(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133980
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】コネクタ取り外し規制構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032970
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠帆
(72)【発明者】
【氏名】水谷 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】安藤 淳一
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB01
5E021FB09
5E021FB20
5E021FC36
5E021FC40
5E021HC35
(57)【要約】
【課題】ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止する。
【解決手段】ハーネス側コネクタ2は、ハイドロリックユニット1のユニット側コネクタに接続されるコネクタ本体11と、コネクタ本体11に上下方向にスライド可能に支持されるスライドロック12とを有する。封印クリップ3は、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対して上下方向と交叉する方向への移動が規制された状態で上方へ移動させて取り付けられる。封印状態では、封印クリップ3の第1爪部29がハイドロリックユニット1の補強リブ8に係止されることによって、ハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の下方への移動が規制され、封印クリップ3の当接板部15がスライドロック12に下方から当接することによって、コネクタ本体11に対するスライドロック12の下方への移動が規制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット側コネクタを有する電子制御ユニットと、
前記ユニット側コネクタに対して接続される外部コネクタ本体と、前記外部コネクタ本体側のロック位置と前記ロック位置よりも第1方向の一側のロック解除位置との間を移動可能に前記外部コネクタ本体に支持されるロック部材とを有し、前記ロック部材が前記ロック位置に位置するロック状態では前記ユニット側コネクタに接続したコネクタ接続状態の前記外部コネクタ本体の取り外し方向への移動が規制され、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置するロック解除状態では前記コネクタ接続状態の前記外部コネクタ本体の前記取り外し方向への移動が許容される外部接続コネクタと、
前記ロック状態の前記外部接続コネクタ及び前記電子制御ユニットに対し、前記第1方向と交叉する方向への移動が規制された状態で前記第1方向の前記一側から他側へスライド移動させて取り付けられ、前記他側の封印位置で前記外部コネクタ本体に対する前記ロック部材の前記ロック位置から前記ロック解除位置側への移動を規制する封印部材と、を備え、
前記電子制御ユニット及び前記外部コネクタ本体の少なくとも一方は、第1係止部を有し、
前記封印部材は、前記封印位置で前記ロック位置の前記ロック部材に対して前記第1方向の前記一側から当接する当接部と、前記封印位置で前記第1係止部に係止されて前記ロック状態の前記電子制御ユニット及び前記外部接続コネクタに対する前記第1方向の前記一側への前記封印部材の移動を規制する第2係止部とを有する
ことを特徴とするコネクタ取り外し規制構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ取り外し規制構造であって、
前記封印部材は、前記当接部の前記第1方向と交叉する第2方向の一端部から前記第1方向の両側へ延びる延設部と、前記延設部のうち前記当接部の前記一端部よりも前記第1方向の前記一側の一側領域と前記当接部と間の角部に配置されて前記延設部の前記一側領域及び前記当接部の双方に対して一体的に設けられるリブとを有し、
前記封印部材の前記第2係止部は、前記延設部のうち前記当接部の前記一端部よりも前記第1方向の前記他側の他側領域に対して一体的に設けられ、
前記封印部材の前記リブは、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交叉する板状に形成され、
前記当接部に対して前記第1方向の前記一側への荷重が入力して、前記当接部が前記一端部を軸として前記延設部の前記一側領域に対して近接する方向へ傾動すると、前記封印部材の前記リブは、破断する
ことを特徴とするコネクタ取り外し規制構造。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ取り外し規制構造であって、
前記封印部材は、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交叉する板状に形成されて、前記当接部の前記第1方向の前記他側に配置されて前記延設部の前記他側領域及び前記当接部の双方に一体的に設けられる板部を有し、
前記封印部材の前記板部は、前記板部の前記第1方向の前記他側の端部から前記当接部と前記延設部の前記他側領域との角部に向かって延びる易破断部を有する
ことを特徴とするコネクタ取り外し規制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ取り外し規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブレーキ液圧制御装置が記載されている。ブレーキ液圧制御装置のケースは、ハイドロリックユニットの本体に固定される。ケースの隔壁の側壁の外側まで延在した部分にはユニット側コネクタが形成され、ユニット側コネクタの外周壁の内部には、電子制御ユニット基板に接続される複数の端子が設けられている。ユニット側コネクタには、ワイヤハーネスの一端に設けられた車両側コネクタが結合される。車両側コネクタには、ユニット側コネクタの外周壁が嵌る環状溝が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両側コネクタのように、相手側のハイドロリックユニット(電子制御ユニット)のユニット側コネクタに対して接続されるコネクタ(外部接続コネクタ)には、ユニット側コネクタとの接続状態を保持するためのロック部材が第1方向に移動可能に設けられる場合がある。この場合、外部接続コネクタをユニット側コネクタに接続した状態で、ロック部材を上記第1方向の一側へ移動させると、外部接続コネクタの取り外し方向への移動が規制され、ロック部材を上記第1方向の他側へ移動させると、外部接続コネクタの取り外し方向への移動の規制が解除されて、外部接続コネクタをユニット側コネクタから取り外すことができる。
