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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133966
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】移動手摺の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032943
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】森 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和将
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321HA23
(57)【要約】
【課題】 装置を小型化すると共に、塗布される液体のふき取りムラを防止することができる移動手摺の清掃装置を提供する。
【解決手段】 移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体10とを有する移動手摺の清掃装置30であって、清掃装置本体10は、筐体1と、筐体1内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体を塗布する塗布手段2と、筐体1内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段3と、筐体1内に配置され、塗布手段2に液体を供給する給液手段4とを有し、ふき取り手段3は、吸液性能を備えた複数枚のパッド部材3bで形成されており、移動手摺の表面に当接した状態で、隣り合うパッド部材3b、3bの先端部は、連続的に重なり合っていると共に、隣り合うパッド部材3b、3bの中央部は、隙間3dを有する構成とした。
【選択図】図3(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段と、
移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体と、を有する移動手摺の清掃装置であって、
前記清掃装置本体は、筐体と、
前記筐体内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体を塗布する塗布手段と、
前記筐体内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段と、
前記筐体内に配置され、前記塗布手段に液体を供給する給液手段と、を有し、
前記ふき取り手段は、吸液性能を備えた複数枚のパッド部材で形成されており、移動手摺の表面に当接した状態で、隣り合う前記パッド部材の先端部は、連続的に重なり合っていると共に、隣り合う前記パッド部材の中央部は、隙間を有していることを特徴とする移動手摺の清掃装置
【請求項2】
ふき取り手段は、隣り合うパッド部材の根元部が一体的に溶着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項3】
ふき取り手段は、各々のパッド部材の根元部を略板状の基板で連結固定すると共に、前記基板の略中央に水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項4】
ふき取り手段は、隣り合うパッド部材の中央部の隙間に乾燥剤が配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項5】
ふき取り手段は、一部のパッド部材の先端部に水切り機能を備えたワイパー部材を有し、前記ワイパー部材は、移動手摺の移動の下流側に形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項6】
ふき取り手段は、吸液性能を備えた3枚以上のパッド部材が、等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項7】
ふき取り手段は、パッド部材の当接面が、移動手摺の表面に対して斜め下方から当接するように設置されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーター等に設置されている移動手摺を清掃するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エスカレーター等に設置されている移動手摺の消毒や清掃を行う装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のエスカレーターベルト消毒洗浄機は、本体に大型の消毒液貯槽が据え付けてあり、消毒液貯槽の内部でロールが回転すると共に、ロールに移動するベルトを当接させて、消毒液を塗布する構成としている。また、ロールの上部には、ゴム又はプラスチックで半楕円型に形成された水切が間隔をあけて3個設置されており、この水切によってベルトに塗布された消毒液は拭き取られる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭48-112083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のエスカレーターベルトの消毒洗浄機は、本体に大型の消毒液貯槽が据え付けてあることから、大型な消毒洗浄機となっていた。