IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日動電工株式会社の特許一覧

特開2022-133830ケーブル設置構造及びケーブル支持体
<>
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図1
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図2
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図3
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図4
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図5
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図6
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図7
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図8
  • 特開-ケーブル設置構造及びケーブル支持体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133830
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ケーブル設置構造及びケーブル支持体
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
E04B9/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032741
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390009999
【氏名又は名称】日動電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】川口 祐司
(57)【要約】
【課題】ケーブルに対して作業が行い易いケーブル設置構造及びケーブル支持体を提供する。
【解決手段】天井材2を支持する野縁3と、天井材2に設置されると共に天井裏空間Sからケーブル4が接続される接続対象物5と、ケーブル4を支持するケーブル支持体6と、を備え、ケーブル支持体6は、野縁3に取り付け自在な野縁取付部16と、野縁取付部16にて野縁3に取り付けられた状態でケーブル4を支持するケーブル支持部17と、を備えて、野縁取付部16にて野縁3における接続対象物5の設置位置Pの近くの部位に取り付け、且つ、接続対象物5の設置位置Pの近くでケーブル支持部17にてケーブル4を支持する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材を支持する野縁と、前記天井材に設置されると共に天井裏空間からケーブルが接続される接続対象物と、前記ケーブルを支持するケーブル支持体と、を備え、
前記ケーブル支持体は、前記野縁に取り付け自在な野縁取付部と、前記野縁取付部にて前記野縁に取り付けられた状態で前記ケーブルを支持するケーブル支持部と、を備えて、前記野縁取付部にて前記野縁における前記接続対象物の設置位置の近くの部位に取り付けられ、且つ、前記接続対象物の設置位置の近くで前記ケーブル支持部にて前記ケーブルを支持しているケーブル設置構造。
【請求項2】
前記野縁は、底部と、前記底部における幅方向の両側から上方側に向けて延びる一対の壁部と、一対の前記壁部の夫々の上方側端部から幅方向の内側に突出する一対のリップ部と、を備え、
前記野縁取付部は、一対の前記リップ部の一方に係合する第1係合部と、一対の前記リップ部の他方に係合する第2係合部と、を備えている請求項1に記載のケーブル設置構造。
【請求項3】
前記第1係合部が、前記リップ部に係合した状態で前記底部に接する長さに形成されると共に前記野縁の長手方向に沿う長手方向視の形状が弧状に形成され、且つ、弾性変形可能に構成されている請求項2に記載のケーブル設置構造。
【請求項4】
前記野縁として、前記一対の壁部の間隔が第1間隔の幅狭野縁と、前記一対の壁部の間隔が前記第1間隔より広い第2間隔の幅広野縁と、があり、
前記野縁取付部は、前記第2係合部として、前記第1係合部との間隔が前記第1間隔に対応する間隔で備えられた幅狭用第2係合部と、前記第1係合部との間隔が前記第2間隔に対応する間隔で備えられた幅広用第2係合部と、を備えている請求項2又は3に記載のケーブル設置構造。
