(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134111
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】テープ、テープ付き容器およびテープ付き容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027096
(22)【出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021032922
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA24
3E064BA25
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA05
3E064HF02
3E064HG02
3E064HM01
3E064HN06
3E064HN11
3E064HP01
3E064HP03
(57)【要約】
【課題】薄肉部の引き裂きによらずに、テープの2つの部分を隙間を空けて精度よく位置決めして容器本体に接合することによって、開封時に容器本体を基部条片と帯状部材との隙間に沿ってより円滑に引き裂く。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含有する第1の樹脂組成物で形成される第1の厚肉部と、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2の樹脂組成物で形成される第2の厚肉部と、第1および第2の厚肉部の間に形成され、第1の厚肉部と界面剥離可能に接合された第1の中間部とを備えるテープが提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を含有する第1の樹脂組成物で形成される第1の厚肉部と、
ポリオレフィン系樹脂を含有する第2の樹脂組成物で形成される第2の厚肉部と、
前記第1および第2の厚肉部の間に形成され、前記第1の厚肉部と界面剥離可能に接合された第1の中間部と
を備えるテープ。
【請求項2】
前記第1の厚肉部と前記第1の中間部との間の剥離強度は、16N/15mm以下である、請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記第1または第2の厚肉部の少なくともいずれかに形成されるリブをさらに備える、請求項1または請求項2に記載のテープ。
【請求項4】
前記第2の厚肉部と前記第1の中間部との間に形成される接合層をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項5】
前記第1および第2の厚肉部の少なくとも一方の面に形成されるシール層をさらに備え、
前記接合層は前記シール層と同じ樹脂組成物で形成される、請求項4に記載のテープ。
【請求項6】
前記第1および第2の樹脂組成物の主成分はポリプロピレンであり、
前記第1の中間部はポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項7】
前記第2の厚肉部と前記第1の中間部との間に形成され、密度が915kg/m3以下のポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される接着層をさらに備える、請求項6に記載のテープ。
【請求項8】
前記第1および第2の厚肉部、ならびに前記第1の中間部の少なくとも一方の面に形成されるシール層をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項9】
前記第1の厚肉部に形成されるシール層と、前記第1の中間部に形成されるシール層とは、互いに離隔している、請求項8に記載のテープ。
【請求項10】
前記第2の厚肉部と前記第1の中間部との間に形成される接合層をさらに備え、
前記接合層は前記シール層と同じ樹脂組成物で形成される、請求項8または請求項9に記載のテープ。
【請求項11】
少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体と、
前記第1または第2の厚肉部のうちの一方が前記第1領域および前記第2領域の両方に接合され、他方が前記第1領域に接合され前記第2領域に接合されず、前記第1の厚肉部と前記第1の中間部との間が分離された請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のテープと
を備えるテープ付き容器。
【請求項12】
前記第1および第2の厚肉部、ならびに前記第1の中間部を含む第1部材と、
少なくとも部分的に前記第1部材に対向するように構成され、前記第1の樹脂組成物で形成される第3の厚肉部、前記第2の樹脂組成物で形成される第4の厚肉部、ならびに前記第3および第4の厚肉部の間に形成され、前記第3の厚肉部と界面剥離可能に接合された第2の中間部を含む第2部材と
を備える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項13】
前記第1部材は、前記第2の厚肉部に連続する第1の基部条片、および前記第1の基部条片から前記第1部材の厚さ方向に突出する第1の係合部をさらに含み、
前記第2部材は、前記第4の厚肉部に連続する第2の基部条片、および前記第2の基部条片から前記第2部材の厚さ方向に突出し前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部をさらに含み、
前記第1の中間部と前記第2の中間部とは、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが互いに係合したときに互いに対向するように配置される、請求項12に記載のテープ。
【請求項14】
前記第2の厚肉部は前記第1の基部条片よりも厚く形成され、前記第4の厚肉部は前記第2の基部条片よりも厚く形成される、請求項13に記載のテープ。
【請求項15】
少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体と、
