(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133905
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】長竿型研磨機
(51)【国際特許分類】
B24B 23/02 20060101AFI20220907BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20220907BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20220907BHJP
B24B 7/18 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B24B23/02
B24B29/00 H
B24B55/10
B24B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032853
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】杉田 文秀
【テーマコード(参考)】
3C043
3C047
3C158
【Fターム(参考)】
3C043BB16
3C043CC04
3C043CC06
3C043CC12
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD06
3C047FF04
3C047FF07
3C047JJ01
3C047JJ15
3C158AA04
3C158AA06
3C158AA09
3C158AA16
3C158AC05
3C158BB02
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粉塵の漏れ及び落下が抑制される長竿型研磨機を提供する。
【解決手段】長竿型研磨機の一例としてのドライウォールサンダは、電動モータ78、及び、電動モータ78の駆動力により運動するパッド82を有するヘッド部8と、端部にヘッド部8が接続され、前後方向に延びる竿部2と、を備えている。ヘッド部8は、パッド82の径方向外方を囲む縦壁部Gと、縦壁部Gとパッド82の間に配置されておりパッド82の径方向外方を囲む接地部材86と、を有している。接地部材86は、ブラシ取付部180と、その下方側に配置されるブラシ184と、を有している。ブラシ184の下端は、縦壁部Gの下端より下方に位置している。ブラシ取付部180は、パッド82の径方向に延びる貫通孔を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ、及び、前記電動モータの駆動力により運動するパッドを有するヘッド部と、
端部に前記ヘッド部が接続され、前後方向に延びる竿部と、
を備えており、
前記ヘッド部は、
前記パッドの径方向外方を囲む縦壁部と、
前記縦壁部と前記パッドの間に配置されており前記パッドの径方向外方を囲む接地部材と、
を有しており、
前記接地部材は、ブラシ取付部と、前記ブラシ取付部の下方側に配置されるブラシと、を有しており、
前記ブラシの下端は、前記縦壁部の下端より下方に位置しており、
前記ブラシ取付部は、前記パッドの径方向に延びる貫通孔を有している
ことを特徴とする長竿型研磨機。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記縦壁部の下端より上方側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の長竿型研磨機。
【請求項3】
前記ブラシ取付部は、ブラシ取付部本体基部と、ブラシ取付部本体壁部とを有しており、
前記ブラシと前記ブラシ取付部本体壁部とは、同方向を向いており、
前記貫通孔は、ブラシ取付部本体基部とブラシ取付部本体壁部との間に配置されており、前記ブラシの径方向内方に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の長竿型研磨機。
【請求項4】
前記貫通孔は、周方向に並ぶ状態で複数設けられており、
全ての前記貫通孔における周方向の長さの合計は、全ての前記貫通孔の間の部分における周方向の長さの合計より大きい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の長竿型研磨機。
【請求項5】
前記ヘッド部は、ヘッド部カバーと、前記ヘッド部カバーの下側に取り付けられるエアガイド部材と、を有しており、
前記縦壁部は、前記ヘッド部カバーの一部である縦壁基部と、前記エアガイド部材の一部又は全部である縦壁延長部と、を含んでおり、
前記縦壁延長部の上下方向の長さは、前記縦壁延長部の下端と前記ブラシの下端との間の上下方向の長さより長い
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の長竿型研磨機。
【請求項6】
前記エアガイド部材は、弾性体である
ことを特徴とする請求項5に記載の長竿型研磨機。
【請求項7】
前記エアガイド部材の材質は、非汚染性を呈する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の長竿型研磨機。
【請求項8】
前記ヘッド部は、前記接地部材の上方を覆うヘッド部カバーを有しており、
前記ヘッド部カバーは、前記接地部材の上方側の部分において、上貫通孔を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の長竿型研磨機。
【請求項9】
前記貫通孔は、周方向に並ぶ状態で複数設けられており、
前記貫通孔の集合は、前記ブラシ取付部の全周に行き渡るように配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の長竿型研磨機。
【請求項10】
前記ヘッド部は、ヘッド部ハウジングを有しており、
前記接地部材は、前記ヘッド部ハウジングに対し、上下方向の仮想的な回転軸の周りで回転可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れかに記載の長竿型研磨機。
【請求項11】
前記ヘッド部は、前記パッドの上方側に配置されたヘッド部ハウジングを有しており、
前記パッドと前記ヘッド部ハウジングとの間に、前記パッドと同様に広がる整流板が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れかに記載の長竿型研磨機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライウォールサンダ、長竿型ポリッシャ、長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の長竿型研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2202029号明細書(特許文献1)に示されるような手持ち式研磨機のツールホルダーヘッドが知られている。
このツールホルダーヘッド10は、円板装置12、ハウジング14、及び接合面60が加工表面に接合される刷毛装置58を含む。刷毛装置58は、ブラシ状環又は唇状環を形成する。刷毛装置58は、多数のばね舌片70を形成するばね要素68を介して、円板装置12に弾性的に支持される。刷毛装置58は、工具収容装置22及びこれに結合される工具を囲み、加工表面に接合されると、加工表面及び工具を側方から密閉して、粉塵の最適な吸い込みに寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなツールホルダーヘッド10では、特に、壁面を研磨すると、刷毛装置58の下部内側、及びハウジング14の側部18の下部内側に、吸い込みきれない粉塵が蓄積することがある。この場合、蓄積した粉塵が、研磨時に外部に漏れたり、刷毛装置56を壁面から離した際に落下したりする。かように漏れた粉塵及び落下した粉塵は、周囲を汚し、除去するために清掃を要することになる。
【0005】
