(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133935
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】直液式芳香消臭剤容器
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20220907BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220907BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032897
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 俊史
(72)【発明者】
【氏名】大本 慶
(72)【発明者】
【氏名】荻原 康明
(72)【発明者】
【氏名】石井 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健司
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068CC14
3E068CD02
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4C180AA02
4C180AA03
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4C180EB02X
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4C180EB34Y
4C180GG17
4C180GG19
(57)【要約】
【課題】 持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができ、要求性能を満足することができる直液式芳香消臭剤容器を提供する。
【解決手段】 少なくとも、容器10と、該容器10に貯留された液状芳香消臭剤20と、上記容器10に設けられた芳香揮発部材30とバルブ部材40とを有し、上記バルブ部材40の開閉により、液状芳香消臭剤20の密閉と、芳香揮発部材30に液状芳香消臭剤20が供給されて揮発することを特徴とする直液式芳香消臭剤容器A。
上記液状芳香消臭剤20としては、例えば、揮発して芳香を発する成分、消臭作用のある成分、森林浴効果などの有効な作用を発する成分、人を鎮静させる作用を有する成分、眠気を覚ましたりする覚醒作用を有する少なくとも1種の芳香消臭成分を含有するものが挙げられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、容器と、該容器に貯留された液状芳香消臭剤と、上記容器に設けられた芳香揮発部材とバルブ部材とを有し、上記バルブ部材の開閉により、液状芳香消臭剤の密閉と、芳香揮発部材に液状芳香消臭剤が供給されて揮発することを特徴とする直液式芳香消臭剤容器。
【請求項2】
少なくとも、容器と、該容器に貯留された液状芳香消臭剤と、上記容器に設けられた芳香揮発部材とを有し、上記容器には、容器の内圧が上昇した際に、液状芳香消臭剤の芳香揮発部材からの噴出を防止する一時貯留部材を備えてなることを特徴とする直液式芳香消臭剤容器。
【請求項3】
前記芳香消臭液は、擬塑性が付与されていることを特徴とする請求項1又は2記載の直液式芳香消臭剤容器。
【請求項4】
芳香揮発部材は、カーボン多孔質体からなることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の直液式芳香消臭剤容器。
【請求項5】
芳香揮発部材は、矩形断面の多孔質体であることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の直液式芳香消臭剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び性、耐振動性、利便性に優れる直液式芳香消臭剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香消臭剤容器は、多種多様の形状、構造のものが知られている。直液式タイプでは、少なくとも、液状芳香消臭剤を直接収容する容器と、揮発を促進させる多孔質体との組み合わせで構成されている。
従来の直液式タイプの芳香消臭剤容器としては、例えば、
1) 一定濃度の芳香、消臭剤を長期間揮散せしめるトイレや部屋等の芳香、消臭器を提供するために、水或いは油により膨潤する基材を揮散面に使用する芳香、消臭器、又はこの基材の膨潤作用を利用して外壁或いは蓋の自動的開閉が行なわれ、芳香、消臭効果が達成される芳香、消臭器(例えば、特許文献1参照)、
2) 芳香剤等の液剤を、常温で蒸発させるための開口部に、浸透、透液または透湿する物質を設置した、硝子、金属またはプラスチック等の芳香容器(例えば、特許文献2参照)、
3) 常温で気化可能な蚊取り殺虫薬液を収容した薬液収容部と、この薬液収容部に連通状に接続して、蚊取り殺虫薬液を毛細管移動させて表面部から気化・放散可能な薬液放散部とからなることを特徴とする携帯用蚊取り器(例えば、特許文献3参照)、
4) 視覚的な意外性を与えることができるうえ、これ以外の付加価値も付加できる筆記具を提供するために、インク用液体と、このインク用液体に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体に添加されるように設けられている筆記具であって、前記インク用液体が香料を含んでいることを特徴とする筆記具(例えば、特許文献4照)、
などが知られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1~4の直液式タイプの芳香消臭剤容器等では、持ち運び性、耐振動性、利便性などの内、少なくとも1つ以上の点で満足のいくものでなく、未だ不十分であるなどの課題があるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-31670号公報(特許請求の範囲、
