(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133869
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】回路装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20220907BHJP
H05K 3/34 20060101ALN20220907BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H05K3/34 507C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032797
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】今北 翼
(72)【発明者】
【氏名】玉田 裕哉
【テーマコード(参考)】
5E319
5E336
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB06
5E319AC02
5E336AA04
5E336AA11
5E336AA12
5E336AA16
5E336BB02
5E336BB15
5E336CC32
5E336CC50
5E336EE01
5E336GG11
(57)【要約】
【課題】配線パターンに対する電気抵抗低減用の付加部材の実装コストを低減しつつ、配線パターンの大型化に起因する回路基板の大型化や高コスト化を抑制することができる回路装置を提供する。
【解決手段】基板本体10、配線パターン20及びチップジャンパ素子30を有する回路装置1においては、チップジャンパ素子30の一対の端子部34、36が対向する方向が、基板本体10の表主面12上に設けられた配線パターン20を流れる電流Iの方向と平行になるように、チップジャンパ素子30が、配線パターン20の表面22上に実装される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体の主面上に設けられた導電性の配線パターンと、前記配線パターンの表面上に実装されると共に、素子本体部及び前記素子本体部を挟んで互いに対向した態様で前記素子本体部に接続された一対の端子部を有するチップジャンパ素子と、を備えた回路装置であって、
前記チップジャンパ素子は、前記一対の端子部が対向する方向が、前記配線パターンを流れる電流の方向と平行になるように前記配線パターンの前記表面上に実装されることを特徴とする回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置に関し、特に自動二輪車等の車両に搭載されて相対的に大きな電流が流れる回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を有する自動車二輪車等の車両では、内燃機関の始動時には始動用電動機として機能すると共に、内燃機関の始動後には充電用発電機として機能するように、始動用電動機及び充電用発電機を共用化した電動機兼発電機が採用されるようになっている。
【0003】
このような電動機兼発電機を制御する制御回路では、相対的な大きな電流を流す電気回路が必要となるが、一方で自動車二輪車等の車両では、その制御回路に与えられる占有空間やその重量及びコスト等に厳しい制約があることが多いため、制御回路では、そのサイズ、重量及びコスト等が増大することを抑えながらも、相対的に大きな電流を流すことが求められることになる。
【0004】
かかる状況下で、特許文献1は、プリント基板に関し、絶縁材によって構成される基板本体2と、基板本体2上に形成される配線パターン3と、配線パターン3上に実装される少なくとも1本以上の導電性の線材4と、を備え、線材4が配線パターン3上に導電性の溶融金属5を介して実装される構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成は、配線パターンの断面積及び表面積を増加し、パターン抵抗を減らして電流容量を大きくすると共に、電流損失及び熱容量を低減し、小型化及び低コスト化をすることを企図したものであるが、配線パターンに対する付加部材としての導電性の線材(ジャンパ線)の実装には、基板に線材を貫通させて実装する等の煩雑な作業工程が必要となるため、実装時の工数を削減してコストを低減するには改良の余地があると考えられる。
【0007】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、配線パターンに対する電気抵抗低減用の付加部材の実装コストを低減しつつ、配線パターンの大型化に起因する回路基板の大型化や高コスト化を抑制することができる回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するべく、本発明は、平板状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体の主面上に設けられた導電性の配線パターンと、前記配線パターンの表面上に実装されると共に、素子本体部及び前記素子本体部を挟んで互いに対向した態様で前記素子本体部に接続された一対の端子部を有するチップジャンパ素子と、を備えた回路装置であって、前記チップジャンパ素子は、前記一対の端子部が対向する方向が、前記配線パターンを流れる電流の方向と平行になるように前記配線パターンの前記表面上に実装されることを第1の局面とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明の第1の局面にかかる回路装置によれば、チップジャンパ素子の一対の端子部が対向する方向が、配線パターンを流れる電流の方向と平行になるように、チップジャンパ素子が、配線パターンの表面上に実装されることものであるため、ジャンパ線のように煩雑な作業工程を経ることなく配線パターンに面実装可能なチップジャンパ素子の特性を有効に活用して、配線パターンに対する電気抵抗低減用の付加部材の実装コストを低減しつつ、配線パターンの大型化に起因する回路基板の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における回路装置の模式的な上面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における回路装置の模式的な部分断面図であり、
