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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133802
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20220907BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20220907BHJP
   H02K 9/08 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H02K5/24
H02K5/20
H02K9/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032696
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙波 大助
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 典之
(72)【発明者】
【氏名】山田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】四ツ谷 和浩
(72)【発明者】
【氏名】中林 慶太
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA04
5H605AA05
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605DD13
5H605EA16
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP08
5H609QQ05
5H609QQ13
5H609QQ14
5H609RR28
5H609RR32
5H609RR46
5H609RR50
5H609SS12
(57)【要約】
【課題】冷媒を振動の抑制に利用することができるモータを提供する。
【解決手段】ステータを備えるモータであって、冷媒を流すことができる複数の流路が形成され、ステータのステータコアの外周に接触するケースと、複数の流路のうち、冷媒を流す特定の流路を選択する流路選択部と、を備える。複数の流路は、互いに軸方向について異なる位置で、それぞれ周方向に延設されて、複数の流路は、冷媒の流れる方向と直交する方向の断面について、互いに異なる断面積を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータを備えるモータであって、
冷媒を流すことができる複数の流路が形成され、前記ステータのステータコアの外周に接触するケースと、
前記複数の流路のうち、前記冷媒を流す特定の流路を選択する流路選択部と、
を備える、モータ。
【請求項2】
前記複数の流路は、互いに軸方向について異なる位置で、それぞれ周方向に延設されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数の流路は、前記冷媒の流れる方向と直交する方向の断面について、互いに異なる断面積を有する、請求項1または請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記ケースが収容されるハウジングを備え、
前記ケースは、前記ハウジングに対して取り付けられる取付部を有し、
前記複数の流路は、互いに前記取付部からの距離が異なる位置に配置されるモータ。
【請求項5】
前記取付部は、軸方向における前記ケースの一端部に設けられたフランジである、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記流路選択部は、
前記冷媒を溜める冷媒タンクと、
前記冷媒タンクから前記冷媒を供給するポンプと、
前記ポンプから供給された前記冷媒を前記特定の流路に選択的に供給する供給弁と、
選択されていない流路に選択的に大気圧を与え、前記冷媒を排出させる大気開放弁と、
を備える、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のステータコア支持装置において、
前記モータを制御する制御部または前記モータの動作状態を検出する検出部を備え、
前記流路選択部は、前記制御部または前記検出部から取得される前記モータの動作状態に応じて、前記特定の流路を切り替える、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータを備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステータホルダに冷媒通路が設けられた回転電機のステータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-140742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、モータのステータで発生する振動が周囲に伝達され、騒音を発生させるという問題がある。冷媒によりステータを冷却する場合に、冷媒を振動の抑制に利用することも考えられる。