【請求項5】
前記第2係合部が、前記リップ部に対して上方側から係合する場合に前記リップ部に接触して前記第2係合部を幅方向の内側に案内する係合案内面を備えている請求項2から4のいずれか一項に記載のケーブル設置構造。
【請求項6】
前記ケーブル支持部が、前記野縁取付部の上方側であって、前記野縁取付部から設定距離以上離れた位置に備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載のケーブル設置構造。
【請求項7】
前記ケーブル支持部が、前記野縁取付部の上方側であって、前記野縁取付部に対して隣接した位置に備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載のケーブル設置構造。
【請求項8】
野縁に取り付け自在な野縁取付部と、前記野縁取付部にて野縁に取り付けられた状態で天井裏空間に設置されたケーブルを支持するケーブル支持部と、を備え、
前記野縁取付部は、前記野縁における長手方向の任意の位置に取り付け自在に構成され、
前記ケーブル支持部は、前記野縁取付部にて前記野縁に取り付けられた状態で前記ケーブルを支持自在に構成されているケーブル支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井裏空間にケーブルを設置する場合に利用可能なケーブル支持体及びケーブル設置構造で、特に、天井裏空間に設置したケーブルを支持するケーブル支持体、及び、このケーブル支持体に加えて、天井材を支持する野縁と、前記天井材に設置されると共に天井裏空間からケーブルが接続される接続対象物と、を備えたケーブル設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天井材を支持する野縁を備えた天井材支持構造が示されている。このような天井材支持構造において、ケーブルを接続する接続対象物を天井材に設置する場合、接続対象物の設置位置からケーブルに対して作業を行う場合がある。説明を加えると、天井材における接続対象物を設置する位置に孔を空け、天井材の下方側から孔に手を差し込んでケーブルを接続対象物に接続する作業を行った後、その接続対象物を天井材の孔に設置する場合がある。そして、特許文献1には、野縁を吊りボルトによって吊り下げ支持する構成が示されており、特許文献2には、吊りボルトに固定された支持具にケーブルを支持する構成が示されている。つまり、特許文献1のような天井材支持構造においてケーブルを支持する場合、吊りボルトに引用文献2に示されている支持具を固定し、その支持具にケーブルを支持することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-193886号公報
【特許文献2】特開2017-089828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、天井材における接続対象物の設置位置から吊りボルトの位置が離れている場合があり、このような場合には、接続対象物の設置位置から支持具に支持されたケーブルに対して作業が行い難いために、ケーブルを接続対象物に接続することが難しいことや、設置位置から離れているケーブルに対して作業を行うことでケーブルを破損させてしまうことが想定される。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ケーブルに対して作業が行い易いケーブル設置構造及びケーブル支持体を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケーブル設置構造の第1特徴構成は、天井材を支持する野縁と、前記天井材に設置されると共に天井裏空間からケーブルが接続される接続対象物と、前記ケーブルを支持するケーブル支持体と、を備え、
前記ケーブル支持体は、前記野縁に取り付け自在な野縁取付部と、前記野縁取付部にて前記野縁に取り付けられた状態で前記ケーブルを支持するケーブル支持部と、を備えて、前記野縁取付部にて前記野縁における前記接続対象物の設置位置の近くの部位に取り付けられ、且つ、前記接続対象物の設置位置の近くで前記ケーブル支持部にて前記ケーブルを支持している点にある。
【0007】
本構成によれば、接続対象物の設置位置の近くに保持されたケーブル支持体にケーブルが支持されているため、接続対象物の設置位置からケーブル支持体に支持されたケーブルに対して作業が行い易くなり、ケーブルをケーブル支持体から設置位置まで延ばす作業や、ケーブルを接続対象物に接続する作業が行い易くなる。
【0008】
