(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133985
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ブレーキペダル装置
(51)【国際特許分類】
B60T 7/06 20060101AFI20220907BHJP
B60T 7/02 20060101ALI20220907BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20220907BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B60T7/06 B
B60T7/02 D
G05G1/30 E
G05G25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032981
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠帆
【テーマコード(参考)】
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D124AA34
3D124BB01
3D124DD29
3D124DD44
3D124DD54
3J070AA32
3J070BA11
3J070BA51
3J070CA51
3J070CB02
3J070CB37
3J070DA01
3J070EA01
(57)【要約】
【課題】ストップランプスイッチのレイアウトの自由度を向上させる。
【解決手段】ブレーキペダル12は、ブレーキレバー16と、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aに設けられるスイッチ操作部17とを有する。スイッチ操作部17は、上段部17aと、上段部17aから上記レバー回転方向他側且つ車幅方向内側へ延びるスロープ部17bとを有する。ブレーキ非操作状態では、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17の上段部17aに当接する。ブレーキペダル12が操作されて初期位置からレバー回転方向の上記一側へ傾動すると、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、スイッチ操作部17に対して相対的にレバー回転方向の上記他側へスロープ部17bに沿って移動し、係る移動に伴ってスイッチ本体23側から車幅方向内側へ徐々に突出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びる回転軸を中心として車体側に回転自在に支持されるブレーキレバーと、前記ブレーキレバーの車幅方向一側の側面に設けられるスイッチ操作部とを有し、操作されていない初期位置から前記回転軸を中心として回転方向一側へ傾動可能なブレーキペダルと、
車体側に固定されるスイッチ本体と、前記スイッチ本体から車幅方向他側へ突出し前記車幅方向他側へ付勢された状態で前記スイッチ本体に車幅方向に移動可能に支持されるプッシュロッドとを有し、前記初期位置の前記ブレーキペダルの前記スイッチ操作部の前記車幅方向一側に配置されるストップランプスイッチと、を備え、
前記ブレーキペダルの前記スイッチ操作部は、前記ブレーキペダルが前記初期位置に配置された状態で前記ストップランプスイッチの前記プッシュロッドに当接する初期位置ロッド当接部と、前記初期位置ロッド当接部から連続して前記ブレーキレバーの回転方向他側且つ前記車幅方向他側へ延びるスロープ部とを有し、
前記ストップランプスイッチの前記プッシュロッドは、前記ブレーキペダルが前記初期位置に配置された状態では、前記スイッチ操作部の前記初期位置ロッド当接部との当接によって前記車幅方向一側の前記スイッチ本体側へ押し込まれた状態に保持され、前記ブレーキペダルが前記初期位置から前記回転方向一側へ傾動すると、前記スイッチ操作部に対して相対的に前記初期位置ロッド当接部から前記回転方向他側の前記スロープ部側へ移動し、前記スロープ部に沿った前記回転方向他側への移動に伴って前記スイッチ本体に対して前記車幅方向他側へ徐々に移動する
ことを特徴とするブレーキペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレーキペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動制動制御装置用ブレーキペダルが記載されている。自動制動制御装置用ブレーキペダルは、車体側の取付ブラケット間の支持軸に回転可能に支持された吊り下げ式のブレーキペダル本体と、ブレーキペダル本体への踏力の導入を検出するブレーキスイッチとを有している。ブレーキペダル本体は、運転者の踏力が導入されない状態においては、リターンスプリングの付勢力により初期位置に配置されており、運転者の踏力が導入されると支持軸を中心に回転し初期位置から前方に揺動する。