【0005】
本発明は、冷媒を振動の抑制に利用することができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
ステータを備えるモータであって、
冷媒を流すことができる複数の流路が形成され、前記ステータのステータコアの外周に接触するケースと、
前記複数の流路のうち、前記冷媒を流す特定の流路を選択する流路選択部と、
を備える、モータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷媒を振動の抑制に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例のモータの構成を示す平面図である。
図2】本実施例のモータの構成を示す斜視図である。
図2A】ステータコアおよびケースの位置関係を示す斜視図である。
図2B】ケースを示す斜視図である。
図3】流路の経路を示す図である。
図4】ケースの断面図(図1のIV-IV線断面図)である。
図5】冷媒の供給経路を示す図である。
図6】制御系の構成を示す図である。
図7】他の形態のケースの構成を示す断面図である。
図7A】他の形態のケースの構成を示す断面図である。
図7B】他の形態のケースの構成を示す断面図である。
図7C】他の形態のケースの構成を示す断面図である。
図7D】他の形態のケースの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施例のステータコア支持装置の構成を示す平面図、図2は、本実施例のステータコア支持装置の構成を示す斜視図、図2Aは、ステータコアおよびケースの位置関係を示す斜視図、図2Bは、ケースを示す斜視図である。なお、以下の記載において、軸方向、周方向、径方向は、モータの回転軸を基準として定義される。
【0011】
図1図2Bに示すように、本実施例のモータは、環状のステータ10と、ステータ10の周囲に配置されたケース20と、ケース20を収容するハウジング30とを備える。なお、図1および図2では、モータのロータの図示を省略しているが、ロータはステータ10の内周側に回転可能に支持される。ロータ(モータ)の回転軸は、ステータ10の中心に位置し、図1の紙面と直交する方向に設けられる。
【0012】
ステータ10は、周方向に等間隔で配置されるティース11A(図2A)を備えるステータコア11と、ティース11Aのそれぞれに巻き回されるステータコイル12(図2)と、ティース11Aとステータコイル12とを互いに絶縁するインシュレータ13(図2)とを備える。
【0013】
ケース20は、ステータ10よりも大径の円筒状に形成され、ケース20の内面がステータコア11の外面に接触して設けられる。これにより、ケース20はステータコア11を外周側から抑え込むことにより、ステータコア11の振動を抑制する機能を有する。また、ケース20は、ステータコア11からの熱を奪い取ることで、ステータ10(モータ)を冷却する機能を有する。
【0014】
ケース20の軸方向の一端側(図2図2Bにおける下端側)には、ケース20の周方向の全体にわたり外周側に突出するフランジ21(取付部の一例)が設けられている。フランジ21には、周方向に均等に配置された6つ(図1)のねじ孔22が形成され、ねじ孔22を介してフランジ21がハウジング30に締結される。これにより、フランジ21を介して、ケース20がハウジング30に取り付けられる。
【0015】
図3は、流路の経路を示す図、図4は、ケースの断面図(図1のIV-IV線断面図)である。
【0016】
図3および図4に示すように、ケース20の内部には、周方向に延設され、冷媒の流れる方向(周方向)と直交する方向の断面について、断面積が互いに異なる流路40A、流路40Bおよび流路40Cが形成されている。図4に示すように、フランジ21から離れた部位(図4における上側の部位)から近い部位(図4における下側の部位)の順に、軸方向に流路40A、流路40Bおよび流路40Cが並んで配置されている。また、上記の断面積は、流路40Aが最も小さく、流路40Cが最も大きくされている。流路40A、流路40Bおよび流路40Cを軸方向に配列することにより、径方向の寸法の短いケース20内において、各流路40A~40Cに充分な断面積を与えることができる。
【0017】
図2Aおよび図2Bに示すように、ケース20には、径方向外側に突出する円筒状の入口41A、入口41Bおよび入口41Cと、同様に、径方向外側に突出する円筒状の出口42A、出口42Bおよび出口42Cと、が形成されている。
【0018】
図4に示すように、流路40A~40Cの両端は、入口41A、入口41Bおよび入口41Cと、出口42A、出口42Bおよび出口42Cに、それぞれ連通されている。入口41A、入口41Bおよび入口41Cを介して、それぞれ流路40A~40Cに冷媒が供給可能とされ、流路40A~40Cを流れた冷媒は、出口42A、出口42Bおよび出口42Cを介して回収可能とされている。