また、水切がゴム又はプラスチックという硬質な材料で形成されているが、長尺なエスカレーターベルトは経年劣化によりうねりが生じているものであり、水切を通過するベルトの表面が一定の形状を維持していな場合が多く、ベルトの表面には水切の先端の一部のみが当接することとなり、消毒液のふき取りムラが生じるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、装置を小型化すると共に、塗布される液体のふき取りムラを防止することができる移動手摺の清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体と、を有する移動手摺の清掃装置であって、前記清掃装置本体は、筐体と、前記筐体内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体を塗布する塗布手段と、前記筐体内に配置され、移動手摺の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段と、前記筐体内に配置され、前記塗布手段に液体を供給する給液手段と、を有し、前記ふき取り手段は、吸液性能を備えた複数枚のパッド部材で形成されており、移動手摺の表面に当接した状態で、隣り合う前記パッド部材の先端部は、連続的に重なり合っていると共に、隣り合う前記パッド部材の中央部は、隙間を有していることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明は、清掃装置本体は、筐体内に塗布手段と、ふき取り手段と、給液手段とを有しているので、移動手摺の清掃装置を小型化することができる。また、ふき取り手段が吸液性能を備えた複数枚のパッド部材で形成されており、移動手摺の表面に当接した状態で、隣り合う前記パッド部材の先端部は、連続的に重なり合っているので、パッド部材の腰を強くすることができ、移動手摺に強く当接させることができ、液体のふき取りムラを防止することができる。また、隣り合うパッド部材の中央部は、隙間を有しているので、パッドが吸収した液体の揮発効果を高めることができ、長時間の使用でもパッド部材の先端部の吸液性能を維持することができる。また、中央部の隙間は、パッド部材が撓むことができるように機能し、うねりが生じている移動手摺からの衝撃力をパッド部材が撓むことによって逃がすことができ、清掃装置全体への衝撃力の影響を緩和させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ふき取り手段は、隣り合うパッド部材の根元部が一体的に溶着固定されていることを特徴としている。これにより、金属や樹脂からなる基台を必要としないので、製造コストの低減を図ることができると共に、廃棄時の分解の手間を無くすことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、ふき取り手段は、各々のパッド部材の根元部を略板状の基板で連結固定すると共に、前記基板の略中央に水抜き孔が形成されていることを特徴としている。これにより、パッド部材の根元部に液体が溜まるのを抑制することができ、パッド部材の揮発効果を維持することができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、ふき取り手段は、隣り合うパッド部材の中央部の隙間に乾燥剤が配置されていることを特徴としている。これにより、パッド部材の揮発効果を更に高めることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、ふき取り手段は、一部のパッド部材の先端部に水切り機能を備えたワイパー部材を有し、前記ワイパー部材は、移動手摺の移動の下流側に形成されていることを特徴としている。これにより、移動手摺に付着した液体の除去効果を高めることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれかの発明において、ふき取り手段は、吸液性能を備えた3枚以上のパッド部材が、等間隔で配置されていることを特徴としている。これにより、吸液性能を向上させることができると共に、隣り合うパッド部材の中央部の隙間を最適な幅にすることによって、ふき取り手段が大型化するのを防ぐことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1~6のいずれかの発明において、ふき取り手段は、パッド部材の当接面が、移動手摺の表面に対して斜め下方から当接するように設置されることを特徴としている。これにより、パッド部材は重力を利用して液体を根元部方向に移動させることができるので、吸液性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、移動手摺の清掃装置を小型化することができると共に、液体のふき取りムラを防止することができる。また、パッドが吸収した液体の揮発効果を高めることができ、長時間の使用でもパッド部材の先端部の吸液性能を維持することができる。また、中央部の隙間は、清掃装置全体への衝撃力を緩和させることができる。また、請求項2の発明は、製造コストの低減を図ることができると共に、廃棄時の分解の手間を無くすことができる。また、請求項3の発明は、パッド部材の揮発効果を維持することができる。
【0016】
また、請求項4の発明は、パッド部材の揮発効果を高めることができる。また、請求項5の発明は、移動手摺に付着した液体の除去効果を高めることができる。また、請求項6の発明は、ふき取り手段の吸液性能を向上させることができると共に、隣り合うパッド部材の中央部の隙間を最適な幅にすることによって、ふき取り手段が大型化するのを防ぐことができる。また、請求項7の発明は、ふき取り手段の吸液性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す斜視図
図2(a)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図
図2(b)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する洗浄ユニットを示す分解斜視図
図3(a)】本発明に係る移動手摺の清掃装置がエスカレーターに固定された状態を示す断面図
図3(b)】図3(a)の一部拡大断面図
