IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三協立山株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-簡易構造物 図1
  • 特開-簡易構造物 図2
  • 特開-簡易構造物 図3
  • 特開-簡易構造物 図4
  • 特開-簡易構造物 図5
  • 特開-簡易構造物 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133789
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/92 20060101AFI20220907BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20220907BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E04B1/92
E04B1/343 H
E04B5/43 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032677
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤井 忠剛
(72)【発明者】
【氏名】笹島 淳志
(72)【発明者】
【氏名】若松 英司
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH08
2E001FA18
2E001GA60
2E001HB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デッキ面における静電気の除去ができる簡易構造物の提供。
【解決手段】簡易構造物は、デッキ材12と、目地材2とを備え、目地材2は、導電性を有し、目地材2からはアース配線6が直接的または間接的に束柱10に接続されていることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ材と、目地材とを備え、目地材は、導電性を有し、目地材からはアース配線が直接的または間接的に束柱に接続されていることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面や床面等の平面部に設置される簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
地面や床面等の平面部に設置される簡易構造物として、下記非特許文献1に記載されているように、建物と隣接するように設置されるデッキが知られている。
このような簡易構造物は、建物の出入り口から出入りでき、建物とデッキを自由に行き来できるようにされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ウォールエクステリアカタログ 2020-2021(STW0564A)」三協立山株式会社、2020年2月発行、P.690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、昨今のデッキは樹脂製のデッキ材が使用されているため、人がデッキ面上を歩行した際の摩擦によって静電気が発生して人に帯電することがあり、このことから、デッキ面における静電気の除去ができる簡易構造物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、デッキ材と、目地材とを備え、目地材は、導電性を有し、目地材からはアース配線が直接的または間接的に束柱に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、デッキ面における静電気の除去ができる簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る実施形態の簡易構造物の斜視図である。
図2図1におけるデッキ材の一部を取り外した簡易構造物の斜視図である。
図3】(a)は図1の(3)-(3)線断面図、(b)は(a)のアース配線の接続部分の拡大図、(c)は、アース配線の接続構造の分解図である。
図4図1の(4)-(4)線断面図である。
図5】(a)~(c)は放電経路の施工手順を示す工程図である。
図6】(d)~(f)は図5(c)から続く施工手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る簡易構造物1を説明する。
以下の説明で、各実施形態の異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、各図において「前」「後」「左」「右」と記載することで、以下の説明における方向を規定する。
【0009】
[簡易構造物の構成]
簡易構造物1は、図1に示すように、地面gに設置されるデッキであり、図4に示すように、建物tの出入り口t1に隣接するように配置される。
簡易構造物1は、図1及び図2に示すように、地面gに立設された複数の束柱10と、束柱10の上端に配設された複数の大引11と、複数の大引11の上端に敷設された複数のデッキ材12と、大引11及びデッキ材12の端部および側部を隠すように配設された幕板13とを備えている。
また、この簡易構造物1には、デッキ面121上を歩行する人に帯電した静電気を放電する放電経路rを備えている。
【0010】
図2に示すように、大引11とデッキ材12とは互いに前後左右で直交するように配置されている。
束柱10は、前後左右に所定の間隔を空けて並べられており、下端が地面gに埋められた束石100上に固定されている。
大引11は、長手方向を左右方向としており、左右方向に並べられた複数の束柱10の上端に架設されている。
【0011】
デッキ材12は、長手方向を前後方向として大引11の左右方向に沿って並列しており、このデッキ材12を並列させることによりデッキ面121を構成している。
デッキ材12は、図3(a)に示すように、左右側面に外側に突出する突出片120が設けられており、左右で隣り合うデッキ材12同士の互いに向かい合う突出片120を大引11の上端にねじ止めされるデッキ材固定具122で固定することで連結されている。
