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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133988
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】飛沫防止シールド
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032984
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】507322207
【氏名又は名称】株式会社東北ウエノ
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK10
(57)【要約】
【課題】保管時に小型化でき、且つ、使用時に圧迫感を軽減させて扱い易く、使用者(医療従事者)が患者の顔を上方から容易に覗き込むことができる飛沫防止シールドを提供すること。
【解決手段】飛沫防止シールド10は、台に横たわった患者と患者の頭側である前方に立つ使用者との相互の飛沫を遮断するものであり、自立する折り畳み式の隔離パネル20と、柔軟性を有する隔離シート30とを備えている。隔離パネル20は、患者の頭の下側で台に敷かれる矩形状の底パネル21と、立ち壁パネル22と、患者を覆うように傾斜して折り曲げられた傾斜パネル23と、左支持パネル24Lと、右支持パネル24Rとを備えている。隔離シート30は、傾斜パネル23の先端部から傾斜パネル23の左右端部を介して立ち壁パネル22の左右端部までに設けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台に横たわった患者と前記患者の頭側である前方に立つ使用者との相互の飛沫を遮断する合成樹脂製の飛沫防止シールドであって、
前記患者の頭と前記使用者との間に配置されて自立する折り畳み式の隔離パネルと、前記隔離パネルに設けられ柔軟性を有して前記患者の胴体を覆う隔離シートと、を備え、
前記隔離パネルは、前記患者の頭の下側で前記台に敷かれる矩形状の底パネルと、前記底パネルの前記患者の頭頂部側の縁に第1折り線を介して連接され上方に折り曲げられた立ち壁パネルと、前記立ち壁パネルの上端の縁に第2折り線を介して連接され前記患者を覆うように傾斜して折り曲げられた傾斜パネルと、前記立ち壁パネルの左の縁に第3折り線を介して前記患者の頭部側に折り曲げられ前記傾斜パネルの基端側の一部を支持する左支持パネルと、前記立ち壁パネルの右の縁に第4折り線を介して前記患者の頭部側に折り曲げられ前記傾斜パネルの基端側の一部を支持する右支持パネルと、を備え、
前記隔離シートは、前記傾斜パネルの先端部から前記傾斜パネルの左右端部を介して前記立ち壁パネルの左右端部までに設けられていることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項2】
請求項1記載の飛沫防止シールドであって、
前記左支持パネル及び前記右支持パネルは、これらの下端の縁に第5折り線を介して内側に折り曲げられ前記底パネルに接する下部折り代と、前記立ち壁パネルの上端と同じ位置から前記患者側に後上りに傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の縁に第6折り線を介して内側に折り曲げられ前記傾斜パネルに接する上部折り代と、を備え、
前記第1折り線、前記第2折り線、前記第3折り線、前記第4折り線、前記第5折り線、及び前記第6折り線は、脆弱に形成されていることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項3】
請求項2記載の飛沫防止シールドであって、
前記下部折り代と前記底パネルの互いに対向する位置、及び前記上部折り代と前記傾斜パネルの互いに対向する位置には、面ファスナーが設けられていることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の飛沫防止シールドあって、
前記左支持パネル及び前記右支持パネルは、後端部の高さ方向中間部分に前方に窪む凹部が形成されていることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項記載の飛沫防止シールドあって、
前記隔離パネルは、前記傾斜パネルの先端部の左右方向中心に目印用の切り欠きが形成され、
前記隔離シートは、矩形状で中心から2つ折りにされた折り目が形成され、
前記傾斜パネルの端部の表面、及び前記立ち壁パネルの左右端部の表面には、両面粘着テープが設けられていることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項記載の飛沫防止シールドあって、
