(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133964
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】半導体基板、半導体基板の製造方法及び半導体基板を有する電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20220907BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220907BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220907BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20220907BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20220907BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H01L21/88 J
H01L21/90 M
H01L21/90 S
H01L21/90 B
H01L27/088 E
H01L27/00 301B
H01L21/312 D
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032939
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】竹内 幸一
【テーマコード(参考)】
4M118
5F033
5F048
5F058
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118FA06
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA02
4M118HA25
4M118HA33
5F033HH11
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033MM30
5F033NN30
5F033NN31
5F033NN32
5F033PP15
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ07
5F033QQ09
5F033QQ16
5F033QQ18
5F033QQ22
5F033QQ31
5F033QQ47
5F033QQ54
5F033RR08
5F033RR09
5F033RR21
5F033RR22
5F033RR27
5F033SS11
5F033SS22
5F033TT02
5F033TT04
5F033TT07
5F033VV07
5F033WW01
5F033XX02
5F033XX21
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC10
5F048BF02
5F048BF03
5F048BF07
5F048BF12
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F058AA06
5F058AC07
5F058AD01
5F058AD02
5F058AH02
(57)【要約】
【課題】貫通孔の開口部の、空気の膨張によるレジストの発泡を防止でき、後工程であるメッキ不良を低減する半導体基板、半導体基板の製造方法及び当該半導体基板を有する電子機器を提供する。
【解決手段】本開示に係る半導体基板は、順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、上段孔部と下段孔部との境界に形成された段差と、を備えた貫通電極、若しくは順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、上段孔部と下段孔部との境界に形成された段差と、を備えた貫通電極、又は順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、上段孔部と下段孔部に形成された境界と、を備えた貫通電極のいずれかをシリコン又は層間膜に形成するよう構成した。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
【請求項2】
順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
【請求項3】
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
【請求項4】
前記貫通電極は、シリコンに穿設された請求項1に記載の半導体基板。
【請求項5】
前記貫通電極は、絶縁性の層間膜に穿設された請求項1に記載の半導体基板。
【請求項6】
前記貫通電極は、2以上の絶縁性の層間膜に穿設された請求項1に記載の半導体基板。
【請求項7】
前記上段孔部と前記下段孔部との前記境界又は前記段差は、前記貫通電極の深さに対して、前記開口面から20%乃至50%の深さ方向の位置に配設した請求項1に記載の半導体基板。
【請求項8】
絶縁性の前記層間膜は、感光性を有する有機材料又は無機材料の樹脂で形成した請求項5に記載の半導体基板。
【請求項9】
配線層上に基板を形成する工程と、
前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜に逆テーパ状の貫通孔を穿設する工程と、
前記貫通孔の上段を順テーパ状に形成する工程と、
前記貫通孔の内周面及び前記シリコン基板若しくは絶縁性の前記層間膜の上面に絶縁膜を形成する工程と、
前記貫通孔の底と前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の下方に配設された配線層の銅配線とを連通させる工程と、
前記絶縁膜の上面にシード層を形成する工程と、
前記貫通孔の開口部及び前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストをテンティング状態に塗布して乾燥させる工程と、
前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面に銅メッキによるパターンを形成する工程と、
を有する半導体基板の製造方法。
【請求項10】
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
又は順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
のうちいずれか1つの半導体基板を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の実装パッケージに穿設されるTSV又は層間絶縁膜中ホールを段付き穴構造等に形成した半導体基板、半導体基板の製造方法及び半導体基板を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの高機能化、高集積化に伴う3次元実装技術として、例えば、シリコン基板や樹脂などで形成された絶縁性の層間膜を、厚さ方向に垂直に貫通するシリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via 以下「TSV」という。)や層間絶縁膜中ホールが用いられている。
【0003】
TSV又は層間絶縁膜中ホールは、シリコン基板や絶縁性の層間膜を貫通して接続対象電極のIOパッド又はバンプなどに到達する貫通孔を形成し、その貫通孔の周辺部及び内周面に絶縁膜を形成し、貫通孔を接続対象電極に向けて開口し、貫通孔の底を内部にバリアメタル膜、金属のシード層及び導電層を成膜して接続対象電極と電気的に接続するための貫通電極である。
【0004】
TSV又は層間絶縁膜中ホールは、このように、半導体装置の微細化、高密度化を図るために3次元に積層された各種デバイスを電気的に接続する用途に使用されている。上記のようにしてTSV又は層間絶縁膜中ホールが形成されると、TSV又は層間絶縁膜中ホールの周辺部のシリコン基板又は絶縁性の層間膜の表面にフォトリソグラフィにて配線パターンが形成される。この配線パターンを形成するためのレジストパターンを製膜する工程においてテンティングが行われる。
【0005】