ブレーキスイッチは、ストップランプを点灯させる際に用いられるものであって、ブレーキペダル本体が初期位置にあるときにこのブレーキペダル本体に当接し押圧されてオフされるとともに、ブレーキペダル本体が初期位置から前方に揺動し押圧を解除するとオンされる。なお、同公報では、ブレーキスイッチが、ブレーキペダル本体の後方に配置されて、ブレーキペダル本体側から後方へ突出している状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のブレーキペダルでは、ブレーキスイッチ(ストップランプスイッチ)が、ブレーキペダル本体(ブレーキレバー)よりも後方に配置されて、且つブレーキレバー側から後方へ突出しているので、ストップランプスイッチを、ブレーキレバーの低い位置に配置すると、ブレーキペダルを操作する際に足に干渉してしまうおそれがある。一方、ストップランプスイッチをブレーキレバーの高い位置に配置すると、ストップランプスイッチとブレーキレバーの回転軸との距離が短くなり、ブレーキペダルが操作されてからストップランプが点灯するまでのブレーキレバーの移動量が短くなるので、ブレーキ作動前にストップランプを点灯させることができなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、ストップランプスイッチのレイアウトの自由度を向上させることが可能なブレーキペダル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係るブレーキペダル装置は、ブレーキペダルとストップランプスイッチとを備える。ブレーキペダルは、車幅方向に延びる回転軸を中心として車体側に回転自在に支持されるブレーキレバーと、ブレーキレバーの車幅方向一側の側面に設けられるスイッチ操作部とを有し、操作されていない初期位置から上記回転軸を中心として回転方向一側へ傾動可能である。ストップランプスイッチは、車体側に固定されるスイッチ本体と、スイッチ本体から車幅方向他側へ突出し上記車幅方向他側へ付勢された状態でスイッチ本体に車幅方向に移動可能に支持されるプッシュロッドとを有し、初期位置のブレーキペダルのスイッチ操作部の上記車幅方向一側に配置される。ブレーキペダルのスイッチ操作部は、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態でストップランプスイッチのプッシュロッドに当接する初期位置ロッド当接部と、初期位置ロッド当接部から連続してブレーキレバーの回転方向他側且つ上記車幅方向他側へ延びるスロープ部とを有する。ストップランプスイッチのプッシュロッドは、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態では、スイッチ操作部の初期位置ロッド当接部との当接によって上記車幅方向一側のスイッチ本体側へ押し込まれた状態に保持され、ブレーキペダルが初期位置から上記回転方向一側へ傾動すると、スイッチ操作部に対して相対的に初期位置ロッド当接部から上記回転方向他側のスロープ部側へ移動し、スロープ部に沿った上記回転方向他側への移動に伴ってスイッチ本体に対して上記車幅方向他側へ徐々に移動する。
【0007】
上記構成では、ストップランプスイッチは、車体側に固定されるスイッチ本体と、スイッチ本体から上記車幅方向他側へ突出しスイッチ本体に車幅方向に移動可能に支持されるプッシュロッドとを有する。このように、ストップランプスイッチのプッシュロッドがスイッチ本体に対して車幅方向に移動可能であり、プッシュロッドとスイッチ本体とが車幅方向に並ぶ構造であるので、前後方向に並ぶ構造である場合とは異なり、ストップランプスイッチの前後方向の長さを抑えることができる。このため、ストップランプスイッチの後方への突出量を抑えることができるので、例えば、ストップランプスイッチをブレーキペダルのブレーキレバーに対して低い位置に配置したとしても、ブレーキペダルを操作する際に足とストップランプスイッチとの干渉を抑えることができる。
【0008】
また、ブレーキペダルのスイッチ操作部が、ブレーキレバーの上記車幅方向一側の側面に設けられる。そして、ストップランプスイッチのプッシュロッドは、ブレーキペダルが初期位置に配置された状態では、スイッチ操作部の初期位置ロッド当接部との当接によって上記車幅方向一側のスイッチ本体側へ押し込まれた状態に保持される。ブレーキペダルが初期位置から上記回転方向一側へ傾動すると、ストップランプスイッチのプッシュロッドは、スイッチ操作部に対して相対的に初期位置ロッド当接部から上記回転方向他側のスロープ部側へ移動し、スロープ部に沿った上記回転方向他側への移動に伴ってスイッチ本体に対して上記車幅方向他側へ徐々に移動する。このように、ストップランプスイッチのプッシュロッドは、ブレーキレバーの上記車幅方向一側の側面に設けられたスイッチ操作部によって操作されるので、ストップランプの点灯タイミングをスロープ部の傾斜角度やストップランプスイッチを配置する車幅位置によって調整することができる。このため、例えば、ストップランプスイッチをブレーキレバーの回転軸に近い位置に配置することによって、初期位置からストップランプを点灯させる位置までのブレーキレバーの移動量が短くなったとしても、スロープ部の傾斜角度やストップランプスイッチを配置する車幅位置を適切に設定することによって、ストップランプをブレーキ作動前に点灯させることができる。
