前記ゼンマイばねの外側の端部であり、前記他端は前記ゼンマイばねの中心部であってもよい。
【0008】
前記変更機構は、前記弾性体の前記一端が固定され、前記弾性体を保持し、前記回動軸に対して回動可能に支持された弾性体支持部と、前記弾性体支持部に形成されたピン貫通穴及び前記ベース部に形成された複数の固定穴のいずれかに挿入される固定ピンと、を有してもよい。
【0009】
前記弾性体支持部は、一対の平板を有し、前記弾性体は、前記一対の平板の間に設けられていてもよい。
【0010】
前記ベース部には、ピン貫通穴が形成され、前記変更機構は、前記第1フレームを前記ベース部に回動可能に接続し、複数のピン挿入孔が形成された接続部と、前記複数のピン挿入孔のいずれか及び前記ピン貫通穴に挿入される固定ピンと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、弾性体の付勢力を容易に変更可能な動作補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態の動作補助装置の側面図である。
【
図2】
図1に示す動作補助装置の駆動部の斜視図である。
【
図4】
図3に示す駆動部の固定ピンの動作の説明図である。
【
図5】
図1に示す動作補助装置を装着した使用者が直立した状態を示す図である。
【
図6】
図2に示す駆動部の付勢力調整ユニットによる弾性体の付勢力の増減の説明図である。
【
図7】
図2に示す駆動部の変形例に係る駆動部の斜視図である。
【
図8】
図7に示す駆動部の固定ピンの動作の説明図である。
【
図9】第2の実施形態の動作補助装置の側面図である。
【
図10】
図9に示す動作補助装置の駆動部の斜視図である。
【
図12】
図11に示す駆動部の固定ピンの動作の説明図である。
【
図14】
図10に示す駆動部の接続部による弾性体の付勢力の増減の説明図である。
【
図15】
図10に示す駆動部の変形例に係る駆動部の分解斜視図である。
【
図16】
図15に示す駆動部の固定ピンの動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態に係る動作補助装置は、使用者の上体を起こす動作(腰を伸ばす動作)を補助するものであり、図面を参照して説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態にかかる動作補助装置について説明する。
図1は動作補助装置の側面図である。
【0015】
図1に示すように、動作補助装置1は、使用者に装着される上肢部10と、一対の駆動部20と、一対の下肢部30とを備える。
図1において、一対ある駆動部20と下肢部30とのうち一方のみを示してあり、右側を前側、左側を後側、駆動部20に対して上肢部10側を上側、駆動部20に対して下肢部30側を下側として説明する。
【0016】
上肢部10は、背当て部11と、胸当て部12と、上肢フレーム13A、13B(
図1では一方のみ図示)と、腰部固定部材14と、を有する。
【0017】
背当て部11は、装着時に使用者の背中に当接する平板である。背当て部11は、使用者の背中に当接する面、すなわち動作補助装置1の正面側の面が、弾性力のある柔らかい素材で形成されている。なお、背当て部11の形状は図示する形態に限られない。
【0018】
胸当て部12は、使用者の胸部に装着される部材である。胸当て部12は、使用者の動きに追従して変形できるように、弾性力のある柔らかい素材で形成された1対の帯状部材を有する。胸当て部12の正面側の両端には連結部(図示せず)が設けられている。当該連結部により1対の帯状部材を互いに連結することで胸当て部12が筒状に保持される。ベルト(図示せず)等の調整機構により胸当て部12の内周長は調節可能であり、これにより胸当て部12を使用者の胸部に当接させることができる。
【0019】
上肢フレーム13A、13Bは、一対の駆動部20と、背当て部11と、胸当て部12とを互いに連結する部材である。上肢フレーム13A、13Bは、中空丸棒等の棒材を湾曲させて形成されている。上肢フレーム13A、13Bは剛体であり、一対の駆動部20、背当て部11及び胸当て部12の相対的な位置関係を固定する。上肢フレーム13Bは第1フレームに相当する。
【0020】
上肢フレーム13Aは、背当て部11の背面側に設けられており、背当て部11及び一対の上肢フレーム13Bを固定する。上肢フレーム13Aは、上方側に凸状に湾曲している。各上肢フレーム13Bは、背当て部11の上下に伸び出ている部材であり、その下端はそれぞれ駆動部20の上端に連結されている。一対の上肢フレーム13Bの上端には、それぞれ胸当て部12が連結されている。