具体的には、TSV又は層間絶縁膜中ホールを形成するために貫通孔が穿設されたシリコン基板や層間膜の上面にシンナーをスピンコートして表面を濡らし、その後にレジストをスピンコートすることによって、シリコン基板や層間膜の上面にレジストを塗布する。この場合においてレジストを貫通孔の奥まで浸入させないよう、貫通孔の開口部に蓋をするように覆う状態にする。このようにレジストが貫通孔の開口部を覆う状態にすることをテンティング(Tenting)と呼んでいる。
【0006】
レジストを貫通孔の奥まで浸入させてしまうと、ネガレジストの場合は、貫通孔の底に現像液が十分供給されずにレジストが残ることになる。また、ポジレジストの場合は、貫通孔の底まで光が届かないために、現像後にレジストが残ることになる。このようにレジストが残ってしまうと、フォトリソグラフィにて配線パターンを形成したあと、銅メッキで導電層を形成する際に、貫通孔の奥に導電層が成膜できないという問題が生じる。このために貫通孔の奥にレジストが浸入しないようにテンティングが行われる。
【0007】
レジストの塗布がされ貫通孔の開口部にテンティングがされると、次は、塗布したレジストを乾燥させるためにベークを行う。しかし、ベークを行うと加熱により貫通孔の内部の空気が膨張して発泡(破裂)するという問題点がある。
かかる発泡は、特にテンティングの膜厚が薄い場合に起こりやすい。そこで、貫通孔の開口部に形成されたテンティングの膜の発泡を防止するための先行技術として特許文献1及び特許文献2が開示されている。
【0008】
特許文献1には、アルコキシ基(Si-OR)を含んだポリマーを有する感光性樹脂に、カルバゾール骨格を有するオキシム系光重合開始剤を用いることにより、感光性樹脂組成物の内部硬化性や感度をより向上させることができる。これにより高硬化の膜を形成できる。この特性を利用して、テンティング後のベークによる空気の膨張による変形を抑制する技術が開示されている。
【0009】
特許文献2には、ドライフィルムレジストを2層(露光は2回)にすることにより強度を向上させる技術が開示されている。具体的には、貫通孔等を有する銅張積層基板の片面又は両面に、紫外線ネガ型感光性ドライフィルム(A1)及び紫外線感光波長域を吸収する紫外線吸収剤を含む可視光ネガ型感光性ドライフィルム(B1)をラミネートさせてなる積層フィルム被覆銅張積層板のフィルム(B1)の表面から、所望のパターンが得られるように可視光線を1段目として照射する。そののち、フィルム(B1)の現像処理を行って非照射部分の被膜を除去し、残存したフィルム(B1)及び露出したフィルム(A1)の表面に紫外線を2段目として照射して、露出したフィルム(A1)を硬化させる。次いで余分なフィルム(A1)及びフィルム(B1)を現像処理液により剥離することにより、銅張積層板の貫通孔等の表面上にフィルム(A1)を形成することを特徴とするパターン形成方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-84010号公報
【特許文献2】特開2010-181813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体及びパターン形成方法の技術は、レジスト材料の組成により強度向上を図るものである。しかし、溶剤を多く含む塗布後では流動性が高く、樹脂の構成だけではテンティング後の空気の膨張を十分抑制できないという問題がある。
【0012】
特許文献2に開示されたパターン形成方法の技術は、ドライフィルムレジストを2層(露光は2回)にすることにより強度を向上させるものである。しかし、ドライフィルムでは高い解像性が得られないという問題がある。また、液状のレジストを適用する場合、下層を塗布したあとにベークが必要であるため、テンティングされたTSVの内部の空気が膨張することには変りがない。
【0013】
本開示は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、貫通孔の内周面に段差を形成することにより、段付き止まり穴を構成するものである。これにより貫通孔の開口部にテンティングを行ったときに、空気の膨張によるレジストの発泡を防止でき、後工程でのメッキ不良を低減する半導体基板、半導体基板の製造方法及び当該半導体基板を有する電子機器を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の態様は、順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、を備えた貫通電極を有する半導体基板である。
【0015】
その第2の態様は、順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、を備えた貫通電極を有する半導体基板である。
【0016】
その第3の態様は、順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、を備えた貫通電極を有する半導体基板である。
【0017】
また、この第1から第3の態様において、前記貫通電極は、シリコン基板に穿設されてもよい。
【0018】
また、この第1から第3の態様において、前記貫通電極は、絶縁性の層間膜に穿設されてもよい。
【0019】
また、この第1から第3の態様において、前記貫通電極は、2以上の絶縁性の層間膜に穿設されてもよい。
【0020】
また、この第1から第3の態様において、前記上段孔部と前記下段孔部との前記境界又は前記段差は、前記貫通電極の深さに対して、前記開口面から20%乃至50%の深さ方向の位置に配設してもよい。
【0021】
また、この第1から第3の態様において、絶縁性の前記層間膜は、感光性を有する有機材料又は無機材料の樹脂で形成してもよい。
【0022】
その第4の態様は、配線層上に基板を形成する工程と、前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜に逆テーパ状の貫通孔を穿設する工程と、前記貫通孔の上段を順テーパ状に形成する工程と、前記貫通孔の内周面及び前記シリコン基板若しくは絶縁性の前記層間膜の上面に絶縁膜を形成する工程と、前記貫通孔の底と前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の下方に配設された配線層の銅配線とを連通させる工程と、前記絶縁膜の上面にシード層を形成する工程と、前記貫通孔の開口部及び前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストをテンティング状態に塗布して乾燥させる工程と、前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記シリコン基板又は絶縁性の前記層間膜の上面に銅メッキによるパターンを形成する工程と、を有する半導体基板の製造方法である。
【0023】
その第5の態様は、順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、を備えた貫通電極を有する半導体基板、
順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
又は順テーパ状に形成された上段孔部と、逆テーパ状に形成された下段孔部と、前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、を備えた貫通電極を有する半導体基板、
のうちいずれか1つの半導体基板を有する電子機器である。
【0024】
上記の態様を取ることにより、液状のレジストを貫通孔の開口面に塗布したとき、レジストが段付き穴の段差の位置で留まり、所定の膜厚を維持してテンティングすることができる。
【0025】
本開示によれば、貫通孔のテンティングのレジストを従来よりも厚く形成することができ、これにより空気の膨張によるレジストの発泡を防止するとともに後工程であるメッキ不良を低減する半導体基板、半導体基板の製造方法及び当該半導体基板を備えた固体撮像装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】TSVが穿設された半導体基板を有する固体撮像装置の模式断面図である。
【
図2】テンティングの工程の説明図である(その1)。
【
図3】テンティングの工程の説明図である(その2)。
【
図4】テンティングの工程におけるリソグラフィの説明図である。
【
