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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013409
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】関係性推定システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20220111BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115945
(22)【出願日】2020-07-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(71)【出願人】
【識別番号】512260473
【氏名又は名称】株式会社ヴェルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】新熊 亮一
(72)【発明者】
【氏名】野々上 仁
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人の身体または活動に関する属性の時系列データに基づき、意味のある属性の関係性を推定する関係性推定システムを提供する。
【解決手段】関連性推定システムにおいて、情報端末装置1は、端末外部のIoTデバイス2、外部Webサービス3及び端末のアプリケーションから、複数の種類の属性の時系列データを取得し、各属性の時系列データ間の類似度を計算し、この類似度を各ノード間のリンクの重みとして各ノードをリンクで接続した無向性関係性グラフを生成し、ノード間毎にリンクの重みが大きい経路を算出する。この複数の経路に基づき総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出する。また、各属性の時系列データ間の相関を計算し、当該各属性間に応じた関係性グラフの各ノード間の因果関係を算定し、各ノード間の因果関係に基づいて、有向性の関係性グラフにアップデートし、抽出されたノード間に対応する属性間の関係性を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の身体または活動に関する属性の時系列データを少なくとも含む、複数の属性の時系列データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された各属性の時系列データ間の類似度を計算する時系列データ処理部と、
前記データ取得部により取得された時系列データの属性をノードとして該ノードをリンクで接続した関係性グラフを生成し、前記時系列データ処理部により計算された属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みの計算に利用する関係性グラフ生成部と、
前記関係性グラフ生成部により生成された関係性グラフにおいて、総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出するノードデータ処理部と、
前記ノードデータ処理部により抽出されたノード間に対応する属性間の関係性を推定する関係性推定部とを備えることを特徴とする関係性推定システム。
【請求項2】
前記関係性グラフ生成部は、前記時系列データ処理部により計算された属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みとして関係性グラフを生成する請求項1に記載の関係性推定システム。
【請求項3】
前記ノードデータ処理部は、前記関係性グラフ生成部により生成された関係性グラフにおいて、ノード間ごとにリンクの重みが大きい複数の経路を算出して、各経路のリンクの重みに基づいて総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出する請求項1または請求項2に記載の関係性推定システム。
【請求項4】
前記ノードデータ処理部は、ノード間における経路ごとのリンクの重みを演算することにより、ノード間の総合的なリンクの重みを算出する請求項3に記載の関係性推定システム。
【請求項5】
前記ノードデータ処理部は、ノード間における経路ごとのリンクの長さの逆数をリンクの重みとして加算することにより、ノード間の総合的なリンクの重みを算出する請求項4に記載の関係性推定システム。
【請求項6】
属性の時系列データ間の相関を計算することにより、関係性グラフのノード間の因果関係を算定する因果関係処理部を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の関係性推定システム。
【請求項7】
前記因果関係処理部は、属性の時系列データ間の相関の正負の極性と時間のずれを計算する請求項6に記載の関係性推定システム。
【請求項8】
前記ノードデータ処理部は、前記因果関係処理部により算出されたノード間の因果関係に基づいて、関係性グラフにおける当該ノード間のリンクに向きを付する請求項5または請求項7に記載の関係性推定システム。
【請求項9】
前記関係性推定部は、前記因果関係処理部により算定されたノード間の因果関係に基づいて、当該ノード間に対応する属性間の関係性を推定する請求項6から請求項8のいずれかに記載の関係性推定システム。
【請求項10】
前記データ取得部は、外部のIotデバイスのセンサが計測した属性の時系列データ、外部のWebサービスの属性の時系列データ、および本システムが搭載された情報端末装置で計測または入力された属性の時系列データの少なくとも一つを含む時系列データを取得する請求項1から請求項9のいずれかに記載の関係性推定システム。
【請求項11】
前記時系列データ処理部は、前記データ取得部により取得された各属性の時系列データを正規化する請求項1から請求項10のいずれかに記載の関係性推定システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11に記載の関係性推定システムが搭載されたことを特徴とする情報端末装置。
【請求項13】