【0021】
腰部固定部材14は、1本の帯状の部材であり、一対の駆動部20に連結されている。駆動部20は、回動軸23を中心に回転可能な状態で使用者の腰部付近に保持される。腰部固定部材14の正面側の両端には、例えば面ファスナが固着されており、面ファスナの結合力により腰部固定部材14が筒状に保持される。面ファスナの結合面積を変えることで腰部固定部材14の内周長は調節可能であり、腰部固定部材14を使用者の腰部に当接させることができる。腰部固定部材14は、柔らかい部材であり、使用者の動きに追従して変形できるため、使用者が動きやすいようになっている。
【0022】
一対の下肢部30は、全体として使用者の大腿部に概ね沿う形状をなしている。各下肢部30は、下肢プレート31と、軸部32と、下肢フレーム33と、腿パッド34と、を有する。下肢プレート31は、駆動部20に設けられた後述の回動軸23の回動部に固定され、回動軸23の回動部と共に回動可能である。軸部32は、下肢プレート31の下端に設けられている。下肢フレーム33は、軸部32に回動可能に連結されている。下肢フレーム33は、軸部32により、使用者の大腿部に近接及び離間するように回動可能である。下肢フレーム33は第2フレームに相当する。
【0023】
各腿パッド34は、使用者の大腿部の前側を覆う湾曲形状を有する部材である。各腿パッド34は、各下肢部30の下肢フレーム33の先端部に設けられる。使用者が、各腿パッド34を使用者の大腿部前側に当接させることで、大腿部の動作が各駆動部20に伝達される。
【0024】
次に、駆動部20について説明する。
図2及び
図3は、駆動部20の斜視図及び分解斜視図である。駆動部20は、ベース部21と、接続部22と、付勢力調整ユニット40と、回動軸23と、を有する。
【0025】
ベース部21は、平面視略楕円形の平板である。ベース部21の上端部には、上肢フレーム13Bの下端部が、接続部22により接続されている。ベース部21には、軸固定穴21aと、軸固定穴21aを中心とする円の円周方向に沿って4つのピン固定穴21bとが形成されている。4つのピン固定穴21bは、軸固定穴21aの上側に形成されている。軸固定穴21aには、回動軸23が挿入されている。回動軸23は、固定部と当該固定部に対して回動する回動部とを有する。回動軸23の固定部が軸固定穴21aに挿入されて、当該固定部はベース部21に対し回動不能に固定されている。
【0026】
付勢力調整ユニット40は、一対の平板41と、3本の支柱42と、弾性体43と、固定ピン44と、コイルばね45と、ストッパ46とを有する。一対の平板41は、隙間41aをあけて互いに対向している。各平板41には、軸挿通穴41bと、3つのボルト穴41cと、ピン貫通穴41dとが形成されている。隙間41aは、一対の平板41の間に設けられた3本の円筒状の支柱42により形成されている。隙間41aに、弾性体43の一部と、固定ピン44の一部と、コイルばね45と、ストッパ46とが配置される。一対の平板41と、支柱42と、固定ピン44と、コイルばね45と、ストッパ46とは、変更機構に相当する。一対の平板41と、弾性体43の一端43Aが固定された支柱42とは、弾性体支持部に相当する。
【0027】
図4は、固定ピン44の動作を説明する図である。各支柱42は、一対のボルト及びナットを各平板41のボルト穴41cに挿通させ、ボルト及びナットを螺合させることにより、一対の平板41に固定される。各平板41の軸挿通穴41bには、回動軸23が挿通されて、一対の平板41は、回動軸23に対し回動可能に支持されている。これにより、付勢力調整ユニット40は、ベース部21に対し、回動軸23を中心に回動可能である。
【0028】
弾性体43は、板状部材を非接触で渦巻き状にしたゼンマイばねにより構成されている。弾性体43の一端43Aは、支柱42の一つに固定され、弾性体43の他端43Bは、回動軸23の回動部に固定されている。弾性体43であるゼンマイばねは、外側に位置する一端43Aから中心に位置する他端43Bに向かって、
図3の下肢プレート31側から見て反時計回りに巻回されている。よって、弾性体43の他端43Bの姿勢を固定したまま、一端43Aが時計回りに回転するように弾性体43を巻くことにより、弾性体43には、その逆方向(反時計回り)に回転する力(付勢力)が発生する。当該付勢力は、使用者が姿勢を前屈から直立に戻す腰の動作において、腰の動きを補助する力となる。
