(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134054
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220907BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220907BHJP
【FI】
G16H20/10
G06Q30/02 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033065
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】516302270
【氏名又は名称】株式会社カケハシ
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】工藤 知也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】患者に薬剤の継続的な服用を促して、疾患の治療を継続してもらうための方法を提供する。
【解決手段】まず、患者は、書類120に記載された二次元コード121をスマホなどの端末110によって撮影して第1の処方情報を生成し、装置100に送信する(S201)。第1の処方情報を受信した装置100は、第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定する(S202)。装置100は、次に、ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定する(S203)。次いで、装置100は、対象期間内に、患者端末110から、第2の処方情報を受信し(S205)、第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報がギフト付与の条件を充足する場合、当該患者にギフトを付与する(S206)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法であって、
第1の処方情報を受信するステップと、
前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定するステップと、
前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定するステップと、
前記対象期間内に、第2の処方情報を受信するステップと、
前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与するステップと、
前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記対象期間の設定の後に、前記対象期間が設定された旨の通知を前記患者が用いる端末に送信するステップをさらに含む。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記対象期間は、前記ギフトの対象である薬剤の処方量に応じて決定する。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
前記ギフト付与の前記条件は、薬剤の適応症が同一であることを含む。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、
前記対象期間の開始日の所定日数前に前記患者が用いる端末に前記対象期間が近づいている旨の通知を送信するステップをさらに含む。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の処方情報及び前記第2の処方情報は、前記患者が用いる端末にインストールされたアプリケーションからユーザー識別子とともに送信される。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の処方情報は、前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤を交付した第1の薬局の第1のサーバから前記患者の患者識別情報と関連づけて送信され、
前記第2の処方情報は、前記第2の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤を交付した第2の薬局の第2のサーバから前記患者の患者識別情報と関連づけて送信される。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、
前記第1の薬局が用いる端末から、前記患者の患者識別情報と関連づけてユーザー識別子を受信するステップと、
前記第1の処方情報と関連づけられた前記患者識別情報に基づいて、前記患者識別情報に関連づけられた前記ユーザー識別子を判定するステップと
を含む。
【請求項9】
コンピュータに、患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
第1の処方情報を受信するステップと、
前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定するステップと、
前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定するステップと、
前記対象期間内に、第2の処方情報を受信するステップと、
前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与するステップと、
前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信するステップと
を含む。
【請求項10】
患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置であって、
第1の処方情報を受信し、
前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定して、前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定し、
前記対象期間内に、第2の処方情報を受信し、
前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与し、