【0005】
ところで、外部接続コネクタをユニット側コネクタに接続した後、電子制御ユニットの基板への不正なアクセスを禁止するために、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止したい場合がある。上記ロック部材では、ロック部材を上記第1方向の上記他側へ移動させることによって、ロックを解除して外部接続コネクタをユニット側コネクタから取り外すことができるので、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することは難しい。
【0006】
そこで、本開示は、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することが可能なコネクタ取り外し規制構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のコネクタ取り外し規制構造は、電子制御ユニットと外部接続コネクタと封印部材とを備える。電子制御ユニットは、ユニット側コネクタを有する。外部接続コネクタは、ユニット側コネクタに対して接続される外部コネクタ本体と、外部コネクタ本体側のロック位置とロック位置よりも第1方向の一側のロック解除位置との間を移動可能に外部コネクタ本体に支持されるロック部材とを有する。外部接続コネクタは、ロック部材がロック位置に位置するロック状態ではユニット側コネクタに接続したコネクタ接続状態の外部コネクタ本体の取り外し方向への移動が規制され、ロック部材がロック解除位置に位置するロック解除状態ではコネクタ接続状態の外部コネクタ本体の取り外し方向への移動が許容される。封印部材は、ロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットに対し、第1方向と交叉する方向への移動が規制された状態で第1方向の上記一側から他側へスライド移動させて取り付けられ、上記他側の封印位置で外部コネクタ本体に対するロック部材のロック位置からロック解除位置側への移動を規制する。電子制御ユニット及び外部コネクタ本体の少なくとも一方は、第1係止部を有する。封印部材は、封印位置でロック位置のロック部材に対して第1方向の上記一側から当接する当接部と、封印位置で第1係止部に係止されてロック状態の電子制御ユニット及び外部接続コネクタに対する第1方向の上記一側への封印部材の移動を規制する第2係止部とを有する。
【0008】
上記構成では、封印部材は、ロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットに対し、第1方向と交叉する方向への移動が規制された状態でスライド移動させて取り付けられる。そして、封印部材をロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットに対して封印位置に取り付けた状態(以下、「封印状態」という。)では、封印部材の当接部が、ロック位置のロック部材に対して第1方向の上記一側から当接し、第2係止部が第1係止部に係止されるので、封印部材は、ロック状態の電子制御ユニット及び外部接続コネクタに対する第1方向に沿った移動が規制される。すなわち、封印状態では、封印部材は、第1方向に沿った移動、及び第1方向と交叉する方向への移動が規制されるので、ロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットから取り外すことが不能となる。なお、外部接続コネクタとは、電子制御ユニットに対して外部から接続されるコネクタを意味する。
【0009】
また、封印状態では、封印部材の当接部が、ロック位置のロック部材に対して第1方向の上記一側から当接し、第2係止部が第1係止部に係止されてロック状態の電子制御ユニット及び外部接続コネクタに対する第1方向の上記一側への封印部材の移動を規制する。
【0010】
従って、封印部材をロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットから取り外すことができず、ロック部材をロック位置からロック解除位置へ移動させることができないので、外部接続コネクタのロック部材を封印部材によってロック状態に封印することができ、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することができる。
【0011】
また、封印部材を、ロック状態の外部接続コネクタ及び電子制御ユニットに対してスライド移動させて取り付けるという簡単な作業で、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することができる。このため、例えば、外部コネクタ本体及びロック部材の双方にロック状態で互いに連通するワイヤ挿通孔を設け、ロック状態でワイヤ挿通孔に封印ワイヤを挿通してループさせ、封印ワイヤの両端部に専用工具で封印鉛部材等を取り付けて封印する場合とは異なり、簡単な作業で容易に外部接続コネクタのロック部材を封印して、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のコネクタ取り外し規制構造であって、封印部材が、当接部の第1方向と交叉する第2方向の一端部から第1方向の両側へ延びる延設部と、延設部のうち当接部の上記一端部よりも第1方向の上記一側の一側領域と当接部と間の角部に配置されて延設部の一側領域及び当接部の双方に対して一体的に設けられるリブとを有する。封印部材の第2係止部は、延設部のうち当接部の上記一端部よりも第1方向の上記他側の他側領域に対して一体的に設けられる。封印部材のリブは、第1方向及び第2方向の双方と交叉する板状に形成される。当接部に対して第1方向の上記一側への荷重が入力して、当接部が上記一端部を軸として延設部の一側領域に対して近接する方向へ傾動すると、封印部材のリブは、破断する。
【0013】
上記構成では、封印部材は、当接部の第2方向の一端部から第1方向の両側へ延びる延設部を有し、封印部材の第2係止部は、延設部のうち当接部の一端部よりも第1方向の上記他側の他側領域に一体的に設けられる。このため、例えば、電子制御ユニットの基板へ不正にアクセスするために封印状態の封印部材を取り外そうとして、封印部材の当接部を第1方向の上記一側へ引っ張ると、封印部材の当接部が上記一端部を軸として第1方向の上記一側へ傾動し、当接部(の一端部)と延設部とが交叉している部分に応力が集中し易い。
【0014】
