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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133992
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】構造体及び構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20220907BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20220907BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20220907BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E04B1/94 F
E04B1/94 E
E04B5/40 C
E04B5/43 F
E04B9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032990
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】小原 峻士
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智也
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001DE04
2E001EA02
2E001EA06
2E001FA11
2E001GA13
2E001HA01
2E001HD02
2E001HD03
2E001HF12
(57)【要約】
【課題】一方の面側にリブが設けられた型枠支持材と、型枠支持材のリブが設けられた面の反対面側に打設されたコンクリートとを備える区画構造であって、生活環境の悪化を抑制するためにリブの内部に充填物が設けられている構造体及び構造体の施工方法を提供する。
【解決手段】一方の面11D側にリブ12が設けられた型枠支持材11と、型枠支持材11のリブ12が設けられた面の反対面11U側に打設されたコンクリート20とを備える構造体10であって、リブ12の少なくとも一部に切断面12C,12Dを有し、切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間に耐火材料よりなる充填物30がリブ12の内部に設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面側にリブが設けられた型枠支持材と、前記型枠支持材の前記リブが設けられた面の反対面側に打設されたコンクリートとを備える構造体であって、
前記リブの少なくとも一部に切断面を有し、前記切断面から前記リブの端部までの間に耐火材料よりなる充填物が前記リブの内部に設けられている、構造体。
【請求項2】
前記充填物は、前記切断面から10cm以内の少なくとも1cmに渡り設けられている、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記充填物は、前記切断面から前記リブの端部までの間の全てに渡り設けられている、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記型枠支持材がフラットデッキである、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記充填物は、有機発泡体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記有機発泡体は、ISO5660-1に準拠し、コーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、放射熱強度50kW/mにて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記有機発泡体は、ウレタンフォームである、請求項5又は6に記載の構造体。
【請求項8】
一方の面側にリブが設けられた型枠支持材を建築構造物に敷設する工程と、
前記型枠支持材の反対面側にコンクリートを打設する工程と、
前記リブの内部に耐火材料よりなる充填物を充填する工程と、
前記リブの少なくとも一部を切断する工程と
を含む構造体の施工方法。
【請求項9】
前記内部に耐火材料よりなる充填物が充填されたリブの少なくとも一部を切断する、請求項8に記載の構造体の施工方法。
【請求項10】
切断された前記リブの切断面より前記充填物を充填する、請求項9に記載の床又は天井構造の施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築物などにおける構造体及び構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートなどにおいて、上面にコンクリートが打設されるために型枠支持材としてフラットデッキ(デッキプレート)が用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。フラットデッキは梁間に渡して配置することにより、上面にコンクリート打設が可能になるため、工期短縮など非常に有用な建材である。フラットデッキの構造としては、コンクリート打設に耐える耐荷重性を付与するため、金属板を折り曲げてリブと呼ばれる中空部を有している。
【0003】
リブはフラットデッキ下面に配置されているため、フラットデッキ下面に防火区画用の壁を配置する際には、リブが壁と天井面が接地することを阻害することがあり、直接壁を設置することができないことがある。そこで建設現場では、コンクリート打設後、壁を設置する前に、壁と天井面が干渉する部分については、フラットデッキは切断されて除去することで上記問題を解決している。
また、ダクトを通す場合等ではコンクリートとフラットデッキを含めて天井自体を除去することもあるため、その際にも同様にフラットデッキは切断される。
上記のようにフラットデッキを切断した場合においては、切断後のリブの切断面はそのまま露出させていることが一般的であり、すなわち切断面では中空部が露出していることになる。フラットデッキの中空部が露出していることで、中空部に埃などが堆積してしまうことや、中空部で音が反響して騒音が発生してしまう等の生活環境を悪化させてしまう点でも好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-150130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、一方の面側にリブが設けられた型枠支持材と、型枠支持材のリブが設けられた面の反対面側に打設されたコンクリートとを備える区画構造であって、生活環境の悪化を抑制するためにリブの内部に充填物が設けられている構造体及び構造体の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]一方の面側にリブが設けられた型枠支持材と、前記型枠支持材の前記リブが設けられた面の反対面側に打設されたコンクリートとを備える構造体であって、前記リブの少なくとも一部に切断面を有し、前記切断面から前記リブの端部までの間に耐火材料よりなる充填物が前記リブの内部に設けられている、構造体。