請求項12に記載の複数の情報端末装置と、各情報端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、各情報端末装置から収集した属性の時系列データに基づいて関係性グラフを生成することを特徴とする関係性推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の身体または活動に関する属性の時系列データに基づいて、該人にとって意味のある属性の関係性を推定する関係性推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パンデミック対策のための体調管理ニーズや健康ブームと相まって、人の体内の状態変化を収集して視覚化することにより、自分自身の体内の状態変化を意識しながら健康や美容の維持に役立てることが注目されている。
【0003】
特に最近では、人の身体に身に着ける眼鏡型、腕時計型、リストバンド型などの様々なウェアラブルデバイスが登場しており、日常生活においてそれらを着用しているだけで、デバイスが搭載しているセンサにより人の体内の状態変化を収集して、その状態変化をデバイス自身またはスマートフォンを通じて視覚化するアプリケーションも提供されている。
【0004】
ところが、このようにウェアラブルデバイスと連携し、スマートフォン上で健康情報や美容情報の管理ができるようになったが、スマートフォン上でデータ管理できるのは歩数のみの情報であったり、心拍数のみの情報であったり、あるいは血圧のみの情報であったりと、単体の情報ばかりであり、複合的に管理することが少なかった。
【0005】
そこで、複数のウェアラブルデバイスから取得できる身体の活動情報を一元管理する仕組みとして、Android端末には「Google Fit(登録商標)」、iOS端末には「ヘルスケア」という健康管理の仕組みが用意されている。
【0006】
例えば、「Google Fit」は、Google社が提供するフィットネスデータに関する情報をデバイスやアプリケーション利用者をまたいで、まとめて保存・参照することができる。また、「Google Fit」単体でもAndroid端末の位置情報や各種センサを用いて、アクティビティ情報、位置情報データ、身体測定値、栄養情報、睡眠情報を記録することができる。一方、「ヘルスケア」は、端末の位置情報や各種センサからアクティビティ情報、バイタル情報、身体測定値、リプロダクティブヘルス情報、検査結果、栄養情報、マインドフルネス、睡眠情報などを記録でき、サードパーティのアプリから「ヘルスケア」に記録されている情報の読み出しや保存が可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】バイオフィードバック研究・2017年・44巻・第2号「ウェアラブルデバイスを活用したシステムについての現状と問題点、今後の展望について」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のようにウェアラブルデバイスや情報管理のシステムが数多く提供されているものの、それらが普及するには至っていないのが現状である。この普及しない原因としては、高額なウェアラブルデバイスを毎日身に着けてまで健康管理をする必然性を感じない人が多いことや、プライバシー保護などのセキュリティ面が十分に確保されていないことのほか、日々集積される膨大な数のデータからいかにして意味のあるデータを抽出するのかといった問題があるためである。特に人にとって意味のあるデータを抽出することができれば、その健康や美容に関するデータの活用の重要性は益々高まっていくものと考えられる。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、人の身体または活動に関する属性の時系列データに基づいて、該人にとって意味のある属性の関係性を推定することができる関係性推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、人の身体または活動に関する属性の時系列データを少なくとも含む、複数の属性の時系列データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部により取得された各属性の時系列データ間の類似度を計算する時系列データ処理部と、前記データ取得部により取得された時系列データの属性をノードとして該ノードをリンクで接続した関係性グラフを生成し、前記時系列データ処理部により計算された属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みの計算に利用する関係性グラフ生成部と、前記関係性グラフ生成部により生成された関係性グラフにおいて、総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出するノードデータ処理部と、前記ノードデータ処理部により抽出されたノード間に対応する属性間の関係性を推定する関係性推定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記関係性グラフ生成部は、前記時系列データ処理部により計算された属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みとして関係性グラフを生成してもよい。
【0012】
また、前記ノードデータ処理部は、前記関係性グラフ生成部により生成された関係性グラフにおいて、ノード間ごとにリンクの重みが大きい複数の経路を算出して、各経路のリンクの重みに基づいて総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出するのが好ましい。
【0013】
また、前記ノードデータ処理部は、ノード間における経路ごとのリンクの重みを演算することにより、ノード間の総合的なリンクの重みを算出するのが好ましい。
【0014】
また、前記ノードデータ処理部は、ノード間における経路ごとのリンクの長さの逆数をリンクの重みとして加算することにより、ノード間の総合的なリンクの重みを算出するのが好ましい。
【0015】
また、属性の時系列データ間の相関を計算することにより、関係性グラフのノード間の因果関係を算定する因果関係処理部を備えるのが好ましい。
【0016】
また、前記因果関係処理部は、属性の時系列データ間の相関の正負の極性と時間のずれを計算するのが好ましい。
