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特開2022-134124画像キャプチャモジュール、撮像ユニット、内視鏡、及び画像キャプチャモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134124
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】画像キャプチャモジュール、撮像ユニット、内視鏡、及び画像キャプチャモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220907BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20220907BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/04 530
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031576
(22)【出願日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】63/155,335
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/573,750
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細貝 茂
【テーマコード(参考)】
4C161
5C122
【Fターム(参考)】
4C161AA00
4C161BB03
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161FF47
4C161JJ06
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP06
4C161SS01
5C122DA26
5C122EA01
5C122EA55
5C122FB03
5C122GE05
5C122GE06
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】レンズの端面上に発生した損傷がレンズの光学的品質または破片の剥離に影響を及ぼすことを防止すること。
【解決手段】画像キャプチャモジュール200は、底面及び側壁218を有する凹部が設けられたフレーム210と、レンズ232及び画像センシング回路236を含み、凹部内に配置されるイメージャモジュール230と、イメージャモジュール230と側壁218の少なくとも1つとの間に設けられた樹脂220と、を備える。レンズ232の上面(T)の領域は、樹脂220を設ける過程で、樹脂220が上面(T)の中央領域を覆うのを防止する表面特徴部306を含む。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び側壁を有する凹部が設けられたフレームと、
レンズ及び画像センシング回路を含み、前記凹部内に配置されるイメージャモジュールと、
前記イメージャモジュールと前記側壁の少なくとも1つとの間に設けられた樹脂と、
を備え、
前記レンズの上面の領域は、前記樹脂を設ける過程で、前記樹脂が前記上面の中央領域を覆うのを防止する表面特徴部または表面改質部を含む、
画像キャプチャモジュール。
【請求項2】
前記レンズは、前記上面から実質的に垂直に延びる側面を有するガラス基板を含み、前記画像センシング回路を含む基板の表面に接合される、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項3】
前記中央領域の面積は、前記上面の総面積の少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%である、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項4】
前記レンズは、1つ以上の側面を含み、
前記上面は、端部で各側面と接し、
前記表面特徴部は、各端部に溝を含む、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項5】
前記溝は、前記中央領域を取り囲む、請求項4に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項6】
前記表面特徴部は、前記上面上の構造的特徴部を含む、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項7】
前記上面は、端部で各側面と接し、
前記構造的特徴部は、前記上面の少なくとも1つの端部からオフセットされる、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項8】
前記上面は、端部で各側面と接し、
前記構造的特徴部は、前記上面の各端部からオフセットされる、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項9】
前記構造的特徴部は、前記中央領域を取り囲む、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項10】
前記構造的特徴部は、前記上面に設けられた溝である、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項11】