そこで、本開示の主な目的は、粉塵の漏れ及び落下が抑制される長竿型研磨機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、電動モータ、及び、前記電動モータの駆動力により運動するパッドを有するヘッド部と、端部に前記ヘッド部が接続され、前後方向に延びる竿部と、を備えており、前記ヘッド部は、前記パッドの径方向外方を囲む縦壁部と、前記縦壁部と前記パッドの間に配置されており前記パッドの径方向外方を囲む接地部材と、を有しており、前記接地部材は、ブラシ取付部と、前記ブラシ取付部の下方側に配置されるブラシと、を有しており、前記ブラシの下端は、前記縦壁部の下端より下方に位置しており、前記ブラシ取付部は、前記パッドの径方向に延びる貫通孔を有している長竿型研磨機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の主な効果は、粉塵の漏れ及び落下が抑制される長竿型研磨機が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1形態に係るドライウォールサンダの斜視図である。
【
図2】
図1のドライウォールサンダの後部の斜視図である。
【
図3】
図1のドライウォールサンダの前部の右側面図である。
【
図4】
図1のドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
【
図6】
図1のドライウォールサンダの前部の一部分解斜視図である。
【
図7】
図1のドライウォールサンダにおけるヘッド部カバー、ストッパ、エアガイド部材及び接地部材の一部の拡大断面図であって、壁を加工する場合の図である。
【
図8】
図1のドライウォールサンダにおける接地部材の下側の斜視図である。
【
図9】
図8の接地部材における上側の分解斜視図である。
【
図10】本開示の第2形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
【
図11】本開示の第2形態に係るドライウォールサンダにおけるヘッド部カバー、ストッパ、エアガイド部材、接地部材及び整流板の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態は、長竿型研磨機の一例としてのドライウォールサンダ1に係るものである。
当該形態及び変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況及び移動する部材の状態の少なくとも一方等により変化することがある。
尚、本開示は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0010】
[第1形態]
図1は、本開示の第1形態に係るドライウォールサンダ1の斜視図である。
ドライウォールサンダ1は、竿部2と、ハンドル部4と、吊枠部6と、ヘッド部8と、を備えている。
【0011】
竿部2は、前後に延びている。
竿部2は、第1竿体としての大径パイプ10と、第2竿体としての小径パイプ12と、を有している。大径パイプ10と小径パイプ12との一方が他方に対してスライドすることにより、竿部2がテレスコピック機構を有して伸縮自在となる。
大径パイプ10は、第1中空部及び第2中空部を有する二穴管である。大径パイプ10は、アルミニウム材の押し出しにより形成されている。第1中空部は、円筒状である。第1中空部内には、小径パイプ12が通る。第2中空部は、小径パイプ12の下部に添う断面“U”字状である。大径パイプ10の外面(第1中空部と第2中空部とを仕切る仕切り壁の隣接部)には、左右一対で設けられておりそれぞれ前後方向に延びる大径パイプガイド溝13が形成されている。大径パイプガイド溝13は、大径パイプ10の前後方向のスライドの案内を行い、又大径パイプ10の上下左右方向の位置決めを行う。
小径パイプ12は、大径パイプ10の内側にスライド可能に入る。小径パイプ12は、円筒状である。小径パイプ12は、ハンドル部4の外郭である前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15に取り付けられている。前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15により、ハンドルハウジング16が構成される。
【0012】
図2は、ドライウォールサンダ1の後部の斜視図である。
後ハンドルハウジング15は、左右半割である。後ハンドルハウジング15は、後ハンドルハウジング左部と後ハンドルハウジング右部とを含む。後ハンドルハウジング左部と後ハンドルハウジング右部とは、互いに組み合わせられた状態で、左右方向のネジ(図示略)によって止められている。
前ハンドルハウジング14は、左右半割である。前ハンドルハウジング14は、前ハンドルハウジング左部と前ハンドルハウジング右部とを含む。前ハンドルハウジング左部と前ハンドルハウジング右部とは、互いに組み合わせられた状態で、左右方向のネジ19によって止められる。前ハンドルハウジング14の後端部は、その筒状の前部に対して碗状に拡大しており、後ハンドルハウジング15の前端部を挟んでいる。前ハンドルハウジング14は、後ハンドルハウジング15に取り付けられる。
前ハンドルハウジング14は、前竿収納部20を有している。前竿収納部20は、前後に延びており、竿部2を収める。
後ハンドルハウジング15は、後竿収納部21と、グリップ基部22と、グリップ部24と、バッテリ装着部26と、ジョイント保持部28と、を有している。後竿収納部21は、前後に延びており竿部2を収める。グリップ基部22は、丘状であり、後竿収納部21の上方に配置されている。グリップ部24は、上方視“T”字状であり、グリップ基部22の後上部から後方に突出している。バッテリ装着部26は、後竿収納部21の後方に配置されている。ジョイント保持部28は、後竿収納部21の下部中央から下方に突出しており、後方に広がっている。ジョイント保持部28は、バッテリ装着部26の下前方に配置されている。
ジョイント保持部28には、ジョイント30(集塵機接続部)が保持される。ジョイント30は、プラスチック製であり、側面視“S”字状の空間を含む筒状である。ジョイント30は、後竿収納部21及びバッテリ装着部26の間からジョイント保持部28までにわたっている。ジョイント30の前方に開放された上端部には、小径パイプ12の後端部が接続されている。ジョイント30の後方に開放された下端部には、図示されない集塵機の集塵ホースが接続される(集塵ホース接続部,集塵機接続部)。
【0013】
前竿収納部20は、円筒状に形成されている。前竿収納部20は、後ハンドルハウジング15の前端部から前方に突出している。
前竿収納部20の前端部の外側には、パイプ固定機構32が配置されている。パイプ固定機構32は、外筒34を含む。外筒34は、前竿収納部20の前端部に対して、前後方向周りの回転により、前後に移動可能である。
使用者により外筒34が前進する方向に回転されると、パイプ固定機構32は大径パイプ10に対する接触圧を緩める。よって、大径パイプ10が小径パイプ12に対して相対的に前後移動可能であり、竿部2の長さが変更可能となる。使用者は、竿部2において所望の長さが得られた状態で、外筒34を後退する方向に回していく。すると、パイプ固定機構32は大径パイプ10を圧接により固定する。このように、パイプ固定機構32により、竿部2が任意の伸縮位置で固定可能とされている。
【0014】
ハンドル部4は、竿部2の後部(第2端部)に設けられる。
ハンドル部4は、上述の前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15並びにジョイント30及びパイプ固定機構32と、トリガ40と、ロックオン部材42と、トリガロック部材44と、速度調節ダイヤル46と、無線通信アダプタ挿入部48と、を備えている。
【0015】
後ハンドルハウジング15のバッテリ装着部26には、電力供給源としてのバッテリ50を装着可能である。バッテリ50は、直方体(四角柱)状であり、充電器(図示略)により充電可能である。バッテリ50は、電動工具用の充電池である。