前記第1領域に前記第1部材が接合され、前記第2領域に前記第2部材が接合され、前記第1の厚肉部と前記第1の中間部との間、および前記第3の厚肉部と前記第2の中間部との間がそれぞれ分離された請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のテープと
を備えるテープ付き容器。
【請求項16】
前記容器本体は、袋状である、請求項11または請求項15に記載のテープ付き容器。
【請求項17】
ポリオレフィン系樹脂を含有する第1の樹脂組成物で形成される第1の厚肉部、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2の樹脂組成物で形成される第2の厚肉部、ならびに前記第1および第2の厚肉部の間に形成される第1の中間部を備えるテープと、少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体とを含むテープ付き容器の製造方法であって、
前記第1の厚肉部と前記第1の中間部との間を界面剥離によって分離する工程と、
前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部との間の距離を保持しながら前記第1の厚肉部および前記第2の厚肉部をそれぞれ前記第1領域に接合する工程と
を含むテープ付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ、テープ付き容器およびテープ付き容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するための包装材として、袋の開口部に対して雄部材および雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のジッパーテープを配設し、かかる咬合状態を開閉自在としたジッパーテープ付き包装袋が適用されている。このようなジッパーテープ付き包装袋は、ジッパーテープの上部がシールされることによって密封されており、開封するときは、包装袋の両側に形成された切欠き等を開始位置として、袋本体のフィルムを引き裂くようにして開封することができる。
【0003】
このようにしてジッパーテープ付き包装袋を開封する場合、ジッパーテープ近傍のフィルムが切れてしまうため、袋本体が掴みにくくなるという問題があり、袋本体フィルムを所定の位置で切る技術が求められていた。そこで、特許文献1では、ジッパーテープの一部に開封紐を配設し、開封紐を引っ張ることによって袋本体のフィルムを引き裂く技術が示されている。また、特許文献2では、ジッパーテープのテープ部に引裂きを誘導させるために、引裂き性の樹脂を用いてカットさせるジッパーテープの記載がある。
【0004】
また、上記の特許文献1および特許文献2に記載された技術の改良として、特許文献3には、ジッパーテープの基部条片を薄肉部で引き裂いて帯状部材として分離し、基部条片と分離後の帯状部材とを所定の隙間を空けて位置決めの上、袋本体の基材フィルムに接合する技術が記載されている。この技術によれば、ジッパーテープの基部条片および帯状部材を精度よく位置決めして基材フィルムに接合でき、開封時にはジッパーテープと帯状部材との間の隙間に沿って基材フィルムを引き裂くことによって容易に開口を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-276925号公報
【特許文献2】特開2004-244027号公報
【特許文献3】特開2017-136832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3の技術では、基部条片を引き裂いた後の薄肉部が基部条片および帯状部材のそれぞれの突出部として残る。これらの突出部は基部条片および帯状部材よりも薄いため、これらの部材を袋本体の基材フィルムに接合した際にも未接合部分として残り、外観を損ねる場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、薄肉部の引き裂きによらずに、テープの2つの部分を隙間を空けて精度よく位置決めして容器本体に接合することによって、開封時に容器本体を基部条片と帯状部材との隙間に沿ってより円滑に引き裂くことが可能なテープ、テープ付き容器およびテープ付き容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]ポリオレフィン系樹脂を含有する第1の樹脂組成物で形成される第1の厚肉部と、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2の樹脂組成物で形成される第2の厚肉部と、第1および第2の厚肉部の間に形成され、第1の厚肉部と界面剥離可能に接合された第1の中間部とを備えるテープ。
[2]第1の厚肉部と第1の中間部との間の剥離強度は、16N/15mm以下である、[1]に記載のテープ。
[3]第1または第2の厚肉部の少なくともいずれかに形成されるリブをさらに備える、[1]または[2]に記載のテープ。
[4]第2の厚肉部と第1の中間部との間に形成される接合層をさらに備える、[1]から[3]のいずれか1項に記載のテープ。
[5]第1および第2の厚肉部の少なくとも一方の面に形成されるシール層をさらに備え、接合層はシール層と同じ樹脂組成物で形成される、[4]に記載のテープ。
[6]第1および第2の樹脂組成物の主成分はポリプロピレンであり、第1の中間部はポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される、[1]から[3]のいずれか1項に記載のテープ。
[7]第2の厚肉部と第1の中間部との間に形成され、密度が915kg/m3以下のポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される接着層をさらに備える、[6]に記載のテープ。
[8]第1および第2の厚肉部、ならびに第1の中間部の少なくとも一方の面に形成されるシール層をさらに備える、[1]から[3]のいずれか1項に記載のテープ。
[9]第1の厚肉部に形成されるシール層と、第1の中間部に形成されるシール層とは、互いに離隔している、[8]に記載のテープ。
[10]第2の厚肉部と第1の中間部との間に形成される接合層をさらに備え、接合層はシール層と同じ樹脂組成物で形成される、[8]または[9]に記載のテープ。