また、封印部材は、延設部の一側領域と当接部と間の角部に配置されて延設部の一側領域及び当接部の双方に対して一体的に設けられるリブを有する。封印部材のリブは、当接部に対して第1方向の上記一側への荷重が入力して、当接部が上記一端部を軸として延設部の一側領域に対して近接する方向へ傾動すると、破断する。すなわち、上述したように、電子制御ユニットの基板へ不正にアクセスするために、封印状態の封印部材を取り外そうとして、封印部材の当接部を第1方向の上記一側へ引っ張って、封印部材の当接部が上記一端部を軸として延設部の一側領域に対して近接する方向へ傾動すると、封印部材のリブが塑性変形した後、破断する。このため、封印状態の封印部材の当接部を第1方向の上記一側へ引っ張って、当接部と延設部とが交叉している部分を破断して封印部材を取り外した後、上記破断部分を接着剤等で固定して、封印部材を再び封印状態にしたとしても、リブが塑性変形しているので、封印部材を一度取り外したことを外部から認識することができる。このように、封印状態の封印部材を破断して取り外したとしても、その後、封印部材を元通りに再度取り付けることができないので、封印状態の封印部材の取り外しを抑止することができ、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様のコネクタ取り外し規制構造であって、封印部材は、第1方向及び第2方向の双方と交叉する板状に形成されて、当接部の第1方向の上記他側に配置されて延設部の他側領域及び当接部の双方に一体的に設けられる板部を有する。封印部材の板部は、板部の第1方向の上記他側の端部から当接部と延設部の他側領域との角部に向かって延びる易破断部を有する。
【0016】
上記構成では、封印部材は、当接部の第1方向の上記他側に配置されて延設部の他側領域及び当接部の双方に一体的に設けられた板部を有するので、板部によって当接部と延設部とを補強することができる。
【0017】
また、封印部材の板部は、易破断部を有するので、封印状態の封印部材の当接部を第1方向の上記一側へ引っ張った際に、板部を易破断部で破断させることができる。
【0018】
また、封印部材の板部の易破断部は、板部の第1方向の上記他側の端部から当接部と延設部の他側領域との角部に向かって延びる。このため、封印状態の封印部材の当接部を第1方向の上記一側へ引っ張って板部を易破断部で破断させた際に、当接部と延設部とが交叉している部分に応力を集中させることができるので、当接部と延設部とが交叉している部分で封印部材を容易に破断させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、ユニット側コネクタからの外部接続コネクタの取り外しを禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ取り外し規制構造の平面図である。
【
図2】
図1のハイドロリックユニット及び取り付け前のハーネス側コネクタの斜視図である。
【
図3】コネクタ接続状態のハーネス側コネクタ及びハイドロリックユニットの斜視図である。
【
図5】裏面側から視たハーネス側コネクタの斜視図である。
【
図8】封印クリップを取り付けた状態の
図1のVIII部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では、各図の矢印Xに沿った方向を前後方向(第2方向)とし、矢印Yに沿った方向を上下方向(第1方向)とし、矢印Zに沿った方向を幅方向として説明する。
図7では、ハイドロリックユニット1を簡略化している。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ取り外し規制構造は、車両のブレーキ液圧を制御するための液圧用ABSユニット(電子制御ユニット)1(以下、「ハイドロリックユニット1」という。)に対してハーネス側コネクタ(外部接続コネクタ)2を接続した後、ハーネス側コネクタ2がハイドロリックユニット1から不正に取り外されることを禁止するための構造に適用される。
【0023】
コネクタ取り外し規制構造は、ハイドロリックユニット1とハーネス側コネクタ2と封印クリップ(封印部材)3とを備える。
【0024】
図1~
図3に示すように、ハイドロリックユニット1は、車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)に使用される電子制御ユニットであって、車両のブレーキ液圧を制御する。ハイドロリックユニット1は、図示しない液圧ポンプ、リザーバ、及び複数の電磁制御弁等(以下、「電磁制御弁等」という。)を内部に収納する箱状の本体部4と、本体部4の電磁制御弁等を電子制御するための基板(図示省略)を内部に収納する基板ケース部5とを有する。基板ケース部5は、本体部4の幅方向の一側(矢印Zが向いている側)の面に固定される。基板ケース部5は、本体部4よりも後方(矢印Xが向いている方向)へ突出するコネクタ支持部6と、コネクタ支持部6の幅方向の他側(矢印Zが向いている方向とは反対側)のコネクタ基面6aから幅方向の他側へ突出するユニット側コネクタ7と、基板ケース部5の後面5aとユニット側コネクタ7との間に配置される複数(本実施形態では5つ)の補強リブ(第1係止部)8とを有する。
【0025】
ユニット側コネクタ7は、前後方向よりも上下方向に長い略矩形筒状に形成されてコネクタ支持部6のコネクタ基面6aから幅方向の他側へ突出する外周壁7aと、外周壁7aの径方向の内側に配置されて上記基板(図示省略)に接続される端子7bとを有する。外周壁7aから前方(矢印Xが向いている方向とは反対側)へ離間した位置には、基板ケース部5の後面5aが配置され、外周壁7aの前面に対向している。基板ケース部5の後面5aは、コネクタ支持部6のコネクタ基面6aから幅方向の他側へ起立する。基板ケース部5の後面5aとユニット側コネクタ7の外周壁7aとの間には、前後方向よりも上下方向に長い間隙9が設けられる。係る間隙9は、前後方向の両側が基板ケース部5の後面5aとユニット側コネクタ7の外周壁7aの前面とによって区画され、幅方向の一側がコネクタ支持部6のコネクタ基面6aによって区画され、上下方向の両側及び幅方向の他側が開放されている。
【0026】
複数の補強リブ8は、基板ケース部5を補強するリブであって、上下方向と交叉する板状に形成されて、互いに上下に離間した状態で基板ケース部5の後面5aとユニット側コネクタ7との間の間隙9に配置される。複数の補強リブ8は、基板ケース部5の後面5aとコネクタ支持部6のコネクタ基面6aとの角部に形成され、基板ケース部5の後面5a及びコネクタ支持部6のコネクタ基面6aの双方に一体的に設けられる。複数の補強リブ8の後端は、ユニット側コネクタ7の外周壁7aから前方へ離間している。
【0027】
図1~
図5に示すように、ハーネス側コネクタ2は、ハイドロリックユニット1のユニット側コネクタ7に接続されるコネクタであって、ワイヤハーネス10(
図4に一点鎖線で示す。)の一端に取り付けられる。ワイヤハーネス10の一端は、ハーネス側コネクタ2の幅方向の他側の面に接続される(
図4参照)。ハーネス側コネクタ2をハイドロリックユニット1のユニット側コネクタ7に接続することによって、各種センサ(図示省略)からの信号をハイドロリックユニット1側へ入力可能となり、ハイドロリックユニット1は、上記各種センサからの信号に基づいて電磁制御弁等を制御して車両のブレーキ液圧を制御する。ハーネス側コネクタ2は、ユニット側コネクタ7に接続されるコネクタ本体(外部コネクタ本体)11と、コネクタ本体11に上下方向(第1方向)にスライド可能に支持されるスライドロック(ロック部材)12とを有する。
