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特開2022-134068生体情報演算システム、サーバ、及びデータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134068
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】生体情報演算システム、サーバ、及びデータ構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20220907BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20220907BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20220907BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20220907BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220907BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220907BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20220907BHJP
【FI】
A61B5/145
A61B5/02 310A
A61B5/02 310J
A61B5/02 310Z
A61B5/022 400F
A61B5/0245 200
A61B5/1455
G06N20/00
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095741
(22)【出願日】2021-06-08
(62)【分割の表示】P 2021032880の分割
【原出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】520339242
【氏名又は名称】SSST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】倉沢 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】千野 駿
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA10
4C017AA12
4C017AA14
4C017AA20
4C017AB02
4C017AC03
4C017AC26
4C017BB12
4C017BC11
4C017BD01
4C017CC02
4C017FF05
4C038KK01
4C038KK05
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】生体情報を評価する際の精度向上を図ることができる生体情報演算システムを提供する。
【解決手段】ユーザの脈波に基づく1つの脈波データに対し、それぞれ異なる種類の処理を実施することで、第1評価データ及び第2評価データを取得する取得手段と、データベースと、データベースを参照し、第1評価データに対する第1生体情報を含む第1評価結果、及び第2評価データに対する第1生体情報とは異なる種類の第2生体情報を含む第2評価結果、をそれぞれ生成する生成手段と、第1評価結果、及び第2評価結果を保存する保存手段と、を備える。データベースには、第1評価データ及び第2評価データを処理するために用いられる分類情報が記憶される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、
前記ユーザの脈波に基づく1つの脈波データに対し、それぞれ異なる種類の処理を実施することで、第1評価データ及び第2評価データを取得する取得手段と、
前記第1評価データ及び前記第2評価データを処理するために用いられる分類情報が記憶されたデータベースと、
前記データベースを参照し、
前記第1評価データに対する第1生体情報を含む第1評価結果、及び
前記第2評価データに対する前記第1生体情報とは異なる種類の第2生体情報を含む第2評価結果、
をそれぞれ生成する生成手段と、
前記第1評価結果、及び前記第2評価結果を保存する保存手段と、
を備えること
を特徴とする生体情報演算システム。
【請求項2】
請求項1記載の前記第1評価結果、及び前記第2評価結果が保存されたことを特徴とするサーバ。
【請求項3】
表示部、制御部及び記憶部を備えるコンピュータに用いられ、前記記憶部に記憶されるデータ構造であって、
請求項1記載の生体情報演算システムにより生成された前記第1評価結果、及び前記第2評価結果を含み、
前記第1評価結果、及び前記第2評価結果は、前記制御部が前記ユーザの特徴を総合的に評価した総合評価結果を生成する際に用いられること
を特徴とするデータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報演算システム、サーバ、及びデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの血中二酸化炭素分圧(PaCO)等の生体情報を評価する方法として、例えば特許文献1のような方法が提案されている。
【0003】
特許文献1では、互いに異なる光波長を有する少なくとも2つの容積脈波のそれぞれについての平均フレームを構成した後、それら2つの容積脈波についての2つの平均フレーム間のゲインを推定するために用いることが可能であり、そのゲイン値を、血中酸素飽和度を取得するための情報、または血中に存在する他の成分、例えば、ヘモグロビン、二酸化炭素またはその他のようなものを推定するために用いてもよい旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-513876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えばユーザの生体情報を評価する際、一度に複数の生体情報に関する評価が望まれている。この点、特許文献1の開示技術では、生体情報のうち血中二酸化炭素飽和度や、ヘモグロビン等を測定する際、2つの容積脈波を用いることを前提としている。このため、各容積脈波の計測条件に起因するデータのばらつきが、推定精度に大きく影響する場合がある。また、特許文献1の開示技術を用いて複数の生体情報を推定する場合には、生体情報の数や種類に応じた複数の容積脈波を取得する必要がある。このため、複数の生体情報を推定するために必要な容積脈波の数に比例して、容積脈波毎のばらつきに起因した推定精度の低下が懸念として挙げられる。従って、生体情報を評価する際の精度向上が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、生体情報を評価する際の精度向上を図ることができる生体情報演算システム、サーバ、及びデータ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る生体情報演算システムは、ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、前記ユーザの脈波に基づく1つの脈波データに対し、それぞれ異なる種類の処理を実施することで、第1評価データ及び第2評価データを取得する取得手段と、前記第1評価データ及び前記第2評価データを処理するために用いられる分類情報が記憶されたデータベースと、前記データベースを参照し、前記第1評価データに対する第1生体情報を含む第1評価結果、及び前記第2評価データに対する前記第1生体情報とは異なる種類の第2生体情報を含む第2評価結果、をそれぞれ生成する生成手段と、前記第1評価結果、及び前記第2評価結果を保存する保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係るサーバは、第1発明における前記第1評価結果、及び前記第2評価結果が保存されたことを特徴とする。
【0009】
第3発明に係るデータ構造は、表示部、制御部及び記憶部を備えるコンピュータに用いられ、前記記憶部に記憶されるデータ構造であって、請求項1記載の生体情報演算システムにより生成された前記第1評価結果、及び前記第2評価結果を含み、前記第1評価結果、及び前記第2評価結果は、前記制御部が前記ユーザの特徴を総合的に評価した総合評価結果を生成する際に用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、取得手段は、1つの脈波データに対し、それぞれ異なる種類の処理を実施することで、第1評価データ及び第2評価データを取得する。また、生成手段は、第1評価データに対する第1生体情報を含む第1評価結果、及び第2評価データに対する第1生体情報とは異なる種類の第2生体情報を含む第2評価結果、をそれぞれ生成する。即ち、第1生体情報及び第2生体情報は、1つのユーザの脈波に基づき算出される。このため、各生体情報を算出する際、脈波の計測条件に起因するばらつきを排除することができる。これにより、生体情報を評価する際の精度向上を図ることが可能となる。
【0011】
特に、第2発明によれば、サーバは、生体情報を評価する際の精度向上を図った第1評価結果、及び第2評価結果を保存することが可能となる。
【0012】
特に、第3発明によれば、データ構造は、生体情報を評価する際の精度向上を図った第1評価結果、及び第2評価結果を含み、総合評価結果を生成する際に用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態における生体情報演算システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図3図3(a)は、分類情報の一例を示す模式図であり、図3(b)は、分類情報の他の例を示す模式図である。