バッテリ50は、その最長辺が左右方向を向く状態で、バッテリ装着部26の左側から右方へスライドされることにより、バッテリ装着部26に装着される。
又、装着されたバッテリ50は、図示されないバッテリボタンが後方にスライド操作されてバッテリ装着部26に対する係止が解かれた状態で左方へスライドされることにより、取り外される。
バッテリ50は、18V出力のリチウムイオンバッテリであり、他の長竿型研磨機等においても用いることができる汎用的なものである。尚、バッテリ50の形状、電圧、種類、端子数、装着(取り外し)の方向の少なくとも何れか等は、上記のものから変更されても良い。
【0016】
トリガ40は、前後に延びており、スイッチ(図示略)の下方に配置されている。トリガ40の後部は、露出している。トリガ40の前後方向における中央部は、後ハンドルハウジング15に対し、揺動可能に支持されている。トリガ40が上方に引かれると、スイッチがオンとなる。
【0017】
ロックオン部材42は、トリガ40の上側に配置されている。
ロックオン部材42は、左右方向に延びている。ロックオン部材42の左右各端部は、ロックオンボタン52として露出している。
使用者がトリガ40を引いた状態で左右何れかのロックオンボタン52を押す(オンにする)と、移動したロックオン部材42がトリガ40の中央部に掛かり、引きを止めた場合に下方に戻ろうとするトリガ40を食い止めて引き状態に維持する。よって、ロックオンボタン52のオン操作時、トリガ40に隣接するスイッチはオンに維持される。使用者がトリガ40を更に上方に引くと、ロックオン部材42は元の位置に戻り、トリガ40の引き状態の維持が解除される。よって、スイッチのオン状態の維持が解かれる。
【0018】
トリガロック部材44は、トリガ40の前側に配置されている。
トリガロック部材44は、左右方向に延びている。トリガロック部材44の左右両端部は、トリガロックボタン54として露出している。
使用者がトリガ40を引かない状態で左のトリガロックボタン54を押す(オンにする)と、トリガ40の前端部にトリガロック部材44が掛かり、引かれることで後部が上昇(前部が下降)しようとするトリガ40を食い止める。よって、トリガ40の引き操作が規制される。他方、使用者が右のトリガロックボタン54を押す(オフにする)と、左方に復帰したトリガロックボタン54は、トリガ40の引き操作の規制を解除する。
【0019】
速度調節ダイヤル46は、グリップ基部22の上部に保持されている。
速度調節ダイヤル46は、円盤状のダイヤル部56を有している。ダイヤル部56における曲面の上部は、上方に露出している。
使用者は、ダイヤル部56の回転操作により、速度調節ダイヤル46の切替状態を変更可能である。速度調節ダイヤル46の切替状態は、速度設定に対応する。
【0020】
後ハンドルハウジング15の左右には、スリット状の複数の通気孔58(通気口)が形成されている。各通気孔58は、グリップ基部22の上面に沿った後上がりの方向に延びている。各通気孔58は、対向し離隔した後ハンドルハウジング15の左部及び右部の位置において、それぞれ上下前後に並んでいる。
各通気孔58の内方には、コントローラ(制御回路基板,図示略)が配置されている。
コントローラは、グリップ基部22の前部に保持されている。
コントローラは、バッテリ装着部26と、トリガ40に隣接するスイッチと、速度調節ダイヤル46とに対して、図示されないリード線により電気的に接続されている。
又、コントローラは、表示部60を搭載している。表示部60の上部は、4個のLEDを含んでおり、後ハンドルハウジング15上面から露出している。コントローラは、表示部60において、モータ負荷の大小を表示する。
更に、コントローラには、ヘッド部8へ延びる竿部リード線(図示略)が接続されている。竿部リード線は、複数の単リード線の束であり、その単リード線の一部(制御リード線)がコントローラに接続されている。単リード線の別の一部(電源リード線)は、バッテリ装着部26(端子)に接続されている。即ち、竿部リード線は、ハンドル部4に連結されている。竿部リード線は、大径パイプ10(リード線収容スペース)内に配置されている。
【0021】
無線通信アダプタ挿入部48は、無線通信アダプタ62を挿入するために、グリップ基部22に形成されている。
無線通信アダプタ挿入部48は、後ハンドルハウジング15右部の外面から内方へ箱状に凹むように形成されており、無線通信アダプタ62を差し込み可能である。差し込んだ場合、無線通信アダプタ62は、コントローラに搭載された無線通信用コントローラ(図示略)と電気的に接続される。
無線通信アダプタ62は、他の付帯設備としての上述の集塵機との間で無線通信を行う。無線通信によって、集塵機の起動動作,停止動作が、ドライウォールサンダ1の起動動作,停止動作と連動する。
予め、無線通信アダプタ62と、集塵機に取り付けられた集塵機側無線通信アダプタとの間において、無線通信可能とするための関連付け(ペアリング)が行われる。ペアリングは、使用者が、集塵機側無線通信アダプタのボタンを押し、所定時間内に無線通信アダプタ62のボタン(図示略)を操作することでなされる。
ペアリングが完了した状態でトリガ40に隣接するスイッチがオンとなりドライウォールサンダ1が起動すると、その起動を示す起動情報が無線通信アダプタ62から集塵機に送信され、集塵機側無線通信アダプタによる当該起動情報の受信に基づいて集塵機が自動的に起動する。無線通信状態は、無線通信アダプタ62に設けられたアダプタランプの点灯状態によって、使用者に知らされる。
【0022】
図3は、ドライウォールサンダ1の前部の右側面図である。
図4は、ドライウォールサンダ1の前部の中央縦断面図である。
図5は、
図4のA-A線断面図である。
吊枠部6は、外枠64と、内枠66と、を備えている。
外枠64は、左右二股状であり、大径パイプ10の先端部に取り付けられている。
内枠66は、外枠64の先端部内において、左右のネジ67を介して左右方向の軸周りに回転可能に接続されている。
内枠66は、上面視矩形状であって、前面視及び後面視で共に“V”字状である。
内枠66前部の“V”字状部分と内枠66後部の“V”字状部分との各最下部に挟まれるように、ヘッド部8が配置されている。ヘッド部8は、内枠66に、前後方向の軸の周りで回転可能に接続されている。
ヘッド部8は、吊枠部6によって、左右方向及び前後方向の合計2軸の周りで姿勢の変化が可能となっている。ヘッド部8は、比較的に大きな外枠64によって、主に左右方向の軸の周りで姿勢変化する。又、ヘッド部8は、比較的に小さな内枠66によって、補助的に前後方向の軸の周りで姿勢変化する。
【0023】
ヘッド部8は、竿部2の前端部(第1端部)において、吊枠部6を介して連結されている。
ヘッド部8は、ヘッド部外側ハウジング70と、モータハウジング72と、ギヤハウジング74と、駆動源としての電動モータ78と、遊星歯車機構80と、スピンドル81と、パッド82と、ヘッド部カバー83と、ストッパ84と、エアガイド部材85と、接地部材86と、導電板87と、を備えている。
ヘッド部外側ハウジング70と、モータハウジング72と、ギヤハウジング74とにより、ヘッド部ハウジング88が構成される。
図6は、ギヤハウジング74、ヘッド部カバー83、ストッパ84、エアガイド部材85、及び導電板87の分解斜視図である。
【0024】
ヘッド部外側ハウジング70は、プラスチック製であり、有底円筒形状である。ヘッド部外側ハウジング70の下部は、開放されている。ヘッド部外側ハウジング70の前後には、ボス部89が形成されている。各ボス部89には、吊枠部6(内枠66)が、前後方向のボルト90を介して相対的に回転可能に接続されている。
ヘッド部外側ハウジング70の前上部には、第1ホース接続部92が形成されている。第1ホース接続部92は、他の部分より上方に円筒状に突出している。第1ホース接続部92には、第1ホース94の前端部が接続されている。第1ホース94は、大径パイプ10と連通する状態で、吊枠部6の後上部に接続されている。第1ホース94は、側面視で逆“U”字状の形状を維持するように取り回されている。