本発明のケーブル設置構造の第2特徴構成は、前記野縁は、底部と、前記底部における幅方向の両側から上方側に向けて延びる一対の壁部と、一対の前記壁部の夫々の上方側端部から幅方向の内側に突出する一対のリップ部と、を備え、
前記野縁取付部は、一対の前記リップ部の一方に係合する第1係合部と、一対の前記リップ部の他方に係合する第2係合部と、を備えている点にある。
【0009】
本構成によれば、野縁取付部の第1係合部と第2係合部とを一対のリップ部に係合させることで、ケーブル支持部を自立させることができる。そのため、ケーブル支持部を野縁に固定するための固定具を別途用意する必要がなく、野縁取付部を野縁に保持する作業が容易となる。
【0010】
本発明のケーブル設置構造の第3特徴構成は、前記第1係合部が、前記リップ部に係合した状態で前記底部に接する長さに形成されると共に前記野縁の長手方向に沿う長手方向視の形状が弧状に形成され、且つ、弾性変形可能に構成されている点にある。
【0011】
本構成によれば、第1係合部が弾性変形してリップ部と底部との間に挟まるようにリップ部に係合することで、第1係合部を弾性的にリップ部に係合させることができ、野縁取付部の野縁に対する保持が適切に行い易くなる。
【0012】
本発明のケーブル設置構造の第4特徴構成は、前記野縁として、前記一対の壁部の間隔が第1間隔の幅狭野縁と、前記一対の壁部の間隔が前記第1間隔より広い第2間隔の幅広野縁と、があり、
前記野縁取付部は、前記第2係合部として、前記第1係合部との間隔が前記第1間隔に対応する間隔で備えられた幅狭用第2係合部と、前記第1係合部との間隔が前記第2間隔に対応する間隔で備えられた幅広用第2係合部と、を備えている点にある。
【0013】
本構成によれば、第1係合部と幅狭用第2係合部とを利用することで野縁取付部を幅狭野縁に保持することができ、第1保持部と幅広用第2係合部とを利用することで野縁取付部を幅広野縁に保持することができる。このように、1つのケーブル支持体を幅狭野縁と幅狭野縁とのいずれにも保持することができるため、ケーブル支持体の使い勝手が良くなる。また、野縁取付部を幅狭野縁に保持する場合と幅広野縁に保持する場合とで野縁取付部の第1係合部を兼用することで、野縁取付部の大型化を抑制することができる。
【0014】
本発明のケーブル設置構造の第5特徴構成は、前記第2係合部が、前記リップ部に対して上方側から係合する場合に前記リップ部に接触して前記第2係合部を幅方向の内側に案内する係合案内面を備えている点にある。
【0015】
本構成によれば、第2係合部をリップ部に対して上方側から押し込む操作を行うことで、リップ部に接触した第2係合部を係合案内面によって一旦幅方向の内側に案内させて第2係合部をリップ部に係合させることができるため、第2係合部の係合作業が行い易くなる。
【0016】
本発明のケーブル設置構造の第6特徴構成は、前記ケーブル支持部が、前記野縁取付部の上方側であって、前記野縁取付部から設定距離以上離れた位置に備えられている。
【0017】
本構成によれば、ケーブル支持部によってケーブルを野縁及び天井材から上方側に離した状態で支持し易い。そのため、ケーブルが天井材やその天井材の上面に設置された断熱材等に接することによってケーブルの放熱が阻害されることを回避できる。
【0018】
本発明のケーブル設置構造の第7特徴構成は、前記ケーブル支持部が、前記野縁取付部の上方側であって、前記野縁取付部に対して隣接した位置に備えられている。
【0019】
本構成によれば、ケーブル支持部によってケーブルを野縁及び天井材の上方側の近くに支持し易い。そのため、ケーブルを天井材の上面に沿って設置し易い。
【0020】
本発明のケーブル支持体の特徴構成は、野縁に取り付け自在な野縁取付部と、前記野縁取付部にて野縁に取り付けられた状態で天井裏空間に設置されたケーブルを支持するケーブル支持部と、を備え、前記野縁取付部は、前記野縁における長手方向の任意の位置に取り付け自在に構成され、前記ケーブル支持部は、前記野縁取付部にて前記野縁に取り付けられた状態で前記ケーブルを支持自在に構成されている点にある。
【0021】
本構成によれば、野縁における接続対象物の設置位置の近くの個所に野縁取付部を取り付け、ケーブル支持部にてケーブルを支持することで、接続対象物の設置位置からケーブル支持部に支持されたケーブルに対して作業が行い易くなり、ケーブルをケーブル支持部から設置位置まで延ばす作業や、ケーブルを接続対象物に接続する作業が行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態におけるケーブルを接続対象物に接続した状態を示すケーブル設置構造の斜視図
