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2022-133973袋体の使用方法及び袋体の製造方法並びに袋体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133973
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】袋体の使用方法及び袋体の製造方法並びに袋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/22 20060101AFI20220907BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20220907BHJP
   B65D 30/20 20060101ALI20220907BHJP
   B65D 33/14 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B65D30/22 K
B65D33/25 A
B65D30/20 F
B65D30/22 F
B65D33/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032950
(22)【出願日】2021-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】519423459
【氏名又は名称】春田 杏果
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】春田 杏果
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA26
3E064BC18
3E064EA08
3E064EA12
3E064EA16
3E064EA18
3E064FA03
3E064FA06
3E064HD02
3E064HE03
3E064HL05
3E064HM01
3E064HN15
3E064HR02
3E064HT07
3E064HU02
(57)【要約】
【課題】展開状態の内筒の開口端を折り畳んで外袋の内部に容易に収納することができる袋体の使用方法を提供する。
【解決手段】閉じられた底部2bと開口された先端部2aとを有する袋状の外袋2と、外袋2の内部に設けられるとともに、底部3b側が外袋2の内面に対して固定された内筒3と、を備え、内筒3は、チャック部2eによる閉鎖状態が可能となるように、チャック部2eよりも底部2b側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、折り畳み状態から展開した場合にチャック部2eを超えて先端部2a側に伸張する展開状態と、を有している。展開状態で内筒3の先端部3aの両側のそれぞれの角部3a1を内側に折り曲げる角部折り曲げ工程と、角部3a1が折り曲げられた先端部3aを折り畳むことによって、折り畳み状態とする折り畳み工程と、折り畳み状態とされた後に、チャック部2eによって閉鎖状態とする先端部閉鎖工程とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体の使用方法において、
前記展開状態で前記内筒の前記開口端の両側のそれぞれの角部を内側に折り曲げる角部折り曲げ工程と、
前記角部が折り曲げられた前記開口端を折り畳むことによって、前記折り畳み状態とする折り畳み工程と、
前記折り畳み状態とされた後に、前記ファスナ部によって前記先端部を前記閉鎖状態とする先端部閉鎖工程と、
を有する袋体の使用方法。
【請求項2】
前記内筒は、前記展開状態において両側の前記角部が90°とされた長方形状とされている請求項1に記載の袋体の使用方法。
【請求項3】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体の製造方法において、
袋状とされた前記外袋の前記先端部側から該外袋の内部に前記内筒を挿入する挿入工程と、
前記内筒の中に耐熱部材を挿入した状態で、前記基端側を該外袋に対して接着によって固定する固定工程と、
を有する袋体の製造方法。
【請求項4】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体において、
前記外袋は、前記内筒の前記基端側と同じ幅で接続され、該外袋の前記底部に向かって延在して該外袋の内部空間を規制する規制部を備えている袋体。
【請求項5】
前記内筒は、前記展開状態において、前記開口端の両側それぞれの角部が90°とされた長方形状、又は、両側の前記角部が90°よりも大きい台形状とされている請求項4に記載の袋体。
【請求項6】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に基端側が位置するように該外袋内に配置された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように該内筒の開口端側を折り畳んだ上で該外袋に対して相対移動させる収納状態と、該収納状態から該外袋の前記先端部側に前記内筒を相対移動させるとともに前記開口端を展開したときに該開口端を、前記ファスナ部を超えて位置させる展開状態と、を有している袋体。
【請求項7】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に設けられるとともに、底部が前記外袋の前記底部に位置した状態で固定された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体。
【請求項8】
前記内筒は、複数枚重ねられて設けられている請求項4から7のいずれかに記載の袋体。
【請求項9】
前記内筒は、内部領域を複数に区分する区分線を有している請求項4から8のいずれかに記載の袋体。
【請求項10】
前記内筒には、前記展開状態にて前記外袋の内部に位置する領域に、該内筒の内部と外部とを連通する切欠が形成されている請求項4から9のいずれかに記載の袋体。
