特開 2022-133984 ストップランプスイッチ取付構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022133984

(43)【公開日】2022-09-14

(54)【発明の名称】ストップランプスイッチ取付構造

(51)【国際特許分類】

   B60T 7/02 20060101AFI20220907BHJP

   G05G 1/30 20080401ALI20220907BHJP

   G05G 25/00 20060101ALI20220907BHJP

【ＦＩ】

B60T7/02 D

G05G1/30 E

G05G25/00 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021032979

(22)【出願日】2021-03-02

(71)【出願人】

【識別番号】000000170

【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100107238

【弁理士】

【氏名又は名称】米山 尚志

(74)【代理人】

【識別番号】100181434

【弁理士】

【氏名又は名称】松浦 正明

(72)【発明者】

【氏名】木村 悠帆

【テーマコード（参考）】

3D124

3J070

【Ｆターム（参考）】

3D124AA33

3D124BB01

3D124CC54

3D124CC55

3D124DD44

3D124DD54

3J070AA32

3J070BA51

3J070BA66

3J070BA81

3J070CA51

3J070CB02

3J070CB37

3J070DA01

3J070EA01

(57)【要約】

【課題】ストップランプスイッチをブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置可能にし、且つブレーキペダルを操作していない状態でブレーキレバー側のスイッチ操作部からストップランプスイッチへ入力する荷重を抑える。
【解決手段】ブレーキペダル１２は、ブレーキレバー１６と、ブレーキレバー１６に固定されるスイッチ操作部材１７とを有する。スイッチ操作部材１７のスイッチ操作板部２１は、レバー回転方向の上記他側へ突出する筒状凸部２２を有する。スイッチ取付ブラケット１３は、ストップランプスイッチ１４を支持する板状のスイッチ支持部２３を有する。初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１側の筒状凸部２２は、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接する。ブレーキ非操作状態では、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４は、スイッチ操作板部２１に当接する。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車幅方向に延びる回転軸を中心として車体側に回転可能に支持されるブレーキレバーと、前記ブレーキレバーに一体的に設けられるスイッチ操作部とを有し、操作されていない初期位置から前記回転軸を中心として回転方向の一側へ傾動可能なブレーキペダルと、
前記車体側に固定され、前記初期位置の前記ブレーキペダルの前記スイッチ操作部から前記回転方向の他側へ離間して前記スイッチ操作部に対して対向するスイッチ取付ブラケットと、
スイッチ本体と、前記スイッチ本体に軸方向に移動可能に支持されるプッシュロッドとを有し、前記プッシュロッドを前記スイッチ操作部側へ向けた状態で前記スイッチ取付ブラケットに取り付けられるストップランプスイッチと、を備え、
前記ブレーキペダルの前記スイッチ操作部及び前記スイッチ取付ブラケットの一方の部材は、前記ブレーキペダルが前記初期位置に配置された状態で他方の部材に向かって突出する凸部を有し、
前記ストップランプスイッチの前記プッシュロッドは、前記初期位置の前記ブレーキペダルの前記スイッチ操作部に対して前記回転方向の前記他側から当接し、
前記一方の部材の前記凸部は、前記ブレーキペダルが前記初期位置に配置された状態で、前記他方の部材に当接する
ことを特徴とするストップランプスイッチ取付構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、ストップランプスイッチ取付構造に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、ペダルレバー装置が記載されている。ブレーキペダルレバーの上端部には、ストッパラバーを車室内側の面に備えた略Ｌ字形のブラケットが固設してある。また、車体取付ブラケットにはストップランプスイッチがスイッチ取付ブラケットを介して取り付けてある。ストッパラバーには、ストップランプスイッチの操作子と当接する部分に凹部を形成してある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０００－２９３２４９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に記載のペダルレバー装置では、ブレーキペダルレバー（ブレーキレバー）側のストッパラバー（スイッチ操作部）に凹部を設けることによって、ブレーキペダルが操作されてストップランプが点灯するまでのブレーキレバーの移動量をスイッチ操作部の凹部の深さ分だけ減少させており、これにより、ストップランプスイッチを、ブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置可能としている。しかし、ブレーキペダルを操作していない状態で、ストップランプスイッチの操作子（プッシュロッド）がブレーキレバー側のスイッチ操作部に当接しているので、例えば、車両の振動等によってブレーキレバーが揺れた際に、ブレーキレバー側のスイッチ操作部からストップランプスイッチへ大きな荷重が入力する可能性があり、係る荷重によってストップランプスイッチがスイッチ取付ブラケット側から脱落してしまうおそれがある。