図2】第1実施形態におけるケーブルを接続対象物に接続する前の状態を示すケーブル設置構造の斜視図
図3】第1実施形態におけるケーブル支持体の斜視図
図4】第1実施形態におけるケーブル支持体を幅狭野縁に取り付けた状態を示す側面図
図5】第1実施形態におけるケーブル支持体を幅広野縁に取り付けた状態を示す側面図
図6】第1実施形態におけるケーブル支持体を幅狭野縁に取り付ける途中の状態を示す側面図
図7】第2実施形態におけるケーブルを接続対象物に接続した状態を示すケーブル設置構造の斜視図
図8】第2実施形態におけるケーブルを接続対象物に接続する前の状態を示すケーブル設置構造の斜視図
図9】第2実施形態におけるケーブル支持体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明に係るケーブル設置構造の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、建物の一例であるオフィスビルに採用されたケーブル支持構造1を斜め上方側から見下ろした状態を示している。このケーブル支持構造1は、天井材2を支持する野縁3と、天井材2に設置されると共に天井裏空間Sからケーブル4が接続される接続対象物5と、ケーブル4を支持するケーブル支持体6と、を備えている。
【0024】
ケーブル支持構造1は、上述の野縁3と接続対象物5とケーブル支持体6とに加えて、上階の床スラブ(図示せず)の下面に埋設された複数の吊りボルト7と、吊りボルト7の下方側の端部に接続された複数の野縁受け8と、を備えている。そして、野縁3の上方側であって野縁受け8同士の間に、鎖線で示したマット材9が設置されている。マット材9は、グラスウール等で構成されており、防音材や断熱材として設けられている。尚、以下、ケーブル支持構造1の各構成を説明するにあたり、野縁受け8の長手方向が沿う方向をX方向とし、上下方向視でX方向に対して直交する方向をY方向として説明する。
【0025】
野縁受け8は、例えば、C型鋼などの金属材で製作された長尺材にて構成され、X方向に延びる姿勢で設置されている。また、野縁受け8は、Y方向に沿って一定間隔で並ぶ状態で複数配設されている。野縁受け8の夫々は、直上に位置する吊りボルト7の下方側の端部に接続されており、吊りボルト7を介して上階の床スラブに吊り下げ支持されている。
【0026】
野縁3は、例えば、アルミ合金やスチールなどの金属材で製作された長尺材にて構成され、Y方向に延びる姿勢で設置されている。また、野縁3は、X方向に沿って一定間隔で並ぶ状態で複数設置されている。野縁3の夫々は、Y方向に並ぶ複数の野縁受け8に接続されており、複数の野縁受け8によって支持されている。
【0027】
図4及び図5に示すように、野縁3は、底部11と、底部11におけるX方向(幅方向)の両側から上方側に向けて延びる一対の壁部12と、一対の壁部12の夫々の上方側端部から幅方向の内側に突出する一対のリップ部13と、を備えている。一対の壁部12は同じ形状に形成されており、一対の壁部12の底部11からの高さは同じ高さとなっている。また、一対のリップ部13は同じ形状に形成されており、一対のリップ部13の壁部12からの突出量は同じとなっている。つまり、野縁3のX方向の一方側にある壁部12及びリップ部13と野縁3のX方向の他方側にある壁部12及びリップ部13とは対称となる形状となっている。
【0028】
野縁3として、一対の壁部12の間隔が第1間隔W1の幅狭野縁3a(図4参照)と、一対の壁部12の間隔が第1間隔W1より広い第2間隔W2の幅広野縁3b(図5参照)と、がある。幅狭野縁3aと幅広野縁3bとは、一対の底部11のX方向の幅が異なる点以外は同じ形状に形成されており、幅狭野縁3aと幅広野縁3bとで、一対の壁部12の底部11からの高さやリップ部13の壁部12からの突出量は同じとなっている。
【0029】
接続対象物5は、天井材2に空けた孔2aに位置するように設置されている。詳しくは、接続対象物5は、天井材2に対して上下方向の両側に突出する状態で孔2aに位置するように設置されている。本実施形態では、接続対象物5を、ダウンライトや火災報知機やスピーカー等の給電が必要な装置としており、ケーブル4を、接続対象物5に電力を供給するための給電線としている。尚、接続対象物5を、情報を送受信する装置とし、ケーブル4を、通信線としてもよい。
【0030】
