(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133970
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ボールペンチップ及びボールペンチップの製造方法。
(51)【国際特許分類】
B43K 1/08 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B43K1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032947
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】柳 飛沙則
(72)【発明者】
【氏名】山本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 智也
(72)【発明者】
【氏名】間野 大貴
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350HA12
2C350NE01
(57)【要約】
【課題】ボールペンチップの先端部分を、主に意匠性を考慮して、単純な回転体ではない形状に形成する。
【解決手段】円筒部と、前記円筒部の先端側を構成し外径が先端に向かって漸減する縮径部とを有するホルダーと、前記縮径部の先端に抱持される筆記ボールと、前記縮径部の外表面の一部が陥凹した凹部と、を備えたことを特徴とするボールペンチップ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部と、前記円筒部の先端側を構成し外径が先端に向かって漸減する縮径部とを有するホルダーと、
前記縮径部の先端に抱持される筆記ボールと、
前記縮径部の外表面の一部が陥凹した凹部と、
を備えたことを特徴とするボールペンチップ。
【請求項2】
前記凹部が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボールペンチップ。
【請求項3】
前記凹部が周方向に等配されていることを特徴とする請求項2に記載のボールペンチップ。
【請求項4】
前記凹部が着色されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のボールペンチップ。
【請求項5】
円筒部と、前記円筒部の先端側を構成し外形が先端に向かって漸減する縮径部とを有するホルダーと、前記縮径部の先端に抱持される筆記ボールと、を備えるボールペンチップの前記縮径部の外表面の一部を陥凹させるように切削して凹部を形成することを特徴とする、ボールペンチップの製造方法。
【請求項6】
前記切削は、ブローチ加工によることを特徴とする、請求項5に記載のボールペンチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールペンチップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼製の円柱材を切削して製造するボールペンチップは通常、先端部分が先細りの略円錐形状を呈している。ペン先の描線部分を見えやすくするとともに、意匠性をも考慮して、先細りの先端部分の側面を凹曲面としたボールペンチップが下記特許文献1に開示されている。また、ボールホルダーの円錐形状の表面に微細な凹凸を設けた部分を形成し、その部分を塗装により着色する試みもなされている(下記特許文献2)。さらに、ボールペンチップの表面にレーザー刻印で文字等の識別情報を付す技術も開示されている(下記特許文献3)。
【0003】
なお、ボールペンのペン先体の軸部の周囲に長手方向に沿った通気溝を設けた技術も開示されている(下記特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-13426号公報
【特許文献2】特開2009-34874号公報
【特許文献3】特開2010-155426号公報
【特許文献4】特表2006-509657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の従来技術では、ボールペンチップの外径は、全体として、軸心を中心とした回転体として形成されている。本発明は、ボールペンチップの先端部分を、主に意匠性を考慮して、単純な回転体ではない形状に形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施態様のボールペンチップは、円筒部と、前記円筒部の先端側を構成し外径が先端に向かって漸減する縮径部とを有するホルダーと、前記縮径部の先端に抱持される筆記ボールと、前記縮径部の外表面の一部が陥凹した凹部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、上述の縮径部については、円筒部から筆記ボールに至るまでに径が減少していれば、途中に径が一定となる部分があってもよい。
【0008】
なお、本開示の実施態様のボールペンチップでは、意匠性を考慮して、前記凹部が複数設けられていることが望ましい。さらにその場合、製造工程においてボールペンチップに対称的に荷重がかかることを考慮して、前記凹部が周方向に等配されていることが望ましい。
【0009】
また、本開示の実施態様のボールペンチップでは、前記凹部が着色されていることとしてもよい。凹部が着色されることで、ボールペンチップが装着されるボールペンリフィルに収容されるインク色を表示することができる。
【0010】
本開示の実施態様のボールペンチップは、円筒部と、前記円筒部の先端側を構成し外形が先端に向かって漸減する縮径部とを有するホルダーと、前記縮径部の先端に抱持される筆記ボールと、を備えるボールペンチップの前記縮径部の外表面の一部を陥凹させるように切削して凹部を形成することで製造することができる。その際、前記切削は、ブローチ加工によることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本願の実施態様は上記のように構成されているので、ボールペンチップの先端部分を、主に意匠性を考慮して、単純な回転体ではない形状に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の製造方法によるボールペンチップの加工工程を示す。
【
図2】第2の製造方法によるボールペンチップの加工工程を示す。
【
図3】第3の製造方法によるボールペンチップの加工工程を示す。
【
図4】第4の製造方法によるボールペンチップの加工工程を示す。
【
図5】第1実施形態のボールペンチップの前方斜視図(A)、後方斜視図(B)、正面図(C)、正面図と側面図との中間視(D)、平面図(E)及び底面図(F)である。
【
