(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133975
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】基地局及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/32 20090101AFI20220907BHJP
H04W 52/18 20090101ALI20220907BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20220907BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20220907BHJP
H04B 7/0408 20170101ALI20220907BHJP
【FI】
H04W16/32
H04W52/18
H04W72/08
H04W16/28
H04B7/0408
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032953
(22)【出願日】2021-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年3月3日に、2020年電子情報通信学会総合大会講演論文集(DVD及びWEB公開)にて公開 (2)令和2年9月1日に、2020年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集(DVD及びWEB公開)にて公開 (3)令和2年9月17日に、2020年電子情報通信学会ソサイエティ大会にて公開 (4)令和2年11月18日に、電子情報通信学会技術研究報告,Vol.120,No.249,RCS2020-118にて公開 (5)令和2年11月25日に、電子情報通信学会 無線通信システム研究会にて公開 (6)令和2年7月28日に、電子情報通信学会 IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ〔第2弾〕移動体通信の未来~地上2次元セルから3次元空間セルへ~にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】藤井 輝也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG08
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】端末装置を上空エリアで利用する場合に、上空エリアのセルと地上エリアのセルの干渉の影響を抑制して所望の通信品質が得られる基地局及び無線通信システムを提供する。
【解決手段】移動通信の基地局20Aは、アンテナ26と、同一周波数帯を使用可能な下方の第一セル100Aと第一セルの上方の第二セル200Aとを形成し、第一セル内の端末装置30A及び第二セル内の端末装置40Aとの間でアンテナを介して無線通信を行う無線通信部23と、同一時間帯において、第一セル及び第二セルのいずれか一方のセル内の端末装置との通信に同一周波数帯の無線リソースを割り当て、他方のセル内の端末装置との通信に同一周波数帯の無線リソースを割り当てないリソース割当部と有する。第二セル内の端末装置に同一周波数帯の無線リソースを割り当てたとき、同一周波数帯の無線リソースを割り当てた端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
同一時間帯において、前記第一セル及び前記第二セルのいずれか一方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当て、他方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てないリソース割当部と、を有し、
前記第二セル内の端末装置に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てたとき、前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる、ことを特徴とする基地局。
【請求項2】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
同一時間帯において、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有し、
前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた前記第二セル内の端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる、ことを特徴とする基地局。
【請求項3】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
前記第二セル内の端末装置の高度を特定する高度特定部と、
前記第二セル内の端末装置の高度が所定高度未満となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を時分割利用し、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を同時利用するように、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項4】
請求項3に記載の基地局において、
前記アンテナは、前記第一セルのビームと前記第二セルのビームとを形成可能なアンテナであり、
前記第二セル内の端末装置が前記第二セルのビームを選択した場合に、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったと判断する、ことを特徴とする基地局。
【請求項5】
請求項3に記載の基地局において、
前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内のビームの方向を連続的に変化させることができるアンテナであり、
前記アンテナの仮想垂直面内のビームの方向の水平面に対する上向きの角度が所定角度以上の場合に、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったと判断する、ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基地局において、
前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内の互いに異なる方向に指向性を有する複数のビームを形成可能なアンテナであり、
前記第一セルを形成する一又は複数のビームと前記第二セルを形成する一又は複数のビームを形成するよう前記アンテナのビームフォーミング制御を行う制御部を有することを特徴とする基地局。
【請求項7】
請求項6に記載の基地局において、
前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであり、
前記制御部は、
予め設定された互いに異なる方向の複数のビーム候補について前記アンテナの各アンテナ素子に対する振幅及び位相の値を記憶し、
前記端末装置から受信したビーム選択情報に基づいて前記複数のビーム候補の一つを選択し、
前記選択したビーム候補について記憶されている各アンテナ素子の振幅及び位相に基づいて、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行う、ことを特徴とする基地局。
【請求項8】
請求項6に記載の基地局において、
前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであり、