図5】テンティングの工程における発泡の説明図である。
【
図6】テンティングの工程におけるパターン倒れの説明図である。
【
図7】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形のテンティング状態における断面図である。
【
図8】貫通孔の内周面におけるテーパ角とレジストの落ち込み易さについての説明図である。
【
図9】貫通孔に絶縁膜及びシード層を形成したときの寸法関係についての説明図である。
【
図10】第1実施形態の基本形に係る半導体基板のテンティング状態における断面図である。
【
図11】第1実施形態の基本形に係る半導体基板を有する固体撮像装置の断面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例1に係る半導体基板のテンティング状態における断面図である。
【
図13】第1実施形態の変形例1に係る半導体基板を有する固体撮像装置の断面図である。
【
図14】第1実施形態の変形例2に係る半導体基板のテンティング状態における断面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例2に係る半導体基板を有する固体撮像装置の断面図である。
【
図16】第2実施形態の基本形に係る半導体基板のテンティング状態における断面図である。
【
図17】第3実施形態の基本形に係る半導体基板のテンティング状態における断面図である。
【
図18】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その1)である。
【
図19】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その2)である。
【
図20】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その3)である。
【
図21】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その4)である。
【
図22】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その5)である。
【
図23】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その6)である。
【
図24】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の変形例1の製造方法の工程説明図(その1)である。
【
図25】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の変形例1の製造方法の工程説明図(その2)である。
【
図26】本開示に係る半導体基板の第1実施形態の変形例2の製造方法の工程説明図である。
【
図27】本開示に係る半導体基板の第2実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その1)である。
【
図28】本開示に係る半導体基板の第2実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その2)である。
【
図29】本開示に係る半導体基板の第2実施形態の変形例1の製造方法による半導体基板の断面図である。
【
図30】本開示に係る半導体基板の第2実施形態の変形例2の製造方法による半導体基板の断面図である。
【
図31】本開示に係る半導体基板の第3実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その1)である。
【
図32】本開示に係る半導体基板の第3実施形態の基本形の製造方法の工程説明図(その2)である。
【
図33】本開示に係る半導体基板の第3実施形態の変形例1の製造方法による半導体基板の断面図である。
【
図34】本開示に係る半導体基板の第3実施形態の変形例2の製造方法による半導体基板の断面図である。
【
図35】本開示に係る半導体基板を備えた固体撮像装置を有する電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)を下記の順序で説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は、模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。
1.テンティングの工程と課題
2.本開示に係る半導体基板の第1実施形態
3.本開示に係る半導体基板の第2実施形態
4.本開示に係る半導体基板の第3実施形態
5.本開示に係る半導体基板の第1実施形態の製造方法
6.本開示に係る半導体基板の第2実施形態の製造方法
7.本開示に係る半導体基板の第3実施形態の製造方法
8.本開示に係る半導体基板を備えた固体撮像装置を有する電子機器
【0028】
<1.テンティングの工程と課題>
図1は、TSV10Aが穿設された半導体基板を有する固体撮像装置100の模式断面図である。固体撮像装置100の半導体基板1は、本図に示すように、シリコン基板10と、シリコン基板10に配設された受光部3を有するセンサ基板2とを有している。そして、センサ基板2の受光部3に対向してカバーガラス4が配設されている。固体撮像装置100は、光学系(不図示)からの入射光を、カバーガラス4を介してセンサ基板2上の受光部3に結像させる(本図では、下方から上方に向かって被写体像が入光される。)。
受光部3は、受光部3上に結像された被写体像に対応した光信号を電気信号に変換する装置である。すなわち、被写体像からの入射光を、受光部3の画素領域で画素単位に受光し、それぞれの画素を光電変換することによって、被写体像の画素に対応した信号電荷を生成し、画素信号として外部に送出する。
【0029】
したがって、被写体の画像の解像度は、画素数によって決まり、画素数が多いほど画像の解像度は高くなる。画素は、センサ基板2に内設された光電変換素子(不図示)により電気信号に変換される。光電変換素子は、例えば、フォトダイオードであり、カバーガラス4を介して被写体像として入射する光を受光し、光電変換することで信号電荷を生成する。固体撮像装置100には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサチップ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサチップ含む。
【0030】
半導体基板1には、センサ基板2で光電変換することによって、被写体像の画素に対応して生成された画素信号を外部に送出するための外部接続端子5が配設されている。そして、センサ基板2と外部接続端子5とを接続するために、半導体基板1がシリコン基板10を有する場合には、TSV10Aと呼ばれる貫通電極が穿設される。また、絶縁性の層間膜30を有する場合には、層間絶縁膜中ホール10Bが穿設される。したがって、センサ基板2の受光部3の裏面に配設された銅配線46は、TSV10A又は層間絶縁膜中ホール10Bのシード層12、銅メッキ層13及びそこから外延された銅の配線パターン14により外部接続端子5と電気的に接続されている。
【0031】
TSV10Aは、本図に示すように、半導体基板1のシリコン基板10に貫通孔19を穿設し、その内周面を絶縁膜11で被覆し、さらにその上面にシード層12及び銅メッキ層13をすることにより形成されている。そして、銅のメッキ層13からは半導体基板1の上面に沿って銅の配線パターン14が延設され、さらにその上面をソルダマスク15で被覆している。これによりセンサ基板2の受光部3の裏面に配設された銅配線46は、TSV10Aの銅メッキ層13及び配線パターン14を介して外部接続端子5と電気的に接続される。
【0032】
ここで、TSV10Aを形成する際に、テンティングの工程が必要となる。これについて、さらに詳しく説明する。
図2、
図3は、テンティングの工程を説明するための図である。TSV10Aを形成するには、先述のように、シリコン基板10に貫通孔19を穿設し、その内周面を絶縁膜11で被覆する。そして、さらにその上面にシード層12をスパッタリング等により形成する。シード層12を形成すると、次に、その上面に、
図1に示すように、銅メッキ層13及び銅の配線パターン14を形成する。
【0033】