図1~
図4)
【特許文献2】実開平5-48944号公報(実用新案登録請求の範囲、
図1)
【特許文献3】特開2003-199473号公報(特許請求の範囲、
図1等)
【特許文献4】特開2004-142255号公報(特許請求の範囲、
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、要求される持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができる直液式芳香消臭剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、少なくとも、容器と、該容器に貯留された液状芳香消臭剤と、上記容器に設けられた所定部材の開閉により、液状芳香消臭剤の密閉と、芳香揮発部材に液状芳香消臭剤が供給されて揮発する構成などとすることにより、上記目的の直液式芳香消臭剤容器が得られることを見出し、本開示を完成するに至ったのである。
【0007】
すなわち、本開示の直液式芳香消臭剤容器は、少なくとも、容器と、該容器に貯留された液状芳香消臭剤と、上記容器に設けられた芳香揮発部材とバルブ部材とを有し、上記バルブ部材の開閉により、液状芳香消臭剤の密閉と、芳香揮発部材に液状芳香消臭剤が供給されて揮発することを特徴とする。
また、本開示の直液式芳香消臭剤容器は、少なくとも、容器と、該容器に貯留された液状芳香消臭剤と、上記容器に設けられた芳香揮発部材とを有し、上記容器には、容器の内圧が上昇した際に、液状芳香消臭剤の芳香揮発部材からの噴出を防止する一時貯留部材を備えてなることを特徴とする。
前記液体芳香消臭組成物は、擬塑性が付与されていることが好ましい。
前記芳香揮発部材は、カーボン多孔質体であることが好ましい。
前記芳香揮発部材は、矩形断面の多孔質体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができ、要求性能を満足することができる直液式芳香消臭剤容器が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態を示す直液式芳香消臭剤容器の部分縦断面図である。
【
図2】(a)及び(b)は、第2の実施形態を示す直液式芳香消臭剤容器であり、(a)は縦断面図、(b)は分解縦断面図である。
【
図3】(a)~(c)は、第3の実施形態を示す直液式芳香消臭剤容器の平面図、正面図、縦断面図である。
【
図4】(a)及び(b)は、第3の実施形態の直液式芳香消臭剤容器の各使用状態の説明を斜視図態様で示す説明図である。
【
図5】(a)及び(b)は、第3の実施形態の直液式芳香消臭剤容器の各使用状態の説明を斜視図態様で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
なお、各図において、筆記具A、B、C及びその構成部品についての「前方」とは、筆記具A、B、Cの先端の方向を示し、「後方」とはその反対側の方向を示し、「軸方向」とは、軸筒10等の前方から後方までを貫く軸の方向を示し、「横断方向」とは、軸方向に直交する方向を示すものとする。また、各図面間で共通して付されている符号は、特に各図面の説明において言及がなくとも、同じ構成又は部材を表している。
【0011】
(第1の実施の形態:全体構成)
図1は、第1の実施の形態の直液式芳香消臭剤容器に係る部分縦断面図である。
本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Aは、
図1に示すように、少なくとも、軸筒となる有底筒状の容器10と、該容器10に貯留された液状芳香消臭剤20と、上記容器10に設けられた芳香揮発部材30とバルブ部材40とを有し、上記バルブ部材40の開閉により、液状芳香消臭剤20の密閉と、芳香揮発部材30に液状芳香消臭剤20が供給されて揮発することを特徴とするものである。
【0012】
容器10の材質としては、貯留される液状芳香消臭剤20の物性等に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されず、例えば、金属や、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合系樹脂(EVOH)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の少なくとも1種で形成することができ、好ましくは、空気バリア性の高い素材を含むもので形成されるものが挙げられる。
空気バリア性の高い素材としては、上記EVOH、金属箔、金属蒸着槽、カーボン材などが挙げられる。空気バリア性などの高い容器としては、上記EVOHの単独物や該EVOH、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1種よりなる容器本体に、更に内表面及び/又は外表面に、空気バリア性、湿度バリア性も兼ね備える金属箔、金属蒸着、カーボン材(ダイヤモンドライクカーボン材を含む)を接着や蒸着等した少なくとも2層以上の複合材などが挙げられ、これら複合材は、例えば、共押出、多層射出成型、多層ブローなどの各成形方法等で目的の所定の容器10が成形されることとなる。
本実施形態の容器10は、外層と内層がポリプロピレン(PP)樹脂で形成され、外層と内層で挟まれた中間層がナイロン又はエチルビニルアルコール(EVOH)樹脂でブロー成形法により形成された多層容器から構成されている。
【0013】
前記容器10に充填(収容)する液状芳香消臭剤としては、特に限定されないが、各種の合成香料、天然香料、及びこれらの組成物を構成する各成分、また、揮発して芳香を発するもの、消臭作用のあるもの、森林浴効果などの有効な作用のあるもの、人を鎮静させる作用のあるもの、眠気を覚ましたりする覚醒作用を有する各芳香消臭成分を各単独で又はこれらの2種以上のものを混合して用いることができる。