前記制御部は、
前記アンテナを中心とした仮想垂直面内で前記アンテナの指向方向を変化させながら前記端末装置からの電波を受信し、
前記端末装置からの電波の受信電力が最大となる方向を検出し、
前記検出した方向に、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行う、ことを特徴とする基地局。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基地局において、
前記第二セル内の端末装置のアンテナで形成されるビームが当該基地局に向かうように前記端末装置に制御情報を送信する端末制御部を有することを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基地局と、前記基地局と無線通信を行う端末装置とを含むことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基地局が同一エリア内に複数配置されたことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信の基地局及び無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移動通信では、移動局である端末装置と無線通信するマクロセル基地局やスモールセル基地局(例えば特許文献1、2参照)などの固定の基地局が地上に設置され、基地局は複数の端末装置と無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-093778号公報
【特許文献2】特開2007-259289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、移動通信では、上空エリアでの端末装置の利用が要求されてきている。例えば、ドローン(無人航空機)との通信方法として、地上設置の基地局を介した移動通信を利用することが検討されている。しかしながら、従来の地上設置の基地局は、一般に、地上エリア(地上から一定の高さまでのエリア。例えば基地局のアンテナよりも下方のエリア)に端末装置が位置することを前提に設計されており、端末装置の上空エリアでの利用は想定外である。そのため、地上エリアに形成するセルと上空エリアに形成するセルとの間で干渉が発生し、端末装置を上空エリアで利用する場合に所望の通信品質が得られないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る移動通信の基地局は、アンテナと、同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、同一時間帯において、前記第一セル及び前記第二セルのいずれか一方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当て、他方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てないリソース割当部と、を有し、前記第二セル内の端末装置に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てたとき、前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる。
【0006】
本発明の他の態様に係る移動通信の基地局は、アンテナと、同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、同一時間帯において、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有し、前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた前記第二セル内の端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる。
【0007】
本発明の更に他の態様に係る移動通信の基地局は、アンテナと、同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、前記第二セル内の端末装置の高度を特定する高度特定部と、前記第二セル内の端末装置の高度が所定高度未満となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を時分割利用し、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を同時利用するように、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有する。
【0008】
前記基地局において、前記アンテナは、前記第一セルのビームと前記第二セルのビームとを形成可能なアンテナであってもよく、前記第二セル内の端末装置が前記第二セルのビームを選択した場合に、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったと判断してもよい。
また、前記基地局において、前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内のビームの方向を連続的に変化させることができるアンテナであってもよく、前記アンテナの仮想垂直面内のビームの方向の水平面に対する上向きの角度が所定角度以上の場合に、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったと判断してもよい。
また、前記基地局において、前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内の互いに異なる方向に指向性を有する複数のビームを形成可能なアンテナであってもよく、前記第一セルを形成する一又は複数のビームと前記第二セルを形成する一又は複数のビームを形成するよう前記アンテナのビームフォーミング制御を行う制御部を有してもよい。
また、前記基地局において、前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであってもよく、前記制御部は、予め設定された互いに異なる方向の複数のビーム候補について前記アンテナの各アンテナ素子に対する振幅及び位相の値を記憶し、前記端末装置から受信したビーム選択情報に基づいて前記複数のビーム候補の一つを選択し、前記選択したビーム候補について記憶されている各アンテナ素子の振幅及び位相に基づいて、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行ってもよい。
また、前記基地局において、前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであってもよく、前記制御部は、前記アンテナを中心とした仮想垂直面内で前記アンテナの指向方向を変化させながら前記端末装置からの電波を受信し、前記端末装置からの電波の受信電力が最大となる方向を検出し、前記検出した方向に、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行ってもよい。
また、前記基地局において、前記第二セル内の端末装置のアンテナで形成されるビームが当該基地局に向かうように前記端末装置に制御情報を送信する端末制御部を有してもよい。
【0009】
また、本発明の更に他の態様に係る無線通信システムは、上述した基地局と、前記基地局と無線通信を行う端末装置とを含む。