前記構造的特徴部は、前記上面から突出した突出部である、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項12】
前記構造的特徴部は、前記上面上に貼り付けられている、請求項6に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項13】
前記表面改質部は、前記樹脂に対して湿潤性を高めた領域を含み、
前記湿潤性が高まった領域は、前記上面の周囲に位置する、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項14】
前記表面改質部は、前記中央領域を取り囲む、請求項13に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項15】
前記表面改質部は、第1の表面状態の領域を含み、前記中央領域を取り囲み、
前記中央領域は、第2の表面状態の領域であり、
前記第1の表面状態は、前記第2の表面状態と異なる、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項16】
配線パターンをさらに備え、
前記画像センシング回路は、前記配線パターンに接触する、請求項1に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項17】
前記画像センシング回路は、1つ以上の半田接合部を介して前記配線パターンに接触する、請求項16に記載の画像キャプチャモジュール。
【請求項18】
カートリッジ本体と、
請求項1に記載の前記画像キャプチャモジュールとを備え、
前記画像キャプチャモジュールは、前記カートリッジ本体の凹部に据え付けられる、撮像ユニット。
【請求項19】
前記撮像ユニットは、内視鏡の遠位端に取り付けられるように構成されている、請求項18に記載の撮像ユニット。
【請求項20】
請求項18に記載の前記撮像ユニットを備える、内視鏡。
【請求項21】
請求項1に記載の前記画像キャプチャモジュールを備える、内視鏡。
【請求項22】
レンズ及び画像センシング回路を有するイメージャモジュールを含む画像キャプチャモジュールを製造する画像キャプチャモジュールの製造方法であって、
表面特徴部または表面改質部を含むように前記レンズの上面の一部分を改質することと、
フレームの凹部であって底面及び側壁を有する前記凹部に前記イメージャモジュールを配置することと、
前記レンズの側面と前記フレームの側壁との間の間隙に樹脂を充填することと、
を含み、
前記樹脂は、前記表面特徴部または前記表面改質部に接触し、
前記表面特徴部または前記表面改質部は、前記樹脂が前記上面の中央領域に流れるのを防止する、
画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項23】
前記凹部に前記イメージャモジュールを配置することにより、前記凹部内に配置された配線パターンに前記画像センシング回路を接触させる、請求項22に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項24】
前記画像センシング回路は、1つ以上の半田接合部を介して前記配線パターンに接触する、請求項23に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項25】
前記中央領域の面積は、前記上面の総面積の少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である、請求項22に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項26】
前記上面は、端部で前記レンズの各側面と接し、
前記表面特徴部は、溝を含み、
前記改質することは、前記上面の各端部に前記溝を形成することを含む、請求項22に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項27】
前記溝は、前記中央領域を取り囲む、請求項26に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項28】
前記溝は、エッチングによって形成される、請求項26に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項29】
前記表面特徴部は、前記上面上の構造的特徴部を含む、請求項26に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【請求項30】
前記上面は、端部で前記レンズの各側面と接し、
前記構造的特徴部は、前記上面の少なくとも1つの端部からオフセットされる、請求項29に記載の画像キャプチャモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像キャプチャモジュール、撮像ユニット、内視鏡、及び画像キャプチャモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療処置などにおいて、内視鏡を体内(ヒトまたはその他)に挿入し、そこから画像を取得する観察用の機器として機能し得る。
【0003】