前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医師の診断を受けた患者は発行された処方箋を薬局で渡し、薬剤師から薬剤を受け取る。患者は、薬剤を受け取る際に薬剤師から服薬指導を受ける。出願人による特許文献1には、薬剤師が十分な服薬指導を患者に対して行うことを可能とするための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、薬剤師は、患者が適切に薬剤を服用できるよう指導を行っており、それを円滑に行うための技術も存在するものの、たとえば慢性疾患等の症状の出にくい疾患であると患者は数か月程度で服用を止めてしまい、また通院も止めてしまうことがある。このように治療を中断してしまうとその後疾患の重症化が進んでしまう。治療開始から半年以内に6~8割の患者が治療を中断してしまうという調査結果もあり、これは逆に、治療を半年程度続けられれば、治療が継続される傾向が強いことを意味する。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者に薬剤の継続的な服用を促して、疾患の治療を継続してもらうための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法であって、第1の処方情報を受信するステップと、前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定するステップと、前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定するステップと、前記対象期間内に、第2の処方情報を受信するステップと、前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与するステップと、前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信するステップとを含む。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記対象期間の設定の後に、前記対象期間が設定された旨の通知を前記患者が用いる端末に送信するステップをさらに含む。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の方法であって、前記対象期間は、前記ギフトの対象である薬剤の処方量に応じて決定する。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の方法であって、前記ギフト付与の前記条件は、薬剤の適応症が同一であることを含む。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様の方法であって、前記対象期間の開始日の所定日数前に前記患者が用いる端末に前記対象期間が近づいている旨の通知を送信するステップをさらに含む。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様の方法であって、前記第1の処方情報及び前記第2の処方情報は、前記患者が用いる端末にインストールされたアプリケーションからユーザー識別子とともに送信される。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第1から第5のいずれかの態様の方法であって、前記第1の処方情報は、前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤を交付した第1の薬局の第1のサーバから前記患者の患者識別情報と関連づけて送信され、前記第2の処方情報は、前記第2の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤を交付した第2の薬局の第2のサーバから前記患者の患者識別情報と関連づけて送信される。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様の方法であって、前記第1の薬局が用いる端末から、前記患者の患者識別情報と関連づけてユーザー識別子を受信するステップと、前記第1の処方情報と関連づけられた前記患者識別情報に基づいて、前記患者識別情報に関連づけられた前記ユーザー識別子を判定するステップとを含む。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、第1の処方情報を受信するステップと、前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定するステップと、前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定するステップと、前記対象期間内に、第2の処方情報を受信するステップと、前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与するステップと、前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信するステップとを含む。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置であって、第1の処方情報を受信し、前記第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定して、前記ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定し、前記対象期間内に、第2の処方情報を受信し、前記第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報が、前記ギフト付与の条件を充足する場合、前記患者に前記ギフトを付与し、前記ギフトが付与されたことを表すギフト情報を前記患者が用いる端末に送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、患者から第1の処方情報に続いて第2の処方情報を受信し、これらの処方情報が所定の条件を充足する場合にギフトを付与することにより、薬剤の交付を再度受けるための時限の契機を与えて、服薬アドヒランスを高めて治療の継続を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態にかかる患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置を示す図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法の流れ図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる処方情報の一例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態にかかる患者に薬剤の継続的な服用を促すための装置を示す図である。
【
図5】第2の実施形態にかかる患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態にかかる装置を示す。装置100は、患者が用いる患者端末110から、第1及び第2の処方情報を受信し、これらの処方情報が所定の条件を充足する場合に、当該患者にギフトを付与する。