【0029】
固定ピン44は、円盤状のつまみを有する棒状の部材であり、各平板41のピン貫通穴41d、及び、4つのピン固定穴21bのいずれか一つに挿入されている。コイルばね45は隙間41a内に設けられ、固定ピン44が貫通している。ストッパ46は、フランジを有する円筒状をなし、固定ピン44が嵌入されている。
【0030】
図4に示すように、コイルばね45は、一方の平板41と、ストッパ46のフランジとの間に介在しており、ストッパ46をベース部21側に常に付勢している。このため、ストッパ46に嵌入された固定ピン44もコイルばね45によりベース部21側に常に付勢されている。よって、
図4(a)に示すように、固定ピン44に外力が作用しない状態では、固定ピン44がベース部21の4つのピン固定穴21bのいずれか一つを貫通する状態が保持され、付勢力調整ユニット40はベース部21に対して回動不能である(ロック状態)。
【0031】
固定ピン44の円盤部を使用者がつまんで、固定ピン44をコイルばね45の付勢力に抗して引っ張ることにより、固定ピン44の先端がベース部21のピン固定穴21bからが抜ける(
図4(b))。この結果、付勢力調整ユニット40はベース部21に対して回動自在となる(ロック解除状態)。この状態で、付勢力調整ユニット40をベース部21に対して回動させ、固定ピン44を4つのピン固定穴21bのいずれか一つに貫通させることにより、弾性体43の他端43Bに対する一端43Aの位置が変更する。これにより、弾性体43の付勢力(補助力)を増減させることができる。
【0032】
図5は、動作補助装置1を装着した使用者が直立した状態を示す図である。
【0033】
使用者が直立した姿勢から、膝を少し曲げ上半身を前方の倒すことにより、上肢部10及び駆動部20は、回動軸23を中心に下肢部30に対して時計回りに回動する。これにより、弾性体43が巻かれて補助力が発生する。使用者が上半身を倒す角度が大きいほど補助力も大きくなる。
【0034】
図6は、付勢力調整ユニット40による弾性体43の付勢力の増減の説明図である。なお、
図6に示す動作補助装置1では胸当て部は省略してある。
【0035】
例えば、
図6(a)に示すように、固定ピン44が4つのピン固定穴21bのうち左から2番目のピン固定穴21bに挿入されている状態を付勢力調整ユニット40の弾性体43の初期状態とする。なお、
図6における上肢部10及び下肢部30の駆動部20に対する姿勢は、動作補助装置1が使用者に装着された状態における姿勢であり、当該姿勢における上肢フレーム13B及び下肢フレーム33の姿勢は、所定の姿勢に相当する。
【0036】
図6(a)の付勢力調整ユニット40の弾性体43を初期状態から、
図6(b)に示すように付勢力調整ユニット40を時計回りに回動させ、固定ピン44を左から3番目のピン固定穴21bに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)が増加する。さらに、
図6(c)に示すように付勢力調整ユニット40を時計回りに回動させ、固定ピン44を最右端のピン固定穴21bに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)がさらに増加する。一方、
図6(d)に示すように付勢力調整ユニット40を反時計回りに回動させ、固定ピン44を最左端のピン固定穴21bに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)は減少する。
【0037】
また、付勢力調整ユニット40を反時計回りに回動させ、固定ピン44をベース部21の外端よりも外側に位置させることにより、弾性体43に付勢力が発生しない。このため、使用者が階段等を上り下りする際に使用者の動作を阻害することがなくなる。これにより、動作補助装置1の使い勝手が向上する。
【0038】
以上のように、本開示の動作補助装置1によれば、第1フレーム及び第2フレームが所定の姿勢にある状態において、弾性体43の他端43Bに対する一端43Aの位置を変更可能な変更機構を備える。弾性体43は、ゼンマイばねであり、一端43Aはゼンマイばねの外側の端部であり、他端43Bはゼンマイばねの中心部である。かかる構成によれば、弾性体43が巻かれる方向及びその逆方向へ、弾性体43の一端43Aを移動させることによって、弾性体43の付勢力(補助力)を容易に増減させることができる。このため、作業内容に応じて使用者は動作補助装置1の補助力を装着状態で容易に変更させることができ、動作補助装置1の使い勝手が向上する。また、弾性体43は、ゼンマイばねであるので、その弾性変形における一端43Aから他端43B(他端43Bから一端43A)への力の伝達を効率よく行うことができる。