[2]前記充填物は、前記切断面から10cm以内の少なくとも1cmに渡り設けられている、[1]に記載の構造体。
[3]前記充填物は、前記切断面から前記リブの端部までの間の全てに渡り設けられている、[1]又は[2]に記載の構造体。
[4]前記型枠支持材がフラットデッキである、[1]~[3]のいずれかに記載の構造体。
[5]前記充填物は、有機発泡体である、[1]~[4]のいずれかに記載の構造体。
[6]前記有機発泡体は、ISO5660-1に準拠し、コーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、放射熱強度50kW/mにて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、[5]に記載の構造体。
[7]前記有機発泡体は、ウレタンフォームである、[5]又は[6]に記載の構造体。
[8]一方の面側にリブが設けられた型枠支持材を建築構造物に敷設する工程と、前記型枠支持材の反対面側にコンクリートを打設する工程と、前記リブの内部に耐火材料よりなる充填物を充填する工程と、前記リブの少なくとも一部を切断する工程とを含む構造体の施工方法。
[9]前記内部に耐火材料よりなる充填物が充填されたリブの少なくとも一部を切断する、[8]に記載の構造体の施工方法。
[10]切断された前記リブの切断面より前記充填物を充填する、[9]に記載の床又は天井構造の施工方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一方の面側にリブが設けられた型枠支持材と、型枠支持材のリブが設けられた面の反対面側に打設されたコンクリートとを備える区画構造であって、生活環境の悪化を抑制するためにリブの内部に充填物が設けられている構造体及び構造体の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る構造体の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る構造体の一例を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る構造体におけるリブの切断面を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る構造体における充填物の充填状況が部分充填であることを示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る構造体における充填物の充填状況が全体充填であることを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態を用いてより詳細に説明する。
【0010】
[構造体]
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る構造体10を示す。以下、図面を参照しつつ、構造体10について詳細に説明する。本実施形態に係る構造体10は、図1に示すように、一方の面(下面)11D側にリブ12が設けられた型枠支持材11を備える。型枠支持材11はフラットデッキである。構造体10において、型枠支持材11は、例えば、支持材14間に架設される。また、本実施形態に係る構造体10は、図2に示すように、型枠支持材11のリブ11が設けられた面の反対面(上面)11U側に打設されたコンクリート20を備える。本実施形態に係る構造体10は、建築物において、床、天井面、屋根などを構成する。
【0011】
型枠支持材11は、上面11Uが平坦面、又は平坦面に微小な凹凸が形成されたフラット部を有し、フラット部の下面11Dに、複数のリブ12が突設されている。リブ12は、内部に空洞がある突条であり、長手方向に沿って延在して配置され、長手方向における両端部12A,12Bは圧潰されて閉塞される場合もある。なお、型枠支持材11は、例えば、鋼板などの金属板やその他の材料をロール成形やプレス成形などすることで得ることができる。型枠支持材11のリブ12の断面形状は、特に限定されず、三角形、四角形、円形及び楕円形等の種々の形状とすることができる。
【0012】
型枠支持材11は、建築構造物などに敷設され、床又は屋根構造などを形成するために使用される。型枠支持材11は、例えば、長手方向における両端部それぞれが梁などの支持材14,14に載せられて、支持材14,14間に架設されることで、建築構造物における構造体を構成する。型枠支持材11は、例えば、型枠材として使用され、上面11U上にコンクリート20が打設される。
【0013】
本発明の実施形態に係る構造体10は、コンクリート20の打設後、壁などの区画材又は挿通体などを通すダクト等を設置する前に、区画材又はダクトと干渉する型枠支持材11又はコンクリート20が切断されて除去される。
具体的には、図3(a)に示すように、壁(防火区画用の壁)などの区画材を設置する箇所Rにリブ12が存在する場合は、区画材がリブ12と干渉してしまうため、該当箇所の型枠支持材11が切断されて除去される。従来、リブ12の内部に予め充填物30が充填されていない場合においては、型枠支持材11が切断されて除去され、コンクリート20の下面が露出した箇所Rに、壁(防火区画用の壁)などの区画材が設置される。
また、図3(b)に示すように、ダクトなどを設置する箇所Rにおいては、該当箇所に存在する型枠支持材11及びコンクリート20が切断されて除去される。型枠支持材11及びコンクリート20が切断された箇所Rは、後工程でダクトなどを通して設置される。
図3(a)及び(b)に示すように、リブ12が切断された場合、切断後のリブ12の切断面12C,12Dは中空部が露出してしまうことになる。リブ12の切断面12C,12Dが露出し、リブ12が空洞のままであると、中空部に埃などが堆積してしまうことで火災リスクを上げてしまう懸念や、中空部で音が反響して騒音が発生してしまう等の生活環境の悪化が懸念されることがある。
【0014】