[11]少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体と、第1または第2の厚肉部のうちの一方が第1領域および第2領域の両方に接合され、他方が第1領域に接合され第2領域に接合されず、第1の厚肉部と第1の中間部との間が分離された[1]から[10]のいずれか1項に記載のテープとを備えるテープ付き容器。
[12]第1および第2の厚肉部、ならびに第1の中間部を含む第1部材と、少なくとも部分的に第1部材に対向するように構成され、第1の樹脂組成物で形成される第3の厚肉部、第2の樹脂組成物で形成される第4の厚肉部、ならびに第3および第4の厚肉部の間に形成され、第3の厚肉部と界面剥離可能に接合された第2の中間部を含む第2部材とを備える、[1]から[10]のいずれか1項に記載のテープ。
[13]第1部材は、第2の厚肉部に連続する第1の基部条片、および第1の基部条片から第1部材の厚さ方向に突出する第1の係合部をさらに含み、第2部材は、第4の厚肉部に連続する第2の基部条片、および第2の基部条片から第2部材の厚さ方向に突出し第1の係合部に係合可能な第2の係合部をさらに含み、第1の中間部と第2の中間部とは、第1の係合部と第2の係合部とが互いに係合したときに互いに対向するように配置される、[12]に記載のテープ。
[14]第2の厚肉部は第1の基部条片よりも厚く形成され、第4の厚肉部は第2の基部条片よりも厚く形成される、[13]に記載のテープ。
[15]少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体と、第1領域に第1部材が接合され、第2領域に第2部材が接合され、第1の厚肉部と第1の中間部との間、および第3の厚肉部と第2の中間部との間がそれぞれ分離された[12]から[14]のいずれか1項に記載のテープとを備えるテープ付き容器。
[16]容器本体は、袋状である、[11]または[15]に記載のテープ付き容器。
[17]ポリオレフィン系樹脂を含有する第1の樹脂組成物で形成される第1の厚肉部、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2の樹脂組成物で形成される第2の厚肉部、ならびに第1および第2の厚肉部の間に形成される第1の中間部を備えるテープと、少なくとも互いに対向する第1領域および第2領域を有する容器本体とを含むテープ付き容器の製造方法であって、第1の厚肉部と第1の中間部との間を界面剥離によって分離する工程と、第1の厚肉部と第2の厚肉部との間の距離を保持しながら第1の厚肉部および第2の厚肉部をそれぞれ第1領域に接合する工程とを含むテープ付き容器の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、2つの厚肉部の間が中間部を介した界面剥離によって分離される。例えば薄肉部の引き裂きによってではなく、界面剥離によって2つの厚肉部の間を分離することによって、引き裂き後の薄肉部が未接合部分として残って外観を損ねるようなことがなく、容易かつ確実に2つの厚肉部を隙間を空けて精度よく位置決めして容器本体に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るテープの例を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋の製造方法の例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋の別の例を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るテープの別の例を示す断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープの例を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープの別の例を示す断面図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るジッパーテープの例を示す断面図である。
【
図12】
図12に示されたジッパーテープの中間部付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
なお、本明細書において、積層体の各層を形成する樹脂組成物の主成分は、その層を形成している樹脂組成物の中で最も含有率が多い樹脂成分を意味する。従って、樹脂組成物は主成分に加えて他の成分を含んでもよい。主成分は、例えばIR法によって確認することができる。本明細書において、積層体の各層を形成する樹脂組成物の成分の含有率は、別途記載がない限りその層を形成する樹脂組成物全体に対する質量%で表記する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋の平面図であり、
図2は
図1のII-II線断面図である。図示されているように、テープ付き袋100は、袋本体を構成し互いに対向する第1領域111Aおよび第2領域111Bを有するフィルム110と、フィルム110の第1領域111Aおよび第2領域111Bにそれぞれ少なくとも部分的に接合されるテープ120とを含む。第1領域111Aと第2領域111Bとの間には収納空間が形成される。
【0014】
フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂は、具体的には低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)であってもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。フィルム110が多層のフィルムである場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックとの混合物を用いてもよい。バイオプラスチックとしては、例えばバイオポリエチレンやバイオポリプロピレンが好ましい。また、フィルム110はアルミニウムなどの金属材料や、無機材料の層を含んでもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、2枚のフィルム110が重ね合わされ、トップシール部112、ボトムシール部113およびサイドシール部114において互いに接合されることによって第1領域111Aおよび第2領域111Bを形成しているが、別の実施形態では、1枚のフィルム110がサイドシール部114に対応する部分で折り返されることによって第1領域111Aおよび第2領域111Bを形成してもよい。また、ボトムシール部113またはサイドシール部114に対応する部分でフィルムが内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、第1領域111Aまたは第2領域111Bと同じフィルムによって形成されてもよいし、これらとは異なるフィルムによって形成されてもよい。また、テープ付き袋100は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンドパウチであってもよい。