前記隔離パネルの材質は、透明なポリエチレンテレフタレートであり、
前記隔離シートの材質は、透明なポリエチレンであり、
ストレッチャー配置用であることを特徴とする飛沫防止シールド。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項記載の飛沫防止シールドあって、
使用前において、前記隔離パネルは、前記隔離シートと別体に展開した状態で収納可能であることを特徴とする飛沫防止シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台に仰向けに横たわった患者と、患者の頭側に立つ医療従事者等の使用者との相互の飛沫を遮断する飛沫防止シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台に仰向けに横たわった患者が感染症の可能性がある場合、患者の飛沫が医療従事者に飛ばないように遮断する飛沫防止シールドが使用される。このような、台の上に配置可能な飛沫防止シールドが知られている。
【0003】
特許文献1の飛沫防止シールドは、前面と、左側面と、右側面と、上面と、前下折面と、左折面と、左上折面と、左下折面と、右折面と、右上折面と、右下折面と、上左折面と、上右折面と、上上折面とを備える。各部に設けられた爪をスリットに差し込むことで、前面、左側面、右側面、上面の4方向が囲われた箱状の飛沫防止シールドが形成される。
【0004】
前面には左孔及び右孔が形成されており、飛沫防止シールドの外部から左右の手を左孔及び右孔を介して内部に入れることができる。例えば、ベッドに横たわった患者の頭部から胸部にかけて飛沫防止シールドを覆うように配置し、患者の頭側に立つ医療従事者が、飛沫防止シールドの外部から左右の手を左孔及び右孔を介して内部に入れて患者の検査や手当等を行う。
【0005】
ところで、医療従事者が台に横たわった患者の検査をする場合、患者の顔を上方から覗き込むようにすると作業が行い易い。この点、特許文献1の飛沫防止シールドは、矩形状に形成された4つの面が組み合わされ、前面と上面の接続部分や左側面及び右側面の角部分が医療従事者側にせり出すように大きく形成されて邪魔になるので、医療従事者は患者の顔を上方から覗き込み難くなる。
【0006】
また、特許文献1の飛沫防止シールドは透光性のプラスチック材料で形成され頑丈である反面、全体として重く角張っており、ストレッチャーのような台上で使用する場合は圧迫感が生じて扱い難く、医療従事者が手を入れる場所が限定され、使用する場面が手術時など限定される。
【0007】
また、飛沫防止シールドは、アルコール消毒により繰り返し使用するよりも使い捨てが適している場合もある。使い捨ての場合は複数の予備を保管するスペースが必要となるが、特許文献1の飛沫防止シールドは、展開した状態で前面を中心にして3方向に左側面、右側面、上面が広がっているため、保管するときに広いスペースが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3227293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、保管時に小型化でき、且つ、使用時に圧迫感を軽減させて扱い易く使用する用途場面を広げることができ、使用者(医療従事者)が患者の顔を上方から容易に覗き込むことができる飛沫防止シールドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]台に横たわった患者と前記患者の頭側である前方に立つ使用者との相互の飛沫を遮断する合成樹脂製の飛沫防止シールドであって、
前記患者の頭と前記使用者との間に配置されて自立する折り畳み式の隔離パネルと、前記隔離パネルに設けられ柔軟性を有して前記患者の胴体を覆う隔離シートと、を備え、
前記隔離パネルは、前記患者の頭の下側で前記台に敷かれる矩形状の底パネルと、前記底パネルの前記患者の頭頂部側の縁に第1折り線を介して連接され上方に折り曲げられた立ち壁パネルと、前記立ち壁パネルの上端の縁に第2折り線を介して連接され前記患者を覆うように傾斜して折り曲げられた傾斜パネルと、前記立ち壁パネルの左の縁に第3折り線を介して前記患者の頭部側に折り曲げられ前記傾斜パネルの基端側の一部を支持する左支持パネルと、前記立ち壁パネルの右の縁に第4折り線を介して前記患者の頭部側に折り曲げられ前記傾斜パネルの基端側の一部を支持する右支持パネルと、を備え、