第1ホース94は、導電性を有するプラスチック製である。第1ホース94には、導電材が配合されている。導電材は、例えばカーボンである。第1ホース94には、十分な導電性を得るために、重量比で0.5%以上の導電材が配合されても良い。又、第1ホース94には、導電性を確保しながらコストを抑制するため、重量比で3%以下の導電材が配合されても良い。第1ホース94は、導電材の配合により、導電性を呈し、帯電性(静電気の発生)が抑制される。
ヘッド部外側ハウジング70の前のボス部89の下方には、開口部が開けられている。
【0025】
モータハウジング72は、プラスチック製であり、ヘッド部外側ハウジング70の内方に配置されている。
モータハウジング72は、左右半割であり、複数(6個)の左右方向のネジ96によって組み合わせられている。
モータハウジング72は、円筒状のモータハウジング本体部98と、延設部99と、を有する。
延設部99は、モータハウジング本体部98の後部から下方、後方及び上方へ延在している。
延設部99の後部は、ヘッド部外側ハウジング70の後の開口部から外に出ている。
延設部99の露出した上端部には、第2ホース102の前端部が接続される。第2ホース102は、大径パイプ10と連通する状態で、吊枠部6の後下部に接続されている。第2ホース102は、側面視で逆“J”字状の形状を維持するように取り回されている。
大径パイプ10、第2ホース102及び延設部99の内部において、ハンドル部4のコントローラから出て竿部2を通過する竿部リード線の前部が配置されている。竿部リード線における延設部99に配置された部分には、着脱によって接続及び切り離しが自在である一対(雄雌)のコネクタ104が介装されている。
尚、大径パイプ10の第1中空部に、第1ホース94の後端部が接続される。又、大径パイプ10の第2中空部に、第2ホース102の後端部が接続される。
【0026】
ギヤハウジング74の上部は筒状であり、下端部は円盤状である。ギヤハウジング74は、モータハウジング72の下方に、複数(6本)の上下方向のネジ105(
図6)により取り付けられている。
ギヤハウジング74上端部の開口部には、モータハウジング本体部98の下端部が嵌まっている。ギヤハウジング74の下部の上面辺縁は、ヘッド部外側ハウジング70下端部の開口部に入り込んでいる。ギヤハウジング74は、モータハウジング72と共に、ヘッド部外側ハウジング70に取り付けられている。ギヤハウジング74は、プラスチック製である。
【0027】
電動モータ78は、モータハウジング72に保持されている。
電動モータ78は、DC駆動のブラシレスモータであり、モータハウジング本体部98の上部内に保持されている。
電動モータ78は、ステータ106及びロータ108を備えている。ステータ106の内部には、ロータ108が配置されている(インナーロータ型)。
ステータ106は、複数(6個)の駆動コイル116を有している。
ロータ108は、回転駆動軸としてのモータ軸120を有している。モータ軸120は、上下に延びており、ロータ108の回転中心軸と同軸に配置されている。モータ軸120の下端部には、ピニオン125が一体に固定されている。ピニオン125は、複数の外歯を有する。
【0028】
ステータ106は、竿部リード線を介して、コントローラと電気的に接続されている。
電動モータ78は、コントローラにより制御される。コントローラは、6個のスイッチング素子(図示略)を有している。各スイッチング素子は、何れかの駆動コイル116と対応して設けられ、対応する駆動コイル116のスイッチングを行う。尚、コントローラは、図示されないマイコンを有している。当該マイコンは、上記スイッチング素子のスイッチングを制御する。コントローラは、電動モータ78を制御する各種の素子を搭載している。
【0029】
ステータ106の上側には、上軸受132が設けられている。上軸受132は、モータ軸120を回転可能に支持する。上軸受132は、モータハウジング72に保持されている。
ピニオン125の上側には、下軸受134が設けられている。下軸受134は、モータ軸120を回転可能に支持する。下軸受134は、モータハウジング72の下中央部において固定されている。
モータ軸120の下軸受134とステータ106との間には、冷却用のファン136が配置されている。ファン136は、モータ軸120に対して固定されており、回転により、遠心方向に風を送り出す(遠心ファン)。ファン136は、モータハウジング72の中央部内に配置されている。モータハウジング72の左右の中央部には、内排気口137が形成されている。ヘッド部外側ハウジング70の左右の中央部であって各内排気口137の外側には、外排気口138が形成されている。
内排気口137及び外排気口138は、ファン136の放射方向外方に位置している。よって、ファン136の風は、効率的に排出される。
他方、ヘッド部外側ハウジング70の上部及びモータハウジング72の上部には、複数の吸気口139が形成されている。吸気口139は、外部とモータハウジング72内とを通気可能につなぐ。
【0030】
遊星歯車機構80は、ギヤハウジング74の上部に保持されている。
遊星歯車機構80は、それぞれ金属製である2段の遊星歯車列を有している。各遊星歯車列は、ギヤハウジング74を外郭とし、上下方向の機軸(モータ軸120の中心軸及びスピンドル81の中心軸が含まれる)を中心に配置されている。遊星歯車機構80は、モータ軸120の回転を減速してスピンドル81に伝える。即ち、遊星歯車機構80は、上遊星歯車列140(1段目の減速機構)と、下遊星歯車列150(2段目の減速機構)と、を有する。
【0031】
スピンドル81は、金属製であり、ギヤハウジング74の下部に配置されている。スピンドル81の後端部は、下遊星歯車列150のキャリアの中央部に取り付けられている。
スピンドル81は、スピンドル上軸受162及びスピンドル下軸受164により、回転可能に支持されている。スピンドル上軸受162及びスピンドル下軸受164は、ギヤハウジング74に保持されている。
【0032】
パッド82は、プラスチック製であり、円盤状である。パッド82は、スピンドル81に対し、上下方向のネジ168により取り付けられている。パッド82上部は、接地部材86内に配置されている。
パッド82は、モータハウジング72の下方に配置されている。
パッド82の下面には、サンドペーパーを始めとする先端工具Tが装着される。先端工具Tは、被加工材の被加工面K(
図3)に研磨を施す研磨面となっており、被加工面Kに加工作用を施す加工作用面となっている。
パッド82は、上下方向のパッド孔170を複数有している。各パッド孔170は、パッド82と同心の仮想的な円に沿って並ぶように配置されている。各パッド孔170は、周方向で等間隔に並んでいる。先端工具Tは、パッド孔170と同様の先端工具孔を有している。
又、ギヤハウジング74の前下部には、上下方向のギヤハウジング孔(図示略)が形成されている。ギヤハウジング孔の上方には、ヘッド部外側ハウジング70前部とモータハウジング72前部との間の空間Sが位置している。更に、空間Sの上方には、第1ホース接続部92が位置している。ヘッド部外側ハウジング70前部は、筒状(半円筒状)に膨出しており、空間Sは、上下方向に延びる筒状となっている。他方、空間Sの下端部は、ギヤハウジング74の下部に開けられた空間連通孔(第1形態では図示略)と連通している。
【0033】
図7は、ヘッド部カバー83、ストッパ84、エアガイド部材85及び接地部材86の一部の拡大断面図であって、壁Bを加工する場合の図である。断面は、右前から左後に延びる鉛直面であり、即ち前後及び上下に広がる面を、ヘッド部カバー83等の中心を通る仮想的な鉛直軸の周りで、上方から見て反時計回り方向に45°回転させた面である。尚、ドライウォールサンダ1の上下左右前後は、後述の動作例における壁Bの加工の説明での上下前後左右を除き、
図7で示された向きにかかわらず、
図7以外の場合と同様である。
ヘッド部カバー83は、プラスチック製であり、リング状である。ヘッド部カバー83は、周縁に、他の部分より下方に突出した円筒壁状の縦壁基部171を有している。又、ヘッド部カバー83には、複数(6個)のネジボス172が設けられている。各ネジボス172は、ヘッド部カバー83の周方向に並ぶように配置されている。