図6】第1実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図7】第2実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図8】第3実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図9】第4実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図10】第5実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図11】第6実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図12】第7実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【
図13】第8実施形態のボールペンチップを装着したボールペンリフィルの正面図(A)、拡大平面図(B)、拡大底面図(C)、先端部分の拡大正面図(D)及び先端部分の拡大前方斜視図(E)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面を参照した説明では、ボールペンチップ又はボールペンリフィルの先端側からの視点で描いた図を平面図と称し、その反対側からの視点で描いた図を底面図と称する。また、各図面で共通する符号については特に説明がなくても同一の構成を指し示している。
【0014】
(1)製造方法
(1-1)第1の製造方法
図1は、本実施形態のボールペンチップの第1の製造方法を示す模式図である。凹部24が形成される前のボールペンチップ10の正面図を
図1(A)に示す。ボールペンチップ10は、円柱金属材を切削して形成されたホルダー20と、ホルダー20の先端に抱持される筆記ボール30とを備える。ホルダー20は、外径が最大の円筒形状の円筒部21と、円筒部21の先端側がテーパー状に縮径された縮径部22と、円筒部21の後端側が円筒状に縮径された挿入部26とを備える。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている。
【0015】
縮径部22に凹部24を形成するための工具であるブローチツール50は、
図1(B)の正面図及び
図1(C)の底面図に示すような形状を呈する。ブローチツール50は全体として円柱形状を呈するが、下端は四分割され、その各々が凹部24を刻するためのブレード51となっている。換言すると、4つのブレード51が軸心を中心に等配されている(
図1C参照)。
【0016】
図1(A)のボールペンチップ10を製造ラインの所定位置で先端を上向きに固定した状態で、上方からボールペンチップ10と軸心を一致させたブローチツール50を接近させ、縮径部22の先端側の外側面の一部を、ブレード51で陥凹させるように切削する(
図1(D)参照)。
【0017】
図1(D)のブローチ加工を終えた状態のボールペンチップ10は、
図1(E)の正面図及び
図1(F)の平面図に示すような形状を呈する。ホルダー20の円筒部21、挿入部26及びカシメ部23並びに筆記ボール30については
図1(A)に示す状態と変わりないが、縮径部22の外周面には、軸心を中心とする4箇所に等配された凹部24が形成されている。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図1(F)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図1(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。この凹部24には、
図1(G)の正面図及び
図1(H)の平面図に示すように、所定色彩の塗料を適用して着色した着色部25とすることもできる。
【0018】
(1-2)第2の製造方法
図2は、本実施形態のボールペンチップの第2の製造方法を示す模式図である。第2の製造方法では、
図1(E)及び(F)に示す状態のボールペンチップ10を引き続き、製造ラインの同じ所定位置で先端を上向きに固定した状態で、上方から
図1(B)及び(C)に示すブローチツール50を45°回転させた状態で再び接近させ、縮径部22の先端側の凹部24のない外側面をブレード51で陥凹させるように切削する(
図2(A)参照)。
【0019】
図2(A)のブローチ加工を終えた状態のボールペンチップ10は、
図2(C)の正面図及び
図2(C)の平面図に示すような形状を呈する。ホルダー20の円筒部21、挿入部26及びカシメ部23並びに筆記ボール30については
図1(A)に示す状態と変わりないが、縮径部22の外周面には、軸心を中心とする8箇所に等配された凹部24が形成されている。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図2(C)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図2(B)参照)との3面が露出するように陥凹している。この凹部24には、
図2(D)の正面図及び
図2(E)の平面図に示すように、所定色彩の塗料を適用して着色した着色部25とすることもできる。
【0020】
(1-3)第3の製造方法
図3は、本実施形態のボールペンチップの第3の製造方法を示す模式図である。凹部24が形成される前のボールペンチップ10の正面図を
図3(A)に示す。ボールペンチップ10は、円柱金属材を切削して形成されたホルダー20と、ホルダー20の先端に抱持される筆記ボール30とを備える。ホルダー20は、外径が最大の円筒形状の円筒部21と、円筒部21の先端側がテーパー状に縮径された縮径部22と、円筒部21の後端側が円筒状に縮径された挿入部26とを備える。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている。
【0021】
縮径部22に凹部24を形成するための工具であるブローチツール50は、
図3(B)の正面図及び
図3(C)の底面図に示すような形状を呈する。ブローチツール50は全体として円柱形状を呈するが、下端は三分割され、その各々が凹部24を刻するためのブレード51となっている。換言すると、3つのブレード51が軸心を中心に等配されている(
図1C参照)。
【0022】
図3(A)のボールペンチップ10を製造ラインの所定位置で先端を上向きに固定した状態で、上方からボールペンチップ10と軸心を一致させたブローチツール50を接近させ、縮径部22の先端側の外側面の一部をブレード51で陥凹させるように切削する(
図3(D)参照)。
【0023】
図3(D)のブローチ加工を終えた状態のボールペンチップ10は、
図3(E)の正面図及び
図3(F)の平面図に示すような形状を呈する。ホルダー20の円筒部21、挿入部26及びカシメ部23並びに筆記ボール30については
図3(A)に示す状態と変わりないが、縮径部22の外周面には、軸心を中心とする3箇所に等配された凹部24が形成されている。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図3(F)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図3(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。この凹部24には、