また、本発明の更に他の態様に係る無線通信システムは、上述した基地局が同一エリア内に複数配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端末装置を上空エリアで利用する場合に、上空エリアのセルと地上エリアのセルの干渉の影響を抑制して所望の通信品質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す説明図。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ、比較参考例の無線通信システムの上り回線及び下り回線の通信における干渉の発生の様子を示す説明図。
【
図3】比較参考例に係る地上セルの基地局とは別の基地局によって上空セルを形成する無線通信システムの構成を示す説明図。
【
図4】(a)は本実施形態の基地局のアンテナの構成の一例を示す説明図。(b)は本実施形態の基地局のアンテナで形成する上空用ビーム及び地上ビームの一例を示す説明図。
【
図5】実施形態における基地局の基地局装置の主要部構成の一例を示す説明図。
【
図6】実施形態に係る無線通信システムの一構成例(構成例1)における三次元空間セル構成の一例を示す説明図。
【
図7】実施形態に係る無線通信システムの他の構成例(構成例2)における三次元空間セル構成の一例を示す説明図。
【
図8】(a)は、上空端末の高度が所定高度h
th未満である例を示す説明図。(b)は、同じ周波数リソースF1が割り当てられた地上端末及び上空端末に対して実行される時分割処理を示す説明図。
【
図9】(a)は、上空端末の高度が所定高度h
th以上である例を示す説明図。(b)は、同じ周波数リソースF1が割り当てられた地上端末と上空端末とに対して実行される同時通信処理を示す説明図。
【
図10】実施形態に係る無線通信システムの更に他の構成例(構成例3)における三次元空間セル構成の形成する基地局装置の主要部構成の一例を示す説明図。
【
図11】(a)~(c)は、ドローンの動きに応じた時分割処理と同時通信処理との切り替えを示す説明図。
【
図12】(a)は、プリコーディング制御によるビームフォーミング機能を利用して上空端末の高度を特定する例を示す説明図。(b)は、連続追従制御によるビームフォーミング機能を利用して上空端末の高度を特定する例を示す説明図。
【
図13】上空端末にビームフォーミング機能を持たせた例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、携帯通信の地上サービスエリアとともに、ドローン、空飛ぶ自動車(タクシー)等の実現により期待される携帯通信の「上空サービスエリア」を構築するにあたって、地上セルと上空セルで同一周波数共用を実現する無線通信システムである。
【0013】
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す説明図である。
本実施形態に係る無線通信システム10は、複数の基地局20A~20Cを含む。無線通信システム10は、複数の基地局20A~20Cと、これらの基地局と無線通信を行う複数の端末装置30A~30C,40A~40Cとを含んでもよい。なお、
図1には、3つの基地局20A~20Cと6つの端末装置30A~30C,40A~40Cが図示されているが、基地局や端末装置の数は任意である。
【0014】
本実施形態の無線通信システム10における無線技術は、例えば、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advancedの標準規格に準拠した無線技術である。無線通信システム10における無線技術は、第5世代(5G)等の次世代の標準規格における無線技術など他の無線技術であってもよい。
【0015】
基地局20A~20Cは、例えば、eNodeB、gNodeB等と呼ばれ、端末装置30A~30C,40A~40Cと移動通信網との間の通信を中継する。
【0016】
端末装置30A~30C,40A~40Cは、基地局20A~20Cを介して移動通信網に接続して各種の通信を行うことができる。端末装置は、例えば、通信サービスの利用者によって使用されるためユーザー装置(UE:User Equipment)と呼ばれる。また、端末装置は、移動可能なものであるため移動局又は移動機と呼ばれたり、また、無線機と呼ばれたりする場合もある。
【0017】
本実施形態の各基地局20A~20Cが形成する無線通信エリアとしてセルは、地上サービスエリア(以下「地上エリア」という。)A1に形成される第一セルとしての地上セル100A~100Cと、上空サービスエリア(以下「上空エリア」という。)A2に形成される第二セルとしての上空セル200A~200Cとを含む。
【0018】
地上セル100A~100Cは、既存の一般的な基地局と同様、地上エリアA1(地上から一定の高さまでのエリア。例えば基地局のアンテナよりも下方のエリア)に位置する端末装置(以下「地上端末」ともいう。)30A,30B,30Cとの無線通信を行うための2次元的又は3次元的な無線通信エリアである。一方、上空セル200A~200Cは、地上エリアA1よりも上方の上空エリアA2に位置する端末装置(以下「上空端末」ともいう。)40A,40B,40Cとの無線通信を行うための2次元的又は3次元的な無線通信エリアである。
【0019】
地上エリアA1に位置する地上端末30A,30B,30Cは、例えば、歩行者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等の携帯型の通信端末、地上の建物などに設置されるIoT機器(センサやカメラなど)に搭載されている通信端末、自動車や鉄道などの地上移動体に搭載されている通信端末などである。
【0020】
上空エリアA2に位置する上空端末40A,40B,40Cは、例えば、無人のドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)、有人のドローン、空飛ぶ自動車(タクシー)、ヘリコプター等の飛行体に搭載されている通信端末である。上空端末40Bは、航空機、ヘリコプター等の飛行体に搭乗している搭乗者が所持するスマートフォン、タブレット端末などの携帯型の通信端末であってもよい。なお、本実施形態では、
図1に示すように、上空端末40Bがドローン50Bに搭載された通信端末である場合について説明する。
【0021】
本実施形態において、基地局20A~20Cと地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cはそれぞれ、所定の周波数帯において、各セルで割り当てられた無線リソース(周波数リソース、時間リソース)を用いて無線通信を行う。無線リソースの割り当ては、例えば基地局20A~20Cで管理される。
【0022】
基地局20A~20Cと地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cとの無線通信の上り回線及び下り回線の複信方式は、特定の方式に限定されず、例えば、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式でもよいし、周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)方式でもよい。また、無線通信のアクセス方式は、特定の方式に限定されず、例えば、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式、TDMA(Time Division Multiple Access)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、又は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)であってもよい。