芳香消臭成分としては、例えば、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂肪族環状アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂肪族環状カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂肪族環状ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は、2種以上を混合し使用することができる。
例えば、合成香料としては、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.刊ステファン・アークタンダー(STEFFEN ARCTANDER)著「パヒューム アンド フレーバー ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)」等に記載の香料が使用できる。天然香料としては、「香りの百科」日本香料協会編に記載の香料が使用できる。
【0014】
主な香料名を具体的に挙げると、アルデヒドC6~C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オウランチオール、アセチルオイゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、p-t-ブチルシクロヘキサノール、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキサノール、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、δ-C6~C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、オイゲノール、フルイテート、フェンチルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラクソリド、γ-C6~C13ラクトン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ミルセン、β-カリオフィレン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、cis-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセニールアセテート、cis-3-ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イオノン、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソオイゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート、リラール、マンザネート、マイヨール、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルオイゲノール、メントール、α-メチルイオノン、β-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、メチルイソオイゲノール、メチルラベンダーケトン、メチルサリシレート、ミューゲアルデヒド、ムゴール、ムスクTM-II、ムスク781、ムスクC14、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレッドリド、シクロヘキサデカノリド、10-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、12-オキサヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、オキサヘキサデセン-2-オン、14-メチル-ヘキサデセノリド、14-メチル-ヘキサデカノリド、ムスクケトン、ムスクチベチン、ノピルアルコール、ノピルアセテート、ネリルアセテート、ネロール、メチルフェニルアセテート、ミラックアルデヒド、ネオベルガメート、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、p-クレジールメチルエーテル、ペンタリッド、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、ルバフラン、ダマセノン、ラズベリーケトン、ジメチルベンジルカービニルアセテート、ジャスマサイクレン、メチルナフチルケトン、ローズフェノン、ローズオキサイド、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、ターピネオール、ターピニルアセテート、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニルアセテート、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、チモール、ワニリン、ベルドックス、ヤラヤラ、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、樟脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、ベチバー油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ等である。
【0015】
また、香料の溶剤又は保留剤としてジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート、ハーコリン、イソペンタン、オレンジテルペン等を使用することができる。
これらの液状芳香消臭成分の配合量としては、通常、全量(組成物)中に0.1~10質量%、好ましくは1~8質量%の範囲から適宜選択される。この液状芳香消臭成分の配合量が0.1質量%未満では適度な効果が得られず、10質量%を超えると必要な界面活性剤の量などが多量となり、香りや消臭などの持続性維持が困難となる。また、コスト的にも不経済である。