【0009】
従って、ストップランプスイッチのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ストップランプスイッチのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブレーキペダル装置の側面図である。
【
図4】
図3に対応する断面図であって、ブレーキペダルが傾動した状態を示す。
【
図5】
図3のブレーキレバーに対応する断面図であって、ブレーキレバーのスイッチ操作部の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示し、CLはブレーキペダルの回転軸(軸心)を示す。また、各図の白抜き矢印は、ブレーキペダルの回転方向一側を示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るブレーキペダル装置10は、車室2の前下方に配置されて、車室2の下方を区画する車体側のフロアパネル(図示省略)及び車室2の前方で起立する車体側のダッシュパネル(図示省略)に支持される。ブレーキペダル装置10は、フロアパネル及びダッシュパネル側(車体側)に固定されるブレーキペダルブラケット11と、ブレーキペダルブラケット11に回転可能に支持されるブレーキペダル12と、ブレーキペダルブラケット11に固定されるスイッチ取付ブラケット13と、スイッチ取付ブラケット13に取り付けられるストップランプスイッチ14とを備える。なお、本発明における「車体側」とは、傾動するブレーキペダル12を支持している側(ブレーキペダル12に対して車両の傾動しない側)を意味する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、ブレーキペダルブラケット11は、ブレーキペダル12を車体側に取り付けるためのブラケットであって、フロアパネル(図示省略)側から起立してブレーキブースター3を支持する第1板部11aと、第1板部11aから前方へ延びてブレーキペダル12を回転可能に支持する左右の第2板部11b(
図1には、左側の第2板部11bの図示を省略している。)とを有する。第1板部11aは、前後方向と交叉する板部であって、第1板部11aの上部の後面側には、ブレーキブースター3が固定され、第1板部11aの下部には、ブレーキペダル12が挿通する開口15が形成される。左右の第2板部11bは、車幅方向と交叉する板部であって、第1板部11aの前面側から前方へ延び、車幅方向に互いに離間する。左右の第2板部11bは、車幅方向に延びる回転軸CLを中心としてブレーキペダル12を回転可能に支持する。
【0015】
図1~
図4に示すように、ブレーキペダル12は、前上方から後下方へ向かって延びるブレーキレバー16と、ブレーキレバー16に一体成形されるスイッチ操作部17とを有し、車両を制動する際に乗員によって足で操作される。
【0016】
ブレーキレバー16は、車幅方向と交叉する板状に形成され、前上方から後下方へ向かって延びて、ブレーキペダルブラケット11の開口15を挿通する。ブレーキレバー16の下端部は、ブレーキペダルブラケット11の開口15よりも後方に位置する。ブレーキレバー16の下端部には、乗員によって足で操作されるペダルパッド18が固定される。ブレーキレバー16の上端部は、ブレーキペダルブラケット11の開口15よりも前方に位置する。ブレーキレバー16の上端部には、ブレーキブースター3から前方へ延びるオペレーティングロッド19の前端部が連結される。ブレーキレバー16の上部(ブレーキペダルブラケット11の開口15よりも前方、且つオペレーティングロッド19との連結部分よりも下方)には、回転軸CLを中心としてブレーキペダルブラケット11の左右の第2板部11bに回転可能に支持される被支持部20が設けられる。すなわち、ブレーキレバー16は、ブレーキペダルブラケット11を介して車体側に回転軸CLを中心として回転自在に支持される。ブレーキレバー16は、初期位置(
図1に図示している位置)から回転軸CLを中心とした回転方向一側(以下、「レバー回転方向一側」という。
図1に白抜き矢印で示す方向。)へ傾動可能となっている。ブレーキレバー16は、回転軸CLを中心とした回転方向他側(以下、「レバー回転方向他側」という。
図1に示す白抜き矢印とは反対方向。)へ向かって、スプリング等の付勢部材(図示省略)によって付勢されている。上記レバー回転方向他側へのブレーキレバー16の傾動は、ブレーキブースター3のオペレーティングロッド19によって初期位置(