図3(G)の正面図及び
図3(H)の平面図に示すように、所定色彩の塗料を適用して着色した着色部25とすることもできる。
【0024】
(1-4)第4の製造方法
図4は、本実施形態のボールペンチップの第4の製造方法を示す模式図である。第4の製造方法では、
図3(E)及び(F)に示す状態のボールペンチップ10を引き続き、製造ラインの同じ所定位置で先端を上向きに固定した状態で、上方から
図3(B)及び(C)に示すブローチツール50を60°回転させた状態で再び接近させ、縮径部22の先端側の凹部24のない外側面をブレード51で陥凹させるように切削する(
図4(A)参照)。
【0025】
図4(A)のブローチ加工を終えた状態のボールペンチップ10は、
図4(B)の正面図及び
図4(C)の平面図に示すような形状を呈する。ホルダー20の円筒部21、挿入部26及びカシメ部23並びに筆記ボール30については
図3(A)に示す状態と変わりないが、縮径部22の外周面には、軸心を中心とする6箇所に等配された凹部24が形成されている。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図4(C)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図4(B)参照)との3面が露出するように陥凹している。この凹部24には、
図4(D)の正面図及び
図4(E)の平面図に示すように、所定色彩の塗料を適用して着色した着色部25とすることもできる。
【0026】
(1-5)その他
上述のとおり、本願の実施態様のボールペンチップの製造方法は、従来の製造ラインを応用して、ブローチ加工の工程を加えることで実施することが可能である。また、ブローチツール50におけるブレード51は軸心に対して非対称に配置されていてもよいが、ブローチ加工の際にボールペンチップ10に対する荷重を均等にするために、上述の第1~第4の製造方法のようにブローチツール50におけるブレード51は軸心に対して等配されていることが望ましい。
【0027】
図1(G)及び(H)、
図2(D)及び(E)、
図3(G)及び(H)並びに
図4(D)及び(E)に示す着色部25は、ボールペンチップ10が装着されるボールペンリフィル40のインク収容管41に収容されるインク色に対応する色彩とすることもできる。まこのように、着色部25は塗料が凹部24の中に入った状態となっているため、ボールペンのノックの際の擦過により剥がれ落ちることがない。
【0028】
また、
図1(E)及び(F)、
図2(B)及び(C)、
図3(E)及び(F)並びに
図4(B)及び(C)に示す凹部24又は着色部25の配置や数によって、たとえば、水性インクであるか、油性インクであるか、あるいは熱変色性インクであるか、さらにはどの色のインクであるか、といったインクの属性に対応させる識別子とすることもできる。
【0029】
(2)ボールペンチップ10及びボールペンリフィル40
(2-1)第1実施形態
第1実施形態のボールペンチップ10を、
図5(A)の前方斜視図、
図5(B)の後方斜視図、
図5(C)の正面図、
図5(D)の正面図と側面図との中間視、
図5(E)の平面図及び
図5(F)の底面図に示す。
【0030】
ボールペンチップ10は、円柱金属材を切削して形成されたホルダー20と、ホルダー20の先端に抱持される筆記ボール30とを備える(
図1(A)~(E)参照)。ホルダー20は、外径が最大の円筒形状の円筒部21と、円筒部21の先端側を構成し、テーパー状に縮径され、外径が先端に向かって漸減する縮径部22と、縮径部22の外表面の一部が陥凹した複数箇所、具体的には4箇所の凹部24と、円筒部21の後端側が円筒状に縮径された挿入部26とを備える(
図1(A)~(D)参照)。挿入部26の後端にはバック孔27が開口している(
図1(B)及び(F)参照)。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図1(A)~(E)参照)。凹部24は、前記第1の製造方法に示すようにして形成される。4箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図1(E)参照)。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図5(E)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図5(A)~(D)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0031】
第1実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図6(A)の正面図、
図6(B)の拡大平面図、
図6(C)の拡大底面図、
図6(D)の先端部分の拡大正面図及び
図6(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、ボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図6(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図6(C)参照)。
【0032】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22はテーパー状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した4箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図6(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第1の製造方法に示すようにして形成される。4箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図6(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図5(E)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図6(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0033】
なお、
図6(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0034】
(2-2)第2実施形態
第2実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図7(A)の正面図、
図7(B)の拡大平面図、
図7(C)の拡大底面図、
図7(D)の先端部分の拡大正面図及び