【0016】
テープ120は、
図2に示されるように、互いに対向する長尺状の第1部材120Aおよび第2部材120Bを含む。第1部材120Aは、それぞれがシール層123でフィルム110の第1領域111Aに接合される厚肉部121A,121Bを含む。厚肉部121Aと厚肉部121Bとの間には中間部122Aが存在し、第1部材120Aが第1領域111Aに接合された状態において厚肉部121Aと中間部122Aとの間は分離されている。後述するように、テープ120が供給される段階では中間部122Aは厚肉部121Aと界面剥離可能に接合されており、テープ付き袋100の製造工程において界面剥離によって厚肉部121Aが中間部122Aから分離される。
【0017】
一方、第2部材120Bは、それぞれがシール層123でフィルム110の第2領域111Bに接合される厚肉部121C,121Dを含む。厚肉部121Cと厚肉部121Dとの間には中間部122Bが存在し、第2部材120Bが第2領域111Bに接合された状態において厚肉部121Cと中間部122Bとの間は分離されている。第1部材120Aの場合と同様に、テープ120が供給される段階では中間部122Bは厚肉部121Cと界面剥離可能に接合されており、テープ付き袋100の製造工程において界面剥離によって厚肉部121Cが中間部122Bから分離される。
【0018】
なお、図示された例では中間部122A,122Bにおいてフィルム110との間にシール層123が形成されていないが、例えば中間部122A,122Bおよびフィルム110をそれぞれ形成する樹脂組成物の組み合わせによっては、中間部122A,122Bについてもシール層123でフィルム110の第1領域111Aまたは第2領域111Bに接合してもよい。
【0019】
シール層123の原料は、例えば、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン)を含有することが好ましく、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンとメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体とを含有することがより好ましい。シール層123の原料は、例えば下記の樹脂(A)を10質量%以上50質量%以下、下記の樹脂(B)を50質量%以上90質量%以下で含有し、かつ、X線回折による広角X線散乱の散乱角2θが14°に極大ピークを有する樹脂組成物とすることがさらに好ましい。
樹脂(A):密度900kg/m3以下、メルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)1.0g/10min以上20g/10min以下、融点100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体
樹脂(B):密度900kg/m3以下、MFR1.0g/10min以上20g/10min以下、融点80℃以上100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン
【0020】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るテープの例を示す断面図である。上記で
図1および
図2を参照して説明した例においてフィルム110に取り付けられていたテープ120は、フィルム110への取り付け前には独立して供給される。この場合、図示されているように、厚肉部121Aと中間部122Aとの間は界面剥離可能に接合されており、厚肉部121Cと中間部122Bとの間も同様に接合されている。本明細書において界面剥離可能とは、部材間の剥離強度が16N/15mm以下であることをいう。従って、厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間の剥離強度は16N/15mm以下である。界面剥離を円滑にするために、厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間の剥離強度は、好ましくは13N/15mm以下、より好ましくは10N/15mm以下である。剥離強度の下限は特に限定されないが、例えば0.01N/15mm以上である。本明細書における剥離強度は、トラウザー引裂試験(JIS K7128-1)に準拠する方法で測定できる。具体的には、150mm幅にカットしたジッパーテープの厚肉部と中間部の間に75mm長さの切れ込みを入れ、引張試験機にセットする。これを200mm/minで上下に引張り、引裂き開始後の20mmと引裂き終了前の5mmを除外し、残り50mmの引裂力の平均値を算出する。得られた引裂力の平均値を中間部の厚さで割り返し、15mm幅に換算したものが剥離強度になる。
【0021】