【0016】
本発明の液状芳香消臭剤は、溶剤として水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等)を使用し、必要に応じて本開示の効果を損なわない範囲で、他の界面活性剤や従来から使用されてきた他の成分を添加しても良い。
他の界面活性剤におけるアニオン界面活性剤としては具体的には、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルアラニネートやアシルタウレート、N-アルキルイミノジカルボン酸に代表されるアミノ酸系アニオン界面活性剤又はその塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等が好ましく挙げられる。
他の界面活性剤における両性又は半極性界面活性剤としては具体的には、アミンオキサイド、アルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキルベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、イミダゾリン、アルキルグリシン、アルキルアラニン等が好ましく挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミド、脂肪酸アルカノールアミド等が好ましく挙げられる。
他の添加可能な成分としては、安定な揮散を持続させる成分(炭酸プロピレン)、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩、色素等が挙げられる。
【0017】
用いる液状芳香消臭剤20には、使用性、耐漏出性などの点から、擬塑性が付与されているものが好ましい。擬塑性の付与は、一般的に増粘剤(ゲル化剤)などを用いて行うことができる。なお、擬塑性とは、静止状態においては非流動性を示すものの、剪断力が加えられると流動性を示す性質をいう。
用いることができる増粘剤としては、例えば、アルカリ膨潤会合型エマルション、アルカリ膨潤型エマルション、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、キサンタンガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、グァーガム、カラギーナン、ペクチン、又はセルロース誘導体架橋形アクリル酸重合体、酸化セルロース、結晶セルロース、レオザンガム、ジェランガム、モンモリロナイト系粘土鉱物等無機系の増粘剤などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0018】
芳香揮発部材30は、毛細管力を備え、液状芳香消臭剤20が供給された場合に、揮発せしめることができる素材、形状であれば良く、例えば、気孔を有する多孔質で形成されたものが挙げられ、具体的には、スポンジ体、焼結体、繊維束体、発泡体、海綿体、フェルト体、ポーラス体、内部には毛管力を有する流路を有する構造体などが挙げられ、形状としては、例えば、円柱状、砲弾状、角柱状、ペン芯型形状、楕円柱状、方形柱状などを挙げることができる。
これらの形状、多孔質体等を形成する材料としては、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などを用いることができる。
繊維束芯としては、上記繊維の素材(例えば、1~20デニールの合成繊維、天然繊維、……、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせなどの繊維)からなる平行繊維束等を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工したものが挙げられる。
通液性発泡体である場合、例えば、溶融状態の樹脂を型に流し込み成型、発泡処理するなど、公知の方法で調製することができる。また、焼結体では、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などのプラスチック粉末などを焼結したポーラス体(焼結芯)などから構成することができる。
これらの焼結芯から構成する場合も含む芳香揮発部材30の気孔率は、好ましくは20~90%、更に好ましくは、30~80%とすることが望ましい。本開示において、「気孔率」は下記のようにして算出される。まず、既知の質量及び見掛け体積を有する芳香揮発部材を水中に浸し、十分に水を浸み込ませた後、水中から取り出した状態で質量を測定する。測定した質量から、芳香揮発部材に浸み込ませた水の体積が導出される。この水の体積を芳香揮発部材の気孔体積と同一として、下記式から、気孔率が算出される。
気孔率(単位:%)=(水の体積)/(芳香揮発部材30の見掛け体積)×100
【0019】
また、芳香揮発部材30を、カーボン多孔質体から構成することができる。カーボン多孔質体の細孔径は、SEMによる画像解析法により測定した10μm~1,000μmであるものが好ましく、さらに好ましくは、20μm~100μmであり、気孔率は同上の測定方法にて20~90%のものが好ましい。形状は、上記と同様に例えば、円柱状、砲弾状、角柱状、ペン芯型形状、楕円柱状、方形柱状などを挙げることができる。
このカーボン多孔質体は、微細な連通孔を有する多孔質構造体であれば良く、例えば、三次元網目構造若しくは点焼結構造よりなり、アモルファス炭素と炭素粉末とで構成される炭素複合成形体、等方性高密度炭素成形体、炭素繊維抄紙成形体、活性炭素成形体などが挙げられ、好ましくは、アモルファス炭素と炭素粉末とからなる微細な連通孔を有する上記細孔径、気孔率の炭素複合成形体が望ましい。