図7(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップ10の円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図6(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図7(C)参照)。
【0035】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22はテーパー状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した4箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図7(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第1の製造方法に示すようにして形成される。ただし、本実施形態では、前記第1実施形態とは凹部24の後端縁がより前方側でとどまっている。4箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図7(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で扇形を呈する底面(
図7(E)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図7(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0036】
なお、
図7(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0037】
(2-3)第3実施形態
第3実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図8(A)の正面図、
図8(B)の拡大平面図、
図8(C)の拡大底面図、
図8(D)の先端部分の拡大正面図及び
図8(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップ10の円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図8(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図8(C)参照)。
【0038】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22はテーパー状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した8箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図8(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第2の製造方法に示すようにして形成される。8箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図8(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図8(E)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図8(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0039】
なお、
図8(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0040】
(2-4)第4実施形態
第4実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図9(A)の正面図、
図9(B)の拡大平面図、
図9(C)の拡大底面図、
図9(D)の先端部分の拡大正面図及び
図9(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図9(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図9(C)参照)。
【0041】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22はテーパー状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した8箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図9(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第2の製造方法に示すようにして形成される。ただし、2度目のブローチ加工は、最初のブローチ加工より先端側寄りの位置でとどまっている。それにより8箇所の凹部24は、より後端側に位置し軸心に対して周方向に等配される4箇所と、より先端側に位置し軸心に対して周方向に等配される4箇所とが交互に配されている(
図9(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図9(E)参照)と、合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図9(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0042】
なお、
図9(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0043】
(2-5)第5実施形態
第5実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図10(A)の正面図、
図10(B)の拡大平面図、
図10(C)の拡大底面図、
図10(D)の先端部分の拡大正面図及び
図10(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図10(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図10(C)参照)。
【0044】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22は一旦テーパー状に縮径してから、先端方向へ同一の外形で縁設去れ、さらに先端側で外径が先端に向かってテーパー状に縮径している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した4箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図10(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第1の製造方法に示すようにして形成される。4箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図10(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図10(E)参照)を有するとともに、後端側で合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図10(E)参照)を有する部分と、それに続いた溝状の部分とで形成される。