【0019】
また、図2Aおよび図2Bに示すように、ケース20には、さらに、径方向外側に突出する円筒状の大気開放孔43A、43Bおよび43Cと、同様に、径方向外側に突出する円筒状の排出孔44A、44Bおよび44Cと、が形成されている。図4に示すように、大気開放孔43A、43Bおよび43Cと、排出孔44A、44Bおよび44Cは、それぞれ流路40A~40Cの中間(入口41A~41Cと出口42A~42Cの間)に連通している。
【0020】
本実施例では、大気開放孔43A、43Bおよび43Cが、排出孔44A、44Bおよび44Cよりも高い位置に配置されるような向きでモータが使用される。例えば、図1におけるZ方向が垂直上向きとなるような向き、あるいはこれに近い方向でモータが使用される。
【0021】
図5は、冷媒の供給経路を示す図である。
【0022】
図5に示すように、冷媒の供給経路には、冷媒が溜められる冷媒タンク51と、冷媒タンク51から冷媒を送り出すポンプ52と、排出された冷媒を一時的に保持するリザーブタンク53と、流路40A~40Cからの冷媒を冷却するラジエータ54と、を備える。なお、冷媒の種類は任意であり、例えば、水、オイルを含有する種々の媒体を使用できる。
【0023】
また、入口41Aには、冷媒を流路40Aに選択的に供給する供給弁55Aが、入口41Bには、冷媒を流路40Bに選択的に供給する供給弁55Bが、入口41Cには、冷媒を流路40Cに選択的に供給する供給弁55Cが、それぞれ接続される。
【0024】
また、大気開放孔43Aには大気開放弁56Aが、大気開放孔43Bには大気開放弁56Bが、大気開放孔43Cには大気開放弁56Cが、それぞれ接続される。
【0025】
供給弁55A~55Cおよび大気開放弁56A~56Cは、いずれも開閉弁である。
【0026】
図6は、制御系の構成を示す図である。
【0027】
図6に示すように、本実施例のモータは、モータの回転を制御する制御部60(流路選択部の要素の一例)と、制御部60による制御に従って、ステータコイル12を駆動する駆動回路61とを備える。例えば、制御部60は、速度指令(図6)に応じた速度でモータを回転させるように、駆動回路61の各相のスイッチを制御する。
【0028】
また、制御部60は、上記のポンプ52を制御するとともに、供給弁55A~55Cおよび大気開放弁56A~56Cの開閉状態を制御する。
【0029】
さらに、制御部60には、モータの回転速度、その他、モータの動作状態を検出する検出部62が接続され、検出部62の検出結果が制御部60に入力される。
【0030】
制御部60は、供給弁55A~55Cおよび大気開放弁56A~56Cの開閉状態を制御することにより、ポンプ52から供給された冷媒を特定の流路40A~40Cに選択的に供給する。このとき、制御部60は、冷媒を供給する特定の流路40A~40Cに対応する供給弁55A~55Cを開くとともに、当該特定の流路40A~40Cに対応する大気開放弁56A~56Cを閉じる。また、制御部60は、冷媒を供給しない他の流路40A~40Cに対応する供給弁55A~55Cを閉じるとともに、当該他の流路40A~40Cに対応する大気開放弁56A~56Cを開く。
【0031】
例えば、流路40Aに冷媒を供給する場合には、制御部60は、供給弁55Aを開くとともに、大気開放弁56Aを閉じる。この場合、ポンプ52により冷媒タンク51から供給された冷媒は、供給弁55Aおよび入口41Aを経由して流路40Aを流れ、出口42Aを経由してラジエータ54で冷却される。さらに、ラジエータ54で冷却された冷媒は、冷媒タンク51に回収される。このような循環経路で冷媒が流れる。
【0032】
一方、流路40Aに冷媒を供給しない場合には、制御部60は、供給弁55Aを閉じるとともに、大気開放弁56Aを開く。この場合、流路40Aには大気開放弁56Aを介して大気圧が導かれ、流路40A内にあった冷媒は、排出孔44Aを経由してリザーブタンク53に排出される。さらに、冷媒は、ラジエータ54で冷却され、冷媒タンク51に回収される。
【0033】
流路40B、40Cに冷媒を供給する場合、および流路40B、40Cに冷媒を供給しない場合も同様に、制御部60を介して流路40B、40Cに対応する供給弁55B、55Cおよび大気開放弁56B、56Cを制御することができる。
【0034】
流路40A~40Cのそれぞれに対する冷媒の供給の有無は、互いに独立して制御可能である。したがって、流路40A~40Cのいずれか1つの流路にのみ冷媒を供給すること、流路40A~40Cのいずれか2つの流路にのみ冷媒を供給すること、流路40A~40Cのすべてに冷媒を供給することが可能である。
【0035】
一般に、ステータコイル12からの発熱によるステータコア11の鉄損や、ステータ10を構成する部品の耐熱性などとの関係から、ステータ10の温度上昇を防ぐ必要がある。また、ステータコア11は、モータの回転に伴って変動するロータからの力、とくに径方向の力を受ける。このため、ステータコア11で発生する振動がハウジング30に伝達されて騒音を発生させるという問題がある。
【0036】