内視鏡は、体内の画像をキャプチャし、例えば電子信号を介して外部システムに画像を通信するために、画像センサ(または「イメージャ」)を採用している。このようなイメージャは、内視鏡の遠位端にあるイメージャモジュールの一部として含まれてもよい。また、イメージャモジュールは、イメージャ上に画像を集中させるためにイメージャ上に積層レンズをさらに含んでもよい。
【0004】
内視鏡、またはその遠位端にあるイメージャモジュールは、使い捨てできるように作製されている場合がある。このため、それらを低コストで製造することが好ましい場合がある。
【0005】
しかしながら、製造時に、イメージャに含まれる積層レンズの端面上に機械的損傷が発生することがある。例えば、積層レンズの製造プロセスでは、それぞれがレンズを有する複数のガラス基板を接合して、積層ウェハを形成する。次いで、機械的なダイサーを使用して、ウェハをそれぞれのイメージャ用の個々の積層レンズに切断する。このダイシングにより、積層レンズの端面上にチッピング及び破砕が発生することがある。このような損傷は光学的品質の低下をもたらすだけでなく、製造後に破片が脱落する危険性があり得る。使用中の破片の脱落は、特に医療処置として使用する場合、特に有害であり得る。
【0006】
特許文献1には、封止樹脂及び透明部材を含む光学機器が記載されている。この特許文献1によれば、透明部材の上面よりやや下に封止樹脂を充填することが好ましい。したがって、透明部材の側面の上部が露出する。
【0007】
特許文献2には、チップ角のチッピングまたは樹脂の剥離を抑制するために、チップ端面と樹脂との接着強度を高めたとされる半導体チップについて記載されている。半導体チップの端面は、一連の曲面から形成されている。この特許文献2によれば、一連の曲面は、チップ端面と樹脂とのより大きな接触面積をもたらして、接着力を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-182051号公報
【特許文献2】特開2004-304081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術を適用した場合であっても、レンズの端面上に発生したチッピング及び破砕などの損傷がレンズの光学的品質または破片の剥離に影響を及ぼすことを防止することができない。
【0010】
本開示の目的は、レンズの端面上に発生した損傷がレンズの光学的品質または破片の剥離に影響を及ぼすことを防止することができる画像キャプチャモジュール、撮像ユニット、内視鏡、及び画像キャプチャモジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る画像キャプチャモジュールは、底面及び側壁を有する凹部が設けられたフレームと、レンズ及び画像センシング回路を含み、前記凹部内に配置されるイメージャモジュールと、前記イメージャモジュールと前記側壁の少なくとも1つとの間に設けられた樹脂と、を備え、前記レンズの上面の領域は、前記樹脂を設ける過程で、前記樹脂が前記上面の中央領域を覆うのを防止する表面特徴部または表面改質部を含む。
【0012】
本開示に係る撮像ユニットは、カートリッジ本体と、上述した画像キャプチャモジュールとを備え、前記画像キャプチャモジュールは、前記カートリッジ本体の凹部に据え付けられる。
【0013】
本開示に係る内視鏡は、上述した撮像ユニットを備える。
【0014】
本開示に係る内視鏡は、上述した画像キャプチャモジュールを備える。
【0015】
本開示に係る画像キャプチャモジュールの製造方法は、レンズ及び画像センシング回路を有するイメージャモジュールを含む画像キャプチャモジュールを製造する画像キャプチャモジュールの製造方法であって、表面特徴部または表面改質部を含むように前記レンズの上面の一部分を改質することと、フレームの凹部であって底面及び側壁を有する前記凹部に前記イメージャモジュールを配置することと、前記レンズの側面と前記フレームの側壁との間の間隙に樹脂を充填することと、を含み、前記樹脂は、前記表面特徴部または前記表面改質部に接触し、前記表面特徴部または前記表面改質部は、前記樹脂が前記上面の中央領域に流れるのを防止する。
【0016】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示であり、特許請求されるような本開示のさらなる説明を提供することを意図していることが理解されよう。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る画像キャプチャモジュール、撮像ユニット、内視鏡、及び画像キャプチャモジュールの製造方法によれば、レンズの端面上に発生した損傷がレンズの光学的品質または破片の剥離に影響を及ぼすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係る医療用観察システムの構成を示す図である。
図2図2は、内視鏡に取り付けられた撮像ユニットを示す図である。
図3図3は、内視鏡に取り付けられた撮像ユニットを示す図である。
図4図4は、画像キャプチャモジュールの斜視図である。
図5図5は、図4のA-A´線の断面図である。
図6図6は、画像キャプチャモジュールの製造方法を示す図である。
図7図7は、画像キャプチャモジュールの製造方法を説明する図である。
図8A図8Aは、画像キャプチャモジュールの製造方法の詳細を示す図である。
図8B図8Bは、画像キャプチャモジュールの製造方法の詳細を示す図である。