【0039】
一対の平板41は、弾性体43を保持し、回動軸23に対して回動可能に支持され、支柱42には弾性体43の一端43Aが固定され、固定ピン44は、ピン貫通穴41d及び4つのピン固定穴21bのいずれか一つに挿入されるように構成されている。これにより、固定ピン44の抜き差しにより、弾性体43の付勢力(補助力)を容易に変更することができる。一対の平板41により、弾性体43の一部が保護されるので、弾性体43が衝撃等により破壊されるのを抑制することができる。
【0040】
次に、第1の実施形態の動作補助装置1の変形例について説明する。
図7は、変形例に係る駆動部20の斜視図である。
図8は、固定ピン47の動作の説明図である。
【0041】
一対の平板41及び弾性体43をベース部21にロックするためのロック機構は、
図7、8に示すように、固定ピン47及び円筒部48により構成してもよい。固定ピン47は、円盤状のつまみを有する棒状の部材であり、その外周面には雄ねじ47Aが設けられている。円筒部48は、その貫通穴が一対の平板41のピン貫通穴41dに連通するように一対の平板41に固定されている。円筒部48の内周面には雌ねじ48Aが設けられている。
図8(a)に示すように、固定ピン47は、その雄ねじ47Aを円筒部48の雌ねじ48Aに螺合させて、各平板41のピン貫通穴41d、及び、4つのピン固定穴21bのいずれか一つに挿入する。この状態で、付勢力調整ユニット40はベース部21に対して回動不能である(ロック状態)。固定ピン47の円盤部を使用者がつまんで、固定ピン47を回転させ、固定ピン47の先端をベース部21のピン固定穴21bから抜くことにより、付勢力調整ユニット40はベース部21に対して回動自在となる(ロック解除状態、
図8(b))。当該構成によっても、上記の実施形態の動作補助装置1と同様の効果を奏することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態にかかる動作補助装置について、図面を参照しながら説明する。第1の実施形態の動作補助装置1と同一の部材については同一の参照番号を付して説明を省略し、第1の実施形態の動作補助装置1と異なる構成について説明する。
【0043】
図9は、第2の実施形態の動作補助装置の側面図である。
図10及び
図11は、動作補助装置における駆動部の斜視図及び分解斜視図である。
図12は、駆動部における固定ピンの動作の説明図である。
図13は、駆動部におけるロック部の説明図である。
【0044】
図9に示すように、動作補助装置101は駆動部120の構成が第1の実施形態の動作補助装置1の駆動部20と構成が異なっている。
図10、11に示すように、駆動部120は、一対のベース部121A、121Bと、接続部122と、回動軸23と、弾性体43と、支持台124と、固定ピン125と、コイルばね126と、回動ピン127と、ロック部128と、を有する。
【0045】
各ベース部121A、121Bは、駆動部120の外枠をなす略平板であり、隙間121cをあけて互いに対向している。隙間121cは、一対のベース部121A、121Bの間に設けられた複数の支柱121d(
図10では1つのみ図示)により形成されている。隙間121cに、接続部122と、回動軸23と、弾性体43と、ロック部128とが配置されている。各ベース部121A、121Bには、ピン固定穴121e及びピン貫通穴121fが形成されている。
【0046】
接続部122は、略半円盤形状をなし、一対のベース部121A、121Bの上側部分に回動ピン127を中心に回動可能に設けられている。回動ピン127は、各ベース部121A、121Bのピン固定穴121eに固定されている。接続部122の外周面には、上肢フレーム13Bの下端が接続されている。接続部122の中心には回動ピン127が貫通するピン貫通穴122aが形成されている。回動ピン127により、接続部122は一対のベース部121A、121Bに対して回動可能に支持される。
【0047】
接続部122のベース部121B側の面には、略扇状の段差部122bが形成されている。段差部122bには、ピン貫通穴122aを中心とする円の周方向に沿って等間隔に4つのピン挿入穴122cが形成されている。