【0023】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、比較参考例の無線通信システムの上り回線及び下り回線のそれぞれの通信において干渉の発生の様子を示す説明図である。
図2に示すように、複数の基地局80A~80Cがそれぞれ上空セルを形成しないで地上セル800A~800Cを形成するセル構成において、上空エリアA2に位置するドローン等に搭載した上空端末40Xを利用する場合、上り回線及び下り回線のそれぞれの通信において干渉が発生するおそれがある。
【0024】
例えば、
図2(a)に示すドローン50Xに搭載された上空端末40Xから地上の基地局80Bへの上り回線の通信では、上空端末40Xから複数の基地局80A~80Cが障害物のない見通しとなるため、周辺の他セル800A,800Cの地上端末30Xに強い干渉を与える与干渉が発生するおそれがある。上り回線において上空端末40Xの送信電力を低減する送信電力制御を適用することが考えられるが、その送信電力制御では上記与干渉を十分に抑制することができないおそれがある。
【0025】
また、
図2(b)に示す地上の基地局80Bから上空端末40Xへの下り回線の通信では、地上の複数の基地局80A~80Cそれぞれから上空端末40Xが障害物のない見通しとなるため、上空端末40Xが周辺の他セル800A,800Cの基地局80A,80Cから強い干渉を受ける被干渉が発生するおそれがある。
【0026】
上記干渉を回避するために、
図3に示すように、地上セル800A~800Cの基地局80A~80Cとは別の基地局90D,90Eによって、上空専用の上空セル200D,200Eを形成する三次元セル構成が考えられる。このセル構成において上空専用の基地局90D,90Eは、上空エリアA2に位置するドローン50D,50E1,50E2二搭載の上空端末40D,40E1,40E2と無線通信することができる。しかしながら、このセル構成では、地上セル800A~800Cの基地局80A~80Cとは別に、上空セル200D,200Eの基地局90D,90Eが必要になる。また、地上セル800A~800Cと上空セル200D,200Eとの間の干渉を回避するために、上空セル200D,200Eの周波数帯として、地上セル800A~800Cの周波数帯と異なる周波数帯(Band)が必要になる。
【0027】
そこで、本実施形態では、
図1及び後述の
図4~
図13に示すように、上下に隣り合う上空セル200A~200Cと地上セル100A~100Cとを共用可能な基地局20A~20Cによって形成し、上空セル200A~200Cと地上セル100A~100Cとに同一周波数帯を使用している。
【0028】
特に、
図1の無線通信システムでは、上記共用の基地局20A~20Cにより、同一周波数帯を使用する上下に隣り合う上空セル200A~200C及び地上セル100A~100Cについて、無線リソース(周波数リソース、時間リソース)を一元管理することにより、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cとの間の相互干渉を回避している。
【0029】
しかも、
図1の無線通信システムの例では、上空セル200A~200Cと地上セル100A~100Cは、基地局20A~20Cから見て別々のエリア(地上エリアA1と上空エリアA2)に形成される(すなわち、空間的に分割されている)ことから、比較的指向性の高いアレイアンテナを用いた垂直面内ビームフォーミング制御により空間分割多重を行って各セル100A~100C、200A~200Cを形成することにより、上記地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cとの間の相互干渉をより確実に回避できる。
【0030】
図4(a)は本実施形態の基地局20A~20Cのアンテナ26の構成の一例を示す説明図である。本実施形態の基地局20A~20Cのアンテナ26は、例えば、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内の互いに異なる方向に指向性を有する複数のビームを形成可能なアンテナである。アンテナ26は、複数のダイポールアンテナ、パッチアンテナ(平面アンテナ)などからなるアンテナ素子を配列したアレイアンテナを用い、各アンテナ素子の信号位相を制御して指向性をもつビームを形成するものであってもよい。
【0031】
本実施形態では、アンテナ26として、
図4(a)に示すように複数のアンテナ素子26aが2次元的に又は3次元的に配列されたアレイアンテナで構成され、アンテナビーム26bの本数、ビーム幅及びビーム方向を制御可能なビームフォーミング機能を有するMassiveMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)伝送方式に用いることができるアンテナ(以下「Massiveアンテナ」ともいう。)を用いている。
【0032】
Massiveアンテナ26の形状は特定の形状に限定されない。例えば、Massiveアンテナ26は、
図4(a)に例示するように複数のアンテナ素子26aを平面状に配置した平面状のMassiveアンテナ26である。平面状のMassiveアンテナ26は、基地局を中心とした水平面内における互いに異なる複数方向のそれぞれにセクタセルのビームを形成するように複数設けてもよい。また、Massiveアンテナ26は、複数のアンテナ素子26aを円筒状の外周面や底面に配置した円筒状のMassiveアンテナ26でもよい。
【0033】
Massiveアンテナ26で形成するビーム26bのビーム幅及びビーム方向は、水平方向及び垂直方向について制御可能である。Massiveアンテナ26は、例えば最大128個の多数のアンテナ素子を有することで、ビームフォーミングや空間多重などの技術を用いて、ユーザーごとに専用の電波を割り当てることもできる。
【0034】
図4(b)は本実施形態の基地局20A~20Cのアンテナ26で形成する上空用ビーム205及び地上用ビーム105の一例を示す説明図である。本実施形態の基地局20A~20Cはそれぞれ、Massiveアンテナ26を用いた垂直面内ビームフォーミングにより同一周波数帯で地上用ビーム105と上空用ビーム205を別々に形成する空間分割多重を行い、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cの干渉を抑圧している。
【0035】
図5は、本実施形態に係る基地局20A~20Cの基地局装置21の主要部構成の一例を示す説明図である。
図5において、基地局20A~20Cの基地局装置21は、スケジューラ22と、アンテナ26を介して端末装置40A~40Cとの間で無線通信を行う無線通信部23とを備えている。なお、そのほか、基地局装置21の全体の制御、処理を担う制御部や記憶部なども備えている。なお、
図5に示す基地局装置21は、上空セル200A及び地上セル100Aを形成する基地局20Aのものを例示しているが、他の基地局20B,20Cの基地局装置も
図5と同様な主要部構成を備える。
【0036】
スケジューラ22は、上空セル200A及び地上セル100A内の端末装置30A,40Aに無線リソースとして時間リソースとともに同一周波数帯における所定の周波数リソース(例えば、F1,F2,F3,・・・)を割り当てるリソース割当部としての機能を備えている。これにより、上下に隣り合う上空セル200Aと地上セル100Aについて無線リソースが一元管理される。
【0037】
基地局20Aの無線通信部23は、上空セル200Aを形成するための上空セル用無線通信部23-1と、地上セル100Aを形成するための地上セル用無線通信部23-2とから構成される。上空セル用無線通信部23-1及び地上セル用無線通信部23-2は、それぞれ、送受信部23a-1,23a-2と、プリコーディング制御部23b-1,23b-2と、ビーム制御部23c-1,23c-2とから構成されており、各無線通信部23-1,23-2の構成はほぼ同様である。