図9A図9Aは、画像キャプチャモジュールの製造方法の他の例を示す図である。
図9B図9Bは、画像キャプチャモジュールの製造方法の他の例を示す図である。
図10A図10Aは、画像キャプチャモジュールの製造方法の他の例を示す図である。
図10B図10Bは、画像キャプチャモジュールの製造方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。
【0020】
図1は、実施形態に係る医療用観察システム100の構成を示す図である。図1に示すように、医療用観察システム100は、撮像ユニット120によって取得された画像を生体内から送信する内視鏡102を含む。一例では、撮像ユニット120は、内視鏡102内に含まれる回路を介して電気信号によってこれらの画像を観察機器103に送信する。観察機器103は、電気信号に基づいて画像を再現してもよい。また、観察機器103に接続された表示機器104は、観察機器103によって生成された再現画像を表示してもよい。表示機器104は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイなどの表示パネルを含んでもよい。
【0021】
図2及び図3はそれぞれ、撮像ユニット120の斜視図である。撮像ユニット120は、内視鏡102の遠位端、例えば図1に示すような内視鏡の可撓性挿入管105の遠位端に取り付けられてもよく、患者の中に挿入されてそこで画像(例えば、写真または動画)を取得してもよい。本明細書で使用される用語「患者」は、任意の及び全ての生体を含み、用語「被検者」を含む。患者は、ヒトまたは動物であり得る。
【0022】
撮像ユニット120は、容易に処分し、かつ交換し得るように、内視鏡102から着脱可能であってもよい。また、内視鏡102の全体が使い捨てであってもよい。
【0023】
図2及び図3の例に示すように、撮像ユニット120は、撮像ユニット120の外装となり、画像キャプチャモジュール200を構造的に支持するカートリッジ本体124を含んでもよい。カートリッジ本体124は、スチール(例えば、医療用鋼)などの金属で作製されてもよい。画像キャプチャモジュール200は、カートリッジ本体124の凹部に据え付けられる。この凹部は、挿入及び除去のための追加のルーメンもしくは外科用器具、光学機器、ならびに潅注などの、内視鏡の他の構造及び機能を収容するための開放空間128が形成されるように、カートリッジ本体124の中心線または中心軸126からオフセットされてもよい。カートリッジ本体124は、US10,321,806に開示されているような可動部分122を支持する。
【0024】
図4は、画像キャプチャモジュール200の斜視図である。図5は、図4のA-A´線の断面図を示す。図4及び図5に示すように、画像キャプチャモジュール200は、フレーム210を含んでもよい。フレーム210は、例えば、射出成形された樹脂または他の材料(すなわち、「成形フレーム」)により形成される。フレーム210は、底面及び側壁218を含み、これらは凹部212を画定する。イメージャモジュール230は、凹部212に据え付けられる。イメージャモジュール230は、レンズ232及び画像センシング回路(「イメージャ」)236を含む。レンズ232は、1つ以上のガラス基板を含み、ガラス基板のそれぞれは、上面(T)から実質的に垂直に延びる側面を有する。レンズ232は、例えば、互いに接合されるガラス基板の複数層で形成される積層レンズであってもよい。画像センシング回路236は、レンズ232の下に配置されてもよく、例えば、透明樹脂で頑丈に接着することによって、レンズ232に接合されてもよい。画像センシング回路236は、光を電気信号に変換するための画像センサを含んでもよく、これらの電気信号を、例えば銅、金、または銀などの導電性金属からなる1つ以上のワイヤを含み得る配線パターン214を介して観察機器103に送信してもよい。画像センシング回路236は、半田接合部240を介して配線パターン214に接続してもよい。半田接合部240は、画像センシング回路236上でボールグリッドアレイの形態をとってもよいが、実施形態はこれに限定されない。画像センシング回路236は、例えばフォトリソグラフィ技術によってその中に電気回路及び電気部品が形成された半導体基板に統合され、レンズ232は基板の表面に接合される。
【0025】
以下により詳細に説明するように、図5は、樹脂220(例えば、封止用接着剤)がイメージャモジュール230とフレーム210の少なくとも1つの側壁218との間、あるいはイメージャモジュール230とフレーム210の全ての側壁218との間、またはイメージャモジュール230とフレーム210の底部及び側壁218との間に配置されて、凹部212内にイメージャモジュール230を固定するように、フレーム210の凹部212内におけるイメージャモジュール230の周囲に充填された状態を示す。樹脂220は、光学的に不透明であり、例えば、硬化したときに黒色である。他の態様では、樹脂220は光学的に透明である。樹脂が光学的に透明である場合には、レンズ232の上面(T)及び側面(S)の外周、ならびに画像センシング回路236の側面が、遮光素子で覆われる。したがって、光を透過しない黒色を使用することが一般的に望ましい。特定の態様では、樹脂220は、イメージャモジュール230の側面(S)と、側壁(単数または複数)218との間の間隙に配置される。
【0026】