【0005】

そこで、本開示は、ストップランプスイッチをブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置可能であり、且つブレーキペダルを操作していない状態でブレーキレバー側のスイッチ操作部からストップランプスイッチへ入力する荷重を抑えることが可能なストップランプスイッチ取付構造の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決するため、本開示に係るストップランプスイッチ取付構造は、ブレーキペダルとスイッチ取付ブラケットとストップランプスイッチとを備える。ブレーキペダルは、車幅方向に延びる回転軸を中心として車体側に回転可能に支持されるブレーキレバーと、ブレーキレバーに一体的に設けられるスイッチ操作部とを有し、操作されていない初期位置から上記回転軸を中心として回転方向の一側へ傾動可能である。スイッチ取付ブラケットは、初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部から上記回転方向の他側へ離間してスイッチ操作部に対して対向する対向面部を有し、車体側に固定される。ストップランプスイッチは、スイッチ本体と、スイッチ本体に軸方向に移動可能に支持されるプッシュロッドとを有し、初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部の上記回転方向の上記他側に配置され、プッシュロッドをスイッチ操作部側へ向けた状態でスイッチ取付ブラケットに取り付けられる。ブレーキペダルのスイッチ操作部及びスイッチ取付ブラケットの対向面部の一方の部材は、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態で他方の部材に向かって突出する凸部を有する。ストップランプスイッチのプッシュロッドは、初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部に対して上記回転方向の上記他側から当接する。上記一方の部材の凸部は、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態で、上記他方の部材に当接する。

【0007】

上記構成では、ストップランプスイッチのプッシュロッドは、初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部に当接するので、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態（ブレーキペダルを操作していない状態）では、ブレーキペダルのスイッチ操作部からの荷重が、ストップランプスイッチのプッシュロッドに入力する。また、ブレーキペダルのスイッチ操作部及びスイッチ取付ブラケットの対向面部の一方の部材は、他方の部材に向かって突出する凸部を有し、上記一方の部材の凸部は、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態で、上記他方の部材に当接する。このため、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態では、ブレーキペダルのスイッチ操作部からの荷重が、凸部を介してスイッチ取付ブラケットの対向面部に入力する。このように、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態では、ブレーキペダルのスイッチ操作部からの荷重が、ストップランプスイッチのみならず、スイッチ取付ブラケットにも入力するので、ブレーキレバー側のスイッチ操作部からストップランプスイッチへ入力する荷重を抑えることができる。

【0008】

また、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態で、ブレーキペダルのスイッチ操作部及びスイッチ取付ブラケットの対向面部の上記一方の部材の凸部が、上記他方の部材に当接するので、ブレーキペダルが操作されてからストップランプが点灯するまでのブレーキレバーの移動量を凸部の突出量によって設定することができる。このため、例えば、ストップランプスイッチのプッシュロッドがスイッチ本体側から所望の長さだけ予め突出した状態で初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部に当接するように凸部の突出量を設定すると、ブレーキペダルが操作されてストップランプが点灯するまでのブレーキレバーの移動量を、プッシュロッドが予め突出している分だけ短くすることができるので、ストップランプスイッチをブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置することができる。