図4図4(a)~図4(d)は、センサデータに対する処理の例を示す模式図である。
図5図5(a)は、生体情報演算装置の構成の一例を示す模式図であり、図5(b)は、生体情報演算装置の機能の一例を示す模式図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、センサの一例を示す模式図である。
図7図7は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第2実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図9図9は、第2実施形態における生体情報演算システムの動作の変形例を示す模式図である。
図10図10は、第3実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図11図11は、第4実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図12図12は、加速度脈波に相当するデータの分類例を示す模式図である。
図13図13は、速度脈波に相当するデータの分類例を示す模式図である。
図14図14は、第4実施形態における生体情報演算システムの動作の第1変形例を示す模式図である。
図15図15は、第4実施形態における生体情報演算システムの動作の第2変形例を示す模式図である。
図16図16は、第4実施形態における生体情報演算システムの動作の第3変形例を示す模式図である。
図17図17は、第5実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図18図18は、第6実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態における生体情報演算システム、サーバ、及びデータ構造の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1実施形態:生体情報演算システム100)
図1は、第1実施形態における生体情報演算システム100の一例を示す模式図である。
【0016】
生体情報演算システム100は、ユーザの生体情報を評価するために用いられる。生体情報演算システム100は、ユーザの脈波に基づく複数の評価データから、それぞれ異なる種類の生体情報を含む複数の評価結果を生成し、各評価結果を保存することができる。即ち、ユーザから計測された1つの脈波に基づき、複数種類の生体情報を含む評価結果の生成を実現できる。なお、「生体情報」とは、例えば脈波から推定できる血液の特徴や、体の特徴等を示す。
【0017】
生体情報として、例えば血中二酸化炭素の特徴が用いられるほか、例えば血糖値、血圧、酸素飽和度、乳酸値、脈拍数、呼吸数、ストレスレベル、血管年齢、糖尿病の程度等が用いられる。なお、「血中二酸化炭素の特徴」とは、ユーザの血液に含まれる二酸化炭素の程度を示す。血中二酸化炭素の特徴として、例えば血中二酸化炭素分圧(PaCO)の値が用いられるほか、血中二酸化炭素の溶存濃度や、血液に含まれる重炭酸・バイカーボネート(HCO )の濃度が用いられてもよく、状況に応じて血液のpHを考慮した値が用いられてもよい。
【0018】
生体情報演算システム100は、例えば図1に示すように、生体情報演算装置1を備え、例えばセンサ5及びサーバ4の少なくとも何れかを備えてもよい。生体情報演算装置1は、例えば通信網3を介してセンサ5やサーバ4と接続される。
【0019】
生体情報演算システム100では、例えば図2(a)に示すように、生体情報演算装置1が、センサ5等により生成されたセンサデータを取得する。センサデータは、特定の期間に計測された1つのユーザの脈波の特徴を含むデータを示す。その後、生体情報演算装置1は、取得した1つのセンサデータに対し、フィルタ処理等の前処理を実施し、複数の評価データ(例えば第1評価データ及び第2評価データ)を取得する。即ち、生体情報演算装置1は、各評価データを取得する際、1つのセンサデータに対し、それぞれ異なる種類の前処理を実施する。
【0020】
生体情報演算装置1は、データベースを参照し、各評価データに対してそれぞれ異なる種類の生体情報(例えば第1生体情報及び第2生体情報)を算出する。その後、生体情報演算装置1は、それぞれ異なる種類の生体情報を含む複数の評価結果(例えば第1評価結果及び第2評価結果)を生成する。即ち、複数の生体情報は、1つのユーザの脈波に基づき算出される。このため、各生体情報を算出する際、脈波の計測条件に起因するばらつきを排除することができる。これにより、生体情報を評価する際の精度向上を図ることが可能となる。
【0021】
ここで、生体情報演算装置1は、各評価データに対する生体情報を算出する際、データベースを参照する。データベースには、複数の学習用データを用いて生成された分類情報が記憶される。
【0022】
分類情報は、例えば図3(a)に示すように、過去に取得された学習用脈波に基づく入力データ、及び入力データに紐づく生体情報を含む参照データの一対を学習用データとして、複数の学習用データを用いて生成される。このため、生体情報を算出する際、過去に実績のある脈波の特徴と生体情報との繋がりを踏まえ、定量的な各評価結果を生成することができる。これにより、ユーザ等の主観に伴う評価のばらつきを抑制することが可能となる。
【0023】
なお、分類情報は、例えば図3(b)に示すように、異なる種類の学習データを用いて生成された複数の分類情報(例えば第1分類情報、及び第2分類情報)を含んでもよい。この場合、評価データ毎の種類に応じて最適な分類情報を参照し、各評価結果を生成することができる。
【0024】
生体情報演算装置1は、生成した複数の評価結果をサーバ4等に保存する。これにより、各評価結果の二次利用が容易に実現できる。
【0025】
生体情報演算装置1は、例えば生成した各評価結果をディスプレイ等に出力する。これにより、ユーザは、生成された複数の評価結果を把握することができる。
【0026】
なお、生体情報演算システム100では、例えばセンサ5等から複数の評価データを取得してもよい。この場合、センサデータから複数の評価データを取得する前処理は、センサ5等により実施される。
【0027】
<センサデータ>
センサデータは、ユーザの脈波の特徴を示すデータを含み、例えば脈波以外の特徴を示すデータ(ノイズ)を含んでもよい。センサデータは、測定時間に対する振幅を示すデータであり、用途やセンサデータの生成条件に応じたフィルタ処理を実施することで、センサデータから加速度脈波や速度脈波等に相当するデータを取得することができる。
【0028】
センサデータは、ひずみセンサ、ジャイロセンサ、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ等の公知のセンサにより生成することができる。センサデータは、デジタル信号のほか、例えばアナログ信号でもよい。なお、センサデータを生成する際の測定時間は、例えば脈波の1~20周期分の測定時間であり、センサデータの処理方法や、データ通信方法等の条件に応じて、任意に設定することができる。
【0029】
<評価データ>
評価データは、生体情報を算出するためのデータを示す。評価データは、例えばユーザの脈波に基づく加速度脈波に相当するデータを示し、特定の周期(例えば1周期)に対する振幅を示す。
【0030】
評価データは、センサデータを生体情報演算装置1等によって処理(前処理)を実施することで取得される。例えば図4(a)~図4(d)に示すように、センサデータに対して複数の処理を実施することで、評価データを得ることができる。各処理の詳細については、後述する。
【0031】
<データベース>
データベースは、主に、評価データに対する評価結果を生成する際に用いられる。データベースには、1つ以上の分類情報が記憶されるほか、例えば分類情報の生成に用いられた複数の学習用データが記憶されてもよい。
【0032】
分類情報は、例えば予め取得された過去の評価データ(入力データ)と、生体情報を含む参照データとの相間関係を示す関数である。分類情報は、例えば入力データを説明変数とし、参照データを目的変数として、回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。分類情報は、例えば検量モデルを定期的に更新することができるほか、ユーザの性別、年齢、運動内容等の属性情報毎に生成された複数の検量モデルを含んでもよい。
【0033】
分類情報を生成する際に用いる回帰分析の方法として、例えばPLS(Partial Least Squares)回帰分析、クラス毎に主成分分析を行って主成分モデルを得るSIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)法を利用した回帰分析等を用いることができる。
【0034】
分類情報は、例えば複数の学習用データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデルを含んでもよい。学習済みモデルは、例えばCNN(Convolutional Neural Network)等のニューラルネットワークモデルを示すほか、SVM(Support vector machine)等を示す。また、機械学習として、例えば深層学習を用いることができる。
【0035】