【請求項11】
前記外袋に対して切り取り可能な切取部を介して設けられ、貫通孔が形成されたタブ部を備えている請求項4から10のいずれかに記載の袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャックなどのファスナ部を備えた袋体の使用方法及び袋体の製造方法並びに袋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食料品や調味料などの収容物を樹脂製の袋の内部に収容し、開口する先端部をチャック(ファスナ部)で閉鎖することによって保存することが行われている。しかし、収容物がチャックを通過するときにチャックに付着し、チャックの密閉性が低下するおそれがある。また、チャックに収容物が残存することによって衛生上の問題が発生するおそれもある。
【0003】
特許文献1には、チャックを閉鎖した状態で内容物を詰め込む構造を採用することによって、内容物を詰め込む際にチャックに内容物が付着しない発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-155446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された発明は、内容物を詰め込む際にはチャックに内容物は付着しないが、内容物を外部に取り出す際にはチャックに内容物が接触する構成となっている。したがって、内容物を取り出した後に保存する際にチャックを再び閉鎖状態にすると、チャックに内容物が付着しておりチャックの密閉性の低下や衛生上の問題が発生するおそれがある。
また、市販のチャック袋に液体を収容する場合、チャックが確実に閉じられていないとチャックの隙間部分に収容物が付着したり、液漏れが生じてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明者は、閉じられた底部と、開口された先端部と、先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、を備えた袋体において、ファスナ部による閉鎖状態が可能となるように、ファスナ部よりも底部側に位置するように内筒が折り畳まれる折り畳み状態と、折り畳み状態から展開した場合に内筒の開口端がファスナ部を超えて先端部側に伸張する展開状態と、が行われる袋体を発明した。
【0007】
しかし、展開状態から内筒の開口端を折り畳んで外袋の先端部から外袋の内部に折り畳んだ開口端を収納する際に、外袋と内筒との間に空間的な余裕がなく折り畳んだ開口端を挿入することが困難な場合があることを見出した。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、展開状態の内筒の開口端を折り畳んで外袋の内部に容易に収納することができる袋体の使用方法及び袋体の製造方法並びに袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の袋体の使用方法及び袋体の製造方法並びに袋体は以下の手段を採用する。
【0010】
本発明の一態様に係る袋体の使用方法は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体の使用方法において、前記展開状態で前記内筒の前記開口端の両側のそれぞれの角部を内側に折り曲げる角部折り曲げ工程と、前記角部が折り曲げられた前記開口端を折り畳むことによって、前記折り畳み状態とする折り畳み工程と、前記折り畳み状態とされた後に、前記ファスナ部によって前記先端部を前記閉鎖状態とする先端部閉鎖工程と、を有する。
【0011】
外袋の内部に収容物が収容される。このとき、ファスナ部は閉鎖状態とされ、収容物が開口した先端部から袋体の外部へ流出しない。ファスナ部が閉鎖状態とされているときは、内筒はファスナ部よりも底部側に位置するように折り畳まれた折り畳み状態とされ、ファスナ部の閉鎖状態を妨げない。このように、ファスナ部と内筒の折り畳みによって、内容物が2重にロックされ、品質保持が良好に行われる。
外袋の内部に収容された収容物を袋体の外部に取り出すときは、ファスナ部を開放状態とするとともに、折り畳まれた内筒を展開してファスナ部を超えて先端部側に伸張した展開状態とする。このとき、内筒の基端側は外袋の内面に固定されているので、外袋から分離されることはない。この展開状態で、収容物は内筒の内側を通過して袋体の外部へ取り出される。このとき、ファスナ部の内側には内筒が存在しているので、収容物がファスナ部に接触することはない。これにより、ファスナ部に収容物が付着することを防止ができる。
【0012】
折り畳み工程によって内筒の開口端を折り畳む前に、角部折り曲げ工程によって内筒の開口端の角部を内側に折り曲げることとした。角部を折り曲げることによって、内筒の開口端側の幅を狭くすることができるので、外袋の内部に内筒の開口端側を容易に挿入することができ、作業性が向上する。
開口端の角部を折り曲げることによって開口端の形状を台形状とすることとしても良いし、内筒の先端側に頂点を形成するようにして三角形状とすることとしても良い。
【0013】
本発明の一態様に係る袋体の使用方法では、前記内筒は、前記展開状態において両側の前記角部が90°とされた長方形状とされている。
【0014】
内筒の開口端側の両角部が90°とされた長方形状とされているので、開口端の幅が大きい場合には角部を折り曲げることによって内筒の幅を狭めることができ、折り畳み工程の作業性を向上させることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る袋体の製造方法は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体の製造方法において、袋状とされた前記外袋の前記先端部側から該外袋の内部に前記内筒を挿入する挿入工程と、前記内筒の中に耐熱部材を挿入した状態で、前記基端側を該外袋に対して接着によって固定する固定工程と、を有する。