【0028】
ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11は、ユニット側コネクタ7の外周壁7aを挿入可能な環状溝11aと、ユニット側コネクタ7の端子7bを挿入可能な端子挿入部11bと、封印クリップ3を係止可能な係止凹部11cとを有する。環状溝11aは、コネクタ本体11の幅方向の一側の面13から幅方向の他側へ凹んだ状態で環状に設けられる溝であって、ユニット側コネクタ7の外周壁7aの挿入を許容する。端子挿入部11bは、コネクタ本体11の幅方向の一側の面13のうち環状溝11aの径方向の内側の領域に配置される。端子挿入部11bの内部には、ワイヤハーネス10側の端子(図示省略)が配置される。係止凹部11cは、コネクタ本体11の後部側に設けられ、環状溝11aから後側へ切り欠き状に形成される。係止凹部11cは、コネクタ本体11の幅方向の一側の面13から幅方向の他側へ凹む。ハーネス側コネクタ2をユニット側コネクタ7に接続したコネクタ接続状態にする場合、ハーネス側コネクタ2をユニット側コネクタ7に対して幅方向の他側から幅方向の一側(
図2の白抜き矢印が示す方向)へ向かって移動させて、コネクタ本体11の環状溝11aにユニット側コネクタ7の外周壁7aを挿入するとともに、コネクタ本体11の端子挿入部11bにユニット側コネクタ7の端子7bを挿入する。コネクタ接続状態では、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11の端子挿入部11bの内部で、ユニット側コネクタ7の端子7bとワイヤハーネス10側の端子(図示省略)とが互いに接続される。コネクタ本体11の前後の両側には、上下方向に延びる孔状のスライドロック支持部14が設けられる。
【0029】
ハーネス側コネクタ2のスライドロック12は、コネクタ接続状態のハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11をユニット側コネクタ7側へロックして、ユニット側コネクタ7に対するコネクタ本体11の取り外し方向(幅方向の他側)への移動を規制するための部材である。スライドロック12は、ロック下板部12aと、ロック前板部12bと、ロック後板部12cとを有する略U状に形成される。ロック下板部12aは、上下方向と交叉する板部であって、幅方向よりも前後方向に長尺の略矩形状に形成される。ロック前板部12b及びロック後板部12cは、前後方向と交叉する板部であって、ロック下板部12aの前後の両端部から上方(矢印Yが向いている方向とは反対側)へ延びる。ロック前板部12b及びロック後板部12cは、コネクタ本体11の前後のスライドロック支持部14に下方(矢印Yが向いている方向)から挿入されて、コネクタ本体11に上下方向にスライド移動可能に支持される。スライドロック12は、ロック下板部12aをコネクタ本体11の下面側に当接させたロック位置(
図4に実線で示す)と、ロック位置よりも下方(第1方向の一側)のロック解除位置(
図4に2点鎖線で示す)との間をスライド移動可能である。コネクタ接続状態にする際には、スライドロック12をロック解除位置に配置したロック解除状態(
図2参照)で、ハーネス側コネクタ2をユニット側コネクタ7に対して幅方向の他側から幅方向の一側(
図2の白抜き矢印が示す方向)へ向かって移動させる。コネクタ接続状態にした後、スライドロック12をロック解除位置からロック位置へスライド移動させることによって、スライドロック12がユニット側コネクタ7側に係止され(図示省略)、ユニット側コネクタ7に対するハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11の取り外し方向(幅方向の他側)への移動が規制されたロック状態となる(
図3参照)。一方、ロック状態のスライドロック12をロック位置からロック解除位置へスライド移動させると、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11とユニット側コネクタ7とのロックが解除され、ユニット側コネクタ7に対するコネクタ本体11の取り外し方向への移動が許容される。
【0030】
図1及び
図3に示すように、ロック状態のハーネス側コネクタ2の後端側は、ハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6よりも後方へ突出している。ロック状態のハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の幅方向の一側(矢印Zが向いている側)の面との間には、間隙(図示省略)が設けられる。すなわち、ロック状態のハーネス側コネクタ2は、ハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6のコネクタ基面6aから幅方向の他側へ離間している。ロック状態のハーネス側コネクタ2の前面は、ハイドロリックユニット1の複数の補強リブ8よりも僅かに後方に位置し、基板ケース部5の後面5aに後方から対向する。ロック状態では、複数の補強リブ8のうち最も下方に位置するリブ8は、ハーネス側コネクタ2のスライドロック12のロック下板部12aの下面よりも上方に位置している。
【0031】
図1、
図6~
図8に示すように、封印クリップ3は、ハイドロリックユニット1からのハーネス側コネクタ2の取り外しを禁止するための樹脂製の部材であって、ロック状態のハイドロリックユニット1及びハーネス側コネクタ2(以下、「ロック状態のハイドロリックユニット1等」という。)に対して取り付けられる。封印クリップ3は、上下方向と交叉する板状の当接板部(当接部)15と、前後方向と交叉する板状の前板部(延設部)16と、前後方向と交叉する板状の後板部17と、幅方向と交叉する板状の中板部(板部)18と、封印クリップ3の破断を検知可能な薄板リブ(リブ)19とを一体的に有する。
【0032】
封印クリップ3の当接板部15は、幅方向よりも前後方向に長尺に形成される。当接板部15の前後方向の長さは、ハーネス側コネクタ2の前後方向の長さよりも長い。本実施形態では、当接板部15の前後方向の長さは、封印クリップ3をロック状態のハイドロリックユニット1等に対して取り付けた封印状態で、後述するように、前板部16がハイドロリックユニット1の基板ケース部5の後面5aに当接し、且つ後板部17がハーネス側コネクタ2の後面に当接する長さに設定される。
【0033】