図1に図示している位置)までに規制される。すなわち、ペダルパッド18が踏まれず、ブレーキレバー16が操作されていない状態(以下、「ブレーキ非操作状態」という。)では、ブレーキレバー16は、上記付勢部材の付勢力及びブレーキブースター3のオペレーティングロッド19によって初期位置に保持される。車両の制動時にペダルパッド18が前下方へ踏まれて、ブレーキレバー16が操作されると、ブレーキレバー16は、上記付勢部材の付勢力に抗して、初期位置から上記レバー回転方向一側へ傾動する。
【0017】
スイッチ操作部17は、ストップランプスイッチ14に当接可能であり、ブレーキレバー16の傾動に伴ってストップランプスイッチ14を操作(オンまたはオフ)するための部分であって、ブレーキレバー16の被支持部20よりも下方、且つブレーキレバー16の車幅方向外側面(車幅方向外側(車幅方向一側)の側面)16aが回転軸CLと直交している領域に設けられる。スイッチ操作部17は、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aのうち、ブレーキレバー16が傾動する際にストップランプスイッチ14の後述するプッシュロッド21の車幅方向内側を通過する領域に設けられ、係る領域から車幅方向外側へ突出する。スイッチ操作部17は、ブレーキレバー16の上記レバー回転方向一側の端縁(本実施形態では、前下端縁16b)側に配置される上段部(初期位置ロッド当接部)17aと、上段部17aから上記レバー回転方向他側且つ車幅方向内側(車幅方向他側)へ延びるスロープ部17bとを有する。上段部17aの車幅方向外側面は、回転軸CLと直交する。すなわち、上段部17aの車幅方向外側面は、スイッチ操作部17が設けられているブレーキレバー16の車幅方向外側面16aと略平行である。スロープ部17bは、上段部17aの車幅方向外側面からレバー回転方向他側且つ車幅方向内側のブレーキレバー16の車幅方向外側面16aに向かって平面状に延びる。すなわち、スロープ部17bのレバー回転方向他側に位置するブレーキレバー16の車幅方向外側面16aは、上段部17aに対する下段側となる。
【0018】
スイッチ取付ブラケット13は、ストップランプスイッチ14を車体側に固定するためのブラケットであって、ブレーキペダルブラケット11に固定される。すなわち、スイッチ取付ブラケット13は、ブレーキペダルブラケット11を介して車体側に固定される。スイッチ取付ブラケット13は、ストップランプスイッチ14を支持するスイッチ支持部22を有する。スイッチ支持部22は、ブレーキ非操作状態で、ブレーキレバー16のスイッチ操作部17から車幅方向外側に離間してスイッチ操作部17に対向する位置に配置される。スイッチ支持部22には、ストップランプスイッチ14の後述するプッシュロッド21側を挿通可能な開口24(
図3参照)が形成される。スイッチ支持部22の開口24は、初期位置のブレーキレバー16のスイッチ操作部17の上段部17aの車幅方向外側に配置される(
図3参照)。
【0019】
ストップランプスイッチ14は、車両のストップランプ(図示省略)を点灯または消灯可能なスイッチであって、スイッチ本体23と、スイッチ本体23から突出した状態でスイッチ本体23に軸方向(プッシュロッド21の軸方向)に移動可能に支持されるプッシュロッド21とを有する。ストップランプスイッチ14は、プッシュロッド21を車幅方向内側へ向けた状態で、スイッチ取付ブラケット13のスイッチ支持部22に対して車幅方向外側から取り付けられる。すなわち、プッシュロッド21は、スイッチ本体23から車幅方向内側へ突出する。プッシュロッド21側をスイッチ支持部22の開口24に車幅方向外側から挿入した状態で、スイッチ本体23は、スイッチ取付ブラケット13のスイッチ支持部22に固定される。プッシュロッド21は、スイッチ本体23から突出する方向(車幅方向内側)へ付勢部材(図示省略)によって付勢された状態で、スイッチ本体23に軸方向に移動可能に支持される。ストップランプスイッチ14は、プッシュロッド21をスイッチ本体23側へ最も深く押し込んだ状態から、プッシュロッド21がスイッチ本体23に対して所定の距離だけ車幅方向外側へ移動するまでの間は、車両のストップランプを消灯させたオフ状態となっており、プッシュロッド21がスイッチ本体23に対して上記所定の距離だけ車幅方向外側へ移動すると、車両のストップランプを点灯させるオン状態となる。すなわち、ストップランプスイッチ14には、プッシュロッド21をスイッチ本体23側へ最も深く押し込んだ状態から、プッシュロッド21がスイッチ本体23に対して車幅方向外側へ移動してオン状態になるまでの間に、遊びが設けられる。プッシュロッド21がスイッチ本体23から車幅方向内側へ最も突出した状態で、プッシュロッド21の先端(車幅方向内端)は、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aよりも車幅方向外側に位置する。
【0020】