そこで、本発明の実施形態に係る構造体10においては、図4及び図5に示すように、リブ12の少なくとも一部に切断面12C,12Dを有し、リブ12の内部には、切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間に耐火材料よりなる充填物30が設けられている。充填物30は、リブ12の内部の少なくとも一部の断面を充填することでリブ12の内部を閉塞する。充填物30が切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間に設けられていることで、中空部が連通しなくなり、火災時の炎又は煙の通り道となってしまうことを防ぐことができる。また、充填物30が設けられていることで、リブ12内部の中空部に埃などが堆積してしまうことや、中空部で音が反響して騒音が発生してしまう等の生活環境を悪化させることを防ぐことができる。充填物30は、上記観点から、切断面12C,12Dから10cm以内の少なくとも1cmに渡り設けられていることが好ましく、少なくとも3cmに渡り設けられていることがより好ましく、少なくとも5cmに渡り設けられていることがさらに好ましい。
より具体的には、充填物30は、図4(a)及び(b)に示すように、リブ12全体のうち切断面近傍に部分的に設けられてもよい。すなわち、切断面12C,12Dから10cm以内の少なくとも1cmに渡り設けられ、かつその充填物30が充填される長さの合計(リブの長手方向の沿う距離)は、3cm以上であることが好ましく、5cm以上であることがより好ましく、7cm以上であることがさらに好ましい。なお、充填物30は、図5(a)及び(b)に示すように、切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間の全てに渡り設けられていることが特に好ましい。
充填物30は、リブ切断前にリブ12に予め充填して設けられていてもよい。また、充填物30は、リブ12を切断した後に、切断面12C,12Dから充填して設けてもよい。
【0015】
充填物30を構成する耐火材料としては、難燃性及び耐火性に優れたものであれば特に限定はなく、例えば、湿式材料及び乾式材料が挙げられる。
耐火材料は、建築基準法及び建築基準法施行令において定められる難燃材料相当の性能を示す材料(以下、「難燃材料」という。)のことを意味するが、準不燃材料相当の性能を示す材料(以下、「準不燃材料」という。)であることが好ましく、不燃材料相当の性能を示す材料(以下、「不燃材料」という。)であることがより好ましい。難燃材料相当の性能とは、ISO5660-1に準拠し、コーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、放射熱強度50kW/mにて加熱したときに、5分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものをいう。また、準不燃材料相当の性能とは、同様にして10分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものをいう。また、不燃材料相当の性能とは、同様にして20分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものをいう。
【0016】
(湿式材料)
充填物30として湿式材料を用いる場合は、切断面12C,12Dから導入する際には液状であり、導入した後に硬化する等により中空部を充填して閉塞させるものが好ましい。湿式材料としては、例えば、有機発泡体、セメント、モルタル、有機発泡体入りセメント及びパテ等が挙げられ、比重が軽く建材全体の軽量化が図れることから有機発泡体が好ましい。有機発泡体としては、ウレタンフォーム、フェノールフォームからなる群から選ばれる1種であることが好ましく、中でもウレタンフォームがより好ましい。
【0017】
有機発泡体は、難燃材料、準不燃材料及び不燃材料の少なくともいずれかに相当する性能を有していればよく、不燃材料相当の性能を有していることが好ましい。なお、有機発泡体は、ISO-5660の試験方法に準拠した測定を行う際は、有機発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み5cmに切断した試験用サンプルを準備し、試験用サンプル用いてコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を行う。
【0018】
<ウレタンフォーム>
充填物30を構成する耐火材料としてのウレタンフォームについてより詳細に説明する。本実施形態で使用するウレタンフォームは、ウレタン樹脂組成物を硬化させ、発泡させることで形成されるものである。ウレタンフォームに含まれるウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを混合させ反応させることで得られる反応生成物である。ウレタン樹脂組成物は、中空部に容易に注入でき、かつ中空部において隙間なく充填できるように、各種成分を混合して作製した直後においては液状である。
中空部を充填して閉塞させるウレタンフォームの施工方法としては、液状のウレタン樹脂組成物を吐出する吐出装置を用いた吐出充填が好適である。なお、吐出装置としては、例えばウレタン樹脂組成物が2液硬化型である場合には、1液と2液とを混合する混合部と、混合されて得られたウレタン樹脂組成物を吐出する吐出口とを備えるものを使用する。このような吐出装置としては、高圧式発泡機、低圧式発泡機、その他混合・吐出システム、スプレーガン及びコーキングガンなどと呼ばれるものを使用すればよい。
【0019】
ウレタンフォームは、リブ12の中空部を充填して充填物30を形成することで閉塞させることができる。ウレタンフォームによる充填物30で中空部を適切に閉塞させるためには、ウレタンフォームは、中空部の内表面に接着していることが好ましい。ウレタンフォームが中空部の内表面に接着していることで、ウレタンフォームが中空部の内表面と密着した状態となり、耐火性を向上させることができる。ウレタンフォームは、中空部の内表面に化学的に接着する。ここで、化学的に接着するとは、ウレタンフォームの自己接着性に基づいて中空部の内表面に接着することをいう。ウレタンフォームの化学的接着は、具体的には、ポリオール含有組成物とポリイソシアネートとを混合して硬化かつ発泡させることで得られるウレタンフォームが中空部の内表面上で直接硬化かつ発泡することにより、中空部の内表面に接着した層となり、当該層の自己接着性に基づいて接着することをいう。
【0020】
充填物30としてのウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ウレタンフォームが軽量となり、建築構造物に対する付加を軽減することができる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性、不燃性を発現しやすくなる。これら観点から、充填物30としてのウレタンフォームの密度は、25~100kg/mの範囲であることがより好ましく、30~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ウレタンフォームの密度は、JIS K7222に準拠して測定できる。
【0021】