更に、ヘッド部カバー83は、複数の上貫通孔H2を有している。各上貫通孔H2は、ヘッド部カバー83の上面部の周縁に配置されている。各上貫通孔H2の中心は、仮想的な同心円上に位置している。
ヘッド部カバー83の下側には、ストッパ84が配置されている。ストッパ84は、プラスチック製であり、リング状である。ストッパ84は、上下方向の複数(6個)のネジ174によって、ヘッド部カバー83に対して固定される。各ネジ174は、対応するネジボス172に入る。
【0034】
ヘッド部カバー83の縦壁基部171には、エアガイド部材85が配置されている。エアガイド部材85は、弾性体(ゴム)製であり、リング状である。
エアガイド部材85の材質は、より詳しくは、非汚染性を呈する。即ち、エアガイド部材85は、非汚染性のゴム製である。非汚染性のゴムは、ゴムをベースに、非汚染性配合剤を配合したものである。従って、被加工面K等に当たったエアガイド部材85が被加工面K等を汚す事態が、抑制される。
エアガイド部材85は、その上部をヘッド部カバー83の縦壁基部171に嵌め込むことにより、ヘッド部カバー83に対して着脱自在に固定される。即ち、ヘッド部カバー83の縦壁基部171の外側の下辺部には、他の部分より径方向外方に突出する突部176が形成されている。突部176は、全体としてリング状である。突部176の縦断面の形状は、倒れた“T”字状である。他方、エアガイド部材85の上部には、突部176と同様な形状の穴を有する溝部178が形成されている。そして、溝部178に突部176を入れることで、エアガイド部材85がヘッド部カバー83に装着される。
エアガイド部材85の中央部内側及び下部は、円筒壁状及び円錐壁状の縦壁延長部179とされている。縦壁延長部179は、ヘッド部カバー83の縦壁基部171を延長する。縦壁延長部179及び縦壁基部171により、縦壁部Gが構成される。縦壁延長部179の上部である縦壁延長部上部179Aは、溝部178の下部の内側における円筒壁状の内面を含む。縦壁延長部179の下部である縦壁延長部下部179Bは、溝部178の下側における円錐壁状の内面を含む。縦壁延長部下部179Bは、下方へ窄まる。即ち、縦壁延長部下部179Bの内径は、下方へ行くほど、次第に小さくなる。縦壁延長部上部179Aと縦壁延長部下部179Bとは、リング状の水平面179Cによってつながれている。
尚、縦壁延長部下部179Bは、上方へ窄まっても良いし、鉛直であっても良い。縦壁基部171についても、同様に変更可能である。縦壁基部171及び縦壁延長部179の向き(窄まり方)は、一致していても良い。縦壁延長部上部179Aの内面及び縦壁延長部下部179Bの内面は、一連の円錐壁形状、あるいは一連の円筒壁形状であっても良い。又、ヘッド部カバー83(縦壁基部171)とエアガイド部材85(縦壁延長部179)とは、一体であっても良い。更に、エアガイド部材85は、縦壁延長部179のみを有していていても良い。
【0035】
ヘッド部カバー83及びストッパ84は、ギヤハウジング74の下端部(円盤状部)の径方向外側に装着されている。ヘッド部カバー83の径方向内側の端縁部とストッパ84の径方向内側の端縁部とは、ギヤハウジング74の円盤状部の端縁部を挟んでいる。ヘッド部カバー83及びストッパ84並びにエアガイド部材85及び接地部材86は、外力を受けない場合には、ヘッド部カバー83とストッパ84との摩擦力によりギヤハウジング74に対して静止している。他方、ヘッド部カバー83及びストッパ84並びにエアガイド部材85及び接地部材86は、外力を受けると、ギヤハウジング74の円盤状部の周辺において、上下方向の仮想的な回転軸の周りで、360度双方向に回転可能である。
ヘッド部カバー83、ストッパ84、エアガイド部材85及び接地部材86は、壁B、天井、床等に当たることにより回転する。壁B等には、ヘッド部カバー83及びエアガイド部材85の少なくとも一方が接触可能である。その接触により、ヘッド部8に対する衝撃が緩和される。又、接地部材86等の回転が、円滑になされる。
【0036】
図8は、接地部材86の下側を斜め下方から見た斜視図である。
図9は、接地部材86の上側を斜め上方からみた分解斜視図である。
ヘッド部カバー83の下方には、接地部材86が配置されている。接地部材86は、全体として円筒状である。
接地部材86は、ブラシ取付部180と、弾性体としての複数(4個)の板バネ182と、ブラシ184と、を有している。
【0037】
ブラシ取付部180は、導電性のプラスチック製である。ブラシ取付部180は、ヘッド部カバー83の下側であって、ヘッド部カバー83の縦壁基部171の径方向内方に配置されている。ブラシ取付部180は、リング状のブラシ取付部本体185と、複数(6個)の突片186と、を有している。
ブラシ取付部本体185のリング状の上部であるブラシ取付部本体基部185Aは、リング状の下部であるブラシ取付部本体壁部185Bと同心である。ブラシ取付部本体基部185Aの径は、ブラシ取付部本体壁部185Bの径より大きい。ブラシ取付部本体壁部185Bは、上下方向及び周方向に広がっている。ブラシ取付部本体185は、ブラシ取付部本体基部185Aとブラシ取付部本体壁部185Bとをつなぐ、複数の接続部187を有している。各接続部187は、周方向に等間隔に並んでいる。周方向に隣接する各一対の接続部187の間は、貫通孔H1となっている。各貫通孔H1は、周方向に延びている。各接続部187は、隣接する一対の貫通孔H1の間の部分である。全ての貫通孔H1における周方向の長さの合計は、全ての貫通孔H1の間の部分(全ての接続部187)における周方向の長さの合計より大きい。貫通孔H1の集合は、ブラシ取付部本体185の全周に行き渡るように配置されている。
各上貫通孔H2は、ブラシ取付部本体基部185Aの上方側に配置されている。
各突片186は、ブラシ取付部本体185のブラシ取付部本体壁部185Bの上辺部から径方向内方に突出している。各突片186は、ストッパ84の上面に接触可能である。接地部材86は、各突片186のストッパ84上面への接触により、下方へ抜け落ちないように支持されている。各突片186の上方には、間をおいた状態で、ヘッド部カバー83の下面が位置している。
【0038】
各板バネ182は、金属製であり、“V”字状である。各板バネ182は、ブラシ取付部180とヘッド部カバー83との間に介装されている。各板バネ182の中央部は、ブラシ取付部180の上端部に固定されている。各板バネ182の両端部は、ヘッド部カバー83に固定されている。各板バネ182は、ブラシ取付部180上面の前後左右に配置されている。尚、板バネ182の一部又は全部は、ヘッド部カバー83及びブラシ取付部180の何れか一方に固定されても良い。
【0039】
ブラシ184は、複数の毛束188を有している。各毛束188は、ブラシ取付部180のブラシ取付部本体185のブラシ取付部本体基部185Aに取り付けられている。各毛束188は、ブラシ取付部本体基部185Aの下面から下方に延びている。各毛束188は、ブラシ取付部本体基部185Aに植えられている。ブラシ取付部本体壁部185B及び貫通孔H1は、ブラシ184の径方向内方に配置されている。ブラシ取付部本体壁部185Bとブラシ184とは、同方向(上下方向)を向いている。各毛束188の下端部は、仮想的な1つの平面に含まれるように揃っている。各毛束188は、実際には毛の集合体であるところ、図面においては、簡単に示すため、集合体の仮想的な外形線で示されている。
図7に示されるように、縦壁延長部179の上下方向の長さは、縦壁延長部179の下端とブラシ184の下端(パッド82(先端工具T)の下面と上下方向での位置が揃ったもの)との間の上下方向の長さより長くなる。