【0016】
袋状とした外袋の内部に内筒を挿入して内筒をヒートシールによって固定することとしたので、袋状とされる前の外袋に対して内筒を固定する場合に比べて簡便に袋体を製造することができる。
内筒の中に耐熱部材を挿入した状態でヒートシールすることとしたので、ヒートシールによって内筒が閉じられることはない。耐熱部材としては、例えば、可撓性を有するシート状の耐熱シートや、所定の剛性を有する板状の耐熱板が用いられる。
【0017】
本発明の一態様に係る袋体は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に設けられるとともに、基端側が前記外袋の内面に対して固定された内筒と、を備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している袋体において、前記外袋は、前記内筒の前記基端側と同じ幅で接続され、該外袋の前記底部に向かって延在して該外袋の内部空間を規制する規制部を備えている。
【0018】
外袋の内部に収容物が収容される。このとき、ファスナ部は閉鎖状態とされ、収容物が開口した先端部から袋体の外部へ流出しない。ファスナ部が閉鎖状態とされているときは、内筒はファスナ部よりも底部側に位置するように折り畳まれた折り畳み状態とされ、ファスナ部の閉鎖状態を妨げない。このように、ファスナ部と内筒の折り畳みによって、内容物が2重にロックされ、品質保持が良好に行われる。
外袋の内部に収容された収容物を袋体の外部に取り出すときは、ファスナ部を開放状態とするとともに、折り畳まれた内筒を展開してファスナ部を超えて先端部側に伸張した展開状態とする。このとき、内筒の基端側は外袋の内面に固定されているので、外袋から分離されることはない。この展開状態で、収容物は内筒の内側を通過して袋体の外部へ取り出される。このとき、ファスナ部の内側には内筒が存在しているので、収容物がファスナ部に接触することはない。これにより、ファスナ部に収容物が付着することを防止ができる。
【0019】
内筒の基端側は外袋の内面に対して固定される。この基端側と同じ幅で接続され、外袋の底部に向かって延在して外袋の内部空間を規制する規制部を設けることとした。このように規制部によって内筒の基端側との接続部において幅が不連続に変化しないように外袋の内部空間を規定できるので、外袋の内部空間に収容された内容物が内筒の基端側の接続部付近で滞留することを可及的に防ぐことができる。
【0020】
本発明の一態様に係る袋体では、前記内筒は、前記展開状態において、前記開口端の両側のそれぞれの前記角部が90°とされた長方形状、又は、両側の前記角部が90°よりも大きい台形状とされている。
【0021】
内筒の開口端の形状は、展開状態において両角部が90°とされた長方形としても良い。
または、内筒の開口端の形状を、展開状態において両角部が90°よりも大きい台形状とされていてもよい。この場合、内筒の開口端の先端側が幅狭となるので、内筒を折り畳んで外袋の内部に収納する際の作業性が向上する。
【0022】
本発明の一態様に係る袋体は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に基端側が位置するように該外袋内に配置された内筒と、備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように該内筒の開口端側を折り畳んだ上で該外袋に対して相対移動させる収納状態と、該収納状態から該外袋の前記先端部側に前記内筒を相対移動させるとともに前記開口端を展開したときに該開口端を、前記ファスナ部を超えて位置させる展開状態と、を有している。
【0023】
外袋の内部に収容物が収容される。このとき、ファスナ部は閉鎖状態とされ、収容物が開口した先端部から袋体の外部へ流出しない。ファスナ部が閉鎖状態とされているときは、内筒はファスナ部よりも底部側に位置するように折り畳まれた折り畳み状態とされ、ファスナ部の閉鎖状態を妨げない。このように、ファスナ部と内筒の折り畳みによって、内容物が2重にロックされ、品質保持が良好に行われる。
外袋の内部に収容された収容物を袋体の外部に取り出すときは、ファスナ部を開放状態とするとともに、折り畳まれた内筒を展開してファスナ部を超えて先端部側に伸張した展開状態とする。この展開状態で、収容物は内筒の内側を通過して袋体の外部へ取り出される。このとき、ファスナ部の内側には内筒が存在しているので、収容物がファスナ部に接触することはない。これにより、ファスナ部に収容物が付着することを防止ができる。
【0024】
内筒を外袋に対して相対移動させることによって、内筒を外袋内に収納する収納位置と、内筒の開口端が外袋のファスナ部を超えた位置に位置させる展開状態とを設けることとした。
収納位置では、ファスナ部が閉鎖状態とされ、かつ内筒の開口端が折り畳まれているので内容物が漏出することがない。
展開状態で、収容物は内筒の内側を通過して袋体の外部へ取り出される。このとき、ファスナ部の内側には内筒が存在しているので、収容物がファスナ部に接触することはない。これにより、ファスナ部に収容物が付着することを可及的に防止することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る袋体は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に設けられるとともに、底部が前記外袋の前記底部に位置した状態で固定された内筒と、を備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有している。
【0026】
外袋に固定された内筒の内部に収容物が収容される。このとき、ファスナ部は閉鎖状態とされ、収容物が開口した先端部から袋体の外部へ流出しない。ファスナ部が閉鎖状態とされているときは、内筒はファスナ部よりも底部側に位置するように折り畳まれた折り畳み状態とされ、ファスナ部の閉鎖状態を妨げない。このように、ファスナ部と内筒の折り畳みによって、内容物が2重にロックされ、品質保持が良好に行われる。