ここで、厚肉部121A,121B,121C,121Dの厚さは、接合されることによってフィルム110を補強し、厚肉部同士の間の隙間に沿ってフィルム110の引き裂きを誘導するガイドリブとして開封性を向上させる観点、および中間部と厚肉部との間の意図しない剥離を防止する観点から決定される。具体的には、厚肉部121A,121B,121C,121Dの厚さは、例えば0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。厚肉部の厚さの上限は特に限定されないが、製造時のサイドシール部114における潰しやすさの観点から0.7mmである。なお、厚肉部121A,121B,121C,121Dは同じ厚さでなくてもよく、厚肉部121A,121B,121C,121Dのそれぞれの中でも厚さは均一でなくてもよい。例えば、図示された例における厚肉部121Aおよび厚肉部121Cのようにテープ120の長手方向に延び厚さ方向の片側(袋本体の内側)に突出するリブ124が形成されてもよい。リブ124を形成することによって、例えばテープ120が表裏反転した状態でフィルム110に接合される異常を検知することができる。テープ120が表裏反転している場合、リブ124がフィルム110に対向する側になり、厚肉部121A,121Cとフィルム110との間の接触面積が小さくなるため、接合後の外観不良によって容易に異常を検知することができる。同様に、厚肉部121Bおよび厚肉部121Dでも、テープ120の長手方向に延び厚さ方向の片側(袋本体の内側)に突出するリブが形成されてもよい。なお、後述するジッパー部分の基部条片については、基部条片から突出する係合部が上記のリブと同様に機能するため、リブを形成しなくてもよい。
【0022】
また、中間部122A,122Bの厚さは、例えば厚肉部121A,121B,121C,121Dと同程度である。これによって、厚肉部121A,121B,121C,121Dとともに中間部122A,122Bをフィルム110に確実に接合し、引き裂き後に未接合部分として残ることを防止できる。なお、厚肉部121A,121B,121C,121Dと中間部122A,122Bとは厳密に同じ厚さである必要はなく、例えば厚肉部の厚さに対して±20%程度の差があってもよく、±10%以内の差であることが好ましく、±5%以内の差であることがより好ましい。また、上記のようにそれぞれの厚肉部は同じ厚さでなくてもよいため、中間部122A,122Bの厚さは隣接するいずれかの厚肉部に対して上記の範囲にあればよい。中間部122A,122Bの厚さをこのような範囲とすることによって、後述するようなテープ付き袋の製造工程が安定して実施できるのに加えて、テープ120の梱包時や搬送時における意図せぬ剥離を防止する効果も期待できる。
【0023】
テープ120の幅方向における中間部122A,122Bの寸法は、例えば5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上である。この範囲とすることで、接合強度を安定させることができる。また、テープ120の幅方向における中間部122A,122Bの寸法は、特に限定はないが例えば2mm以下である。
【0024】
上記のようなテープ120は、例えばポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物の押出成形によって形成される。より具体的には、テープ120は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックとの混合物を用いてもよい。バイオプラスチックとしては、例えばバイオポリエチレンやバイオポリプロピレンが好ましい。テープ120の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0025】
本実施形態では、上述したような厚肉部121Aと中間部122Aとの間の界面剥離、
および厚肉部121Cと中間部122Bとの間の界面剥離のために、中間部122A,122Bと厚肉部121Aおよび厚肉部121Cとが互いに相溶性の低い樹脂材料の組み合わせで形成される。具体的には、例えば、厚肉部121Aおよび厚肉部121Cをそれぞれポリプロピレンを主成分とする樹脂組成物で形成し、中間部122A,122Bをポリエチレン、より具体的にはLDPEを主成分とする樹脂組成物で形成してもよい。厚肉部121Bおよび厚肉部121Dについても、ポリプロピレンを主成分とする樹脂組成物で形成してもよい。
【0026】
例えば厚肉部121Aおよび厚肉部121B、ならびに厚肉部121Cおよび厚肉部121Dがそれぞれ同じ樹脂組成物で形成されるような場合、接合層125を中間部122Aと厚肉部121Bとの間に形成して中間部122Aと厚肉部121Bとの間には形成せず、同様に接合層125を中間部122Bと厚肉部121Dとの間に形成して中間部122Bと厚肉部121Dとの間には形成しないことによって、厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間で選択的に層間剥離を生じさせることができる。それぞれの厚肉部がポリプロピレンを主成分とする樹脂組成物で形成される場合、接合層125は例えば密度が915kg/m3以下のポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される接着層であってもよい。接着層のポリエチレンの密度は、好ましくは910kg/m3以下、より好ましくは905kg/m3以下である。また、接合層125はシール層123と同じ樹脂組成物、例えばメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)で形成されてもよい。
【0027】
接合層125の原料は、シール層123と同じ樹脂組成物、例えば、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン)を含有することが好ましく、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンとメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体とを含有することがより好ましい。接合層125の原料は、例えば下記の樹脂(A)を10質量%以上50質量%以下、下記の樹脂(B)を50質量%以上90質量%以下で含有し、かつ、X線回折による広角X線散乱の散乱角2θが14°に極大ピークを有する樹脂組成物とすることがさらに好ましい。
樹脂(A):密度900kg/m3以下、メルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)1.0g/10min以上20g/10min以下、融点100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体