封印クリップ3の前板部16は、当接板部15の前端部(一端部)15aから上下方向の両側へ直線状に延びる。前板部16は、当接板部15に対して直交する方向に延びている。前板部16は、当接板部15の前端部15aよりも下方(第1方向の一側)の下側領域(一側領域)16aと、当接板部15の前端部15aよりも上方(第1方向の他側)の上側領域(他側領域)16bとを有する。前板部16の上側領域16bの上下方向の長さは、ロック状態のハーネス側コネクタ2のスライドロック12のロック下板部12aの下面からハイドロリックユニット1の最も下方に配置される補強リブ8までの距離よりも短い。前板部16の上側領域16bの幅方向の一側の端部20は、当接板部15の幅方向の一側の端部21と略同じ幅位置(幅方向の位置)に配置される。前板部16の上側領域16bの幅方向の長さは、当接板部15の幅方向の長さよりも長く設定される。前板部16の下側領域16aの幅方向の一側の端部22は、当接板部15の幅方向の一側の端部21よりも幅方向の他側に配置される。前板部16の下側領域16aの幅方向の他側の端部23は、当接板部15の幅方向の他側の端部24と略同じ幅位置に配置される。
【0034】
封印クリップ3の後板部17は、当接板部15の後端部15bから上方へ直線状に延びる。後板部17は、当接板部15に対して直交する方向に延びている。後板部17の上下方向の長さは、ハーネス側コネクタ2の下端から上端の下方近傍(ハーネス側コネクタ2の上下方向の中央よりも上方)までの長さに設定される。後板部17の幅方向の一側の端部25は、当接板部15の幅方向の一側の端部21よりも幅方向の一側に配置される。すなわち、後板部17の幅方向の一側は、当接板部15よりも幅方向の一側へ突出する。
【0035】
封印クリップ3の中板部18は、当接板部15、前板部16、及び後板部17に対して直交する板状に形成される。中板部18は、幅方向から視た状態で、上方へ開放される略U状に形成される。中板部18の板厚は、ロック状態のハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の幅方向の一側の面との間の距離よりも薄い。中板部18は、前後方向に延びる第1領域18aと、第1領域18aの前端部から上方へ延びる第2領域18bと、第1領域18aの後端部から上方へ延びる第3領域18cとを有し、当接板部15の上方に位置し、当接板部15、前板部16の上側領域16b、及び後板部17に一体的に設けられる。中板部18の第2領域18bと第3領域18cとの間の前後距離は、ハイドロリックユニット1のユニット側コネクタ7の筒状の外周壁7aの前後方向の長さよりも長く設定される。中板部18の第1領域18aは、当接板部15の幅方向の一側の端部21から上方へ起立し、当接板部15の幅方向の一側の端部21に沿って前後方向に延びる。中板部18の第1領域18aの上下方向の長さは、前板部16の上側領域16bの上下方向の長さよりも短い。中板部18の第2領域18bの前端は、前板部16の上側領域16bの後面側に連続している。すなわち、中板部18の第2領域18bは、前板部16の上側領域16bに一体に設けられる。中板部18の第2領域18bは、前板部16の上側領域16bよりも上方まで延びる。中板部18の第2領域18bの上端26は、前板部16の上端27よりも上方、且つ後板部17の上端28よりも下方に位置する。中板部18の第2領域18bの前端縁側には、前下方へ延びる複数(本実施形態では、3つ)の第1爪部(第2係止部)29が形成される。すなわち、複数の第1爪部29は、中板部18の第2領域18bを介して前板部16の上側領域16bに一体的に設けられる。複数の第1爪部29は、ハイドロリックユニット1の複数の補強リブ8のうち下側3つの補強リブ8に係止可能な形状に形成される。また、複数の第1爪部29は、補強リブ8に係止された状態で、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の下方への移動を規制可能な形状に形成される。中板部18の第3領域18cは、後板部17の前面に沿って上下方向に延びる。中板部18の第3領域18cの後端は、後板部17の前面側に連続している。中板部18の第3領域18cの上端34は、後板部17の上端28よりも僅かに下方に位置する。中板部18の第3領域18cには、幅方向の他側の下方へ延びる第2爪部35が形成される。第2爪部35は、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11の係止凹部11cに係止可能に形成される。また、第2爪部35は、コネクタ本体11の係止凹部11cに係止された状態で、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の下方への移動を規制可能な形状に形成される。
【0036】
封印クリップ3の中板部18のうち前板部16の上側領域16bと当接板部15との角部30(第1領域18aと第2領域18bの外側の角部)には、中板部18を幅方向に貫通する角開口31が形成される。中板部18は、第1領域18aと第2領域18bの内側の角部32から中板部18の角開口31へ向かって直線状に延びる易破断部33を有する。すなわち、中板部18の易破断部33は、中板部18の第1領域18aの上側(第1方向の他側)の端部から、当接板部15と前板部16の上側領域16bとの角部30に向かって延びる。中板部18の易破断部33の板厚は、中板部18の他の領域(易破断部33以外の領域)の板厚よりも薄肉に形成され、中板部18の上記他の領域よりも破断し易くなっている。
【0037】
封印クリップ3の薄板リブ19は、当接板部15、前板部16、後板部17、及び中板部18よりも薄肉に形成される。薄板リブ19は、幅方向から視た状態で略直角三角形状に形成され、当接板部15と前板部16の下側領域16aとの角部39に配置され、当接板部15及び前板部16の下側領域16aに一体的に設けられる。薄板リブ19の直角を挟む辺は、当接板部15の下面及び前板部16の下側領域16aの後面に沿って延びる。薄板リブ19の斜辺は、前板部16の下側領域16aの下端から後上方へ延びる。当接板部15の前端部15aを軸として当接板部15の後端側が下方(前板部16の下側領域16aに近接する方向)へ傾動する方向に、当接板部15に対して所定の荷重が入力すると、薄板リブ19は、降伏して塑性変形し、更に荷重が入力すると、破断する。
【0038】
次に、封印クリップ3の取り付けについて説明する。封印クリップ3をロック状態のハイドロリックユニット1等に対して取り付ける場合、
図1及び