【発明の効果】

【0009】

本開示によれば、ストップランプスイッチをブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置可能であり、且つブレーキペダルを操作していない状態でブレーキレバー側のスイッチ操作部からストップランプスイッチへ入力する荷重を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明の一実施形態に係るストップランプスイッチ取付構造を適用した車両の初期位置のブレーキペダル周辺の側面図である。

【図2】図１の後方からの斜視図である。

【図3】ブレーキペダルの斜視図である。

【図4】ブレーキペダルの側面図である。

【図5】図１のV部分の概略図である。

【図6】図５のVI－VI矢視断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、ＦＲは車両の前方を、ＵＰは上方を、ＩＮは車幅方向内側をそれぞれ示し、ＣＬはブレーキペダルの回転軸（軸心）を示す。また、各図の白抜き矢印は、ブレーキペダルの回転方向（レバー回転方向）の一側を示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。

【0012】

図１に示すように、本実施形態に係るストップランプスイッチ取付構造を適用する車両は、車両を制動するためのブレーキペダル装置１０を備える。ブレーキペダル装置１０は、車室２の前下方に配置され、車室２の下方を区画する車体側のフロアパネル（図示省略）及び車室２の前方で起立する車体側のダッシュパネル（図示省略）に支持される。ブレーキペダル装置１０は、フロアパネル及びダッシュパネル側（車体側）に固定されるブレーキペダルブラケット１１と、ブレーキペダルブラケット１１に回転可能に支持されるブレーキペダル１２と、ブレーキペダルブラケット１１に固定されるスイッチ取付ブラケット１３と、スイッチ取付ブラケット１３に取り付けられるストップランプスイッチ１４とを備える。なお、本発明における「車体側」とは、傾動するブレーキペダル１２を支持している側（ブレーキペダル１２に対して車両の傾動しない側）を意味する。

【0013】

図１及び図２に示すように、ブレーキペダルブラケット１１は、ブレーキペダル１２を車体側に取り付けるためのブラケットであって、フロアパネル（図示省略）側から起立してブレーキブースター３を支持する第１板部１１ａと、第１板部１１ａから前方へ延びてブレーキペダル１２を回転可能に支持する左右の第２板部１１ｂ（図１には、左側の第２板部１１ｂの図示を省略している。）とを有する。第１板部１１ａは、前後方向と交叉する板部であって、第１板部１１ａの上部の後面側には、ブレーキブースター３が固定され、第１板部１１ａの下部には、ブレーキペダル１２が挿通する開口１５が形成される。左右の第２板部１１ｂは、車幅方向と交叉する板部であって、第１板部１１ａの前面側から前方へ延び、車幅方向に互いに離間する。左右の第２板部１１ｂは、車幅方向に延びる回転軸ＣＬを中心としてブレーキペダル１２を回転可能に支持する。

【0014】

図１～図４に示すように、ブレーキペダル１２は、前上方から後下方へ延びるブレーキレバー１６と、ブレーキレバー１６に固定されるスイッチ操作部材１７とを有し、車両を制動する際に乗員によって足で操作される。