樹脂(B):密度900kg/m3以下、MFR1.0g/10min以上20g/10min以下、融点80℃以上100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン
【0028】
テープ120の幅方向における接合層125の寸法は、例えば5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。また、接合層125の寸法は、例えば2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。この範囲とすることで、接合強度が高められ、意図しない剥離を防止できる。なお、接合層125は必ずしもテープ120の幅方向について均一な寸法で形成されるとは限らないが、その場合も寸法の最小値および最大値がそれぞれ上記の範囲に含まれていればよい。
【0029】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋の製造方法の例を示す図である。本実施形態に係るテープ付き袋100は、テープ120をフィルム110に接合し、フィルム110を第1領域111Aおよび第2領域111Bを含む袋本体の形状に成形することによって製造されるが、
図4にはテープ120をフィルム110に接合する前に、第1部材120Aの厚肉部121Aと中間部122Aおよび厚肉部121Bとの間を分離させる工程が示されている。この工程は、供給手段510、分離手段520、誘導手段530、および接合手段540によって実施される。なお、テープ120の第2部材120Bの図示は省略されている。
【0030】
供給手段510は、厚肉部121Aと中間部122Aとの間が分離していないテープ120の第1部材120Aを連続的に供給する。分離手段520は、供給手段510によって供給された第1部材120Aの厚肉部121Aと中間部122Aとの間を界面剥離させることによって、厚肉部121Aを中間部122Aおよび厚肉部121Bから分離する。図示された例において、分離手段520は後述する誘導手段530によって中間部122Aから離れる方向の張力を受けた厚肉部121Aが中間部122Aから分離されるのを促すセパレータ521である。界面剥離による分離のため、分離手段520において樹脂材料を引き裂く刃のような部材は必ずしも必要ではない。本実施形態では、薄肉部の引き裂きによって厚肉部を分離するのではないため、引き裂き後の薄肉部が未接合部分として残り、外観を損ねるようなことはない。
【0031】
誘導手段530は、分離手段520によって分離された厚肉部121Aを、第1部材120Aの幅方向で中間部122Aおよび厚肉部121Bから離隔するように誘導する。図示された例において、誘導手段530は先端に円環状部分531Aを有する棒状部材531である。分離後も直線状に搬送される中間部122Aおよび厚肉部121Bに対して円環状部分531Aが所定の距離だけ離隔するように配置し、分離された厚肉部121Bが円環状部分531Aの中を通るように配置することによって、厚肉部121Aと厚肉部121Bとの間の距離を保持することができる。このときの厚肉部121Aと厚肉部121Bとの間の距離は、例えば接合手段540によって厚肉部121Aと厚肉部121Bとをそれぞれフィルム110に接合するときに、厚肉部121Aと中間部122Aとの間が再び融着しないように設定される。
【0032】
接合手段540は、厚肉部121A,121Bをそれぞれフィルム110に接合する。図示された例において、接合手段540はヒートシール用のシールバー541である。シールバー541が、厚肉部121Bと、これとは離隔して誘導される厚肉部121Aとを含む領域に熱を加えることによって、各部をフィルム110に接合することができる。シールバー541の入口側で厚肉部121Aを位置決めする位置決め手段542がさらに設けられてもよい。位置決め手段542は、例えば1対の柱状部材542A,542Bであり、誘導手段530によって誘導された厚肉部121Aが1対の柱状部材542A,542Bの間を通るように配置することによって、シールバー541に入る厚肉部121Aを正しく位置決めすることができる。この後、図示しない製袋工程を経てテープ付き袋100が製造される。
【0033】
本実施形態に係るテープ付き袋100では、袋本体のフィルム110に接合されたテープ120の厚肉部121Aと厚肉部121Bの間、および厚肉部121Cと厚肉部121Dとの間にそれぞれ隙間が形成される。この隙間ではフィルム110に厚肉部が接合されておらず、フィルム110の引き裂きに対する強度が両側の厚肉部が接合された部分よりも相対的に弱くなっている。従って、ユーザがテープ120の長手方向端部でサイドシール部114に形成されたノッチ115(
図1参照)を起点にしてフィルム110を引き裂こうとした場合、引き裂きが厚肉部の間の隙間に沿って誘導され、袋本体にテープ120に沿った直線的な開口を形成することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、テープ付き袋100の製造時、第1部材120Aにおいて厚肉部121Aと厚肉部121Bとの間が中間部122Aを介した界面剥離によって分離され、第2部材120Bにおいて厚肉部121Cと厚肉部121Dとの間が中間部122Bを介した界面剥離によって分離される。例えば薄肉部の引き裂きによってではなく、界面剥離によって厚肉部の間を分離することによって、薄肉部が未接合部分として残り、外観を損ねるようなことがなく、容易かつ確実に2つの厚肉部を隙間を空けて精度よく位置決めしてフィルム110に接合することができる。
【0035】
図5および
図6は、本発明の第1の実施形態に係るテープ付き袋およびテープの別の例を示す断面図である。
図5に示されるように、テープ120(第1部材120A)を単独でフィルム110に接合することによってテープ付き袋を構成してもよい。具体的には、
図5の例では、テープ120の厚肉部121Aがフィルム110の第1領域111Aおよび第2領域111Bの両方に接合される一方で、厚肉部121Bは第2領域111Bに接合され、第1領域111Aには接合されない。このような構成でも、厚肉部121A,121Bの間の隙間に沿ってフィルム110の第1領域111Aおよび第2領域111Bを引き裂くことによって袋本体に開口を形成することができる。この場合、
