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  • 特開-部品実装機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013397
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20220111BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20220111BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H05K13/04 B
B25J19/06
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115925
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】519231500
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋一郎
【テーマコード(参考)】
3C707
5E353
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS08
3C707FS01
3C707FU04
3C707KS30
3C707KV00
3C707KV15
3C707MS21
3C707NS17
5E353CC21
5E353EE51
5E353EE89
5E353JJ48
5E353QQ11
5E353QQ12
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】部品実装機においてノズルの目詰まりをより正確に検出できる技術を提供する。
【解決手段】エア通路4を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズル3を備える部品実装機であって、エア通路4の圧力を計測する圧力センサ6と、ノズル3を真空破壊後、圧力センサ6により計測されるエア通路4の圧力が大気圧に復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段7と、計時手段7により計測される復帰時間に基づき、ノズルの目詰まりを検出する目詰まり検出手段8と、を備える部品実装機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア通路を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズルを備える部品実装機であって、
前記エア通路の圧力を計測する圧力センサと、
前記ノズルを真空破壊後、前記圧力センサにより計測される前記エア通路の圧力が大気圧に復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段と、
前記計時手段により計測される復帰時間に基づき、前記ノズルの目詰まりを検出する目詰まり検出手段と、を備える部品実装機。
【請求項2】
エア通路を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズルを備える部品実装機であって、
前記エア通路のエア流量を計測する流量センサと、
前記ノズルを真空破壊後、前記流量センサにより計測される前記エア通路のエア流量がゼロに復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段と、
前記計時手段により計測される復帰時間に基づき、前記ノズルの目詰まりを検出する目詰まり検出手段と、を備える部品実装機。
【請求項3】
前記目詰まり検出手段は、前記復帰時間が所定の第1閾値を超えているときに前記ノズルが目詰まり予兆状態にあると判定する、請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記目詰まり検出手段は、前記復帰時間が前記第1閾値より大きい第2閾値を超えているときに前記ノズルが目詰まり状態にあると判定する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記エア通路を通じて正圧を供給することにより前記ノズルを真空破壊する、請求項1から4のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記ノズルの真空破壊、及び前記計時手段による前記復帰時間の計測を、前記ノズルが部品を真空吸着していないときに実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア通路を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズルを備える部品実装機に関し、より詳しくはノズルの目詰まりを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機においてノズルの目詰まりは不良品の発生につながるため、都度正確に目詰まりを検出することが重要である。そこで、ノズルの目詰まりを検出する技術として、特許文献1に、真空発生源の真空圧(元圧)の候補値と計測値との差からノズルの目詰まりを検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-77692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、部品の小型化が進み、これに伴い部品を真空吸着するためのノズルの孔径も小さくなっている。しかし、上記特許文献1に技術においては、ノズルの孔径が小さくなると、真空発生源の真空圧(元圧)の候補値と計測値との差が小さくなることから、ノズルの目詰まりを正確に検出することはできない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、部品実装機においてノズルの目詰まりをより正確に検出できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、次の1から6の部品実装機が提供される。
1.
エア通路を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズルを備える部品実装機であって、
前記エア通路の圧力を計測する圧力センサと、
前記ノズルを真空破壊後、前記圧力センサにより計測される前記エア通路の圧力が大気圧に復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段と、
前記計時手段により計測される復帰時間に基づき、前記ノズルの目詰まりを検出する目詰まり検出手段と、を備える部品実装機。
2.
エア通路を通じて供給される負圧により部品を真空吸着するノズルを備える部品実装機であって、
前記エア通路のエア流量を計測する流量センサと、
前記ノズルを真空破壊後、前記流量センサにより計測される前記エア通路のエア流量がゼロに復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段と、
前記計時手段により計測される復帰時間に基づき、前記ノズルの目詰まりを検出する目詰まり検出手段と、を備える部品実装機。
3.
前記目詰まり検出手段は、前記復帰時間が所定の第1閾値を超えているときに前記ノズルが目詰まり予兆状態にあると判定する、前記1又は2に記載の部品実装機。
4.
前記目詰まり検出手段は、前記復帰時間が前記第1閾値より大きい第2閾値を超えているときに前記ノズルが目詰まり状態にあると判定する、前記3に記載の部品実装機。
5.
前記エア通路を通じて正圧を供給することにより前記ノズルを真空破壊する、前記1から4のいずれか一項に記載の部品実装機。
6.