入力データは、評価データと同種のデータが用いられ、例えば対応する生体情報が明確となっている過去の評価データを示す。例えば、被検者にセンサ5等を装着させ、学習用脈波の特徴を示すセンサデータ(学習用センサデータ)を生成する。そして、学習用センサデータに対して処理を実施することで、入力データを取得することができる。なお、入力データは、生体情報演算システム100のユーザから取得するほか、例えばユーザとは別のユーザから取得してもよい。即ち、上述した被検者は、生体情報演算システム100のユーザであるほか、ユーザ以外を対象としてもよく、特定又は不特定の多数でもよい。
【0036】
入力データは、例えば評価データを取得する際に利用するセンサ5等の種類、センサデータの生成条件、及びセンサデータに対する処理条件と同様の内容によって取得されることが好ましい。例えば上記3つの内容を統一することで、生体情報を生成する際の精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0037】
参照データは、計測装置等を用いて計測された、被検者の生体情報を含む。例えば被検者にセンサ5等を装着させて学習用センサデータを生成する際、被検者の血中二酸化炭素の特徴等のような生体情報を計測することで、入力データに紐づく参照データを取得することができる。この場合、生体情報を計測するタイミングは、学習用センサデータを生成するタイミングと同時が好ましいが、例えば1~10分程度前後するタイミングでもよい。
【0038】
参照データは、公知の計測装置を用いて計測される。例えば血中二酸化炭素濃度の特徴を計測する場合、計測装置として、経皮血液ガスモニタTCM5(ラジオメーターバーゼル社製)等の装置が用いられる。例えば血中乳酸量を計測する場合、計測装置として、ラクテート・プロ2(アークレイ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。例えば酸素飽和度を計測する場合、計測装置として、PULSOX-Neo(コニカミノルタ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。
【0039】
<生体情報>
生体情報演算システム100において算出される生体情報は、参照データと同種のデータとして算出される。生体情報は、分類情報を参照し、参照データと同一又は類似のデータとして算出される。生体情報演算システム100では、例えば複数の評価データを任意の時系列に沿ってそれぞれ取得し、各評価データに対する複数の生体情報を複数生成する。また、生体情報演算システム100では、例えば任意のタイミング毎に複数の評価データを取得し、各評価データに対する複数の生体情報を複数算出してもよい。
【0040】
<評価結果>
評価結果は、生体情報演算装置1により算出されたユーザの生体情報を含む。評価結果には、生体情報のほか、例えば予め設定された閾値との比較結果が含まれてもよい。評価結果は、例えば時系列に沿った複数の生体情報に基づき導出した値を含んでもよい。評価結果には、例えば「健康」、「運動が必要」、「無酸素性運動中」等のような、ユーザの健康状態、健康維持に繋がる助言、運動能力の傾向に対する評価を示す情報が含まれてもよい。これにより、複数の生体情報毎の経時変化を容易に把握することができる。例えば評価結果を出力することで、ユーザの生体情報を把握することができる。
【0041】
<生体情報演算装置1>
生体情報演算装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等の電子機器を示し、例えばユーザの操作に基づいて、通信網3を介して通信可能な電子機器を示す。なお、生体情報演算装置1は、センサ5を内蔵してもよい。以下、生体情報演算装置1として、PCが用いられる場合の一例を説明する。
【0042】
図5(a)は、生体情報演算装置1の構成の一例を示す模式図であり、図5(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0043】
生体情報演算装置1は、例えば図5(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0044】
CPU101は、生体情報演算装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、データベースや評価データ等の各種情報が記憶される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば生体情報演算装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0045】
I/F105は、通信網3を介して、必要に応じてサーバ4やセンサ5等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、生体情報演算装置1のユーザ等は、入力部108を介して、各種情報、又は生体情報演算装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又は評価結果等を表示する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式の場合、入力部108と一体に設けられる。
【0046】
図5(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。生体情報演算装置1は、取得部11と、生成部12と、出力部13と、記憶部14とを備え、例えば学習部15を備えてもよい。なお、図5(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
<取得部11>
取得部11は、ユーザの脈波に基づく複数の評価データを取得する。取得部11は、例えばセンサ5等からセンサデータを取得したあと、センサデータに対して処理を実施することで、評価データを取得する。取得部11は、それぞれ異なる種類の処理を実施することで、1つのセンサデータに対して複数の評価データを取得する。
【0048】
取得部11は、例えば図4(a)に示すように、取得したセンサデータに対し、フィルタリング処理(フィルタ処理)を実施する。フィルタ処理では、例えば0.5~5.0Hzのバンドパスフィルタが用いられる。これにより、取得部11は、ユーザの脈波に相当するデータ(脈波データ)を抽出する。脈波データは、例えば速度脈波に相当するデータを示す。なお、脈波データは、例えば加速度脈波又は容積脈波に相当するデータを示してもよく、センサの種類や用途に応じて任意に設定できる。また、バンドパスフィルタのフィルタ範囲は、用途に応じて任意に設定することができる。
【0049】
取得部11は、例えば脈波データに対し、微分処理を実施する。例えば速度脈波に相当する脈波データに対して微分処理が実施される場合、取得部11は、加速度脈波に相当するデータ(微分データ)を取得する。なお、微分処理では、1回微分のほか2回微分が実施されてもよい。
【0050】
取得部11は、例えば微分データに対し、分割処理を実施する。分割処理では、例えば複数周期の加速度脈波に相当する微分データが、1周期毎の加速度脈波に相当するデータ(分割データ)に分割される。このため、取得部11は、例えば1つの微分データに対して微分処理を実施することで、複数の分割データを取得することができる。なお、分割処理では、用途に応じて任意の周期(例えば周期の正数倍)毎に、微分データを分割することができる。
【0051】
例えば分割処理において、分割した各分割データにおけるデータ量が、それぞれ異なる場合がある。この場合、取得部11は、最も少ないデータ量の分割データを特定し、他の分割データに対して、データ量の削減(トリミング)を実施してもよい。これにより、各分割データにおけるデータ量を統一することができ、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
【0052】
上記のほか、例えば分割データの時間軸に対応する値を対象に規格化処理を実施してもよい。規格化処理では、例えば時間軸に対応する値の最小値を0とし、最大値を1とした規格化が実施される。これにより、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
【0053】
取得部11は、例えばデータ量の削減、又は規格化を実施した複数の分割データにおける平均を算出し、分割データとしてもよい。
【0054】
取得部11は、分割データに対し、規格化処理を実施する。規格化処理では、振幅に対応する値を対象に、規格化されたデータ(規格化データ)が生成される。規格化処理では、例えば振幅の最低値を0とし、振幅の最高値を1とした規格化が実施される。取得部11は、例えば規格化データを評価データ(例えば評価データA)として取得する。この場合、評価データAとして、ユーザの加速度脈波に相当するデータが得られる。
【0055】
取得部11は、上述した各処理を順次実施するほか、例えば図4(b)に示すように、微分処理を実施しなくてもよい。この場合、評価データ(例えば評価データB)として、ユーザの速度脈波に相当するデータが得られる。
【0056】
また、取得部11は、例えば上述した各処理の一部のみを実施してもよい。この場合、取得部11は、脈波データ、微分データ、分割データ、トリミングされた分割データ、及び時間軸に対応する値を規格化した分割データの何れかを、評価データとして取得してもよく、用途に応じて任意に設定できる。
【0057】
取得部11は、例えば図4(c)に示すように、生体情報として脈拍数を算出する場合に適した評価データCを取得してもよい。
【0058】
この場合、取得部11は、上述したフィルタ処理をセンサデータに対して実施し、脈波データを抽出する。そして、取得部11は、脈波データに対し、ピーク位置算出処理を実施する。ピーク位置算出処理では、脈波データに含まれる複数のピーク(振幅の最大値)を検出し、サンプリングされた順番(測定開始からの時間に相当)を特定する。これにより、取得部11は、脈波データに含まれるピーク位置データを取得する。