レンズ232の上面(T)は、端部(E)で各側面(S)と接する。樹脂220は、樹脂220の上面(R)が端部(E)に接するような高さまで間隙を充填する。他の態様では、樹脂220は、樹脂220の上面(R)が端部(E)よりも上にあるような高さまで間隙を充填し、レンズ232の上面(T)の中央領域(C)が樹脂220によって覆われないように、上面(T)の周辺領域(P)上に延びる(図7参照)。換言すれば、中央領域(C)は、樹脂220によってコーティングまたはカプセル化され得る周辺領域(P)の内側にある。中央領域(C)のサイズは、特定の面積を有すると考えられる。例えば、上面(T)の中央領域(C)の面積は、レンズ232の上面(T)の総面積の少なくとも80%である。または、上面(T)の中央領域(C)の面積は、レンズ232の上面(T)の総面積の少なくとも90%または少なくとも95%である。中央領域(C)のサイズは、イメージャモジュール230が機能するように、十分な入射光をレンズ232に伝搬させるのに適切なサイズに設定される。本明細書で説明するように、レンズ232の上面(T)の領域(周辺領域(P)、または周辺領域(P)と中央領域(C)との間の界面など)は、樹脂220がレンズ232の上面(T)の中央領域(C)を覆うのを防止する表面特徴部または表面改質部を含むことができる。そのような表面特徴部及び表面改質部は、物理的特徴部、化学的特徴部、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0027】
図6は、画像キャプチャモジュール200の製造方法を示す図である。図6の(A)には、例えば射出成形された樹脂によって形成された複数のフレーム210(例示の目的では、4つ)が示されている。図6では、そのようなフレーム210が、射出成形プロセスからランナ250に取り付けられたままの状態を示す。フレーム210が形成された後、図6の(B)に示すように、金属(例えば、金、銅、または銀であるが、これに限定されない)などの導電性材料をパターニングして(例えば、マスキング及びエッチングによって)、配線パターン214を形成する。次いで、図6の(C)に示すように、フレーム210の凹部212における配線パターン214上にイメージャモジュール230を取り付ける。例えば、上述したように、イメージャモジュール230は、例えば、ボールグリッドアレイ240を使用して配線パターン214に半田付けされてもよい。最後に、図6の(D)に示すように、イメージャモジュール230とフレーム210との間の間隙に樹脂220を充填して、フレーム210の凹部212内にイメージャモジュール230を固定する。樹脂220は、次いで、例えば、熱、放射線、電子ビーム、または化学的添加剤を利用することができる硬化によって硬化される。
【0028】
イメージャモジュール230とフレーム210との間の間隙が樹脂220で充填されると、上述したように、また、図7の例で示すように、レンズ232の上面(T)の端部(E)及び周辺領域(P)もまた、樹脂220によってカプセル化されて露出しないように(一方で、中央領域(C)は樹脂220によってコーティングされないまま)、樹脂220でコーティングされる。このように、レンズ232の個々の層の端面(例えば、レンズ232の側面(S)で露出している端面)及びレンズ232の端部(E)の少なくとも一方が、チッピング及び破砕などの機械的損傷を含んでいても(その例を図7の領域(D)で概略的に示す)、樹脂220は、そのような損傷がレンズ232の光学的品質または破片の剥離に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0029】
図8Aは、画像キャプチャモジュール200の製造方法の詳細を示す図である。図8Aに示すように、イメージャモジュール230は、樹脂220によって取り囲まれるようにフレーム210の凹部212内に配置され、そのための例示的なプロセスが、図6を参照して上述された。しかしながら、この配置に先立って、図8Aの(I)に示すように、レンズウェハ302の上面に、レンズウェハ302を個々のイメージャモジュール230に切断またはダイシングする場所を示すスクライブライン304が作製される。このレンズウェハ302は、互いに接合された1つ以上のガラス層、ならびに画像センシング回路236を含んでもよい。画像センシング回路236は、好ましくは個々のイメージャモジュール230への切断またはダイシング前に、それぞれのレンズ232の下に配置され、それらに貼り付けられる。しかしながら、レンズウェハ302を、個別に切断またはダイシングした後、個別に画像センシング回路236を接合することもできる。図8Aの(I)のB-B´線の断面である図8Aの(II)では、切断されていないレンズウェハ302アセンブリ内のレンズ232及び画像センシング回路236、ならびに半田接合部240と、アセンブリの厚さを貫くスクライブライン304とが図示されている。
【0030】