配線パターン14を形成するには、半導体基板1の上面に配線パターン14の形状をかたどったレジストパターン22を生成する必要がある。そこで、シード層12を形成したシリコン基板10の上面に、
図2Aに示すように、液状のネガレジスト20を滴下し、スピンコーティングにより貫通孔19の開口部19dの蓋をするように、しかも一様になるように塗布する。このとき貫通孔19の中に空気が閉じ込められるようにする。この状態を「テンティング」と呼んでいる。
【0034】
テンティングをする理由は次のとおりである。すなわち、
図4Aに示すように、シリコン基板10に貫通孔19を穿設し、絶縁膜11及びシード層12を形成する。次に、
図4Aに示すようなレジストパターン22を形成する際に、テンティングをしないで、貫通孔19の中にレジストを充満した場合について説明する。
【0035】
貫通孔19の底にネガレジスト20が存在した場合には、
図4Bに示すように、現像液が十分に供給されないために現像残りが発生する。また、ポジレジスト21を用いた場合には、
図4Cに示すように、貫通孔19の底までフォトマスク25を介した露光の光が届かず、同様に現像残りが発生する。かかる現像残りが発生すると、後工程での銅メッキ層13を十分形成することができず、メッキ不良となる。また、ドライレジスト(フィルムレジスト)を用いた場合には、テンティング状態を形成できるものの、液状のレジストと比較して微細なパターンを形成できないという問題点がある。そこで、貫通孔19の中にネガレジスト20やポジレジスト21を浸入させないよう「テンティング」が行われる。
【0036】
以下では、ネガレジスト20を使用した例について説明する(以下、「ネガレジスト20」を「レジスト20」という。)。液状のレジスト20をスピンコートした後は、
図2Bに示すように、半導体基板1を高速回転させてレジスト20中に残留している溶剤を乾燥させる。次に、
図2Cに示すように、半導体基板1をベーク(PAB:Post Applled Bakeと呼ばれる。)をして溶剤をさらに乾燥させる。次に、
図3Dに示すように、フォトマスク25を介して露光し、
図3Eに示すように、現像により貫通孔19の周辺に外延する配線パターン14を形成するためのレジストパターン22が形成される。次に、
図3Fに示すように、ベークを行い、その後冷却する。
【0037】
しかし、
図5Aに示すように、液状のレジスト20をテンティング状に塗布したあと、溶剤を十分に乾燥させるために高い温度でベークすると、
図5Bに示すように、貫通孔19の中の空気が膨張して発泡(破裂)するという問題点がある。またレジストパターン22を微細化するためにレジスト20の塗布膜厚を薄くした場合(厚さT1)も発泡しやすくなる。
【0038】
そこで、
図6Aに示すように、発泡を抑制するためにレジスト20の塗布膜厚を厚くする方法が考えられる(厚さT2)。しかし、レジスト20の残留溶剤が多くなることとパターンのアスペクト比が大きくなるために、
図6Bに示すように、露光、現像後にレジストパターン22倒れが発生するという新たな問題が生じる。
【0039】
<2.本開示に係る半導体基板の第1実施形態>
[第1実施形態の基本形]
かかる問題に対し、本開示に係る第1実施形態の基本形は、
図7に示すように、貫通孔19の内周面に階段状の段差19aを形成するとともに、段差19aの上方である上段孔部19bを順テーパ状に、段差19aの下方である下段孔部19cを逆テーパ状に形成したものである。段差19aは、シリコン基板10の貫通孔19において、シリコン基板10の板面に平行な水平状の段差面を形成する段差部である。すなわち、下段孔部19cは、上段孔部19bに対する縮径状の孔部であり、下段孔部19cの内周面と上段孔部19bの内周面との間に、段差19aによる段差面として、貫通孔19の孔形状に沿う環状の水平面が形成されている。なお、「順テーパ状」とは、シリコン基板10の板厚方向について、開口部19d側から段差19a側の方向に貫通孔19の内径を徐々に減少させた形状であり、「逆テーパ状」とは、順テーパ状とは逆方向に貫通孔19の内径を徐々に減少させた形状である。
【0040】
このように形成することにより、液状のレジスト20を塗布したときに、レジスト20を上段孔部19bの段差19aで留めることができる。したがって、上段孔部19bでテンティングさせることができる。また、貫通孔19の開口部19d上のレジスト20の厚みを従来よりも厚くすることができ、貫通孔19の内部の空気の膨張によるレジスト20の発泡を防止することができる。さらに段差19aを設けることによりレジスト20が貫通孔19の底に落ち込むことを抑制でき、後工程である銅メッキ不良を低減することができる。
【0041】
ここで貫通孔19の内周面におけるテーパ角Φとレジスト20の落ち込み易さについて
図8により説明する。液状のレジスト20と内周面との接触角θは、レジスト20の材料と貫通孔19を穿設する材料の種類で決まる。レジスト20は、その表面張力により球体状になろうとする力が働く、この力は、レジスト20の浸入の抑止力として働く。したがって、貫通孔19内の空気とレジスト20との界面は、球面の一部となる。一方、地球の重力の作用により、レジスト20には貫通孔19の中に落ち込もうとする力が働く。そこで、
図9に示すように、内周面が順テーパであるほどレジストの落ち込み量が大きくなる。また、逆テーパになるほど落ち込み量が小さくなる。しかし、逆テーパ角Φが接触角θよりも大きくなると、レジスト20は貫通孔20の中へ落ち込まなくなる。
【0042】
したがって、貫通孔19の上段孔部19bを順テーパ状に形成することによりレジスト20を落ち込みやすくすることができる。また、レジスト20を段差19aで一旦受け止めた後、下段孔部19cを逆テーパ状に形成することにより段差19aより下方にはレジスト20を落ち込まないようにすることができる。
【0043】
次に、貫通孔19に絶縁膜11及びシード層12を形成したときの寸法関係について説明する。
図9Aの貫通孔19の断面図において、貫通孔19の開口径をa、上段孔部19bの下端と段差19aとの接合部の径をb、段差19aの径をc、下段孔部19cの下端の径をdとする。また、上段孔部19bの深さをh、下段孔部19cの深さをgとする。
そうすると、上記の各々の寸法は、
a>b≧c 又は a>b>c であり、かつ、
(h+g)×0.2<h≦(h+g)×0.5 であることが望ましい。
かかる根拠として、
図9Bにテンティング発泡及び現像残りによる不良率と、上段孔部19bの深さの割合h/(h+g)の関係を示す。本図に示すように、横軸にh/(h+g)を、縦軸に不良率をとる。そうすると、h/(h+g)の値が0に近くなると、つまりhが小さくなるとレジスト20の厚さが薄くなるために発泡の不良率が増加する。また、h/(h+g)の値が大きくなると、レジスト20の厚みが厚くなりすぎて、現像残りによる不良率が増加する。
そこで、上段孔部19bの深さhを、発泡と現像残りが発生しない範囲に設定する。例えば、本図によれば、段差19aを(h+g)×0.2<h≦(h+g)×0.5の範囲に設けることが望ましい。
【0044】
図10は、第1実施形態の基本形に係る半導体基板1のテンティング状態における断面図である。また、
図11は、当該半導体基板1を有する固体撮像装置100の断面図である。
図10及び
図11の半導体基板1において、貫通孔19を穿設する材料は、シリコン基板10とするものである。そして、本図の左方には、貫通孔19が穿設されて、TSV10Aが形成されている。TSV10Aの開口部周辺及びシリコン基板10の上面は絶縁膜11及びシード層12で覆われ、さらにその上面には銅メッキ層13が形成されている。また、銅メッキ層13を延設して配線パターン14が設けられている。TSV10Aの底部は、配線層40に配設された銅配線46と銅メッキ層13により電気的に接続されている。
【0045】
なお、本図において、シリコン基板10の下方に配設された配線層40には、何層かにわたって銅配線46が形成されている。配線層40の下方には受光部3が配設されている。受光部3には光電変換素子9が形成されている。光電変換素子9は、例えば発光ダイオードであり、画素ごとにマトリクス状に配設されている。それぞれの光電変換素子9には、それぞれに対応してマイクロレンズアレイ8配設されている。また、光電変換素子9に対向してカバーガラス4が配設されている。カバーガラス4は、光学系のレンズ(不図示)等を介して入射した被写体像を受光する(本図では、下方から上方に向かって被写体像が入光される。)。光電変換素子9は、カバーガラス4及びマイクロレンズアレイ8に入射した光を画素単位で電気信号に変換する。したがって、被写体の画像の解像度は、画素数、すなわち光電変換素子9の数によって決まり、画素数が多いほど画像の解像度は高くなる。