前記隔離シートは、前記傾斜パネルの先端部から前記傾斜パネルの左右端部を介して前記立ち壁パネルの左右端部までに設けられていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、飛沫防止シールドは、折り畳み式の隔離パネルと、隔離パネルに設けられ柔軟性を有して患者の胴体を覆う隔離シートとを備え、隔離パネルは、底パネルと、立ち壁パネルと、傾斜パネルと、左支持パネルと、右支持パネルとを備えている。傾斜パネルは、立ち壁パネルの上端の縁に第2折り線を介して連接され、患者を覆うように傾斜して折り曲げられているので、従来技術のように箱状の角部分が使用者側(医療従事者側)にせり出すように大きく形成されて邪魔になることがない。使用者側から離間する方向に傾いた傾斜パネルによって、使用者が患者を覗き込むスペースが作られているので、使用時に圧迫感を軽減させて扱い易く使用する用途場面を広げることができ、使用者が患者の顔を上方から容易に覗き込むことができる。
【0012】
また、隔離パネルは、底パネル、立ち壁パネル、傾斜パネルが縦一列に繋がり、傾斜パネルを支持するだけの幅の狭い左支持パネル及び右支持パネルが立ち壁パネルの横方向に繋がっているので、保管時において、展開された縦長のシート状のパネルを複数重ねて小型化でき、小さな保管スペースに複数枚保管することができる。
【0013】
[2]好ましくは、前記左支持パネル及び前記右支持パネルは、これらの下端の縁に第5折り線を介して内側に折り曲げられ前記底パネルに接する下部折り代と、前記立ち壁パネルの上端と同じ位置から前記患者側に後上りに傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の縁に第6折り線を介して内側に折り曲げられ前記傾斜パネルに接する上部折り代と、を備え、
前記第1折り線、前記第2折り線、前記第3折り線、前記第4折り線、前記第5折り線、及び前記第6折り線は、脆弱に形成されている。
【0014】
かかる構成によれば、左支持パネル及び右支持パネルは、下部折り代と、傾斜部と、上部折り代を備えるので、傾斜パネルを傾斜部に沿って支持でき、隔離パネルを組み立て後でも圧迫感を軽減させた状態を維持することができる。さらに、第1折り線、第2折り線、第3折り線、第4折り線、第5折り線、及び第6折り線は、脆弱に形成されているので、折り曲げやすく、組み立てるときも使い捨てで分解するときも容易に扱うことができる。
【0015】
[3]好ましくは、前記下部折り代と前記底パネルの互いに対向する位置、及び前記上部折り代と前記傾斜パネルの互いに対向する位置には、面ファスナーが設けられている。
【0016】
かかる構成によれば、下部折り代と底パネルの着脱と、上部折り代と傾斜パネルの着脱を面ファスナーで行えるので、組み立てるときも使い捨てで分解するときも容易に扱うことができる。
【0017】
[4]好ましくは、前記左支持パネル及び前記右支持パネルは、後端部の高さ方向中間部分に前方に窪む凹部が形成されている。
【0018】
かかる構成によれば、左支持パネル及び右支持パネルは、後端部の高さ方向中間部分に前方に窪む凹部が形成されているので、使用者(医療従事者)が患者側に手をまわす際、腕を凹部に位置させることで左支持パネル及び右支持パネルが邪魔にならず、容易に作業ができ扱い易くすることができる。
【0019】
[5]好ましくは、前記隔離パネルは、前記傾斜パネルの先端部の左右方向中心に目印用の切り欠きが形成され、
前記隔離シートは、矩形状で中心から2つ折りにされた折り目が形成され、
前記傾斜パネルの端部の表面、及び前記立ち壁パネルの左右端部の表面には、両面粘着テープが設けられている。
【0020】
かかる構成によれば、飛沫防止シールドを組み立てる際、隔離シートの折り目を傾斜パネルの先端部の目印用の切り欠きに合わせることで、容易に位置決めすることができる。さらに、傾斜パネルの端部の表面、及び立ち壁パネルの左右端部の表面には、両面粘着テープが設けられているので、隔離シートを隔離パネルに容易に取り付け、扱い易くすることができる。
【0021】
[6]好ましくは、前記隔離パネルの材質は、透明なポリエチレンテレフタレートであり、前記隔離シートの材質は、透明なポリエチレンであり、ストレッチャー配置用である。
【0022】
かかる構成によれば、隔離パネルの材質は、透明なポリエチレンテレフタレートであるので、隔離パネルを軽くして扱い易くでき、アクリル板等に比較して安価にすることもできる。さらに、隔離シートの材質は、透明なポリエチレンであるので、軽い上に形を自由に変えられ容易に扱うことができ、安価にすることもできる。さらに、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンで構成することで軽くでき、移動するストレッチャーにも容易に配置できるとともに、患者の胴体にポリエチレンがフィットし移動中であっても飛沫が周囲に飛び散ることを防止できる。さらに、柔軟なポリエチレンのシート(PEシート)を採用する事により、医療従事者が飛沫防止シールド内に容易に手を挿入することができる。