各毛束188の約半数(毛束188A)は、第1の毛束配置用の仮想円に沿って、隣接する毛束188Aと接触する状態で並べられている。又、各毛束188の残りの約半数(毛束188B)は、第2の毛束配置用の仮想円に沿って、隣接する毛束188Bと接触する状態で並べられている。第2の毛束配置用の仮想円の直径は、第1の毛束配置用の仮想円の直径より大きい。第2の毛束配置用の仮想円は、第1の毛束配置用の仮想円と同心である。第2の毛束配置用の仮想円に沿う各毛束188Bにおける上下方向の中心軸は、第1の毛束配置用の仮想円に沿っており互いに隣接する毛束188Aにおける上下方向の各中心軸の間に配置されている。各毛束188Aの両側に隣接する毛束188Bは、その毛束188Aに接触している。換言すれば、第1の毛束配置用の仮想円と第2の毛束配置用の仮想円の中間に想定される中間仮想円に対して、各毛束188が、隣接する毛束188と接触する状態で、ジグザグに配置されている。
各毛束188における各毛は、第1のプラスチック(例えばポリアミド)製、及び第2のプラスチック(例えば導電性のポリプロピレン)製である。即ち、各毛束188において、第1のプラスチック製の毛と、第2のプラスチック製の毛とが混在している。第1のプラスチック製の毛と第2のプラスチック製の毛の比率は、およそ9:1である。どの位置においてもこの比率が保たれるように、万遍なく毛が配置されている。第2のプラスチックが導電性を呈すれば、毛束188における静電気の帯電が抑制される。第2のプラスチック製の毛が帯電抑制に十分な量設けられ、残りの毛が第1のプラスチック製とされれば、全て第2のプラスチック製の毛とされる場合に比べ、コストが低減され、ブラシの強度がより十分に確保される。尚、第1のプラスチック製の毛のみを有する毛束188と、第2のプラスチック製の毛のみを有する毛束188とが混在するように配置されても良い。又、各毛束188は、第1のプラスチック製の毛のみを含んでいても良いし、第2のプラスチック製の毛のみを含んでいても良い。プラスチックにおける導電性は、上述の第1ホース94と同様に確保されても良い。
【0040】
接地部材86は、パッド82の径方向外側を囲んでいる。接地部材86は、パッド82の下面(先端工具T)を囲んでいる。各毛束188の下端部は、板バネ182が自然長である状態あるいはより自然長に近い状態では、先端工具Tより上下方向において下方に位置している。接地部材86は、各毛束188の下端部において、壁B等と接地可能である。
各板バネ182は、ブラシ取付部180を介して、ブラシ184を、下方に、即ち被加工面K側に付勢している。
【0041】
導電板87は、金属製である。導電板87は、全体として“L”字状であり、上下方向に延びるアーム部190と、ほぼ水平に広がるベース部191と、を有している。
アーム部190の中央部は、ヘッド部外側ハウジング70前部とモータハウジング72前部との間の空間S内に配置されている。アーム部190の上端部には、他の部分に対して前左方に膨出する弓状の接触部192が形成されている。接触部192は、第1ホース94の内面に接触している。
ベース部191の中央部には、ネジ孔部194が形成されている。ネジ孔部194には、ギヤハウジング74をモータハウジング72に固定するためのネジ105が入っている。又、ベース部191の先端部は、差込部195となっている。差込部195は、段状部を介し、他の部分に対して僅かに下方となっている。又、差込部195の幅は、他の部分に対して大きくなっている。差込部195には、孔196が開けられている。ギヤハウジング74の円盤状部の下面には、周囲に対して下方に突出する突起198が形成されている。突起198は、差込部195の孔196に入っている。差込部195の先端部は、ギヤハウジング74とストッパ84との間に入っている。
【0042】
使用者により、ヘッド部8が被加工面Kに当てられると、まず接地部材86のブラシ184が被加工面Kに当たる。使用者が更にヘッド部8を被加工面Kに押し付けると、次いでパッド82の先端工具Tが被加工面Kに当たる。即ち、接地部材86における被加工面K側の部分であるブラシ184は、パッド82下面の先端工具Tと共に被加工面Kに接触可能である。又、ブラシ184は、先端工具Tが被加工面Kに接触する前に、被加工面Kに接触する。
このとき、接地部材86は、ブラシ184の下端部において被加工面Kからの反力を受ける。ブラシ取付部180は、板バネ182の付勢力に抗して、ヘッド部カバー83及びストッパ84に対し上昇する。ブラシ取付部180の上端部は、ヘッド部カバー83の周縁部下方の空間に入り込む。ブラシ取付部180の各突片186は、ヘッド部カバー83の下面に近づく。
ここで、ヘッド部8が吊枠部6における2軸の回転により自由に動くこと、及び先にブラシ184が被加工面Kに当たっていることにより、先端工具Tへの押し付け力は、先端工具Tに垂直な方向(接地部材86の軸方向、図では上下方向)のみにおいて作用する。他の方向に係る先端工具Tへの押し付け力は、ヘッド部8の吊枠部6に対する回転力となる。よって、先端工具Tの全体が、被加工面Kに対して当たる。従って、回転する先端工具Tが片当たりする事態が、抑制される。
使用者によりヘッド部8が被加工面Kに対して様々な方向に移動される場合においても、接地部材86により、先端工具Tの全体が被加工面Kに当たる。又、使用者により竿部2が被加工面Kに対して様々な角度に姿勢変化される場合においても、接地部材86により先端工具Tの全体が被加工面Kに当たる。
【0043】
他方、ヘッド部8が被加工面Kから離されると、板バネ182の付勢力によりブラシ取付部180、ブラシ184が下方(被加工面K側)に復帰する。よって、ブラシ184の下端部が、先端工具Tに対して、上下方向において下方に飛び出る状態に戻る。
【0044】
このようなドライウォールサンダ1は、例えば次のように動作する。
即ち、使用者は、充電されたバッテリ50を、バッテリ装着部26に装着する。
又、使用者は、外筒34を緩めて竿部2の伸縮状態を変更し、竿部2を所望の長さにした状態で外筒34を締めることで、竿部2の長さを調節する。
【0045】
そして、使用者は、トリガロック部材44がオフである状態でトリガ40を引く。すると、スイッチがオンとなり、コントローラにより、バッテリ50の電力が、竿部リード線(電源リード線)を介して電動モータ78に供給され、モータ軸120が回転駆動される。よって、トリガ40は、スイッチを介して電動モータ78のオンオフを切替えるものであり、電動モータ78のオンオフを操作するスイッチ操作部である。トリガ40及びスイッチは、電動モータ78のメインスイッチを構成する。
コントローラのスイッチング素子は、ロータ108の回転位置に応じ、各駆動コイル116のスイッチングを行う。これにより、ロータ108(モータ軸120)が回転する。
【0046】
モータ軸120の回転力は、遊星歯車機構80により減速されてスピンドル81に伝わり、スピンドル81先端に装着されたパッド82が運動(回転)する。
かように運動するパッド82が、グリップ部24及び竿部2の把持により、被加工材に対し押し付けられるようにし又移動されるようにすることで、被加工面Kに研磨等の加工が施される。
被加工材は、例えば建築物の壁Bあるいは天井に張られるドライウォール(石膏ボード)であり、より詳しくはドライウォールの施工時においてネジ孔及び継ぎ目を埋めるために用いられるパテである。ドライウォールにおける他の部分に対して突出したパテが、研磨により平坦にされる。
【0047】
加工時、吊枠部6により、竿部2に対するヘッド部8の向き即ちパッド82の向きが所定の範囲内において調整される。更に、接地部材86が先に被加工面Kに接触し、次いで先端工具Tが被加工面Kに接触することで、先端工具Tが被加工面Kに平行でなく不均等に接触する事態が抑制される。
【0048】
又、モータ軸120の回転により、ファン136が回転して各内排気口137及び外排気口138から空気が排気され、吸気口139から外排気口138への空気の流れ(風)が形成される。この風は、モータハウジング本体部98内を下降し、中央部内のファン136に至る。
この風によって、電動モータ78を始めとするヘッド部8の内部機構が冷却される。
特に、モータハウジング本体部98の上部内から下降する風は、電動モータ78におけるステータ106とロータ108との間を通り、電動モータ78が効率的に冷却される。
【0049】