【0046】
[第1実施形態の変形例1]
本開示に係る第1実施形態の基本形は、以上のように半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10とするものである。一方、第1実施形態の変形例1は、
図12及び
図13に示すように、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料を樹脂などの絶縁物による層間膜30とするものである。
【0047】
具体的には、
図12に示すように、配線層40の上方に配設された絶縁物である層間膜30に貫通孔19が穿設されている。貫通孔19の内周面はシード層12で覆われており、シード層12は配線層40に形成された銅配線46に電気的に接続されている。そして、レジスト20は、貫通孔19の開口部19dをテンティングにより塞いでいる。本変形例1では、層間膜30は、絶縁物で構成されているために、基本形に示すような絶縁膜11は、そもそも設ける必要がない。
また、絶縁性の層間膜30を、感光性を有する有機材料や無機材料の樹脂で形成してもよい。このような材料で層間膜30を形成するとフォトマスク25を介して露光させることで貫通孔19を容易に穿設することができる。
上記以外の構成については、第1実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0048】
[第1実施形態の変形例2]
本開示に係る第1実施形態の変形例2は、
図14及び
図15に示すように、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料を樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31と第2の層間膜32とするものである。
【0049】
具体的には、
図14に示すように、配線層40の上方に配設された絶縁物による第1の層間膜31及び第2の層間膜32に貫通孔19が穿設されている。より詳しくは、貫通孔19の下段孔部19cは、第1の層間膜31に穿設され、貫通孔19の上段孔部19bは、第2の層間膜32に穿設されている。そして、段差19aは、第1の層間膜31と第2の層間膜32との境界19eに配設されている。この境界19eは、上段孔部19bの順テーパと下段孔部19cの逆テーパとが交差する線でもある。
【0050】
また、貫通孔19の内周面はシード層12で覆われており、シード層12は、配線層40に配設された銅配線46に電気的に接続されている。そして、レジスト20は、貫通孔19の開口部19dをテンティングにより塞いでいる。本変形例2では、第1の層間膜31及び第2の層間膜32は、絶縁物で構成されている。このために、基本形において形成されていた絶縁膜11は、そもそも設ける必要がない。
また、絶縁性の第1の層間膜31及び第2の層間膜32を、感光性を有する有機材料や無機材料の樹脂で形成してもよい。このような材料で層間膜30を形成するとフォトマスク25を介して露光させることで貫通孔19を容易に穿設することができる。
また、第1の層間膜31と第2の層間膜32との境界19eがあるために段差19aを形成することが容易になる。
上記以外の構成については、第1実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0051】
<3.本開示に係る半導体基板の第2実施形態>
[第2実施形態の基本形]
本開示に係る第2実施形態の基本形は、
図16に示すように、貫通孔19の内周面を階段状に段差19aを形成するとともに、上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成し、さらに上段孔部19bの開口部19dの断面を、丸みを持たせた曲線状に形成したものである。
【0052】
このように形成することにより、液状のレジスト20を塗布したときに、開口部19dの断面を、丸みを持たせた曲線状に形成し、上段孔部19bを順テーパ状に形成しているためにレジスト20が貫通孔19に落ち込みやすくなる。さらに、段差19aを形成することによりレジスト20を留めることができる。また、下段孔部19cを逆テーパ状に形成しているために境界19eより下方にレジスト20が落ち込まないようにすることができる。したがって、レジスト20の厚みを従来よりも厚い状態でテンティングさせることができる。これにより、空気の膨張によるレジスト20の発泡の防止をすることができる。さらに段差19aを設けているためにレジスト20をそこに留めることができ、後工程である銅メッキ不良を低減することができる。
上記以外の構成については、第1実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0053】
[第2実施形態の変形例1]
本開示に係る第2実施形態の変形例1は、貫通孔19の形状を
図16に示す第2実施形態の基本形と同様に形成したものである。また、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料は、第1実施形態の変形例1の
図12及び
図13において説明したのと同様に、樹脂などの絶縁物による層間膜30により構成されるものである。
上記以外の構成については、第2実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0054】
[第2実施形態の変形例2]
本開示に係る第2実施形態の変形例2は、貫通孔19の形状については
図16に示す第2実施形態の基本形と同様である。また、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料は、第1実施形態の変形例2において説明した
図14及び
図15と同様に、樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31と第2の層間膜32により構成されるものである。
上記以外の構成については、第2実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0055】
<4.本開示に係る半導体基板の第3実施形態>
[第3実施形態の基本形]
本開示に係る第3実施形態の基本形は、
図17に示すように、貫通孔19の段差19aをなくするとともに境界19eよりも、上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成したものである。
【0056】
このように形成することにより、液状のレジスト20を塗布したときに、上段孔部19bを順テーパ状に形成しているためにレジスト20が貫通孔19に落ち込みやすくなる。また、下段孔部19cを逆テーパ状に形成しているために、順テーパから逆テーパに変化する境界19eのところで、レジストが落ち込みにくくなる。したがって、上段孔部19bでのレジスト20の厚みを他の実施形態よりもさらに厚い状態でテンティングさせることができる。これにより、空気の膨張によるレジスト20の発泡の防止効果をより改善することができ、後工程である銅メッキ不良を低減することができる。また、段差19aを形成しないために、加工が容易となり、加工時間の短縮にもつながる。なお、わずかな段差19aを設けてもよい。これによりレジスト20が貫通孔19の底に落ち込む深さを調整することができるため、レジスト20の厚みを調整することができる。
上記以外の構成については、第1実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0057】
[第3実施形態の変形例1]
本開示に係る第3実施形態の変形例1は、貫通孔19の形状については
図17に示す第3実施形態の基本形と同様である。また、第1実施形態の変形例1において説明した
図12及び
図13と同様に、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料は、樹脂などの絶縁物による層間膜30により構成されるものである。