【0015】

ブレーキレバー１６は、車幅方向と交叉する板状に形成され、前上方から後下方へ向かって延びて、ブレーキペダルブラケット１１の開口１５を挿通する。ブレーキレバー１６の下端部は、ブレーキペダルブラケット１１の開口１５よりも後方に位置する。ブレーキレバー１６の下端部には、乗員によって足で操作されるペダルパッド１８が固定される。ブレーキレバー１６の上端部は、ブレーキペダルブラケット１１の開口１５よりも前方に位置する。ブレーキレバー１６の上端部には、ブレーキブースター３から前方へ延びるオペレーティングロッド１９の前端部が連結される。ブレーキレバー１６の上部（ブレーキペダルブラケット１１の開口１５よりも前方、且つオペレーティングロッド１９との連結部分よりも下方）には、回転軸ＣＬを中心としてブレーキペダルブラケット１１の左右の第２板部１１ｂに回転可能に支持される被支持部２０が設けられる。ブレーキレバー１６は、初期位置（図１に図示している位置）から回転軸ＣＬを中心とした回転方向（以下、「レバー回転方向」という。）の一側（図１に白抜き矢印で示す方向。）へ傾動可能となっている。ブレーキレバー１６は、レバー回転方向の他側（図１に示す白抜き矢印とは反対方向。）へ向かって、スプリング等の付勢部材（図示省略）によって付勢されている。レバー回転方向の上記他側へのブレーキレバー１６の傾動は、ブレーキブースター３のオペレーティングロッド１９によって初期位置（図１に図示している位置）までに規制される。すなわち、ペダルパッド１８が踏まれず、ブレーキレバー１６が操作されていない状態（以下、「ブレーキ非操作状態」という。）では、ブレーキレバー１６は、上記付勢部材の付勢力及びブレーキブースター３のオペレーティングロッド１９によって初期位置に保持される。車両の制動時にペダルパッド１８が前下方へ踏まれて、ブレーキレバー１６が操作されると、ブレーキレバー１６は、上記付勢部材の付勢力に抗して、初期位置からレバー回転方向の上記一側へ傾動する。

【0016】

図３～図５に示すように、スイッチ操作部材１７は、ブレーキレバー１６の傾動に伴ってストップランプスイッチ１４を操作（オンまたはオフ）するための部材であって、ブレーキレバー１６のうち被支持部２０よりも下方の領域の側面１６ａ（本実施形態では、車幅方向外側面１６ａ）に固定される。スイッチ操作部材１７は、ブレーキレバー１６の側面１６ａに固定される固定板部２９と、ストップランプスイッチ１４を操作可能なスイッチ操作板部（スイッチ操作部）２１とを一体的に有する。固定板部２９は、車幅方向と交叉する板状に形成されて、車幅方向の側面視においてブレーキレバー１６の延設方向と交叉する方向（初期位置では後上方から前下方）に延びる。すなわち、固定板部２９は、ブレーキレバー１６のレバー回転方向と略同じ方向（以下、単に「レバー回転方向」という。）に延びる。本実施形態では、固定板部２９は、初期位置でのブレーキレバー１６の前側の端縁３０よりも前方へ突出する。スイッチ操作板部２１は、固定板部２９の延設方向（初期位置では後上方から前下方）と交叉する板状に形成され、固定板部２９の一端部（初期位置での前下方側の端部）から曲折して車幅方向外側へ延びる。スイッチ操作板部２１のレバー回転方向の上記他側の操作面２１ａは、ストップランプスイッチ１４を操作可能な面である。スイッチ操作板部２１は、操作面２１ａからレバー回転方向の上記他側へ突出する筒状凸部（凸部）２２を有する。筒状凸部２２は、レバー回転方向に延びる円筒状に形成され、スイッチ操作板部２１の操作面２１ａに固定される。

【0017】

図１、図２、及び図５に示すように、スイッチ取付ブラケット１３は、ストップランプスイッチ１４を車体側に固定するためのブラケットであって、ブレーキペダルブラケット１１に固定される。すなわち、スイッチ取付ブラケット１３は、ブレーキペダルブラケット１１を介して車体側に固定される。スイッチ取付ブラケット１３は、ストップランプスイッチ１４を支持する板状のスイッチ支持部（対向面部）２３を有する。スイッチ取付ブラケット１３をブレーキペダルブラケット１１に固定する際には、スイッチ支持部２３を初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１の筒状凸部２２の先端（レバー回転方向の上記他側の端）にレバー回転方向の上記他側から当接させた状態で（図５及び図６参照）、スイッチ取付ブラケット１３をブレーキペダルブラケット１１に固定する。すなわち、スイッチ操作板部２１側の筒状凸部２２は、ブレーキ非操作状態でスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に向かって突出し、スイッチ支持部２３に当接する。スイッチ支持部２３は、ブレーキ非操作状態で、ブレーキレバー１６の車幅方向外側、且つスイッチ操作部材１７のスイッチ操作板部２１のレバー回転方向の上記他側に配置される。スイッチ支持部２３は、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１からレバー回転方向の上記他側に離間し、スイッチ操作板部２１の操作面２１ａに対向する。スイッチ支持部２３には、ストップランプスイッチ１４の後述するプッシュロッド２４側を挿通可能な開口２５が形成される。スイッチ支持部２３の開口２５は、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１の筒状凸部２２の径方向内側の空間に連通する位置に配置される。