前記ノズルの真空破壊、及び前記計時手段による前記復帰時間の計測を、前記ノズルが部品を真空吸着していないときに実行する、前記1から5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノズルを真空破壊後、エア通路の圧力又はエア流量が所定値(圧力≒大気圧、エア流量≒ゼロ)に復帰するまでの復帰時間を計測することで、ノズルの孔径が小さい場合であっても、ノズルの目詰まりを正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)である部品実装機の要部の概念的な断面図。
図2】第1実施形態の部品実装機において圧力センサにより計測されるエア通路の圧力の経時的変化を模式的に示す図。
図3】本発明の他の実施形態(第2実施形態)である部品実装機の要部の概念的な断面図。
図4】第2実施形態の部品実装機において流量センサにより計測されるエア通路のエア流量の経時的変化を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の一実施形態(第1実施形態)である部品実装機の要部を断面図により概念的に示している。
部品実装機の実装ヘッド1のベッド本体1aに、スピンドル2がその軸線周りのT方向に回転可能かつ軸線方向に沿ったZ方向に移動可能に装着されている。スピンドル2の先端にはノズル3が装着され、スピンドル2の内部にはノズル3のノズル孔3aに通じるエア通路4が形成されている。エア通路4には、経路切替え手段5の切替え操作により、負圧源からの負圧と正圧源からの正圧が選択的に供給される。
すなわち、ノズル3は負圧源からエア通路4を通じて供給される負圧により部品を真空吸着し、正圧源からエア通路4を通じて供給される正圧により部品を離脱させる。具体的には本実施形態の部品実装機は、実装ヘッド1のノズル3により、部品供給部から部品を真空吸着によりピックアップし、そのまま部品を保持して基板上に移送し、ノズル3に正圧を供給して真空破壊することにより基板上の所定位置に部品を実装する。部品実装後、実装ヘッド1は部品供給部に戻り、その部品供給部から部品を真空吸着によりピックアップする。
【0010】
図1に示すように本実施形態の部品実装機は、エア通路4の圧力を計測する圧力センサ6と、ノズル3を真空破壊後、圧力センサ6により計測されるエア通路4の圧力が大気圧に復帰するまでの復帰時間を計測する計時手段7と、計時手段7により計測される復帰時間に基づき、ノズル3の目詰まりを検出する目詰まり検出手段8とを備える。
なお、図1にはスピンドル2及びノズル3のセットを1つ示しているが、実際の部品実装機ではスピンドル2及びノズル3のセット数は複数である場合が多い。この場合、圧力センサ6は、スピンドル2及びノズル3のセット毎に設ける。一方、経路切替え手段5、計時手段7及び目詰まり検出手段8は、複数のスピンドル2及びノズル3のセットに共用可能である。
【0011】
次に、本実施形態の部品実装機においてノズル3の目詰まりを検出する方法について説明する。
本実施形態においてノズル3の目詰まり検出は、ノズル3が部品を真空吸着していないときに実行する。すなわち、上述の部品実装機の動作において、部品実装後、実装ヘッド1が部品供給部に戻るまでの間(部品供給部に戻る途中)でノズル3の目詰まりを検出する。
【0012】
図2に、ノズル3の目詰まり検出の際、圧力センサ6により計測されるエア通路4の圧力の経時的変化を模式的に示している。
ノズル3が部品を真空吸着していなくてもノズル3に負圧源からエア通路4を通じて負圧を供給すると、図2に示すようにエア通路4の圧力は負圧(例えば-80kPa程度)になる。この負圧状態(真空状態)が安定した後、エア通路を通じて正圧を供給することによりノズル3を真空破壊する。そうすると、同図に示すようにエア通路4の圧力は一旦、大気圧より高い正圧までオーバーシュートした後、大気圧に復帰する。本実施形態では、ノズル3を真空破壊後、エア通路4の圧力が大気圧に復帰するまでの復帰時間を計時手段7で計測する。そして、この計時手段7により計測される復帰時間に基づき、目詰まり検出手段8がノズル3の目詰まりを検出する。
【0013】
具体的には計時手段7により計測される復帰時間は、ノズル3の目詰まりの有無(程度)により変化する。すなわち、ノズル3の目詰まりがない場合、例えば図2に実線で示すようにノズル3を真空破壊後、エア通路4の圧力は早期に大気圧に復帰する。したがって、その復帰時間t1は短い(例えば15ms程度)。一方、ノズル3の目詰まりがある場合、例えば同図に破線で示すようにノズル3を真空破壊後、エア通路4の圧力はなかなか大気圧に復帰せず、その復帰時間t2は目詰まりがない場合の復帰時間t1より長くなる(例えば30ms程度)。
ここで、「大気圧に復帰する」における「大気圧」とは、厳密な大気圧を意味するものではなく、ある程度の幅(例えば大気圧±5kPa程度)を含むものである。
【0014】
このように、復帰時間はノズル3の目詰まりの有無(程度)により変化し、具体的にはノズル3の目詰まりの程度が大きくなるほど復帰時間は長くなる。したがって目詰まり検出手段8は、計時手段7により計測される復帰時間に基づきノズル3の目詰まりの有無や程度を検出することができる。