【0048】
回動軸23は、固定部と当該固定部に対して回動する回動部とを有する。回動軸23の固定部が各ベース部121A、121Bの図示せぬ軸固定穴に挿入されて、当該固定部は各ベース部121A、121Bに対し回動不能に固定されている。
【0049】
弾性体43の一端43Aは、支柱121dの一つに固定され、弾性体43の図示せぬ他端は、回動軸23の回動部に固定されている。
【0050】
支持台124は、ベース部121Bの外面に対しピン貫通穴121fを覆うように固定され、基部124Aと脚部124Bとを有している。基部124Aは、脚部124Bにより、ベース部121Bの外面との間に隙間を有する。基部124Aには、ピン貫通穴124cが形成されている。
【0051】
固定ピン125は、円盤状のつまみを有する棒状の部材であり、ピン貫通穴124c、ピン貫通穴121f、ピン貫通穴128a、及び、4つのピン挿入穴122cのいずれか一つに挿入される。固定ピン125のシャフトには、その軸を挟んで互いに反対方向へ突出する一対の突起部125Aが設けられている。ベース部121Bのピン貫通穴121fは、固定ピン125のシャフト及び一対の突起部125Aに対応する形状を有する。接続部122及び固定ピン125は変更機構に相当する。
【0052】
図12に示すように、コイルばね126は、支持台124の基部124Aと固定ピン125のつまみとの間に介在しており、固定ピン125をベース部121Bから離間する側に常に付勢している。
【0053】
図13に示すように、ロック部128は、接続部122の段差部122bに配置されており、ピン貫通穴128aが形成されている。ピン貫通穴128aは、固定ピン125のシャフト及び一対の突起部125Aに対応する形状を有する。すなわち、ピン貫通穴128aとベース部121Bのピン貫通穴121fとは、ほぼ同様の形状である。ロック部128の段差部122b側の面には、一対の突起部125Aを引っ掛け可能な引っ掛け部128bが設けられている。
【0054】
図12(a)、
図13(a)に示すように、固定ピン125をコイルばね126の付勢力に抗して押して一対の突起部125Aをベース部121Bのピン貫通穴121fを介してロック部128のピン貫通穴128aに挿入し、かつ固定ピン125の先端部を4つのピン挿入穴122cのいずれか一つに挿入する。そして、
図13(b)に示すように、固定ピン125を回動させて、突起部125Aを引っ掛け部128bに引っ掛ける。固定ピン125は、ピン挿入穴122cに挿入された状態で保持される。これにより、接続部122は、ベース部121A、121Bに対して回動不能となる(ロック状態)。
【0055】
固定ピン125の円盤部を使用者がつまんで回動させることにより、突起部125Aの引っ掛け部128bへの引っ掛かりが解除され、
図12(b)、
図13(c)に示すように、コイルばね126の付勢力により、固定ピン125の先端部が、接続部122のピン挿入穴122cから抜け、接続部122は、ベース部121A、121Bに対して回動可能となる(ロック解除状態)。一対の突起部125Aが基部124Aに当接するので、固定ピン125が支持台124から抜けない。この状態で、接続部122をベース部121A、121Bに対して回動させて、固定ピン125をピン挿入穴122cのいずれか一つに挿入することにより、弾性体43の他端43Bに対する一端43Aの位置が変更する。これにより、弾性体43の付勢力(補助力)を増減させることができる。
【0056】
図14は、接続部122による弾性体43の付勢力の増減の説明図である。
図14では、ベース部121Bの図示を省略している。
【0057】
図14では、動作補助装置101を装着した使用者が直立した状態を示している。使用者が直立した姿勢から、膝を少し曲げ上半身を前方の倒すことにより、上肢部10及び駆動部20は、回動軸23を中心に下肢部30に対して時計回りに回動する。これにより、弾性体43が巻かれて補助力が発生する。使用者が上半身を倒す角度が大きいほど補助力も大きくなる。
【0058】
例えば、
図14(a)に示すように、固定ピン125が4つのピン挿入穴122cのうち下から2番目のピン挿入穴122cに挿入されている状態を駆動部20の弾性体43の初期状態とする。なお、
図14における上肢部10及び下肢部30の駆動部20に対する姿勢は、動作補助装置101が使用者に装着された状態における姿勢であり、当該姿勢における上肢フレーム13B及び下肢フレーム33の姿勢は、所定の姿勢に相当する。