【0017】
また、前記ノードデータ処理部は、前記因果関係処理部により算出されたノード間の因果関係に基づいて、関係性グラフにおける当該ノード間のリンクに向きを付するのが好ましい。
【0018】
また、前記関係性推定部は、前記因果関係処理部により算定されたノード間の因果関係に基づいて、当該ノード間に対応する属性間の関係性を推定するのが好ましい。
【0019】
また、前記データ取得部は、外部のIotデバイスのセンサが計測した属性の時系列データ、外部のWebサービスの属性の時系列データ、および本システムが搭載された情報端末装置で計測または入力された属性の時系列データの少なくとも一つを含む時系列データを取得するのが好ましい。
【0020】
また、前記時系列データ処理部は、前記データ取得部により取得された各属性の時系列データを正規化するのが好ましい。
【0021】
また、本発明は、上記の関係性推定システムが搭載されたことを特徴とする情報端末装置である。
【0022】
また、本発明は、上記の複数の情報端末装置と、各情報端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、前記サーバ装置は、各情報端末装置から収集した属性の時系列データに基づいて関係性グラフを生成することを特徴とする関係性推定システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、人の身体または活動に関する属性の時系列データを収集して、属性の時系列データ間の類似度を計算し、属性をノード、類似度をリンクの重みとしてノードをリンクで接続した関係性グラフを生成したあと、該関係性グラフにおけるノード間の総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出して、該ノード間に対応する属性間の関係性を推定する。このため、関係性グラフのノード間において、類似度が計算された直接的なリンクの経路のみならず、他のノードを介した間接的なリンクの経路も含めた総合的なリンクの経路を考慮しながら、総合的なリンクの経路の重みが大きいノードを抽出することにより、人にとって意味のある属性間の関係性を精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】関係性推定システムの全体構成を示す図である。
図2図1の情報端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】属性の時系列データの種類を示す表である。
図4】情報端末装置に入力される属性の時系列データの画面例を示す図である。
図5】ノードをリンクで接続した関係性グラフの構成を示す図である。
図6】関係性グラフのノード、ノード間の距離、経路を示す表である。
図7】各種属性の時系列データの相関や時間のずれを示す表である。
図8】2つの属性の時系列データの相関や時間のずれを計算するときに使用するグラフである。
図9】属性間の関係性を出力するときの画面例を示す図である。
図10】関係性推定システムの動作を示すフローチャートである。
図11】実施例2に係る関係性推定システムの概要を示す図である。
図12】実施例2に係る関係性推定システムの概要を示す図である。
図13】実施例3に係る関係性推定システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係る関係性推定システム(以下、本システムという)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
[本システムの全体構成]
本システムは、図1に示すように、スマートフォンやロボットなどのユーザの情報端末装置1と、各種属性の時系列データを計測するIoTデバイス2と、各種属性の時系列データを提供する外部Webサービス3と、各情報端末装置1の属性の時系列データを収集するサーバ装置4とを備え、情報端末装置1と、サーバ装置4、IoTデバイス2、あるいは外部Webサービス3とがインターネット等のネットワークを介して接続されている。
【0027】
前記IoTデバイス2は、ユーザ(人)の身体や活動に関する一ないし複数の種類の属性の時系列データ(ヘルスケアデータ、ライフログ)を計測するものであり、各属性の時系列データを計測するセンサ部21と、センサ部21により計測した各属性の時系列データを情報端末装置1に送信する通信部22とを備える。
【0028】
このIoTデバイス2は、例えば、ユーザが身に着ける、眼鏡型、腕時計型、リスト型などのウェアラブルデバイスが挙げられる。また、センサは、カメラなどの2次元イメージセンサや、LIDAR(Light Detection and Ranging)などの3次元イメージセンサ、加速度センサの他、各種属性の時系列データを計測するあらゆるセンサが挙げられる。なお、IoTデバイス2で計測する属性の時系列データの種類については、後述の情報端末装置1の構成において説明する。
【0029】
前記外部Webサービス3は、気候、環境、場所など、主に自然、社会、あるいは経済などの事象に関する一ないし複数の種類の属性の時系列データを収集して提供するものであり、収集した各属性の時系列データを情報端末装置1に送信する。この外部Webサービス3としては、例えば、気象データベース、海洋データベース、交通データベース、株式データベースなどが挙げられる。なお、外部Webサービス3が提供する属性の時系列データの種類については、後述の情報端末装置1の構成において説明する。
【0030】
前記サーバ装置4は、多数のユーザの情報端末装置1から個人情報以外の各種属性の時系列データを受け取り、集約的な関係性グラフ(モデル)を生成するものであり、多数のユーザの各種属性の時系列データに基づいて関係性グラフ(モデル)を生成する学習部41と、関係性グラフ(モデル)や時系列データを記憶する記憶部42と、情報端末装置1と通信を行う通信部43とを備える。
【0031】
例えば、各属性の時系列データに基づく関係性グラフを各個人で生成するのではなく、多数のユーザの各属性の時系列データの平均値に基づいて関係性グラフを生成する。これによれば、あるユーザの属性の時系列データが欠損している場合、平均的な関係性グラフを用いることで欠損を補償することができる。また、平均的な関係性グラフと個人の関係性グラフを比較することにより、一般とどれくらいかけ離れているかをユーザに提示することができる。