内筒の内部に収容された収容物を袋体の外部に取り出すときは、ファスナ部を開放状態とするとともに、折り畳まれた内筒を展開してファスナ部を超えて先端部側に伸張した展開状態とする。この展開状態で、収容物は内筒の内側を通過して袋体の外部へ取り出される。このとき、ファスナ部の内側には内筒が存在しているので、収容物がファスナ部に接触することはない。これにより、ファスナ部に収容物が付着することを防止ができる。
【0027】
内筒の底部は外袋の底部に位置した状態で外袋に対して固定されている。これにより、内筒を外袋に対して容易に位置決めすることができる。
【0028】
本発明の一態様に係る袋体では、前記内筒は、複数枚重ねられて設けられている。
【0029】
内筒を複数枚重ねて設けることによって、複数種類の内容物を各内筒に分けて収納することができる。
【0030】
本発明の一態様に係る袋体では、前記内筒は、内部領域を複数に区分する区分線を有している。
【0031】
内筒を複数の内部領域に区分する区分線を設けた。これにより、複数種類の内容物を各内部領域に分けて収納することができる。
【0032】
本発明の一態様に係る袋体では、前記内筒には、前記展開状態にて前記外袋の内部に位置する領域に、該内筒の内部と外部とを連通する切欠が形成されている。
【0033】
内筒に切欠を形成することによって、内筒を折り畳むときや開封したときに粉状物等の内容物が開口端から外部に放出しないようにすることができる。具体的には、内筒を折り畳む前に開口端を片手で掴んで塞いで内部の空気を切欠から放出するようにする。これにより、開口端から大きく粉が舞うことなく、切欠から流出した空気は最小限に外袋内に留まるので袋体の外部に内容物が放出されることを可及的に防止できる。
なお、内筒を折り畳む際に切欠も折り畳まれて塞がれることになるので、内容物が切欠から放出されることはない。また、切欠は、内筒の製造時に同時に形成することとしても良いし、製造後にユーザがハサミや爪楊枝で形成することとしても良い。
【0034】
本発明の一態様に係る袋体では、前記外袋に対して切り取り可能な切取部を介して設けられ、貫通孔が形成されたタブ部を備えている。
【0035】
タブ部の貫通孔を用いてフック等に係止することで、袋体を所望の位置に配置して待機させることができる。また、タブ部は切取部を介して外袋に接続されているので、袋体を使用する際には外袋を引っ張り、タブ部と分離することで袋体を使用に供することができる。
【発明の効果】
【0036】
開口端の角部を折り曲げた後に外袋の内部に収納することとしたので、展開状態の内筒の開口端を外袋の内部に容易に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1実施形態に係る袋体であり、内筒が展開された展開状態を示した正面図である。
図2図1の外袋を示した斜視図である。
図3A図2のチャック部の開放状態を示した部分拡大縦断面図である。
図3B図2のチャック部の閉鎖状態を示した部分拡大縦断面図である。
図4図1の内筒を示した斜視図である。
図5A図1の一方の角部を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図5B図5Aの状態から他方の角部を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図5C図5Bの状態から上段の第2折り畳み線で内筒を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図5D図5Cの状態から中段の第2折り畳み線で内筒を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図5E図5Dの状態から下段第2折り畳み線で内筒を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図6】袋体に収容された収容物を取り出す状態を示した斜視図である。
図7】内筒に切欠を形成した袋体を示した正面図である。
図8A図1に対応し、内筒の折り畳み方法の変形例を示した正面図である。
図8B図8Aの一方の角部を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図8C図8Bの状態から他方の角部を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図8D図8Cの状態から上段の第2折り畳み線で内筒を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図8E図8Dの状態から下段の第2折り畳み線で内筒を折り畳んだ状態を示した正面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図11図10に示した袋体のタブ部の使用状態を示した斜視図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図13図12の内筒をスライドさせる状態を示した斜視図である。
図14図12の袋体から内容物を取り出す状態を示した斜視図である。
図15】本発明の第5実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図17】本発明の第7実施形態に係る袋体を示した正面図である。
図18図17に示した袋体の側面図である。
図19図17に示した袋体の内筒の先端部を折り畳んだ状態を示した側面図である。
図20図17に示した袋体の内筒の先端部を折り畳んだ状態を示した側面図である。
図21】本発明の第8実施形態に係る袋体を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1実施形態]
以下に、本発明に係る袋体及びその使用方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には袋体1が示されている。袋体1は、食料品や、塩、炒りごま等の調味料といった収容物を内部に収容する。収容物としては、液体や粉体が好適である。なお、収容物は食料品や調味料のような食品類に限らずそれ以外のものであってもよい。
