(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133846
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ソース塗布装置
(51)【国際特許分類】
A21C 15/00 20060101AFI20220907BHJP
A23P 20/15 20160101ALI20220907BHJP
B05C 11/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A21C15/00 Z
A23P20/15
B05C11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032764
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】521089889
【氏名又は名称】TMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】京谷 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕典
(72)【発明者】
【氏名】伴 英樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 莞司
【テーマコード(参考)】
4B031
4B048
4F042
【Fターム(参考)】
4B031CA19
4B031CB07
4B031CB09
4B031CM02
4B048PE04
4B048PE08
4B048PN01
4B048PN20
4B048PN23
4F042AA01
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA27
4F042DD06
4F042DD16
4F042DD17
4F042DD18
4F042DD20
4F042DD22
4F042DD25
4F042DD45
4F042DF17
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】生地C上にむらなくソースSを自動的に塗ることができるようにして、ピザ等の食品の生産において、品質の低下を招くことなく、省力化と時間短縮を図る。
【解決手段】
複数の突起412が下面に設けられた塗布体41と、該塗布体41の周囲に設けられた押圧体42とを設け、前記押圧体42によって生地Cの周縁部を上から押さえるとともに、前記塗布体41を旋回させ、その下面と生地Cとの間にあるソースSを該生地Cに伸ばしながら塗布するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピザやお好み焼き等の生地上にソースを塗布するものであって、
複数の突起が下面に設けられた塗布体と、
該塗布体の周囲に設けられた押圧体と、
前記押圧体及び塗布体を所定の上位置と下位置との間で上下動させる上下動アクチュエータと、
前記塗布体を水平旋回させる旋回アクチュエータと、
前記上下動アクチュエータ及び旋回アクチュエータを制御する制御装置とを備え、
該制御装置による制御によって、前記押圧体及び塗布体が前記上位置から下位置に移動し、前記押圧体が生地の周縁部を上から押さえる一方で、前記塗布体が旋回してその下面と生地との間にあるソースを伸ばしながら該生地に塗布することを特徴とするソース塗布装置。
【請求項2】
前記押圧体は円環状をなすものであり、
前記塗布体は円盤状をなし、前記押圧体の内周に略隙間なく嵌まり込むものであることを特徴とする請求項1記載のソース塗布装置。
【請求項3】
ソースの塗布時に、前記塗布体が正方向と逆方向とに交互に旋回することを特徴とする請求項1又は2記載のソース塗布装置。
【請求項4】
前記突起の少なくとも先端部が滑らかに形成してあることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のソース塗布装置。
【請求項5】
前記突起が略半球状をなすものであることを特徴とする請求項4記載のソース塗布装置。
【請求項6】
前記突起が塗布体下面の略全面に亘って設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のソース塗布装置。
【請求項7】
前記突起が塗布体下面の中央部を除く略全面に亘って設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のソース塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピザやお好み焼き等の生地上にソースを塗布するソース塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピザは、周知のように、生地上にソースを塗り、その上に具材を載せて窯やオーブンで焼くことで完成するが、近時では、工場等で大量生産され、スーパーやコンビニ、通販サイトなどで販売されるピザもある。