【0059】
図14(a)の駆動部20の弾性体43を初期状態から、
図14(b)に示すようにベース部121Aを時計回りに回動させ、固定ピン125を上から2番目のピン挿入穴122cに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)が増加する。さらに ベース部121Aを時計回りに回動させ、固定ピン125を最上端のピン挿入穴122cに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)がさらに増加する。一方、
図14(c)に示すようにベース部121Aを反時計回りに回動させ、固定ピン125を最下端のピン挿入穴122cに挿入した状態にすることにより、弾性体43の付勢力(補助力)は減少する。
【0060】
また、固定ピン125をピン挿入穴122cから抜いた状態にすると、弾性体43に付勢力が発生しない。このため、使用者が階段等を上り下りする際に使用者の動作を阻害することがなくなる。これにより、動作補助装置1の使い勝手が向上する。
【0061】
本実施形態の動作補助装置101によっても、第1の実施形態の動作補助装置1とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0062】
次に、第2の実施形態の動作補助装置101の変形例について説明する。
図15は、変形例に係る駆動部120の分解斜視図である。
図16は、固定ピン130の動作の説明図である。
【0063】
接続部122をベース部121A、121Bにロックするためのロック機構は、
図15、16に示すように、固定ピン130及びピン支持部131により構成してもよい。固定ピン130は、円盤状のつまみを有する棒状の部材であり、その外周面には雄ねじ130Aが設けられている。ピン支持部131は、略直方体をなし、内周面に雌ネジが形成された螺合穴131aを有し、ベース部121Bの外面に固定されている。螺合穴131aは、ベース部121Bのピン貫通穴121fに連通している。
図16(a)に示すように、固定ピン130は、その雄ねじ130Aをピン支持部131の螺合穴131aに螺合させて、ベース部121Bのピン貫通穴121f及び接続部122の4つのピン固定穴122cのいずれか一つに挿入する。この状態で、接続部122はベース部121A、121Bに対して回動不能となる(ロック状態)。固定ピン130の円盤部を使用者がつまんで、固定ピン130を回転させ、固定ピン130の先端を接続部122のピン挿入穴122cから抜くことにより、接続部122はベース部121A、121Bに対して回動自在となる(ロック解除状態、
図16(b))。当該構成によっても、上記の実施形態の動作補助装置1と同様の効果を奏することができる。
【0064】
なお、本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。特許請求の範囲によって示される本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、上記の実施形態では、弾性体43としてゼンマイばねを使用したが、弾性体の形態はこれに限られない。
【符号の説明】
【0065】
1、101:動作補助装置
10:上肢部
11:背当て部
12:胸当て部
13A、13B:上肢フレーム
14:腰部固定部材
20:駆動部
21:ベース部
21a:軸固定穴
21b:ピン固定穴
22:接続部
23:回動軸
30:下肢部
31:下肢プレート
32:軸部
33:下肢フレーム
34:腿パッド
40:付勢力調整ユニット
41:平板
41a:隙間
41b:軸挿通穴
41c:ボルト穴
41d:ピン貫通穴
42:支柱
43:弾性体
43A:一端
43B:他端
44:固定ピン
45:コイルばね
46:ストッパ
47:固定ピン
47A:雄ねじ
48:円筒部
48A:雌ねじ
120:駆動部
121A:ベース部
121B:ベース部
121c:隙間
121d:支柱
121e:ピン固定穴
121f:ピン貫通穴
122:接続部
122a:ピン貫通穴
122b:段差部
122c:ピン挿入穴
124:支持台
124A:基部
124B:脚部
124c:ピン貫通穴
125:固定ピン
125A:突起部
126:コイルばね
127:回動ピン
128:ロック部
128a:ピン貫通穴
128b:引っ掛け部
130:固定ピン
130A:雄ねじ
131:ピン支持部
131a:螺合穴