上記以外の構成については、第3実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0058】
[第3実施形態の変形例2]
本開示に係る第3実施形態の変形例2は、貫通孔19の形状については
図17に示す第3実施形態の基本形と同様である。また、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料は、第1実施形態の変形例2において説明した
図14及び
図15と同様に、樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31と第2の層間膜32により構成されるものである。
上記以外の構成については、第3実施形態の基本形と同様であるため説明を省略する。
【0059】
<5.本開示に係る半導体基板の第1実施形態の製造方法>
[第1実施形態の基本形の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第1実施形態の基本形の製造方法について説明する。
まず最初に、銅配線46を有する配線層40の上にシリコン基板10を貼り合わせ、所望の厚さになるようにシリコン基板10を研磨、平坦化する。
そして、シリコン基板10の面上にレジスト20を塗布し、リソグラフィ工程により、貫通孔19のレジストパターンを形成する。このとき、露光は配線構造に形成したマークにアライメントする。なお、アライメントとは、位置決めを行う位置補正機能のことである。
【0060】
次に、
図18Aに示すように、レジスト20をマスクにして、主として異方性エッチングにより銅配線46のパッド上に逆テーパの貫通孔19を穿設する。
【0061】
次に、
図18Bに示すように、レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。これにより、貫通孔19の下段孔部19cと上段孔部19bとの境界19eに段差19aが形成され、上段孔部19bは順テーパ状、下段孔部19cは逆テーパ状となる。
【0062】
次に、
図18Cに示すように、CVD(化学的気相成長:Chemical Vapor Deposition)法によりSiONからなる絶縁膜11(シリコン酸窒化膜)を貫通孔19の内周面及びシリコン基板10の上面に形成する。また、貫通孔19の底も薄く成膜される。
【0063】
次に、
図19Dに示すように、異方性エッチングにより絶縁膜11をエッチバックし、貫通孔19の底と銅配線46のパッドが連通するように穴をあける。
【0064】
次に、
図19Eに示すように、スパッタリングによりチタン(Ti)層、銅(Cu)層の順にメッキ用のシード層12を貫通孔19の内周面及びシリコン基板10の上面に形成する。その後、シリコン基板10の上面にシンナーを滴下し、シンナーの量及び時間を調整しながらスピンコートにより段差19aより上方を濡らす。すなわち、段差19aより上方をシンナーによりプリウエットする。これにより、次工程のレジスト20のスピンコートによる塗布の際、レジストが段差19aまで落ち込むことができるようにする。
【0065】
次に、
図20Fに示すように、シリコン基板10上に液状のレジスト20を滴下し、半導体基板1を低速で回転させてレジスト20をシリコン基板10の上面全体に塗布する。
このとき、レジスト20は貫通孔19の段差19aまで入り込むが、逆テーパ状に形成されている下段孔部19cまでは入り込まず、貫通孔19の下段孔部19cに空気が閉じ込められて、テンティング状態となる。
【0066】
次に、
図20Gに示すように、半導体基板1を高速回転させて液状のレジスト20を薄膜化するとともに、液状のレジスト20の中に残留している溶剤を乾燥させる。これによりレジスト20の厚みがやや減少して薄くなる。
【0067】
次に、
図21Hに示すように、半導体基板1を100°C程度で加熱して液状のレジスト20の中の溶剤をさらに乾燥させる。
【0068】
次に、
図21Jに示すように、貫通孔19の周辺のパターンと同時に形成したアライメントマークによりマスクの位置合わせをして、貫通孔19の周辺の銅メッキ層13及び配線パターン14を露光する。露光された領域のレジスト20は架橋する。
【0069】
次に、
図22Kに示すように、架橋していないレジスト20を現像液により除去する。
これによりレジストパターン22が形成される。
【0070】
次に、
図22Lに示すように、レジストパターン22をマスクとして貫通孔19の内周面及びシリコン基板10の上面に銅メッキをする。これにより銅メッキ層13が形成される。
【0071】
次に、
図23Mに示すように、レジストパターン22を除去する。
【0072】
次に、
図23Nに示すように、銅メッキ層13をマスクとして露出しているシード層12を除去する。これにより、半導体基板1にTSV10A、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0073】
[第1実施形態の変形例1の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第1実施形態の変形例1の製造方法について説明する。本変形例1は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による層間膜30とするものである。
まず最初に、銅配線46を有する配線層40の上に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなる有機系絶縁層間膜からなる層間膜30を形成する。層間膜30は高温でベーク又は紫外線でキュア(cure:素材内部の構造を安定化させるための加熱工程)して硬化させる。
そして、層間膜30の面上にレジスト20を塗布し、リソグラフィ工程により、貫通孔19のレジストパターン22を形成する。このとき、露光は配線構造に形成したマークにアライメントする。
【0074】
次に、
図24Aに示すように、レジスト20をマスクにして、主として異方性エッチングにより銅配線46のパッド上に逆テーパの貫通孔19を穿設する。
レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。
【0075】
次に、
図24Bに示すように、レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。これにより、貫通孔19の下段孔部19cと上段孔部19bとの境界19eに段差19aが形成され、上段孔部19bは順テーパ状、下段19孔部cは逆テーパ状となる。
【0076】
次に、
図25Cに示すように、レジスト20を除去する。
【0077】
次に、
図25Dに示すように、スパッタリングによりチタン(Ti)層、銅(Cu)層の順にメッキ用のシード層12を貫通孔19の内周面及び層間膜30の上面に形成する。
これ以降の工程は、前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0078】
[第1実施形態の変形例2の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第1実施形態の変形例2の製造方法について説明する。本変形例2は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31及び第2の層間膜32とするものである。
まず最初に、銅配線46を有する配線層40の上に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなる有機系絶縁層間膜からなる第1の層間膜31を形成する。第1の層間膜31は高温でベーク又は紫外線でキュアして硬化させる。
次に、
図26Aに示すように、第1の層間膜31とは異なる材質の第2の層間膜32(例えばSi3N4(窒化ケイ素))を形成する。
そして、第2の層間膜32の面上にレジスト20を塗布し、リソグラフィ工程により、貫通孔19のレジストパターン22を形成する。このとき、露光は配線構造に形成したマークにアライメントする。
【0079】
次に、
図26Bに示すように、レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。これにより、
図26Cに示すように、貫通孔19の下段孔部19cと上段孔部19bとの境界19eに段差19aが形成され、上段孔部19bは順テーパ状、下段孔部19cは逆テーパ状となる。