【0003】
このようなピザを生産する際の問題点の1つにソースを塗る工程(ソース塗布工程)がある。このソース塗布工程では、ソースをできるだけ均一に、かつはみ出ることなくピザ上に塗ることが好ましいが、この工程が現状ではスプーンやヘラなどを用いて人手で行われており、熟練した作業者を多数確保しない限り、生産速度を上げることができない。また、人手に頼っているがために、この工程での大幅な費用の削減が難しい。
そこで、特許文献1や特許文献2に示されているように、このソース塗布工程を自動で行う装置も考えられている。
【0004】
しかしながら、結局のところ、このようなものでは、ソースを均一に塗ることが難しく、現在でも、ソース塗布工程を依然人手で行っているのが実情である。特に、玉ねぎのみじん切りなどの微小固形物が混在するソースは、前述の装置で均等に塗布することはほとんどできない。
このような問題点は、お好み焼きやクレープなど、生地上にソースを塗る食材すべてに共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-121951号公報
【特許文献2】特開昭59-119194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであって、その所期課題は、ピザ等の食品の生産において、品質の低下を招くことなく、省力化と時間短縮を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係るソース塗布装置は、ピザやお好み焼き等の生地上にソースを塗布するものであって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
【0008】
(1)下面に複数の突起が設けられた塗布体。
(2)該塗布体の周囲に設けられた押圧体。
(3)前記押圧体及び塗布体を予め定められた上位置と下位置との間で上下動させる上下動アクチュエータ。
(4)前記塗布体を水平旋回させる旋回アクチュエータ。
(5)前記上下動アクチュエータ及び旋回アクチュエータを制御することによって、前記塗布体及び押圧体を上位置から下位置に移動させ、前記押圧体には生地の周縁部を上から押さえさせるとともに、前記塗布体には旋回してその下面と生地との間にあるソースを伸ばしながら該生地に塗布させる制御装置。
【0009】
上述した構成の本発明によれば、塗布体下面に設けられた複数の突起によって、生地に多少の凹凸があっても、該生地上にむらなくソースを塗ることができる。しかして、かかる作用効果は、本発明者の試行錯誤を含む鋭意検討により初めて見出されたものである。
【0010】
本発明の具体的な実施態様としては、前記押圧体が円環状をなすものであり、前記塗布体が円盤状をなし、前記押圧体の内周に略隙間なく嵌まり込むものを挙げることできる。
【0011】
このような構成であれば、前記押圧体によって生地の周縁全部が押さえられるので、確実に生地を座面に固定できるだけでなく、該押圧体の内周部分にのみソース塗布が塗布されるので、その塗布領域を一定にできる。さらに、ソースは、押圧体、塗布体及び生地に閉じ込められて逃げ場がないため、塗布体の旋回によって、よりムラなく生地に塗布されるという効果も得られる。これに対し、例えば塗布体を半円状にしたり、あるいは、塗布体の直径を押圧体の内周径よりも小さくしたりして、生地の上面の一部が空いた状態とした場合は、その空いた部分にソースが逃げ、塗布体を繰り返し旋回させてもソースの塗布状態にムラが残る場合がある。
【0012】
ソースの塗りムラをさらに低減させるには、ソースの塗布時に、前記塗布体が正方向と逆方向とに交互に旋回するようにしておくことが好ましい。
生地に傷がつきにくいようにし、しかも塗りムラを低減するためには、前記突起の少なくとも先端部が滑らかに形成してあることが望ましい。
具体的な実施態様としては、前記突起が略半球状をなすものを挙げることができる。
前記突起は、塗布体下面の略全面に亘って設けられていてもよいし、塗布体下面の中央部を除く略全面に亘って設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べた本発明に係るソース塗布装置によれば、生地上にむらなくソースを自動的に塗ることができるので、ピザ等の食品の生産において、品質の低下を招くことなく、省力化と時間短縮を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態におけるソース塗布装置の全体を示す概略斜視図である。
【
図2】同実施形態におけるソース塗布装置の正面図である。
【
図3】同実施形態におけるソース塗布装置の側面図である。
【
図4】同実施形態におけるソース塗布装置の押圧体及び塗布体の斜視図である。
【
図5】同実施形態における塗布体の底面図及び下方から視た斜視図である。
【
図6】同実施形態におけるソース塗布装置による、ピザにソースを塗布する際の動作を示す動作説明図である。
【
図7】同実施形態におけるソース塗布装置による、ピザにソースを塗布する際の動作を示す動作説明図である。