図4】(a)~(d)ふき取り手段の他の実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す斜視図である。また、図2(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図であり、図2(b)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する洗浄ユニットを示す分解斜視図である。これらの図を用いて本発明に係る移動手摺の清掃装置の概要について以下に説明する。
【0019】
移動手摺の清掃装置30は、図1に示すように、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段20と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体10とを有している。固定手段20には、移動手摺が通過する前部開口に子供が誤って手を挿入しないための前部抑制部材20aが形成されており、後部開口にも同様に後部抑制部材20bが形成されている。そして、清掃装置本体10は、固定手段20に対して着脱可能に取り付けられている。
【0020】
清掃装置本体10は、筐体1と、筐体1内に配置された洗浄ユニット5とを有しており、筐体1は、開口7aを有する筐体本体7と、開口7aを開閉させる蓋体8とを備えている。また、洗浄ユニット5は、プレート5aに、移動手摺の表面に当接して液体を塗布する塗布手段2と、移動手摺の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段3と、塗布手段2に液体を供給する給液手段4と、移動手摺の表面に当接して汚れを除去する清掃手段6とを備えている。
【0021】
そして、洗浄ユニット5は、筐体1に対して着脱可能に取り付けられている。具体的には、洗浄ユニット5を構成するプレート5aが、筐体1を構成する蓋体8に対して着脱可能に取り付けられている。
【0022】
蓋体8は、略平板状又は略カップ状に形成されており、蓋体8の一端が、ヒンジ7bを介して筐体本体7に対して回動可能に連結されている。また、蓋体8の外面には、保護部材8aが形成されている。この保護部材8aは、蓋体8の開動作時に蓋体8が床面に当たる位置に保護部材8aを形成しておけば蓋体8の破損を防ぐことができる。また、保護部材8aは、エスカレーターの使用者が誤って蓋体8を蹴ったり、スーツケースが当たったりする場合の衝撃を緩和して内蔵されている洗浄ユニット5を保護することができる。
【0023】
尚、蓋体8の形状は略カップ状に替えて略平板状とし、洗浄ユニット5を構成するプレート5aが、筐体1を構成する筐体本体7に対して着脱可能に取り付けられている構成としてもよく、これも本発明に含まれる。また、蓋体8は筐体本体7に対してスライドして開閉させる場合も本発明に含まれる。
【0024】
また、洗浄ユニット5は、図2(b)に示すように、洗浄ユニット5を構成するプレート5aに、清掃手段6、塗布手段2、ふき取り手段3及び給液手段4が各々着脱可能に取り付けられている。尚、本発明を構成する洗浄ユニット5は、プレート5aを別体として有していない場合も本発明に含まれる。例えば、給液手段4とプレート5aを一体化した部材に、清掃手段6、塗布手段2及びふき取り手段4が各々着脱可能に取り付けられている場合も本発明に含まれる。
【0025】
清掃手段6は、複数のブラシ毛6aが基台6bに取り付けられているものであって、基台6bには、プレート5aに形成されている凹部5bに嵌合する凸部6cが形成されている。これにより、清掃手段6は、洗浄ユニット5に対して着脱可能に取り付けられている。尚、ブラシ毛6aに替えて、マイクロファイバー、布、スポンジ、傾斜パイルを使用することもでき、これも本発明に含まれる。
【0026】
塗布手段2は、給液手段4を構成する液体が満たされたカップの挿入口Aに挿入される側の吸液機能を有する布2aと、移動手摺に当接する側の不織布パッド2bとが取付部材2cを介して結合して形成されている。不織布パッド2bは、移動手摺の形状に対応するように凹形状部2eが形成されていると共に、凹形状部2eが変形可能なように複数のスリット2fが形成されている。そして、取付部材2cをプレート5aに形成されている係止枠5cに嵌めると共に、取付部材2cの内周面に形成された係止溝(図示せず)と、給液手段4の挿入口Aの外周面に形成された係止爪5gとが係止される構成としている。これにより、塗布手段2は、洗浄ユニット5に対して着脱可能に取り付けられている。
【0027】
給液手段4は、中空状のカップ本体4aに、挿入口Aと液補充口Bとが形成されている。液補充口Bは、液体を補充するための開口であり、液補充口Bにはキャップ4bが嵌合している。挿入口Aには前述した塗布手段2の吸液機能を有する布2aが挿入されており、この吸液機能を有する布2aの先端は、カップ本体4a内部の底部まで到達している。これにより、給液手段の内部の液体全てを塗布手段2に吸い上げることができるようにしている。また、カップ本体4aの外面の2箇所には、嵌合突起4cが形成されており、この嵌合突起4cがプレート5aの嵌合孔5dに嵌合する構成としている。これにより、給液手段4は、洗浄ユニット5に対して着脱可能に取り付けられている。
【0028】
ふき取り手段3は、基板3aに吸液性能を備えた平板状の複数の不織布からなるパッド部材3b、3b・・・が取り付けられている。このパッド部材3b、3b・・・には、凹状の当接部3cが形成されている。また、パッド部材3bのパッド丈は、移動手摺の上流側より下流側が長くなるように形成されていると共に、パッド部材3bは、移動手摺に対して、下流側に傾斜して当接するように形成されている。これにより、パッド部材3bが移動手摺と当接する面積を増やし、効率的にふき取ることができる。また、隣り合うパッド部材3b、3bの間に隙間3dが形成されており、吸液性能を備えた3枚以上のパッド部材3b、3b・・・が、等間隔で配置されている。これにより、吸液性能を向上させることができると共に、隣り合うパッド部材3bの中央部の隙間3dを最適な幅にすることによって、ふき取り手段3が大型化するのを防ぐことができる。尚、ふき取り部材3の材質は、不織布に限定されるものではなく、吸液性能を備えているものであれば様々な材質を選択することができ、これも本発明に含まれる。