【0059】
その後、取得部11は、ピーク位置データに対し、ピーク間隔平均算出処理を実施する。ピーク間隔平均算出処理は、ピーク位置データに含まれるピークの間隔(隣接するピークがサンプリングされた順番の差分)を算出し、例えばピーク間隔の平均値を算出する。その後、取得部11は、ピーク間隔又はピーク間隔の平均値に対し、センサデータのサンプリングレートで割り、秒数に相当するピーク間隔を示すデータを、評価データ(例えば評価データC)として取得する。
【0060】
取得部11は、例えば図4(d)に示すように、生体情報として呼吸数を算出する場合に適した評価データDを取得してもよい。
【0061】
この場合、取得部11は、上述したフィルタ処理をセンサデータに対して実施し、脈波データを抽出する。その後、取得部11は、脈波データに対し、フーリエ変換処理を実施する。フーリエ変換処理では、例えばサンプリング時間対振幅を示す脈波データが、周波数対強度を示す周波数データに変換される。これにより、取得部11は、脈波データに対する周波数データを取得する。
【0062】
その後、取得部11は、周波数データに対し、最大周波数検出処理を実施する。最大周波数検出処理では、周波数データのうち、0.15~0.35Hzの間における最大強度の周波数が特定される。これにより、取得部11は、特定された周波数の値を、評価データDとして取得する。
【0063】
<生成部12>
生成部12は、データベースを参照し、評価データに対する評価結果を生成する。生成部12は、例えばデータベースに記憶された分類情報を参照し、評価データに対する生体情報を算出し、評価結果として生成する。生成部12は、それぞれ異なる複数の評価データ毎に対する評価結果を、複数生成する。
【0064】
生成部12は、例えば複数の評価データに対し、同一の分類情報を参照して複数の評価データを生成してもよい。この場合、例えばそれぞれ異なる種類の前処理を用いて複数の評価データを取得することで、同一の分類情報を用いても、それぞれ異なる種類の生体情報を算出することができる。このため、評価データ毎に分類情報を生成する必要が無く、データベースのデータ容量を抑えることができる。
【0065】
生成部12は、例えば複数の評価データに対し、それぞれ異なる分類情報を参照して複数の生体情報を算出してもよい。この場合、評価データ毎の種類に応じて最適な分類情報を参照し、各評価結果を生成することができる。
【0066】
生成部12は、例えば保存部104等に予め記憶された表示用のフォーマットを用いて、生体情報についてユーザが理解できる形式に変換した評価結果を生成してもよい。
【0067】
<出力部13>
出力部13は、複数の評価結果を出力する。出力部13は、表示部109に複数の評価結果を出力するほか、例えばセンサ5等に複数の評価結果を出力してもよい。
【0068】
<記憶部14>
記憶部14は、保存部104に保存されたデータベース等の各種データを、必要に応じて取出す。記憶部14は、各構成11~13、15により取得又は生成された各種データを、必要に応じて保存部104に保存する。
【0069】
記憶部14は、例えば複数の評価結果に紐づくセンサデータを、保存部104に保存してもよい。例えば記憶部14は、センサデータを用いて生成された複数の評価データも、保存部104に保存してもよい。
【0070】
<学習部15>
学習部15は、例えば複数の学習用データを用いて、分類情報を生成する。学習部15は、例えば新たな学習用データを取得し、既存の分類情報を更新してもよい。
【0071】
<通信網3>
通信網3は、生体情報演算装置1と、サーバ4と、センサ5とを通信回線を介して接続される公知のインターネット網等である。通信網3は、生体情報演算システム100を一定の狭いエリア内で運用する場合には、LAN(Local Area Network)等で構成されてもよい。また、通信網3は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、通信網3は、有線通信網に限定されるものではなく、無線通信網で実現されてもよく、用途に応じて任意に設定できる。
【0072】
<サーバ4>
サーバ4は、通信網3を介して送られてきた評価結果等の各種情報を保存し、蓄積する。サーバ4は、生体情報演算装置1からの要求に基づき、通信網3を介して蓄積された情報を生体情報演算装置1へと送信する。
【0073】
サーバ4は、例えば複数の生体情報演算装置1と接続され、各生体情報演算装置1から評価結果等の各種情報を取得し、一括して保存してもよい。なお、サーバ4は、上述した生体情報演算装置1の備える各機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。また、サーバ4は、上述した生体情報演算装置1に記憶されたデータベース等が記憶されてもよい。
【0074】
<センサ5>
センサ5は、センサデータを生成する。センサ5は、例えば図6(a)に示すように、検出部6を備える。センサ5は、検出部6を介してユーザの脈波を検出可能な位置に装着され、例えばリストバンド55に固定される。
【0075】
検出部6は、ユーザの脈波を検出可能な公知の検出装置が用いられる。検出部6として、例えばファイバブラッググレーティング(FBG)センサ等のひずみセンサ、ジャイロセンサ、脈波信号測定のための1つ以上の電極、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ、及び光検出モジュールの少なくとも何れかが用いられる。検出部6は、例えば複数配置されてもよい。
【0076】
なお、センサ5は、衣服に埋め込まれてもよい。また、センサ5を装着するユーザは、人間のほか、犬や猫等のペットを対象としてもよく、例えば牛や豚等の家畜、魚等の養殖を対象としてもよい。
【0077】
センサ5は、例えば図6(b)に示すように、取得部50と、通信I/F51と、メモリ52と、命令部53とを備え、各構成がそれぞれ内部バス54で接続される。
【0078】
取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、例えば生成したセンサデータを、通信I/F51、又はメモリ52へと送信する。
【0079】
通信I/F51は、通信網3を介して、センサデータ等の各種データを生体情報演算装置1やサーバ4に送信する。また、通信I/F51は、通信網3と接続するための回線制御回路や、生体情報演算装置1やサーバ4との間でデータ通信を行うための信号変換回路等が、実装されている。通信I/F51は、内部バス54からの各種命令に変換処理を施して、これを通信網3側へ送出するとともに、通信網3からのデータを受信した場合には、これに所定の変換処理を施して内部バス54へ送信する。
【0080】
メモリ52は、取得部50から送信されたセンサデータ等の各種データを保存する。メモリ52は、例えば通信網3を介して接続される他の端末装置から命令を受けることにより、保存したセンサデータ等の各種データを、通信I/F51へ送信する。
【0081】
命令部53は、センサデータを取得するための操作ボタンやキーボード等を含み、例えばCPU等のプロセッサを含む。命令部53は、センサデータの取得の命令を受け付けた場合に、これを取得部50に通知する。この通知を受けた取得部50は、センサデータを取得する。なお、命令部53は、例えば図4(a)~図4(d)に示すように、センサデータから複数の評価データを取得するための処理を実施してもよい。
【0082】
ここで、センサデータを取得する一例として、FBGセンサを用いる場合を説明する。
【0083】
FBGセンサは、1本の光ファイバ内に所定間隔をあけて回折格子構造を形成したである。FBGセンサは、例えばセンサ部分の長さが10mm、波長分解能が±0.1pm、波長範囲が1550±0.5nm、ファイバの直径が145μm、コア径10.5μmである特徴を持つ。FBGセンサを上述した検出部6として、ユーザの皮膚に接触させた状態で測定をすることができる。
【0084】
例えば光ファイバに用いる光源として、波長範囲1525~1570nmのASE(Amplified Spontaneous Emission)光源が用いられる。光源からの出射光は、サーキュレータを介してFBGセンサに入射させる。FBGセンサからの反射光は、サーキュレータを介してマッハツェンダー干渉計に導き、マッハツェンダー干渉計からの出力光を、光検出器によって検知する。マッハツェンダー干渉計は、ビームスプリッタにより光路差のある2つの光路に分離し、再びビームスプリッタにより一つに重ね合わせて干渉光を作り出すためのものである。光路差をつけるため、例えば一方の光ファイバの長さを長くしてもよい。コヒーレント光は、光路差に応じて干渉縞が生じるため、干渉縞のパターンを測定することによって、FBGセンサに生じた歪の変化、すなわち脈波を検知することができる。取得部50は、検知された脈波に基づき、センサデータを生成する。これにより、センサデータが取得される。
【0085】
なお、FBGセンサの歪み量を検出して、脈波の波形を検出する光ファイバセンサシステムは、FBGセンサに入射させる光源の他に、広い帯域のASE光源、サーキュレータ、マッハツェンダー干渉計、ビームスプリッタといった光学系や、光検出器が備える受光センサや、波長シフト量を解析する解析方法を含む。光ファイバセンサシステムは、使用するFBGセンサの特性に応じて光源や帯域光を選択して使用することができ、検波方法等の解析方法についても種々の方法を採用することができる。
【0086】
<データ構造>