ウレタンフォームを形成するウレタン樹脂組成物は、一般的にポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを含有するものである。
ウレタンフォームに使用するポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0022】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。
【0023】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0024】
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、ジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
またヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
【0026】
ポリマーポリオールとしては、例えば、上記した芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオールまたは、これらの水素添加物等が挙げられる。
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
変性ポリオールに使用する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、 フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、1-ヒドロキシピレン等のフェノールポリブタジエンポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合体又は共重合体、及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
【0027】
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加させる方法が好適に用いられる。
AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。
AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルポリオールにおいて使用する活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0029】
ウレタンフォームにおいて使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましく、ポリエステルポリオールがより好ましい。その中でも分子量200~800のポリエステルポリオールを用いることが好ましく、分子量300~500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
【0030】
ウレタン樹脂のイソシアネートインデックスは、120~1,000の範囲であることが好ましく、200~800の範囲であればより好ましく、300~600の範囲であればさらに好ましい。イソシアネートインデックスが120以上となると、イソシアネート基が水酸基より過剰となり、三量化されやすくなり、不燃性を付与しやすくなる。また、1000以下となると、不燃性と製造コストとのバランスが良好になる。
【0031】
なお、イソシアネートインデックスは、以下の方法により計算することができる。
イソシアネートインデックス
=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、各当量数は以下のとおり計算することができる。
・ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用量(g)×NCO含有量(質量%)/NCOの分子量(モル)×100
・ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用量(g)÷KOHの分子量(ミリモル)
OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)である。
・水の当量数=水の使用量(g)/水の分子量(モル)×水のOH基の数
上記各式において、NCOの分子量は42(モル)、KOHの分子量は56100(ミリモル)、水の分子量は18(モル)、水のOH基の数は2とする。
【0032】
《難燃剤》
ウレタンフォームには難燃作用を付与するために、難燃剤を含有させることが好ましく、リン酸エステル等の液状難燃剤の使用が挙げられる。さらに難燃性を向上させるために、赤リン、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ウレタンフォームに使用される難燃剤は、不燃性、取り扱い性などの観点から、赤リンとリン酸エステルを含むことがさらに好ましい。また、難燃剤は、赤リンとリン酸エステルと、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種とからなるものも好ましい。
【0033】
〈赤リン〉
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。赤リンは、赤リン単体で配合される必要はなく、適宜、表面処理などがされていてもよい。
ウレタンフォームにおける赤リンの配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、3.0~18質量部の範囲であることが好ましく、4.0~12質量部であることがより好ましい。赤リンの配合量を上記下限値以上とすることで、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、ウレタンフォームに不燃性を付与しやすくなる。また赤リンの配合量を上記上限値以下とすることでウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。なお、ウレタン樹脂は、上記したように、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の反応生成物であり、ウレタン樹脂100質量部とは、ウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の合計100質量部を意味する。
【0034】
〈リン酸エステル〉
上記リン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。モノリン酸エステルは、分子中にリン原子を1つ有する化合物である。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
【0035】