図7に示すように、封印クリップ3を、ハーネス側コネクタ2のスライドロック12のロック下板部12aの下方から上方へ移動させる。封印クリップ3を上方へ移動させる際には、封印クリップ3の前板部16をハイドロリックユニット1の基板ケース部5の後面5aに当接させ、封印クリップ3の後板部17のうち中板部18よりも幅方向の一側の領域36をハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6の後面37に当接させ、封印クリップ3の中板部18をコネクタ支持部6のコネクタ基面6aに当接させた状態で、封印クリップ3を上方へスライド移動させる。そして、封印クリップ3の中板部18の第3領域18cの上端34を、コネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の後端部の幅方向の一側の面との間の間隙(図示省略)に挿入するとともに、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bの上端26を、コネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の前端部の幅方向の一側の面との間の間隙(図示省略)に挿入する。封印クリップ3の中板部18の第3領域18cの上端34を、コネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の後端部の幅方向の一側の面との間の間隙(図示省略)に挿入すると、封印クリップ3の後板部17のうち中板部18よりも幅方向の他側の領域38がハーネス側コネクタ2の後面に近接または接触する。このように、封印クリップ3の中板部18の上端26,34をハーネス側コネクタ2の幅方向の一側に挿入した先端係止状態では、封印クリップ3の幅方向の一側への移動は、封印クリップ3の中板部18とコネクタ支持部6のコネクタ基面6aとの当接によって規制され、封印クリップ3の幅方向の他側への移動は、封印クリップ3の中板部18とハーネス側コネクタ2との当接によって規制される。また、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bと第3領域18cとの間にユニット側コネクタ7が配置されるので、封印クリップ3の前後方向の移動がユニット側コネクタ7との当接によって規制される。また、先端係止状態では、封印クリップ3の前方への移動は、封印クリップ3の前板部16とハイドロリックユニット1の基板ケース部5の後面5aとの当接によって規制され、又は封印クリップ3の後板部17のうち中板部18よりも幅方向の一側の領域36とハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6の後面37との当接によって規制され、又は封印クリップ3の後板部17のうち中板部18よりも幅方向の他側の領域38とハーネス側コネクタ2の後面との当接によって規制される。すなわち、先端係止状態から更に上方への封印クリップ3の移動は、上下方向と交叉する方向(前後方向及び幅方向)への移動が規制された状態でのスライド移動となる。封印クリップ3を先端係止状態から更に上方へスライド移動させると、中板部18の第2領域18bが、ハイドロリックユニット1の補強リブ8とユニット側コネクタ7の外周壁7aとの前後間に挿入され、中板部18の複数の第1爪部29が、ハイドロリックユニット1の所定の補強リブ8に係止され、中板部18の第2爪部35が、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11の係止凹部11cに係止され、中板部18の第1領域18aが、コネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の下端部の幅方向の一側の面との間の間隙(図示省略)に挿入され、当接板部15が、ハーネス側コネクタ2のスライドロック12のロック下板部12aに下方から当接する。これにより、封印クリップ3をロック状態のハイドロリックユニット1等に対して取り付けた封印状態(
図8参照)となる。
【0039】
図1の二点鎖線、及び
図8に示すように、封印状態では、封印クリップ3の中板部18(第1領域18a、第2領域18b、及び第3領域18c)コネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2の幅方向の一側の面との間の間隙(図示省略)に挿入しているので、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の幅方向への移動が規制される。また、封印状態では、上述した先端係止状態と同様に、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の前後方向への移動が規制される。また、封印状態では、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bが、ハイドロリックユニット1の補強リブ8とユニット側コネクタ7の外周壁7aとの前後間に挿入されるので、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の前後方向への移動が規制される。また、封印状態では、封印クリップ3の複数の第1爪部29が、ハイドロリックユニット1の所定の補強リブ8に係止され、第2爪部35が、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11の係止凹部11cに係止されるので、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の下方への移動が規制される。また、封印状態では、封印クリップ3の当接板部15が、スライドロック12のロック下板部12aに下方から当接するので、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の上方への移動が規制される。すなわち、封印状態では、封印クリップ3は、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する幅方向、前後方向、及び上下方向の移動が規制されているので、ロック状態のハイドロリックユニット1等から破断することなく取り外すことが不能となっている。また、封印状態では、封印クリップ3の当接板部15が、スライドロック12のロック下板部12aに下方から当接するので、ハーネス側コネクタ2のスライドロック12は、コネクタ本体11に対する下方(ロック解除位置側)への移動が規制される。
【0040】
次に、封印状態の封印クリップ3を破断してハイドロリックユニット1等から取り外す場合について説明する。例えば、封印状態にした後にハイドロリックユニット1の基板へ不正にアクセスするためにコネクタ接続状態を解除したい場合には、封印状態の封印クリップ3を破断する必要がある。封印状態の封印クリップ3を破断する場合、封印クリップ3の後板部17の上端側を幅方向の一側へ傾動させて中板部18の第2爪部35とハーネス側コネクタ2側の係止凹部11cとの係止を解除した状態で、当接板部15の後端側を下方へ引っ張ることが考えられる。当接板部15の前端部15a側には前板部16が設けられ、前板部16の上側領域16b側にはハイドロリックユニット1の補強リブ8に係止される複数の第1爪部29が一体的に設けられるので、封印クリップ3の当接板部15の後端側を下方へ引っ張っても、当接板部15の前端部15a側は下方へスライド移動しない。このため、封印状態の封印クリップ3を取り外そうとして、当接板部15の後端側を下方へ引っ張ると、封印クリップ3の当接板部15の前端部15aを軸として当接板部15の後端側が下方へ傾動し、当接板部15(の前端部15a)と前板部16とが交叉している部分に応力が集中して、係る部分が破断し易い。当接板部15と前板部16とが交叉している部分が破断する際には、当接板部15が前板部16の下側領域16aに近接する方向へ傾動するので、当接板部15と前板部16の下側領域16aとの間の薄板リブ19が破断する。これにより、封印クリップ3の当接板部15をハイドロリックユニット1等から取り外すことができるので、スライドロック12をロック解除位置へ移動させて、ハーネス側コネクタ2をユニット側コネクタ7から取り外すことができる。