この多孔質構造からなる炭素複合体の作製に用いる炭素粉末としては、更なる反応効率の向上の点から、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)、キッシュ黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンより選ばれる少なくとも1種(単独又は2種以上の組合わせ)が好ましい。
更に、芳香揮発部材30を、カーボン多孔質体から構成する場合に、芳香消臭液組成物20が含浸される通液部と、含浸されない吸熱部から構成したり、及び/又はカーボン多孔質体にスリットを形成することにより、芳香揮発部材30の揮散を更に増強してもよい。
本実施形態の芳香揮発部材30は、芳香揮発を更に良好とするために、断面を矩形形状に形成されている。矩形形状とは正方形を含む多角形状であり、特に一辺の縦横比が
異なる長方形が好ましい。矩形形状とすることで、同様の体積の円断面形状と比較して表面積を増やすことができ、芳香性能を向上させることができる。矩形断面の縦横比は、1:1~1:13が好ましく、より好ましくは1:1.1~1:1.4で芳香揮発部材30の剛性を確保することができる。
【0020】
本実施形態では、バルブ部材40の開閉により、液状芳香消臭剤20の密閉と、芳香揮発部材30に液状芳香消臭剤20が供給されて揮発する構成となっている。具体的には、前記容器(軸筒)10の先端側には、
図1に示すように、先軸11が固着されている。また、容器10の先端側開口部内には液状芳香消臭剤20と撹拌ボール25とが内蔵されている。上記容器10と先軸11内には、弁棒41、バネ受け42、スプリング部材43、弁座44を有するバルブ部材40が設けられている。なお、31は液状芳香消臭剤20を吸蔵する吸蔵体、50はキャップである。
そして、キャップ50は外して、芳香揮発部材30の先端を押圧することにより、バルブ部材40の弁体(弁棒41と弁座44との当接)がスプリング部材43の弾発力に抗して開弁(当接を解除)させて、前記芳香揮発部材30の毛管力等により液状芳香消臭剤20が誘導及び吸蔵体31を介して液状芳香消臭剤20が誘導され、これによって、芳香揮発部材30に液状芳香消臭剤20が効率良く供給されて揮発する構成となり、バルブ部材40の押圧を解除する(弁体を閉じる)ことにより、液状芳香消臭剤20の密閉がなされるものである。
本形態の撹拌部材25は、ステンレス製、または、ポリアセタール樹脂(POM、比重1.4)で構成されている。
【0021】
キャップ50は、上記先軸11の外周面に、嵌合などにより着脱自在となるものであり、本実施形態では内キャップ51を更に有し、この内キャップ51、外キャップ52で芳香揮発部材30を包囲するものである。このキャップ50は、脱着時にクリック感を付与するための、図示しないが、内キャップ51及び/又は外キャップ52には凹凸形状がある。
【0022】
このように構成される本実施形態の芳香消臭剤容器Aでは、軸筒となる容器10と、該容器10に貯留された液状芳香消臭剤20と、上記容器10に設けられた芳香揮発部材30とバルブ部材40とを有し、上記バルブ部材40を開くことにより、液状芳香消臭剤20に含まれる芳香を発する成分、消臭作用を有する成分、森林浴効果などの有効な作用を発する成分、人を鎮静させる作用のある成分、眠気を覚ましたりする覚醒作用を有する成分などの少なくとも1種の芳香・消臭成分が揮発することとなり、これにより用いる液状芳香消臭剤種を選択することにより、目的に応じた芳香や消臭などを発揮することができ、上記バルブ部材40を閉めると、液状芳香消臭剤20の供給が停止するので、芳香揮発部材30での揮発が徐々になくなるものであり、バルブ部材40により確実に密閉でき、持ち運び性に優れ、バルブ部材40により液状芳香消臭剤20の漏出などもなく、耐振動性にも優れ、しかも、携帯でき、その都度キャップ50の開放、バルブ部材40を操作することなどより、直ぐに芳香や消臭などを行うことができるので利便性にも優れ、これらの持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができ、要求性能を満足することができる直液式芳香消臭剤容器が提供されることとなる。
【0023】
(第2の実施の形態:全体構成)
図2は、第2実施の形態の直液式芳香消臭剤容器の一例を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は分解縦断面図である。
本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Bは、
図2に示すように、少なくとも、容器10と、該容器10に貯留された液状芳香消臭剤20と、上記容器10に設けられた芳香揮発部材30とを有し、上記容器10には、容器10の内圧が上昇した際に、液状芳香消臭剤20の芳香揮発部材30からの噴出を防止する一時貯留部材となるコレクター35を備えてなることを特徴とするものである。
本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Bは、
図2(a)及び(b)に示すように、容器10、カートリッジ体15、芳香揮発部材30、一時貯留部材となるコレクター35、中継芯45及びキャップ60を備えている。上記液状芳香消臭剤20、芳香揮発部材30は、上述の第1の実施形態と同様に構成されるので、その詳述は省略する。
本実施形態では、容器10には、筒状の先軸12と、この先軸12に螺合状態又は嵌合状態で分離可能に装着される有底筒状の後軸13とを有している。
【0024】
先軸12内は、
図2(a)及び(b)に示すように、隔壁14を介して先端筒部12aと後端筒部12bとに区画されている。また、前記後端筒部12b内の中心軸には、筒状突起12cが設けられると共に、この筒状突起12cには、カートリッジ体15が着脱自在に装填されている。
【0025】