【0029】
また、基板3aの一端をプレート5aの係止フック5e、5eに嵌合させると共に、基板3aの側面には、係止片(図示せず)が形成されており、この係止片が、プレート5aに形成されている係止穴5fに係止される構成としている。これにより、ふき取り手段3は、洗浄ユニット5に対して着脱可能に取り付けられている。
【0030】
図3(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置がエスカレーターに固定された状態を示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)の一部拡大断面図である。これらの図を用いて本発明に係る移動手摺の清掃装置の詳細について以下に説明する。
【0031】
本発明に係る移動手摺の清掃装置30は、図3(a)の矢印で示す移動手摺の進行方向に対して上流側から、清掃手段6、塗布手段2、ふき取り手段3の順に移動手摺に当接するようにエスカレーターに固定される。エスカレーターへの固定位置は、エスカレーターの側端部の半円の中央よりも下側に位置するように固定するのが好ましい。尚、図3(a)及び(b)において清掃装置30は、固定手段を省略して図示している。
【0032】
清掃手段6は、手摺に当接することによって、下流側に倒れた状態となっている。また、ふき取り手段3は、移動手摺の表面に当接した状態で、隣り合うパッド部材3b、3bの先端部は、連続的に重なり合っていると共に、隣り合うパッド部材3b、3bの中央部は、隙間3dを有している。これにより、パッド部材3bの腰を強くすることができ、移動手摺に強く当接させることができ、液体のふき取りムラを防止することができる。また、パッド部材3bの側面を移動手摺の表面に押し当てることができるため、当接面積が増加し、さらに液体のふき取りムラを防止できる。また、隣り合うパッド部材3b、3bの中央部は、隙間3dを有しているので、パッド部材3bが吸収した液体の揮発効果を高めることができ、長時間の使用でもパッド部材の先端部の吸液性能を維持することができる。
【0033】
また、中央部の隙間3dは、パッド部材3bが撓むことができるように機能し、うねりが生じている移動手摺からの衝撃力をパッド部材3bが撓むことによって逃がすことができ、清掃装置全体への衝撃力の影響を緩和させることができる。
【0034】
また、ふき取り手段3は、パッド部材3bの移動手摺との当接面が、移動手摺の表面に対して斜め下方から当接するように設置されている。これにより、パッド部材3bは重力を利用して液体を根元部方向に移動させることができるので、吸液性能を向上させることができる。
【0035】
図4(a)~(d)は、ふき取り手段の他の実施形態を示す斜視図である。図4(a)に示すふき取り手段11は、隣り合うパッド部材11b、11bの根元部が一体的に溶着固定されて、溶着部15が形成されている。これにより、金属や樹脂からなる基台を必要としないので、製造コストの低減を図ることができると共に、廃棄時の分解の手間を無くすことができる。
【0036】
図4(b)に示すふき取り手段12は、隣り合うパッド部材12b、12bの中央部の隙間に乾燥剤16が配置されている。これにより、乾燥剤16がパッド部材12bに含まれている液体の水分を吸収するのでパッド部材12bの揮発効果を高めることができる。
【0037】
図4(c)に示すふき取り手段13は、一部のパッド部材13bの先端部に水切り機能を備えたワイパー部材17を有しており、ワイパー部材17は、移動手摺の移動の下流側に形成されている。これにより、移動手摺に付着した液体の除去効果を高めることができる。また、最も移動手摺の移動の下流側に位置するパッド部材13bの先端部にマイクロファイバー18が取付けられている。これにより、ワイパー部材17で堰き止めた水分をマイクロファイバー18に付着させて除去できると共に、パッド部材13bやワイパー部材17では除去しきれなかった水分を、吸収性の高いマイクロファイバー18で除去できるため、移動手摺に液体が残らないようにしている。尚、ワイパー部材17やマイクロファイバー18を、移動手摺の形状に対応するように凹形状とすることにより、移動手摺との当接面積を増やし、除去性能を向上させることもできる。
【0038】
図4(d)に示すふき取り手段14は、各々のパッド部材14bの根元部を略板状の基板14aで連結固定すると共に、基板14aの略中央に水抜き孔14cが形成されている。これにより、パッド部材14bの根元部に液体が溜まるのを抑制することができ、パッド部材14bの揮発効果を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る移動手摺の清掃装置は、エスカレーター等に設置されて移動手摺を清掃するために利用される。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 塗布手段
2a 吸液機能を有する布
2b 不織布パッド
2c 取付部材
2e 凹形状部
2f スリット
3、11、12、13、14 ふき取り手段
3a、14a 基板
3b、11b、12b、13b、14b パッド部材
3c 凹状の当接部
3d 隙間
4 給液手段
4a カップ本体
4b キャップ
4c 嵌合突起
5 洗浄ユニット
5a プレート
5b 凹部
5c 係止枠
5d 嵌合孔
5e 係止フック
5f 係止穴
5g 係止爪
6 清掃手段
6a ブラシ毛
6b 基台
6c 凸部
7 筐体本体
7a 開口
7b ヒンジ
8 蓋体
8a 保護部材
10 清掃装置本体
15 溶着部
16 乾燥剤
17 ワイパー部材
18 マイクロファイバー
20 固定手段
20a 前部抑制部材
20b 後部抑制部材
30 移動手摺の清掃装置
31 移動手摺
32 案内レール
A 挿入口
B 液補充口
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4