【0039】
袋体1は、外袋2と、外袋2の内部に設けられた内筒3とを備えている。図1は内筒3を展開した展開状態を示している。なお、内筒3を折り畳んだ折り畳み状態は図5Eに示されている。
【0040】
図2に示されているように、外袋2は、正面視した場合に縦長の矩形状とされた袋状とされている。外袋2は、ポリエチレンなどの樹脂材料とされ、可撓性を有している。ただし、外袋2の材料は、可撓性を有し袋として使用できるものであれば樹脂材料に限定されるものではない。
外袋2の先端部2aは開口されており、底部2b及び両側部2c,2dは閉じられている。すなわち、外袋2は、先端部2aのみが開口された有底の袋である。底部2bの形状は、マチ付きであっても良く、あるいは、外袋2を図2のように正面視したときに下に凸の円弧形状とされていても良い。
【0041】
外袋2の先端部2aには、チャック部(ファスナ部)2eが設けられている。チャック部2eは、開口された先端部2aの閉鎖状態と開放状態とを可能にする。チャック部2eは、外袋2の幅方向(一方の側部2cから他方の側部2dに向かう方向)に沿って延在している。
【0042】
具体的には、図3A及び図3Bに示すように、外袋2の内側に設けられた凸部2e1と、凸部2e1に対向する凹部2e2とを備えている。本実施形態では、チャック部2eは、凸部2e1とこれに対向する凹部2e2との組み合わせが互いに平行に2対設けられている。しかし、これに限定されるものではなく、凸部2e1とこれに対向する凹部2e2との組み合わせは1対でも3対以上であっても良い。
【0043】
凹部2e2内に凸部2e1が嵌合されることによって、図3Bのようにチャック部2eの閉鎖状態が得られる。図3Aのように凸部2e1と凹部2e2とを離間させることによって開放状態が得られる。凸部2e1と凹部2e2は、例えば弾性を有する樹脂材料とされているので、閉鎖状態と開放状態とを交互に繰り返して使用することができる。
【0044】
図4に示されているように、内筒3は、正面視した場合に矩形状とされた筒状とされている。内筒3は、ポリエチレンなどの樹脂材料とされ、可撓性を有している。ただし、内筒3の材料は、可撓性を有し筒として使用できるものであればこれに限定されるものではない。
内筒3の先端側の先端部(開口端)3a及び底部(基端部)3bは開口されており、両側部3c,3dは閉じられている。すなわち、内筒3は、先端部3a及び底部3bが開口されている。
内筒3の先端部3aの両側に位置する角部3a1は、90°とされている。これにより、内筒3は、幅寸法が一定の筒状とされている。
【0045】
内筒3は、先端部3a側から順次折り畳むことができるようになっている。図4には、模式的に折り畳み線3f,3gが示されている。実際には折り畳み線3f,3gは視認できるように印が付けられていない。ただし、折り畳み線3f,3gを視認できるように例えば線状の印刷部(印)を設けても良い。
【0046】
第1折り畳み線3fは、内筒3の先端部3aの両側の角部3a1が内筒3の幅方向における内側に位置するように折り畳む際に現れる折れ線として示されている。すなわち、第1折り畳み線3fは、角部3a1から内側に入った位置に先端部3aから側部3c,3dへと向かうように斜めに設けられた直線状とされている。
【0047】
第2折り畳み線3gは、図4に示した例では3本とされている。ただし、第2折り畳み線3gの本数はこれに限定されるものではなく、1本や2本でも、4本以上であっても良い。第2折り畳み線3gは、先端部3aと平行に設けられた直線状とされている。
【0048】
内筒3の底部3bは、図1に示されているように、外袋2の内面に対して固定されている。具体的には、内筒3の底部3bと外袋2とがヒートシールや接着剤による第1接着部5にて固定されている。第1接着部5は、外袋2及び内筒3の幅方向にわたって連続して直線状に形成されている。このように第1接着部5でシールすることで、袋体1の内部に収容された収容物が内筒3の外側と外袋2の内側との間に入り込むことがないようになっている。
【0049】
図1及び図2に示すように、第1接着部5は、外袋2の縦方向(図1において上下方向)における中間位置(より具体的には中央位置)に設けられている。第1接着部5は、内筒3の底部3bに対応する位置に設けることが好ましいが、内筒3の先端部3a側にオフセットした位置に設けても良い。
【0050】
内筒3の幅方向(図1において左右方向)の寸法は、外袋2の幅方向の寸法よりも小さくされている。
【0051】
内筒3の側部3c,3dの延長線上に第2接着部(規制部)7が設けられている。各第2接着部7は、外袋2の長手方向(縦方向)に沿って直線状に設けられている。第2接着部7は、ヒートシールや接着剤によって形成される。対向する第2接着部7間の内側の間隔W1は、内筒3の幅W2と同等とされている。第2接着部7は、外袋2の内面同士を固定する。これにより、内筒3の内側の空間に対して外袋2の内部空間が連続的に接続される。
【0052】
<使用方法>
次に、上述の袋体1の使用方法について説明する。
図1に示された状態は、内筒3が展開された状態であり、袋体1の開放状態である。収容物を外部へ取り出す際には、図6に示すように、内筒3の先端部3aを下方へ傾ける。このとき、収容物は内筒3の内側を通り外部へと取り出されるので、チャック部2eに収容物が接触することはない。
【0053】
次に、図1に示された展開状態から内筒3を折り畳んで折り畳み状態とする方法について説明する。
先ず、内筒3の先端部3aの右側の角部3a1を手で掴み、図5Aに示すように、右側の第1折り畳み線3fを折れ線として折り曲げる。なお、左側の角部3a1から先に折り畳むようにしても良い。
次に、図5Aにおいて左側の角部3a1を手で掴み、図5Bに示すように、左側の第1折り畳み線3fを折れ線として折り曲げる。