幕板13は、図3(a)(b)に示すように、端部固定具3、小口側固定具4及び幕板固定具5を介してデッキ面121の前端及び左右端に配置されている。
幕板13は、全長をデッキ面121の前端及び左右端の全長と略同じとし、全幅を大引11及びデッキ材12の前端及び左右の外側端を隠せる幅としており、取付けたときに大引11及びデッキ材12が周囲から見えないようにしている。
【0012】
[放電経路の構成]
放電経路rは、図3及び図4に示すように、隣合うデッキ12間のすべての目地20に挿入された目地材2からアース配線6を経て取付材14に至り、この取付材14から束柱10に至る経路である。
アース配線6が接続される取付材14は、図3及び図4に示すように、最前列の束柱10の前面、且つ大引11に近接するようにすべての束柱10にわたり架設されている。 デッキ材12は樹脂材から形成され、目地材2、束柱10、取付材14は導電性を有する素材(例えば、アルミニウム材)から形成されており、目地材2と取付材14とにわたり導電性を有するアース配線6を接続することにより、目地材2から床柱10に至る放電経路rが構成される。
すなわち、デッキ面121上を歩行者の足の裏が目地材2に接触あるいは近接することで、歩行者に帯電した静電気を目地材2から束柱10に至らせ、この束柱10から地面gに放電できる。
また、すべての目地材2から取付材14にわたりアース配線6を接続しているので、いずれかのアース配線6が断線した場合でも、アース配線6が繋がっている他の目地材2により放電ができる。
アース配線6の他端は、取付材14を介さずに、直接束柱10に接続してもよい(図示せず)。
【0013】
[目地材の構成]
目地材2は、図4に示すように目地20の前後方向の略全域にわたる長さを有しており、図3に示すようにすべてのデッキ材12間の目地20に挿入されていると共に、目地20内において目地材取付材21により支持されている。
目地材2は、図3(b)に示すように、その上端の位置がデッキ面121よりも若干低い位置となるように設定されており、デッキ面121上を歩行した際に、目地材2に接触することによる歩行時の引っ掛かりや足で感じるざらつき等を防いでいる。
目地材2の上端の位置については、少なくとも、歩行者に帯電した静電気を目地材2に放電できる程度とし、デッキ面121と同面以下とすることが好ましい。
【0014】
[アース配線の構成]
アース配線6は、図3及び図4に示すように、一端が目地材2の前端側にねじ止めにより接続され、他端が取付材14の後端にねじ止めにより接続されている。
アース配線6の目地材2に対する接続構造と取付材14に対する接続構造は共通であるので、目地材2側の接続構造を説明することで、取付材14側の接続構造は省略する。
目地材2に対するアース配線6の接続構造は、図3(b)(c)に示すように、目地材2の側面と電線60が接続された裸圧着端子61との間に歯付座金62を介在させてこれらをビス63及びナット64により緊締する構造である。
歯付座金62は、ビス63の締め付け力により、目地材2の側面に食い込みながら目地材2の表面被膜であるアルマイトを削ってアルミニウム層に達するようにされており、これによって、十分な導電機能を確保している。
【0015】
[取付材の構成]
取付材14は、図3及び図6に示すように、束柱10に対してビス140及び歯付座金62により固定されている。
歯付座金62は、束柱10と取付材14との間に介在され、これらをビス140により緊締することで、束柱10と取付材14に食い込みながら束柱10と取付材14の表面被膜であるアルマイトを削ってアルミニウム層に達するようにされており、これによって、十分な導電機能を確保している。
【0016】
[放電経路の施工手順]
次に、図5及び図6を参照して放電経路rの施工手順を説明する。
以下で説明する施工手順は、既存の簡易構造物1a(図5(a)参照)に放電経路rを配設する手順を示している。
なお、放電経路rは、新規に簡易構造物1を施工する工程において配設することができる。
【0017】
第I工程:図5(a)に示す既存の簡易構造物1aから図5(b)に示すように、幕板13及び幕板固定具5を取外してデッキ材12の前側を開放し、デッキ材12間の目地20の前方から目地材2を挿入する。
このとき、目地材2を目地材取付材21で保持された状態で、目地材取付材21ごと目地20の前方から挿入する。
また、図5(c)に示すように、目地材2の前端側を露出させておき、第2工程におけるアース配線6の一端の接続作業ができるようにしておく、
第2工程:図5(c)に示すように、電線60を目地20の前方から後方へ通し、目地材2に対してアース配線6の一端を接続する。
第3工程:図6(d)に示すように、アース配線6の他端を取付材14に接続する。
第4工程:図6(e)に示すように、取付材14を束柱10に固定することで、放電経路rを施工することができる。
そして、前方に露出していた目地材2を目地20内に完全に挿入すると共に、且つ幕板固定具5及び幕板13を取付けることで、図6(f)に示すように放電経路rを備えた簡易構造物1を製造することができる。
すなわち、第1工程~第4工程により、デッキ材12を取り外すことなく既存の簡易構造物1aに放電経路rを配設することができる。
【0018】
以上の構成により、デッキ面121上を歩く人に帯電した静電気を除去して放電できる簡易構造物1を提供できる。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1:簡易構造物
1a:既存の簡易構造物
2:目地材
3:端部固定具
4:小口側固定具
5:幕板固定具
6:アース配線
10:束柱
11:大引
12:デッキ材
13:幕板
14:取付材
20:目地
21:目地材取付材
60:電線
61:裸圧着端子
62:歯付座金
63:ビス
64:ナット
121:デッキ面
100:束石
120:突出片
122:デッキ材固定具
140:ビス
g:地面
t:建物
t1:出入り口
r:放電経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6