図3から図5に示すように、ケーブル支持体6は、野縁3に取り付け自在な野縁取付部16と、野縁取付部16にて野縁3に取り付けられた状態でケーブル4を支持するケーブル支持部17と、を備えている。ケーブル支持体6は、野縁取付部16にて野縁3における接続対象物5の設置位置P(図1参照)の近くの部位に取り付けられ、且つ、接続対象物5の設置位置Pの近くでケーブル支持部17にてケーブル4を支持している。尚、ケーブル支持体6について説明するにあたり、図4及び図5に示すようにケーブル支持体6を野縁3に取り付けた状態に基づいて、X方向の一方側(図4及び図5における左側、以下、X方向の一方側を左側と称する)及び他方側(図4及び図5における右側、以下、X方向の他方側を右側と称する)を定義して説明する。
【0031】
本実施形態では、ケーブル支持部17が、野縁取付部16の上方側であって、野縁取付部16から設定距離離れた位置に備えられている。説明を加えると、ケーブル支持体6は、ケーブル支持体6の下方側の端部に野縁取付部16を備え、ケーブル支持体6の上方側の端部にケーブル支持部17を備え、上下方向における野縁取付部16とケーブル支持部17との間に接続部18を備えている。このように、野縁取付部16とケーブル支持部17との間に接続部18が備えられていることで、ケーブル支持部17が、野縁取付部16の上方側に野縁取付部16から設定距離離れて位置している。尚、設定距離は、接続部18の上下方向の長さと同じであり、マット材9の上下方向の厚みより大きい値となっている。本実施形態では、野縁取付部16とケーブル支持部17と接続部18とは一体形成されており、ケーブル支持体6は樹脂材によって構成されている。
【0032】
野縁取付部16は、一対のリップ部13の一方に係合する第1係合部21と、一対のリップ部13の他方に係合する第2係合部22と、を備えている。野縁取付部16は、第1係合部21を一対のリップ部13の一方に係合させ、第2係合部22を一対のリップ部13の他方に係合させることで、野縁3に取り付けるように構成されている。つまり、野縁取付部16は、野縁3の左側にあるリップ部13を一方のリップ部13とし、野縁3の右側にあるリップ部13を他方のリップ部13として野縁3に取り付けることができると共に、野縁3の右側にあるリップ部13を一方のリップ部13とし、野縁3の左側にあるリップ部13を他方のリップ部13として野縁3に取り付けることができる。要するに、野縁取付部16は、図4図5に示す姿勢と、この姿勢から野縁3に対する姿勢を上下方向に沿う軸心周りに180°回転させた姿勢と、で野縁3に取り付けることが可能となっている。
【0033】
野縁取付部16は、野縁3におけるY方向のいずれの位置でも取り付けが可能となっており、Y方向において設置位置Pと同じ位置に取り付け可能となっている。尚、図1及び図2に示す状態では、野縁取付部16は、設置位置Pに対して最も近い吊りボルト7よりも設置位置Pに近い位置に取り付けられている。また、設置位置Pに対して隣接する野縁3における、設置位置Pに対して最も近い吊りボルト7よりも設置位置Pに近い部位を、接続対象物5の設置位置Pの近くの部位としている。
【0034】
図4及び図5に示すように、第1係合部21が、リップ部13に係合した状態で底部11に接する長さに形成されると共にY方向(野縁3の長手方向)に沿う長手方向視の形状が弧状に形成され、且つ、弾性変形可能に構成されている。第2係合部22は、リップ部13に対して上方側から係合する場合にリップ部13に接触して第2係合部22をX方向(幅方向)の内側に案内する係合案内面23を備えている。また、野縁取付部16は、第2係合部22として、第1係合部21との間隔が第1間隔W1に対応する間隔で備えられた幅狭用第2係合部22a(図4参照)と、第1係合部21との間隔が第2間隔W2に対応する間隔で備えられた幅広用第2係合部22b(図5参照)と、を備えている。
【0035】
野縁取付部16の基部24には連結部25が備えられている。この連結部25は、基部24の左側の端部から下方側に延出すると共にその下方側の端部から左側に延出する逆L字状に係止されている。第1係合部21は、連結部25の先端部に連結されている。第1係合部21は、連結部25の先端部から上方側に向けて延出する上係合部26と、連結部25の先端部から下方側に向けて延出する下係合部27と、を備えている。下係合部27は、上係合部26に比べて上下方向に長く形成されていると共にX方向の厚みが薄く形成されている。そのため、下係合部27は、上係合部26に比べて変形し易い構成となっている。
【0036】
上係合部26は、左側を向く面が上方側ほど右側に位置する円弧状に形成されているため、ケーブル支持体6を左側に傾けた姿勢で、上係合部26を左側のリップ部13に係合させ易くなっている。そして、このように係合させた状態から、ケーブル支持体6を図4及び図5に示す姿勢となるように右側に揺動させることで、下係合部27が底部11に接触して弾性変形して第1係合部21が左側のリップ部13と底部11との間に挟まり、第1係合部21が左側のリップ部13に係合した状態に保持できるようになっている。