【
図8】同実施形態におけるソース塗布装置による、ピザにソースを塗布する際の動作を示す動作説明図である。
【
図9】同実施形態におけるソース塗布装置による、ピザにソースを塗布する際の動作を示す動作説明図である。
【
図10】同実施形態におけるソース塗布装置による、ピザにソースを塗布する際の動作を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[構成]
図1~
図3に本実施形態におけるソース塗布装置100の全体概略図を示す。
このソース塗布装置100は、ベルトコンベア等の搬送装置200上に等間隔に一列で並べられて次々搬送されてくるピザの生地CにソースSを塗布するものであり、以下の各部を備えている。
【0017】
(1)床上に設置された基台1
(2)該基台1上に水平移動可能に設置されたスライド体2
(3)該スライド体2に上下動可能に保持された上下動体3
(4)該上下動体3に支持された塗布機構4
(5)複数のアクチュエータ
(6)前記アクチュエータを制御する制御装置(図示しない)
次に前記各部について説明する。
【0018】
(1)基台1
該基台1は、矩形板状をなすSUS等の金属製のものであり、ここでは可動台W上に設置されている。
【0019】
(2)スライド体2
該スライド体2は、底板部材21と該底板部材21の奥辺部から立ち上がる起立部材22とを備えた、側方から視て概略L字形状をなすSUS等の金属製ものである。この実施形態では、このスライド体2の底板部材21と前記基台1との間に、左右に延びるレール及びレール溝からなるスライド機構51が設けられており、このスライド機構51を介して、該スライド体2は、
図1の紙面における左右方向にスライド移動可能に前記基台1に支持されている。
【0020】
(3)上下動体3
該上下動体3は、起立する柱状部材31と、この柱状部材31に後側を固着された水平に展伸する支持板32とを備えたSUS等の金属製のものである。この実施形態では、前記柱状部材31と前記スライド体2の起立部材22との間に、上下に延びるレール及びレール溝からなる第2スライド機構52が設けられており、この第2スライド機構52を介して、該上下動体3は上下にスライド移動可能に、前記スライド体2に支持されている。
【0021】
(4)塗布機構4
該塗布機構4は、
図4等に示すように生地C上のソースSを伸ばして塗布する塗布体41と、生地Cが回転しないようにその周囲を押さえる押圧体42とを備えたものである。この実施形態では、この塗布機構4が左右にそれぞれ1つずつ設けられており、その間隔が前記生地Cの搬送間隔と等しくなるように設定してある。
【0022】
(4-1)塗布体41
該塗布体41は、
図5、
図1~
図4等に示すように、円盤状をなす塗布体本体411と、この塗布体本体411の下面から一体に突出する複数の突起412とから構成された樹脂製又は錆びにくいSUS等の金属製のものである。
【0023】
前記塗布体本体411は、その直径がピザ生地Cの直径よりもやや小さく設定されたものである。その厚みは均等でも構わないが、この実施形態では、中央部が最も厚く、外側に向かうほど厚みが少しずつ小さくなるように構成されている。
【0024】
前記突起412は、ここでは、前記塗布体本体411の下面の略全面にほぼ均等に配置された概略半球状をなすものであり、各突起412の形状及び寸法は同一にしてある。
【0025】
上述した構成の塗布体41は左右ともに同形状であり、それら左右の塗布体41が、共通する1つの前記支持板32によって水平かつ自転旋回可能に支持されている。具体的に説明する。
【0026】
前記支持板32の前側からは、
図1、
図2等に示すように、シャフト41aが回転可能に垂下させてあり、このシャフト41aの先端(下端)に帯状をなす中間支持板41bが水平に取り付けてある。さらにこの中間支持板41bの両端からそれぞれが垂下させてあり、これら一対の支軸41cの下端に該塗布体41が、前記シャフト41aと同軸となるように取り付けられている。この支軸41cは、前記中間支持板41bに設けられた貫通孔に挿通させてあるとともに、該支軸41cの上端部に取り付けられたリング材41dが該中間支持板41bの上面に引っかかって下方に抜けないようにしてある。このような構成により、前記支軸41c及びこれに支持された塗布体41が中間支持板41bに対して上下動可能に吊り下げられている。
【0027】
また、この支軸41cにはコイルばね41eが外嵌させてあり、支軸41c及びこれに支持された塗布体41が、吊り下げられた自然状態から中間支持板41bに対して上動した際に、このコイルばね41eが収縮し、塗布体41に下向きの力を付勢するように構成してある。
【0028】
(4-2)押圧体42
該押圧体42は、
図1~
図4等に示すように、その下面が平らな円環状をなす樹脂製又は錆びにくいSUS等の金属製のものである。また、その中心孔41aの直径は、前記塗布体41の直径と同一又はやや大きく設定されており、前記塗布体41がこの中心孔41aにほぼ隙間なく嵌まり込むように構成されている。