【0038】
各無線通信部23-1,23-2の送受信部23a-1,23a-2は、例えば、送信信号及び受信信号を増幅する信号増幅部、送信信号及び受信信号の周波数をスケジューラ22に従った周波数に変換する周波数変換部、無線信号経路切り換え部、送受共用部(DUP:Duplexer)等を備える。
【0039】
本実施形態の各基地局20A~20Cでは、ビームフォーミング機能によってアンテナ26のビームの本数、幅及び方向を変更可能とすることで、
図1に示すように、地上セル100A~100C及び上空セル200A~200Cの両セルを形成する。本実施形態では、上述したように、基地局装置21の無線通信部23が、上空セル用無線通信部23-1と地上セル用無線通信部23-2とで構成され、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cとで別構成をとっている。しかしながら、基地局装置21の他の構成部(スケジューラ22、アンテナ26、スケジューラ22よりもコアネットワーク側の構成部等)については、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cとで共用している。したがって、上空セル200D,200Eを地上セル100A~100Cの基地局20A~20Cとは別の基地局20D,20Eによって形成する場合(
図3参照)と比べて、部品点数の削減等による設置コストの削減を図ることができる。
【0040】
基地局20Aにおける各無線通信部23-1,23-2は、地上セル100A及び上空セル200Aの端末装置30A,40Aへデータを送信する場合、送受信部23a-1,23a-2から送信される送信ベースバンド信号に対し、ビーム制御部23c-1,23c-2により制御されるプリコーディング制御部23b-1,23b-2によってプリコーディング制御を行い、アレイアンテナで構成されるアンテナ26へ送信信号を送る。また、端末装置30A,40Aからデータを受信する場合には、アンテナ26により受信した受信信号を、プリコーディング制御部23b-1,23b-2を介して送受信部23a-1,23a-2により受信データを取得する。
【0041】
各無線通信部23-1,23-2は、ビーム制御部23c-1,23c-2の制御の下で動作するプリコーディング制御部23b-1,23b-2により、アンテナ26を用いて予め定めたビーム本数、ビーム幅及びビーム方向で送信及び受信を行うビームフォーミング機能を備えている。ビームフォーミング機能で用いることのできる複数種類のプリコーディングウェイト(ビームパターン)の候補データは、基地局装置21の記憶部に記憶されている。
【0042】
ここで、プリコーディングによるビームフォーミング機能とは、特定の方向へ送信されるビーム又は特定の方向からのビームを受信するように、アンテナ26(アレイアンテナ)の各アンテナ素子26aの信号位相の組(プリコーディングウェイト行列)を複数種類(N個)用意しておき、その中から一つのプリコーディングウェイト行列を選択してプリコーディング制御を行い、ビームを制御する機能である。プリコーディングウェイト行列は、無線信号の送信時又は受信時に多素子アンテナ201に設定する位相及び振幅の制御量を示す行列である。
【0043】
本実施形態では、基地局20Aの地上セル100A及び上空セル200A(アンテナ26のビーム形成可能エリア)内に存在する端末装置30A,40A側でビームの受信電力を測定し、受信電力が最大となるビームを選択する。この選択結果情報は、端末装置30A,40Aから基地局20Aへ送られ、基地局20Aのビーム制御部23c-1,23c-2は、この選択結果情報に基づいてビームパターン(プリコーディングウェイト行列)を選択し、プリコーディング制御部23b-1,23b-2を制御する。これにより、選択されたプリコーディングウェイト行列に従ってアンテナ26のビームが制御され、当該端末装置30A,40Aに向かう指向性の高いビームが形成される。
【0044】
このように、本実施形態における基地局20Aは、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内にそれぞれ存在する端末装置30A,40Aとの間で、ビームフォーミング機能による指向性の高いビームによって無線通信を行う。したがって、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内の各端末装置30A,40A間のビームを空間的に十分に離間させることができる。
【0045】
また、このようなビームフォーミング機能により送信・受信電力を端末装置の方向に集中させることで、アンテナ利得が向上し、通信品質の向上等が図られる。また、アンテナ利得が向上することで、基地局20Aでの受信電力が向上する結果、端末装置30A,40A側で送信電力制御を行うことにより、端末装置30A,40A側の送信電力を低減することが可能となる。端末装置30A,40A側の送信電力を低減することにより、上下に隣接する地上セル100Aと上空セル200Aとの間での干渉は更に抑制できる。
また、端末装置30A,40A側の送信電力を低く抑えることで、電波の届く範囲を狭めることができる。したがって、例えば、上空セル200A内の上空端末40Aからの上り回線の電波が、周辺の他セルの基地局に到達しにくくなり、電波干渉が抑制できる。
【0046】
なお、本実施形態の基地局20Aでは、プリコーディング制御によるビームフォーミング機能を採用しているが、例えば、端末装置の方向にビームを連続的に追従させる連続追従制御によるビームフォーミング機能を採用してもよい。この連続追従制御は、例えば、地上セル100A及び上空セル200A内に存在する端末装置30A,40Aからの電波を基地局20A側で受信したときの受信電力を測定し、アンテナ26の施行方向をスイープして受信電力が最大となる方向を検出し、その検出方向にビーム方向を設定することで実現される。
【0047】
次に、本実施形態における同一周波数帯での無線リソースの割当処理による三次元空間セル構成について説明する。
【0048】
〔構成例1〕
図6は本実施形態に係る無線通信システムの一構成例(構成例1)における三次元空間セル構成の一例を示す説明図である。
図6を参照して、本実施形態における無線リソースの割当処理によって形成する三次元空間セル構成の一例(以下、本例を「構成例1」という。)について説明する。
【0049】
本構成例1の三次元空間セル構成における無線リソースの割当処理は、同一時間帯において、地上セル100A及び上空セル200Aのいずれか一方のセル内の端末装置との通信に同一周波数帯の無線リソースを割り当て、他方のセル内の端末装置との通信に同一周波数帯の無線リソースを割り当てない非重複割当処理である。
【0050】
図6の例において、中央の基地局20Bは、同一時間帯において、上空セル200A内のドローン5Bに搭載の上空端末40Bとの通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当て、地上セル100B内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てない。一方、
図6中両側の基地局20A,20Cはそれぞれ、同一時間帯において、地上セル100A,100C内の地上端末30A,30Cとの通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当て、上空セル200A,200C内の上空端末との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てない。