【0032】
[情報端末装置1の構成]
前記情報端末装置1は、スマートフォン、タブレット端末あるいはロボットなどのデバイスであって、図2に示すように、ユーザとのインターフェースとなるユーザインターフェース部11と、データの入出力を実行するデータ入出力部12と、各属性の時系列データを取得するデータ取得部13と、所定のアルゴリズムを処理するアルゴリズム処理部14と、各属性の時系列データや関係性グラフなどを記憶する記憶部15と、外部とネットワークを介して通信を実行する通信部16とを備える。なお、情報端末装置1は、内部のCPU等により所定のOSデータやアプリケーションデータを保存・実行する。
【0033】
前記ユーザインターフェース部11は、例えばスマートフォン等におけるディスプレイ画面であって、ユーザによる各種操作を行う入力機能と、ユーザに対して各種情報を提示する出力機能とを有する。
【0034】
前記データ入出力部12は、前記ユーザインターフェース部11により入力された入力データをアルゴリズム処理部14に送信したり、アルゴリズム処理部14から得られた出力データをユーザインターフェース部11に送信したりする。
【0035】
前記データ取得部13は、端末外部または端末内部から各属性の時系列データを取得するものであり、第1のデータ取得部131、第2のデータ取得部132および第3のデータ取得部133を備える。
【0036】
前記第1のデータ取得部131は、ウェアラブルデバイス等のIoTデバイス2で計測した各属性の時系列データを取得する。また、前記第2のデータ取得部132は、外部Webサービス3から各属性の時系列データを取得する。また、前記第3のデータ取得部133は、情報端末装置1のアプリケーションで計測または入力した各属性の時系列データを取得する。
【0037】
これら属性の時系列データとしては、図3に示すように、気候時系列、環境条件時系列、場所カテゴリカル、習慣カテゴリカル、習慣時系列、バイタルデータ時系列、体調カテゴリカルに属する各属性の時系列データが挙げられる。このうち、場所カテゴリカル、習慣カテゴリカル、習慣時系列、バイタルデータ時系列、体調カテゴリカルに関する属性の時系列データは、第1の取得部によりIoTデバイス2から取得される場合が多い。また、気候時系列、環境条件時系列の属性に関する時系列データは、第2のデータ取得部132により外部Webサービス3から取得される場合が多い。また、バイタルデータ時系列に関する属性の時系列データは、第3のデータ取得部133により情報端末装置1から取得される場合もある。但し、これらの各属性の時系列データの取得は一例であって、その他にも様々な種類の属性の時系列データを取得してもよい。
【0038】
また、特に前記第3のデータ取得部133は、情報端末装置1にインストールされたヘルスキット、カレンダ、外部天候データ、睡眠アプリ、ライフログアプリなどのアプリケーションにおいて、データ自動入力プラグインにより各属性の時系列データを自動的に取得したり、手入力により体調、運動、衛生、食事、場所、独自設定、メモなどに関する属性の時系列データを取得したりする。例えば、手入力により各属性の時系列データを取得する例として、図4に示すように、自分で1ルーチンの単位を設定して、0.5ルーチン、1.5ルーチンなどの単位で入力したり、ランチ、清掃、手洗いのように習慣の時間を入力したり、あるいは1日の体調(体調が悪い箇所がある場合には、その症状)を入力したりする。
【0039】
なお、本実施形態では、前記データ取得部13により取得される具体的な属性の時系列データとして、下記のものが挙げられる。
【0040】
・asleep:睡眠時間
・temperature_min:当日の最低気温
・Efficiency :睡眠効率(睡眠時間/就寝~起床の時間)
・wakingBPM_diff:起床時の心拍数(Beats per minute)の日ごとの変化量(差分)
・quality :睡眠の質
・dayBPM:日中の心拍数(Beats per minute)
・wakingBPM:起床時の心拍数(Beats per minute)
・pressure_noon_diff:気圧の日ごとの変化量(差分)
・hrv:心拍間隔の変動
・deep:深い睡眠の時間
・asleep_diff:睡眠時間の日ごとの変化量(差分)
【0041】
前記アルゴリズム処理部14は、属性の時系列データ間の類似度を計算する時系列データ処理部141と、関係性グラフを生成する関係性グラフ生成部142と、関係性グラフにおいて総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出するノードデータ処理部143と、ノード間の因果関係を算定する因果関係処理部144と、属性間の関係性を推定する関係性推定部145とを備える。
【0042】
前記時系列データ処理部141は、データ取得部13により取得された各属性の時系列データ間の類似度を計算する。本実施形態では、この時系列データ処理部141は、DTW(Dynamic Time Warping)を用いて各属性の時系列データ間の類似度を計算する。DTWでは 2つの時系列の各点の距離を総当りで比較した上で、系列同士の距離が最短となるパスを見つけて、これがDTWの距離になる。このため、2つの属性の時系列データの周期性や長さが違っても 、DTWの距離を定義することができ、類似度が大きいほど距離は短く(近く)なる。
【0043】
なお、本実施形態では、前記時系列データ処理部141は、取得した各属性の時系列データを事前に正規化する。例えば、気温の時系列データの場合、-5度から40度である一方、1日の歩数の時系列データの場合、0歩から2万歩といったように時系列データによって絶対値のとり得る幅は大きく異なるため、一定範囲(例えば、0から1の範囲)に正規化する。
【0044】
前記関係性グラフ生成部142は、図5に示すように、データ取得部13により取得された時系列データの各属性をノードとし、時系列データ処理部141により計算された各属性の時系列データ間の類似度をノード間の直接的なリンクの重みとして、各ノードをリンクで接続した無向性の関係性グラフを生成する。なお、図5において、Gが関係性グラフ、lがリンク、nがノードを示す。