【0029】
上述した構成の押圧体42は、前記塗布体41同様、左右ともに同形状であり、それら左右の押圧体42が、共通する1つの前記支持板32によって水平に支持されている。具体的に説明する。
【0030】
前記支持板32の前側からは一対の第2支軸42cが垂下させてあり、これら第2支軸42cの下端に該押圧体42が取り付けられている。この第2支軸42cは、前記支持板32に設けられた貫通孔に挿通させてあり、該第2支軸42cの上端部に取り付けられたリング材42dが前記支持板32の上面に引っかかることにより、該第2支軸42c及びこれに支持された押圧体42が支持板32に対して上下動可能に吊り下げられている。また、この第2支軸42cにはコイルばね42eが外嵌させてあり、該第2支軸42c及びこれに支持された押圧体42が、吊り下げられた自然状態から支持板32に対して上動した際に、前記コイルばね42eが収縮し、押圧体42に下向きの力を付勢するように構成してある。
【0031】
なお、支持板32によって吊り下げられた自然状態において、該押圧体42の下端は、前記塗布体41とほぼ同じ高さ又は塗布体41の下端よりもやや低くなるように設定してある。
【0032】
(5)アクチュエータ
本実施形態では、前記スライド体2を基台1に対して左右にスライド駆動するスライドアクチュエータ(図示しない)、前記上下動体3をスライド体2に対して上下動させる上下動アクチュエータ61、前記塗布体41を旋回駆動する旋回アクチュエータ62の3つが設けられている。
【0033】
前記スライドアクチュエータは、図示しないが、例えばステッピングモータと該ステッピングモータの回転をスライド体2の水平移動に変換する変換機構とによって構成されている。
【0034】
前記上下動アクチュエータ61は、例えば、ステッピングモータ(図示しない)と該ステッピングモータにの回転を上下動体3の上下移動に変換するシリンダ機構とによって構成されている。この実施形態では、シリンダ機構のボア部611が前記スライド体2の起立部材22に取り付けられており、このボア部611から上下に突没するシリンダ612の上端が前記支持板32の後端部に取り付けられて該支持板32を上下動させるように構成してある。
【0035】
前記旋回アクチュエータ62は、前記支持板32上に固定されたステッピングモータ621と、このステッピングモータ621の回転を、前記塗布体41を支持するシャフト41aに伝達する回転伝達機構とによって構成されている。この実施形態での回転伝達機構は、ステッピングモータ621の軸及び前記シャフト41aにそれぞれ取り付けられたプーリー622と、これらプーリー622間にかけ渡されて回転を伝える無端ベルト623とから構成されたものである。なお、この実施形態では、塗布体41が左右に設けられているが、これら2つの塗布体41を共通する1つの前記ステッピングモータ621で駆動し、これら塗布体41が同期して旋回するようにしてある。
【0036】
(6)制御装置
該制御装置は、図示しないCPU、メモリ、通信インタフェース、入出力インタフェース、前記アクチュエータを駆動するためのドライバなどを備えたいわゆるコンピュータであり、前記メモリに予め格納したプログラムに従ってその周辺機器が協動することにより、前記各アクチュエータを制御し、ピザ生地Cに自動的にソースSを塗布させるものである。
【0037】
[動作]
次に、この制御装置の機能説明を兼ねて、該ソース塗布装置100の動作を詳述する。
【0038】
前提構成として、このソース塗布装置100は、その左右方向を生地Cの搬送方向と合致させ、かつ、搬送方向からみて、塗布体41及び押圧体42が生地Cの直上に位置するように設置されている。また、搬送されてくる生地Cの中央部には前の工程でソースSが予め盛られている(まだ伸ばされていない)。
【0039】
さらに、搬送装置200又はソース塗布装置100の所定箇所には、超音波や光などを利用した位置センサ(図示しない)が設けられている。この位置センサは、ソースS塗布前の生地Cが所定位置に到達したことを検知し、その検知信号を前記制御装置に送信するように設定されている。
【0040】
以上の前提構成の下、ように、前記塗布体41及び押圧体42は、まず、
図7(a)に示す初期位置に位置づけられる。この初期位置とは、上下方向においては該塗布体41及び押圧体42の下面が生地Cよりも上方となり、搬送方向(左右方向)においては前記スライド体2が上流側寄りとなる所定の位置である。
【0041】
この状態で制御装置が前記検知信号を受信すると、最初の2つの生地Cが各塗布体41の真下に到達する所定時間後、スライド体2を生地搬送速度と同じ速度で下流側に移動させつつ、これとほぼ同時に、制御装置は、前記上下動体3を所定距離だけ下動させる。このことによって、前記各生地Cをそれぞれ一対の押圧体42(及び塗布体41)で直上から押圧する(
図7(b))。
【0042】
このときの上下動体3の下動距離は、
図6に示すように、予め定められている。具体的には、前記初期位置(
図6(a))から、上下動体3を下動させ、押圧体42(及び塗布体41)が生地Cに軽く接触する接触位置(