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名FP-600、FP-700)等を挙げることができる。
【0036】
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。リン酸エステルは一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0037】
リン酸エステルの配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
リン酸エステルの配合量を上記下限値以上とすることで、火災時にウレタンフォームから形成される緻密残渣が割れることを防止できる。また、リン酸エステルの配合量を上記上限値以下とすることでウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。また、上記範囲内とすることで不燃性を付与しやすくなる。
【0038】
〈リン酸塩含有難燃剤〉
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、前記各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
リン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。また前記芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよい。
【0039】
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、 リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
【0040】
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、前記リン酸塩含有難燃剤の自己消火性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することがより好ましい。
リン酸塩含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0041】
リン酸塩含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
リン酸塩含有難燃剤の配合量が上記下限値以上であると、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また、リン酸塩含有難燃剤の配合量が上記上限値以下とするとウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
【0042】
〈臭素含有難燃剤〉
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、 架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
臭素含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0043】
本発明に使用する臭素含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~50質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
臭素含有難燃剤の配合量を上記下限値以上とすると、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また臭素含有難燃剤の配合量を上記上限値以下とすると、ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
【0044】
〈ホウ素含有難燃剤〉
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。
ホウ素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0045】
ホウ素含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~50質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
ホウ素含有難燃剤の配合量が上記下限値以上であると、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。またホウ素含有難燃剤の配合量が上記上限値以下とするとウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
【0046】
〈アンチモン含有難燃剤〉
また本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0047】
アンチモン含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~50質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。アンチモン含有難燃剤の配合量が上記下限値以上であることで、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。またアンチモン含有難燃剤の配合量が上記上限値以下とするとウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
【0048】
〈金属水酸化物〉
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することもできる。
【0049】
金属水酸化物の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~50質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。金属水酸化物の配合量が上記下限値以上であることで、ウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また金属水酸化物の配合量が上記上限値以下であることでウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
【0050】
上記難燃剤の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記の(a)~(n)のいずれか等が挙げられ、これらの中では赤リンとリン酸エステルとを少なくとも含む組み合わせが好ましい。
(a)赤リンおよびリン酸エステル
(b)赤リンおよびリン酸塩含有難燃剤
(c)赤リンおよび臭素含有難燃剤
(d)赤リンおよびホウ素含有難燃剤