【0018】

図１、図５、及び図６に示すように、ストップランプスイッチ１４は、車両のストップランプ（図示省略）を点灯または消灯可能なスイッチであって、スイッチ本体２６と、スイッチ本体２６から突出した状態でスイッチ本体２６に軸方向（プッシュロッド２４の軸方向）に移動可能に支持されるプッシュロッド２４とを有する。ストップランプスイッチ１４は、プッシュロッド２４をレバー回転方向の上記一側へ向けた状態で、スイッチ取付ブラケット１３（本実施形態では、スイッチ支持部２３）に対してレバー回転方向の上記他側から取り付けられる。スイッチ本体２６には、レバー回転方向の上記一側へ突出してプッシュロッド２４を支持するロッド支持部２７が設けられる。ロッド支持部２７は、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３の開口２５に挿入可能な外径を有する筒状に形成される。スイッチ本体２６は、ロッド支持部２７をスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３の開口２５にレバー回転方向の上記他側から挿入した状態でスイッチ取付ブラケット１３に固定される。プッシュロッド２４は、スイッチ本体２６のロッド支持部２７から突出する方向に付勢された状態でスイッチ本体２６のロッド支持部２７に軸方向に移動可能に支持される。ストップランプスイッチ１４は、プッシュロッド２４をスイッチ本体２６側へ最も深く押し込んだ状態から、プッシュロッド２４がスイッチ本体２６に対して所定の距離だけ突出方向へ移動するまでの間は、車両のストップランプを消灯させたオフ状態となっており、プッシュロッド２４がスイッチ本体２６に対して上記所定の距離だけ突出方向へ移動すると、車両のストップランプを点灯させるオン状態となる。すなわち、ストップランプスイッチ１４には、プッシュロッド２４をスイッチ本体２６側へ最も深く押し込んだ状態から、プッシュロッド２４がスイッチ本体２６に対して突出方向へ移動してオン状態になるまでの間に、遊びが設けられる。

【0019】

ストップランプスイッチ１４をスイッチ取付ブラケット１３に取り付ける際には、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４及びロッド支持部２７を、車体側に固定したスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３の開口２５にレバー回転方向の上記他側から上記一側へ挿通させる。そして、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に対するストップランプスイッチ１４のレバー回転方向の上記一側への移動が規制された状態で、スイッチ本体２６をスイッチ支持部２３に取り付ける。本実施形態では、ストップランプスイッチ１４のロッド支持部２７よりもレバー回転方向の上記他側の大径部２８がスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接することによって、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に対するストップランプスイッチ１４のレバー回転方向の上記一側への移動が規制された状態で、スイッチ本体２６をスイッチ支持部２３に取り付ける。ストップランプスイッチ１４をスイッチ取付ブラケット１３に取り付けた状態では、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４及びロッド支持部２７は、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３の開口２５からレバー回転方向の上記一側へ突出している。ブレーキ非操作状態では、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４及びロッド支持部２７は、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１の筒状凸部２２の径方向内側の空間に挿入され、プッシュロッド２４は、筒状凸部２２の径方向内側のスイッチ操作板部２１の操作面２１ａに当接して、スイッチ操作板部２１によってスイッチ本体２６側へ押し込まれてオフ状態となっている（図６参照）。なお、本実施形態では、車体側に固定したスイッチ取付ブラケット１３に対してストップランプスイッチ１４を取り付けたが、車体側に固定する前のスイッチ取付ブラケット１３にストップランプスイッチ１４を取り付けて、その後、スイッチ取付ブラケット１３を車体側に固定してもよい。