【0023】
[7]好ましくは、使用前において、前記隔離パネルは、前記隔離シートと別体に展開した状態で収納可能である。
【0024】
かかる構成によれば、保管時に隔離パネルと隔離シートと別体にすることで、より薄い状態で重ね易くでき、保管時の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
収納スペースを小さくでき、且つ、台に配置して使用する場合であっても全方向への飛沫を遮断できるとともに使用時に使用者(医療従事者)が患者の顔を上方から容易に覗き込むことができる飛沫防止シールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例に係る飛沫防止シールドの斜視図である。
図2】実施例に係る隔離パネルと隔離シートの斜視展開図である。
図3】実施例に係る飛沫防止シールドの組み立てを説明する図である。
図4図3の4部拡大図である。
図5】隔離パネルへ隔離シートの貼り付けを説明する図である。
図6】組み上げた状態の飛沫防止シールドの斜視図である。
図7】実施例に係る飛沫防止シールドの作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、作用図は、飛沫防止シールドを概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例0028】
図1に示されるように、飛沫防止シールド10は、台40(図7参照)に横たわった患者41(図7参照)と患者41の頭側である前方に立つ使用者(医療従事者)42(図7参照)との相互の飛沫を遮断する合成樹脂製のものである。
【0029】
飛沫防止シールド10は、患者41の頭と使用者との間に配置されて自立する折り畳み式の隔離パネル20と、隔離パネル20に設けられ柔軟性を有して患者41の胴体を覆う隔離シート30と、を備えている。自立する隔離パネル20で隔離シート30を保持し、患者41の頭部の上方を隔離パネル20で覆い、患者41の側部と胴体を隔離シート30で覆う態様となる。
【0030】
図1図2及び図7に示されるように、隔離パネル20は、患者41の頭の下側で台40に敷かれる矩形状の底パネル21と、底パネル21の患者41の頭頂部側の縁に第1折り線21aを介して連接され上方に折り曲げられた立ち壁パネル22と、立ち壁パネル22の上端の縁に第2折り線22aを介して連接され患者41を覆うように傾斜して折り曲げられた傾斜パネル23と、を備えている。
【0031】
また、隔離パネル20は、立ち壁パネル22の左の縁に第3折り線22bを介して患者41の頭部側に折り曲げられ傾斜パネル23の基端側の一部を支持する左支持パネル24Lと、立ち壁パネル22の右の縁に第4折り線22cを介して患者41の頭部側に折り曲げられ傾斜パネル23の基端側の一部を支持する右支持パネル24Rと、を備えている。
【0032】
左支持パネル24L及び右支持パネル24Rは、その下端の縁に第5折り線24aを介して内側に折り曲げられ底パネル21に接する下部折り代25と、立ち壁パネル22の上端と同じ位置から患者41側に後上りに傾斜する傾斜部26と、傾斜部26の縁に第6折り線26aを介して内側に折り曲げられ傾斜パネル23に接する上部折り代27と、を備えている。
【0033】
下部折り代25と底パネル21の互いに対向する位置には、面ファスナー11が設けられている。上部折り代27と傾斜パネル23の互いに対向する位置には、面ファスナー11が設けられている。面ファスナー11により、隔離パネル20の組み立てを容易にできるとともに、使用後に崩す際も面ファスナー11を外すだけで立体状の隔離パネル20を平面状に展開することができ、廃棄ボックスなどに容易に廃棄することができる。
【0034】
左支持パネル24L及び右支持パネル24Rは、後端部の高さ方向中間部分に前方に窪む凹部28が形成されている。凹部28は左支持パネル24L及び右支持パネル24Rの後端部が円弧状に切りかかれた形状を呈している。
【0035】
第1折り線21a、第2折り線22a、第3折り線22b、第4折り線22c、第5折り線24a、及び第6折り線26aは、脆弱に形成されている。具体的には、折り線部分が隔離パネル20の他の部分よりも厚みが小さくなるよう、切れ込み又はプレス加工が施されている。
【0036】
隔離パネル20の材質は、透明なポリエチレンテレフタレートである。ポリエチレンテレフタレートであれば、隔離パネル20をシート状に容易に成形することができる。隔離シート30の材質は、透明なポリエチレンである。ポリエチレンであれば形状が容易に変形する薄い片開きシート状に容易に成形することができる。