(e)赤リンおよびアンチモン含有難燃剤
(f)赤リンおよび金属水酸化物
(g)赤リン、リン酸エステルおよびリン酸塩含有難燃剤
(h)赤リン、リン酸エステルおよび臭素含有難燃剤
(i)赤リン、リン酸エステルおよびホウ素含有難燃剤
(j)赤リン、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(k)赤リン、リン酸塩含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(l)赤リン、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(m)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(n)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
【0051】
難燃剤の合計配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、4.5~70質量部の範囲であることが好ましく、4.5~40質量部の範囲であることがより好ましく、4.5~30質量部の範囲であることが更に好ましく、4.5~20質量部の範囲であることが最も好ましい。
難燃剤の配合量を上記下限値以上とすると、ウレタンフォームに不燃性を付与しやすくなる。また、火災時に、ウレタンフォームから形成される緻密残渣が割れることを防止できる。難燃剤の配合量を上記上限値以下とすると、ウレタン樹脂組成物の発泡が難燃剤により阻害されない。
【0052】
本発明のウレタンフォームは、上記したとおり、ウレタン樹脂組成物を硬化し発泡して形成される。ウレタン樹脂組成物は、上記したポリオール化合物とイソシアネート化合物と難燃剤を含み、かつ一般的にはさらに、触媒、発泡剤、及び整泡剤を含む。
【0053】
《触媒》
ウレタン樹脂組成物は、触媒として、例えば樹脂化触媒、三量化触媒、又はこの両方を含有するとよいが、両方を含有することが好ましい。樹脂化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネートとの反応を促進させる触媒である。
【0054】
樹脂化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル,N´-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等の窒素原子含有触媒等が挙げられる。
樹脂化触媒の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.02~5質量部の範囲であることが好ましく、0.04~3質量部の範囲であることがより好ましく、0.04~2質量部の範囲であることが更に好ましく、0.06~1質量部の範囲であることが最も好ましい。
樹脂化触媒の配合量を上記下限値以上とすることで、ウレタン結合の形成が促進され、硬化性が良好となる。また、樹脂化触媒の配合量を上記上限値以下とすることで適切な発泡速度を維持することができ取扱いやすい。
【0055】
三量化触媒は、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒を使用することで、不燃性を向上させやすくなる。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。
【0056】
三量化触媒の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.6~10質量部の範囲であることが好ましく、0.6~8質量部の範囲であることがより好ましく、0.6~6質量部の範囲であることが更に好ましく、0.6~3.0質量部の範囲であることが最も好ましい。
三量化触媒の配合量を上記下限値以上とすると、イソシアネートの三量化が阻害される不具合が生じない。また、三量化触媒の配合量を上記上限値以下とすると、適切な発泡速度を維持することができ、取扱いやすい。
【0057】
《発泡剤》
ウレタン樹脂組成物に含有される発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。発泡剤の具体例としては、例えば、水、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン等のフッ素化合物、CHF 、CH 、CH F等のハイドロフルオロカーボン、ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロオレフィン化合物、ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、あるいはこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
【0058】
ウレタン樹脂組成物に使用する発泡剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1~30質量部の範囲であることが好ましい。また、発泡剤は、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1~18質量部の範囲であることがより好ましく、0.5~18質量部の範囲であることが更に好ましく、1~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
発泡剤の含有量を上記下限値以上とすると、発泡が促進され、得られるウレタンフォームの密度を低減することができる。発泡剤の含有量を上記上限値以下とすると、発泡体が破泡せず、発泡体が形成されないことを防ぐことができる。
【0059】
《整泡剤》
ウレタン樹脂組成物に含有される整泡剤は、ウレタン樹脂組成物の発泡性を向上させる。
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
ウレタン樹脂に対する整泡剤の配合量は、例えば、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲であれば好ましい。
樹脂化触媒、三量化触媒、発泡剤及び整泡剤はそれぞれ一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0060】
ウレタン樹脂組成物は、さらに無機充填材を含有してもよい。無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
無機充填材は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0061】
さらにウレタン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
【0062】