【0080】
さらに、第1の層間膜31よりも第2の層間膜32のエッチングレートを高くすることにより、
図26Cに示すように、下段孔部19cの上部が削られることがなく、より安定した逆テーパ形状を形成することができる。
【0081】
次に、第2の層間膜32上のレジスト20を除去する。
これ以降の工程は、前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0082】
<6.本開示に係る半導体基板の第2実施形態の製造方法>
[第2実施形態の基本形の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第2実施形態の基本形の製造方法について説明する。
まず最初に、銅配線46を有する配線層40の上にシリコン基板10を貼り合わせ、所望の厚さになるようにシリコン基板10を研磨、平坦化する。
そして、シリコン基板10の面上にレジスト20を塗布し、リソグラフィ工程により、貫通孔19のレジストパターン22を形成する。このとき、露光は配線構造に形成したマークにアライメントする。
【0083】
次に、
図27Aに示すように、レジスト20をマスクにして、主として異方性エッチングにより銅配線46のパッド上に逆テーパの貫通孔19を穿設する。
【0084】
次に、
図27Bに示すように、レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。これにより、貫通孔19の下段孔部19cと上段孔部19bとの境界19eに段差19aが形成され、上段孔部19bは順テーパ状、下段孔部19cは逆テーパ状となる。また、上段孔部19bの開口部19dの断面は、丸みを持たせた曲線状となる。
【0085】
次に、
図27Cに示すように、CVD(化学的気相成長:Chemical Vapor Deposition)法によりSiONからなる絶縁膜11を貫通孔19の内周面及び半導体基板1の上面に形成する。また、貫通孔19の底も薄く成膜される。このとき、本図に示すように、段差19aが下段孔部19c対してオーバーハングするように、又は下段孔部19cが逆テーパ状になるようにCVDの条件を調整する。ただし、上段孔部19bの開口部19dは大きく順テーパ状に形成するためにオーバーハングとはならない。
【0086】
次に、
図28Dに示すように、異方性エッチングにより絶縁膜11をエッチバックし、貫通孔19の底と銅配線46のパッドが連通するように貫通孔19の底に穴をあける。
【0087】
次に、
図28Eに示すように、スパッタリングによりチタン(Ti)層、銅(Cu)層の順にメッキ用のシード層12を貫通孔19の内周面及びシリコン基板10の上面に形成する。
これ以降の工程は、前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、TSV10A、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0088】
[第2実施形態の変形例1の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第2実施形態の変形例1の製造方法について説明する。本変形例1は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による層間膜30とするものである。
【0089】
また、貫通孔19の形状は、第2実施形態の基本形と同様に、
図16に示すように、貫通孔19の内周面を階段状に段差19aを形成するとともに、上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成し、さらに上段孔部19bの開口部19dの断面を、丸みを持たせた曲線状に形成したものである。
【0090】
上記は相違点であるが、製造工程については、前記の
図24A~
図25D及び前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、
図29に示すような層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0091】
[第2実施形態の変形例2の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第2実施形態の変形例2の製造方法について説明する。本変形例2は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31及び第2の層間膜32とするものである。
【0092】
また、貫通孔19の形状は、第2実施形態の基本形と同様に、
図16に示すように、貫通孔19の内周面を階段状に段差19aを形成するとともに、上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成し、さらに上段孔部19bの開口部19dの断面を、丸みを持たせた曲線状に形成したものである。
【0093】
上記は相違点であるが、製造工程については、前記の
図24A~
図25D及び前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、
図30に示すような層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0094】
<7.本開示に係る半導体基板の第3実施形態の製造方法>
[第3実施形態の基本形の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第3実施形態の基本形の製造方法について説明する。まず最初に、銅配線46を有する配線層40の上にシリコン基板10を貼り合わせ、所望の厚さになるようにシリコン基板10を研磨、平坦化する。
そして、シリコン基板10面上にレジスト20を塗布し、リソグラフィ工程により、貫通孔19のレジストパターンを形成する。このとき、露光は配線構造に形成したマークにアライメントする。
【0095】
次に、
図31Aに示すように、レジスト20をマスクにして、主として異方性エッチングにより銅配線46のパッド上に逆テーパの貫通孔19を穿設する。
【0096】
次に、
図31Bに示すように、レジスト開口部20aを等方性アッシングにより広げ、さらにレジスト20をマスクにして、異方性エッチングと等方性アッシングのサイクル工程を繰り返す。これにより、貫通孔19の境界19eと、その上方の上段孔部19bと下方の下段孔部19cとが形成され、上段孔部19bは順テーパ状、下段孔部19cは逆テーパ状となる。
【0097】
次に、
図31Cに示すように、CVD法によりSiONからなる絶縁膜11を貫通孔19の内周面及び半導体基板1の上面に形成する。また、貫通孔19の底も薄く成膜される。
【0098】
次に、
図32Dに示すように、異方性エッチングにより絶縁膜11をエッチバックし、貫通孔19の底と銅配線46のパッドが連通するように貫通孔19の底に穴をあける。
【0099】
次に、
図32Eに示すように、スパッタリングによりチタン(Ti)層、銅(Cu)層の順にメッキ用のシード層12を貫通孔19の内周面及びシリコン基板10の上面に形成する。
【0100】
これ以降の工程は、前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、TSV10A、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0101】
[第3実施形態の変形例1の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第3実施形態の変形例1の製造方法について説明する。本変形例1は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による層間膜30とするものである。
【0102】
また、貫通孔19の形状は、第3実施形態の基本形と同様に、
図17に示すように、貫通孔19の段差19aをなくするとともに、境界19eを設け、その上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成したものである。
【0103】
上記の相違点はあるものの製造工程については、前記の
図24A~
図25D及び前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、