【0051】
具体的には、例えば、上空セル200B内の上空端末40Bに対して同一周波数帯の無線リソースを割り当てる場合、本構成例1の基地局装置21におけるスケジューラ22は、地上セル100B内の地上端末に同一周波数帯の無線リソースが割り当てられていないことを確認するとともに、上空セル200B内の他の上空端末に既に割り当てられている同一周波数帯の無線リソースを確認し、他の上空端末にまだ割り当てられていない前記同一周波数帯の無線リソースを上空セル200B内の上空端末40Bに割り当てる。
【0052】
同様に、例えば、地上セル100A内の地上端末30Aに対して無線リソースを割り当てる場合には、スケジューラ22は、上空セル200A内の端末装置に同一周波数帯の無線リソースが割り当てられていないことを確認するとともに、地上セル100A内の他の地上端末に既に割り当てられている同一周波数帯の無線リソースを確認し、他の地上端末にまだ割り当てられていない前記周波数帯の無線リソースを地上セル100A内の地上端末30Aに割り当てる。
【0053】
更に、本構成例1では、同一周波数帯の無線リソースが基地局20Bとの通信に割り当てられた上空セル200Bの上空端末40Bに、送信電力を低減する送信電力制御を適用している。
【0054】
本構成例1によれば、
図6に示すように、各基地局20A,20B,20Cにおいて、上空端末地上端末のいずれか一方の端末装置にしか同一周波数帯の通信を割り当てないので、同一基地局のセルで上空端末及び地上端末が同時に利用されないことから、これらのセル間における干渉を安定して抑制することができ、各端末装置の通信品質が向上する。
【0055】
しかも、本構成例1によれば、各基地局においてアンテナ利得が向上し、各基地局での受信電力を向上できるので、上空セル200B内の上空端末40Bの送信電力制御により送信電力を大きく低減できることから、他の地上セル100A,100Cへの干渉を大きく低減できる。
【0056】
〔構成例2〕
次に、本実施形態における無線リソースの割当処理によって形成する三次元空間セル構成の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)について説明する。なお、本構成例2の説明においては、基地局20Aを例にあげて説明するが、他の基地局20B,20Cにおいても同様である。
【0057】
図7は、本実施形態に係る無線通信システムの他の構成例(構成例2)における三次元空間セル構成の一例を示す説明図である。本構成例2における無線リソースの割当処理は、同一時間帯において、地上セル100A内の地上端末30Aとの通信及び上空セル200A内の上空端末40Aとの通信のそれぞれに同一周波数帯の無線リソースを割り当てる重複割当処理である。
【0058】
具体的には、例えば、上空セル200A内の上空端末40Aに対して無線リソースを割り当てる場合、本構成例1の基地局装置21におけるスケジューラ22は、上空セル200A内の他の上空端末にすでに割り当てられている同一周波数帯の無線リソースを確認し、他の上空端末にまだ割り当てられていない同一周波数帯の無線リソースを上空セル200A内の端末装置40Aに割り当てる。
【0059】
地上セル100A内の地上端末30Aに対して無線リソースを割り当てる場合も同様である。
【0060】
また、本構成例2においても、上空セル200Aの上空端末40Aに送信電力を低減する送信電力制御を適用している。
【0061】
本構成例2によれば、
図7に示すように、基地局20Aにおいて、上空セル200A内の上空端末40Aと地上セル100A内の地上端末30Aの両方に同一周波数帯の無線リソースが同時間帯に割り当てられる。そのため、周波数の利用効率の向上を図ることができる。
【0062】
一方で、本構成例2によれば、上下に隣り合う地上セル100Aと上空セル200Aとの間で互いに同じ同一周波数帯の無線リソースで同一時間帯に通信されるケースが出てくる。この場合でも、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内の各端末装置30A,40A間のビームを空間的に十分に離間させているので、これらの端末装置30A,40Aとの通信に同一周波数帯の無線リソースが同時期に割り当てられても、干渉を抑制することができる。
【0063】
しかも、本構成例2によれば、上空セル200A内の上空端末40Aの送信電力制御により送信電力を低減できることから、周辺の他の基地局の地上セルへの干渉を低減できる。
【0064】
ここで、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内の各端末装置30A,40A間のビームを空間的に十分に離間できていない場合には、これらの端末装置30A,40A間で同一周波数帯の無線リソースを同時期に割り当てると、干渉が十分に抑制されないおそれがある。例えば、
図8(a)に示すように、上空セル200A内の端末装置40Aの高度が所定高度h
th未満である場合には、上空セル200A内の端末装置40Aの位置が地上セル100Aに近いため、干渉が十分に抑制されないおそれがある。
【0065】
したがって、上空セル200A内の上空端末40Aのうち、所定高度hth未満である端末装置40Aについては、例えば上述した構成例1のような同一周波数帯における同じ周波数リソースF1の非重複割当処理を採用し、所定高度hth以上である端末装置40Aについては、本構成例2のような同一周波数帯における同じ周波数リソースF1の重複割当処理を採用するようにしてもよい。この場合、より安定して干渉を抑制することができる。
【0066】
また、所定高度h
th未満である端末装置40Aについては、例えば、
図8(b)に示すように、無線通信部23は、スケジューラ22により同一周波数帯における同じ周波数リソースF1が割り当てられた地上セル100A内の端末装置30Aと上空セル200A内の端末装置40Aとに対し、時分割(TDD:Time Division Duplex)で通信する時分割処理を実行し、同一周波数リソースを時分割利用してもよい。これによれば、同一周波数帯において同じ周波数リソースF1が割り当てられた地上端末30Aと上空端末40Aとの間で、通信が行われるタイミングを時間的にずらすことができるので、これらの端末装置30A,40Aの間で同じ周波数リソースF1での電波が同時に(同じ時間リソースで)使用されることがない。したがって、上空端末40Aの高度が所定高度h
th未満であっても、干渉が抑制される。なお、この時分割処理は、所定高度h
th以上である上空端末40Aについても適用してもよい。
【0067】
一方、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内の各端末装置30A,40A間のビームを空間的に十分に離間できている場合には、これらの端末装置30A,40A間で同一周波数帯における同じ周波数リソースの通信を同時に行っても、干渉は抑制される。例えば、
図9(a)に示すように、上空端末40Aの高度が所定高度h
th以上である場合には、上空端末40Aの位置が地上セル100Aから十分に離れているため、干渉が十分に抑制される。
【0068】
このように上空端末40Aの高度が所定高度h
th以上である場合、例えば、
図9(b)に示すように、無線通信部23は、スケジューラ22により同一周波数帯における同じ周波数リソースF1が割り当てられた地上端末30Aと上空端末40Aとに対して同時に通信する同時通信処理を実行し、同一周波数帯における同じ周波数リソースF1を同時利用してもよい。これによれば、同一周波数帯を用いる地上端末30Aと上空端末40Aとの間で、同一周波数帯における同じ周波数リソースF1による通信を同時に行うことができるので、上述した時分割処理よりも更に周波数の利用効率を向上させることができる。