【0037】
幅狭用第2係合部22aは、野縁取付部16の基部24から下方側に延出すると共にその下方側の端部から右側に延出するL字状に形成されている。図4に示すようにケーブル支持体6を幅狭野縁3aに取り付ける場合において、図6に示すように上係合部26を左側のリップ部13に係合させた状態から、上係合部26を左側のリップ部13と底部11との間に挟むようにケーブル支持体6を図4に示す姿勢に揺動させることで、幅狭用第2係合部22aが右側のリップ部13に対して上方側から押し込む操作が行われる。このような操作が行われることで、幅狭用第2係合部22aの係合案内面23に接触した右側のリップ部13が一旦右側に押し広げられた後に左側に復帰して、幅狭用第2係合部22aが右側のリップ部13に係合する。このように、野縁取付部16を幅狭野縁3aに取り付ける場合、第1係合部21が左側のリップ部13に係合した状態で幅狭用第2係合部22aが右側のリップ部13に係合する。
【0038】
幅広用第2係合部22bは、幅狭用第2係合部22aと同様にL字状に形成されている。図5に示すようにケーブル支持体6を幅広野縁3bに取り付ける場合において、上係合部26を左側のリップ部13と底部11との間に挟むようにケーブル支持体6を図5に示す姿勢に揺動させることで、幅広用第2係合部22bが右側のリップ部13に対して上方側から押し込む操作が行われる。このような操作が行われることで、幅広用第2係合部22bの係合案内面23に接触した右側のリップ部13が一旦右側に押し広げられた後に左側に復帰して、幅広用第2係合部22bが右側のリップ部13に係合する。このように、野縁取付部16を幅広野縁3bに取り付ける場合、第1係合部21が左側のリップ部13に係合した状態で幅広用第2係合部22bが右側のリップ部13に係合する。
【0039】
図3から図5に示すように、野縁取付部16は、基部24の下面から下方側に向けて突出する突出部28を備えている。突出部28は、基部24のY方向の幅より狭い形状に形成されていると共に、X方向に沿って形成されている。突出部28は、X方向において、基部24の下面における第1係合部21や第2係合部22が備えられていない部分に備えられている。このように突出部28を備えることで、野縁取付部16の強度を高めていると共に、野縁取付部16を野縁3に取り付けた状態において第2係合部22が係合している右側のリップ部13に対して突出部28が上方側から接触するように構成されている。
【0040】
ケーブル支持部17は、第1壁部31及び第2壁部32を備えて上方側に向けて開口するU字状の本体部33と、第1壁部31の上方側の端部から第2壁部32に向けて突出する係止部34と、を備えている。係止部34は弾性変形可能に構成されており、係止部34に対して上方側からケーブル4を押し付けることで、係止部34が第2壁部32との間隔が大きくなるように弾性変形するため、このように係止部34を変形させることで、ケーブル4を本体部33の開口から本体部33に押し込むことができ、ケーブル4を本体部33に挿通させることができる。
【0041】
接続部18は、第1板部36と第2板部37とを備えている。第1板部36及び第2板部37の夫々は、下方側の端部が野縁取付部16に連結され、上方側の端部がケーブル支持部17に連結されている。第1板部36は、上下方向及びY方向に沿う板状の部材であり、第2板部37は上下方向及びX方向に沿う板状の部材であり、第2板部37の左側の端部が第1板部36のY方向の中央部に連結されている。
【0042】
接続部18は、ビニールを被覆させた針金等の紐材(図示せず)を挿通可能な貫通孔38が形成されている。本実施形態では、貫通孔38は、Y方向に貫通する状態で第2板部37の上端部に形成されている。この貫通孔38に挿通させた紐材を、ケーブル支持部17に支持させたケーブル4と共に接続部18に結びつけることで、ケーブル4がY方向に移動しないようにケーブル4を保持することができるようになっている。
【0043】