図33に示すような層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0104】
[第3実施形態の変形例2の製造方法]
次に、本開示に係る半導体基板1の第3実施形態の変形例2の製造方法について説明する。本変形例2は、半導体基板1の貫通電極19を穿設する材料をシリコン基板10に代えて樹脂などの絶縁物による第1の層間膜31及び第2の層間膜32とするものである。
【0105】
また、貫通孔19の形状は、第3実施形態の基本形と同様に、
図17に示すように、貫通孔19の段差19aをなくするとともに、境界19eを設け、その上段孔部19bを順テーパ状に、下段孔部19cを逆テーパ状に形成したものである。
【0106】
上記は相違点であるが、製造工程については、前記の
図24A~
図25D及び前記の
図20Fから
図23Nまでと同様である。これにより、
図34に示すような層間絶縁膜中ホール10B、銅メッキ層13及び配線パターン14を形成することができる。
【0107】
以上のような工程により、メッキ不良を低減する半導体基板1及び半導体基板1の製造方法を提供することができる。
【0108】
<8.本開示に係る半導体基板を備えた固体撮像装置を有する電子機器>
上述した第1実施形態から第3実施形態に係る半導体基板1を備えた固体撮像装置100を有する電子機器の構成例について、
図35により説明する。
【0109】
固体撮像装置100は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像装置100を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)を有する電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像装置100は、ワンチップとして形成された形態のものであってもよいし、撮像部と信号処理部又は光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態のものであってもよい。
【0110】
図35に示すように、電子機器としての撮像装置200は、光学部202と、固体撮像装置100と、カメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路203と、フレームメモリ204と、表示部205と、記録部206と、操作部207と、電源部208とを備える。DSP回路203、フレームメモリ204、表示部205、記録部206、操作部207及び電源部208は、バスライン209を介して相互に接続されている。
【0111】
光学部202は、複数のレンズを含み、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像装置100の受光部3に結像する。固体撮像装置100は、光学部202によって受光部3に結像された入射光の光量を受光部3の光電変換素子9において画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0112】
表示部205は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、固体撮像装置100で撮像された動画又は静止画を表示する。記録部206は、固体撮像装置100で撮像された動画又は静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0113】
操作部207は、ユーザによる操作の下に、撮像装置200が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部208は、DSP回路203、フレームメモリ204、表示部205、記録部206及び操作部207の動作電源となる各種の電源を、これらの供給対象に対して適宜供給する。
【0114】
以上のように、本開示によれば、貫通孔19の開口部19dのテンティングを確実に行うことができるため不良率を改善することができる。これにより、本開示に係る半導体基板1を備えた固体撮像装置100を有する撮像装置200を高い品質で提供することができる。
【0115】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本開示の一例であり、本開示は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、さらに他の効果があってもよい。
【0116】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
(2)
順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
(3)
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板。
(4)
前記貫通電極は、シリコンに穿設された前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(5)
前記貫通電極は、絶縁性の層間膜に穿設された前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(6)
前記貫通電極は、2以上の絶縁性の層間膜に穿設された前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(7)
前記上段孔部と前記下段孔部との前記境界又は前記段差は、前記貫通電極の深さに対して、前記開口面から20%乃至50%の深さ方向の位置に配設した前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(8)
絶縁性の前記層間膜は、感光性を有する有機材料又は無機材料の樹脂で形成した前記(5)又は(6)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(9)
配線層上に基板を形成する工程と、
前記シリコン又は絶縁性の前記層間膜に逆テーパ状の貫通孔を穿設する工程と、
前記貫通孔の上段を順テーパ状に形成する工程と、
前記貫通孔の内周面及び前記シリコン基板若しくは絶縁性の前記層間膜の上面に絶縁膜を形成する工程と、
前記貫通孔の底と前記シリコン又は絶縁性の前記層間膜の下方に配設された配線層の銅配線とを連通させる工程と、
前記絶縁膜の上面にシード層を形成する工程と、
前記貫通孔の開口部及び前記シリコン又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストをテンティング状態に塗布して乾燥させる工程と、
前記シリコン又は絶縁性の前記層間膜の上面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記シリコン又は絶縁性の前記層間膜の上面に銅メッキによるパターンを形成する工程と、
を有する半導体基板の製造方法。
(10)
順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
順テーパ状に形成され、かつ開口部の断面を曲線状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部との境界に形成された段差と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
又は順テーパ状に形成された上段孔部と、
逆テーパ状に形成された下段孔部と、
前記上段孔部と前記下段孔部に形成された境界と、
を備えた貫通電極を有する半導体基板、
のうちいずれか1つの半導体基板を有する電子機器。
【符号の説明】
【0117】
1 半導体基板
2 センサ基板
3 受光部
4 カバーガラス
5 外部接続端子
8 マイクロレンズアレイ
9 光電変換素子
10 シリコン基板
10A TSV
10B 層間絶縁膜中ホール
11 絶縁膜
12 シード層
13 銅メッキ層
14 配線パターン
15 ソルダマスク
19 貫通孔
19a 段差
19b 上段孔部
19c 下段孔部
19d 開口部
19e 境界
20 レジスト
20a レジスト開口部
21 ポジレジスト
22 レジストパターン
25 フォトマスク
30 層間膜
31 第1の層間膜
32 第2の層間膜
40 配線層
46 銅配線
100 固体撮像装置
200 撮像装置