ストップランプスイッチ14をスイッチ取付ブラケット13に取り付ける際には、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21側を、スイッチ取付ブラケット13のスイッチ支持部22の開口24に車幅方向外側から挿入する。そして、スイッチ取付ブラケット13のスイッチ支持部22に対するストップランプスイッチ14の車幅方向内側への移動が規制された状態で、スイッチ本体23をスイッチ支持部22に取り付ける。本実施形態では、ストップランプスイッチ14をスイッチ取付ブラケット13に取り付ける際に、ブレーキペダル12を初期位置に配置し、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21を初期位置のブレーキペダル12のスイッチ操作部17の上段部17aに車幅方向外側から当接させた状態でスイッチ本体23を車幅方向内側へ移動させて、プッシュロッド21をスイッチ本体23側へ最も深くまで押し込むことによって、ストップランプスイッチ14の車幅方向内側への移動が規制された状態で、スイッチ本体23をスイッチ支持部22に取り付ける。ブレーキ非操作状態では、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、初期位置のブレーキペダル12のスイッチ操作部17の上段部17aに車幅方向外側から当接して、スイッチ操作部17の上段部17aによってスイッチ本体23側へ押し込まれてオフ状態となっている(
図3参照)。ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、ブレーキペダル12が操作されて初期位置からレバー回転方向の上記一側へ傾動すると、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17に対して相対的に上段部17aからスロープ部17b側へ移動する。ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、スロープ部17bに沿ってスイッチ操作部17に対して相対的にレバー回転方向の上記他側へ移動すると、係る移動に伴って、上記付勢部材の付勢力によってスイッチ本体23側から車幅方向内側へ徐々に突出する。
【0021】
ブレーキペダル12のスイッチ操作部17の上段部17aの高さ(ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aから車幅方向外側への突出量)は、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ14がオフ状態になる高さに設定される。スイッチ操作部17のスロープ部17bの傾斜角度(ブレーキレバー16のレバー回転方向に対する傾斜角度)は、ブレーキペダル12が操作された際に、ブレーキペダル12が初期位置からレバー回転方向の上記一側へ傾動してブレーキ作動開始位置(車両のブレーキが作動し始める位置)に到達する前に、ストップランプスイッチ14がオン状態になる(ストップランプを点灯させる)角度に設定される。すなわち、上段部17aの高さ、ストップランプスイッチ14を配置する車幅位置、及びスロープ部17bの傾斜角度は、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ14がオフ状態になっており、ブレーキペダル12が操作されてブレーキ作動開始位置に到達する前にストップランプスイッチ14がオン状態になるように設定される。
【0022】
上記のように構成されたブレーキペダル装置10では、ストップランプスイッチ14は、車体側に固定されるスイッチ本体23と、スイッチ本体23から車幅方向内側へ突出しスイッチ本体23に車幅方向に移動可能に支持されるプッシュロッド21とを有する。このように、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21がスイッチ本体23に対して車幅方向に移動可能であり、プッシュロッド21とスイッチ本体23とが車幅方向に並ぶ構造であるので、前後方向に並ぶ構造である場合とは異なり、ストップランプスイッチ14の前後方向の長さを抑えることができる。このため、ストップランプスイッチ14の後方(乗員側)への突出量を抑えることができるので、例えば、ストップランプスイッチ14をブレーキペダル12のブレーキレバー16に対して低い位置に配置したとしても、ブレーキペダル12を操作する際に足とストップランプスイッチ14との干渉を抑えることができる。
【0023】