次に、第1実施形態のケーブル支持構造1の設置手順について説明する。第1実施形態のケーブル支持構造1は、まず、図2に示すように、野縁受け8を吊りボルト7によって吊り下げ支持させ、その野縁受け8に野縁3を支持させる。そして、野縁3における接続対象物5の設置位置P(図1参照)の近くの部位にケーブル支持体6を設置し、このケーブル支持体6にケーブル4を支持させる。次に、図1に示すように、野縁3の上方側にマット材9を設置する。この場合、マット材9は、ケーブル4の下方側に設置する。その後、天井材2を設置し、天井材2における設置位置Pに孔2aを空け、この孔2aを利用して天井裏空間Sにおいてケーブル4を接続対象物5に接続し、接続対象物5を設置位置Pに設置する。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係るケーブル支持構造及びケーブル支持体の第2実施形態について図面に基づいて説明するが、主に第1実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と同様に構成されている部分については説明を省略する。
【0045】
図9に示すように、ケーブル支持部17は、野縁取付部16の上方側であって、野縁取付部16に対して隣接した位置に備えられている。本実施形態では、野縁取付部16の基部24の一部によってケーブル支持部17の第1壁部31が構成されており、ケーブル支持体6が接続部18を備えていないため、ケーブル支持部17は野縁取付部16から設定距離未満の位置に備えられており、ケーブル支持部17が野縁取付部16に対して隣接して位置している。ケーブル支持部17の本体部33は、第1壁部31と第2壁部32とを備えてX方向に向けて開口するU字状となるようにケーブル支持体6に備えられている。
【0046】
第2実施形態のケーブル支持構造1は、まず、図8に示すように、野縁受け8を吊りボルト7によって吊り下げ支持させ、その野縁受け8に野縁3を支持させる。そして、野縁3における接続対象物5の設置位置P(図7参照)の近くの部位にケーブル支持体6を設置し、このケーブル支持体6にケーブル4を支持させる。次に、図7に示すように、野縁3の上方側にマット材9を設置する。この場合、マット材9は、ケーブル4やケーブル支持体6の上方側に設置する。その後、天井材2を設置し、天井材2における設置位置Pに孔2aを空け、この孔2aを利用して天井裏空間Sにおいてケーブル4を接続対象物5に接続し、接続対象物5を設置位置Pに設置する。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0048】
(1)上記実施形態では、野縁取付部16が第1係合部21と第2係合部22とを備え、野縁3の一対のリップ部13を利用して野縁取付部16を野縁3に取り付ける構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、野縁取付部16にリップ部13を挟持する挟持部を備えて挟持部によってリップ部13を挟持することによって野縁取付部16を野縁3に取り付ける構成とする等、野縁取付部16における野縁3に取り付ける構成は適宜変更してもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、野縁取付部16の第1係合部21を野縁3の底部11に接する長さに形成すると共に弧状に形成する例を説明した。しかし、野縁取付部16の第1係合部21の形状は適宜変更してもよい。また、同様に、野縁取付部16の第2係合部22についても形状は適宜変更してもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、野縁取付部16が、第2係合部22として幅狭用第2係合部22aと幅広用第2係合部22bとを備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、野縁取付部16が、第2係合部22として幅狭用第2係合部22aと幅広用第2係合部22bとのうちのいずれか一方の係合部のみを備える構成としてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、第2係合部22に係合案内面23を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第2係合部22に係合案内面23を備えない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ケーブル支持構造
2 天井材
3 野縁
3a 幅狭野縁
3b 幅広野縁
4 ケーブル
5 接続対象物
6 ケーブル支持体
11 底部
12 壁部
13 リップ部
16 野縁取付部
17 ケーブル支持部
21 第1係合部
22 第2係合部
22a 幅狭用第2係合部
22b 幅広用第2係合部
23 係合案内面
P 設置位置
S 天井裏空間
W1 第1間隔
W2 第2間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9