さらに、レンズウェハ302の端面の内周を縁取るために、レンズウェハ302の上面から突出するか、または上面に形成される、突出部306などの構造的特徴部が存在している。図8Aの(III)の側断面図では、例示的な四辺形のイメージャモジュール230の4つの側面のうち2つの側面側の突出部306のみが示されている。しかしながら、図8Bの(Va)及び図8Bの(Vb)の上面図に示すように、突出部306は、閉鎖区域、すなわち、上面(T)上の中央領域(C)の周囲を囲むように形成され、樹脂がレンズ232の上面(T)の中央領域(C)の全てまたは一部を覆うのを防止するための防壁またはダムとして機能する。突出部306は、各端部(E)の少なくとも1つからオフセットした位置に設けられている。図8A及び図8Bの例では、突出部306が各端部(E)からオフセットした位置に設けられた構成を例示している。図8Bの(Va)は、図8Aの(III)に対応する上面図であり、図8Bの(Vb)は、図8Aの(IV)に対応する上面図である。図8Bの(Va)から図8Bの(Vb)への矢印は、イメージャモジュール230がフレーム210の凹部212内に配置され、樹脂220がレンズ232の上面(T)の端部(E)及び周辺領域(P)をコーティングするように、例えば側面(S)とフレーム210の少なくとも1つ以上の側壁218との間の間隙に樹脂220が充填される処理を示す。
【0031】
突出部306は、上面(T)上の中央領域(C)の周囲を囲む連続構造であるが、不連続部があっても、中央領域(C)の全てまたは一部を樹脂220が覆うのを防止するための防壁またはダムとして機能し、イメージャモジュール230の撮像機能が保持される限り、不連続構造であっても構わない。突出部306の不連続構造の例が、図8Bの(Va)及び図8Bの部分(Vb)の領域(M)に示されている。突出部306は、印刷技術によって形成されてもよい。突出部306は、レンズ232に適用されるのに十分に加工可能であり、レンズ232に十分に接着し、中央領域(C)に侵入する樹脂に対するダムとして機能し、かつ生体適合性のある、適切な材料であり得る。
【0032】
上述したように、レンズウェハ302がダイシングされた後、各イメージャモジュール230は、フレーム210内に配置され、配線パターン214に半田付けされる。次いで、図8Aの(IV)に断面図で示すように、図6を参照して説明したように、イメージャモジュール230とフレーム210の凹部212の内面との間の間隙に樹脂220が充填される。さらに、樹脂220は、間隙からあふれて上面(T)の周辺領域(P)上に流れ始めるまで充填され、それによって、レンズ232の側面(S)及び端部(E)上の欠け及び破砕などの欠陥を覆う。それに対し、突出部306が防壁として作用し、樹脂220が上面(T)の周辺領域(P)よりもさらに流れることを防ぐ。したがって、外周が突出部306によって画定され得る、イメージャモジュール230のレンズ232の上面(T)の中央領域(C)は、樹脂220を含まない。次いで、樹脂220を硬化させてイメージャモジュール230をフレーム210に固定すると同時に、イメージャモジュール230の端部における光学的品質の低下または破砕も防止する。
【0033】
突出部306は、最終製品に残る。しかしながら、実施形態はこれに限定されず、他の実施形態では、樹脂220が十分に硬化した後に、突出部306を、例えば選択的なエッチングによって除去してもよい。
【0034】
図8A及び図8Bでは突出部306として示され、説明されているが、構造的特徴部は他の形態を取ることもできる。例えば、構造的特徴部は、レンズウェハ302の端面の内周を縁取るために、レンズウェハ302の上面に形成される溝であり得る。また、例えば、構造的特徴部は、レンズウェハ302の端面の内周を縁取るために、レンズウェハ302の上面に(恒久的にまたは一時的に)貼り付けられた部材であり得る。このような溝及び部材は、突出部306に関して開示したような同じ効果及び機能を有する。
【0035】
図9A及び図9Bは、画像キャプチャモジュール200の製造方法の他の例を示す。図9A及び図9Bに示すように、イメージャモジュール230は、樹脂220によって取り囲まれるようにフレーム210内に配置され、そのための例示的なプロセスが、図6を参照して上述された。しかしながら、この配置に先立って、図9Aの(I)に示すように、レンズウェハ302の上面に、レンズウェハ302を個々のイメージャモジュール230に切断またはダイシングする場所を示すスクライブライン304が作製される。このレンズウェハ302は、互いに接合された1つ以上のガラス層、ならびに画像センシング回路236を含んでもよい。画像センシング回路236は、好ましくは個々のイメージャモジュール230への切断またはダイシング前に、それぞれのレンズ232の下に配置され、それらに貼り付けられる。しかしながら、レンズウェハ302を、個別に切断またはダイシングした後、個別に画像センシング回路236を接合することもできる。図9Aの(I)のC-C´線の断面である図9Aの(II)では、切断されていないレンズウェハ302アセンブリ内のレンズ232及び画像センシング回路236、ならびに半田接合部240と、アセンブリの厚さを貫くスクライブライン304とが図示されている。
【0036】
図9Aの(I)に示すように、スクライブライン304に重なるレンズウェハ302の領域308における少なくとも上面は、表面改質部を含む。表面改質部は、周辺領域(P)の表面状態を中央領域(C)の表面状態とは異なるように変化させた部分である。すなわち、周辺領域(P)は、本発明に係る第1の表面状態である。一方、中央領域(C)は、本発明に係る第2の表面状態である。例えば、表面改質部は、上面の未処理区域(中央領域(C))の樹脂220に対する湿潤性と比較して、上面の処理区域(周辺領域(P))の樹脂220に対する湿潤性を高めることができる。別の例では、表面改質部は、樹脂220と上面の未処理区域(中央領域(C))との間の親和性と比較して、樹脂220と上面の処理区域(周辺領域(P))との間の親和性を高めることができる。さらに別の例では、樹脂220が処理区域に優先的に流れてコーティングするが、未処理区域には流れず、またはコーティングしないように、表面改質部は、周辺領域(P)などの上面(T)の処理区域の化学ポテンシャルを、中央領域(C)などの上面(T)の未処理区域の化学ポテンシャルと比較して、変化させることができる。