そして、図5Bにおいて内筒3の先端部3aを手で掴み、図5Cに示すように、上から一段目(上段)の第2折り畳み線3gを折れ線として折り曲げる。
そして、図5Cにおいて内筒3の上端を手で掴み、図5Dに示すように、上から二段目(中段)の第2折り畳み線3gを折れ線として折り曲げる。
最後に、図5Dにおいて内筒3の上端を手で掴み、図5Eに示すように、上から三段目(下段)の第2折り畳み線3gを折れ線として折り曲げる。
【0054】
上述のように内筒を折り畳んだ状態である図5Eに示した袋体1は、袋体1の内部に収容物を収容して保持する場合の密封状態を示している。このとき、外袋2の先端部2aに設けたチャック部2eは閉鎖状態とされており、内筒3の先端部3a側が折り畳まれて外袋2内に収納されている。具体的には、図3Bに示したように、チャック部2eの凸部2e1が対向する凹部2e2に嵌合されている。また、内筒3の先端部3aが3回折り畳まれており、これにより内筒3の内側が密閉された状態となっている。内筒3の先端部3a側を折り畳むときは、外袋2内の空気を外部に抜いた上で折り畳むことが好ましい。
【0055】
なお、図7に示すように、内筒3に切欠3hを設けて、内筒3の内部と外部とを連通するようにしても良い。切欠3hは、内筒の側部3c及び/又は3dであって、外袋2内に位置するように設けられている。これにより、図1に示した状態から内筒3を折り畳むときに、切欠部分を巻き込んで折り畳むため、粉状物等の内容物が先端部3aから外部に放出しないようにすることができる。具体的には、内筒3を折り畳むときに先端部3aを塞いで内部の空気を切欠3hから放出するようにする。これにより、切欠3hから流出した空気は外袋2内に留まるので袋体1の外部に内容物が放出されることを可及的に防止できる。
なお、切欠3hは、内筒3の製造時に同時に形成することとしても良いし、製造後にユーザがハサミや爪楊枝で形成することとしても良い。
【0056】
内筒3は、図7のように折り畳み状態とされた場合には、チャック部2eよりも下方(外袋2の底部2b側)に位置するようになる。これにより、内筒3がチャック部2eの閉鎖を妨げることがない。
【0057】
<製造方法>
上述した袋体1は、以下のように製造することができる。
先ず、図2に示したように、側部2c,2dと底部2bが閉じられた袋状とされた外袋2を用意する。この外袋の先端部2aから外袋2の内部に、図4のように筒状とされた内筒3を底部3b側から挿入する(挿入工程)。
【0058】
内筒3の中には、内面同士が接着されないように、少なくとも底部3bに位置するように耐熱シート(耐熱部材)を挿入しておく。なお、可撓性を有するシート状の耐熱シートに代えて、所定の剛性を有する板状の耐熱板を用いても良い。すなわち、耐熱部材として、内筒3の内面同士が熱融着しないように断熱する部材であれば良い。
そして、ヒートシールによって、内筒3の底部3bを外袋2の内面に対して固定するように第1接着部5を形成する(固定工程)。
【0059】
次に、内筒3の側部3c,3dの延長線上に延在するように、第2接着部7をヒートシールによって形成する。第2接着部7によって、外袋2の内面同士が接着される。これにより、一対の第2接着部7に挟まれた領域に、内容物が収容される内部空間が外袋2に形成される。
【0060】
なお、第2接着部7は、図7に示すように、外袋2の側部2c,2dまで達するように幅広に形成しても良い。
【0061】
上述した製造方法によれば、袋状とした外袋2の内部に内筒3を挿入して内筒3をヒートシールによって固定することとしたので、袋状とされる前の外袋、すなわち一方の側部2c,2dと底部2bが接続されずに展開された1枚のシートに対して、内筒3を固定した後に外袋2を形成する製造方法に比べて、簡便に袋体1を製造することができる。
【0062】
<変形例:内筒3の折り畳み>
図5A乃至図5Eに示した内筒3の折り畳み方法は、内筒3の先端部3aを台形状に折り畳む方法として説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図8A乃至8Eに示すように、内筒3の先端部3a側に頂点を形成するように三角形状となるように折り畳んでも良い。
【0063】
先ず、図8Aの内筒3の先端部3aの右側の角部3a1を手で掴み、図8Bに示すように、右側の第1折り畳み線3f’を折れ線として折り曲げる。なお、左側の角部3a1から先に折り畳むようにしても良い。
【0064】
次に、図8Bにおいて左側の角部3a1を手で掴み、図8Cに示すように、左側の第1折り畳み線3f’を折れ線として折り曲げる。
【0065】
そして、図8Cにおいて内筒3の先端部3aを手で掴み、図8Dに示すように、上から一段目(上段)の第2折り畳み線3g’を折れ線として折り曲げる。
【0066】
最後に、図8Dにおいて内筒3の上端を手で掴み、図8Eに示すように、上から二段目(下段)の第2折り畳み線3g’を折れ線として折り曲げる。
【0067】
図8A乃至8Eに示した方法では、第2折り畳み線3g’は上下の2本となっている。ただし、第2折り畳み線3g’本数は1本でも3本以上であっても良い。
【0068】
なお、図8Aにて破線で示したように、第1折り畳み線3f”の下方をさらに外袋2の底部2b側まで入り込むようにして折り畳んでも良い。例えば、図8Aに示した第1折り畳み線3f”は、第1接着部5まで到達している。
【0069】
上述した袋体の使用方法によれば、以下の作用効果を奏する。
図5A乃至図5E及び図8A乃至図8Eに示したように、折り畳み工程によって内筒3の先端部3aを折り畳む前に、内筒3の先端部3aの角部3a1を内側に折り曲げることとした。角部3a1を最初に折り曲げることによって、内筒3の先端部3a側の幅を狭くすることができるので、外袋2の内部に内筒3の先端部3a側を容易に挿入することができ、作業性が向上する。
【0070】
特に、図1等に示したように、内筒3の先端部3a側の両方の角部3a1が90°とされた長方形状の場合には、先端部3aの幅が比較的大きいため、角部3a1を最初に折り曲げることによって内筒3の幅を狭めることができ、折り畳み工程の作業性を向上させることができる。