しかし、本実施例では、ステータコア11に接触するケース20の内部に形成された流路40A~40Cに冷媒を流すことにより、ステータ10を充分に冷却することができる。また、ケース20がステータコア11の外周側から接触しているため、ステータコア11の振動、とくに径方向の振幅を有する振動成分を、ケース20により効果的に抑制することができる。したがって、ハウジング30へ伝達される振動も抑制される。
【0037】
また、一般的に、ステータコア11に発生する振動の周波数は、モータの回転速度等の動作状態により変動する。したがって、特定の周波数でケース20やハウジング30が共振すると、振動の振幅が急激に増大する現象が発生する。
【0038】
しかし、本実施例では、モータの動作状態等に応じて、冷媒を流す流路として使用する流路40A~40Cを自由に選択することができる。このため、流路40A~40Cに選択的に冷媒を供給することにより、冷媒の重量を含めたケース20の実質的な重量や、重量配分を変化させることができる。また、流路40A~40Cの断面積が互いに異なるため、ケース20の実質的な重量や重量配分を細かに調整できる。さらに、流路40A~40Cがフランジ21からの距離が異なる位置に配置されているので、ケース20の実質的な重量配分を効果的に調整することができる。ケース20の実質的な重量や、重量配分の変化は、ケース20の固有値(共振周波数)を変化させ、ステータ10およびハウジング30も含めた状態におけるケース20の共振周波数や振動のモードに影響を与える。このため、モータの動作状態等に応じて、冷媒を流す流路として使用する流路40A~40Cおよびその組み合わせを変更することにより、ケース20の固有値(共振周波数)をステータコア11の振動周波数から回避させることが可能となる。これにより、ケース20やハウジング30の共振象が効果的に抑制されるので、騒音を効果的に抑制できる。
【0039】
上記のように、制御部60は、速度指令を受けてモータの回転数を制御している。したがって、通常、制御部60では、その時点におけるモータの回転速度(現在値)を認識しているため、制御部60はこの回転速度に応じて、冷媒を流す流路として使用する流路40A~40Cおよびその組み合わせをリアルタイムに変更することができる。また、制御部60は、モータの回転速度、その他のモータの動作状態を検出する検出部62(図6)における検出結果に基づいて、冷媒を流す流路として使用する流路40A~40Cおよびその組み合わせをリアルタイムに変更することができる。なお、本実施例は、制御部60はモータの回転速度に応じて使用する流路40A~40Cおよびその組み合わせをリアルタイムに変更することとなっているが、モータの回転速度に限定されるものではない。例えば車両のエンジン回転数などの情報を基に制御してもよい。
【0040】
なお、図4に示すように、本実施例では、ケース20のフランジ21から軸方向(図4の上下方向)に離れた順に、流路40A~40Cが形成されている。ケース20のフランジ21がハウジング30に接触しているため、ステータコア11からケース20に伝わる熱は、フランジ21を介してハウジング30に逃げる。このため、フランジ21の近傍よりもフランジ21から離れた部位(図4における上側の部位)で、ケース20の温度が上昇しやすい。このため、冷却効果を高める観点からは、フランジ21から離れた流路、例えば流路40Aまたは流路40Bを、フランジ21の近傍にある流路、例えば流路40Cよりも優先して使用することが望ましい。また、ケース20は、ハウジング30に固定されたフランジ21の部位またはその近傍が振動の節になるようなモードでの振動を発生させやすい。このため、フランジ21から離れた部位での重量を変化させることにより、振動の節まわりの慣性モーメント、すなわちこのようなモードの振動における固有値(共振周波数)を大きく変化させることができる。したがって、振動を抑制するという観点からも、フランジ21から離れた流路、例えば流路40Aまたは流路40Bを、フランジ21の近傍にある流路、例えば流路40Cよりも優先して使用することが望ましい。
【0041】
図7図7Dは、他の形態のケースの構成を模式的に示す断面図である。いずれの図も、図1のIV-IV線断面での断面図に相当する。
【0042】
図7に示すケース20Aには、同一断面積を有する流路40D、40Eが軸方向に並んで配置されている。このように、流路の数を減少させることにより、ケース20A自体の加工コストに加えて、冷媒を供給する経路や制御系が簡易となるため、製造コストを抑制できる。
【0043】
図7Aに示すケース20Bには、6つの流路40F~40Kが形成されている、このように、流路の個数を増加させることにより、ケース20Bの固有値を細かく調整でき、騒音をより効果的に抑制できる。
【0044】
図7Bに示すケース20Cには、互いに形状(サイズ)の異なる3つの流路40L~40Nが形成されている。このように、流路の形状を不均一にして配置することで、図7Bに示すように、ケース20Cの形状を変更でき、レイアウト性が向上する。
【0045】