【0037】
例として、領域308における少なくとも上面(T)、あるいは、領域308における上面(T)の全てが、湿潤性を改善するために化学的にコーティングされてもよいし、化学的に改質されてもよい。別の例として、領域308における少なくとも上面(T)、あるいは、領域308における上面(T)の全てが、樹脂の接着性を高めるために粗くされてもよい。湿潤性を改善させる技術及びプロセスの例としては、UV照射、プラズマ処理、フレーム処理などの表面改質方法など、ならびに、例えば、株式会社ケー・ブラッシュ商会及び株式会社あすみ技研から入手可能なものが挙げられる。
【0038】
図9Aの(III)の側断面図では、例示的な四辺形のイメージャモジュール230の4つの側面のうち2つの側面上の領域308のみが示されている。しかしながら、図9Bの(Va)及び図9Bの(Vb)の上面図に示すように、領域308は、閉鎖区域、すなわち、上面(T)の中央領域(C)の周囲を囲むように形成されている。樹脂220は領域308の処理区域に優先的に残るので、処理区域は、樹脂220がレンズ232の上面(T)の中央領域(C)の全てまたは一部を覆うのを防ぐための防壁として機能する。図9Bの(Va)は、図9Aの(III)に対応する上面図であり、図9Bの(Vb)は、図9Aの(IV)に対応する上面図である。図9Bの(Va)から図9Bの(Vb)への矢印は、イメージャモジュール230がフレーム210の凹部212内に配置され、樹脂220がレンズ232の上面(T)の端部(E)及び周辺領域(P)をコーティングするように、例えば側面(S)とフレーム210の少なくとも1つ以上の側壁218との間の間隙に樹脂220が充填される処理を示す。
【0039】
領域308における処理区域は、上面(T)上の中央領域(C)の周囲を囲む連続構造であるが、不連続部があっても、中央領域(C)の全てまたは一部を樹脂220が覆うことを防止するための防壁として機能し、イメージャモジュール230の撮像機能が保持される限り、不連続構造であっても構わない。領域308における処理区域の不連続構造の例が、図9Bの(Va)及び図9Bの(Vb)の領域(N)に示されている。
【0040】
図8A及び図8Bを参照して説明したように、ウェハ302がダイシングされた後、各イメージャモジュール230は、フレーム210内に配置され、配線パターン214に半田付けされる。図9Aの(IV)に示すように、図6を参照して説明したように、イメージャモジュール230とフレーム210の凹部212の内面との間の間隙に樹脂220が充填される。さらに、樹脂220は、間隙からあふれて上面(T)の周辺領域(P)における領域308の処理区域上に流れ始めるまで充填され、それによって、レンズ232の側面(S)および及び端部(E)上の欠け及び破砕などの欠陥を覆う。例えば、樹脂220は、樹脂220に対して化学的または構造的な親和性を有するように処理されたレンズ232の表面の領域に流れ、それによって、樹脂220が流れてこれらの処理領域を覆う一方で、非処理領域には流れないか、または覆わない。樹脂220の表面張力は、表面改質と組み合わせて、樹脂220が未処理領域、例えば、処理されていないレンズ232の上面(T)の中央領域(C)に流れるのを防止することに寄与し得る。次いで、樹脂220を硬化させてイメージャモジュール230をフレーム210に固定すると同時に、イメージャモジュール230の端部における光学的品質の低下または破砕も防止する。
【0041】
図10A及び図10Bは、画像キャプチャモジュール200の製造方法の他の例を示す。図10A及び図10Bに示すように、イメージャモジュール230は、樹脂220によって取り囲まれるようにフレーム210内に配置され、そのための例示的なプロセスが、図6を参照して上述された。しかしながら、この配置に先立って、図10Aの(I)及び図10Aの(II)に示すように、溝310が、例えばパターニング及びエッチングによって、レンズウェハ302に形成される。これらの溝310が形成される前または後に、ウェハ302の表面上に、レンズウェハ302を個々のイメージャモジュール230に切断またはダイシングする場所を示すスクライブライン304を形成してもよい。レンズウェハ302は、互いに接合された1つ以上のガラス層、ならびに画像センシング回路236を含んでもよい。画像センシング回路236は、好ましくは個々のイメージャモジュール230への切断またはダイシング前に、それぞれのレンズ232の下に配置され、それらに貼り付けられる。しかしながら、レンズウェハ302を、個別に切断またはダイシングした後、個別に画像センシング回路236を接合することもできる。図10Aの(I)のD-D´線の断面である図10Aの(II)では、切断されていないレンズウェハ302アセンブリ内のレンズ232及び画像センシング回路236、ならびに半田接合部240と、アセンブリの厚さを貫くスクライブライン304とが図示されている。
【0042】