【0069】
〔構成例3〕
次に、本実施形態における無線リソースの割当処理によって形成する三次元空間セル構成の更に他の例(以下、本例を「構成例3」という。)について説明する。なお、本構成例3の説明においても、基地局20Aを例にあげて説明するが、他の基地局20B,20Cにおいても同様である。
【0070】
図10は、本実施形態に係る無線通信システムの更に他の構成例(構成例3)における三次元空間セル構成の形成する基地局装置21の主要部構成の一例を示す説明図である。
本構成例3に係る基地局装置21は、上述した
図8に示した時分割処理と
図9に示した同時通信処理とを組み合わせて実行することができる。
【0071】
具体的には、
図10に示すように、基地局装置21は、上空セル200A内における上空端末40Aの高度を特定する高度特定部23dを備える。この高度特定部23dにより高度が所定高度h
th以上であると特定された上空セル200A内の上空端末40Aに対しては同時通信処理(同一周波数リソースの同時利用)が実行される。また、高度が所定高度h
th未満であると特定された上空セル200A内の上空端末40Aに対しては時分割処理(同一周波数リソースの時分割利用)が実行される。
【0072】
本構成例3において、同時通信処理と時分割処理との切り替えは、切替制御部23eと切替スイッチ23fにより行う。具体的には、高度特定部23dは、上空セル200A内の上空端末40Aの高度を特定(推定)する処理を行い、その処理結果(特定された高度)を切替制御部23eへ送る。
【0073】
切替制御部23eは、受け取った処理結果に係る高度が所定高度hth以上であるか否かを判断し、所定高度hth以上であると判断したら、切替スイッチ23fの処理モードを同時通信処理に切り替える。これにより、上空セル200A内の上空端末40Aと、地上セル100A内において上空端末40Aと同じ周波数リソースが割り当てられている地上端末30Aとに対し、同時通信処理が実行される。
【0074】
一方、切替制御部23eは、受け取った処理結果に係る高度が所定高度hth未満であると判断したら、切替スイッチ23fの処理モードを時分割処理に切り替える。これにより、上空セル200A内の上空端末40Aと、地上セル100A内において上空端末40Aと同じ周波数リソースが割り当てられている地上端末30Aとに対し、時分割処理が実行される。
【0075】
本構成例3によれば、上下に隣接する地上セル100A及び上空セル200A内の各端末装置30A,40A間の干渉を安定して抑制することと、周波数の利用効率を向上させることとを高いレベルで両立することができる。
【0076】
また、本構成例3によれば、例えば、
図11(a)~
図11(c)に示すようなドローン50Aの動きにも適切に対応することができる。すなわち、ドローン50Aは、通常、まず、
図11(a)に示すように、地上セル100A内から上空セル200Aに向かって目標高度まで上昇する。そして、このドローン50Aの高度が上空セル200A内において所定高度h
th未満であるうちは、時分割処理を実行する。その後、
図11(b)に示すように、ドローン50Aが上空セル200A内において所定高度h
th以上の高度になったら、時分割処理から同時通信処理に切り替える。一方、
図11(c)に示すように、ドローン50Aが地上セル100Aに向かって上空セル200A内を下降し、高度が所定高度h
th未満になったら、同時通信処理から時分割処理に切り替える。
【0077】
高度特定部23dが行う高度推定処理は、上空セル200A内の端末装置40Aの高度を特定(推定)できるものであれば、特に制限はない。例えば、ドローン50Aに搭載されている高度計の計測結果を端末装置40Aから基地局20Aの基地局装置21で受信し、高度特定部23dにおいて、受信した当該計測結果に基づいて端末装置40Aの高度を特定するようにしてもよい。
【0078】
また、例えば、高度特定部23dは、上空端末40Aの高度を、ビーム制御部23c-1がビームの制御を行うときの制御情報に基づいて特定してもよい。
【0079】
例えば、
図12(a)に示すように、ビーム制御部23c-1がプリコーディング制御部23b-1,23b-2を制御してコードブック型のビームフォーミング制御を行うときのビームパターン(プリコーディングウェイト行列)の選択結果(制御情報)を利用して、上空端末40Aの高度を特定してもよい。この場合、予め用意されている複数のビームパターン(プリコーディングウェイト行列)P1~P6は、それぞれ、
図12(a)に示すように、指向性の高い複数のビームの方向(上下方向におけるビームの向き)が互いに異なっているものを含む。したがって、上空端末40Aに対して選択されたビームパターン(例えばビームパターンP5)の選択結果から、基地局20Aから見た上空端末40Aの方向を特定することができ、上空端末40Aの高度を推定することができる。このとき、当該端末装置40Aとの通信時における受信電力や送信電力などに基づいて当該端末装置40Aと基地局20Aとの距離の情報も利用すれば、より高い精度で高度の推定を行うことができる。
【0080】
また、例えば、端末装置の方向にビームを連続的に追従させる連続追従制御によるビームフォーミング機能を採用する場合には、
図12(b)に示すように、連続追従制御の制御情報であるビーム角度φ(アンテナ26の仮想垂直面内のビームの方向の水平面に対する角度)の情報を利用して上空端末40Aの高度を特定してもよい。この場合、ビーム角度φから、基地局20Aから見た上空端末40Aの方向を特定することができ、上空端末40Aの高度を推定することができる。このときも、上空端末40Aとの通信時における受信電力や送信電力などに基づいて上空端末40Aと基地局20Aとの距離の情報も利用すれば、より高い精度で高度の推定を行うことができる。
【0081】
また、上述した実施形態(各構成例を含む。)において、上空端末40Aにビームフォーミング機能を持たせ、
図13に示すように、上空端末40Aのアンテナで形成されるビームが基地局20Aに向かうように制御してもよい。具体的には、例えば、基地局装置21に端末制御部を設け、上空端末40Aから見た基地局装置21の方向を特定するための情報を端末制御部により生成して、基地局20Aの基地局装置21から上空端末40Aへ送る。上空端末40Aでは、基地局20Aから受信した情報に基づいて特定される基地局20Aの方向にビームが向くようにビームフォーミング機能によってビームを形成する。
【0082】
このような上空端末40Aでのビームフォーミング機能により、上空セル200A内の端末装置40Aの送信・受信電力が基地局20Aの方向に集中することで、アンテナ利得が向上し、通信品質の向上等が図られる。
【0083】
また、
図13に示すように、上空セル200A内の上空端末40Aのアンテナで形成されるビームが基地局20Aに向かうように制御することで、アンテナ利得が向上するので、上空端末40A側で送信電力制御を行うことにより、端末装置30A,40A側の送信電力を低減することが可能となる。これにより、上下に隣接する地上セル100Aと上空セル200Aとの間での干渉は更に抑制できる。
【0084】
また、上述したようにアンテナ利得が向上することで、基地局20Aの方向以外の方向についての上空端末40Aでの送信電力が低減される。これにより、上空端末40Aからの上り回線の電波が周辺の他の基地局20B,20Cに影響を及ぼしにくくなり、上空端末40Aの与干渉が抑制できる。