図1のA-A断面図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における回路装置につき、詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、x軸の方向を長手方向、y軸の方向を横手方向、及びz軸の方向を上下方向とし、x-y平面に平行な面が水平面である。
【0012】
図1は、本実施形態における回路装置の模式的な上面図である。また、
図2は、本実施形態における回路装置の模式的な部分断面図であり、
図1のA-A断面図に相当する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態においては、回路装置1は、絶縁性の基板本体10と、基板本体10上に設けられた導電性の配線パターン20と、配線パターン20の表面22上に実装されると共に、素子本体部32、及び素子本体部32を挟んで互いに対向した態様で素子本体32に接続された一対の端子部34、36を有するチップジャンパ素子30と、を備えている。
【0014】
詳しくは、絶縁性の基板本体10は、典型的にはエポキシ樹脂製等の平板部材であり、互いに上下方向で対向する表主面12及び裏主面14を有する。なお、図中では、基板本体10の配置としては、それが水平面に平行となるように設定された例を示す。
【0015】
導電性の配線パターン20は、いずれも図示を省略するが、回路装置1に設けられた入出力端子や電子部品等の間を繋ぐ電気配線であって、典型的には銅製等の箔部材であり、基板本体10の表主面12上に、表面22を上方に露出し、裏面24を基板本体10の表主面12に密着するように積層して形成されている。なお、図中では、配線パターン20を流れる電流Iの向きを、y軸の正方向の向きとして例示している。
【0016】
チップジャンパ素子30は、典型的には、電気抵抗がゼロに近い値を呈するような低電気抵抗の導電性材料製の矩形部材である素子本体部32の両端部に、各々が金属製等の導電性の矩形部材である端子部34及び36を対応して接着して、素子本体部32を互いに平行になるように対向して端子部34及び36で挟持して一体化した一体構造を有する。チップジャンパ素子30は、配線パターン20の表面22上に、素子本体部32の下端部を表面22に対向させ、かつ端子部34及び36を表面22上に接触させた態様で、端子部34及び36を各々半田材で半田部40を形成するように配線パターン20の表面22に半田付けされることにより、配線パターン20に電気的に接続されている。つまり、チップジャンパ素子30に関しては、素子本体部32を介して、端子部34から端子部36へ、又は端子部36から端子部34へと、電流を流すことも可能である。
【0017】
ここで、チップジャンパ素子30は、端子部34及び36が互いに対向する方向を、配線パターン20を流れる電流Iの向きに対して平行となるように、配線パターン20の表面22上に面実装されている。このため、例えば、端子部34をy軸の負方向側、及び端子部36をy軸の正方向側に各々配置したとすると、配線パターン20を流れる電流Iは、配線パターン20のみを流れる経路に加えて、端子部34で配線パターン20から分岐して、端子部34、素子本体部32及び端子部36を経由して、配線パターン20に合流する分岐経路を経るようになり、この分岐経路の分ほど、電流Iが流れる経路の断面積が増大することになって、配線パターン20の敷設面積や厚さを増大したのと同等の効果を発揮することになる。なお、
図1中では、仮想線20’で、配線パターン20の敷設面積を増大した場合の輪郭線を例示している。
【0018】
また、
図1中では、チップジャンパ素子30を、x軸の方向に沿って等間隔に3個並置すると共に、y軸の方向に沿って等間隔に2個並置した構成例を示しているが、もちろん構成例はこれに限定されるものではなく、チップジャンパ素子30の個数、並置方向及び並置間隔等は、適宜設定可能であり、更に、チップジャンパ素子30による分岐経路が実用上で画成されるという前提の下で、電流Iが流れる向きに対して、端子部34及び36が互いに対向する方向を交差するように設定することも可能である。
【0019】
以上の本実施形態の回路装置1においては、チップジャンパ素子30の一対の端子部34、36が対向する方向が、配線パターン20を流れる電流Iの方向と平行になるように、チップジャンパ素子30が、配線パターン20の表面22上に実装されるものであるため、ジャンパ線のように煩雑な作業工程を経ることなく配線パターン20に面実装可能なチップジャンパ素子30の特性を有効に活用して、配線パターン20に対する電気抵抗低減用の付加部材(チップジャンパ素子30)の実装コストを低減しつつ、配線パターン20の大型化に起因する回路基板(回路装置1)の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0020】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、本発明は、配線パターンに対する電気抵抗低減用の付加部材の実装コストを低減しつつ、配線パターンの大型化に起因する回路基板の大型化や高コスト化を抑制することができる回路装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等の車両に広く適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0022】
1…回路装置
10…基板本体
12…表主面
14…裏主面
20…配線パターン
20’…輪郭線
22…表面
24…裏面
30…チップジャンパ素子
32…素子本体部
34、36…端子部
40…半田部