レンズウェハ302が個々のイメージャモジュール230に切断またはダイシングされた後、溝310は、結果的に各イメージャモジュール230のレンズ232の上部の端面に配置される。上述の方法では、切断またはダイシングの前に溝を形成するが、これに限定されるものではなく、レンズウェハ302を切断またはダイシングした後に溝310を形成してもよい。
【0043】
溝310の形態の構造的特徴部は、レンズウェハ302の上面に形成され、上面(T)及び側面(S)の周囲に境界を形成する。個々のイメージャモジュール230において、溝310は、レンズウェハ302の本体に形成され、側面(S)及び上面(T)の両方に沿った寸法dS,dTを有する。図10Aの(III)の側断面図では、例示的な四辺形のイメージャモジュール230の4つの側面のうち2つの側面上の溝310のみが示されている。しかしながら、図10Bの(Va)及び図10Bの(Vb)の上面図に示すように、溝310は、閉鎖区域、すなわち、上面(T)上の中央領域(C)の周囲を囲むように形成され、樹脂220がレンズ232の上面(T)の中央領域(C)の全てまたは一部を覆うのを防止するための防壁またはダムとして機能する。図10Bの(Va)は、図10Aの(III)に対応する上面図であり、図10Bの(Vb)は、図10Aの(IV)に対応する上面図である。図10Bの(Va)から図10Bの(Vb)への矢印は、イメージャモジュール230がフレーム210の凹部212内に配置され、樹脂220が溝310の少なくとも一部に存在するように、あるいは、樹脂220が溝310の表面全体をコーティングし、溝310の表面が上面(T)に接する界面、すなわち、図10Aの(III)及び図10Aの(IV)に示す位置312と、樹脂220の端部が一致するように、例えば側面(S)とフレーム210の少なくとも1つ以上の側壁218との間の間隙に樹脂220が充填される処理を示す。
【0044】
溝310は、上面(T)上の中央領域(C)の周囲を囲む連続構造であるが、不連続部があっても、中央領域(C)の全てまたは一部を樹脂220が覆うのを防止するための防壁またはダムとして機能し、イメージャモジュール230の撮像機能が保持される限り、不連続構造であっても構わない。溝310の不連続構造の例が、図10Bの(Va)及び図10Bの(Vb)の領域(O)に示されている。
【0045】
図8A及び図8Bならびに図9A及び図9Bを参照して説明したように、ウェハ302が切断またはダイシングされた後、各イメージャモジュール230は、フレーム210内に配置され、配線パターン214に半田付けされる。
【0046】
図10Aの(IV)に示すように、樹脂220が溝310の表面を完全に覆うまで間隙に樹脂220を充填し、それによって、レンズ232の側面(S)及び端部(E)上の欠け及び破砕などの欠陥を覆う。しかしながら、樹脂220は、イメージャモジュール230の上面(T)には流れない。次いで、樹脂220を固化してイメージャモジュール230をフレーム210に固定すると同時に、イメージャモジュール230の端部における光学的品質の低下または破砕も防止する。
【0047】
間隙に充填中の樹脂220の化学的特性及び硬化中の変化に応じて、硬化した樹脂220の表面は、上面(T)を含む平面の下に残ってもよい。
【0048】
なお、表面特徴部及び表面改質部の両方が、図8A及び図8Bに示した例、図9A及び図9Bに示した例、または、図10A及び図10Bに示した例に設けられた構成を採用しても構わない。
【0049】
レンズ232は、平坦な上面(T)及び平坦な側面(S)を有する立方体の形状を有するように図示されているが、レンズ232は、円形の上面及び単一の側面を有する円柱、または、多角形の上面及びN個の側面(N個の側面は多角形の種類に対応し、Nは3以上に等しい)を有する多角形などの代替的な形状を有することができる。側面(S)は、平面であり、画像センシング回路236の上面(T)及び基板の少なくとも一方に対して垂直であってもよく、あるいは、画像センシング回路236の上面(T)及び基板の少なくとも一方に対して角度を有していてもよい。また、側面(S)は、凸状、凹状、またはそれらの組み合わせであっても構わない。チッピング及び破砕などの機械的損傷の存在(その例を図7の領域(D)で概略的に示す)は、レンズ表面の形状及び幾何学的関係を特徴付ける上で考慮されない。
【0050】
本開示は、その例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、具体的に説明されていない追加、削除、変更、組み合わせ、及び置換が、添付の特許請求の範囲に定義されている本開示の精神及び範囲から逸脱することなく行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るという条件で、本開示の追加、削除、変更、組み合わせ、及び置換を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0051】
102 内視鏡
120 撮像ユニット
124 カートリッジ本体
200 画像キャプチャモジュール
210 フレーム
212 凹部
214 配線パターン
218 側壁
220 樹脂
230 イメージャモジュール
232 レンズ
236 画像センシング回路
240 半田接合部
306 突出部
310 溝
C 中央領域
E 端部
S 側面
T 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B