【0020】

ブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７の筒状凸部２２の長さ（スイッチ操作板部２１の操作面２１ａからの突出量）は、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ１４がオフ状態になっており、且つブレーキペダル１２が操作されてレバー回転方向の上記一側へ傾動する際に、ブレーキペダル１２がブレーキ作動開始位置（車両のブレーキが作動し始める位置）に到達するよりも前にストップランプスイッチ１４がオン状態になる（ストップランプを点灯させる）長さに設定される。本実施形態では、ブレーキ非操作状態でのストップランプスイッチ１４は、プッシュロッド２４がスイッチ本体２６側からレバー回転方向の上記一側へ僅かに突出した状態でオフ状態になっている。

【0021】

上記のように構成されたブレーキペダル装置１０では、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４は、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１の操作面２１ａに当接するので（図６参照）、ブレーキ非操作状態（ブレーキペダル１２が初期位置に配置された状態）では、ブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１からの荷重が、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４に入力する。また、ブレーキ非操作状態では、ブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７の筒状凸部２２がスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接する。このため、ブレーキ非操作状態では、ブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１からの荷重が、筒状凸部２２を介してスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に入力する。このように、ブレーキ非操作状態では、ブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１からの荷重が、ストップランプスイッチ１４のみならず、スイッチ取付ブラケット１３にも入力するので、ブレーキ非操作状態でブレーキレバー１６側のスイッチ操作板部２１からストップランプスイッチ１４へ入力する荷重を抑えることができる。

【0022】

また、ブレーキ非操作状態で、ブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７の筒状凸部２２がスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接するので、ブレーキ非操作状態でのブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７とスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３との間の距離は、筒状凸部２２の長さ（スイッチ操作部材１７からの筒状凸部２２の突出量）となる。ブレーキ非操作状態でのブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７とスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３との間の距離は、ブレーキ非操作状態でのストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４の突出量（スイッチ本体２６側からの突出量）を規定する。ブレーキ非操作状態でのストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４の突出量は、初期位置のブレーキペダル１２が操作されてからストップランプスイッチ１４がオン状態になる（ストップランプが点灯する）までのブレーキレバー１６の移動量を規定する。すなわち、初期位置のブレーキペダル１２が操作されてからストップランプスイッチ１４がオン状態になるまでのブレーキレバー１６の移動量を、ブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７の筒状凸部２２の長さによって設定することができる。このため、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４がスイッチ本体２６側から所望の長さだけ予め突出した状態となるように、筒状凸部２２の長さを設定することによって、初期位置のブレーキペダル１２が操作されてからストップランプスイッチ１４がオン状態になるまでのブレーキレバー１６の移動量を上記所望の長さ分だけ短くすることができるので、ストップランプスイッチ１４をブレーキレバー１６の回転軸ＣＬに近い位置に配置することができる。

【0023】

従って、本実施形態によれば、ストップランプスイッチ１４をブレーキレバー１６の回転軸ＣＬに近い位置に配置可能であり、且つブレーキ非操作状態でブレーキレバー１６側のスイッチ操作部材１７からストップランプスイッチ１４へ入力する荷重を抑えることができる。

【0024】

また、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３を初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作板部２１の筒状凸部２２の先端に当接させた状態で、スイッチ取付ブラケット１３をブレーキペダルブラケット１１に固定する。このため、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７に対するスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３のレバー回転方向の取付誤差を抑えることができる。

【0025】

また、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７に対するスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３のレバー回転方向の取付誤差を抑えることができるので、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に対してストップランプスイッチ１４をレバー回転方向の上記一側へ所定の突出量で取り付けるだけで、初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７に対するストップランプスイッチ１４のレバー回転方向の取付誤差を抑えることができる。このため、ストップランプスイッチ１４の取付作業を簡略化することができる。