更に、コントローラは、通気孔58から自然対流により導入された空気によって冷却される。
【0050】
又更に、スイッチがオンとなると、コントローラに搭載された無線通信用コントローラにより無線通信アダプタ62が制御され、集塵機側無線通信アダプタとの無線通信により集塵機の起動がなされる。
集塵機の空気の吸込による集塵は、次のようになされる。即ち、加工により適宜回転するパッド82及び先端工具Tの周囲に生じた粉塵は、主に次のような3つのルートを経て、集塵ホースに吸引される。
第1のルートは、先端工具孔及びパッド孔170から、ギヤハウジング孔、ヘッド部外側ハウジング70とギヤハウジング74との間、及びヘッド部外側ハウジング70とモータハウジング72との間の空間Sを経て、第1ホース94に至る。更に、第1のルートは、第1ホース94から、大径パイプ10及び小径パイプ12を経て、ジョイント30に達する。第1のルートを辿った粉塵は、集塵ホースに吸引される。
第2のルートは、縦壁延長部179とブラシ184との間から、ブラシ184(複数の毛束188の間)を通り、パッド82とヘッド部カバー83及びギヤハウジング74の円筒状部との間を経て、ギヤハウジング孔に至り、第1のルートと合流するものである。
第3のルートは、各上貫通孔H2から、ヘッド部カバー83とブラシ取付部180との間を経て、第2のルートと合流するものである。
かように、第1のルートないし第3のルートを含む集塵通路が形成される。
【0051】
パッド82により鉛直な壁Bを加工する動作例が、以下説明される。ここでの説明においてのみ、
図7に示された通りの上下前後左右が用いられる。尚、
図7において、パッド82は図示されていない。
使用者が鉛直な壁Bを加工する(被加工面Kが使用者に対向して鉛直となる)場合、パッド82に装着された先端工具Tは、壁Bの鉛直な平面に従って上下左右に広がる。この場合、
図7で示されるように、粉塵D1,D2が蓄積する可能性がある。粉塵D1は、接地部材86の内側に堆積するものである。粉塵D2は、ヘッド部カバー83の縦壁基部171の内側に堆積するものである。
ドライウォールサンダ1では、蓄積しようとする粉塵D1は、上述の集塵通路の第2のルートで起きる風W1により飛ばされる。風W1は、まず壁Bと縦壁延長部下部179Bとの間隙を通る。その間隙は、縦壁延長部179の設置により、縦壁延長部179がない場合に比べ、より狭くなっている。よって、その間隙を通過する風W1の速度は、より速くなる。次いで、風W1は、縦壁延長部179とブラシ184の間を通り、水平方向を向く。続いて、風W1は、ブラシ取付部本体基部185Aにより鉛直方向を向き、ブラシ184(複数の毛束188の間)を通る。そして、風W1は、下側に位置した貫通孔H1を通り、パッド82とヘッド部カバー83及びギヤハウジング74の円筒状部との間を経て、ギヤハウジング孔に至り、吸引される。貫通孔H1に入る風W1は、毛束188がスリットのように作用するため、整流される。
又、ドライウォールサンダ1では、蓄積しようとする粉塵D2は、上述の集塵通路の第3のルートで起きる風W2により飛ばされる。即ち、粉塵D2の蓄積は、各上貫通孔H2からの風W2により抑制される。
尚、ブラシ取付部本体基部185Aの隣接部に達した風W1の一部は、ブラシ取付部本体基部185Aと縦壁基部171との間を通って、風W2に合流する。よって、風W1の一部によって、粉塵D2が飛ばされる。貫通孔H2が設けられない場合には、風W2に相当するように分岐する風W1によって、粉塵D1,D2の双方が飛ばされる。
【0052】
更に、ドライウォールサンダ1では、加工時に被加工面Kと粉塵がそれぞれマイナスとプラスに帯電し、帯電した粉塵の通路にあたる各部位に静電気が生じる。この静電気は、大径パイプ10、第1ホース94、導電板87、ストッパ84、ブラシ取付部180、ブラシ184を経て、被加工面Kに逃がされ、加工時に発生した電荷を中和する。より詳しくは、内部集塵通路に生じた静電気は、第1ホース94から導電板87のアーム部190、ベース部191の他の部分、及び差込部195を経て、ストッパ84、ブラシ取付部180からブラシ184に至る。尚、粉塵の電荷を被加工面Kに逃がすことは、ドライウォールサンダ1への静電気の蓄積を抑制するだけではなく、被加工面Kに蓄積した静電気を中和して、集塵されず飛散している粉塵の被加工面Kへの付着を抑制する効果もある。
アーム部190における接触部192が、板バネ状であり、弾性作用を呈するため、接触部192が確実に第1ホース94に接触する。
又、導電板87は、ギヤハウジング74をモータハウジング72に固定するためのネジ105を用いて、効率良く確実にギヤハウジング74に固定される。差込部195は、突起198に入る孔196により、確実にギヤハウジング74に固定される。よって、ヘッド部カバー83等の回転は、差込部195が差し込まれていても、円滑になされる。
【0053】
以上のドライウォールサンダ1は、電動モータ78、及び、電動モータ78の駆動力により運動するパッド82を有するヘッド部8と、端部にヘッド部8が接続され、前後方向に延びる竿部2と、を備えており、ヘッド部8は、パッド82の径方向外方を囲む縦壁部Gと、縦壁部Gとパッド82の間に配置されておりパッド82の径方向外方を囲む接地部材86と、を有しており、接地部材86は、ブラシ取付部180と、ブラシ取付部180の下方側に配置されるブラシ184と、を有しており、ブラシ184の下端は、縦壁部Gの下端より下方に位置しており、ブラシ取付部180は、パッド82の径方向に延びる貫通孔H1を有している。
よって、粉塵D1の漏れ及び落下が抑制される長竿型研磨機が提供される。
【0054】
又、貫通孔H1は、縦壁部Gの下端より上方側に配置されている。よって、風W2が回転するパッド82に対して接触する時間が短くなり、回転するパッド82の影響を受けて風W2の風速が低下する事態が抑制され、粉塵の漏れ及び落下の抑制作用が確保される。
更に、ブラシ取付部180は、ブラシ取付部本体基部185Aと、ブラシ取付部本体壁部185Bとを有しており、ブラシ184とブラシ取付部本体壁部185Bとは、同方向を向いており、貫通孔H1は、ブラシ取付部本体基部185Aとブラシ取付部本体壁部185Bとの間に配置されており、ブラシ184の径方向内方に配置されている。よって、ブラシ184の毛束188の毛の間を通過することにより風W1が整流され、粉塵D1の蓄積がより効率良く抑制される。
又更に、貫通孔H1は、周方向に並ぶ状態で複数設けられており、全ての貫通孔H1における周方向の長さの合計は、全ての貫通孔H1の間の部分(全ての接続部187)における周方向の長さの合計より大きい。よって、粉塵D1を吹き飛ばすための風W1の風量が確保される。
【0055】
加えて、ヘッド部8は、ヘッド部カバー83と、ヘッド部カバー83の下側に取り付けられるエアガイド部材85と、を有しており、縦壁部Gは、ヘッド部カバー83の一部である縦壁基部171と、エアガイド部材85の一部又は全部である縦壁延長部179と、を含んでおり、縦壁延長部179の上下方向の長さは、縦壁延長部179の下端とブラシ184の下端との間の上下方向の長さより長い。よって、壁B等の被加工面Kと縦壁延長部179の下端との間をより狭くすることができ、その分風W1の風速を増すことができて、より一層効率良く粉塵D1の漏れ及び落下が抑制される。又、被加工面Kの状態等に応じ、加工がエアガイド部材85を外した状態で行える。
又、エアガイド部材85は、弾性体である。よって、エアガイド部材85が被加工面Kに接触したとしても、被加工面Kにキズ付着等の影響を及ぼす事態が抑制される。又、エアガイド部材85が被加工面Kに接触して衝撃が発生したとしても、ドライウォールサンダ1がその衝撃から保護される。
更に、エアガイド部材85の材質は、非汚染性を呈する。よって、エアガイド部材85が被加工面Kに接触したとしても、被加工面Kに汚れを付けてしまう事態が抑制される。
【0056】
又更に、ヘッド部8は、接地部材86の上方を覆うヘッド部カバー83を有しており、ヘッド部カバー83は、接地部材86の上方側の部分において、上貫通孔H2を有している。よって、ヘッド部カバー83の内側の粉塵D2の堆積が、より一層効率良く抑制される。