このカートリッジ体15は、有底筒状となっており、この収納空間内には上述の液状芳香消臭剤20が収容されている。また、カートリッジ体15の開口部には、ゴム製のシールボール受部16を介して金属製又は合成樹脂製のシールボール(密封解除後は撹拌部材)17が設けられており、使用前は密栓(密封)されている。上記容器10、すなわち、容器10を構成する先軸12、後軸13、カートリッジ体15は、上記第1の実施形態と同様に、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の少なくとも1種で形成することができ、好ましくは、上述の空気バリア性の高い素材を含むもので形成されるものが挙げられる。また、このカートリッジ体15、後軸13を、透明な樹脂等で形成すれば、液状芳香消臭剤20の残量視認性に優れるものとなる。
前記筒状突起12cにカートリッジ体15を装填することにより密栓解除され、カートリッジ体15内の液状芳香消臭剤20を筒状突起12cの連通孔12dに導入するようになっている。
【0026】
また、先軸12の先端筒部12aの先端には、シール筒18が固着されており、このシール筒18を介して一時貯留部材となるコレクター35が先端筒部12a内に挿入されている。
この一時貯留部材となるコレクター35は、先端筒部12aの内周面12a1との間に外気と連通可能に遊嵌状態で保持されていて、その中心軸には、筒状突起12cの連通孔12dに対接して連通する連通孔36に中継芯45が挿入され、中継芯45の先端部45aが芳香揮発部材30の後端側に形成した凹部30aに差し込み等により接合されている。
【0027】
中継芯(コレクター芯)45は、液状芳香消臭剤20を当該中継芯45に効率よく接合等するために、両端側が尖った形状となっている。この中継芯(コレクター芯)45は、多孔質体から構成されるものであり、例えば、気孔を有する多孔質で形成されたものが挙げられ、具体的には、スポンジ体、焼結体、繊維束体、発泡体、海綿体、フェルト体、ポーラス体などを挙げることができる。多孔質体を形成する材料としては、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などを用いることができる。本実施形態では、繊維束体から構成されている。また、この中継芯45の全体形状が柱状体であれば、円柱状、楕円柱状、方形柱状など、その外周形状は特に限定されない。本実施形態では円柱状から構成されている。更に、前記中継芯45の気孔率は、用いる液状芳香消臭剤20の芳香消臭成分の用途などにより変動するものであり、好ましくは、30~70%とすることが望ましい。
【0028】
一時貯留部材となるコレクター35の外周胴部には、液状芳香消臭剤の保溜部35a,35a…が設けられていて、この保溜部35a,35a…は、軸方向に保溜板間隔を存して櫛歯状に配置された複数枚の翼状保溜板35b,35b…から構成されている。この一時貯留部材35となるコレクター35は、外気温や外気圧などの変化による液状芳香消臭剤タンクとなるカートリッジ体15内の圧力変化(液体膨張等)がなされた場合に、一時貯留部材となるコレクター35の外周面に形成された翼状保溜板35b、35b…間に過剰となった液状芳香消臭剤20を一時保溜することができ、圧力変化がなくなった場合(通常状態になった場合)に元に戻す作用を有するものであり、これにより液状芳香消臭剤20の芳香揮発部材30からのボタ落ち(意図しない液状芳香消臭剤20の漏出)等を容易に防ぐことができるものとなる。
この一時貯留部材となるコレクター35の材質は、合成樹脂製であり、好ましくは、スチレン系樹脂を主成分とし、エピハロヒドリン系共重合体を所定量添加してなる熱可塑性樹脂から構成されるものが望ましい。このエピハロヒドリン系共重合体を添加してなる合成樹脂製のコレクターは、水性の塗布液との高い親水性によって過剰な液体芳香消臭剤組成物20が櫛歯状の液体芳香消臭剤組成物保溜部内で容易に流動できる結果、確実に貯留されるものとなる。添加量は、コレクター材全量に対して、1~30質量%程度である。
本実施形態において、「エピハロヒドリン系重合体」とは、エピハロヒドリン単独重合体またはエピハロヒドリンと共重合可能な他のエポキシド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル等との共重合体をいう。これらを例示すれば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピブロムヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド共重合体、エピブロムヒドリン-エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体等を挙げることができる。
【0029】
この実施形態の直液式芳香消臭剤容器Bでは、先端筒部12aの内周面12a1との間に外気と連通可能に遊嵌状態で保持されているので、入り込む空気は、一時貯留部材となるコレクター35を一度経由してから連通孔12dに到達し、液状芳香消臭剤20と置換される。
【0030】
キャップ60は、先軸12の外周部に着脱自在となるものであり、外キャップ61と、内部にカップ状のインナーキャップ62とを有し、該インナーキャップ62はキャップ60内で進退動可能になり、かつ、後方に向けてスプリング部材63で付勢されており、キャップ60装着時にインナーキャップ62の後端縁がシール筒18に当接して密着して芳香揮発部材30の気密を確実に保持できるようになっている。一方、キャップ60は上端開放部64とインナーキャップ62の外周部溝で、インナーキャップ62の存在にかかわらずに、キャップ60の非装着時におけるキャップ60の前端から後端までの通気が確保されている。また、前記キャップ60には、外周部に被服のポケットに装着する際に固定できるクリップ65が設けられている。なお、このクリップ65を樹脂材料で構成してそのクリップの色を液状芳香消臭剤20の作用を及ぼす成分のイメージ色として形成、例えば、揮発して芳香を発するものであれば「桃色」、消臭作用のあるものであれば「緑色」、森林浴効果などの有効な作用のあるものであれば「青色」、人を鎮静させる作用のあるものであれば「緑色」、眠気を覚ましたりする覚醒作用のあるものであれば「赤色」などにしても良く、更に、略称を表示(例えば、「芳香」、「消臭」、「森林浴」等)してもよいものである。