【0045】
この関係性グラフは、属性の時系列データ間の類似度が高いほど、当該属性間に対応するノード間の直接的なリンクの重みが大きくなる。また、類似度が計算されたノード間は一のリンクで直接的に接続される一方、類似度が計算されていないノード間も他のノードを介して複数のリンクで間接的に接続される。このため、各ノード間は、一ないし複数のリンクで直接的および間接的に接続された複数の経路を有し、経路上の各リンクの重みの総計が当該経路のリンクの重みを構成し、ノード間の各経路のリンクの重みの総計が当該ノード間の総合的なリンクの重みを構成する。本実施形態では、ノード間のリンクの重みとしてリンクの長さを採用しており、リンクの長さが短いほどリンクの重みが大きいものとなされている。
【0046】
なお、図5では、関係性グラフの各ノード間のリンクに向きが付されているが、この向きは後述の因果関係処理部144によりノード間の因果関係が算定されたあと、ノードデータ処理部143により向きが付されるため、関係性グラフが生成された当初はリンクの向きは付されていない。
【0047】
前記ノードデータ処理部143は、関係性グラフ生成部142により生成された関係性グラフにおいて、ノード間ごとに経路のリンクの重みが大きい一ないし複数の経路(本実施形態では、1番目から3番目までの経路)を算出する。
【0048】
例えば、図6は、ある関係性グラフにおける各ノード間における経路のリンクの重みを表に示したものである。図6において、「source」は元となるノード(属性)、「target」は「source」の対象となるノード(属性)、「dist」はノード間の直接的なリンクの重み(リンクの長さ)、「k1path」「k2path」「k3path」はノード間の1番目から3番目までのリンクの重みが大きい経路(1番目から3番目までの最短経路)、「i_k1dist」「i_k2dist」「i_k3dist」はノード間の1番目から3番目までの経路のリンクの重み(経路のリンクの長さの逆数)、「i_ksum」はノード間の1番目から3番目までの経路のリンクの重みの総和(経路のリンクの長さの逆数の総和:総合スコア)である。このように経路のリンクの重みとして、経路のリンクの長さ(経路長)の逆数をとるのは、逆数とすることにより経路長が短いものほど総合スコアが大きくなるためである。これにより、経路のリンクの重みの総合スコアが大きいほど、ノード間においてリンクの重みが大きい経路(短い経路)が多く、総合的なリンクの重みが大きいと評価することができる。
【0049】
また、前記ノードデータ処理部143は、ノードデータ処理部143によりノード間ごとに算出された経路のリンクの重みが大きい一ないし複数の経路に基づいて、総合的なリンクの重みが大きい一ないし複数のノード間を抽出する。本実施形態では、ノードデータ処理部143は、ノード間ごとに算出された1番目から3番目までの経路のリンクの重みの総和「i_ksum」を当該ノード間の総合的なリンクの重みとしているため、その総合的なリンクの重みが大きいノード間を抽出する。例えば、図6によると、図6の1列目における経路のリンクの重みの総和「i_ksum」が大きいため、1列目の「asleep(睡眠時間)」と「quality(睡眠の質)」のノード間を総合的なリンクの重みが大きいノード間として抽出する。
【0050】
前記因果関係処理部144は、関係性グラフのノード間の因果関係を算定するものである。本実施形態では、因果関係処理部144は、各属性の時系列データ間の相関(相関の正負の極性と時間のずれ)を計算することにより、当該各属性の時系列データ間に対応する関係性グラフのノード間の因果関係を算定する。
【0051】
例えば、図7は、「source」の属性と、「target」の属性との因果関係を表に示したものである。「sign」は、「source」の属性の時系列データと、「target」の属性の時系列データとの相関を数値で表したものであり、「1」が正の相関、「-1」が負の相関である。仮に属性間が正の相関の場合、一方の属性が大きくなるほど、他方の属性も大きくなる関係にある一方、仮に属性間が負の相関の場合、一方の属性が大きくなるほど、他方の属性は小さくなる関係にある。
【0052】
また、同じく図7において、「estimated_delay」は各属性の時系列データ間の時間のずれを表わしており、「source」に対して「target」の属性が遅れれば、「source」が要因となる一方、「target」に対して「source」の属性が遅れれば、「target」が要因となる。例えば、図7の1列目によると、「asleep(睡眠時間)」の属性は「quality(睡眠の質)」の属性と正の相関があり、時間のずれは0である。
【0053】
この各属性の時系列データの相関を計算するに際しては、「source」の属性の時系列データと、「target」の属性の時系列データとを重ねて表記したり、いずれかの属性の時系列データを反転させて重ねて表記したり、あるいは時間的にずらして表記するなどして、属性の時系列データを互いに比較することにより相関を計算する方法が挙げられる。
【0054】
例えば、図8(a)は、「step_count(歩数)」の属性の時系列データと、「dayBPM(日中の心拍数)」の属性の時系列データとについて、「step_count」の属性の時系列データを未来に1日ずらして表記したものである。図8(a)によると、「step_count(歩数)」の属性の時系列データと、「dayBPM(日中の心拍数)」の属性の時系列データの起伏が概ね類似しているため、「step_count(歩数)」の属性と「dayBPM(日中の心拍数)」の属性は正の相関があり、「step_count(歩数)」の属性が1日後の「dayBPM(日中の心拍数)」の属性の要因となることが把握される。
【0055】
一方、図8(b)は、同じく「step_count(歩数)」の属性の時系列データと、「dayBPM(日中の心拍数)」の属性の時系列データとについて、「step_count(歩数)」の属性の時系列データを反転させたあと、未来に2日ずらして表記したものである。図8(b)によると、「step_count(歩数)」の属性の時系列データと、「dayBPM(日中の心拍数)」の属性の時系列データとの起伏が一致している部分もあるが、図8(a)に比べると、その相関は低いものと把握されるため、図8(a)による相関(正の相関、1日のずれ)を採用することになる。