図6に示されるように、テープ120は第1部材120Aのみによって構成され、シール層123は厚肉部121Aの両面および厚肉部121Bの片面に形成される。
【0036】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図であり、
図8は
図7のVIII-VIII線断面図である。図示されているように、ジッパーテープ付き袋200は、上記の第1の実施形態と同様のフィルム110と、フィルム110の第1領域111Aおよび第2領域111Bにそれぞれ接合されるジッパーテープ220とを含む。なお、以下で説明するジッパー部分である基部条片226A,226Bおよび係合部227A,227Bに関する構成以外について、本実施形態の構成は上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
【0037】
ジッパーテープ220は、
図8に示されるように、互いに対向する長尺状の第1部材220Aおよび第2部材220Bを含む。第1部材220Aは、厚肉部121A,121Bおよび中間部122Aと、ジッパー部分を構成する基部条片226Aおよび係合部227Aとを含む。第2部材220Bは、厚肉部121C,121Dおよび中間部122Bと、ジッパー部分を構成する基部条片226Bおよび係合部227Bとを含む。基部条片226Aは第1部材220Aの幅方向で厚肉部121Bに連続して形成され、基部条片226Bは第2部材220Bの幅方向で厚肉部121Dに連続して形成される。厚肉部121A,121Bおよび基部条片226Aは、シール層123でフィルム110の第1領域111Aに接合される。また、厚肉部121C,121Dおよび基部条片226Bは、シール層123でフィルム110の第2領域111Bに接合される。上記の第1の実施形態と同様に、フィルム110に接合された状態において、厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間が分離されている。
【0038】
図示された例において厚肉部121A,121Bは基部条片226Aよりも厚く形成され、厚肉部121C,121Dは基部条片226Bよりも厚く形成される。係合部227Aは基部条片226Aから第1部材220Aの厚さ方向に突出し、係合部227Bは基部条片226Bから第2部材220Bの厚さ方向に突出する。基部条片226A,226Bは、フィルム110の第1領域111Aおよび第2領域111Bにそれぞれ接合されて互いに対向し、係合部227A,227Bは互いに係合可能である。
【0039】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープの例を示す断面図である。上記で
図7および
図8を参照して説明した例においてフィルム110に取り付けられていたジッパーテープ220は、フィルム110への取り付け前には独立して供給される。この場合、図示されているように、厚肉部121Aと中間部122Aとの間は界面剥離可能に接合されており、厚肉部121Cと中間部122Bとの間も同様に接合されている。上述のように、界面剥離可能に接合される厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間の剥離強度は16N/15mm以下である。界面剥離を円滑にするために、厚肉部121Aと中間部122Aとの間、および厚肉部121Cと中間部122Bとの間の剥離強度は、好ましくは13N/15mm以下、より好ましくは10N/15mm以下である。剥離強度の下限は特に限定されないが、例えば0.01N/15mm以上である。剥離強度の測定方法は、上述の通りである。
【0040】
ジッパーテープ220は、第1の実施形態のテープ120と同様に、例えばポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物の押出成形によって形成される。材料には必要に応じて公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。また、ジッパーテープ220の材料は、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックとの混合物を用いてもよい。バイオプラスチックとしては、例えばバイオポリエチレンやバイオポリプロピレンが好ましい。
【0041】
なお、ジッパーテープ220において、係合部227A,227Bの形状は、図示された例に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーの係合部の形状にすることが可能である。図示された例では係合部227Aが雄型、係合部227Bが雌型であるが、逆であってもよい。また、図示された例では1対の係合部が配置されているが、複数対の係合部が配置されてもよい。
【0042】
また、図示された例ではジッパー部分の基部条片226A,226Bに連続する厚肉部121B,121Dの側に中間部122A,122Bがそれぞれ接合されるが、基部条片226A,226Bとは反対側である厚肉部121A,121Cの側に中間部122A,122Bがそれぞれ接合されてもよい。この場合も、厚肉部121Bと中間部122Aとの間、および厚肉部121Dと中間部122Bとの間がそれぞれ層間剥離によって分離され、上記の例と同様の効果が得られる。
【0043】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ジッパーテープ付き袋200の製造時、第1部材220Aにおいて厚肉部121Aと厚肉部121Bとの間が中間部122Aを介した界面剥離によって分離され、第2部材220Bにおいて厚肉部121Cと厚肉部121Dとの間が中間部122Bを介した界面剥離によって分離される。例えば薄肉部の引き裂きによってではなく、界面剥離によって厚肉部の間を分離することによって、引き裂き後の薄肉部が未接合部分として残り、外観を損ねるようなことがなく、容易かつ確実に2つの厚肉部を隙間を空けて精度よく位置決めしてフィルム110に接合することができる。
【0044】
図10は、本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープの別の例を示す断面図である。