図7Cに示すケース20Dには、周方向に延びるリング状のスリット23が形成されている。このようなスリット23により、ステータコア11から径方向外側への振動の伝播が効果的に抑制される。このため、ケース20Dの径方向外側への振動が抑制され、騒音を抑制できる。また、ケース20Dには、スリット23の径方向の内外において、それぞれ流路40P、40Qが形成され、これにより、ケース20Dに、冷却機能と、固有値の調整機能とが与えられている。
【0046】
図7Dに示すケース20Eのフランジ21の近傍には、ゴムなどの弾性部材により形成されたパッキン24が周方向に延設されている。これにより、ステータコア11の振動をパッキン24により減衰させてフランジ21に伝えることができる。このため、ハウジング30に伝達される振動を効果的に抑制できる。図7Dにおけるパッキン24の上方には、径方向に配列した3つの流路40R~40Tが形成され、ケース20Eに、冷却機能と、固有値の調整機能とが与えられている。なお、ケース20Eを、流路40R~40Tが形成された流路部材と、フランジ21を構成するフランジ材とに分割した2つの部材により構成し、その間にパッキン24を配置してもよい。
【0047】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0048】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0049】
[付記1]
ステータ(10)を備えるモータであって、
冷媒を流すことができる複数の流路(40A~40C)が形成され、前記ステータのステータコア(11)の外周に接触するケース(20)と、
前記複数の流路のうち、前記冷媒を流す特定の流路を選択する流路選択部(52~54、55A~55C、56A~56C、60)と、
を備える、モータ。
【0050】
付記1の構成によれば、ケースに複数の流路が形成されているので、ステータコアを効果的に冷却できる。また、複数の流路のうち、冷媒を流す特定の流路を選択できるので、ケースの固有値(共振周波数)を効果的に制御できる。
【0051】
[付記2]
前記複数の流路は、互いに軸方向について異なる位置で、それぞれ周方向に延設されている、付記1に記載のモータ。
【0052】
付記2の構成によれば、径方向の寸法の短いケース内において、各流路に充分な断面積を与えることができる。
【0053】
[付記3]
前記複数の流路は、前記冷媒の流れる方向と直交する方向の断面について、互いに異なる断面積を有する、付記1または付記2に記載のモータ。
【0054】
付記3の構成によれば、複数の流路の断面積が互いに異なるため、ケースの実質的な重量や重量配分を効果的に調整できる。
【0055】
[付記4]
付記1~付記3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記ケースが収容されるハウジング(30)を備え、
前記ケースは、前記ハウジングに対して取り付けられる取付部(21)を有し、
前記複数の流路は、互いに前記取付部からの距離が異なる位置に配置されるモータ。
【0056】
付記4の構成によれば、複数の流路は、互いに取付部からの距離が異なる位置に配置されるので、実質的なケースの重量配分を細かく調整することができる。
【0057】
[付記5]
前記取付部は、軸方向における前記ケースの一端部に設けられたフランジである、付記4に記載のモータ。
【0058】
付記5の構成によれば、ケースがフランジを介してハウジングに取り付けられる。
【0059】
[付記6]
前記流路選択部は、
前記冷媒を溜める冷媒タンク(51)と、
前記冷媒タンクから前記冷媒を供給するポンプ(52)と、
前記ポンプから供給された前記冷媒を前記特定の流路に選択的に供給する供給弁(55A~55C)と、
選択されていない流路に選択的に大気圧を与え、前記冷媒を排出させる大気開放弁(56A~56C)と、
を備える、付記1~付記5のいずれか1項に記載のモータ。
【0060】
付記6の構成によれば、とくに供給弁と大気開放弁の開閉状態を制御することにより、流路内における媒体の有無を確実に制御することができる。
【0061】
[付記7]
付記1~付記6のいずれか1項に記載のステータコア支持装置において、
前記モータを制御する制御部(60)または前記モータの動作状態を検出する検出部(62)を備え、
前記流路選択部は、前記制御部または前記検出部から取得される前記モータの動作状態に応じて、前記特定の流路を切り替える、モータ。
【0062】
付記7の構成によれば、制御部または検出部から取得されるモータの動作状態に応じて、特定の流路を適切に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 ステータ
11 ステータコア
20 ケース
21 フランジ
30 ハウジング
40A~40C 流路
51 冷媒タンク
52 ポンプ
55A~55C 供給弁
56A~56C 大気開放弁
60 制御部
62 検出部
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図7B
図7C
図7D