例えば、上述した生体情報演算システム100により生成された複数の評価結果(例えば第1評価結果、及び第2評価結果)を含むデータ構造が、サーバ4又は保存部104に記憶される。データ構造は、上述した生体情報演算装置1(表示部109、CPU101(制御部)、及び保存部104を備えるコンピュータ)に用いられる。複数の評価結果を含むデータ構造は、例えばCPU101によって制御される生成部12が、各評価結果に基づく総合評価結果を生成する際に用いられる。なお、総合評価結果については、後述する。
【0087】
(第1実施形態:生体情報演算システム100の動作)
次に、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例について説明する。図7は、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0088】
生体情報演算システム100は、例えば生体情報演算装置1内にインストールされた生体情報演算プログラムを介して実行する。即ち、ユーザは、生体情報演算装置1、又はセンサ5を操作し、生体情報演算装置1にインストールされている生体情報演算プログラムを通じて、センサデータからユーザの生体情報を含む評価結果を複数取得することができる。
【0089】
生体情報演算システム100の動作は、取得ステップS110と、生成ステップS120と、保存ステップS140とを備え、例えば出力ステップS130を備えてもよい。
【0090】
<取得ステップS110>
取得ステップS110は、ユーザの脈波に基づき、複数の評価データを取得する。例えばセンサ5の取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、通信I/F51、及び通信網3を介して、センサデータを生体情報演算装置1へ送信する。生体情報演算装置1の取得部11は、センサ5からセンサデータを受信する。
【0091】
取得部11は、例えば図4(a)及び4(b)に示した処理を、センサデータに対して実施し、第1評価データ及び第2評価データを取得する。取得部11は、例えば記憶部14を介して、取得した各評価データを保存部104に保存する。なお、取得部11がセンサ5からセンサデータを取得する頻度等の条件は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば取得部11は、予め設定された周期で各評価データを取得する。
【0092】
<生成ステップS120>
次に、生成ステップS120は、データベースを参照し、各評価データに対する生体情報を含む評価結果を複数生成する。例えば生成部12は、分類情報を参照し、第1評価データに対する血中二酸化炭素分圧の値を第1生体情報として算出し、第2評価データに対する血糖値を第2生体情報として算出する。生成部12は、第1生体情報を含む第1評価結果、及び第2生体情報を含む第2評価結果を生成する。
【0093】
生成部12は、例えば第1分類情報を参照して第1評価データに対する第1評価結果を生成し、第2分類情報を参照して第2評価データに対する第2評価結果を生成する。この際、第1分類情報及び第2分類情報は、分類情報に含まれ、それぞれ異なる種類の学習用データを用いて生成される。
【0094】
生成部12は、例えば記憶部14を介して、生成した各評価結果を保存部104に保存する。なお、各評価結果として、特定の値を示すほか、例えば誤差範囲(例えば「○○±2mmHg」等)が算出されてもよい。
【0095】
例えば生体情報として脈拍数を算出する場合、評価データとして、例えば図4(c)に示した評価データCが用いられ、生成部12は、分類情報に含まれる脈拍数用分類情報を参照する。脈拍数用分類情報は、例えば60[秒]をピーク間隔で割る関数を示す。このため、生成部12は、例えば評価データC(ピーク間隔=0.85[秒])に対する脈拍数(=71[bpm])を算出することができる。これにより、生成部12は、脈拍数を示す生体情報を含む評価結果を生成することができる。
【0096】
例えば生体情報として呼吸数を算出する場合、評価データとして、例えば図4(d)に示した評価データDが用いられ、生成部12は、分類情報に含まれる呼吸数用分類情報を参照する。呼吸数用分類情報は、例えば特定された周波数に60[秒]をかける関数を示す。このため、生成部12は、例えば評価データD(特定された周波数=0.225Hz)に対する呼吸数(=13.5[bpm])を算出することができる。これにより、生成部12は、呼吸数を示す生体情報を含む評価結果を生成することができる。
【0097】
<出力ステップS130>
次に、例えば出力ステップS130は、複数の評価結果を出力してもよい。例えば出力部13は、表示部109に第1評価結果及び第2評価結果を出力する。
【0098】
<保存ステップS140>
次に、保存ステップS140は、第1評価結果及び第2評価結果を保存する。例えば記憶部14は、第1評価結果及び第2評価結果を、保存部104に保存する。例えば出力部13は、第1評価結果及び第2評価結果を、通信網3を介してサーバ4に出力し、保存してもよい。例えば保存ステップS140は、出力ステップS130の前に実施してもよい。
【0099】
なお、保存ステップS140は、例えば複数の評価結果に紐づくセンサデータを保存してもよい。この場合、センサデータは、複数の評価データの生成に用いられ、ユーザの脈波の特徴を示す。
【0100】
これにより、生体情報演算システム100の動作が終了する。なお、各ステップを実施する頻度や順番は、用途に応じて任意に設定できる。
【0101】
生体情報演算システム100では、例えば上述した各ステップS110、S120を、生体情報演算装置1で実施するほか、少なくとも一部をサーバ4で実施してもよい。この場合、上述した各ステップS110、S120には、通信網3を介してサーバ4が各種情報を送受信するための処理が含まれる。なお、生体情報演算装置1とサーバ4との間における通信は、公知の技術を用いて実現することができる。
【0102】
例えば取得ステップS110では、複数の評価データを、サーバ4が取得してもよい。この場合、サーバ4に含まれる取得部は、通信網3を介して生体情報演算装置1から送信された複数の評価データを取得する。
【0103】
サーバ4に含まれる取得部は、例えば生体情報演算装置1又はセンサ5から送信されたセンサデータを取得し、上述した前処理を実施することにより、複数の評価データを取得してもよい。この場合、生体情報演算装置1において、上述した前処理を実施する負荷を低減させることが可能となる。
【0104】
例えば生成ステップS120では、各評価データに対する評価結果を、サーバ4が複数生成してもよい。この場合、サーバ4に含まれる生成部は、サーバ4に保存されたデータベースを参照し、複数の評価結果を生成する。この場合、生体情報演算装置1において、上述した複数の評価結果を生成する処理を実施する負荷を低減させることが可能となる。
【0105】
なお、生成ステップS120をサーバ4で実施した場合、出力ステップS130では、例えばサーバ4に含まれる出力部が、通信網3を介して生体情報演算装置1等に複数の評価結果を送信する。この場合、生体情報演算装置1の出力部13は、受信した複数の評価結果を表示部109に出力する。
【0106】
上記の通り、生体情報演算システム100における各ステップS110~S140は、生体情報演算装置1又はサーバ4の何れも実施することができる。特に、取得ステップS110及び生成ステップS120をサーバ4で実施することで、生体情報演算装置1に対する負荷の低減等を図ることが可能となる。なお、後述する各実施形態においても同様のため、説明を省略する。
【0107】
本実施形態によれば、取得部11は、ユーザの脈波に基づき、第1評価データ及び第2評価データを取得する。また、生成部12は、第1評価データに対する第1生体情報を含む第1評価結果、及び第2評価データに対する第1生体情報とは異なる種類の第2生体情報を含む第2評価結果、をそれぞれ生成する。即ち、第1生体情報及び第2生体情報は、1つのユーザの脈波に基づき算出される。このため、各生体情報を算出する際、脈波の計測条件に起因するばらつきを排除することができる。これにより、生体情報を評価する際の精度向上を図ることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態によれば、生成部12は、データベースを参照し、第1評価結果及び第2評価結果を生成する。また、データベースには、複数の学習用データを用いて算出された分類情報が記憶される。このため、各評価結果を生成する際、過去に実績のある脈波の特徴と生体情報との繋がりを踏まえ、定量的な各評価結果を生成することができる。これにより、ユーザ等の主観に伴う評価のばらつきを抑制することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態によれば、分類情報は、異なる種類の学習用データを用いて生成された第1分類情報、及び第2分類情報を含む。このため、評価データ毎の種類に応じて最適な分類情報を参照し、各評価結果を生成することができる。これにより、生体情報を評価する際のさらなる精度向上を図ることが可能となる。
【0110】
また、本実施形態によれば、分類情報は、入力データを説明変数とし、参照データを目的変数としたPLS回帰分析を用いて得られた検量モデルである。このため、機械学習等を用いて分類情報を算出する場合に比べて、学習用データの数を大幅に減らすことができるとともに、検量モデルの更新を容易に実施することができる。これにより、生体情報演算システム100の構築及び更新の容易化を図ることが可能となる。
【0111】