【0045】
なお、
図10(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0046】
(2-6)第6実施形態
第6実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図11(A)の正面図、
図11(B)の拡大平面図、
図11(C)の拡大底面図、
図11(D)の先端部分の拡大正面図及び
図11(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図11(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図11(C)参照)。
【0047】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22は凹曲面状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した8箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図11(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第2の製造方法に示すようにして形成される。ただし、2度目のブローチ加工は、最初のブローチ加工より先端側寄りの位置でとどまっている。それにより8箇所の凹部24は、より後端側に位置し軸心に対して周方向に等配される4箇所と、より先端側に位置し軸心に対して周方向に等配される4箇所とが交互に配されている(
図11(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図11(E)参照)と、斜辺が陥凹するように湾曲した合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図11(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0048】
なお、
図11(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0049】
(2-7)第7実施形態
第7実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図12(A)の正面図、
図12(B)の拡大平面図、
図12(C)の拡大底面図、
図12(D)の先端部分の拡大正面図及び
図12(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図12(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図12(C)参照)。
【0050】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22は凹曲面状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した8箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図12(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第2の製造方法に示すようにして形成される。8箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図12(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図12(E)参照)と、斜辺が陥凹するように湾曲した合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図12(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0051】
なお、
図12(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0052】
(2-8)第8実施形態
第8実施形態のボールペンチップ10を装着したボールペンリフィル40を、
図13(A)の正面図、
図13(B)の拡大平面図、
図13(C)の拡大底面図、
図13(D)の先端部分の拡大正面図及び
図13(E)の先端部分の拡大前方斜視図で示す。ボールペンリフィル40は、円筒形状のインク収容管41の先端に、図示されないボールペンチップ10の挿入部26(
図5(A)~(D)参照)が圧入されて形成される。したがって、インク収容管41の先端からは、ボールペンチップの円筒部21より先端の部分のみが露出している(
図13(A)、(D)及び(E)参照)。一方、インク収容管41の後端の開口からは、先端に装着されるボールペンチップ10の後端が視認される(
図13(C)参照)。
【0053】
円筒形状の円筒部21はボールペンチップ10で外径が最大の部分であり、この円筒部21の先端側を構成する縮径部22は凹曲面状に縮径され、外径が先端に向かって漸減している。また、縮径部22の外表面の一部は陥凹した4箇所の凹部24となっている。また、縮径部22の先端に抱持される筆記ボール30の周囲は内方にかしめられたカシメ部23となっている(
図13(B)、(D)及び(E)参照)。凹部24は、前記第1の製造方法に示すようにして形成される。4箇所の凹部24は軸心に対して周方向に等配されている(
図13(B)参照)。凹部24の各々は、平面視で略扇形を呈する底面(
図13(E)参照)と、斜辺が陥凹するように湾曲した合同な直角三角形状を呈する2つの側面(
図13(E)参照)との3面が露出するように陥凹している。
【0054】
なお、
図13(E)に示す状態のボールペンリフィル40は、軸心を中心に回転させるのに伴いボールペンチップ10の縮径部22の凹部24が回転することで、外観の変化による意匠的な効果も発揮される。
【0055】
(2-9)その他
上記各実施形態のボールペンリフィル40では、ボールペンチップ10はインク収容管41の先端に直接装着されていたが、インク収容管41の太さとボールペンチップ10の外径とのサイズの関係によっては、ボールペンチップ10とインク収容管41との間に継手を介在させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ボールペンチップに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 ボールペンチップ
20 ホルダー 21 円筒部 22 縮径部
23 カシメ部 24 凹部 25 着色部
26 挿入部 27 バック孔
30 筆記ボール
40 ボールペンリフィル 41 インク収容管
50 ブローチツール 51 ブレード