図10に示された例では、第1部材220Aおよび第2部材220Bのそれぞれで、ジッパー部分の基部条片226C,226Dが厚肉部121B,121Dと同じ厚さで形成される。本実施形態において、厚肉部121B,121Dは
図10の例のように基部条片226C,226Dに連続的して形成されて形状的に区別されない部分であってもよいし、
図9の例のように基部条片226A,226Bよりも厚く形成される部分であってもよい。
【0045】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るジッパーテープの例を示す断面図である。本実施形態に係るジッパーテープ320では、厚肉部121A,121Bおよび厚肉部121C,121D、ならびに中間部122A,122Bに、シール層323A,323B,323C,323Dが形成される。より具体的には、厚肉部121A,121B、中間部122Aおよび基部条片226Aはシール層323A,323Bでフィルム110の第1領域111Aに接合され、厚肉部121C,121D、中間部122Bおよび基部条片226Bはシール層323C,323Dでフィルム110の第2領域111Bに接合される。なお、それ以外の構成については上記の第2の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
【0046】
図12は、
図11に示されたジッパーテープの中間部付近の拡大図である。本実施形態では、中間部122A,122Bに形成されるシール層323B,323Dと、厚肉部121A,121Cに形成されるシール層323A,323Cとが互いに離隔している。つまり、中間部122A,122Bの厚肉部121B,121D側の部分にはシール層323B,323Dが積層されるが、厚肉部121A,121C側の部分にはシール層が積層されず、中間部122A,122Bが単層になっている。シール層323A,323Cとシール層323B,323Dとが離隔している間の部分は、図示された例のように中間部122A,122Bの単層部分によって埋められていてもよいし、空隙になっていてもよい。シール層323A,323Cとシール層323B,323Dとが離隔する距離は、フィルム110等への接合時にシール層同士が接合してしまわない距離であれば特に限定されないが、例えば1mm以下であり、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.2mm以下である。
【0047】
なお、例えば中間部122A,122Bおよびフィルム110をそれぞれ形成する樹脂組成物の組み合わせによっては、中間部122A,122Bもシール層でフィルム110の第1領域111Aまたは第2領域111Bに接合されうることは、上記の第1の実施形態で既に述べた通りである。第1の実施形態で説明された例と同様に、シール層323A,323B,323C,323Dは、接合層125と同じ樹脂組成物で形成されてもよい。シール層323A,323B,323C,323Dの原料は、例えば、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン)を含有することが好ましく、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンとメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体とを含有することがより好ましい。シール層323A,323B,323C,323Dの原料は、例えば下記の樹脂(A)を10質量%以上50質量%以下、下記の樹脂(B)を50質量%以上90質量%以下で含有し、かつ、X線回折による広角X線散乱の散乱角2θが14°に極大ピークを有する樹脂組成物とすることがさらに好ましい。
樹脂(A):密度900kg/m3以下、メルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)1.0g/10min以上20g/10min以下、融点100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体
樹脂(B):密度900kg/m3以下、MFR1.0g/10min以上20g/10min以下、融点80℃以上100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン
【0048】
上記のような第3の実施形態の構成によれば、例えば樹脂組成物の組み合わせによって中間部122A,122Bについてもフィルム110に接合するための接合層が必要とされる場合に、中間部122A,122Bを確実にフィルム110に接合しつつ、中間部122A,122Bと厚肉部121A,121Cとの間では界面剥離による分離を容易に生じさせることができる。
【0049】
なお、第3の実施形態におけるシール層の構成は、第2の実施形態に係るジッパーテープに限らず、第1の実施形態に係るテープにも適用可能である。また、第1および第2の実施形態で説明された変形例は、第3の実施形態でも適用可能である。
【0050】
なお、上記では容器本体が袋状の袋本体である例について説明したが、袋状以外の容器本体にテープまたはジッパーテープが接合されてテープ付き容器またはジッパーテープ付き容器が提供されてもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0052】
100…テープ付き袋、110…フィルム、111A…第1領域、111B…第2領域、112…トップシール部、113…ボトムシール部、114…サイドシール部、115…ノッチ、120…テープ、120A…第1部材、120B…第2部材、121A,121B,121C,121D…厚肉部、122A,122B…中間部、123…シール層、124…リブ、125…接合層、200…ジッパーテープ付き袋、220,320…ジッパーテープ、220A…第1部材、220B…第2部材、226A,226B,226C,226D…基部条片、227A,227B…係合部、323A,323B,323C,323D…シール層、510…供給手段、520…分離手段、521…セパレータ、530…誘導手段、531…棒状部材、531A…円環状部分、540…接合手段、541…シールバー、542…位置決め手段、542A,542B…柱状部材。