また、本実施形態によれば、第1生体情報は、血糖値を示し、第2生体情報は、血圧、脈拍数、呼吸数、血中二酸化炭素濃度の特徴、乳酸値、及び酸素飽和度の少なくとも何れかを示す。このため、従来の計測方法に比べて侵襲式の計測方法を必要としないため、各情報を容易に取得することができる。これにより、ユーザへの負荷を大幅に減少させることが可能となる。
【0112】
また、本実施形態によれば、記憶部14又はサーバ4は、第1評価結果、及び第2評価結果に紐づくセンサデータを保存することを含む。このため、分類情報の更新や新たに生成する際、学習用データを容易に準備することができる。これにより、生体情報演算システム100のメンテナンスを容易に実現することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態によれば、サーバ4は、サーバ4の含む生成部により第1評価結果、及び第2評価結果を生成する。また、生体情報演算装置1は、第1評価結果、及び第2評価結果をサーバ4から受信し、表示する。このため、生体情報演算装置1に対し、各評価結果を生成する際の負荷を低減させることができる。これにより、生体情報演算装置1の利便性を向上させることが可能となる。また、生体情報演算装置1に、データベースを保存する必要が無い。これにより、生体情報演算装置1のデータ保存容量を大幅に低減させることが可能となる。また、データベースがサーバ4に保存されることで、複数の生体情報演算装置1に対し、1つの分類情報を参照して生成された評価結果を出力することができる。これにより、データベースの更新等のメンテナンスに伴い、生体情報演算装置1毎にデータベースを更新する膨大な時間と費用を削減することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態によれば、サーバ4は、生体情報を評価する際の精度向上を図った第1評価結果、及び第2評価結果を保存することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態によれば、データ構造は、生体情報を評価する際の精度向上を図った第1評価結果、及び第2評価結果を含み、総合評価結果を生成する際に用いることが可能となる。
【0116】
(第2実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第2実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、付加情報を用いる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0117】
本実施形態における生体情報演算システム100は、例えば総合評価ステップS150を備える。生体情報演算システム100では、例えば上述した生成ステップS120のあとに、総合評価ステップS150が実施され、総合評価ステップS150のあとに保存ステップS140が実施される。
【0118】
総合評価ステップS150は、例えば図8に示すように、付加情報を取得し、複数の評価結果(例えば第1評価結果、及び第2評価結果)、及び付加情報に基づき、総合評価結果を生成する。総合評価ステップS150は、例えば生成部12に含まれる総合評価部によって実行することができる。
【0119】
付加情報は、ユーザの特徴を示し、例えば上述した生体情報とは異なる情報を示す。この場合、付加情報として、例えばユーザの性別、年齢等の属性情報が用いられるほか、診断結果や運動量等のようなユーザの健康状態等を特定する情報が用いられてもよい。付加情報は、例えば入力部108等を介してユーザが入力し、総合取得部等によって取得される。
【0120】
総合評価結果は、ユーザの特徴を総合的に評価した結果を示す。総合評価結果は、例各評価結果に含まれる生体情報に対し、付加情報に基づく補正処理等を実施した結果を示す。例えば付加情報としてユーザの年齢が用いられた場合、予め設定された年代毎の基準値と、各評価結果との比較結果が、総合評価結果として生成される。
【0121】
上記のほか、総合評価結果として、例えば「血糖値が高い」、「血圧が高い」、「運動能力が高い」、「運動量を抑制したほうがよい」等のユーザ毎の特徴を表す文字列が用いられるほか、例えば任意の基準値との差分や、偏差値等の数値が用いられてもよい。
【0122】
また、総合評価結果は、例えば保険料を含む推定保険情報を示す。推定保険情報は、例えば各評価結果を踏まえて推定される保険料を示す値を含むほか、例えば保険の種類等を示す文字列を含んでもよい。推定される保険料は、例えば保険数理に基づき算出される。
【0123】
総合評価部は、例えば予め保存部104等に保存された、ユーザが認識可能なデータ形式を参照し、総合評価結果を生成する。総合評価部は、例えば後処理用データベースを参照し、複数の評価結果及び付加情報に対して適した総合評価結果を生成してもよい。後処理用データベースは、例えば保存部104に保存される。
【0124】
後処理用データベースには、例えば上述したデータベースと同様に、複数の評価結果及び付加情報に対する総合評価結果を生成するための後処理用分類情報が記憶されてもよい。後処理用データベースには、1つ以上の後処理用分類情報が記憶されるほか、例えば後処理用分類情報の生成に用いられた複数の後処理用学習データが記憶されてもよい。
【0125】
後処理用分類情報は、例えば予め取得された過去の複数の評価結果及び過去の付加情報(後処理用入力データ)と、後処理用入力データに紐づく後処理用参照データとの相関関係を示す関数である。後処理用参照データは、ユーザの特徴を総合的に評価した結果を示す。後処理用分類情報は、後処理用入力データと、後処理用参照データとを一対の後処理用学習データとして、複数の後処理用学習データを用いて生成される。
【0126】
後処理用分類情報は、例えば後処理用入力データを説明変数とし、後処理用参照データを目的変数とし、上述した回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。後処理用分類情報は、例えば検量モデル(後処理用検量モデル)を定期的に更新することができるほか、例えば付加情報別に生成してもよい。なお、後処理用分類情報は、上述した分類情報と同様に、例えば複数の後処理用学習データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデル(後処理用学習済みモデル)を含んでもよい。
【0127】
保存ステップS140は、総合評価結果を保存する。保存ステップS140では、上述した実施形態と同様の処理を実行することで、保存部104及びサーバ4の少なくとも何れかに総合評価結果を保存する。
【0128】
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、総合評価部は、第1評価結果、第2評価結果、及び付加情報に基づき、ユーザの特徴を総合的に評価した総合評価結果を生成する。このため、各評価結果に対し、ユーザの特徴を考慮した評価を実現することができる。これにより、ユーザ毎に適した評価結果を生成することが可能となる。
【0129】
(第2実施形態:生体情報演算システム100の変形例)
次に、第2実施形態における生体情報演算システム100の変形例について説明する。上述した第2実施形態と、変形例との違いは、生成ステップS120において上述した付加情報を取得する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0130】
本変形例では、例えば図9に示すように、生成ステップS120は、付加情報を取得し、第1評価データ、及び付加情報に基づき、第1評価結果を生成することを含む。付加情報は、上述した内容と同様であり、例えば入力部108等を介してユーザが入力し、生成部12等が取得する。
【0131】
生成部12は、例えば付加情報の内容に応じて、第1評価データに対する演算方法を決定してもよい。この場合、付加情報の種類毎に異なる関数等が、分類情報に含まれる。なお、生成部12は、例えば第1評価データと、付加情報とを組合わせた情報に基づき、第1評価結果を生成してもよい。
【0132】
本変形例によれば、生成部12は、付加情報を取得し、第1評価データ、及び付加情報に基づき、第1評価結果を生成することを含む。このため、第1評価データに加えて、ユーザの特徴を考慮した多角的な第1評価結果を生成することができる。これにより、ユーザの生体情報に対する評価を、さらに高精度に生成することが可能となる。
【0133】
(第3実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第3実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第3実施形態との違いは、第2評価結果を生成する際、第2評価データに加えて第1評価結果を用いる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0134】
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図10に示すように、生成ステップS120は、データベースを参照し、第1評価結果及び第2評価データに基づき、第2評価結果を生成することを含む。例えば生成部12は、第1評価結果を生成したあと、第2評価結果を生成する。
【0135】
生成部12は、例えば第1評価結果の内容に応じて、第2評価データに対する演算方法を決定してもよい。この場合、第1評価結果の内容の特徴毎に異なる関数等が、分類情報に含まれる。なお、生成部12は、例えば第1評価結果と、第2評価データとを組合わせた情報に基づき、第2評価結果を生成してもよい。
【0136】