【0031】
この直液式芳香消臭剤容器Bでは、カートリッジ体15内に直に収容された液状芳香消臭剤20は、連通孔12d、中継芯45、芳香揮発部材30へと毛管力により順次良好に流出していく構成となっている。好ましくは、液状芳香消臭剤20は、一時貯留部材となるコレクター35>中継芯45>芳香揮発部材30へと毛管力により適切に流出させるようにすることが望ましい。
【0032】
このように構成される本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Bでは、軸本体10の後軸13の収容空間内に液状芳香消臭剤20がカートリッジ体15に収容されており、軸本体10の前方側の櫛歯状に形成された一時貯留部材となるコレクター35が配置され、該コレクター35の中央部に挿通された中継芯45が配置され、前記カートリッジ体15に収容された液状芳香消臭剤20が、順次中継芯45の各毛管力により芳香揮発部材30に効率的に供給され、揮発することとなる。
液状芳香消臭剤20が、順次中継芯45などの各毛管力により芳香揮発部材30に効率的に供給されるので、流量が安定し、カートリッジ体15などは視認性を有する材料から形成すれば、残量が判読しやすく、また、コレクター35により過剰な液状芳香消臭剤20の外部への漏出等の不具合もなく、芳香揮発部材30に対して安定、かつ連続した液状芳香消臭剤20の供給を行うことができるものとなる。
また、液状芳香消臭剤20が後軸13内に配置される交換可能なカートリッジ体15に直に収容されているで、使い終えても新たなカートリッジ体を装着することで長期に亘って手軽に使用を続けることができる直液式芳香消臭剤容器Bが得られることとなる。
本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Bは、上述の第1実施形態の直液式芳香消臭剤容器Aと同様に、携帯でき、その都度キャップ60の開放により、直ぐに芳香や消臭などを行うことができるので利便性にも優れ、また、一時貯留部材となるコレクター35を備えるので、カートリッジ体15の内圧が上昇した際に、液状芳香消臭剤20の芳香揮発部材30からの噴出を防止することができ、要求性能を満足することができる直液式芳香消臭剤容器が提供されることとなる。
【0033】
(第3の実施の形態:全体構成)
図3(a)~(c)は、第3の実施形態を示す直液式芳香消臭剤容器の平面図、正面図、縦断面図であり、
図4(a)及び(b)、並びに、
図5(a)及び(b)は、第3の実施形態の直液式芳香消臭剤容器の各使用状態の説明を斜視図態様で示す説明図である。
本実施形態の直液式芳香消臭剤容器Cは,着脱可能なキャップ80を容器本体となる軸筒10に設けたものであり、キャップ80の端部81(実施形態では先端部)に弾性のある線材製のクリップ部材90が装着された直液式芳香消臭剤容器である。
【0034】
この直液式芳香消臭剤容器Cは、容器本体となる軸筒10が、液収容部10a内に液状芳香消臭剤20が直に収容されている。軸筒10は後端側が閉鎖された筒状に構成されており、先端部10bは液収容部10aよりも細径になっている。この先端部10bには、芳香揮発部材30を保持する先軸22が嵌め込みによって固定されている。なお、キャップ80のキャップ本体82の中央部から後部に向けて開口しており、内部には芳香揮発部材30を覆う内筒83と先軸22の外周に嵌めて固定するための外筒84が形成されている。
液状芳香消臭剤20、芳香揮発部材30は、上記第1、第2の各実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態では、クリップ部材90は、直液式芳香消臭剤容器の軸線方向に回転可能であって、キャップ80の端部81の所定面81aとクリップ91の固定時の支持部92とが、仮想される同一面上に位置する所定の位置に固定可能となっている。
このクリップ部材90は、例えば、バネにより閉じ力を与えられており、金属製もしくはメッキ加工されており、ワイヤーを曲げて加工されたワイヤークリップで構成することができる。
図5(a)及び(b)に示すように、クリップ91を第1の位置に固定して、端部81の所定面81aと第1の位置となったクリップ91の支持部92とを下方に向けることによって、直液式芳香消臭剤容器Cが机の上面等の載置面上に自立可能となっている。
【0036】
この直液式芳香消臭剤容器Cは、容器本体10に着脱可能なキャップ80を有しており、クリップ91はキャップ80に設けられ、キャップ80が容器本体10に装着され、かつ、クリップ91が第1の位置〔
図4(b)、
図5の状態の位置〕に固定された状態では、端部81の所定面81aと前記支持部92との距離が、容器本体10の軸径を上回る距離を確保できる構成となっている。
また、クリップ91の幅とキャップ80の外径が略一致することが好適である。このようにすれば,自立機能の安定性とクリップ機能を両立させることができる。
【0037】
クリップ91は、支持部92がキャップ80の一側面82aに隣接して物を挟み付け可能な通常位置(
図3のクリップ91の状態)から他側面82bに向かうように回動可能とされ、前記クリップ91が、他側面82bに向けて回動されて前記第1の位置になった際に直液式芳香消臭剤容器Cの他側面82bがクリップ側に傾斜した状態に固定可能としたものである。
【0038】
クリップ91を第1の位置にして、
図4(b)、
図5(a)及び(b)に示すように、端部81の所定面81aとクリップ91の支持部92とを下方に向けて机や支持台の上面等の載置面上に載置することができる。この際に、所定面81aと支持部92とが仮想される同一面BPが載置面と一致又はほぼ一致することとなる。
また、
図4(a)に示すように、第2の位置で固定されたクリップ91によって直液式芳香消臭剤容器Cが壁等の任意のフックに吊下げ可能になっている。
【0039】