また、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17が、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aに設けられる。そして、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、ブレーキ非操作状態では、スイッチ操作部17の上段部17aとの当接によって車幅方向外側のスイッチ本体23側へ押し込まれた状態に保持される。また、ブレーキペダル12が初期位置から上記レバー回転方向一側へ傾動すると、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、スイッチ操作部17に対して相対的に上段部17aから上記レバー回転方向他側のスロープ部17b側へ移動し、スロープ部17bに沿った上記レバー回転方向他側への移動に伴ってスイッチ本体23側から車幅方向内側へ徐々に突出する。このように、ストップランプスイッチ14のプッシュロッド21は、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aに設けられたスイッチ操作部17によって操作されるので、ストップランプの点灯タイミングを、スロープ部17bの傾斜角度や上段部17aの高さやストップランプスイッチ14を配置する車幅位置によって調整することができる。このため、例えば、ストップランプスイッチ14をブレーキレバー16の回転軸CLに近い位置に配置することによって、初期位置からストップランプを点灯させる位置(ブレーキ作動開始位置よりも手前)までのブレーキレバー16の移動量が短くなったとしても、スロープ部17bの傾斜角度や上段部17aの高さやストップランプスイッチ14を配置する車幅位置を適切に設定することによって、ストップランプをブレーキ作動前に点灯させることができる。
【0024】
従って、本実施形態によれば、ストップランプスイッチ14のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17を、ブレーキレバー16に一体成形したが、これに限定されるものではなく、例えば、ブレーキレバー16とは別体に形成したスイッチ操作部17をブレーキレバー16に固定してもよい。
【0026】
また、本実施形態では、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17をブレーキレバー16の車幅方向外側面16aに設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、ストップランプスイッチ14をブレーキレバー16の車幅方向内側に配置する場合には、スイッチ操作部17をブレーキレバー16の車幅方向内側面に設けてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17を、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aのうち被支持部20よりも下方の領域に設けたが、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aのうち被支持部20よりも上方の領域に設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、ブレーキペダル12のスイッチ操作部17を、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aから車幅方向外側へ突出させたが、これに限定されるものではない。例えば、
図5に示すように、ブレーキペダル12のスイッチ操作部25を、ブレーキレバー16の車幅方向外側面16aと同一平面上に設けられる上段部(初期位置ロッド当接部)25aと、上段部25aから上記レバー回転方向他側且つ車幅方向内側へ延びるスロープ部25bとによって構成してもよく、スロープ部25bがブレーキレバー16の車幅方向外側面16aから車幅方向内側へ凹んでいてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、スイッチ操作部17の上段部17aを、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ14のプッシュロッド21が当接する初期位置ロッド当接部として機能させたが、これに限定されるものではない。例えば、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ14のプッシュロッド21を、スイッチ操作部17のスロープ部17bに当接させてもよい。この場合、スロープ部17bのうち、ブレーキ非操作状態でストップランプスイッチ14のプッシュロッド21が当接している部分が初期位置ロッド当接部となり、スロープ部17bのうち初期位置ロッド当接部よりも上記レバー回転方向他側の領域が本発明におけるスロープ部となる。
【0030】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本開示に係るブレーキペダル装置は、様々な車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10:ブレーキペダル装置
12:ブレーキペダル
14:ストップランプスイッチ
16:ブレーキレバー
16a:ブレーキレバーの車幅方向外側面(ブレーキレバーの車幅方向一側の側面)
17,25:スイッチ操作部
17a,25a:上段部(初期位置ロッド当接部)
17b,25b:スロープ部
21:プッシュロッド
23:スイッチ本体