【0056】
なお、前記因果関係処理部144は、必ずしも全てのノード間の因果関係を算定する必要はなく、例えばノードデータ処理部143により抽出された総合的なリンクの重みが大きいノード間の因果関係のみを算定してもよい。
【0057】
而して、前記ノードデータ処理部143は、図5に示すように、因果関係処理部144により算定された関係性グラフのノード間の因果関係に基づいて、各ノード間のリンクに向き(矢印の元が要因/矢印の先が結果)を付する。
【0058】
前記関係性推定部145は、ノードデータ処理部143により抽出されたノード間に対応する属性間の関係性を推定する。例えば、ノードデータ処理部143において「asleep(睡眠時間)」と「quality(睡眠の質)」のノード間が抽出された場合、関係性推定部145は「asleep(睡眠時間)」と「quality(睡眠の質)」の属性間の関係性があるまたは強いと推定する。この際、関係性グラフにおいて、「asleep(睡眠時間)」と「quality(睡眠の質)」のノード間の直接的なリンクに矢印(「asleep(睡眠時間)」が矢印の元、「quality(睡眠の質)」が矢印の先)が付されている場合、「asleep(睡眠時間)」が「quality(睡眠の質)」に影響していると推定する。また、因果関係処理部144により「asleep(睡眠時間)」と「quality(睡眠の質)」の「estimated_day」(時間のずれ)が1日と算出されている場合、「asleep(睡眠時間)」の1日経過後に「quality(睡眠の質)」に影響していると推定する。
【0059】
また、前記関係性推定部145は、属性間の関係性を推定した際、図9に示すように、ユーザインターフェース部11の画面において属性間の関係性を文章(図9の右側))として出力せしめたり、直観的なグラフ(図9の左側の画面内)として出力せしめたりする。
【0060】
なお、前記データ抽出部17は、サーバ装置4に対して各属性の時系列データや関係性グラフを通信部16を介して送信したり、サーバ装置4から通信部16を介して受信した各種情報を抽出して、アルゴリズム処理部14に送信したりする。
【0061】
[本システムの動作]
次に本システムの動作について、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0062】
まず、前記データ取得部13(第1~第3のデータ取得部131~133)は、端末外部のIoTデバイス2または外部Webサービス3や、端末内部のアプリケーションから複数の種類の属性の時系列データを取得する(S1)。
【0063】
そして、前記時系列データ処理部141は、データ取得部13により取得された各属性の時系列データを事前に正規化したあと(S2)、各属性の時系列データ間の類似度を計算する(S3)。
【0064】
そして、前記関係性グラフ生成部142は、時系列データの各属性をノードとし、時系列データ処理部141により計算された各属性の時系列データの類似度を各ノード間のリンクの重みとして、各ノードをリンクで接続した無向性の関係性グラフを生成する(S4)。
【0065】
そして、前記ノードデータ処理部143は、関係性グラフ生成部142により生成された関係性グラフにおいて、ノード間ごとにリンクの重みが大きい一ないし複数の経路(最短経路)を算出する(S5)。
【0066】
そして、前記ノードデータ処理部143は、ノード間ごとに算出された経路のリンクの重みが大きい一ないし複数の経路に基づいて、総合的なリンクの重みが大きい一ないし複数のノード間を抽出する(S6)。
【0067】
一方、前記因果関係処理部144は、各属性の時系列データ間の相関を計算することにより、当該各属性間に対応する関係性グラフの各ノード間の因果関係を算定する(S7)。
【0068】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図5に示すように、因果関係処理部144により算定された関係性グラフの各ノード間の因果関係に基づいて、関係性グラフの各ノード間のリンクに向き(矢印の元が要因/矢印の先が結果)を付することにより有向性の関係性グラフにアップデートする(S8)。
【0069】
そして、前記関係性推定部145は、ノードデータ処理部143により抽出されたノード間に対応する属性間の関係性を推定する。このとき、関係性推定部145は、関係性グラフに付されたリンクの向きに基づいて属性間の関係性を推定してもよいし、因果関係処理部144により算定されたノード間の因果関係(要因と結果、時間のずれ)に基づいて属性間の関係性を直接推定してもよい。また、関係性推定部145は、インターフェース部の画面において各属性間の関係性を文章(図9の右側)として出力せしめたり、直観的なグラフ(図9の左側の画面内)として出力せしめたりする(S9)。
【0070】
なお、本実施形態では、ノード間の因果関係を算定する因果関係処理部144が設けられるものとしたが、因果関係処理部144が設けられなくてもよい。この場合、関係性推定部145は、ノードデータ処理部143により抽出されたノード間の属性間の関係性を推定する際、当該属性間に何らかの関係があることのみを推定する。
【0071】
また、前記ノードデータ処理部143は、因果関係処理部144により算定されたノード間の因果関係に基づいて関係性グラフのノード間のリンクに向きを付するものとしたが、関係性グラフのノード間にリンクの向きを付さなくてもよい。この場合、関係性推定部145は、因果関係処理部144により算定されたノード間の因果関係に基づいて、該ノード間に対応する属性間の関係性を直接推定するとよい。
【0072】
また、前記関係性グラフ生成部142は、時系列データ処理部141により計算された属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みとしたが、その他の方法により属性の時系列データ間の類似度をノード間のリンクの重みの計算に利用しててもよい。例えば、属性の時系列データ間の類似度をノードそのものの重みとして、ノードそのものは重力モデルなどで重み(距離)を定義することが挙げられる。