【0085】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線通信システム、基地局及び端末装置(UE、ユーザー端末装置、移動局)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0086】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0087】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる各部は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置や記憶装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0088】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0089】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0090】
10 :無線通信システム
20A~20C:基地局
21 :基地局装置
22 :スケジューラ
23 :無線通信部
23-1 :上空セル用無線通信部
23-2 :地上セル用無線通信部
23a-1,23a-2:送受信部
23b-1,23b-2:プリコーディング制御部
23c-1,23c-2:ビーム制御部
23d :高度特定部
23e :切替制御部
23f :切替スイッチ
26 :アンテナ
26a :アンテナ素子
30A~30C:端末装置(地上端末)
40A~40C:端末装置(上空端末)
50A~50C:ドローン
100A~100C:地上セル
105 :地上用ビーム
200A~200C:上空セル
205 :上空用ビーム
A1 :地上エリア
A2 :上空エリア
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
同一時間帯において、前記第一セル及び前記第二セルのいずれか一方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当て、他方のセル内の端末装置との通信に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てないリソース割当部と、を有し、
前記第二セル内の端末装置に前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てたとき、前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる、ことを特徴とする基地局。
【請求項2】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
同一時間帯において、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有し、
前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた前記第二セル内の端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる、ことを特徴とする基地局。
【請求項3】
移動通信の基地局であって、
アンテナと、
同一周波数帯を使用可能な、前記アンテナの下方の第一セルと前記第一セルの上方の第二セルとを形成し、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
前記第二セル内の端末装置の高度を特定する高度特定部と、
前記第二セル内の端末装置の高度が所定高度未満となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を時分割利用し、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となった場合に、前記第一セル内の端末装置及び前記第二セル内の端末装置が前記同一周波数帯を同時利用するように、前記第一セル内の端末装置との通信及び前記第二セル内の端末装置との通信のそれぞれに前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てるリソース割当部と、を有し、
前記同一周波数帯の無線リソースを割り当てた前記第二セル内の端末装置に対して、送信電力を低減させる送信電力制御を適用させる、ことを特徴とする基地局。
【請求項4】
請求項3に記載の基地局において、
前記アンテナは、上下方向におけるビームの方向が互いに異なる複数のビームパターンの選択結果に基づく制御により前記端末装置に対するビームを形成可能なアンテナであり、
前記第二セル内の端末装置に対するビームを形成するときの制御で選択された前記ビームパターンの選択結果に基づいて、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったか否かを判断する、ことを特徴とする基地局。
【請求項5】
請求項3に記載の基地局において、
前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内のビームの方向を連続的に変化させることができるアンテナであり、
前記アンテナの仮想垂直面内のビームの方向の水平面に対する上向きの角度が所定角度以上の場合に、前記第二セル内の端末装置の高度が前記所定高度以上となったと判断する、ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基地局において、
前記アンテナは、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内の互いに異なる方向に指向性を有する複数のビームを形成可能なアンテナであり、
前記第一セルを形成する一又は複数のビームと前記第二セルを形成する一又は複数のビームを形成するよう前記アンテナのビームフォーミング制御を行う制御部を有することを特徴とする基地局。
【請求項7】
請求項6に記載の基地局において、
前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであり、
前記制御部は、
予め設定された互いに異なる方向の複数のビーム候補について前記アンテナの各アンテナ素子に対する振幅及び位相の値を記憶し、
前記端末装置から受信したビーム選択情報に基づいて前記複数のビーム候補の一つを選択し、
前記選択したビーム候補について記憶されている各アンテナ素子の振幅及び位相に基づいて、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行う、ことを特徴とする基地局。
【請求項8】
請求項6に記載の基地局において、
前記アンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたMissiveアンテナであり、
前記制御部は、
前記アンテナを中心とした仮想垂直面内で前記アンテナの指向方向を変化させながら前記端末装置からの電波を受信し、
前記端末装置からの電波の受信電力が最大となる方向を検出し、
前記検出した方向に、前記端末装置との通信に用いるビームを形成するようにビームフォーミング制御を行う、ことを特徴とする基地局。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基地局において、
前記第二セル内の端末装置のアンテナで形成されるビームが当該基地局に向かうように前記端末装置に制御情報を送信する端末制御部を有することを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基地局と、前記基地局と無線通信を行う端末装置とを含むことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基地局が同一エリア内に複数配置されたことを特徴とする無線通信システム。