【0020】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部103において実行することができる。装置100は、後述する処理で用いるさまざまなデータを記憶するデータベース104をさらに備えることができるが、以下では記憶部103に記憶される例として記述する。
【0021】
患者端末110は、スマホ、タブレットなどの携帯端末とすることができ、撮像素子111を備え、処方箋に記載された処方情報を表す二次元コード121を撮像して、処方情報を生成する。二次元コード121は、お薬手帳データシートなどの薬剤とともに交付される書類120に記載されていることが多い。処方された薬剤の量によっては、複数の二次元コード121に分けて処方情報が表されていることがある。
【0022】
図2に、本実施形態にかかる患者に薬剤の継続的な服用を促すための方法の流れ図を示す。まず、患者は、書類120に記載された二次元コード121をスマホなどの端末110によって撮影して第1の処方情報を生成し、装置100に送信する(S201)。ここで、二次元コード121は、書類120に記載されたものとして説明したが、電子的に端末110が受信してもよく、二次元コード121を処理することによって二次元コード121により表される第1の処方情報が生成されればよい。
【0023】
図3に、生成された第1の処方情報の一例を示す。患者氏名として「中尾 豊」、薬剤名として「ロスバスタチン錠2.5mg」、用法として「1日1回」などの服用回数、「朝食後」などの服用時間、処方量として「21日分」が含まれている。図示するように「ロスバスタチン錠2.5mg」以外にも薬品名が含まれ、複数の薬剤に関する情報が処方情報に含まれることがある。第1の処方情報300の形式は、二次元コード121を生成したシステムによって必ずしも同一ではない。
【0024】
端末110には、この方法を実行するためのアプリケーション又はプログラムがインストールされており、当該アプリケーションによって第1の処方情報が生成され、送信されるようにすることができる。患者が当該アプリケーションにサインインすることによって、当該患者のユーザー識別子とともに第1の処方情報を送信することも可能となる。
【0025】
また、端末110では、二次元コード121を撮像して得られた第1の処方情報に含まれる患者情報及び当該アプリケーションのユーザー情報に基づいて、第1の処方情報が端末110を用いる患者本人のものであるか否かの本人確認を行うことが好ましい。より具体的には、患者情報として患者の氏名及び生年月日が含まれ、ユーザー情報としてもユーザーの氏名及び生年月日が含まれるようにし、これらを突合することによって、本人確認を行うことが考えられる。ここで、ユーザー情報は、端末110に記憶されているか、端末110又は端末110で実行される当該アプリケーションが装置100と通信を行い、アクセス可能である。本人確認を端末110で行うものとして記述したが、これは、第1の処方情報を送信した後に装置100で行うことも可能である。
【0026】
第1の処方情報を受信した装置100は、第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定する(S202)。装置100がギフトの対象である薬剤の薬剤名又は薬剤識別子をギフト対象薬剤として記憶しておき、これを参照して判定を行うことができる。ここで「ギフト」とは、経済的利益を意味し、安価又は無料で商品を購入し、又は役務の提供を受けることのできるクーポン、換金可能なポイント等が挙げられる。
【0027】
装置100は、次に、ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定する(S203)。対象期間は、薬剤の処方量に応じて決定することが好ましい。
図3の例では、「ロスバスタチン錠2.5mg」は21日分処方されている。調剤日である令和3年2月5日から21日後の2月25日には薬剤がなくなることから、対象期間を薬剤がなくなる日の近傍に設定することによって、患者が再度受診し、薬剤の交付を受けることで疾患の治療を継続することを促すことができる。一例として、調剤日に処方日数を加算した服用完了日前の所定日数の期間としたり、服用完了日前後の所定日数の期間としたりすることが挙げられる。
【0028】
装置100は、必要に応じて、対象期間の設定の後に、対象期間が設定された旨の通知を患者端末110に送信してもよい(S204)。当該通知は、患者端末110で動作するアプリケーション上で患者の注意を惹くように表示することができる。また、対象期間の開始日の所定日数前に対象期間が近づいている旨の通知を送信したり、対象期間の終了日の所定日数前に対象期間の終了が近づいている旨の通知を送信したりすることが考えられる。
【0029】
次いで、装置100は、対象期間内に、患者端末110から、第2の処方情報を受信し(S205)、第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報がギフト付与の条件を充足する場合、当該患者にギフトを付与する(S206)。
【0030】
第2の処方情報は、第1の処方情報と同様に、薬剤とともに交付される二次元コード121を撮像して生成されるものであり、それにより表される1又は複数の薬剤は、第1の処方情報により表される1又は複数の薬剤の交付を受けた薬局と同一の薬局で交付を受けても、異なる薬局で交付を受けてもよい。一例として、患者が同一ユーザーとしてサインインしていれば、第2の処方情報は、第1の処方情報と同一のユーザー識別子とともに装置100に送信され、装置100において、同一の患者に関連づけられたものであることが判別できる。
【0031】
第2の処方情報が対象期間内に受信され、第2の処方情報が第1の処方情報と同一の患者に関連づけられ、ギフト付与の対象である薬剤と同一の薬剤が第2の処方情報に含まれる場合、当該患者にはギフトが付与される。しかし、必ずしも薬剤が同一でなくても、治療を継続していることはあり、第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤の適応症が同一である場合に、ギフトを付与することとしてもよい。一例として、先発医薬品から後発医薬品に処方薬が切り替わった場合、薬剤名が変わり、YJコード等の薬剤識別子も変わるものの、患者は治療を継続していると評価することが好ましい。用法の変化、用量の変化等も治療継続のために薬剤を飲み続けていると評価することのできる例である。
【0032】
ギフト付与の後に、装置100は、ギフトが付与されたことを表すギフト情報を患者端末110に送信する(S207)。患者端末110のアプリケーションにおいて、当該ギフトを用いることが可能となる。