【実施例0073】
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図11を参照しつつ説明する。
【0074】
本実施例1では、属性の時系列データとして、IoTデバイス2から自動で取得される歩数の時系列データ並びに睡眠効率の時系列データ、情報端末装置1から手動で取得される体調の時系列データを対象として説明するが、実際にはその他の属性の時系列データも取得される。
【0075】
まず、前記データ取得部13(第1~第3のデータ取得部131~133)は、図11(a)に示すように、端末外部のIoTデバイス2または外部Webサービス3や、端末内部のアプリケーションから上記3種類の属性(歩数、睡眠効率、体調)の時系列データを含む、複数種類の属性の時系列データを取得する。
【0076】
そして、前記時系列データ処理部141は、図11(b)に示すように、データ取得部13により取得された各属性の時系列データを事前に正規化したあと、歩数、睡眠効率、体調などの各属性の時系列データ間の類似度を計算する。
【0077】
そして、前記関係性グラフ生成部142は、図11(c)に示すように、各時系列データの各属性(歩数、睡眠効率、体調など)をノードとし、時系列データ処理部141により計算された各属性(歩数、睡眠効率、体調など)の時系列データの類似度を各ノード間のリンクの重みとして、各ノードをリンクで接続した無向性の関係性グラフを生成する。なお、図11(c)では、歩数、睡眠効率、体調の3つのノードをリンクで接続した関係性グラフを図示しているが、実際にはその他のノードも接続した関係性グラフを生成する。
【0078】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図11(d)に示すように、関係性グラフ生成部142により生成された関係性グラフにおいて、リンクの重みが大きいノード間の一ないし複数の経路を算出する。例えば、歩数を「Source」のノード(属性)、体調を「Target」のノード(属性)とした場合、経路(歩数-体調)と経路(歩数-睡眠効率-体調)の2つの経路が存在するため、当該2つの経路を算出するとともに、当該2つの経路のリンクの重みに基づいて歩数と体調のノード間の総合的なリンクの重みを算出する。
【0079】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図11(e)に示すように、他の「Source」のノードと「Target」のノードの組み合わせと比較して、歩数と体調のノード間における総合的なリンクの重みが上位である場合、歩数と体調のノード間を抽出する。
【0080】
そして、前記因果関係処理部144は、図11(f)に示すように、属性(歩数、体調)の時系列データ間の相関(正負の極性、時間のずれ)を計算することにより、当該属性(歩数、体調)の時系列データ間に対応する関係性グラフのノード間の因果関係(歩数が要因、体調が結果、12時間のずれ)を算定する。
【0081】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図11(g)に示すように、因果関係処理部144により算定された関係性グラフのノード間の因果関係(歩数が要因、体調が結果)に基づいて、関係性グラフの歩数と体調のノード間のリンクに向き(歩数→体調)を付する。
【0082】
また、前記関係性推定部145は、図11(g)に示すように、歩数と体調の関係性は強く、また歩数が12時間後の体調に影響していることや、歩数と体調の間に睡眠効率が関係していることを推定して、ユーザインターフェース部11の画面において所定の文章やグラフを出力せしめる。
【0083】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図12を参照しつつ説明する。
【0084】
本実施例2では、属性の時系列データとして、IoTデバイス2から自動で取得される気圧変化の時系列データ、情報端末装置1から自動で取得される心拍数の時系列データ、情報端末装置1から手動で取得される体調の時系列データを対象として説明するが、実際にはその他の属性の時系列データも取得される。
【0085】
まず、前記データ取得部13(第1~第3のデータ取得部131~133)は、図12(a)に示すように、端末外部のIoTデバイス2または外部Webサービス3や、端末内部のアプリケーションから上記3種類の属性(気圧変化、心拍数、体調)の時系列データを含む、複数種類の属性の時系列データを取得する。
【0086】
そして、前記時系列データ処理部141は、図12(b)に示すように、データ取得部13により取得された各属性の時系列データを事前に正規化したあと、気圧変化、心拍数、体調などの各属性の時系列データ間の類似度を計算する。
【0087】
そして、前記関係性グラフ生成部142は、図12(c)に示すように、各時系列データの各属性(気圧変化、心拍数、体調など)をノードとし、時系列データ処理部141により計算された各属性(気圧変化、心拍数、体調など)の時系列データの類似度を各ノード間のリンクの重みとして、各ノードをリンクで接続した無向性の関係性グラフを生成する。なお、図12(c)では、気圧変化、心拍数、体調の3つのノードをリンクで接続した関係性グラフを図示しているが、実際にはその他のノードも接続した関係性グラフを生成する。
【0088】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図12(d)に示すように、関係性グラフ生成部142により生成された関係性グラフにおいて、リンクの重みが大きいノード間の一ないし複数の経路を算出する。例えば、気圧変化を「Source」のノード(属性)、体調を「Target」のノード(属性)とした場合、経路(気圧変化-体調)と経路(気圧変化-心拍数-体調)の2つの経路が存在するため、当該2つの経路を算出するとともに、当該2つの経路のリンクの重みに基づいて気圧変化と体調のノード間の総合的なリンクの重みを算出する。
【0089】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図12(e)に示すように、他の「Source」のノードと「Target」のノードの組み合わせと比較して、気圧変化と体調のノード間における総合的なリンクの重みが上位である場合、気圧変化と体調のノード間を抽出する。