例えば、本実施形態において目詰まり検出手段8は、復帰時間が所定の第1閾値(例えば25ms)を超えているときにノズル3が目詰まり予兆状態にあると判定することができる。また、この場合、目詰まり検出手段8は予兆警告やメンテナンス指示を出力することもできる。なお、第1閾値は、事前の計測あるいは経験的に知得した、ノズル3の目詰まりがない場合(ノズルが目詰まり状態にない場合)の復帰時間t1とノズル3の目詰まりがある場合(ノズルが目詰まり状態にある場合)の復帰時間t2との中間的な値とすることができる。
【0015】
また、本実施形態において目詰まり検出手段8は、復帰時間が第1閾値(例えば25ms)より大きい第2閾値(例えば30ms)を超えているときにノズル3が目詰まり状態にあると判定することができる。また、この場合、目詰まり検出手段8は目詰まり警告やメンテナンス指示を出力することもできる。なお、第2閾値は、事前の計測あるいは経験的に知得した、ノズル3の目詰まりがある場合(ノズルが目詰まり状態にある場合)の復帰時間t2と同程度の値とすることができる。
【0016】
また、本実施形態において目詰まり検出手段8は、復帰時間が第1閾値(例えば25ms)を超えているときにノズル3が目詰まり予兆状態にあると判定し、かつ復帰時間が第2閾値(例えば30ms)を超えているときにノズル3が目詰まり状態にあると判定することもできるし、第1閾値と第2閾値の一方のみを設定して、復帰時間がその閾値を超えている否かで、ノズル3が目詰まり予兆状態にあるか否か、あるいはノズルが目詰まり状態にあるか否かを判定することもできる。
【0017】
図3に、本発明の他の実施形態(第2実施形態)である部品実装機の要部を断面図により概念的に示している。
第1実施形態では、圧力センサ6によりエア通路4の圧力を計測するようにしたが、本実施形態では、流量センサ9によりエア通路4のエア流量を計測するようにしている。なお、本実施形態において、第1実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0018】
次に、本実施形態の部品実装機においてノズル3の目詰まりを検出する方法について説明する。なお、本実施形態においてもノズル3の目詰まり検出は、ノズル3が部品を真空吸着していないときに実行する。
【0019】
図4に、ノズル3の目詰まり検出の際、流量センサ9により計測されるエア通路4のエア流量の経時的変化を模式的に示している。
ノズル3に負圧源からエア通路4を通じて負圧を供給すると、図4に示すようにエア通路4のエア流量(絶対値)は増大した後ゼロに復帰する。これによりノズル3は安定した負圧状態(真空状態)となる。その後、エア通路4を通じて正圧を供給することによりノズル3を真空破壊する。そうすると、同図に示すようにエア通路4のエア流量(絶対値)は増大した後ゼロに復帰する。これにより、エア通路4の圧力は大気圧に復帰する。本実施形態では、ノズル3を真空破壊後、エア通路4のエア流量がゼロに復帰するまでの復帰時間を計時手段7で計測する。そして、この計時手段7により計測される復帰時間に基づき、目詰まり検出手段8がノズル3の目詰まりを検出する。
ここで、「エア流量がゼロに復帰する」における「ゼロ」とは、厳密なゼロを意味するものではなく、ある程度の幅を含むものである。
【0020】
本実施形態において計時手段7により計測される復帰時間は、第1実施形態と同様に、ノズル3の目詰まりの有無(程度)により変化する。すなわち、ノズル3の目詰まりがない場合、例えば図4に実線で示すようにノズル3を真空破壊後、エア通路4のエア流量は早期にゼロに復帰する。したがって、その復帰時間t3は短い。一方、ノズル3の目詰まりがある場合、例えば同図に破線で示すようにノズル3を真空破壊後、エア通路4のエア流量はなかなかゼロに復帰せず、その復帰時間t4は目詰まりがない場合の復帰時間t3より長くなる。
なお、本実施形態において復帰時間に基づくノズル3の目詰まりの具体的な検出方法は、第1実施形態と同様とすることができる。
【0021】
以上の実施形態では、エア通路4を通じて正圧を供給することによりノズル3を真空破壊するようにしたが、別途エア通路4を大気開放するなどして、正圧を供給することなくノズル3を真空破壊することもできる。ただし、エア通路4を通じて正圧を供給することによりノズル3を真空破壊する方が、正圧を供給することなくノズル3を真空破壊する場合に比べて、ノズルを真空破壊後、エア通路の圧力又はエア流量が所定値(圧力≒大気圧、エア流量≒ゼロ)に復帰するまでの復帰時間が短くなるので効率的である。
【0022】
以上の実施形態では、ノズル3の目詰まり検出は、ノズル3が部品を真空吸着していないときに実行するようにしたが、上述した部品実装機の動作において部品供給部から部品を真空吸着し、その後、ノズル3を真空破壊して基板上の所定位置に部品を実装するという動作に合わせてノズル3が部品を真空吸着している状態で、ノズル3の目詰まり検出を実行することもできる。しかし、ノズル3が部品を真空吸着している状態でノズル3の目詰まり検出を実行すると、ノズル3を真空破壊して部品を実装する動作に失敗したときなどに、ノズル3の真空破壊が正常に実行されず、結果としてノズル3の目詰まり検出に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、ノズル3の目詰まり検出は、ノズル3が部品を真空吸着していないときに実行することが好ましい。
【符号の説明】
【0023】
1 部品実装機の実装ヘッド
1a ヘッド本体
2 スピンドル
3 ノズル
3a ノズル孔
4 エア通路
5 経路切替え手段
6 圧力センサ
7 計時手段
8 目詰まり検出手段
9 流量センサ
図1
図2
図3
図4