【0071】
内筒3の底部3b側は外袋2の内面に対して固定される。この底部3b側の幅W2(図1参照)と同じ間隔W1(図1参照)で接続され、外袋2の底部2bに向かって延在して外袋2の内部空間を規制する第2接着部7を設けることとした。このように第2接着部7によって内筒3の底部3b側の幅W2との接続部が不連続に変化しないように外袋2の内部空間を規定できるので、外袋2の内部空間に収容された内容物が内筒3との接続部付近で滞留することを可及的に防ぐことができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、袋体1の形状について、第1実施形態に対して内筒3の先端部3aの形状が異なるのみで、その他は同様である。したがって、以下では第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、その他については同様なので省略する。
【0073】
図9に示すように、内筒3の先端部3aの両側の角部3a1’が90°よりも大きい台形状とされている。具体的には、角部3a1’の角度は120°以上150°以下とされる。角部3a1’に対して下方へ斜めに延在するように斜辺部3iが設けられている。斜辺部3iは閉じられており、先端部3aのみが開口部とされている。
【0074】
本実施形態のように先端部3a側を台形状とすることによって、第1実施形態の図5A乃至図5Eに示したような角部3a1を折り曲げる工程を省略することができる。
【0075】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に示された袋体1に適用できるものである。
図10に示すように、外袋2の底部2bの側部側にタブ部10が取り付けられている。タブ部10は、外袋2に対して切り取り可能な切取部10aを介して設けられている。切取部10aは、切断しやすいように例えばミシン目が施されている。タブ部の中央には、貫通孔10bが形成されている。
【0076】
図11に示すように、複数の袋体1を重ね合わせた状態で、タブ部10の貫通孔10bにフック12を通して袋体1を係止することで、袋体1を所望の位置に配置して待機させることができる。また、タブ部10は切取部10aを介して外袋2に接続されているので、袋体1を使用する際には外袋2を1枚だけ引っ張り、タブ部10と分離することで袋体1を使用に供することができる。
【0077】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して内筒3が外袋に対して固定されていない点で相違する。以下の説明では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
外袋2に対して一対の第3接着部14が外袋の長手方向にわたって形成されている。各第3接着部14は、ヒートシール又は接着剤で形成され、外袋2の内面同士を接着している。
【0079】
一対の第3接着部14間に挟まれた内部空間に内筒3が挿入される。内筒3は、図4に示した内筒3と同様の外形状を有する。すなわち、内筒3の先端部3aと底部3bは開口部とされている。しかし、内筒3の先端部3aは、角部で折り返されている訳ではなく、先端部3aと平行に複数回折り返されているだけである。
【0080】
図12に示された状態は、チャック部2eによる閉鎖状態が可能となるように、チャック部2eよりも底部2b側に位置するように内筒3が位置された収納状態とされている。
【0081】
内筒3は、図13の矢印A1で示すように、外袋2に対して外袋2の長手方向(第3接着部14の長手方向)にスライド可能とされている。袋体1内の収容物を取り出す際には、図13の収納状態から外袋2の先端部2a側に内筒3をスライドさせるとともに、図14に示すように内筒3の先端部3a側を展開して内筒3を開口する。このとき、チャック部2eの内側には内筒3が存在しているので、収容物がチャック部2eに接触することはないので、チャック部2eに収容物が付着することを可及的に防止することができる。
【0082】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2接着部7(例えば図1参照)の形状が相違する。その他については同様なのでその説明を省略する。
図15に示すように、第2接着部7は、内筒3の幅方向の端部に接続された位置から外袋2の外側に延在する斜行部7aと、斜行部7aに接続されて外袋2の側部2c,2dに沿って延在する直線部7bとを有している。
このような形状の第2接着部7としても、内筒3との接続位置付近で内容物が滞留することを防ぐことができる。また、外袋2内に収容できる内容物の容量を、図1に示した外袋2よりも大きくすることができる。
【0083】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して内筒3の固定方法が相違する。その他の同様の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図16に示されているように、内筒3の底部3bが外袋2の底部2bに位置している。すなわち、内筒3の底部3bと外袋2の底部2bとが一致した高さとされている。内筒3の両側部3c,3dは、第2接着部7によって外袋2の内側に対して接着されている。
【0085】
内筒3の底部3bは、外袋2に対して気密または液密に閉鎖されている。具体的には、第2接着部7によって内筒3の両側部3c,3dが接着されると同時に底部が閉鎖される。
または、内筒3の底部3bと外袋2の底部2bとをヒートシールや接着剤によって互いに固定することによって、内筒3の底部3bを閉じるようにしてもよい。
または、底部3bが閉じた有底の内筒3とした上で、外袋2内に内筒3を挿入した上で内筒3を外袋2に対して第2接着部7で固定するようにしても良い。
【0086】
本実施形態によれば、内筒3の底部3bと外袋2の底部2bとを一致させることとしたので、袋体1の製造時に、外袋2に対する内筒3の位置決めが容易となる。また、第1実施形態の第1接着部5(図1参照)を省略することができ、製造工程を簡素化することができる。