図6(b))よりも、さらに上下動体3を下動させた位置(押圧位置)まで下動する。
【0043】
この押圧位置では、前記接触位置と比較して、押圧体42(及び塗布体41)の高さ位置はほとんど変わらないが、上下動体3は、接触位置よりも下方にあり、その分だけコイルばね41e、42eが縮み、その反力で押圧体42(及び塗布体41)が生地を押圧することになる。
【0044】
この後も、制御装置は、上下動体3の高さ位置を維持しつつ、スライド体2を引き続きスライドさせる(
図8(c))。このことにより、押圧体42は、生地Cと同期して搬送方向に移動しながら該生地Cを押圧し続ける。
その所定時間後または所定距離スライド後、制御装置は、上下動体3を上動させて押圧体42及び塗布体41を生地Cから離脱させる(
図8(d))。
【0045】
他方、押圧体42に生地Cが接触し、または押圧している間、制御装置は、旋回アクチュエータ62を駆動して塗布体41を旋回させる。この実施形態では、正方向に1回転させた後(
図9(a)、(b))、中間位置で反転させて、逆方向に1回転させる(
図10(c)、(d))。このことにより、ソースSが伸ばされて生地C上にムラなく塗布される。
【0046】
なお、この実施形態では、塗布体41は、旋回しながら生地Cから離れるようにしてある。旋回を止めてから生地から離れるのに比べ、ムラのない塗布が可能となり、生地Cから離れる際に塗布体2に残るソースSの量も少なくなるからである。
その後、制御装置は、上下動体3を駆動して押圧体42及び塗布体41を前記初期位置に位置付け、前述同様の動作を繰り返す。
このことにより、このソース塗布装置100は、搬送されてくる生地CにソースSを次々塗布していく。
【0047】
[効果]
上述したソース塗布装置100によれば、塗布体41下面に設けられた複数の半球状の突起412によって、生地Cに多少の凹凸があっても、生地Cを傷つけることなく、むらなくソースSを塗ることができる。
【0048】
また、前記押圧体42が円環状で生地Cの周縁全部を押さえるので、確実に生地Cを座面に固定できる。さらに押圧体42の内周部分にのみソースS塗布が塗布されるので、その塗布領域を一定にできる。また、ソースSは、押圧体42、塗布体41及び生地Cに閉じ込められて逃げ場がないため、塗布体41の旋回によって、よりムラなく生地Cに塗布されるという効果も得られる。
【0049】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記押圧体及び塗布体は3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。これらを多数設けると、処理速度が増え、単位時間当たりの生産量を増加させることができる。他方、1つであれば、生地の搬送間隔にずれが生じても、それに対応してより確実に各生地にソースを塗布することができる。
【0050】
突起の形状は、半球状のものに限られない。例えば直方体状や、円錐状などでもよいが、半楕円球状など、先端部が滑らかな形状であればより好ましい。また、各突起が全て同形状、同寸法である必要はない。例えば中央部の突起が他の突起よりも高さは低いが面積が広いなどといったものでも構わない。さらに、突起は、塗布体下面の略全面に亘って設けられている必要はなく、塗布体下面の中央部を除く略全面に亘って設けられていてもよい。
【0051】
前記実施形態では押圧体42の内周にほぼ隙間なく塗布体41が嵌まり込むようにしていたが、ここにある程度の隙間を設けても構わない。例えば、周囲に盛り上がりのあるような生地においては、隙間を設けても不具合が生じない場合がある。
【0052】
押圧体は、円環状のものに限られない。生地の周縁部の少なくとも一部を押さえて固定できればよいのであって、部分円環状のものや、複数に分割されて生地の周縁部の複数点を押さえるようにしたものでもよい。周縁が盛り上がっているような生地の場合、このように部分的に押さえる押圧体でも、ソースが生地の外側にはみ出すことがほとんどない。
塗布体も円盤状に限られず、平面視、半円や多角形状、あるいはその他の異形状であっても構わない。
【0053】
塗布体の下面(突起も含む。)は、ソースの残存付着量が少ない方がよく、ソースの種類に合わせた仕上げにすればよい。例えば、ソースの種類により、光沢面にしてもよいし、ある程度ざらつかせた荒仕上面にしてもよい。また下面に被膜コーティングを施してソース残存付着量を軽減するなどしてもよい。
【0054】
前記実施形態では、押圧体42及び塗布体41をスライド体2及び上下動体3によって、左右及び上下の2自由度で移動可能に支持させていたが、押圧体及び塗布体を少なくとも上下動可能に支持する支持機構があればよい。また、例えばより移動自由度の高い関節ロボットなどの支持機構によって支持させてもよい。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 ソース塗布装置
41 塗布体
42 押圧体
61 上下動アクチュエータ
62 旋回アクチュエータ