【0033】
このように、患者から第1の処方情報に続いて第2の処方情報を受信し、これらの処方情報が所定の条件を充足する場合にギフトを付与することにより、薬剤の交付を再度受けるための時限の契機を与えて、服薬アドヒランスを高めて治療の継続を促すことができる。
【0034】
なお、上述の説明では、ギフト付与の対象期間を設定して、その後にギフトの付与を行うこととして記述したが、これは、ギフトを発行して、対象期間内に条件が充足された場合に当該ギフトを有効化すると表現してもよい。ここで「有効化」とは、ギフトを使用可能とすることを意味する。
【0035】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、装置100は、処方情報を患者端末110から受信したが、第2の実施形態では、薬局が用いるサーバから受信する。これにより、患者は二次元コード121を読み取るという追加の手間を必要とせずにギフト付与を受けることが可能になる。
【0036】
図4に、本実施形態にかかる装置を示す。装置400は、第1の薬局の第1のコンピュータ421から第1の処方情報を受信し、第2の薬局の第2のコンピュータ422から第2の処方情報を受信する。装置100は、患者が用いる患者端末410にギフトに関する通知を行い、また、第1の薬局で用いられる薬局端末423から、必要に応じて、患者のユーザー情報を受信する。装置400は、第1の実施形態にかかる装置100と同様の構成とすればよい。
【0037】
まず、装置400は、第1のコンピュータ421から、第1の処方情報を受信する(S501)。ここで、第1の処方情報は、第1の薬局で受け取られた処方箋に記載された1又は複数の薬剤に関する情報を含み、たとえばレセプトコンピュータにより生成される。装置400は、第1の薬局が用いる第1のコンピュータ421からコンピュータネットワークを介して直接第1の処方情報を受信する場合のほか、間に別個のサーバが介在する場合もあり、いずれでもよい。ここで、第1の処方情報は、第1の処方情報により表される1又は複数の薬剤の交付を受けた患者の患者識別情報と関連づけて送信されることが好ましい。第1の実施形態では、患者自ら第1の処方情報を送信するため、本人確認が必要となることがあったが、第2の実施形態では、第1の薬局が用いる第1のコンピュータ421から第1の処方情報が送信されるため、第1のコンピュータ421がアクセス可能な患者を一意又はほぼ一意に識別可能な患者識別情報と関連づけることで、追加の本人確認が必要とならない。但し、後述のように患者識別情報とユーザー識別子との対応づけは必要となる。ここで「患者識別情報」は、保険者番号及び被保険者番号の少なくとも一方と、生年月日及び氏名の少なくとも一方とを含み、一意又はほぼ一意に患者を識別可能な情報である。より好ましくは、患者識別情報は、保険者番号及び被保険者番号と、生年月日及び氏名の少なくとも一方とを含むことで、一意又はほぼ一意に患者を識別可能となる。
【0038】
装置400は、次に、患者識別情報に基づいて、当該患者識別情報に関連づけられたユーザー識別子を判定する(S502)。たとえば、ギフトプログラムに参加する第1の薬局で用いられる薬局端末423で、第1の薬局から送信されて装置400に記憶された第1の処方情報を閲覧可能とし、第1の薬局の薬剤師が患者からユーザー識別子を聞いて第1の処方情報に関連づけて入力しておくことが考えられる。このようにすることで、装置400において、患者の患者識別情報とユーザー識別子との対応づけを装置400において事前に保持しておくことができる。また、ユーザー識別子の入力は、患者端末410にユーザー識別子を表す二次元コードを表示させ、これを薬局端末423の撮像素子(図示せず)によって読み取ることで行うこともできる。また、患者端末410にギフトプログラムに参加するためのアプリケーション又はプログラムがインストールされており、当該アプリケーション上で患者識別情報が入力されれば、当該患者識別情報と当該患者に割り当てられたユーザー識別子とを装置400に送信し、装置400においてその対応づけを保持しておくなど、さまざまな方式で可能である。
【0039】
第1の処方情報が患者のユーザー識別子と関連づけられた後は、第1の実施形態と同様に、第1の処方情報に含まれる1又は複数の薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、各薬剤がギフトの対象か否かを判定し(S503)、ギフトの対象である薬剤について、ギフト付与の対象期間を設定する(S504)。装置100は、必要に応じて、対象期間の設定の後に、対象期間が設定された旨の通知を患者端末410に送信してもよい(S505)。
【0040】
次いで、装置400は、設定された対象期間内に、第2の薬局の第2のコンピュータから、第2の処方情報を患者の患者識別情報と関連づけて受信する(S506)。第2の薬局は、第1の薬局と同一でも同一でなくてもよい。装置400では、第2の処方情報が第1の処方情報と同一の患者に関連づけられたものであるか否かの判別が必要であるところ、患者識別情報からユーザー識別子を判定して(S507)、ユーザー識別子の一致不一致によりこれを行ってもよいし、患者識別情報の一致不一致により行ってもよい。
【0041】
そして、装置400は、第1の実施形態と同様に、第2の処方情報に含まれるいずれかの薬剤に関する薬剤情報がギフト付与の条件を充足する場合、当該患者にギフトを付与する(S508)。ギフト付与の条件についても、第1の実施形態と同様である。
【0042】
なお、上述の説明では、第1の処方情報が患者識別情報に関連づけて装置400に送信されたが、第1のコンピュータ421においてユーザー識別子との関連づけを行い、ユーザー識別子と関連づけて装置400に送信することも考えられる。第2の処方情報についても同様である。ユーザー識別子は、患者から口頭その他の方式により取得して、第1のコンピュータ421に当該患者の患者識別情報と関連づけて記憶してもよい。
【0043】
また、上述の実施形態において、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0044】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0045】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 患者端末
111 撮像部
120 書類
121 二次元コード
300 第1の処方情報
400 装置
401 通信部
402 処理部
403 記憶部
404 データベース
410 患者端末
421 第1の薬局の第1のコンピュータ
422 第2の薬局の第2のコンピュータ
423 薬局端末