【0087】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して内筒3が2枚設けられている点で相違する。その他の同様の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図17及び図18に示すように、内筒3は、2枚重ね合わされた状態で設けられている。2枚の内筒3は、第2接着部7によって重ねられた状態で外袋2に対して接着されている。
【0089】
図19に示すように、内筒3の先端部3aを折り畳んで収納状態とするには、それぞれの内筒3を折り畳む。または、図20に示すように、重ねた状態の内筒3の先端部3aを折り畳んでも良い。
【0090】
本実施形態のように内筒3を2枚重ねて設けることによって、異なる種類の内容物を各内筒3に分けて収納することができる。
なお、重ねる内筒3の枚数は3枚以上としても良い。
また、本実施形態は、第6実施形態だけでなく、上述の各実施形態の内筒3に対して適用することができる。
【0091】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して内筒3の内部領域が分割されている点で相違する。その他の同様の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
図21に示すように、内筒3は、その内部領域を2つに区分する区分線8を有している。区分線8は、内筒3の先端部3aから底部3bにわたって長手方向に直線状に設けられている。区分線8は、内筒3の内面同士を気密または液密に固定するようにヒートシールや接着剤によって形成されている。区分線8によって、左右に独立した内部領域が内筒3に形成される。
【0093】
本実施形態によれば、内筒3を左右2つの内部領域に区分する区分線8を設けることとしたので、異なる種類の内容物を左右それぞれの内部領域に分けて収納することができる。
なお、区分線8を平行に複数設けて、内部領域の数を3以上としても良い。
また、本実施形態は、第6実施形態だけでなく、上述の各実施形態の内筒3に対して適用することができる。
【0094】
なお、上述した各実施形態では、凸部2e1と凹部2e2とを有するチャック部2eとして説明したが、凸部2e1と凹部2e2が接近するように押し付けて外袋2の幅方向に走行するスライダを設けても良い。
凸部2e1と凹部2e2とを有するチャック部2eを用いて説明したが、外袋2の開口を閉じることができるファスナ部であれば、その形態はチャック形式に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0095】
1 袋体
2 外袋
2a 先端部
2b 底部
2c 側部
2d 側部
2e チャック部(ファスナ部)
3 内筒
3a 先端部(開口端)
3a1 角部
3b 底部(基端部)
3c 側部
3d 側部
3f,3f’ 第1折り畳み線
3g,3g’ 第2折り畳み線
3h 切欠
5 第1接着部
7 第2接着部(規制部)
7a 斜行部
7b 直線部
8 区分線
10 タブ部
10a 切取部
12 フック
14 第3接着部
W1 間隔
W2 (内筒の)幅
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に基端側が位置するように該外袋内に配置された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように該内筒の開口端側を折り畳んだ上で該内筒の全体を該外袋に対して相対移動させる収納状態と、該収納状態から該外袋の前記先端部側に前記内筒の全体該外袋に対して相対移動させるとともに前記開口端を展開したときに該開口端を、前記ファスナ部を超えて位置させる展開状態と、を有している袋体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、
前記外袋の内部に設けられるとともに、底部が前記外袋の前記底部に位置した状態で固定された内筒と、
を備え、
前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有し
前記内筒の両側部のそれぞれは、対応する前記外袋の側部に対して間隔を空けて位置しているとともに、前記外袋の内側に対して固定されている袋体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の一態様に係る袋体は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に基端側が位置するように該外袋内に配置された内筒と、備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように該内筒の開口端側を折り畳んだ上で該内筒の全体を該外袋に対して相対移動させる収納状態と、該収納状態から該外袋の前記先端部側に前記内筒の全体該外袋に対して相対移動させるとともに前記開口端を展開したときに該開口端を、前記ファスナ部を超えて位置させる展開状態と、を有している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本発明の一態様に係る袋体は、閉じられた底部と、開口された先端部と、該先端部の閉鎖状態および開放状態を可能とするファスナ部と、を有する袋状の外袋と、前記外袋の内部に設けられるとともに、底部が前記外袋の前記底部に位置した状態で固定された内筒と、を備え、前記内筒は、前記ファスナ部による前記閉鎖状態が可能となるように、前記ファスナ部よりも前記底部側に位置するように折り畳まれる折り畳み状態と、該折り畳み状態から展開した場合に該内筒の開口端が前記ファスナ部を超えて前記先端部側に伸張する展開状態と、を有し、前記内筒の両側部のそれぞれは、対応する前記外袋の側部に対して間隔を空けて位置しているとともに、前記外袋の内側に対して固定されている