【0041】
上記のように構成されたコネクタ取り外し規制構造では、封印状態で、ハイドロリックユニット1等(ハイドロリックユニット1及びハーネス側コネクタ2)から封印クリップ3を破断することなく取り外すことができず、且つスライドロック12をロック位置からロック解除位置へ移動させることができないので、ハーネス側コネクタ2のスライドロック12を封印クリップ3によってロック状態に封印することができる。従って、本実施形態によれば、ユニット側コネクタ7からのハーネス側コネクタ2の取り外しを禁止することができる。
【0042】
また、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bに第1爪部29を設け、中板部18の第3領域18cに第2爪部35を設けている。封印クリップ3の第1爪部29及び第2爪部35は、封印状態でユニット側コネクタ7及びハーネス側コネクタ2の前後の両側に配置され、ハイドロリックユニット1等(ハイドロリックユニット1及びハーネス側コネクタ2)の補強リブ(第1係止部)8及び係止凹部11cに係止される。このため、封印クリップ3の第1爪部29のみがロック状態のハイドロリックユニット1等に係止される場合とは異なり、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の下方への移動を強く規制することができる。
【0043】
また、封印クリップ3を、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対してスライド移動させて取り付けるという簡単な作業で、ユニット側コネクタ7からのハーネス側コネクタ2の取り外しを禁止することができる。このため、例えば、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11及びスライドロック12の双方にロック状態で互いに連通するワイヤ挿通孔を設け、ロック状態でワイヤ挿通孔に封印ワイヤを挿通してループさせ、封印ワイヤの両端部に専用工具で封印鉛部材等を取り付けて封印する場合とは異なり、簡単な作業で容易にハーネス側コネクタ2のスライドロック12をロック状態に封印して、ユニット側コネクタ7からのハーネス側コネクタ2の取り外しを禁止することができる。
【0044】
また、封印クリップ3の薄板リブ19は、当接板部15と前板部16の下側領域16aとの角部39に配置され、当接板部15及び前板部16の下側領域16aに一体的に設けられる。封印状態の封印クリップ3を破断して取り外すために、上述したように当接板部15を下方へ傾動させると、当接板部15が前板部16の下側領域16aに近接する方向へ傾動する。そして、薄板リブ19は、所定の荷重が入力すると降伏して塑性変形し、更に荷重が入力すると破断する。このため、封印状態の封印クリップ3の当接板部15を下方へ引っ張って、当接板部15と前板部16とが交叉している部分を破断して封印クリップ3を取り外した後、上記破断部分を接着剤等で固定して、封印クリップ3を再び封印状態にしたとしても、薄板リブ19が塑性変形しているので、封印クリップ3を一度取り外したことを外部から認識することができる。このように、封印状態の封印クリップ3を破断して取り外したとしても、その後、封印クリップ3を元通りに再度取り付けることができないので、封印状態の封印クリップ3の不正な取り外しを抑止することができ、ユニット側コネクタ7からのハーネス側コネクタ2の取り外しを禁止することができる。
【0045】
また、封印クリップ3の中板部18には、易破断部33が設けられ、易破断部33は、中板部18の他の領域(易破断部33以外の領域)よりも破断し易くなっている。このため、封印クリップ3の当接板部15を下方へ引っ張った際に、中板部18を易破断部33で破断させることができる。
【0046】
また、封印クリップ3の中板部18の易破断部33は、中板部18の第1領域18aの上側の端部から、当接板部15と前板部16の上側領域16bとの角部30に向かって延びる。このため、封印状態の封印クリップ3の当接板部15を下方へ傾動させた際に、当接板部15と前板部16の上側領域16bとの角部30に向かって中板部18を破断させることができるので、当接板部15と前板部16とが交叉している部分に応力を集中させることができ、係る部分で封印クリップ3を容易に破断させることができる。
【0047】
また、封印クリップ3の中板部18は、当接板部15、前板部16、及び後板部17に対して直交する板状に形成され、当接板部15、前板部16の上側領域16b、及び後板部17に一体的に設けられる。このため、中板部18によって、当接板部15、前板部16の上側領域16b、及び後板部17を補強することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、封印クリップ3の中板部18の易破断部33を、中板部18の他の領域(易破断部33以外の領域)の板厚よりも薄肉に形成したが、これに限定されるものではなく、易破断部33は上記他の領域よりも破断し易ければよい。例えば、複数の小さな穴を破線状に配置した易破断部33であってもよい。
【0049】