【0090】
そして、前記因果関係処理部144は、図12(f)に示すように、属性(気圧変化、体調)の時系列データ間の相関(正負の極性、時間のずれ)を計算することにより、当該属性(気圧変化、体調)の時系列データ間に対応する関係性グラフのノード間の因果関係(気圧変化が要因、体調が結果、1時間のずれ)を算定する。
【0091】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図12(g)に示すように、因果関係処理部144により算定された関係性グラフのノード間の因果関係(気圧変化が要因、体調が結果)に基づいて、関係性グラフの気圧変化と体調のノード間のリンクに向き(気圧変化→体調)を付する。
【0092】
また、前記関係性推定部145は、図12(g)に示すように、気圧変化と体調の関係性は強く、また気圧変化が1時間後の体調に影響していることや、気圧変化と体調の間に心拍数が関係していることを推定して、ユーザインターフェース部11の画面において所定の文章やグラフを出力せしめる。
【0093】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、図13を参照しつつ説明する。
【0094】
本実施例3では、属性の時系列データとして、IoTデバイス2から自動で取得される気温の時系列データ、情報端末装置1から手動で取得される飲酒時間の時系列データ並びに体調の時系列データを対象として説明するが、実際にはその他の属性の時系列データも取得される。
【0095】
まず、前記データ取得部13(第1~第3のデータ取得部131~133)は、図13(a)に示すように、端末外部のIoTデバイス2または外部Webサービス3や、端末内部のアプリケーションから上記3種類の属性(気温、飲酒時間、体調)の時系列データを含む、複数種類の属性の時系列データを取得する。
【0096】
そして、前記時系列データ処理部141は、図13(b)に示すように、データ取得部13により取得された各属性の時系列データを事前に正規化したあと、気温、飲酒時間、体調などの各属性の時系列データ間の類似度を計算する。
【0097】
そして、前記関係性グラフ生成部142は、図13(c)に示すように、各時系列データの各属性(気温、飲酒時間、体調など)をノードとし、時系列データ処理部141により計算された各属性(気温、飲酒時間、体調など)の時系列データの類似度を各ノード間のリンクの重みとして、各ノードをリンクで接続した無向性の関係性グラフを生成する。なお、図13(c)では、気温、飲酒時間、体調の3つのノードをリンクで接続した関係性グラフを図示しているが、実際にはその他のノードも接続した関係性グラフを生成する。
【0098】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図13(d)に示すように、関係性グラフ生成部142により生成された関係性グラフにおいて、リンクの重みが大きいノード間の一ないし複数の経路を算出する。例えば、気温を「Source」のノード(属性)、体調を「Target」のノード(属性)とした場合、経路(気温-体調)と経路(気温-飲酒時間-体調)の2つの経路が存在するため、当該2つの経路を算出するとともに、当該2つの経路のリンクの重みに基づいて気温と体調のノード間の総合的なリンクの重みを算出する。但し、経路(気温-飲酒時間-体調)において、ノード(飲酒時間)とノード(体調)のリンクの重みが小さいものとする。
【0099】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図13(e)に示すように、他の「Source」のノードと「Target」のノードの組み合わせと比較して、気温と体調のノード間における総合的なリンクの重みが上位である場合、気温と体調のノード間を抽出する。
【0100】
そして、前記因果関係処理部144は、図13(f)に示すように、属性(気温、体調)の時系列データ間の相関(正負の極性、時間のずれ)を計算することにより、当該属性(気温、体調)の時系列データ間に対応する関係性グラフのノード間の因果関係(気温が要因、体調が結果、3時間のずれ)を算定する。
【0101】
そして、前記ノードデータ処理部143は、図13(g)に示すように、因果関係処理部144により算定された関係性グラフのノード間の因果関係(気温が要因、体調が結果)に基づいて、関係性グラフの気温と体調のノード間のリンクに向き(気温→体調)を付する。なお、前記ノードデータ処理部143が飲酒時間と体調のノード間を総合的なリンクの重みが大きいノード間として抽出している場合、因果関係処理部144により算定された関係性グラフのノード間の因果関係(飲酒時間が要因、体調が結果)に基づいて、関係性グラフの飲酒時間と体調のノード間のリンクに向き(飲酒時間→体調)を付する。
【0102】
また、前記関係性推定部145は、図13(g)に示すように、気温と体調の関係性は強く、また気温が3時間後の体調に影響していることを推定したり、飲酒時間と体調の関係性が強く、また飲酒時間が6時間後の体調に影響していることを推定するとともに、気温と飲酒時間は関係性が弱いことを推定して、ユーザインターフェース部11の画面において所定の文章やグラフを出力せしめる。
【0103】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…ユーザの情報端末装置
11…ユーザインターフェース部
12…データ入出力部
13…データ取得部
131…第1のデータ取得部
132…第2のデータ取得部
133…第3のデータ取得部
14…アルゴリズム処理部
141…時系列データ処理部
142…関係性グラフ生成部
143…ノードデータ処理部
144…因果関係処理部
145…関係性推定部
15…記憶部
16…通信部
17…データ抽出部
2…IoTデバイス
21…センサ部
22…通信部
3…外部Webサービス
4…サーバ装置
41…学習部
42…記憶部
43…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13