【0026】

また、スイッチ操作部材１７のスイッチ操作板部２１に設けられる凸部が筒状凸部（凸部）２２であるので、例えば、パイプ部材を短く切断することによって簡単に複数の筒状凸部２２を形成することができる。

【0027】

また、スイッチ操作板部２１に設けられる筒状凸部２２が筒状であるので、例えば、棒状や板状の凸部とは異なり、スイッチ操作板部２１の操作面２１ａ上での筒状凸部２２の安定性がよく、筒状凸部２２を操作面２１ａに固定する際の作業性が向上する。

【0028】

なお、本実施形態では、スイッチ操作板部（スイッチ操作部）２１を有するスイッチ操作部材１７を、ブレーキレバー１６に固定することによって、スイッチ操作部をブレーキレバー１６に一体的に設けたが、これに限定されるものではなく、スイッチ操作部をブレーキレバー１６に一体成形してもよい。

【0029】

また、本実施形態では、スイッチ取付ブラケット１３をブレーキペダルブラケット１１に固定したが、これに限定されるものではなく、ブレーキペダルブラケット１１を介することなくスイッチ取付ブラケット１３を車体側（例えば、フロアパネル及びダッシュパネル側）に固定してもよい。

【0030】

また、本実施形態では、ストップランプスイッチ１４をスイッチ取付ブラケット１３に取り付ける際に、ストップランプスイッチ１４の大径部２８がスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接することによって、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に対するストップランプスイッチ１４のレバー回転方向の上記一側への移動が規制された状態で、スイッチ本体２６をスイッチ支持部２３に取り付けたが、これに限定されるものではない。例えば、ストップランプスイッチ１４をスイッチ取付ブラケット１３に取り付ける際に、ブレーキペダル１２を初期位置に配置し、ストップランプスイッチ１４のプッシュロッド２４を初期位置のブレーキペダル１２のスイッチ操作部材１７のスイッチ操作板部２１に当接させた状態でスイッチ本体２６をレバー回転方向の上記一側へ移動させて、ストップランプスイッチ１４の大径部２８がスイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部２３に当接する前にプッシュロッド２４がスイッチ本体２６側へ最も深くまで押し込まれることによって、レバー回転方向の上記一側へのストップランプスイッチ１４の移動が規制された状態で、スイッチ本体２６をスイッチ支持部２３に取り付けてもよい。

【0031】

また、本実施形態では、スイッチ操作部材１７のスイッチ操作板部２１に設けられる筒状凸部（凸部）２２を、筒状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、棒状の凸部、或いは板状の凸部であってもよい。

【0032】

また、本実施形態では、ブレーキペダル１２側のスイッチ操作板部（スイッチ操作部）２１に筒状凸部（凸部）２２を設けたが、これに限定されるものではなく、スイッチ取付ブラケット１３のスイッチ支持部（対向面部）２３に、スイッチ操作板部２１側へ突出する凸部を設けてもよい。

【0033】

また、本実施形態では、スイッチ操作板部（スイッチ操作部）２１を有するスイッチ操作部材１７を、ブレーキレバー１６のうち被支持部２０よりも下方の領域に設けたが、ブレーキレバー１６のうち被支持部２０よりも上方の領域に設けてもよい。

【0034】

以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。

【産業上の利用可能性】

【0035】

本開示に係るストップランプスイッチ取付構造は、様々な車両のブレーキペダル装置に広く適用することができる。

【符号の説明】

【0036】

１０：ブレーキペダル装置
１１：ブレーキペダルブラケット
１２：ブレーキペダル
１３：スイッチ取付ブラケット
１４：ストップランプスイッチ
１６：ブレーキレバー
１７：スイッチ操作部材
２１：スイッチ操作板部（スイッチ操作部）
２２：筒状凸部（凸部）
２３：スイッチ支持部（対向面部）
２４：プッシュロッド
２６：スイッチ本体

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】