又、貫通孔H1は、周方向に並ぶ状態で複数設けられており、貫通孔H2の集合は、前記ブラシ取付部の全周に行き渡るように配置されている。よって、ヘッド部カバー83がどのような回転位置であったとしても、あるいはヘッド部8に対して竿部2がどのように位置していたとしても、壁Bの加工時の下部に、何れかの貫通孔H1が配置され、下部に蓄積する粉塵D1が確実に飛ばされる。
更に、ヘッド部8は、ヘッド部ハウジング88を有しており、接地部材86は、(ヘッド部カバー83を介して、)ヘッド部ハウジング88(ギヤハウジング74)に対し、上下方向の仮想的な回転軸の周りで回転可能に設けられている。よって、壁Bの加工時に天井にヘッド部カバー83及び接地部材86が当たったとしても、ヘッド部カバー83及び接地部材86が、ギヤハウジング74に対して回転する。従って、ヘッド部カバー83及び接地部材86が、天井面を転がる状態になり、ヘッド部8の移動が円滑になる。又、ヘッド部8、ひいてはドライウォールサンダ1が、天井等の衝突による衝撃から保護される。
【0057】
尚、本開示の第1形態は、上記の形態及び変更例に限定されない。例えば、本開示の形態は、上記の形態及び変更例に対して、次のような更なる変更例を適宜有する。
縦壁部Gは、1つの部材により形成されても良いし、3つ以上の部材から形成されても良い。
ブラシ184の各毛束188は、1重又は3重以上の毛束配置用の仮想円に沿って配置されていても良いし、ジグザグ以外の状態で配置されていても良い。
接地部材86は、周方向において複数の部分に分かれていても良い。例えば、接地部材86は、全周のうち4分の3程度を占める接地部材基部と、これに着脱自在であり残りの4分の1程度を占める接地部材アタッチメントと、を含んでいても良い。
【0058】
遊星歯車機構80の段数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。又、他の形式の減速機構が用いられても良い。
通気孔58、内排気口137、外排気口138及び吸気口139の少なくとも何れかの設置数、配置、大きさ等は、様々に変更可能である。
ファン136につき、遠心ファン以外の形式のファンが用いられても良い。
電動モータ78は、アウターロータ型であっても良いし、ブラシ付きのモータであっても良い。電動モータ78は、電源コードを介して商用電源に接続されるものであっても良く、ACにより駆動されるものであっても良い。
パッド82は、偏心スピンドルを介して偏心運動しても良い。又、パッド82の形状は、三角形等であっても良い。パッド82は、予め研磨面(加工作用部)を有しているものであっても良い。この場合、パッド82が先端工具Tとなる。
【0059】
各種軸受、ネジ、及びボタンのうちの少なくとも何れかの数が増減されたり、ボタンに替えてレバースイッチが用いられたり、ピニオン125がベルトとプーリに代えられたり、ネジがリベットとされたり、モータハウジング72とギヤハウジング74とが一体とされたり、前ハンドルハウジング14と後ハンドルハウジング15とが一体とされたり、バッテリ装着部26においてバッテリ50が充電可能とされたり、使い切りのバッテリが用いられたりする等、各種部材又は部分の機能、配置、種類、形式、数の少なくとも何れかが適宜変更されても良い。
又、本開示は、長竿型ポリッシャあるいは長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の他の長竿型研磨機、あるいは集塵機が接続可能である他の長竿型研磨機に適用することができる。
【0060】
[第2形態]
図10は、本開示の第2形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
図11は、本開示の第2形態に係るドライウォールサンダにおけるヘッド部カバー83、エアガイド部材85、接地部材86及び整流板210の拡大断面図である。
図11の断面は、第1形態に係る
図7と同様である。
図12Aは、
図11の整流板210に係る上側の斜視図である。
図12Bは、
図11の整流板210に係る下側の斜視図である。
第2形態に係るドライウォールサンダは、ヘッド部8,208におけるストッパ84,整流板210の違い、及び上貫通孔H2の有無を除き、第1形態と同様に成る。
第2形態における、第1形態と同様に成る部材及び部分は、第1形態と同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
【0061】
第2形態のヘッド部208において、ヘッド部カバー83に、上貫通孔H2は開けられていない。
又、ヘッド部208において、パッド82とギヤハウジング74の下部との間に、パッド82と同様に前後左右に広がる、中央孔を有する円盤状の整流板210が設けられている。整流板210の中央孔の周辺部には、円筒状であり、他の部分に対して上方に突出する中央壁部212が立てられている。
整流板210は、ギヤハウジング74の円盤状部内方の下部に対し、回転不能に固定されている。整流板210は、第1形態のストッパ84に代えて設けられており、ヘッド部カバー83は、ギヤハウジング74の下部及び整流板210に対し、上下方向の仮想的な回転軸周りで回転する。
整流板210の中央孔の内方側には、スピンドル81及びネジ168が配置されている。中央壁部212の前部は、ヘッド部外側ハウジング70とモータハウジング72との間の空間S、及びギヤハウジング74下部の空間連通孔214に沿っている。
整流板210は、パッド82とは接触しておらず、パッド82の運動を妨げない。
又、整流板210の辺縁は、ヘッド部カバー83の下方に配置されている。整流板210の上面と、ヘッド部カバー83の下面及びギヤハウジング74の下面との間の隙間は、第1形態の集塵通路の第2のルートに相当する。尚、整流板210の辺縁は、ヘッド部カバー83の下方に達していなくても良い。
【0062】
このような第2形態のドライウォールサンダは、例えば次のように動作する。
第2形態のドライウォールサンダにおいても、上記集塵通路の第2のルートにおける風W1が発生すると共に、第3のルートにおける風W2’が、ブラシ取付部本体基部185Aの径方向外方において、風W1からの分岐により発生する。これらの風W1,W2’は、ブラシ取付部本体基部185Aの径方向内方において合流し、ヘッド部カバー83と整流板210との間に入り、風W3としてギヤハウジング74の下部と整流板210との間を通過して、空間連通孔214に至る。
風W1は、主に粉塵D1の蓄積を抑制する。風W2’は、主に粉塵D2の蓄積を抑制する。
風W3は、回転しないギヤハウジング74の下部と回転しない整流板210との間を通過する。よって、風W3は、パッド82の回転の影響を受け難くなり、より一層安定する。
【0063】
第2形態のドライウォールサンダにおけるヘッド部208は、パッド82の上方側に配置されたヘッド部ハウジング88(ギヤハウジング74)を有しており、パッド82とヘッド部ハウジング88との間に、パッド82と同様に広がる整流板210が設けられている。
よって、粉塵D1,D2の蓄積を抑制する風W1,W2’が、より一層安定する。
【0064】
尚、本開示の第2形態は、第1形態と同様の変更例を適宜有する。
又、整流板210は、分割された複数の部分が合わせられたものであっても良い。更に、整流板210は、ヘッド部カバー83と共に回転しても良い。
第2形態において、上貫通孔H2が設けられても良い。
【符号の説明】
【0065】
1・・ドライウォールサンダ(長竿型研磨機)、2・・竿部、8,208・・ヘッド部、78・・電動モータ、82・・パッド、83・・ヘッド部カバー、85・・エアガイド部材、86・・接地部材、88・・ヘッド部ハウジング、171・・縦壁基部、179・・縦壁延長部、180・・ブラシ取付部、184・・ブラシ、185A・・ブラシ取付部本体基部、185B・・ブラシ取付部本体壁部、187・・接続部(貫通孔H1の間の部分)、188・・毛束、210・・整流板、D1,D2・・粉塵、G・・縦壁部、H1・・貫通孔、H2・・上貫通孔、K・・被加工面、W1,W2・・風。