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、生成部12は、第1評価結果及び第2評価データに基づき、第2評価結果を生成する。このため、第1評価結果を踏まえた第2評価結果を生成することができる。これにより、ユーザの生体情報に対する評価を、さらに高精度に生成することが可能となる。
【0137】
(第4実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第4実施形態との違いは、分類情報に含まれる複数の属性別分類情報から、評価データに適した属性別分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0138】
本実施形態における生体情報演算装置1では、例えば図11に示すように、生成ステップS120が、選択ステップS121と、属性別生成ステップS122とを含む。なお、図11では、第2評価データ及び第2評価結果の内容については記載を省略する。
【0139】
選択ステップS121は、予備評価データを参照し、複数の属性別分類情報のうち特定の属性別分類情報(例えば第1分類情報)を選択する。選択ステップS121は、例えば生成部12に含まれる選択部によって実行することができる。予備評価データは、第1評価データとは異なる特徴を示し、例えば第2データと同様の特徴を示す。
【0140】
属性別生成ステップS122は、選択した第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1生体情報(例えば血中二酸化炭素分圧の値)を算出し、第1評価結果を生成する。属性別生成ステップS122は、例えば生成部12に含まれる属性別生成部によって実行することができる。
【0141】
複数の属性別分類情報は、それぞれ異なる学習用データを用いて算出される。例えば学習用データの入力データとして、被検者の加速度脈波に相当するデータが用いられる場合、例えば図12のような7種類(A~G)毎に入力データを準備し、7種類の属性分類情報を生成する。
【0142】
このような複数の属性別分類情報がデータベースに記憶される場合、例えば取得部11は、ユーザの加速度脈波に相当する評価データ、及び予備評価データを取得する。そして、生成部12は、予備評価データを参照し、第1分類情報を選択する。その後、生成部12は、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。このため、各属性分類情報のうち、ユーザに最適な分類情報を選択することができる。
【0143】
なお、例えば学習用データの入力データとして、被検者の速度脈波に相当するデータが用いられる場合、例えば図13のような2種類(グループ1、グループ2)毎に入力データを準備し、2種類の属性分類情報を生成してもよい。
【0144】
ここで、図12に示す加速度脈波に相当するデータは、特徴に基づく詳細な分類が容易である反面、生体情報を算出する際、ピークの誤検出等に伴う精度低下が懸念として挙げられる。また、図13に示す速度脈波に相当するデータは、加速度脈波に相当するデータに比べ、特徴に基づく詳細な分類が困難であるが、ピークの誤検出等が少ないため、生体情報を高精度に算出し得る。
【0145】
上記を踏まえ、複数の属性分類情報は、特定の分類情報を選択するために用いられる選択用データとして、例えば図12のような加速度脈波に相当するデータを含み、属性分類情報を生成する際の学習用データには、速度脈波に相当するデータが用いられてもよい。
【0146】
この場合、取得ステップS110として、例えば取得部11は、ユーザの脈波に基づくセンサデータから、速度脈波に相当するデータを第1評価データとして取得する。また、取得部11は、センサデータから、加速度脈波に相当するデータを予備評価データとして取得する。
【0147】
次に、選択ステップS121として、例えば生成部12は、予備評価データを参照し、加速度脈波に相当するデータを含む複数の選択用データのうち、予備評価データに最も類似する選択用データ(第1選択用データ)を特定し、第1選択用データに紐づく第1分類情報を選択する。そして、属性別生成ステップS122として、生成部12は、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0148】
ここで、上述した選択用データ等に用いられるデータの一例を説明する。
【0149】
例えば図12に示すように、加速度脈波には、a~eの変曲点が存在する。例えば、加速度脈波における最大のピークをa点とし、a点から順に各変曲点をb点、c点、d点、e点とし、a点を1とし、最小値であるb点もしくはd点を0とした規格化を行った場合、加速度脈波は、各変曲点の値と、その差の大小関係により分類する方法を用いて、7パターンに分類することができる。まず、変曲点の値がb<dの場合は、パターンAまたはBに分類する。b<dでさらにc≧0.5であればA、そうでなければBに分類する。次に変曲点の値がb≒dの場合、パターンCまたはDに分類する。b≒dでさらにc≒0の場合はパターンD、そうでなければパターンCに分類する。最後に、b>dの場合は、パターンE、F、Gの何れかに分類できる。b>dでさらにb<cであればパターンEに、b≒cであればパターンF,b>cであればパターンGに分類する。
【0150】
例えば生成部12は、予備評価データが、例えば図12のどのパターンに当てはまるかを判断し、第1選択用データを特定する。例えば、入力された予備評価データの変曲点bが変曲点dより小さく、さらに変曲点c≧0.5であれば、パターンAを第1選択用データとする。これにより、第1評価データの特徴に適した分類情報を参照し、生体情報を精度良く算出することができる。
【0151】
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、生成部12は、予備評価データを参照し、第1分類情報を選択する選択部と、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する属性別生成部とを含む。このため、脈波の特徴に対して最適な第1分類情報を選択した上で、第1評価データに対する第1評価結果を生成することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0152】
また、本実施形態によれば、取得部11は、脈波に基づく速度脈波に相当するデータを、第1評価データとして取得する。また、取得部11は、脈波に基づく加速度脈波に相当するデータを、予備評価データとして取得する。このため、速度脈波に比べて、脈波の特徴を分類し易い加速度脈波を用いて、属性分類情報を選択することができる。また、加速度脈波に比べて、生体情報を算出し易い速度脈波を用いて、第1評価結果を生成することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0153】
(第4実施形態:生体情報演算システム100の第1変形例)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の第1変形例について説明する。上述した第4実施形態の一例と、第1変形例との違いは、評価結果を用いて分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0154】
本変形例では、例えば図14に示すように、生成ステップS120は、分類情報のうち、第2評価結果に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。例えば生成部12は、上述した選択ステップS121と同様に、第2評価結果を参照し、複数の属性別分類情報のうち特定の属性別分類情報を選択する。
【0155】
生成部12は、例えば第2評価結果に含まれる生体情報の値に基づき、第1分類情報を選択する。この際、複数の属性情報には、選択するための値が予め設定されている。
【0156】
生成部12は、上述した属性別生成ステップS122と同様に、選択した第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1生体情報を算出し、第1評価結果を生成する。
【0157】
本変形例によれば、生成部12は、第2評価結果に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。このため、第2評価結果に応じて最適な第1分類情報を選択した上で、第1評価データに対する第1評価結果を生成することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0158】
(第4実施形態:生体情報演算システム100の第2変形例)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の第2変形例について説明する。上述した第4実施形態の一例と、第2変形例との違いは、脈波の特徴に基づき第1分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0159】
本変形例では、例えば図15に示すように、生成ステップS120は、分類情報のうち、脈波の特徴(例えばセンサデータ)に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。例えば生成部12は、上述した選択ステップS121と同様に、センサデータを参照し、複数の属性別分類情報のうち特定の属性別分類情報を選択する。
【0160】
なお、「脈波の特徴」として、例えば図4(a)~図4(d)に示すような各処理の少なくとも一部を、センサデータに対して実施したあとのデータが用いられてもよい。特に、センサデータに対してフィルタ処理を実施したあとの脈波データを、脈波の特徴として用いることで、特定の属性分類情報を選択する際の精度向上を図ることが可能となる。
【0161】