実施形態の直液式芳香消臭剤容器Cによれば、キャップ60の開放により、液収容部10aに収容された液状芳香消臭剤20は、芳香揮発部材30の毛管力により流量が安定的に、効率的に供給され、外部への漏出等の不具合もなく、直ぐに芳香揮発部材30で液状芳香消臭剤20が揮発し、芳香や消臭などを行うことができることとなる。
また、クリップ91を回転させることによって、直液式芳香消臭剤容器Cの端部81の所定面81aとクリップ91の固定時の支持部92とが仮想される同一面BPになる第1の位置になって、端部81の所定面81aと第1の位置となったクリップ91の支持部92とによって直液式芳香消臭剤容器Cが載置面上に自立可能となっているので、直液式芳香消臭剤容器Cを不使用時に自立させて任意の場所に直液式芳香消臭剤容器を載置できる。したがって、直液式芳香消臭剤容器Cは、クリップ91を回転させることによって場所を取らずに容易に自立できるという優れた効果を奏するものとなっている。
なお、実施形態の変形例として、クリップをキャップではなく、容器本体10の後端部(芳香揮発部材30の反対端)に端部80及びクリップ91を設けて、後端部を載置面上に置く構造とすることもできる。
【0040】
上記
図1、
図2、
図3~
図5において、容器(軸筒)10の先端側に、芳香揮発部材30を設けたが、他方側にも芳香揮発部材30を設けられる構造として、ツインタイプとしてもよく、この場合には、各芳香消臭剤容器A~Cは、着脱自在のキャップを複数個備えるものであり、複数のキャップの中には、それぞれ、表面積およびまたは体積の異なる芳香揮発部材30を備え、各キャップは、脱離後、容器10または他方のキャップに結着させることができる。
【実施例0041】
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
【0042】
(実施例1:
図1準拠の直液式芳香消臭剤容器A)
下記構成の軸筒10、芳香揮発部材30などを用いて
図1に準拠する直液式芳香消臭剤容器を作製した。また、下記組成の液状芳香消臭剤20を使用した。
【0043】
(直液式芳香消臭剤容器Aの主な構成)
軸筒10:ポリプロピレン製、長さ120mm、外径30mm
芳香揮発部材30:アモルファス炭素と炭素粉末から焼成してなるカーボン多孔質体、大きさ:φ10×20mm、気孔率60%
キャップ50:ポリプロピレン製
【0044】
(液状芳香消臭剤の配合組成)
下記組成の液状芳香消臭剤20(合計100質量%)を使用した。
香料:1.5重量%
界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル):3質量%
消臭剤(ベタイン化合物、アミン化合物、有機酸化合物の混合物):0.2質量%
防腐剤(2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン):0.03質量%
イオン交換水:95.27質量%
粘度(25℃):3mPa・s(E型粘度計、東機産業社製TV-25)
【0045】
(実施例2:
図2準拠の直液式芳香消臭剤容器B)
下記構成の軸筒10、芳香揮発部材30、コレクター、中継芯等を用いた。
容器本体10(先軸12、後軸13)、カートリッジ体15、シール筒18:共にポリプロピレン製(共に透明であり、視認性を有する)
芳香揮発部材30:アモルファス炭素と炭素粉末から焼成してなるカーボン多孔質体、大きさ:φ3×20mm、気孔率60%
コレクター35:少なくともスチレン系樹脂(90質量%)、エピハロヒドリン系共重合体(10質量%)、その他の添加剤を含む材料を用いて常法により一体成形してコレクター35を作製した。
中継芯45:ポリエステル製繊維束芯、気孔率55%、直径φ1.5mm、長さ35mm、両端部の最小直径φ0.3mm
キャップ60:ポリプロピレン製、大きさ:φ20×50mm
【0046】
(実施例3:
図3~
図5準拠の直液式芳香消臭剤容器C)
下記構成の軸筒10、芳香揮発部材30、クリップ部材90等を用いた。
容器本体10:ポリプロピレン製、長さ100mm、外径15mm
芳香揮発部材30:アモルファス炭素と炭素粉末から焼成してなるカーボン多孔質体、大きさ:φ3×20mm、気孔率60%
キャップ80:ポリプロピレン製、大きさ:φ20×50mm
クリップ部材90:ステンレス製、直径:φ1mm
【0047】
上記実施例1~3で得られた各直液式芳香消臭剤容器A、B、Cを用いて使用したところ、実施例1の芳香消臭剤容器Aでは、芳香揮発部材を押圧すると、バルブ部材が開くことにより、液状芳香消臭剤に含まれる芳香・消臭成分が揮発し、心地の良い雰囲気下にすることが確認できた。また、芳香揮発部材の押圧をやめるとバルブ部材が閉じ、液状芳香消臭剤の供給が停止するので、芳香揮発部材30での揮発が徐々になくなることを確認した。芳香消臭剤の漏出もなく、耐振動性にも優れ、携帯でき、その都度キャップの開放、芳香揮発部材の押圧操作により、簡単にかつ直ぐに芳香や消臭などの揮発を行うことができるので利便性にも優れ、これらの持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができ、要求性能を満足することができることが判った。
また、実施例2、3の芳香消臭剤容器B、Cでは、それぞれキャップを外すと、芳香揮発部材から芳香・消臭成分が揮発し、心地の良い雰囲気下にすることが確認できた。実施例2の芳香消臭剤容器Bでは、一時貯留部材となるコレクターにより過剰な液状芳香消臭剤の外部への漏出等の不具合もなく、芳香揮発部材に対して安定、かつ連続した液状芳香消臭剤の供給を行うことができることを確認した。実施例3の直液式芳香消臭剤容器Cによれば、クリップを回転させることによって、不使用時に自立させて任意の場所に直液式芳香消臭剤容器を載置したり、吊り下げたりできることを確認した。
持ち運び性、耐振動性及び利便性を高度に両立することができ、各種芳香消臭成分を簡単に、漏出させることなく、効率良く揮発させることができる直液式芳香消臭剤容器が得られる。