また、本実施形態では、封印クリップ3の中板部18に易破断部33を設けたが、易破断部33を設けなくてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、封印クリップ3の中板部18を、ハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6のコネクタ基面6aとハーネス側コネクタ2との間に挿入することによって、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の幅方向への移動を規制したが、封印クリップ3の幅方向への移動を規制する方法は、これに限定されるものではない。封印クリップ3及びロック状態のハイドロリックユニット1等は、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の幅方向(上下方向と交叉する方向)への移動を規制する移動規制手段を備えていればよく、例えば、封印クリップ3の前板部16又は後板部17に対して幅方向の他側から当接する凸部等をハーネス側コネクタ2側に設けてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bと第3領域18cとの間にユニット側コネクタ7を配置し、また、封印クリップ3の前板部16をハイドロリックユニット1の基板ケース部5の後面5aに当接させ、また、封印クリップ3の後板部17をハイドロリックユニット1のコネクタ支持部6の後面37及びハーネス側コネクタ2の後面に当接させ、また、封印クリップ3の中板部18の第2領域18bをハイドロリックユニット1の補強リブ8とユニット側コネクタ7の外周壁7aとの間に配置することによって、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の前後方向への移動を規制したが、封印クリップ3の前後方向への移動を規制する方法は、これに限定されるものではない。封印クリップ3及びロック状態のハイドロリックユニット1等は、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の前後方向(上下方向と交叉する方向)への移動を規制する移動規制手段を備えていればよく、例えば、ロック状態のハイドロリックユニット1等に、幅方向に凹んだ状態で上下方向に延びる溝状のレールを設け、封印クリップ3に、前記レールを摺動可能な凸部を設け、前記レールと前記凸部との係合によって、ロック状態のハイドロリックユニット1等に対する封印クリップ3の前後方向への移動を規制してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、封印クリップ3の第1爪部(第2係止部)29を中板部18に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1爪部29を前板部16の上側領域16bに形成してもよく、或いは、当接板部15から上方へ延びるアーム部(中板部18及び前板部16とは異なるアーム部)を設け、係るアーム部に第1爪部29を形成してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、封印クリップ3に中板部18を設けたが、中板部18を設けなくてもよい。また、本実施形態では、前板部16を設けたが、前板部16を設けなくてもよい。また、本実施形態では、後板部17を設けたが、後板部17を設けなくてもよい。すなわち、封印クリップ3は、ロック状態のスライドロック12に下方から当接する当接部(本実施形態では当接板部15)と、ロック状態のハイドロリックユニット1等の第1係止部(本実施形態では補強リブ8)に係止される第2係止部(本実施形態では第1爪部29)とを少なくとも有していればよい。
【0054】
また、本実施形態では、幅方向から視た状態で略直角三角形状の薄板リブ19を封印クリップ3に設けたが、薄板リブ19の形状はこれに限定されるものではない。薄板リブ19は、当接板部15と前板部16の下側領域16aとの角部39に配置され、当接板部15及び前板部16の下側領域16aに一体的に設けられていればよい。
【0055】
また、本実施形態では、封印クリップ3に薄板リブ19を設けたが、薄板リブ19を設けなくてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、ハイドロリックユニット1に複数の補強リブ(第1係止部)8を設けたが、補強リブ8の数はこれに限定されるものではなく、1つの補強リブ(第1係止部)8であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、ハイドロリックユニット1の補強リブ8を、封印クリップ3の第1爪部(第2係止部)29を係止するための第1係止部として機能させたが、第1係止部はこれに限定されるものではなく、例えば、封印クリップ3の第1爪部29を係止する機能のみを有する係止部(第1係止部)をハイドロリックユニット1に設けてもよい。また、本実施形態では、第1係止部を、ロック状態のハイドロリックユニット1等のうちハイドロリックユニット1側に設けたが、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11側に設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、ハーネス側コネクタ2のコネクタ本体11に上下方向にスライド可能に支持されるスライドロック(ロック部材)12を設けたが、ロック部材はこれに限定されるものではなく、コネクタ本体11に上下方向(第1方向)に移動可能に支持されて、コネクタ本体11側のロック位置でユニット側コネクタ7に対するコネクタ本体11の取り外し方向への移動を規制可能であれば、他の構成であってもよい。例えば、コネクタ本体11の下面側に一体的に設けられて幅方向に延び、コネクタ本体11に片持ち状に弾性支持されるロック部材であってもよく、係るロック部材は、先端側がコネクタ本体11側のロック位置とロック位置よりも下方のロック解除位置との間を上下方向(第1方向)に傾動可能であり、コネクタ接続状態にすると前記先端側がユニット側コネクタ7側に設けられた係止部に係止されてロック状態となってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ユニット側コネクタ7に対して接続される外部接続コネクタを、ハーネス10の一端に設けられるハーネス側コネクタ2としたが、外部接続コネクタはこれに限定されるものではなく、例えば、所定の装置に固定的に設けられる外部接続コネクタであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ハーネス側コネクタ(外部接続コネクタ)2を、車両のブレーキ液圧を制御するためのハイドロリックユニット(電子制御ユニット)1のユニット側コネクタ7に接続したが、これに限定されるものではなく、外部接続コネクタを他の電子制御ユニットのユニット側コネクタ7に接続してもよい。
【0061】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示に係るコネクタ取り外し規制構造は、電子制御ユニットに接続した外部接続コネクタの取り外しを規制する構造に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:ハイドロリックユニット(電子制御ユニット)
2:ハーネス側コネクタ(外部接続コネクタ)
3:封印クリップ(封印部材)
7:ユニット側コネクタ
8:補強リブ(第1係止部)
11:コネクタ本体(外部コネクタ本体)
12:スライドロック(ロック部材)
15:当接板部(当接部)
16:前板部(延設部)
16a:前板部の下側領域(一側領域)
16b:前板部の上側領域(他側領域)
18:中板部(板部)
19:薄板リブ(リブ)
29:第1爪部(第2係止部)
33:易破断部