生成部12は、例えば上述した選択用データと、脈波の特徴とを比較し、第1分類情報を選択する。生成部12は、例えばセンサデータ等に含まれるピークの半値幅や相対強度に基づき、第1分類情報を選択してもよい。この際、複数の属性情報には、選択するための値が予め設定されている。
【0162】
生成部12は、上述した属性別生成ステップS122と同様に、選択した第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1生体情報を算出し、第1評価結果を生成する。
【0163】
本変形例によれば、生成部12は、脈波の特徴に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。このため、脈波の特徴に応じて最適な第1分類情報を選択した上で、第1評価データに対する第1評価結果を生成することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0164】
(第4実施形態:生体情報演算システム100の第3変形例)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の第3変形例について説明する。上述した第4実施形態の一例と、第3変形例との違いは、付加情報に基づき第1分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0165】
本変形例では、例えば図16に示すように、生成ステップS120は、分類情報のうち、付加情報に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。例えば生成部12は、上述した選択ステップS121と同様に、付加情報を参照し、複数の属性別分類情報のうち特定の属性別分類情報を選択する。なお、付加情報は、上述した付加情報と同様である。
【0166】
生成部12は、例えば付加情報に含まれる年齢や性別等の属性情報等に基づき、第1分類情報を選択してもよい。この際、複数の属性情報には、選択するための属性情報等が予め設定されている。
【0167】
生成部12は、上述した属性別生成ステップS122と同様に、選択した第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1生体情報を算出し、第1評価結果を生成する。
【0168】
本変形例によれば、生成部12は、付加情報に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、第1評価データに対する第1評価結果を生成する。このため、付加情報の特徴に応じて最適な第1分類情報選択した上で、第1評価データに対する第1評価結果を生成することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0169】
(第5実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第5実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第5実施形態との違いは、算出ステップS160を備える点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0170】
本実施形態における生体情報演算システム100は、例えば算出ステップS160を備える。生体情報演算システム100では、例えば上述した保存ステップS140のあとに、算出ステップS160が実施される。
【0171】
算出ステップS160は、例えば図17に示すように、サーバ4又は保存部104に保存された複数の評価結果(例えば第1評価結果、及び第2評価結果)に基づき、ユーザの特徴を総合的に評価した総合評価結果を生成する。算出ステップS160は、例えば生体情報演算装置1の生成部12に含まれる総合評価部によって実行することができるほか、例えばサーバ4に含まれる総合評価部によって実行してもよい。
【0172】
総合評価結果は、上述した実施形態と同様であり、以下では一例として、保険料を含む推定保険情報として説明する。
【0173】
総合評価部は、例えば予め保存部104等に保存された、ユーザが認識可能なデータ形式を参照し、推定保険情報を生成してもよい。総合評価部は、例えばデータベースを参照し、複数の評価結果に対して適した推定保険情報を生成してもよい。
【0174】
データベースには、例えば上述したデータベースと同様に、複数の評価結果に対する推定保険情報を生成するための保険用分類情報が記憶されてもよい。データベースには、1つ以上の保険用分類情報が記憶されるほか、例えば保険用分類情報の生成に用いられた複数の保険用学習データが記憶されてもよい。
【0175】
保険用分類情報は、例えば予め取得された過去の複数の評価結果(保険用入力データ)と、保険用入力データに紐づく保険用参照データとの相関関係を示す関数である。保険用参照データは、過去に実績のある保健用入力データに対する保険料を含む。保険用分類情報は、保険用入力データと、保険用参照データとを一対の保険用学習データとして、複数の保険用学習データを用いて生成される。
【0176】
保険用分類情報は、例えば保険用入力データを説明変数とし、保険用参照データを目的変数とし、上述した回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。保険用分類情報は、例えば検量モデル(保険用検量モデル)を定期的に更新することができる。なお、保険用分類情報は、上述した分類情報と同様に、例えば複数の保険用学習データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデル(保険用学習済みモデル)を含んでもよい。
【0177】
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、総合評価部は、第1評価結果、及び第2評価結果に基づき、総合評価結果を生成する。このため、各評価結果に対し、ユーザの特徴を考慮した評価を実現することができる。これにより、ユーザ毎に適した評価結果を生成することが可能となる。特に、総合評価結果として推定保険情報が用いられた場合、ユーザ等の主観に伴う推定保険料等のばらつきを抑制することが可能となる。
【0178】
(第6実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第6実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第6実施形態との違いは、判定結果を用いる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0179】
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図18に示すように、保存ステップS140は、複数の評価結果(例えば第1評価結果、及び第2評価結果)の内容に対してユーザが判定した判定結果を取得し、判定結果及び複数の評価結果をそれぞれ紐づけて保存する。保存ステップS140は、例えば記憶部14又はサーバ4によって実行することができる。
【0180】
判定結果は、例えば出力された複数の評価結果と、公知の計測装置を用いて計測された生体情報とを比較した結果を、ユーザが入力部108等を介して入力することで、取得することができる。
【0181】
本実施形態における生体情報演算システム100は、例えば更新ステップS170を備えてもよい。この場合、更新ステップS170は、例えば学習部15によって実行することができ、例えばサーバ4によって実行してもよい。
【0182】
学習部15は、保存ステップS140において保存された判定結果、及び複数の評価結果に基づき、分類情報を更新する。学習部15は、例えば公知の技術を用いて分類情報を更新する。
【0183】
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、記憶部14又はサーバ4は、判定結果、第1評価結果、及び第2評価結果をそれぞれ紐づけて保存する。このため、各評価結果と、判定結果との比較を、容易に実施することが可能となる。
【0184】
また、本実施形態によれば、学習部15は、判定結果、第1評価結果、及び第2評価結果に基づき、分類情報を更新する。このため、各評価結果の精度が低下した際、容易に改善することができる。これにより、生体情報を評価する際の精度向上を維持することが可能となる。
【0185】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。このような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0186】
1 :生体情報演算装置
3 :通信網
4 :サーバ
5 :センサ
6 :検出部
10 :筐体
11 :取得部
12 :生成部
13 :出力部
14 :記憶部
15 :学習部
50 :取得部
51 :通信I/F
52 :メモリ
53 :命令部
54 :内部バス
55 :リストバンド
100 :生体情報演算システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
S110 :取得ステップ
S120 :生成ステップ
S130 :出力ステップ
S140 :保存ステップ
S150 :総合評価ステップ
S160 :算出ステップ
S170 :更新ステップ
図1
図2
図3
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図5
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