【0037】
また、飛沫防止シールド10は、ストレッチャー配置用としても使用することができる。飛沫防止シールド10は、ポリエチレンテレフタレート製の隔離パネル20と、ポリエチレン製の隔離シート30とからなるため、軽く扱いが容易である。このため、移動するストレッチャーであっても簡単に持ち上げて配置することができる。
【0038】
また、従来技術のような4方向が囲われた箱状の飛沫防止シールドでは、その後方側となる、患者の胴体と、上面、左側面及び右側面の間が大きく開放されているため、患者が咳をした場合に開放部分から外部に飛沫が流れる虞がある。この点、本発明では、柔軟なポリエチレン製の隔離シート30により、患者41の胴体にフィットして隙間をなくし、ストレッチャーによる搬送時も飛沫が飛散することを防止できる。
【0039】
飛沫防止シールド10では、隔離シート30は、傾斜パネル23の先端部から傾斜パネル23の左右端部を介して立ち壁パネル22の左右端部までに設けられている。
【0040】
次に飛沫防止シールド10の組み立てについて説明する。
図3及び図4に示されるように、隔離パネル20は、傾斜パネル23の先端部の左右方向中心に目印用の切り欠き23aが形成されている。隔離シート30は、矩形状で中心から2つ折りにされた折り目31が形成されている。傾斜パネル23の端部の表面、及び立ち壁パネル22の左右端部の表面には、両面粘着テープ12が設けられている。使用前において、隔離パネル20は、隔離シート30と別体に展開した状態で収納可能である。
【0041】
組み立てるときには、展開した状態の隔離パネル20と、2つ折り状態(片開き)の隔離シート30とを準備する。隔離パネル20の表面を上にして配置し、底パネル21を矢印(1)のように折り返す。傾斜パネル20の先端部分の両面粘着テープ12から矢印(2)のように剥離紙13を剥がし、2つ折りされた隔離シート30の折り目31を、傾斜パネル23の切り欠き23aに合わせて貼り付ける。
【0042】
図5に示されるように、2つ折りにされた隔離シート30を開き、傾斜パネル23の先端部分全体に貼り付け、傾斜パネル23及び立ち壁パネル23の端部の表面の両面粘着テープ12から矢印(3)のように剥離紙13を剥がし、隔離シート30を矢印(4)のように貼り付ける。
【0043】
図5及び図6に示されるように、立ち壁パネル23を起こして左支持パネル24L及び右支持パネル24Rを内側に折り曲げ、下部の面ファスナー11(図3参照)同士を着ける。立ち壁パネル23の上端部分から傾斜パネル23を後方に折り曲げ、上部の面ファスナー11同士を着ける。このようにして、飛沫防止シールド10が組み立てられる。
【0044】
次に以上に述べた飛沫防止シールド10の作用について説明する。
図7に示されるように、ストレッチャーである台40の前方側に飛沫防止シールド10を配置する。患者41を仰向けに寝かせる。このとき、患者41の頭の重みにより飛沫防止シールド10の底パネル21が抑えられる。隔離シート30で患者41の胴体を覆うことで周囲全体に対する飛沫の飛散は防止される。
【0045】
使用者(医療従事者)42が台40の前方に立ち、患者41を覗き込むように前のめりになる。傾斜パネル23が後方に傾いており、さらには傾斜パネル23自体の自重と隔離シート30の重さにより傾斜パネル23が湾曲して湾曲部29が形成されているので、使用者(医療従事者)42は、患者41の顔の上方まで自分の顔を近づけて検査などの作業を行うことができる。
【0046】
さらに、飛沫防止シールド10の両側から手を患者41の顔にまわす際、隔離シート30の下から手を入れると、左支持パネル24L(図1参照)及び右支持パネル24Rの凹部28の位置に腕がまわるので、左支持パネル24L(図1参照)及び右支持パネル24Rが邪魔になることなく、容易に作業することができる。また、台40の前方側の使用者42だけでなく、台40の側方側の第2、第3の使用者42が手を患者41に近づけた場合であっても、隔離シート30が柔軟であるため、腕から隔離シート30が垂下り隙間を無くすので、患者41飛沫が周囲に飛散することを防止できる。
【0047】
次に以上に述べた飛沫防止シールド10の作用、効果を説明する。
本発明の実施例では、傾斜パネル23は、立ち壁パネル22の上端の縁に第2折り線22aを介して連接され、患者41を覆うように傾斜して折り曲げられているので、従来技術のように箱状の角部分が使用者側(医療従事者側)にせり出すように大きく形成されて邪魔になることがない。使用者42側から離間する方向に傾いた傾斜パネル23によって、使用者42が患者41を覗き込むスペースが作られているので、使用時に圧迫感を軽減させて扱い易く使用する用途場面を広げることができ、使用者42が患者41の顔を上方から容易に覗き込むことができる。