さらにウレタン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、沈降防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、粘着付与樹脂等の添加剤を含むことができる。
【0063】
ウレタン樹脂組成物は、2液硬化型であることが好ましく、ウレタンフォーム形成前においては、1液と2液に分割しておくとよい。2液硬化型を使用することで発泡性が良好となり独立気泡率を高くしやすくなる。具体的には、ポリオール化合物を含むポリオール液剤(1液)と、ポリイソシアネート化合物を含むイソシアネート液剤(2液)に分割しておくとよい。この際、ウレタン樹脂組成物に含有されるポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物以外の成分は、適宜、ポリオール液剤又はイソシアネート液剤のいずれかに配合しておくとよいが、好ましくはポリオール液剤に配合する。ポリオール化合物は、反応性が低く、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物以外の成分と混合させても、副反応が生じにくいためである。発泡剤は予めポリオール液剤又はイソシアネート液剤に配合していてもよいし、吐出・混合装置内でポリオール液剤又はイソシアネート液剤に配合してもよく、上記2液に対して別途3つ目の成分として3液型としてもよい。
【0064】
ウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物を含む1液と、ポリオール化合物を含む2液とを別の収納室に収納して、各収納室から供給された1液と2液とを、混合部などで混合させることで反応が開始し、時間の経過と共に粘度が上昇し、硬化及び発泡が進行し、流動性を失い、ウレタンフォームとなる。各収納室は、別々の容器に設けられてもよいし、1つの容器内に2つの収納室が設けられてもよい。
ウレタン樹脂組成物は、通常、常温付近(例えば、10~40℃程度)に放置することで硬化及び発泡をさせるとよいが、必要に応じて、加熱等してもよい。
【0065】
(乾式材料)
充填物30としての乾式材料は、中空部を充填することができ、難燃性及び耐火性に優れたものであれば特に限定はなく、例えば、ロックウール、グラスウール及びセルロースファイバー等の難燃性繊維材料が挙げられる。
【0066】
充填物30としての乾式材料の密度は、20~200kg/mの範囲であることが好ましく、35~160kg/mの範囲であることがより好ましく、50~150kg/mの範囲であることがさらに好ましい。充填物30としての乾式材料の密度が上記下限値以上であることで、所望の難燃性、難燃性を発現しやすくすることができる。また、充填物30としての乾式材料の密度が上記上限値以下であることで、作業性を向上させることができる。
【0067】
[構造物の施工方法]
本発明の実施形態に係る構造体の施工方法は、以下の工程A~工程Dを有する。
工程A:一方の面11D側にリブ12が設けられた型枠支持材11を建築構造物に敷設する工程
工程B:型枠支持材11の反対面11U側にコンクリート20を打設する工程
工程C:リブ12の内部に耐火材料よりなる充填物30を充填する工程
工程D:リブ12の少なくとも一部を切断する工程
【0068】
本施工方法では、工程Aにおいて、図1に示すように、例えば、型枠支持材11を建築構造物である支持材14間に架設する。工程Bにおいて、工程Aの後、敷設された型枠支持材11の反対面11U上にコンクリート20を打設する。工程Cにおいて、リブ12の内部に耐火材料よりなる充填物30を充填し、リブ12の内部の中空部を充填物30により閉塞する。
【0069】
一実施形態において、工程Cは、工程Dの前に行う。工程Dの前に工程Cを行う場合、工程Cは、工程Aの前に行ってもよく、工程Aの後に行ってもよい。工程Aの後に行う場合には、工程Bの前に行ってもよく、工程Bの後に行ってよい。
工程Dの前に工程Cを行う場合、充填物30は、リブ12に設けられた孔(図示しない)から充填されるとよい。孔は、例えばリブ12の底面に設けられるとよい。孔から充填物30を充填する場合においては、充填を容易にする観点から、充填物30は湿式材料が好ましく、有機発泡体であることがより好ましい。また、充填物30の充填は、型枠支持材11の製造時、例えばリブ12を成形しながら行ってもよい。
工程Dの前に工程Cを行う場合、充填物30は、リブ12の内部の全体に充填することが好ましい。充填物30は、リブ12の内部の全体に充填することで、リブ12を切断した後に、図5(a)及び図5(b)で示したような態様とするとよい。
ただし、充填物30は、リブ12の内部に部分的に充填してもよい。この場合、予めリブ12の切断箇所を予測しておいて、その予測した切断箇所近傍に充填物を充填することで、リブ12を切断した後に、図4(a)及び図4(b)で示したような態様とするとよい
【0070】
別の一実施形態において、工程Cは、工程Dの後で行う。この場合においては、リブ12の切断面12C,12Dから充填物30を充填することが好ましい。充填物30は、図5(a)及び図5(b)で示したように、リブ12の切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間の全てに渡り全体充填した態様としてもよく、図4(a)及び図4(b)で示したように、リブ12の切断面12C,12Dからリブ12の端部12A,12Bまでの間の部分充填の態様としてもよい。
工程Dの後に、工程Cを行う場合においては、充填物30として湿式材料及び乾式材料のいずれも容易に充填することができる。
また、湿式材料の場合には、全体充填及び部分充填のいずれでもよいが、全体充填も好適に行うことができる。乾式材料の場合には、部分充填を好適に行うことができる。
ただし、工程Cは、工程Dの後で行う実施形態でも、切断面とは別にリブ12に設けられた孔(図示しない)から充填物30を充填してもよい。
【0071】
工程Dは、壁などの区画材又は挿通体などを通すダクト等を設置する前に、区画材又はダクトと干渉するリブ12の少なくとも一部を切断して除去する工程である。工程Dでは、ダクトを通す場合などには、打設したコンクリート20も合わせて除去するとよい。一方で、区画材を設ける場合などには、コンクリート20を取り除かずに、区画材と干渉するリブ12の一部分とそのリブ12の一部分に対応するフラット部を取り除くとよい。
工程Dは、工程Cの後に行う場合には、内部に耐火材料よりなる充填物30が充填されたリブ12の少なくとも一部を切断する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 構造体
11 型枠支持材
12 リブ
12A,12B 端部
12C,12D 切断面
14 支持材
20 コンクリート
30 充填物
図1
図2
図3
図4
図5