【0048】
さらに、本発明の実施例では、隔離パネル20は、底パネル21、立ち壁パネル22、傾斜パネル23が縦一列に繋がり、傾斜パネル23を支持するだけの幅の狭い左支持パネル24L及び右支持パネル24Rが立ち壁パネル22の横方向に繋がっているので、保管時において、展開された縦長のシート状のパネルを複数重ねて小型化でき、小さな保管スペースに複数枚保管することができる。
【0049】
さらに、本発明の実施例では、左支持パネル24L及び右支持パネル24Rは、下部折り代25と、傾斜部26と、上部折り代27を備えるので、傾斜パネル23を傾斜部26に沿って支持でき、隔離パネル20を組み立て後でも圧迫感を軽減させた状態を維持することができる。さらに、第1折り線21a、第2折り線22a、第3折り線22b、第4折り線22c、第5折り線24a、及び第6折り線26aは、脆弱に形成されているので、折り曲げやすく、組み立てるときも使い捨てで分解するときも容易に扱うことができる。
【0050】
さらに、本発明の実施例では、下部折り代25と底パネル21の着脱と、上部折り代27と傾斜パネル23の着脱を面ファスナー11で行えるので、組み立てるときも使い捨てで分解するときも容易に扱うことができる。
【0051】
さらに、本発明の実施例では、左支持パネル24L及び右支持パネル24Rは、後端部の高さ方向中間部分に前方に窪む凹部28が形成されているので、使用者(医療従事者)42が患者41側に手をまわす際、腕を凹部28に位置させることで左支持パネル24L及び右支持パネル24Rが邪魔にならず、容易に作業ができ扱い易くすることができる。
【0052】
さらに、本発明の実施例では、飛沫防止シールド10を組み立てる際、隔離シート30の折り目31を傾斜パネル23の先端部の目印用の切り欠き23aに合わせることで、容易に位置決めすることができる。さらに、傾斜パネル23の端部の表面、及び立ち壁パネル22の左右端部の表面には、両面粘着テープ12が設けられているので、隔離シート30を隔離パネルに容易に取り付け、扱い易くすることができる。
【0053】
さらに、本発明の実施例では、隔離パネル20の材質は、透明なポリエチレンテレフタレートであるので、隔離パネルを軽くして扱い易くでき、アクリル板等に比較して安価にすることもできる。さらに、隔離シート30の材質は、透明なポリエチレンであるので、軽い上に形を自由に変えられ容易に扱うことができ、安価にすることもできる。
【0054】
さらに、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンで構成することで軽くでき、移動する台(ストレッチャー)40にも容易に配置できるとともに、患者41の胴体にポリエチレンがフィットし移動中であっても飛沫が周囲に飛び散ることを防止できる。さらに、柔軟なポリエチレンのシート(PEシート)を採用する事により、医療従事者が飛沫防止シールド内に容易に手を挿入することができる。
【0055】
さらに、本発明の実施例では、保管時に隔離パネル20と隔離シート30と別体にすることで、より薄い状態で重ね易くでき、保管時の小型化を図ることができる。
【0056】
尚、実施例では、隔離パネル20をポリエチレンテレフタレートとしたが、これに限定されず、ポリカーボネート等、自立できれば他の一般的な合成樹脂であってもよい。また、実施例では隔離シート30をポリエチレンとしたが、これに限定されず、いわゆるビニール等、柔軟性を有していれば他の一般的な合成樹脂であってもよい。
【0057】
また、実施例では、台40をストレッチャーとしたが、これに限定されず、手術台やベッドであってもよい。
【0058】
また、実施例では、隔離パネル20への隔離シート30の貼り付けを両面粘着テープ12で行ったが、これに限定されず、片面テープでの貼り付けや接着剤により貼り付け等でもよく、隔離シート30を離パネル20に留めることができれば方法は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の飛沫防止シールドは、ストレッチャー上に配置して使用する飛沫防止シールドに好適である。
【符号の説明】
【0060】
10…飛沫防止シールド、11…面ファスナー、12…両面粘着テープ、20…隔離パネル、21…底パネル、22…立ち壁パネル、23…傾斜パネル、23a…切り欠き、24L…左支持パネル、24R…右支持パネル、25…下部折り代、26…傾斜部、27…上部折り代、28…凹部、30…隔離シート、31…折り目、40…台(ストレッチャー、手術台、ベッド)、41…患者、42…使用者(医療従事者)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7